(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055974
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】コンタクトプローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240412BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20240412BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240412BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 D
G01R31/26 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032792
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2019236539の分割
【原出願日】2019-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相馬 一也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】西脇 成彦
(72)【発明者】
【氏名】廣中 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
(57)【要約】
【課題】繰り返しの使用において安定した接触抵抗を維持することができるコンタクトプローブを提供すること。
【解決手段】本発明にかかるコンタクトプローブは、長手方向の両端で互いに異なる電極とそれぞれ接触して信号を伝送するコンタクトプローブであって、長手方向に延びる導電性部材と、導電性部材の少なくとも一端に設けられ、白金族元素、または白金族元素を主成分とする合金からなるパイプ部材と、を備え、パイプ部材は、一方の端部が扁平な形状をなす。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両端で互いに異なる電極とそれぞれ接触して信号を伝送するコンタクトプローブであって、
前記長手方向に延びる導電性部材と、
前記導電性部材の少なくとも一端に設けられ、白金族元素、または前記白金族元素を主成分とする合金からなるパイプ部材と、
を備え、
前記パイプ部材は、一方の端部が扁平な形状をなす、
ことを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項2】
長手方向の両端で互いに異なる電極とそれぞれ接触して信号を伝送するコンタクトプローブであって、
前記長手方向に延びる導電性部材と、
前記導電性部材の少なくとも一端に設けられ、白金族元素、または前記白金族元素を主成分とする合金からなるパイプ部材と、
を備え、
前記パイプ部材は、一方の端部が面取りされてなる曲面をなす、
ことを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項3】
前記パイプ部材は、一方の端部側の開口を通過する平面と、他方の端部側の開口を通過する平面とが互いに平行な筒状をなす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトプローブ。
【請求項4】
前記パイプ部材は、一方の端部の開口を通過する平面が、中心軸に対して傾斜している筒状をなす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトプローブ。
【請求項5】
前記パイプ部材は、前記扁平な形状をなす部分において、内周面同士が接触している、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路(パッケージ)や液晶パネルなどの検査対象の導通状態検査や動作特性検査を行う際には、検査対象と検査用信号を出力する信号処理装置との間の電気的な接続を図るために、接続端子であるコンタクトプローブを複数収容するプローブユニットが用いられる。プローブユニットとして、プリント配線基板の電気回路の電極および検査用信号を出力する回路基板の電極と両端部でそれぞれ接触することによって半導体集積回路と回路基板との間を電気的に接続するコンタクトプローブを有するプローブユニットが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したコンタクトプローブは、繰り返して検査に使用される。このため、コンタクトプローブの端部が摩耗によって擦り減ったり、基板側の電極のメッキや母材を削ったりすることによって接触抵抗が変化するおそれがあった。特許文献1が開示するコンタクトプローブは、端部に着脱可能なチップを設けて、このチップを交換することによって摩耗による電気特性の変化を抑制している。しかしながら、チップを交換する時期の特定の難しさや、その交換に係る労力に鑑みて、接触部分自体の耐久性を向上することが求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、繰り返しの使用において安定した接触抵抗を維持することができるコンタクトプローブおよび信号伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコンタクトプローブは、長手方向の両端で互いに異なる電極とそれぞれ接触して信号を伝送するコンタクトプローブであって、前記長手方向に延びる導電性部材と、前記導電性部材の少なくとも一端に設けられ、白金族元素、または前記白金族元素を主成分とする合金からなるパイプ部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記導電性部材は、前記長手方向の一端側に位置する第1プランジャと、前記長手方向の他端側に位置する第2プランジャと、一端で前記第1プランジャと接続するとともに、他端で前記第2プランジャと接続するコイルばねと、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、単一の前記白金族元素からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記導電性部材は、前記長手方向と直交する方向に突出し、前記パイプ部材に圧接する突出部、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記導電性部材は、前記パイプ部材が取り付けられる端部に設けられ、前記長手方向と直交する方向に対して垂直な平面部、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記導電性部材は、前記パイプ部材に圧入される先端部、を有し、前記パイプ部材は、前記先端部全体を覆う、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記導電性部材は、前記パイプ部材に圧入される先端部、を有し、前記パイプ部材は、前記先端部の一部を覆う、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記導電性部材は、前記パイプ部材に圧入される先端部、を有し、前記パイプ部材の内周面には、前記先端部に係止する凸部が形成される、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記先端部には、前記凸部と係止する凹部が形成される、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、一方の端部側の開口を通過する平面と、他方の端部側の開口を通過する平面とが互いに平行な筒状をなす、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、一方の端部の開口を通過する平面が、中心軸に対して傾斜している筒状をなす、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、一方の端部が扁平な形状をなす、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、前記扁平な形状をなす部分において、内周面同士が接触している、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、一方の端部が面取りされてなる曲面をなす、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、前記導電性部材に連なる側と反対側の端部に設けられ、先端に向かって縮径する縮径部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、繰り返しの使用において安定した接触抵抗を維持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施の形態にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、半導体集積回路の検査時におけるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態の変形例1にかかるプローブユニットにおける第1プランジャおよびパイプ部材の構成を示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態の変形例1におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態の変形例1における第1プランジャとパイプ部材との取り付け方法を説明する図(その1)である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態の変形例1における第1プランジャとパイプ部材との取り付け方法を説明する図(その2)である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態の変形例2にかかるプローブユニットにおける第1プランジャおよびパイプ部材の構成を示す部分断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態の変形例3における第1プランジャの先端部の構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態の変形例4における第1プランジャの先端部の構成を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態の変形例5における第1プランジャの先端部の構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態の変形例6におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態の変形例7におけるパイプ部材の先端部の構成を示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態の変形例8におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態の変形例9におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態の変形例10におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態の変形例10にかかるパイプ部材の使用例を示す図であり、プローブユニットの要部の構成を示す断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態の変形例11におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
図1に示すプローブユニット1は、検査対象物である半導体集積回路100の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路100と半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板200との間を電気的に接続する装置である。
【0025】
プローブユニット1は、長手方向の両端で互いに異なる二つの被接触体である半導体集積回路100および回路基板200に接触する導電性のコンタクトプローブ2(以下、単に「プローブ2」という)と、複数のプローブ2を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3と、プローブホルダ3の周囲に設けられ、検査の際に複数のプローブ2と接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材4と、を有する。
【0026】
図2は、プローブホルダ3に収容されるプローブ2の詳細な構成を示す部分断面図である。
図2に示すプローブ2は、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100側に位置する第1プランジャ21と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23と、第1プランジャ21に設けられて半導体集積回路100の電極に接触するパイプ部材24とを備える。プローブ2を構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、コイルばね23ならびにパイプ部材24は同一の軸線を有している。すなわち、第1プランジャ21および第2プランジャ22、コイルばね23ならびにパイプ部材24は、各々の中心軸が、同一の直線上に位置している。プローブ2は、半導体集積回路100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。なお、本明細書において、「同一(同等)」とは製造上の誤差を含んでいる。
【0027】
第1プランジャ21は、パイプ部材24が取り付けられる先端部21aと、先端部21aの径と比して大きい径を有するフランジ部21bと、フランジ部21bを介して先端部21aと反対側に延び、フランジ部21bと比して径が小さい、コイルばね23の一端部が圧入されるボス部21cと、ボス部21cを介してフランジ部21bと反対側に延び、ボス部21cと比して径の小さい基端部21dとを有する。第1プランジャ21は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね23の弾性力によって半導体集積回路100方向に付勢される。
【0028】
第2プランジャ22は、先細な先端形状をなし、回路基板200の電極に接触する先端部22aと、先端部22aの径と比して大きい径を有するフランジ部22bと、フランジ部22bを介して先端部22aと反対側に延び、フランジ部22bと比して径が小さい、コイルばね23の他端部が圧入されるボス部22cと、ボス部22cを介してフランジ部22bと反対側に延び、ボス部22cと比して径の小さい基端部22dとを有する。第2プランジャ22は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね23の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。
【0029】
コイルばね23は、一端が第1プランジャ21のボス部21cに取り付けられ、線材が密に巻回されてなる密着巻き部23aと、密着巻き部23aの他端から延び、所定の間隔をもって巻回されてボス部22cに取り付けられる粗巻き部23bとを有する。粗巻き部23bは、プローブ2の最大収縮時に巻回の軸方向で隣り合う線材同士が接触しない程度の間隔で巻回されることが好ましい。コイルばね23は、例えば、一本の導電性の線材を巻回してなる。
【0030】
密着巻き部23aの端部は、例えば第1プランジャ21のボス部21cにバネの巻き付き力および/または半田付けによって接合されて、フランジ部21bに当接している。一方、粗巻き部23bの端部は、フランジ部22bに当接している。第2プランジャ22とコイルばね23とにおいても、バネの巻き付き力および/または半田付けによって接合されていてもよい。プローブ2は、粗巻き部23bの伸縮によって、軸線方向に伸縮する。
【0031】
パイプ部材24は、一端側の開口を通過する平面と、他端側の開口を通過する平面とが互いに平行な筒状をなす。パイプ部材24は、外周のなす径がフランジ部21bの径より小さい。パイプ部材24は、例えば第1プランジャ21の先端部21aに圧入して取り付けられる。このほか、パイプ部材24は、半田付けや、ろう付け、溶接等の公知の接合によって先端部21aに取り付けられてもよい。
【0032】
パイプ部材24は、白金族元素によって構成される導電性材料を用いて形成される。パイプ部材24を構成する材料としては、白金族金属や、白金族金属を主成分とする合金が挙げられる。ここでいう主成分とは、合金を構成する元素のうち、最も含有率が高い成分をさす。合金は、異なる複数の白金族元素からなる合金であることが好ましい。なお、本明細書における白金族元素とは、周期表における第5周期および第6周期の第8族、第9族、第10族の元素、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金を含む。パイプ部材24は、単一の白金族元素によって形成されることが好ましい。
【0033】
一方、第1プランジャ21、第2プランジャ22およびコイルばね23は、導電性材料を用いて形成される。導電性材料としては、ベリリウム銅等が挙げられる。第1プランジャ21、第2プランジャ22およびコイルばね23を形成する導電性材料は、パイプ部材24を形成する導電性材料(白金族元素)よりも硬度および耐酸化性が低い。
【0034】
プローブホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、
図2の上面側に位置する第1部材31と下面側に位置する第2部材32とが積層されてなる。第1部材31および第2部材32には、複数のプローブ2を収容するためのホルダ孔33および34がそれぞれ同数ずつ形成され、プローブ2を収容するホルダ孔33および34は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔33および34の形成位置は、半導体集積回路100の配線パターンに応じて定められる。
【0035】
ホルダ孔33および34は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔33は、プローブホルダ3の上端面に開口を有する小径部33aと、この小径部33aよりも径が大きい大径部33bとからなる。他方、ホルダ孔34は、プローブホルダ3の下端面に開口を有する小径部34aと、この小径部34aよりも径が大きい大径部34bとからなる。これらのホルダ孔33および34の形状は、収容するプローブ2の構成に応じて定められる。第1プランジャ21のフランジ部21bは、ホルダ孔33の小径部33aと大径部33bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2のプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22のフランジ部22bは、ホルダ孔34の小径部34aと大径部34bとの境界壁面に当接することにより、プローブ2のプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
【0036】
図3は、プローブホルダ3を用いた半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。半導体集積回路100の検査時には、半導体集積回路100からの接触荷重により、コイルばね23は長手方向に沿って圧縮された状態となる。コイルばね23が圧縮されると、粗巻き部23bのピッチが小さくなる。この際には、密着巻き部23aが基端部22dと接触するため、第1プランジャ21の軸線に対して第2プランジャ22の軸線が大きくぶれることはない。
【0037】
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、回路基板200の電極201からプローブ2の第2プランジャ22、コイルばね23、第1プランジャ21、パイプ部材24を経由して半導体集積回路100の電極101へ到達する。
【0038】
以上説明した実施の形態では、白金族元素によって構成されるパイプ部材24を第1プランジャ21に取り付けて、このパイプ部材24によって半導体集積回路100の電極101に接触させて電気的な導通をはかるようにした。本実施の形態によれば、繰り返しの使用において安定した接触抵抗を維持することができる。
【0039】
(変形例1)
図4は、本発明の実施の形態の変形例1にかかるプローブユニットにおける第1プランジャおよびパイプ部材の構成を示す部分断面図である。変形例1は、第1プランジャの先端と、パイプ部材との構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0040】
変形例1にかかるプローブは、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100側に位置する第1プランジャ21Aと、回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21Aと第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21Aおよび第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23と、第1プランジャ21Aに設けられて半導体集積回路100の電極に接触するパイプ部材24Aとを備える。
【0041】
先端部21aには、第1プランジャ21Aの長手方向を中心軸として外表面を周回して設けられる凹部21eが形成される。
【0042】
パイプ部材24Aは、半導体集積回路100の電極に接触する。パイプ部材24Aは、外周のなす径がフランジ部21bの径より小さい。パイプ部材24Aは、上述した白金族元素を用いて形成される。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態の変形例1におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。パイプ部材24Aには、パイプ部材24Aの中心軸のまわりに内周面を周回して設けられる凸部24aが形成される。パイプ部材24Aは、凸部24aが、先端部21aの凹部21eに係止して固定される。
【0044】
図6および
図7は、本発明の実施の形態の変形例1における第1プランジャとパイプ部材との取り付け方法を説明する図である。まず、先端部21aに、パイプ部材24Aの母材241を被せる(
図6参照)。ここで、母材241は、凸部24aが形成されていない、筒状の部材である。また、先端部21aには、予め凹部21eが形成されている。
【0045】
母材241を先端部21aに被せた後、凹部21eの形成位置に合わせて、凸部24aを形成する。これにより、第1プランジャ21Aにパイプ部材24Aが係止する(
図7参照)。なお、母材241の内周の径は、例えば先端部の外周の径以上である。
【0046】
以上説明した変形例1は、上述した実施の形態の効果を得るとともに、先端部21aおよびパイプ部材24Aにそれぞれ凹部21e、凸部24aを形成することによって、パイプ部材24Aの先端部21aに対する固定状態を一層安定化することができる。
【0047】
なお、変形例1において、第1プランジャ21Aとパイプ部材24Aとの係止状態は、中心軸のまわりに回転しない状態としてもよいし、中心軸のまわりに回転可能な状態としてもよい。また、パイプ部材24Aに第1プランジャ21Aの先端部を圧入した後、凸部24aを形成するようにしてもよい。
【0048】
また、変形例1では、凸部24aがパイプ部材24Aの中心軸のまわりに連続的に周回して設けられる構成を説明したが、パイプ部材24Aの内周面の一部に複数の凸部を設ける構成としてもよい。
【0049】
また、変形例1に係る凹部21eを先端部21aにおけるフランジ部21b側の基端に設け、パイプ部材24Aに、フランジ部21b側に位置する側の端部を内部側に屈曲して、パイプ部材24Aと、先端部21aの凹部21eとを係止して固定する構成としてもよい。
【0050】
(変形例2)
図8は、本発明の実施の形態の変形例2にかかるプローブユニットにおける第1プランジャおよびパイプ部材の構成を示す部分断面図である。変形例2は、第1プランジャの構成と、第1プランジャに対するパイプ部材の取り付け態様を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0051】
変形例2にかかるプローブは、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100側に位置する第1プランジャ21Bと、回路基板200の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21Bと第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21Bおよび第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23と、第1プランジャ21Bに設けられて半導体集積回路100の電極に接触するパイプ部材24とを備える。
【0052】
第1プランジャ21Bは、パイプ部材24が取り付けられる先端部21fと、先端部21fの径と比して大きい径を有するフランジ部21bと、ボス部21cおよび基端部21dとを有する。
【0053】
先端部21fには、フランジ部21bに連なる側と反対側(先端)に、パイプ部材24の内周の径と同等の径の柱状をなして延びる凸部21gが形成される。凸部21gは、パイプ部材24に圧入する。これにより、パイプ部材24は、先端部21fに立設される。
【0054】
以上説明した変形例2によれば、第1プランジャがパイプ部材の一部に圧入して、パイプ部材を第1プランジャに固定する場合であっても、上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0055】
また、変形例2によれば、先端部21fに形成される凸部21gにパイプ部材24を取り付ける構成とすることによって、上述した実施の形態と比して、パイプ部材の中心軸方向(長手方向)の長さを短くできる。
【0056】
また、変形例2によれば、先端部21fにおいて、凸部21g以外の部分の外周の径をパイプ部材24の外周の径よりも大きくすることによって、コンタクトプローブがプローブホルダ3内で摺動(伸縮)する際に、パイプ部材がプローブホルダ3に接触することを抑制し、その結果、パイプ部材とプローブホルダとの間の摩擦によるパイプ部材の離脱を防止できる。
【0057】
(変形例3)
図9は、本発明の実施の形態の変形例3における第1プランジャの先端部の構成を示す斜視図である。変形例3は、第1プランジャの先端の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0058】
変形例3にかかる第1プランジャの先端部21hは、第1プランジャの長手方向を中心軸として外表面を周回して突出してなる突出部21iを有する。先端部21hは、突出部21i以外の部分の径が、パイプ部材24の内周の径よりも小さい。一方で、突出部21iは、外周のなす径のうちの最大が、パイプ部材24の内周の径と同等かそれ以上である。パイプ部材24は、先端部21hが圧入されて取り付けられる。この際、パイプ部材24には、突出部21iが内壁に圧接する。
【0059】
以上説明した変形例3は、上述した実施の形態の効果を得るとともに、先端部21hに形成される突出部21iがパイプ部材24に圧入することによって、パイプ部材24の先端部21hに対する固定状態を一層安定化することができる。
【0060】
なお、上述した変形例3では、突出部21iが、第1プランジャの長手方向に一つ設けられている構成について説明したが、突出部21iを長手方向に複数設けた構成としてもよい。
【0061】
(変形例4)
図10は、本発明の実施の形態の変形例4における第1プランジャの先端部の構成を示す斜視図である。変形例4は、第1プランジャの先端の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0062】
変形例4にかかる第1プランジャの先端部21jは、フランジ部21b側と反対側の先端に設けられる先細な縮径部21kを有する。パイプ部材24は、縮径部21kによって先端部21jを挿入する際に、パイプ部材24に対して先端部21jを案内する。
【0063】
以上説明した変形例4は、上述した実施の形態の効果を得るとともに、先端部21jに形成される縮径部21kによってパイプ部材24への挿入を容易に行うことができる。
【0064】
なお、上述した変形例3、4を組み合わせて、一つまたは複数の突出部を有し、先端が縮径した先端部としてもよい。
【0065】
(変形例5)
図11は、本発明の実施の形態の変形例5における第1プランジャの先端部の構成を示す斜視図である。変形例5は、第1プランジャの先端の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0066】
変形例5にかかる第1プランジャの先端部21lは、円柱状の側面部の一部を切り欠いてなる平面部21mを有する。平面部21mは、プローブの長手方向と直交する方向に対して垂直な平面をなす。なお、平面部21mと反対側に、該平面部21mの表面と平行な表面を有する平面部を設けてもよい。
【0067】
以上説明した変形例5は、上述した実施の形態の効果を得るとともに、パイプ部材24に対して先端部21lを容易に挿入でき、かつ、先端部21lとパイプ部材24との径管理を簡易化することができる。
【0068】
なお、上述した変形例5のほか、先端部は、第1プランジャの長手方向に沿って切り込まれてなるスリットを形成した構成としてもよい。また、パイプ部材の一部に、パイプ部材の中心軸方向に延びるスリットを形成してもよい。先端部およびパイプ部材のいずれか一方にスリットを形成することによって、変形例5と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(変形例6)
図12は、本発明の実施の形態の変形例6におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。変形例6は、パイプ部材の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0070】
変形例6にかかるパイプ部材24Bは、先端部21aが挿入される側と反対側の端部が、先端に向かって縮径する縮径部24bを有する。
【0071】
以上説明した変形例6は、上述した実施の形態の効果を得るとともに、パイプ部材24Bに形成される縮径部24bによって、電極が小さい場合であっても、確実に接触することができる。
【0072】
また、パイプ部材は、以上説明した変形例6に係る縮径部24bのほか、先端に向かって拡径する拡径部を有する構成としてもよいし、複数の爪部を有するクラウン状をなす構成としてもよい。
【0073】
(変形例7)
図13は、本発明の実施の形態の変形例7におけるパイプ部材の先端部の構成を示す断面図である。変形例7は、パイプ部材の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0074】
変形例7にかかるパイプ部材24Cは、先端部21aが挿入される側と反対側の端部が、面取りされて曲面をなす端部24cを有する。端部24cは、外表面側の端面、および内周面側の端部ともに面取りされてなる。
【0075】
以上説明した変形例7は、上述した実施の形態の効果を得るとともに、パイプ部材24Cに形成される端部24cによって、接触対象の電極の損傷を抑制することができる。
【0076】
(変形例8)
図14は、本発明の実施の形態の変形例8におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。変形例8は、パイプ部材の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0077】
変形例8にかかるパイプ部材24Dは、先端部21aが挿入される側と反対側の端部が、潰し加工によって形成される扁平部24dを有する。扁平部24dの端面(上面)は、弧状または直線状をなして対向する外縁を有する平面をなす。扁平部24dにおける内周面同士は、少なくとも一部が接触している。
【0078】
以上説明した変形例8によれば、パイプ部材24Dが扁平部24dを有する場合であっても、上述した実施の形態の効果を得ることができる。また、変形例8によれば、パイプ部材24Dの先端が扁平な形状をなすため、電極が小さい場合であっても、確実に接触することができる。
【0079】
また、変形例8によれば、潰し加工によって先端において、加圧方向と直交する方向が長くなるため、その先端における長手方向の向きを調整することによって、潰し加工を施していないパイプ部材と比して、電極との接触可能範囲を広くすることができる。
【0080】
(変形例9)
図15は、本発明の実施の形態の変形例9におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。変形例9は、パイプ部材の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0081】
変形例9にかかるパイプ部材24Eは、先端部21aが挿入される側と反対側の端部が、潰し加工によって形成される中空扁平部24eを有する。中空扁平部24eの端面(上面)は、弧状または直線状をなして対向する外縁を有し、かつ楕円状の開口が形成された環状をなす。
【0082】
以上説明した変形例9によれば、パイプ部材24Eが中空扁平部24eを有する場合であっても、上述した実施の形態の効果を得ることができる。また、変形例9によれば、パイプ部材24Eの先端が扁平な形状をなすため、電極が小さい場合であっても、確実に接触することができる。
【0083】
(変形例10)
図16は、本発明の実施の形態の変形例10におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。変形例10は、パイプ部材の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0084】
変形例10にかかるパイプ部材24Fは、先端部21aが挿入される側と反対側の端部が、中心軸に対して傾斜してなる傾斜端部24fを有する。
【0085】
図17は、本発明の実施の形態の変形例10にかかるパイプ部材の使用例を示す図であり、プローブユニットの要部の構成を示す断面図である。本変形例10のパイプ部材25F(
図16参照)を取り付けたプローブ2Aを用いて、四端子測定を行う。パイプ部材25Fに代えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0086】
図17では、一組のプローブ2Aが、半導体集積回路100の一つの電極と接触するとともに、回路基板200の互いに異なる電極と接触する。四端子測定では、二つのプローブ2Aが組をなす。すなわち、組をなす二つのプローブ2Aにおいて、各パイプ部材24Fが、同一の電極101(
図3参照)に接触するとともに、各第2プランジャ22が、互いに異なる電極201に接触する。
【0087】
以上説明した変形例10によれば、パイプ部材24Fの端部が傾斜している構成であっても、上述した実施の形態の効果を得ることができる。また、本変形例10にかかるパイプ部材24Fを用いることによって、四端子測定に用いられるプローブ2Aにおいても、上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0088】
また、変形例10によれば、パイプ部材の先端(頭頂部)のみを電極に接触させることによって、電極に対する接触面積が小さくなり、電極に対する接触圧が高くなり、導通を一層安定させることができる。
【0089】
(変形例11)
図18は、本発明の実施の形態の変形例11におけるパイプ部材の構成を示す斜視図である。変形例11は、パイプ部材の構成を変えた以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。上述した実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付す。
【0090】
変形例11にかかるパイプ部材24Gは、先端部21aが挿入される側と反対側の端部が、中心軸に対して傾斜し、さらに潰し加工によって形成される傾斜扁平部24gを有する。傾斜扁平部24gの端面(上面)は、弧状または直線状をなして対向する外縁を有し、かつパイプ部材24Gの中心軸に対して傾斜した平面をなす。
【0091】
以上説明した変形例11によれば、パイプ部材24Gが傾斜扁平部24gを有する場合であっても、上述した実施の形態の効果を得ることができる。また、本変形例11にかかるパイプ部材24Gを四端子測定用のプローブに適用することによって、上述した変形例10にかかるパイプ部材24Fを用いる場合と比して、プローブの先端間の距離を小さくすることができる。
【0092】
また、変形例11によれば、変形例10と同様、パイプ部材の先端(頭頂部)のみを電極に接触させることによって、電極に対する接触面積が小さくなり、電極に対する接触圧が高くなり、導通を一層安定させることができる。
【0093】
なお、変形例11にかかるパイプ部材24Gにおいて、変形例9のように、先端部21aが挿入される側と反対側の端部に潰し加工を施して中空扁平部を形成してもよい。
【0094】
なお、上述した実施の形態では、第1プランジャ21および第2プランジャ22が、先端部およびフランジ部によって接触部を構成する例を説明したが、先端部とフランジ部とを一体化して、段部を有しない接触部を構成してもよい。
【0095】
なお、上述した実施の形態および変形例で説明した第1プランジャの先端部の構成や、パイプ部材の構成を、第2プランジャ側に適用してもよい。
【0096】
また、ここで説明したコンタクトプローブの構成はあくまでも一例に過ぎず、従来知られているさまざまな種類のプローブを適用することが可能である。例えば、上述したようなプランジャとコイルばねとで構成されるものに限らず、ポゴピンや、ワイヤを弓状に撓ませて荷重を得るワイヤープローブ、電気接点同士を接続する接続端子(コネクタ)等の導電性部材の先端にパイプ部材を取り付けた構成としてもよいし、これらのプローブを適宜組み合わせてもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態および変形例では、半導体集積回路の電極が半球状をなす例(
図3参照)について説明したが、これに限らず、例えば板状をなす電極であってもよい。すなわち、プローブユニットが検査する半導体集積回路の電極は、BGA(Ball grid array)のような球状(半球状)であってもよいし、QFP(Quad Flat Package)のような板状であってもよい。
【0098】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0099】
以上のように、本発明に係るコンタクトプローブは、繰り返しの使用において安定した接触抵抗を維持するのに好適である。
【符号の説明】
【0100】
1 プローブユニット
2、2A コンタクトプローブ(プローブ)
3 プローブホルダ
21、21A、21B 第1プランジャ
21a、21f、21h、21j、21l、22a 先端部
21b、22b フランジ部
21c、22c ボス部
21d、22d 基端部
21e 凹部
21g、24a 凸部
21i 突出部
21k、24b 縮径部
22 第2プランジャ
23 コイルばね
23a 密着巻き部
23b 粗巻き部
24、24A、24B、24C、24D、24E、24F、24G パイプ部材
24d 扁平部
24e 中空扁平部
24f 傾斜端部
24g 傾斜扁平部
31 第1部材
32 第2部材
33、34 ホルダ孔
33a、34a 小径部
33b、34b 大径部
100 半導体集積回路
101、201 電極
200 回路基板