(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055977
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】選択的にアドレス指定可能なサブ要素を有する腫瘍治療電場(TTFIELDS)を提供するためのアレイ
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20240412BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20240412BHJP
A61N 1/40 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/32
A61N1/40
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024032958
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2021520100の分割
【原出願日】2019-11-18
(31)【優先権主張番号】62/769,319
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クリニツキー
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・キリロフ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュトットランド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル・カイコフ
(57)【要約】
【課題】本発明は、選択的にアドレス指定可能なサブ要素を有する腫瘍治療電場(TTFIELDS)を提供するためのアレイに関する。
【解決手段】腫瘍治療電場(TTFields)が、過熱している1つまたは複数の電極要素をオフに切り替え、過熱していない他の電極要素をオフに切り替えないことによって、より高い電場強度で、被験者の体に送達可能である。これは、それぞれが各電極要素における温度を感知するように配置された複数の温度センサ及び、それぞれが個別の電極要素への電流をオンまたはオフに切り替えるように配線された複数の電気的に制御されたスイッチを用いて達成されうる。コントローラーは、電極要素のそれぞれにおける温度を決定するために温度センサーからの信号を入力し、電気的に制御されるスイッチのそれぞれの制御入力の状態を、過熱しているいずれかの電極要素の電流を選択的にオフに切り替え、またはデューティサイクルを調整するように制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容量結合された電極要素であって、それぞれが誘電体層を有する、電極要素と、
前記電極要素の前記誘電体層が、被験者の体に接触するように配置可能なように、前記複数の電極要素を保持するように構成された支持部と、
複数の温度センサーであって、前記温度センサーのそれぞれが各電極要素における温度を感知するために配置され、前記感知された温度を表すそれぞれの信号を発生させる、温度センサーと、
導電体と、
複数の電気的に制御されたスイッチであって、前記スイッチのそれぞれが、各制御入力の状態に応じて、(a)前記導電体と各電極要素との間を電流が流れることを可能にするか、または(b)前記導電体と前記各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように構成された、スイッチと、
前記スイッチのそれぞれの前記制御入力の状態を制御するように構成されたコントローラーと、を含む、交流電場を被験者の体に印加するための装置。
【請求項2】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから、前記感知された温度を表す各信号を受け取り、
前記受け取った信号に基づいて、所定の電極要素が駆動されるべきデューティサイクルを決定し、
前記導電体と前記所定の電極要素との間を電流が流れるのを周期的に妨げることができるように、前記決定されたデューティサイクルで前記所定の電極要素に対応するスイッチの制御入力の状態を周期的に切り替える、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから、前記感知された温度を表す各信号を受け取り、
前記受け取った信号に基づいて、前記電極要素のそれぞれにおける温度が上方閾値を超過するか否かを決定し、
所定の電極要素における温度が前記上方閾値を超過すると決定された場合に、前記導電体と前記所定の電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように、各スイッチの制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラーがさらに、前記導電体と各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように、所定のスイッチへの前記制御入力の状態を制御した後に、前記温度センサーのそれぞれから受け取った信号に基づいて、前記各電極要素における温度が下方閾値未満に低下したか否かを決定し、続いて、前記導電体と前記各電極要素との間を電流が流れることを可能にするように、前記所定のスイッチへの前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから信号を受け取り、
前記温度センサーのそれぞれにおいて温度を表すデータを第2のコントローラーに送信し、
前記スイッチのうちどのスイッチがオフにされるべきかを示すデータを前記第2のコントローラーから受け取り、
前記第2のコントローラーから受け取ったデータに基づいて、前記複数のスイッチの前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の容量結合された電極要素が、少なくとも9つの容量結合された電極要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記容量結合された電極要素のそれぞれが平坦な面を有する導電性平板を含み、前記誘電体層が、前記導電性平板の前記平坦な面に配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記支持部が発泡体層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記導電体が、可撓性回路のトレース配線を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記支持部が、前記複数の電極要素を前記被験者の体の外部表面に対して、前記電極要素の前記誘電体層が前記被験者の体を向くように保持するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の電気的に制御されたスイッチ及び前記コントローラーが、複数導体コネクターを介して前記支持部に取り付けられたモジュールに配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも2つの電極要素の、複数の容量結合されたセットであって、前記電極要素のそれぞれが誘電体層を有する、複数の容量結合されたセットと、
前記電極要素の前記誘電体層が、被験者の体と接触するように配置可能なように、前記電極要素の複数のセットを保持するように構成された支持部と、
複数の温度センサーであって、前記温度センサーのそれぞれが、前記電極要素の各セットにおける温度を感知し、前記感知された温度を表す各信号を発生させるように配置された、複数の温度センサーと、
導電体と、
複数の電気的に制御されたスイッチであって、前記スイッチのそれぞれが、各制御入力の状態に応じて、(a)前記導電体と各電極要素との間を電流が流れることを可能にするか、または(b)前記導電体と前記各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように構成された、スイッチと、
前記スイッチのそれぞれの前記制御入力の状態を制御するように構成されたコントローラーと、を含む、交流電場を被験者の体に印加するための装置。
【請求項13】
電極要素の任意の所定のセット内の前記電極要素の全てが同心円状に配置された、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから、前記感知された温度を表す各信号を受け取り、
前記受け取った信号に基づいて、所定の電極要素が駆動されるべきデューティサイクルを決定し、
前記導電体と前記所定の電極要素との間を電流が流れるのを周期的に妨げるように、前記決定されたデューティサイクルで、前記所定の電極要素に対応するスイッチの前記制御入力の状態を周期的に切り替える、
ように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから、前記感知された温度を表す各信号を受け取り、
前記受け取った信号に基づき、電極要素の各セットにおける温度が上方閾値を超過するか否かを決定し、
電極要素の所定のセットにおける温度が前記上方閾値を超過すると決定された場合、前記導電体と前記電極要素の所定のセットのうちの前記電極要素の少なくとも1つとの間を電流が流れるのを妨げるように、少なくとも1つのそれぞれのスイッチの前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから信号を受け取り、
前記温度センサーのそれぞれにおける前記温度を表すデータを第2のコントローラーに送信し、
前記第2のコントローラーから、どのスイッチがオフにされるべきかを示すデータを受信し、
前記第2のコントローラーから受信したデータに基づいて、前記複数のスイッチの前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記支持部が、前記被験者の外部表面に対して、前記電極要素の前記誘電体層が前記被験者の体に向くように、前記電極要素の複数のセットを保持するように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の電気的に制御されたスイッチ及び前記コントローラーが、複数導体コネクターを介して前記支持部に取り付けられたモジュールに配置された、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
複数の第1の電極要素と、
前記複数の第1の電極要素を被験者の体に対して保持するように構成された柔軟な支持部と、
複数の温度センサーであって、前記温度センサーのそれぞれが、各第1の電極要素における温度を感知し、前記感知された温度を示す各信号を発生させるように配置された、温度センサーと、
導電体と、
複数の電気的に制御された第1のスイッチであって、前記第1のスイッチのそれぞれが、前記導電体で始まり前記第1の電極要素のそれぞれで終了する回路における、各第1の電極要素と直列に配線され、前記第1のスイッチのそれぞれが、各制御入力の状態に基づいて、他の第1のスイッチとは独立にオンまたはオフを切り替えるように構成された、スイッチと、
前記第1のスイッチのそれぞれに関して前記制御入力の状態を決定する出力を発生させるように構成されたコントローラーと、を含む、交流電場を被験者の体に印加するための装置。
【請求項20】
前記第1の電極要素のそれぞれが、誘電体層を有する容量結合された電極要素を含み、
前記柔軟な支持部が、前記複数の第1の電極要素を、被験者の体に対して、前記第1の電極要素の前記誘電体層が前記被験者の体に向くように保持するように構成された、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的にアドレス指定可能なサブ要素を有する腫瘍治療電場(TTFIELDS)を提供するためのアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場(Tumore Treatment Fields、TTFields)治療は、主要を治療するための実績ある手法である。
図1は、TTFieldsを提供するための従来技術であるOptune(登録商標)システムの概略図である。TTFieldsは、腫瘍に近接した患者の皮膚(例えば、膠芽腫を有するヒトについて
図2Aから2Dに示されるような)に配置された4つのトランスデューサーアレイ21から24を介して患者に提供される。トランスデューサーアレイ21から24は、2対に配置され、各トランスデューサーアレイは、マルチワイヤーケーブルを介してAC信号発生器20に接続される。AC信号発生器は、(a)第1の期間、1対のアレイ21、22を介して、腫瘍を通る第1の方向を有する電場を誘導するAC電流を送り、次いで、(b)第2の期間、もう一方の対のアレイ23、24を介して、腫瘍を通る第2の方向を有する電場を誘導するAC電流を送り、次いで、治療期間の間、段階(a)及び(b)を繰り返す。
【0003】
各トランスデューサーアレイ21から24は、柔軟なワイヤーを介して相互接続された、容量結合された電極要素Eのセット(例えば、それぞれが約2cmの直径である9個の電極要素のセット)として構成される。各電極要素は、導電性医療用ゲルの層と接着テープとの間にサンドイッチされたセラミックディスクを含む。アレイを患者に配置すると、医療用ゲルは患者の皮膚の凹凸に密着し、デバイスと身体との良好な電気的接触を確保する。接着テープは、患者が日常生活を送ることができるように、患者にアレイ全体を固定する。
【0004】
トランスデューサーアレイを介して送達される交流電流の強さは、皮膚の温度(トランスデューサーアレイ下の皮膚で測定して)41℃の安全閾値を超過しないように制御される。患者の皮膚の温度測定は、トランスデューサーアレイのディスクのいくつかの下に配置されたサーミスタTを用いて得られる。既存のOptune(登録商標)システムでは、各アレイは8つのサーミスタを含み、アレイの各ディスクの下に1つのサーミスタが配置される(ほとんどのアレイは8つより多くのディスクを含み、その場合、温度測定は、アレイのディスクのサブセットの下で実行されるのみであることに注意しなければならない)。
【0005】
AC信号発生器20は、32個のサーミスタ全て(4アレイ×アレイ毎に8個のサーミスタ)から温度測定値を得る。AC信号発生器のコントローラーは、患者の皮膚において温度を41℃未満に維持するようにアレイの各対を介して送達される電流を制御するために、温度測定値を使用する。電流それ自体は、AC信号発生器20から各アレイにつながる追加的なワイヤー(すなわち、アレイ21から24のそれぞれに対して1つのワイヤー28)を介して、各アレイに送達される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、交流電場を被験者の体に印加するための第1の装置に関する。第1の装置は、複数の容量結合された電極要素であって、それぞれが誘電体層を有する、電極要素と、電極要素の誘電体層が、被験者の体に接触するように配置可能なように、複数の電極要素を保持するように構成された支持部と、を含む。第1の装置はまた、複数の温度センサーを含む。複数の温度センサーのそれぞれは、各電極要素における温度を感知し、感知された温度を表すそれぞれの信号を発生させるために配置される。第1の装置はまた、導電体と、複数の電気的に制御されたスイッチとを含む。スイッチのそれぞれは、各制御入力の状態に応じて、(a)導電体と各電極要素との間を電流が流れることを可能にするか、または(b)導電体と各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように構成される。第1の装置はまた、スイッチのそれぞれの制御入力の状態を制御するように構成されたコントローラーを含む。
【0007】
第1の装置のいくつかの実施形態において、コントローラーはさらに、温度センサーのそれぞれから、感知された温度を表す各信号を受け取り、受け取った信号に基づいて、所定の電極要素が駆動されるべきデューティサイクルを決定し、導電体と所定の電極要素との間を電流が流れるのを周期的に妨げることができるように、決定されたデューティサイクルで所定の電極要素に対応するスイッチの制御入力の状態を周期的に切り替えるように構成される。
【0008】
第1の装置のいくつかの実施形態において、コントローラーはさらに、温度センサーのそれぞれから、感知された温度を表す各信号を受け取り、受け取った信号に基づいて、電極要素のそれぞれにおける温度が上方閾値を超過するか否かを決定し、所定の電極要素における温度が上方閾値を超過すると決定された場合に、導電体と所定の電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように、各スイッチの制御入力の状態を制御するように構成される。任意選択的に、これらの実施形態において、コントローラーがさらに、導電体と各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように、所定のスイッチへの制御入力の状態を制御した後に、温度センサーのそれぞれから受け取った信号に基づいて、各電極要素における温度が下方閾値未満に低下したか否かを決定し、続いて、導電体と各電極要素との間を電流が流れることを可能にするように、所定のスイッチへの制御入力の状態を制御するように構成される。
【0009】
第1の装置のいくつかの実施形態において、コントローラーはさらに、温度センサーのそれぞれから信号を受け取り、温度センサーのそれぞれにおいて温度を表すデータを第2のコントローラーに送信し、スイッチのうちどのスイッチがオフにされるべきかを示すデータを第2のコントローラーから受け取り、第2のコントローラーから受け取ったデータに基づいて、複数のスイッチの制御入力の状態を制御するように構成される。
【0010】
第1の装置のいくつかの実施形態において、複数の容量結合された電極要素が、少なくとも9つの容量結合された電極要素を含む。第1の装置のいくつかの実施形態において、容量結合された電極要素のそれぞれが平坦な面を有する導電性平板を含み、誘電体層が、導電性平板の平坦な面に配置される。第1の装置のいくつかの実施形態において、支持部が発泡体層を含む。第1の装置のいくつかの実施形態において、導電体が、可撓性回路のトレース配線を含む。
【0011】
第1の装置のいくつかの実施形態において、支持部が、複数の電極要素を被験者の体の外部表面に対して、電極要素の誘電体層が被験者の体を向くように保持するように構成される。第1の装置のいくつかの実施形態において、複数の電気的に制御されたスイッチ及びコントローラーが、複数導体コネクターを介して支持部に取り付けられたモジュールに配置される。
【0012】
本発明の別の態様は、交流電場を被験者の体に印加するための第2の装置に関する。第2の装置は、少なくとも2つの電極要素の、複数の容量結合されたセットであって、電極要素のそれぞれが誘電体層を有する、複数の容量結合されたセットと、電極要素の誘電体層が、被験者の体と接触するように配置可能なように、電極要素の複数のセットを保持するように構成された支持部と、を含む。第2の装置はまた、複数の温度センサーを含む。温度センサーのそれぞれは、電極要素の各セットにおける温度を感知し、感知された温度を表す各信号を発生させるように配置される。第2の装置はまた、導電体と、複数の電気的に制御されたスイッチと、を含む。スイッチのそれぞれは、各制御入力の状態に応じて、(a)導電体と各電極要素との間を電流が流れることを可能にするか、または(b)導電体と各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように構成される。第2の装置はまた、スイッチのそれぞれの制御入力の状態を制御するように構成されたコントローラーを含む。
【0013】
第2の装置のいくつかの実施形態において、電極要素の任意の所定のセット内の電極要素の全てが同心円状に配置される。
【0014】
第2の装置のいくつかの実施形態において、コントローラーがさらに、温度センサーのそれぞれから、感知された温度を表す各信号を受け取り、受け取った信号に基づいて、所定の電極要素が駆動されるべきデューティサイクルを決定し、導電体と所定の電極要素との間を電流が流れるのを周期的に妨げるように、決定されたデューティサイクルで、所定の電極要素に対応するスイッチの制御入力の状態を周期的に切り替えるように構成される。
【0015】
第2の装置のいくつかの実施形態において、コントローラーがさらに、温度センサーのそれぞれから、感知された温度を表す各信号を受け取り、受け取った信号に基づき、電極要素の各セットにおける温度が上方閾値を超過するか否かを決定し、電極要素の所定のセットにおける温度が上方閾値を超過すると決定された場合、導電体と電極要素の所定のセットのうちの電極要素の少なくとも1つとの間を電流が流れるのを妨げるために、少なくとも1つのそれぞれのスイッチの制御入力の状態を制御するように構成される。
【0016】
第2の装置のいくつかの実施形態において、コントローラーがさらに、温度センサーのそれぞれから信号を受け取り、温度センサーのそれぞれにおける温度を表すデータを第2のコントローラーに送信し、第2のコントローラーから、どのスイッチがオフにされるべきかを示すデータを受信し、第2のコントローラーから受信したデータに基づいて、複数のスイッチの制御入力の状態を制御する、ように構成される。
【0017】
第2の装置のいくつかの実施形態において、支持部が、被験者の外部表面に対して、電極要素の誘電体層が被験者の体に向くように、電極要素の複数のセットを保持するように構成される。第2の装置のいくつかの実施形態において、複数の電気的に制御されたスイッチ及びコントローラーが、複数導体コネクターを介して支持部に取り付けられたモジュールに配置される。
【0018】
本発明の別の態様は、交流電場を被験者の体に印加するための第3の装置に関する。第3の装置は、複数の第1の電極要素と、複数の第1の電極要素を被験者の体に対して保持するように構成された柔軟な支持部と、を含む。第3の装置はまた、複数の温度センサーを含む。温度センサーのそれぞれは、各第1の電極要素における温度を感知し、感知された温度を示す各信号を発生させるように配置される。第3の装置はまた、導電体と、複数の電気的に制御された第1のスイッチと、を含む。第1のスイッチのそれぞれは、導電体で始まり第1の電極要素のそれぞれで終了する回路における、各第1の電極要素と直列に配線され、第1のスイッチのそれぞれが、各制御入力の状態に基づいて、他の第1のスイッチとは独立にオンまたはオフを切り替えるように構成される。第3の装置はまた、第1のスイッチのそれぞれに関して制御入力の状態を決定する出力を発生させるように構成されたコントローラーを含む。
【0019】
第3の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極要素のそれぞれが、誘電体層を有する容量結合された電極要素を含み、柔軟な支持部が、複数の第1の電極要素を、被験者の体に対して、第1の電極要素の誘電体層が被験者の体に向くように保持するように構成される。
【0020】
第3の装置のいくつかの実施形態はさらに、複数の第2の電極要素であって、第2の電極要素のそれぞれが第1の電極要素のそれぞれに隣接して配置された、第2の電極要素と、複数の電気的に制御された第2のスイッチと、を含む。第2のスイッチのそれぞれは、導電体で始まり、第2の電極要素のそれぞれで終わる回路における第2の電極要素のそれぞれと直列に配線され、第2のスイッチのそれぞれは、各制御入力の状態に基づいて、他の第2のスイッチとは独立してオンまたはオフを切り替えるように構成される。支持部は、被験者の体に対して複数の第2の電極要素を保持するように構成される。コントローラーはさらに、第2のスイッチのそれぞれに関して制御入力の状態を決定する出力を発生するように構成される。
【0021】
任意選択的に、これらの実施形態において、第1の電極要素のそれぞれは、誘電体層を有する容量結合された電極要素を含み、第2の電極要素のそれぞれは、誘電体層を有する容量結合された電極要素を含み、支持部は、(a)複数の第1の電極要素を、被験者の体に対して、第1の電極要素の誘電体層が被験者の体に面して保持し、(b)複数の第2の電極要素を、被験者の体に対して、第2の電極要素の誘電体層が被験者の体に面して保持するように構成される。
【0022】
任意選択的に、これらの実施形態において、第2の電極要素のそれぞれは、隣接する各第1の電極要素と同心円状である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】TTFieldsを提供するための従来技術のOptune(登録商標)システムの概略図である。
【
図2A】脳腫瘍を治療するためのヒトの頭部へのトランスデューサーアレイの配置を示す。
【
図2B】脳腫瘍を治療するためのヒトの頭部へのトランスデューサーアレイの配置を示す。
【
図2C】脳腫瘍を治療するためのヒトの頭部へのトランスデューサーアレイの配置を示す。
【
図2D】脳腫瘍を治療するためのヒトの頭部へのトランスデューサーアレイの配置を示す。
【
図3】電気的に制御されるスイッチのセットの状態に基づいて、個別の電極要素それぞれへの電流のオンまたはオフを切り替えることができる第1の実施形態を示す。
【
図4】
図3に示されたトランスデューサーアセンブリーの1つについて使用されうる機械的レイアウトの概略図である。
【
図5】トランスデューサー要素をn個のセットにグループ化し、これらn個のセットのそれぞれについて温度を測定するために単一の温度センサを使用する代替的な構成を示す。
【
図6】
図3から5の実施形態におけるスイッチを実現するために適した回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
様々な実施形態が、添付した図面を参照して以下に詳細に説明され、同様の符号は同様の要素を表す。
【0025】
図1に関して前述された従来技術の手法はTTFieldsを腫瘍に提供するのに非常に効果的ではあるが、治療の効果は、4つのトランスデューサーアレイ21から24の要素それぞれと人体との間で良好な電気的接触が維持されなければ低下する。これは、例えば、トランスデューサーアレイの1つまたは複数の要素の下のハイドロゲルが時間経過とともに乾燥すると、または1つまたは複数の要素の下で伸びる体毛に起因して生じうる。
【0026】
例えば、トランスデューサーアレイ21から24のそれぞれにおいて9個の電極要素Eを有する従来技術のシステムにおいて、前方トランスデューサーアレイ21の単一の電極要素Eの下のハイドロゲルが乾燥したと仮定し、(a)そのトランスデューサーアレイ21のその他の電極要素Eの全て、及び(b)その他のトランスデューサーアレイ22から24の電極要素Eの全ての下に十分なハイドロゲルが存在すると仮定する。この状況では、単一の電極要素Eと人体との間の抵抗が、その他の電極要素のいずれかと人体との間の抵抗よりも高くなる。そして、この抵抗の上昇が、その他の電極要素よりも、単一の電極要素Eの温度を上昇させることとなる。
【0027】
この状況において、従来技術のAC信号発生器20は、前方及び後方のトランスデューサーアレイ21、22の残りの電極要素Eの全ての温度がたとえ41℃より十分に低い場合であっても、前方のアレイ21の単一の電極要素Eの温度を41℃未満に維持するために、前方/後方の対のトランスデューサーアレイ21、22に印加される電流を制限しなければならない。そして、この電流の低下は、腫瘍における電場の強度の対応する低下を生じさせる。
【0028】
本明細書で説明される実施形態は、人体に結合される電流の低下を最小化または排除するために使用可能であり、それによって、腫瘍における電場の強度の低下を最小化または排除することができる。これは、41℃に近づき始めている個別の電極要素それぞれについて電流のオン及びオフを交互に切り替えて、これらの電極要素について平均電流を低減し、残りの電極要素(41℃に近づいていない)を通過する電流には影響を与えないようにすることによって達成されうる。
【0029】
例えば、500mAの電流が、10個の電極要素を含むトランスデューサーアレイを通過しており、これらの電極要素の1つのみが41℃に到達し始めている状況を仮定する。さらに、その単一の電極要素における温度を41℃未満に維持するために、単一の電極要素を通る電流を10%低減することが必要であると仮定する。トランスデューサーアレイ全体を通る電流を500mAから450mAにカットする(従来技術のように)ことによって電流のこの10%の低減を達成するのではなく、本明細書で説明される実施形態は、90%のデューティサイクルで単一の電極要素を通過する電流のオン及びオフを切り替えることによって、単一の電極要素を通過する平均電流を10%カットしつつ、残りの電極要素の全てについては電流をフルタイムのままにすることができる。電極要素の熱慣性の観点から、単一の電極要素の瞬間的な温度が決して41℃を超過しないように、スイッチングレートは十分高速でなければならない。例えば90%のデューティサイクルは、90msの間電流をオンに切り替え、10msの間電流をオフに切り替えることによって達成可能である。いくつかの好適な実施形態では、電流のオン及びオフを切り替える期間は1秒未満である。
【0030】
この手法が使用される場合、残りの9個の電極要素を通過する電流は変化しないまま(すなわち、電極要素毎に50mA)とすることができ、単一の電極要素を通過する電流のみが平均45mAに低減される。このとき、トランスデューサーアレイを通過する平均ネット合計電流は、495mA(すなわち、9×50+45)であり、これは、十分に大きな電流が、電極要素のいずれにおいても41℃を超過することなく人体に結合可能であることを意味している。
【0031】
システムは、単一の電極要素を通過する電流の減少を補償するために、残りの9個の電極要素を通過する電流を増加させるようにも構成されうる。例えば、残りの9個の電極要素を通過する電流は、電極要素毎に50.5mAに増加されうる(例えば、AC電圧発生器に電圧を1%増加させる要求を送信することによって)。この解決手段が実施される場合、トランスデューサーアレイ全体を通過する平均ネット合計電流は、(9電極×50.5mA+1電極×50.5mA×0.9デューティサイクル)=499.95mAとなり、これは元の500mAの電流と極めて近い。
【0032】
もし、その後のある時期に(または同時に)、第2の電極要素の温度が41℃に近づき始めると、同様の技術(すなわち、デューティサイクルの100%から、100%未満のいずれかへの減少)が、第2の電極要素の温度を41℃を超過させないために使用されうる。
【0033】
いくつかの実施形態において、この技術は、電極要素のそれぞれにおけるデューティサイクルを個別にカスタマイズし、これらの電極要素のそれぞれの温度を41℃未満に維持しつつ、これらの電極要素のそれぞれを流れる電流を最大化させることができるように使用されうる。任意選択的に、所定の電極要素の温度が41℃に近づき始めた場合にのみデューティサイクルを減少させるという改善手法をとるのではなく、システムは、アレイの電極要素の全てにわたって温度を等しくできるように、所定のトランスデューサーアレイの電極要素のそれぞれにおけるデューティサイクルを個別に、積極的に設定するように構成されうる。例えば、システムは、電極要素のそれぞれにおいて40.5℃付近の温度を維持するように、電極要素のそれぞれのデューティサイクルを個別に設定するように構成可能である。任意選択的に、システムは、この結果を達成するために、必要に応じて電圧を増加または減少させるようにAC電圧発生器に要求を送信するように構成されうる。
【0034】
この手法は、電極要素のそれぞれ及びすべてが最大平均電流を(41℃を超過することなく)確実に可能にするために使用可能であり、これは、腫瘍における電場の強度の増大及び治療における対応する改善をもたらすこととなる。
【0035】
図3は、41℃に近づき始めている個別の電極要素それぞれについて、電流のオン及びオフを周期的に切り替える第1の実施形態を示している。AC信号発生器は2つの出力(OUT1及びOUT2)を有し、そのそれぞれは2つの端子を有する。AC信号発生器30は、これらの出力のそれぞれの2つの端子の間で交互に(例えば、交互に、1秒間OUT1を活性化させ、1秒間OUT2を活性化させる)AC電流(例えば200kHzのサイン波)を発生させる。1対の導体51が、OUT1の2つの端子に接続され、これらの導体51のそれぞれは、左側及び右側のトランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれに向かう。導体51の第2の対は、OUT2の2つの端子に接続され、これらの導体51のそれぞれは、前方及び後方のトランスデューサーアセンブリー(図示されない)のそれぞれに向かう。前方及び後方のトランスデューサーアセンブリーの構築及び動作は、
図3に示された左側及び右側のトランスデューサーアセンブリー31、32の構築と同様である。
【0036】
トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれは、複数の電極要素52を含む。いくつかの好適な実施形態において、これらの電極要素52のそれぞれは、Optune(登録商標)システムで使用される従来技術の電極要素に類似した、容量結合された電極要素である。しかしながら、この
図3の実施形態において、電極要素52の全てを並列に配線するのではなく、電気的に制御されたスイッチ(S)56が、各電極要素(E)52と直列に配線され、これらのS+Eの組み合わせ56+52の全てが並列に配線される。スイッチ56のそれぞれは、各コントローラー85のデジタル出力から到達する各制御入力の状態に基づいて、オンまたはオフをその他のスイッチから独立して切り替えるように構成される。スイッチ56のうち所定の1つがオンである場合(各制御入力の第1の状態に応じて)、電流は、導電体51と各電極要素52との間を流れることができる。反対に、スイッチ56の所定の1つがオフである場合(各制御入力の第2の状態に応じて)、電流は、導電体51と各電極要素52との間を流れることができない。
【0037】
いくつかの好適な実施形態において、容量結合した電極要素52のそれぞれは、円板形状(例えば2cmの直径を有する)であり、一方の側に誘電体層を有する。トランスデューサーアセンブリー31、32は、電極要素の誘電体層を被験者の体に向けて、被験者の体に対して電極要素52を保持する。好適には、トランスデューサーアセンブリー31、32が被験者の体に対して配置され、電極要素52を被験者の体に対して保持可能である場合、ハイドロゲルの層が、電極要素の誘電体層と被験者の体との間に配置される。
【0038】
いくつかの好適な実施形態において、容量結合された電極要素52のそれぞれは、平坦な面を有する導電性平板を含み、誘電体層は、導電性平板の平坦な面に配置される。いくつかの好適な実施形態において、容量結合された電極要素の全ては、支持構造によって固定される。任意選択的に、この支持構造は、発泡体層を含みうる。いくつかの好適な実施形態において、電極要素52のそれぞれへの電気的接続は、柔軟性回路のトレース配線を含む。
【0039】
トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれはまた、電極要素52のそれぞれに配置された温度センサー54(例えばサーミスタ)を含み、温度センサー54のそれぞれは、各電極要素52の温度を感知可能である。温度センサー54のそれぞれは、各電極要素52における(例えば下の)温度を示す信号を発生させる。温度センサー54からの信号は、各コントローラー85のアナログフロントに提供される。
【0040】
サーミスタが温度センサー54として使用される実施形態において、温度の読み取りは、各サーミスタを通って既知の電流をルーティングし、各サーミスタにわたって現れる電圧を測定することによって得られうる。いくつかの実施形態において、サーミスタベースの温度測定は、サーミスタのそれぞれを選択するために双方向アナログマルチプレクサを使用し、マルチプレクサの背後に配置された、既知の電流(例えば150μA)を発生する電流源を有して実現されてもよく、それによって既知の電流が任意の所定の瞬間においてアナログマルチプレクサによって選択されたどのサーミスタにもルーティングされることとなる。既知の電流は、選択されたサーミスタにわたって電圧を生じさせ、選択されたサーミスタの温度は、この電圧を測定することによって決定可能である。コントローラー85は、サーミスタのそれぞれを選択し、サーミスタのそれぞれにわたって現れる電圧(選択されたサーミスタにおける温度を表す)を測定するプログラムを実行する。サーミスタのそれぞれから温度の読み取りを得るために使用されうるのに適したハードウェアおよび手順の例は、米国特許出願公開第2018/0050200号明細書に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0041】
いくつかの好適な実施形態において、コントローラー85は、アナログフロントエンドおよびマルチプレクサーを内蔵した単一チップマイクロコントローラーまたはプログラム可能システムオンチップ(PSoC)を用いて実現されうる。この目的のための好適な部品番号は、CY8C4124LQI-443を含む。代替的な実施形態において、当業者には明らかなように、別のマイクロコントローラーが、内蔵またはディスクリート型のアナログフロントエンドおよびマルチプレクサを有して使用されてもよい。
【0042】
代替的な実施形態において、図示されないが、サーミスタとインターフェースするための代替的な手法(例えば、従来の電圧分割器手法)が、前述の一定電流の手法の代わりに使用されうる。他の代替的な実施形態において、異なる種類の温度センサーが、前述のサーミスタの代わりに使用されうる。その例は、熱電対、RTD並びに、アナログデバイセズのAD590及びテキサスインスツルメンツのLM135などの集積回路温度センサーを含む。もちろん、これらの代替的な温度センサーのいずれが使用される場合にも、回路に対する適切な修正(これは当業者には明らかである)が必要となるであろう。
【0043】
いくつかの実施形態において、コントローラー85は、トランスデューサーアセンブリー31のそれぞれに組み込まれた知能を用いて、全ての電極要素における温度を安全な閾値未満(例えば41℃未満)に維持するようにプログラムされる。これは、例えば、スイッチ56のそれぞれが連続的にオンである(すなわち100%のデューティサイクル)ように、そのデジタル出力を設定することによって開始するようにコントローラ85をプログラミングすることによって達成されうる。次いで、コントローラー85のアナログフロントエンドを介して到達する信号に基づいて、コントローラー85は、電極要素のそれぞれの温度が安全閾値未満である上方閾値(例えば40℃)を超過するか否かを決定する。コントローラー85がこの状態を検出すると、コントローラー85は所望のデューティサイクルにおける対応するデジタル出力をトグルすることによって、対応するスイッチ56のデューティサイクルを低減する。これは、同じデューティサイクルで対応する電極要素52への電流を遮断し、それによって、温度が上方閾値を超過する特定の電極要素における平均電流を低減する。電流における低減のレベルは、デューティサイクルによって決定される。例えば、50%のデューティサイクルを使用すると、電流を半分にカットし、75%のデューティサイクルを使用すると、電流を25%カットすることとなる。
【0044】
特に、この手順は、トランスデューサーアセンブリー31の電極要素52の特定の1つへの電流を遮断するのみであり、そのトランスデューサーアセンブリー31の残りの電極要素52への電流は遮断しない。これによって、これらの電極のうちの少数のみが加熱された場合に、電極要素を通してルーティングされる電流をカットする必要性を排除または低減するため、先行技術に対して極めて顕著な利点をもたらす。
【0045】
この点を説明するために、数値的な例が有用となる。
図3の実施形態において、左側及び右側のトランスデューサーアセンブリー31、32が被験者の頭部の左側及び右側にそれぞれ配置され、トランスデューサーアセンブリー31、32のスイッチ56の全てが100%のデューティサイクルでオン状態にあり、AC信号発生器30が初期状態で500mAの電流を導体51に出力していると仮定する。AC電圧は、左側のトランスデューサーアセンブリー31の電極要素52と右側のトランスデューサーアセンブリー32の電極要素52との間に現れ、500mAのAC電流は、被験者の頭部を通して電極要素52を通して容量結合されることとなる。トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれのコントローラー85は、コントローラー85のアナログフロントエンドを介して温度センサー54のそれぞれから信号を入力することによって、そのトランスデューサーアセンブリー内の電極要素52のそれぞれにおける温度を監視する。ここで、トランスデューサーアセンブリー31の電極要素52の所定の1つにおける温度が40℃に上昇したと仮定する。この状況は、対応する温度センサー54からの信号を介してトランスデューサーアセンブリー31内のコントローラー85に報告されることとなる。コントローラー85が、所定の電極52の温度が40℃に上昇したと認識すると、コントローラー85は、所定の電極要素52への電流を周期的に遮断し、低い平均電流を維持するために、所望のデューティサイクルで対応するスイッチ56への制御信号をトグルする。
【0046】
これは、電極要素52のただ1つでも温度が41℃に近づくと、すぐに全ての電極要素を流れる電流を低減しなければならなかった従来技術の装置とはきわめて対照的である。
【0047】
残りの電極要素52のうち1つのみにおけるデューティサイクルが低減される場合、元の500mAの電流を維持可能でありうる(そして、全電流を用いることに起因する利点を享受できうる)ことに注意すべきである。しかしながら、十分多数の電極要素52におけるデューティサイクルが低減される場合、元の500mAの電流は低下されなければならない場合がありうる。これを達成するために、コントローラー85は、コントローラ85のUARTを介してAC信号発生器に要求を送ることができる。AC信号発生器30がこの要求を受信すると、AC信号発生器30は、対応する出力OUT1における出力電流を低減することとなる。
【0048】
任意選択的に、コントローラー85によって選択されるデューティーサイクルは、電流が所定の電極要素52に印加された後に(温度センサー54及びコントローラー85のアナログフロントエンドを介して測定されるように)、所定の電極要素52が加熱する速度に基づいて制御されうる。より具体的には、コントローラー85が、所定の電極要素52が予測されるよりも2倍速く加熱しつつあることを認識すると、コントローラー85は、その電極要素に関して50%のデューティサイクルを選択可能である。同様に、コントローラー85が、所定の電極要素52が予測よりも10%速く加熱しつつあることを認識すると、コントローラー85は、この電極要素に関して90%のデューティサイクルを選択可能である。
【0049】
他の実施形態において、デューティサイクルを低減することによって平均電流を確定的にカットするのではなく、コントローラー85は、所定の電極要素52への電流をオフにし、温度センサー54を用いて測定された温度が第2の温度閾値(例えば38℃未満)に低下するまで待つことによって、リアルタイム温度測定に基づいて所定の電極要素52における平均電流を低減することができる。温度がこの第2の温度閾値未満に低下すると、コントローラー85は、所定の電極要素52への電流を復旧することができる。これは、例えば、スイッチ56がオン状態に戻るように、事前にオフにされたスイッチ56への制御入力の状態を制御することによって達成されてもよく、これによって、電流が、導電体と各電極要素52との間を流れることができるようになる。これらの実施形態において、所定の電極要素52への電流は、所定の電極要素52における温度を安全閾値未満に維持することができるように、リアルタイム温度測定に基づいて繰り返しオフとオンとを切り替えられうる。
【0050】
図3の実施形態において、トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれが、各ケーブルを介して、AC信号発生器30に接続される。特に、4つの導体のみが、トランスデューサーアセンブリーとAC信号発生器30との間を通るケーブルのそれぞれにおいて必要とされる(すなわち、シリアルデータ通信を実現するためのVcc、データ及び接地に加えて、AC電流TTFields信号に関する1つの追加的な導体51)。
【0051】
図3において、トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれは、9個の電極要素52、9個のスイッチ56及び9個の温度センサー54を含む。しかし、代替的な実施形態において、トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれは、異なる数(例えば8から25の間)の電極要素52並びに、対応する数のスイッチ及び温度センサーを含むことができる。
【0052】
図4は、
図3に示された左側/右側のトランスデューサーアセンブリー31、32、または、
図3に示されたAC信号発生器30の第2の出力OUT2に接続された前方/後方のトランスデューサーアセンブリー33、34(
図3に示されない)の任意の所定の1つに関して使用されうる1つの機械的レイアウトの概略図である。この実施形態において、各トランスデューサーアセンブリー31から34は、支持部59に取り付けられた複数の静電結合された電極要素52を含む。電極要素52は、被験者の体に対して配置されるように構成され(好適には、被験者の体に面する電極要素の表面に配置されたハイドロゲルの層とともに)、支持部59は、電極要素52の誘電体層が被験者の体に面するように、被験者の体に対して複数の電極要素52を保持する。支持部59は、好適には柔軟性があり、布や高密度の医療用発泡体などの材料からなりうる。接着層は、ヒトの体に対して支持部59を固定するために使用されうる。温度センサー54は、電極要素52のそれぞれにおける温度を感知することができるように配置される。例えば、温度センサー54はそれぞれ、電極要素52の対応する1つに隣接して及び/またはその下に配置されうる。いくつかの実施形態において、電極要素52のそれぞれは、中央に小さな穴を有し、温度センサー54は、その小さな穴の中に配置される。
図4には2つの電極要素52並びに対応するスイッチ56及び温度センサー54のみが示されているが、より多く(例えば9から25の間)のこれらの構成要素のそれぞれが好適には使用されることに注意すべきである。これは、
図3において、電極要素、スイッチ及び温度センサーのそれぞれについて、記号E1・・・En、S1・・・Sn及びT1・・・Tnで示される。
【0053】
モジュール60は、支持部59に取り付けられる(直接または、介在する構成要素を通して)。モジュール60は、コントローラー85及びスイッチ56を含む。任意選択的に、モジュール60は、導電体42を用いて支持部59に接続可能であり、この場合、コネクター42の半分はモジュール60に提供され、コネクター42の係合する半分は支持部59に提供される。半分のコネクター42の両方が係合されると、サーミスタ54からの信号は、コネクター42を通して支持部59上の配線(例えば可撓性回路の配線)を通して通り、モジュール60のコントローラー85に入る。さらに、スイッチ56のそれぞれの出力側からのAC電流信号は、コネクター42及び支持部59の配線(例えば可撓性回路の配線)を通して、電極要素52のそれぞれへ向かう。
【0054】
電極要素52のアレイが好適には使用前に殺菌されるため、任意選択的なコネクター42を含めることは、このコネクターを含まない実施形態に対して利点をもたらす。殺菌は、通常放射線またはガスのいずれかを用いて行われる。そのような放射線は電子機器と干渉しうるため、電子機器が電極要素52のアレイから切断できないアセンブリーのみが、ガスで殺菌されうる。その一方、電子構成要素56、85が、コネクター42を介して電極要素52のアレイから切断可能である場合(
図4に示されるように)、電子機器は殺菌後に接続されうる。これにより、感受性の高い電子構成要素56、85に対する損傷の危険性なく、ガスまたは放射線のいずれかを用いて電極要素52のアレイの殺菌を行うことができる。
【0055】
前述のように、4つのコネクターのみが、トランスデューサーアセンブリー31から34のそれぞれとAC信号発生器30との間を通るケーブルのそれぞれに必要とされるのみである(すなわち、シリアルデータ通信を実現するためのVcc、データ及び接地に加えて、AC電流TTFields信号のための1つの追加的な導体51)。いくつかの好適な実施形態において、トランスデューサーアセンブリー31から34とAC信号発生器との間の接続(
図3に示される)は、例えば導電体38を用いてコネクター化される。
【0056】
前述の実施形態において、1つまたは複数の電極要素52への平均電流を低減することができるように、所定のトランスデューサーアセンブリー31、32の1つまたは複数のスイッチ56のデューティサイクルを調整またはオフにするという決定は、そのトランスデューサーアセンブリー31、32内のコントローラー85によって、トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれに局所的になされうる。しかし、代替的な実施形態において、スイッチ56の1つまたは複数のデューティサイクルを調整またはオフにするという決定は、AC信号発生器30(または別の遠隔機器、例えばAC信号発生器30とトランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれとの間に配置された中央ハブ)によってなされうる。これらの実施形態において、トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれにおけるコントローラー85は、各トランスデューサーアセンブリーの温度センサー54のそれぞれからの温度の読出しを得て、これらの温度読出しをコントローラー85のUARTを介してAC信号発生器30に伝送する。AC信号発生器30は、もしあれば、いずれのスイッチが、受信した温度読出しに基づいてデューティサイクルの調整を必要とするか、またはオフにされるべきかを決定し、対応する命令を、対応するトランスデューサーアセンブリー31、32の対応するコントローラー85に伝送する。コントローラー85がこの命令をAC信号発生器30から受信すると、コントローラー85は、AC信号発生器30によって発行された命令を実行するために、デジタル出力を適切な回数だけ、対応するスイッチ56をスイッチオフする状態に設定することによって応答する。これらの実施形態において、電流の減少が、電極要素52のそれぞれの温度を安全閾値未満に維持することが必要である場合、AC信号発生器30は、その出力電流を低減するようにプログラムされることも可能である。
【0057】
これらの実施形態において、コントローラー85は、AC信号発生器30に配置されたマスターコントローラーに、スレーブとして動作するようにプログラムされうる。これらの実施形態において、コントローラー85は静止状態で開始し、この場合マスターコントローラーからUART経由で到達する命令を監視するだけである。マスターコントローラーから到達することができる命令の例は、「温度データを集める」命令、「温度データを送信する」命令及び「スイッチを設定する」命令を含む。コントローラー85が、「温度データを集める」命令が到達したことを認識すると、コントローラー85は、温度センサー54のそれぞれから温度の読出しを得て、結果をバッファに保存する。コントローラー85が「温度データを送る」命令が到達したことを認識すると、コントローラー85は、事前に収集された温度読出しをバッファからAC信号発生器30にUART86を介して伝送する手順を実行する。そして、コントローラー85が、「スイッチを設定する」命令が到達したことを認識すると、コントローラー85は、AC信号発生器30から到達するデータに基づいて、スイッチ56のそれぞれを所望の状態(すなわちオンかオフか、または命令されたデューティサイクルでオンとオフとを切り替える)に設定するように、そのデジタル出力における適切な電圧を出力する手順を実行する。
【0058】
前述の実施形態において、単一のコントローラー85が、トランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれにおいて、そのアセンブリーのスイッチ56を制御し、そのアセンブリーの温度センサー54のそれぞれから温度測定値を得るために使用される。代替的な実施形態において、スイッチ56を制御し、温度測定値を得るために単一のコントローラー85を使用する代わりに、これら2つのタスクが2つのコントローラで分割されてもよく、その一方はスイッチ56を制御するために使用されるのみであり、その他方は、温度センサー54のそれぞれから温度測定値を得るために使用される(例えば、前述の手法のいずれかを用いて)。これらの実施形態において、これら2つのコントローラーは、互いに及び/またはAC信号発生器30と直接通信しうる。
【0059】
他の代替的な実施形態(図示されない)において、温度測定値は、電極要素52の近傍に配置されたローカルコントローラーによらない。その代わりに、配線が、温度センサー54のそれぞれからAC信号発生器30へ(またはAC信号発生器30とトランスデューサーアセンブリー31、32のそれぞれとの間に配置された中央ハブへ)戻り、AC信号発生器は、温度センサー54のそれぞれにおける温度を決定するために、これらの配線を介して到達する信号を使用する。しかし、これらの実施形態において、トランスデューサーアレイに向かうケーブルはより多くの導体を必要とし、これはケーブルの柔軟性を低下させ、ケーブルの煩雑さを増大させうる。
【0060】
前述の
図3及び4の実施形態において、温度センサー54の数は電極要素52の数と整合し、各温度センサー54は、電極要素52のうち1つにおける温度を感知することに特化する。
図5は、電極要素をn個のセットにグループ化し、これらn個のセットのそれぞれについて温度を測定するための単一の温度センサーを使用する代替的な構成を示す。いくつかの好適な実施形態において、nは9から25の間である。
【0061】
これを実現するために、任意の所定のセット内の電極要素は、互いに隣接していなければならない。
図5に示された実施形態において、各セットは、
図4に関して前述された電極要素に類似する内側ディスク形状電極要素52に加えて、内側ディスク形状電極要素52を取り囲み、これと同心円状の追加的な外側リング形状電極要素52’を含む。温度センサー54は、内側ディスク形状電極要素52の中央に配置される。各電極要素52、52’は、コントローラー85が電流をオンまたはオフに切り替えることを可能にする、それ自体の個別のスイッチ56、56’を有する。代替的な実施形態(図示されない)において、追加的な同心円リング形状電極要素が、各セットに追加されうる。他の代替的な実施形態(図示されない)において、任意の所定のセットの電極要素の全てを同心円リング状に配置する代わりに、各セットの電極要素は、互いの隣に置かれうる(例えば、パイのスライス状に配置された電極要素を用い、このパイの中央に温度センサーを配置する)。これらの代替的な実施形態において、各電極要素は、コントローラー85が、電流を個別にオンまたはオフに切り替えることができるように、それらの個別のスイッチを有する。
【0062】
図5の実施形態は、任意の所定のセットの電極要素52、52’の全てへの電流を一緒にオンまたはオフに常に切り替えるようにコントローラー85をプログラムすることによって、
図3及び4に関連して前述されたのと同じ結果を達成するように動作されうる。しかし、この実施形態も、追加的な柔軟性を提供する。より具体的には、コントローラー85が、温度センサー54の1つからの信号に基づいて、所定のトランスデューサーアセンブリー内に高温領域が存在すると決定すると、この実施形態におけるコントローラーは、高温領域に対応する電極要素の全てではなくいくつかを不活性化することによって、この高温領域における電流を低減する選択肢を有する。例えば、電極52、52’(E1/E1’)の第1のセットの下の第1の温度センサー54(T1)からの信号が、その電極のセットの下の温度が40℃以上に上昇したことを明らかにすると仮定する。この
図5の実施形態におけるコントローラー85は、対応するスイッチのいくつかのみをオフにする命令を発行することによって、この領域における電流を低減する選択肢を有する。これは、例えば、内側要素E1に供給するスイッチS1をオフにし、外側要素E1’に供給するスイッチS1’をオンのままにすることによって達成可能である。代替的に、外側要素E1’に供給するスイッチS1’をオフにし、内側要素E1に供給するスイッチS1をオンのままにすることによっても、同じ結果が達成可能である。
【0063】
任意選択的に、
図3及び4に関して前述された任意の領域を通して結合される平均電流にわたる追加的な制御を得るために、
図5の実施形態の電極要素の任意のセットの個別の電極要素のそれぞれについてのデューティサイクルが個別に調整されうる。
【0064】
電極要素52、52’の2つのセット並びに対応するスイッチ56、56’及び温度センサー54、54’のみが
図5に示されているが、これらの構成要素のより多く(例えば9から25個)のセットが好適には使用されることに注意すべきである。これは、電極要素、スイッチ及び温度センサのそれぞれに対して、
図5の記号E1・・・En、E1’・・・En’、S1・・・Sn、S1’・・・Sn’、T1・・・Tn及びT1’・・・Tn’で表される。
【0065】
図6は、前述の
図3から5の実施形態におけるスイッチ56、56’を実施するのに適切な回路の概略図である。回路は、直列に配線された2つの電界効果トランジスタ66、67を含み、これはいずれかの方向に電流を通過させることができる構成である。この回路について適したFETの1つの例は、BSC320N20NSEである(
図6に示されたダイオードは、FET66、67それ自体の中にもともと含まれる)。2つのFET66、67の直列の組み合わせは、前述のコントローラー85のデジタル出力の1つから到達する制御入力の状態に応じて、電流を通すかまたはブロックする。直列の組み合わせが導電性である場合、電流は、共有される導体51と、各電極要素52、52’との間を流れることができる。一方、FET66、67の直列の組み合わせが導電性でない場合、電流は、共有される導体51と各電極要素52、52’との間を流れない。
【0066】
任意選択的に、電流感知回路60は、スイッチ56、56’と直列に配置されうる。電流感知回路60は、当業者には明らかである様々な従来の手法のいずれかを用いて実現されうる。電流感知回路60が含まれる場合、これは、電流を表す出力を発生させ、この出力は、コントローラー85(
図3から5に示される)へ戻ってリポートされる。コントローラー85はこの情報を用いて、測定された電流が期待通りであるかどうかを判断し、必要に応じて適切な処置をとることができる。例えば、過電流状態が検出されると、コントローラー85は対応するスイッチをオフにすることができる。もちろん、電流感知回路60が省略されたこれらの実施形態において、共有される導体51と上側のFET60のトップレッグとの間に電流が流れることができるように、配線(またはその他の導体)に置き換えられるべきである。
【0067】
図示された実施形態において、電流感知回路60は、共有される導体51と、上側FET60のトップレッグとの間に配置される。しかし、代替的な実施形態において、電流感知回路は、下側のFET67のボトムレッグと各電極要素52、52’との間に配置されうる。そして、その他の代替的な実施形態(図示されない)において、電流感知回路は、スイッチの回路それ自体の中に集積されうる。
【0068】
本発明が特定の実施形態を参照して開示されたが、説明された実施形態に対する多数の改良、代替及び変化が、添付した特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の文言及びその等価物によって規定される範囲全体を有することを意図される。
【符号の説明】
【0069】
20 AC信号発生器
21~24 トランスデューサーアレイ
30 AC信号発生器
31~34 トランスデューサーアセンブリー
38 導電体
42 導電体、コネクター
43 温度センサー
51 導体
52 電極要素
52’ 外側リング形状電極要素
54 温度センサー
56、56’ スイッチ
59 支持部
60 モジュール
66、67 電界効果トランジスタ
85 コントローラー
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電極要素の複数のセットと、
前記電極要素の複数のセットを被験者の体に対して保持するように構成された支持部と、
複数の温度センサーであって、前記温度センサーのそれぞれが、前記電極要素の各セットにおける温度を感知し、前記感知された温度を表す各信号を発生させるように配置された、複数の温度センサーと、
導電体と、
複数の電気的に制御されたスイッチであって、前記スイッチのそれぞれが、各制御入力の状態に応じて、(a)前記導電体と各電極要素との間を電流が流れることを可能にするか、または(b)前記導電体と前記各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように構成された、スイッチと、
前記スイッチのそれぞれの前記制御入力の状態を制御するように構成されたコントローラーと、を含む、交流電場を被験者の体に印加するための装置。
【請求項2】
電極要素の任意の所定のセット内の前記電極要素の全てが同心円状に配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの電極要素のセットのそれぞれが第1の電極要素及び第2の電極要素を含み、電極要素の任意の所定のセット内の前記第2の電極要素のそれぞれが、各第1の電極要素に隣接して配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電極要素の複数のセットが、少なくとも9個の電極要素のセットを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記支持部が発泡体層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記導電体が、可撓性回路のトレース配線を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから、前記感知された温度を表す各信号を受け取り、
前記受け取った信号に基づいて、前記電極要素が駆動されるべきデューティサイクルを決定し、
前記決定されたデューティサイクルで前記電極要素を駆動し、前記導電体と前記各電極要素との間を電流が流れるのを周期的に妨げるように、前記決定されたデューティサイクルで、前記各電極要素に対応するスイッチの前記制御入力の状態を周期的に切り替える、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから、前記感知された温度を表す各信号を受け取り、
前記受け取った信号に基づき、電極要素の各セットにおける温度が上方閾値を超過するか否かを決定し、
電極要素の所定のセットにおける温度が前記上方閾値を超過すると決定された場合、前記導電体と前記電極要素の所定のセットのうちの前記電極要素の少なくとも1つとの間を電流が流れるのを妨げるように、少なくとも1つのそれぞれのスイッチの前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラーがさらに、前記導電体と各電極要素との間を電流が流れるのを妨げるように、所定のスイッチに対する前記制御入力の状態を制御した後に、前記各温度センサーから受け取った信号に基づき、前記各電極要素における温度が下方閾値よりも下に低下したか否かを決定し、続いて、前記導電体と前記各電極要素との間を電流が流れることを可能にするように、前記所定のスイッチに対する前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラーがさらに、
前記温度センサーのそれぞれから信号を受け取り、
前記温度センサーのそれぞれにおける前記温度を表すデータを第2のコントローラーに送信し、
前記第2のコントローラーから、どのスイッチがオフにされるべきかを示すデータを受信し、
前記第2のコントローラーから受信したデータに基づいて、前記複数のスイッチの前記制御入力の状態を制御する、
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の電気的に制御されたスイッチ及び前記コントローラーが、複数導体コネクターを介して前記支持部に取り付けられたモジュールに配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
それぞれの前記電極要素が、誘電体層を有する容量結合された電極要素を含み、
柔軟な前記支持部が、前記電極要素の前記誘電体層が被験者の体に面するように、電極要素の前記複数のセットを前記被験者の体に対して保持するように構成された、請求項1に記載の装置。
【外国語明細書】