(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055995
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】歯車製造装置および歯付きワークピースの製造方法
(51)【国際特許分類】
B23F 5/16 20060101AFI20240412BHJP
B23F 5/20 20060101ALI20240412BHJP
B23F 5/22 20060101ALI20240412BHJP
B23F 23/06 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B23F5/16
B23F5/20
B23F5/22
B23F23/06
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033487
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2019182579の分割
【原出願日】2019-10-03
(31)【優先権主張番号】10 2018 125 213.7
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】594012634
【氏名又は名称】リープヘル-フェアツァーンテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイクスラー ヨハン
(57)【要約】
【課題】改良された歯車製造装置を提供する。
【解決手段】本発明は、それぞれが駆動部により回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備える歯車製造装置に関する。工具保持部は、工具保持部に保持された工具によりワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するために、歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介してワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられる。工具保持部は、副保持部を有する。本発明によると、副保持部は、移動軸を介して動作位置から休止位置へ移動可能であり、および/または歯車製造装置の加工ヘッドに着脱可能に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備える歯車製造装置であって、
上記工具保持部は、該工具保持部に保持された工具によって上記ワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するために、上記歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介して上記ワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられ、
上記工具保持部は、移動軸を介して動作位置から休止位置へ移動可能である、および/または上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに着脱可能に接続され得る副保持部を有する
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記副保持部は、直線軸体のスライド体に移動可能に設けられ、および/または着脱可能に接続されていて、上記スライド体を介して、上記工具保持部に対して該工具保持部の軸方向に移動可能である
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記副保持部は、上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに回動可能に設けられ、
上記副保持部は、上記動作位置と上記休止位置との間で、回動動作により折り畳まれまたは展開されるように構成される
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記副保持部は、上記工具保持部の軸方向に対して垂直な平面内を延びる回動軸回りに回動可能であって、好ましくは上記工具保持部に向かって折り畳まれるように構成され、
または、
上記副保持部は、好ましくは、上記工具保持部の軸方向に対して平行に延びる回動軸回りに回動可能である
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
上記副保持部の上記休止位置において、上記副保持部およびその支持部の全ての要素は、上記工具保持部の軸に対して所定の距離を隔て、
上記副保持部の上記動作位置において、上記加工ヘッドの好ましくは全ての外郭が、上記工具保持部を始点としかつその軸方向から見て、上記工具保持部の軸から所定の距離を隔てる
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
上記副保持部は、上記休止位置にある場合、上記加工ヘッドの収容開口に収容され、
上記副保持部は、好ましくは上記収容開口を閉じ、および/または好ましくは上記収容開口内で支持される
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項において、
上記副保持部は、上記動作位置にある場合、好ましくは先細ピンおよび/または先細ピン収容ユニットを有するストッパ要素に当接し、
および/または、
上記副保持部は、上記動作位置において空気圧または流体圧で固定されるように構成さ
れる
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項において、
上記副保持部は、簡易固定システムにより上記加工ヘッドに着脱可能に接続可能であり、
好ましくは、上記簡易固定システムは、ゼロ点クランプシステムであり、および/または先細ピンおよび/または先細ピン収容ユニットを有する
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項において、
自動工具交換装置を、および/またはフライス工具およびスカイビング工具を備える
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項10】
特に請求項1~9のいずれか1項に記載の歯車製造装置を使用して、少なくとも1つの歯付きワークピースを製造する方法であって、
第1の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記工具保持部と上記副保持部との間に固定された第1工具によりワークピースを加工し、
第2の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記副保持部を上記休止位置に動かすかまたは上記加工ヘッドから取り外して、上記工具保持部に片側で固定された第2工具によりワークピースを加工する
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの一方において、上記ワークピースをフライス加工し、かつ上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの他方において、上記ワークピースをスカイビング加工し、
および/または、
上記工具と上記ワークピースとが第1軸交差角をなす状態で上記第1の加工ステップおよび/または加工モードを実行し、上記工具と上記ワークピースとが第2軸交差角をなす状態で上記第2の加工ステップおよび/または加工モードを実行し、上記第1軸交差角と上記第2軸交差角との差は、45°以上、好ましくは70°以上であり、および/または135°以下、好ましくは110°以下、より好ましくは100°以下である
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、同じワークピースの加工に使用し、
または、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、異なるワークピースの加工に使用する
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、ワークピースの2つの異なる歯部の加工に使用し、好ましくは、該加工において第1歯部をフライス加工しかつ第2歯部をスカイビング加工し、
および/または、
好ましくは、上記第1歯部は、上記第2歯部の直径よりも大きい直径を有し、および/または上記第2歯部に対する干渉要素を構成し、
および/または、
上記第1歯部および上記第2歯部は、平歯車歯部である
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか1項において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、ワークピースの同じ歯部の加工に連続的に使用して、好ましくは荒加工を行った後に仕上げ加工を行い、
および/または、
好ましくは、上記歯部は、ウォーム歯部、特に車両のステアリング駆動部の駆動要素のウォーム歯部である
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項において、
請求項10~14のいずれか1項に記載の方法を実行する機能を有する制御ユニットを備える
ことを特徴とする歯車製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備え、工具保持部に保持された工具によりワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するための歯車製造装置に関する。工具保持部は、歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介してワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられる。工具保持部は、副保持部を有する。
【背景技術】
【0002】
特にフライス加工プロセスでは、たいていの場合、工具に大きな力が作用するため、要求される安定性を確保するために副保持部を使用する必要がある。
【0003】
同出願人に係る特許文献1には、フライス工具とスカイビング工具を同じ工具保持部で固定することが開示されている。ここで、スカイビング工具は、フライス工具で加工された歯部の微細加工や、同じワークピースにフライス工具では加工できない歯部をさらに加工するのに使用され得る。外郭形状に干渉するのを避けるために、とりわけ細い副保持部が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017003648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改良された歯車製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に係る歯車製造装置により達成される。本発明の好ましい別の態様は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備える歯車製造装置であって、上記工具保持部は、該工具保持部に保持された工具によって上記ワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するために、上記歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介して上記ワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられる、歯車製造装置に関する。本発明によると、上記工具保持部は、移動軸を介して動作位置から休止位置へ移動可能である、および/または上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに着脱可能に接続され得る副保持部を有する。
【0008】
本発明のある変形例によると、副保持部は、移動軸を介して動作位置から休止位置へ移動可能となるように加工ヘッドに設けられる。これにより、副保持部は、これが必要とされない加工ステップおよび/または加工モードにおいて休止位置へ移動可能となり、それにより利用可能な作業領域が大きくなるか、および/または副保持部が干渉要素になりにくくなる。
【0009】
本発明のある実施形態によると、加工ヘッドは、副保持部を動作位置から休止位置へ動かすことのできる駆動部を備える。あるいは一方で、副保持部は、手動式であってもよい。
【0010】
本発明のある変形例によると、副保持部は、歯車製造装置の加工ヘッドに着脱可能に接続される。よって、副保持部は、これが必要とされない加工ステップおよび/または加工モードにおいて取り外し可能であり、それにより利用可能な作業領域が大きくなるか、および/または副保持部が干渉要素になりにくくなる。
【0011】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、直線軸体のスライド体に移動可能に設けられ、および/または着脱可能に接続されていて、上記スライド体を介して、上記工具保持部に対して該工具保持部の軸方向に移動可能である。そのような直線軸体は、工具を固定および解放できるようにするために、および/または長さの異なる工具に対して副保持部を位置調節するために設けられてもよい。
【0012】
したがって、副保持部が休止位置へ向かう動作は、好ましくは、この直線軸体を介しては行われず、副保持部をスライド体に設ける上で介在する追加的な軸体を介して行われる。
【0013】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに回動可能に設けられる。特に、副保持部は、上記直線軸体のスライド体に回動可能に設けられる。
【0014】
好ましくは、上記副保持部は、上記動作位置と上記休止位置との間で、回動動作により折り畳まれまたは展開されるように構成される。
【0015】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記工具保持部の軸方向に対して垂直な平面内を延びる回動軸回りに回動可能である。それにより、特にコンパクトかつ安定した構成が得られる。
【0016】
好ましくは、上記副保持部は、上記工具保持部に向かって折り畳まれるように構成される。それにより、副保持部は、動作位置にある場合に、工具保持部から遠ざかる回動動作を阻止するストッパに当接し得る。
【0017】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記工具保持部の軸方向に対して平行に延びる回動軸回りに回動可能である。よって、副保持部は、必要とされない場合に、スライド体へ折り畳まれ得る。
【0018】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部の上記休止位置において、上記副保持部およびその支持部の全ての要素は、上記工具保持部の軸に対して所定の距離を隔てる。よって、工具保持部の軸方向の延長線上において、休止位置にある副保持部が干渉要素にならない。
【0019】
上記副保持部の上記動作位置において、上記加工ヘッドの好ましくは全ての外郭が、上記工具保持部を始点としかつその軸方向から見て、上記工具保持部の軸から所定の距離を隔てる。それにより、工具保持部の軸方向の延長線上において、加工ヘッドが干渉要素にならない。
【0020】
好ましくは、上記所定の距離は、工具保持部にクランプまたは固定される工具の最大半径以上である。
【0021】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記休止位置にある場合、上記加工ヘッドの収容開口に収容される。それにより、副保持部は、休止位置において損傷や汚れから保護される。
【0022】
特に、副保持部は、加工ヘッドの収容開口内へ折り畳まれるように構成されてもよい。
【0023】
好ましくは、上記副保持部は、上記休止位置にあるときに上記収容開口を閉じる。このために、副保持部は、閉塞プレートを備えてもよい。
【0024】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記収容開口内で支持される。
【0025】
好ましくは、副保持部は、休止位置から動作位置へ動く場合または加工ヘッドに取り付けられる場合に、追加的な位置調節を行う必要がない態様で、加工ヘッドに設けられおよび/または接続可能である。
【0026】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記動作位置にある場合にストッパ要素に当接する。特に、副保持部は、そのようなストッパ要素と接触する位置まで回動可能であってもよい。したがって、ストッパ要素は、動作位置を規定する。
【0027】
本発明のある実施形態によると、上記ストッパ要素は、先細ピンおよび/または先細ピン収容ユニットを有する。特に、これらの構成要素は、副保持部の相補的な先細ピン収容ユニットおよび/または先細ピンと係合する。これにより、副保持部の位置決め精度が向上する。
【0028】
本発明のある実施形態によると、上記副保持部は、上記動作位置において空気圧または流体圧で固定されるように構成される。これにより、副保持部の位置決め精度が向上する。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によると、上記副保持部は、簡易固定システムにより上記加工ヘッドに着脱可能に接続可能である。
【0030】
特に、上記簡易固定システムは、ゼロ点クランプシステムである。これにより、副保持部の位置を、調節作業を伴わずに高精度に再現することができる。
【0031】
本発明のある実施形態によると、上記簡易固定システムは、先細ピンおよび/または先細ピン収容ユニットを有する。これにより、副保持部の位置決め精度が向上する。
【0032】
本発明のある実施形態によると、上記歯車製造装置は、自動工具交換装置を備える。この自動工具交換装置によると、使用する各工具を素早く交換することができる。
【0033】
本発明のある実施形態によると、上記歯車製造装置は、フライス工具およびスカイビング工具を備える。これらの工具は、異なる加工ステップおよび/または加工モードで使用されてもよい。
【0034】
本発明のある実施形態によると、後述するタイプの方法を実行する機能を有する制御ユニットを備える。好ましくは、制御ユニットは、当該方法を自動的に実行する。
【0035】
本発明は、少なくとも1つの歯付きワークピースを製造する方法であって、第1の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記工具保持部と上記副保持部との間に固定された第1工具によりワークピースを加工し、第2の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記副保持部を上記休止位置に動かすかまたは上記加工ヘッドから取り外して、上記工具保持部に片側で固定された第2工具によりワークピースを加工する、方法に関する。
【0036】
特に、当該方法は、詳しく上述したタイプの歯車製造装置を使用して実行されてもよい。
【0037】
本発明のある実施形態によると、上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの一方において、上記ワークピースがフライス加工される。上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの他方において、上記ワークピースがスカイビング加工される。これら2つの加工プロセスの場合、その一方のプロセスで副保持部を使用する必要があることが多いが、当該副保持部は他方のプロセスで干渉要素となる。
【0038】
特に、ワークピースは、第1変形例において、第1の加工ステップおよび/または加工モードでフライス加工されてもよい。第2変形例によると、ワークピースは、それに代えて、第1の加工ステップおよび/または加工モードでスカイビング加工されてもよい。
【0039】
本発明のある実施形態によると、上記工具と上記ワークピースとが第1軸交差角をなす状態で上記第1の加工ステップおよび/または加工モードが実行され、上記工具と上記ワークピースとが第2軸交差角をなす状態で上記第2の加工ステップおよび/または加工モードが実行され、上記第1軸交差角と上記第2軸交差角との差は、45°以上である。その結果、副保持部は、当該加工ステップまたは加工モードの少なくとも一方において、干渉要素になり得る。
【0040】
特に、上記第1軸交差角と上記第2軸交差角との差は、70°以上であってもよい。
【0041】
好ましくは、上記第1軸交差角と上記第2軸交差角との差は、135°以下、より好ましくは110°以下、さらに好ましくは100°以下であってもよい。
【0042】
本発明のある実施形態によると、上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードは、同じワークピースの加工に使用される。特に、同じワークピースは、2つの連続した加工ステップにおいて、異なる工具で加工されてもよい。
【0043】
本発明のある実施形態によると、上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードは、異なるワークピースの加工に使用される。ここで、本発明に係る歯車製造装置は、異なる工具によって、異なるワークピースの製造に対する柔軟性が向上し得る。
【0044】
本発明のある実施形態によると、上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードは、ワークピースの2つの異なる歯部の加工に使用される。ここで、当該加工において、好ましくは、第1歯部をフライス加工しかつ第2歯部をスカイビング加工する。
【0045】
本発明のある実施形態によると、上記第1歯部は、上記第2歯部の直径よりも大きい直径を有し、および/または上記第2歯部に対する干渉要素を構成する。
【0046】
本発明のある実施形態によると、上記第1歯部および上記第2歯部は、平歯車歯部である。
【0047】
本発明のある実施形態によると、上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードは、ワークピースの同じ歯部の加工に連続的に使用される。
【0048】
特に、荒加工が行われた後に仕上げ加工が行われる。ここで、好ましくは、荒加工としてフライス加工が実行され、かつ仕上げ加工としてスカイビング加工が行われる。
【0049】
本発明のある実施形態によると、上記歯部は、ウォーム歯部、特に車両のステアリング駆動部の駆動要素のウォーム歯部である。
【0050】
本発明によって実行される加工ステップおよび/または加工モードにおいて、ワークピースのソフト加工またはハード加工が実行されてもよい。
【0051】
加工ステップおよび/または加工モードは、ブランクまたは硬化ワークピースの加工に使用されてもよい。
【0052】
特に、歯部は、第1および/または第2の加工ステップおよび/または加工モードの枠組み内で、ブランクに形成されてもよい。本発明によると、「歯部の加工」の語は、歯部のないワークピースに歯部を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る歯車製造装置を示す図であって、副保持部が動作位置にありかつ工具が工具保持部と副保持部との間に固定される第1加工ステップおよび/または加工モードを示す。
【
図2】
図2は、
図1の実施形態を示す図であって、副保持部が工具から遠ざけられている。
【
図3】
図3は、
図1および
図2の実施形態を示す図であって、副保持部が休止位置へ動かされ、特に折り畳まれつつある。
【
図4】
図4は、
図1~
図3の実施形態を示す図であって、副保持部が休止位置にあり、特に折り畳まれている。
【
図5】
図5は、
図1~
図4の実施形態を示す図であって、副保持部が休止位置にあり、工具がその片側で工具保持部に固定されている。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態に係る方法の第1ステップを示す図であって、ワークピースの第1歯部が、両側で固定された工具により加工されている。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係る方法の第2ステップを示す図であって、同じワークピースの第2歯部が、片側で固定された工具により加工されており、副保持部が休止位置にある。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る方法を示す図であって、片側で固定された工具により第2加工モードでワークピースが加工されており、副保持部が休止位置にある。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係る方法の第1ステップを示す図であって、ワークピースの歯部が、片側で固定された工具により加工されており、副保持部が休止位置にある。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係る方法の第2ステップを示す図であって、同じワークピースの歯部が、これも片側で固定された第2工具により加工されており、副保持部が休止位置にある。
【
図11】
図11は、本発明の第3実施形態に係る方法の代替的な第2ステップを示す図であって、同じ歯部が1つまたは複数の第2工具により加工されており、当該第2工具が両側で固定されている。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0055】
図1は、本発明の実施形態に係る歯車製造装置を示す。歯車製造装置は、ワークピース保持部1と、工具保持部3とを備える。ワークピース保持部1は、駆動部5によって回転
軸B2回りに回転され得る。工具保持部3は、駆動部5’によって回転軸B1回りに回転され得る。工具保持部3は、歯車製造装置の加工ヘッド6に設けられる。加工ヘッド6は、ワークピース保持部1に保持されたワークピースを工具保持部3に保持された工具14で歯車形成加工するために、当該ワークピース保持部1に対し、複数の移動軸を介して移動可能である。
【0056】
工具保持部3は、副保持部4を備える。副保持部4は、本発明によると、
図1に示す動作位置から
図4に示す休止位置へ移動可能となるように、加工ヘッド6における移動軸を介して配置される。動作位置では、副保持部4は、工具保持部3と(同一直線上に、あるいは互いの中心軸が重なるように)並ぶ。休止位置では、副保持部4は、工具保持部3と並ばず、回転軸B1の側方に位置する。
【0057】
このために、本実施形態の副保持部4は、回動軸9回りに回動して折り畳んだり展開したりできるように、加工ヘッド6において回動可能に設けられる。
【0058】
動作位置から休止位置への副保持部4の移動、すなわち
図1に示す実施形態における副保持部4の折畳みや展開は、歯車製造装置の駆動部により、または手動で行われてもよい。
【0059】
本実施形態において、副保持部4は、回動軸9回りに回動可能である。回動軸9は、工具保持部3の回転軸B1に対して垂直な平面内を延びている。
図1では、副保持部4が展開位置にあり、工具14が工具保持部3と副保持部4との間でクランプまたは固定されている。
【0060】
ここで、副保持部4は、直線軸体7上を案内されるスライド体8に回動可能に設けられる。このような構成により、副保持部4と工具保持部3との間の距離が可変となる。このために、スライド体8は、直線軸体7に沿って移動可能である。直線軸体7は、工具保持部3の回転軸B1に対して平行である。本実施形態では、ねじ付きロッド13が設けられており、ねじ付きロッド13の回転位置を介して工具保持部3と副保持部4との間の距離が可変となっている。
【0061】
スライド体8は、収容部9(この例では、収容開口9)を備える。収容部9により、副保持部4が回動軸9回りに回動可能に支持される。収容部9は、折畳み状態の副保持部4を収容する。
【0062】
副保持部4を
図1に示す動作位置から休止位置へ移動させるために、副保持部4は、まず、
図2に示すように、直線軸体7に沿って工具保持部3から軸方向に遠ざかるように動かされる。続けて、
図3に示すように、副保持部4は、場合によっては工具14が取り外された後で、工具保持部3へ向かって折り畳まれる。そして、
図4は、副保持部4の休止位置を示す。
図4に示すように、休止位置にある副保持部4は、スライド体8の収容部9内に全体が収容される。
【0063】
副保持部4は、副保持部アーム10を備える。副保持部4は、副保持部アーム10によって収容部9に支持される。展開位置において、副保持部4の回転軸は、工具保持部3の回転軸B1と重なる。一方、折畳み位置において、副保持部4は、工具保持部3の回転軸B1から所定の距離をおき、よって片側でクランプまたは固定された工具と干渉しない。折り畳まれた副保持部4の当該所定の距離は、好ましくは、工具保持部3に保持され得る工具の最大半径よりも大きく、より好ましくは、工具保持部3に保持され得る工具の最大半径の1.2倍よりも大きい。
【0064】
副保持部4は、さらに、閉塞プレート12を備える。閉塞プレート12は、折畳み位置においてスライド体8の開口9(収容開口9)を塞ぐ。これにより、副保持部4は、折畳み位置において汚れにくくなる。
【0065】
図5に示すように、工具15は、その片側で、副保持部4が休止位置にあるときに工具保持部3にクランプまたは固定されてもよい。副保持部4は、当該工具15によるワークピースの加工に際して干渉しない。特に、このことは、加工ヘッド6において、工具の延長線上で軸方向に干渉要素が存在しないことを意味する。
図5に示すように、副保持部4およびスライド体8は、副保持部4が折り畳まれた状態で、工具保持部3の方へさらに移動可能であり、それにより、より一層コンパクトな構成が実現される。
【0066】
動作位置にある副保持部4は、好ましくは、ストッパ(ストッパ要素)に当接している。本実施形態において、ストッパは、好ましくは、スライド体8に、特に開口9内に設けられる。ストッパは、副保持部4の動作位置を調節なしで正確に再現できるように構成される。このために、ストッパは、例えば、先細ピンや先細ピン収容ユニットを有してもよい。それらは、副保持部4の副保持部アーム10における相補的な対応物と協働する。これにより、副保持部4の位置を、休止位置と動作位置との間で変わる場合に調節する必要がない。
【0067】
別の態様によると、副保持部4は、動作位置が正確に再現されるように、当該動作位置で流体圧または空気圧でクランプまたは固定される。
【0068】
不図示の代替的な実施形態によると、副保持部4は、工具保持部3の回転軸B1に対して平行に延びる回動軸回りに回動可能であってもよい。副保持部4が不要な場合、それが作業領域の外側に移動されてもよい。この場合、副保持部4は、好ましくは、上記実施形態に示すタイプのスライド体8に回動可能に設けられる。
【0069】
不図示の別の実施形態によると、副保持部4は、簡易固定システム(または、簡易クランプシステム)によりスライド体8に対して着脱可能に接続されてもよい。これにより、副保持部4が不要な場合、それを容易に取り外すことができる。副保持部4が再び必要となる場合、それは簡易固定システムによって取り付けられる。簡易固定システムは、ゼロ点クランプシステムであって、それによりスライド体8に対する副保持部4の位置を正確に再現することができ、これにスライド体8における副保持部4の調節を要しない。また、この構造設計によると、歯車製造装置を2つの異なる動作モードで動作させることができる。その一方は、工具保持部3に副保持部4を伴うものであり、他方は、副保持部4を伴わないものである。
【0070】
以下、
図1~
図5に示す本発明に係る歯車製造装置の実施形態の特徴について説明する。これらの特徴は、本発明に係る任意の歯車製造装置において、単独でまたは組み合わせて実現されてもよいし、本発明に係る副保持部の任意の別の態様と組み合わせて実現されてもよい。
【0071】
加工ヘッド6は、これに設けられた工具保持部3および副保持部4を備える。加工ヘッド6は、回動軸A回りに回動可能であり、それにより工具保持部3の回転軸B1と、ワークピース保持部1の回転軸B2との間の軸交差角を調節できる。回動軸Aは、好ましくは、2つの回転軸B1,B2に対して垂直に延びている。
【0072】
加工ヘッド6は、直線軸Zに沿って、ワークピース保持部1の回転軸B2と平行な方向に移動可能である。これにより、工具保持部3に保持される工具を、ワークピースの幅に沿って動かすことができる。
【0073】
加工ヘッド6は、回転軸B1と回転軸B2との間の軸間距離を調節するために、直線軸Xに沿って移動可能である。直線軸Xは、好ましくは、2つの回転軸B1,B2に対して垂直に延び、および/または回動軸Aに対して平行に延びている。
【0074】
加工ヘッド6は、直線軸Vを有する。工具保持部3は、副保持部4と共に、この直線軸Vに沿って、工具保持部3の回転軸B1に対して平行に移動可能である。直線軸Vは、シフト軸としても言及され、回動軸A回りに回動可能である。
【0075】
本実施形態において、直線軸Vは、直線軸体7によって構成される。直線軸体7によると、工具保持部3と副保持部4との間の距離も可変となる。このために、工具保持部3は、直線軸体7に沿って移動可能なスライド体9に取り付けられる。ここで、不図示の駆動部が設けられており、当該駆動部によってスライド体9およびスライド体8が直線軸体7に沿って共に移動し得る。工具保持部3は、直線軸体7と距離をおいて、スライド体9の支持アーム25に設けられる。
【0076】
歯車製造装置の移動軸は、好ましくは、NC軸である。特に、2つの回転軸B1,B2がNC軸であり、歯車製造装置を制御することで、当該2つの回転軸B1,B2が創成加工に適合するように連携可能となる。
【0077】
また、ワークピース保持部1は、副保持部2を備える。副保持部2は、直線軸に沿って、回転軸B2の軸方向に移動可能に構成され、それにより副保持部2とワークピース保持部1との間の距離が可変となる。
【0078】
以下、本発明に係る歯車製造装置の適用分野、ならびに本発明に係る方法の実施形態について、
図6~
図11を参照して詳しく説明する。
【0079】
図6および
図7は、本発明の第1実施形態に係る方法の第1および第2加工ステップを示す。
図6に示す第1加工ステップでは、工具14が、その両側において、工具保持部3と副保持部4との間にクランプまたは固定される。このために、副保持部4は、動作位置にある。一方、
図7に示す第2加工ステップでは、第2工具15が、その片側において、工具保持部3にクランプまたは固定される。副保持部4は、干渉しないよう休止位置にある。
【0080】
図6および
図7に示す第1実施形態に係る方法では、2つの工具14,15が、同じワークピース16を加工するために使用される。一方、当該2つの工具14,15は、ワークピース16の2つの異なる歯部17,18を加工する。本発明の「加工」は、ブランクから歯部を形成することをも意味する。当該方法は、ワークピース16に平歯車歯部17,18を作るために使用される。歯部は、直歯状または斜歯状であってもよい。
【0081】
本実施形態において、
図6の第1加工ステップは、カッター14を用いて行われ、それによりワークピース16の第1歯部17が加工される。本実施形態では、ホブカッター14が使用され、よって歯部17はホビング加工される。副保持部4は動作位置にあり、よってカッター14はその両側でクランプまたは固定され得る。比較的大きな軸交差角のために、副保持部4が干渉しない。
【0082】
一方、
図7に示す第2加工ステップでは、スカイビング工具15が用いられ、よってワークピース16の第2歯部18はスカイビング加工される。スカイビングは、干渉要素の近くにあってアクセス困難な歯部を加工するのに用いられる場合に有効である。
【0083】
本実施形態で示すワークピース16の場合、第1歯部17は、その大きな径のために、第2歯部18に対するそのような干渉要素を構成する。カッター14やスカイビング工具15を用いることで、それでも両歯部17,18を加工することができる。
【0084】
一方、図示の平歯車歯部のスカイビング加工時に生じる比較的小さな軸交差角のために、副保持部4が干渉要素を構成する。なぜなら、副保持部4が、ワークピースの加工中にワークピース保持部1にぶつかり得るためである。休止位置への回動により、スカイビングの実行が可能となる。スカイビング加工時に加えられる力は、ホビング加工時に加えられる力よりも小さいため、スカイビング工具15をその片側でクランプまたは固定すれば足りる。
【0085】
第2加工ステップで副保持部4を折り畳むことにより、当該副保持部4がスカイビング加工時の干渉要素になることが回避される。これにより、両歯部17,18を、同じ装置における一連の加工ステップで加工できる。
【0086】
図6に示す第1加工ステップでは、ワークピース16がその両側において、ワークピース保持部1とこれに対応する副保持部2との間でクランプまたは固定される。
図7に示す第2加工ステップでは、ワークピース16は、その両側でクランプまたは固定されたままであってもよいし、または副保持部2が作業領域の上方に移動されて干渉要素を構成しないようにされてもよい。
【0087】
加工ステップの順序は、第1実施形態では重要でない。したがって、第1および第2加工ステップの呼称は、複数の加工ステップをただ区別するために用いるのであって、時系列的な順序を規定するものではない。
【0088】
図8は、本発明に係る歯車製造装置を使用した別の実施例を示す。ここで、歯車製造装置は、所定の加工モードで使用される。この加工モードでは、工具14がその片側のみで工具保持部3にクランプまたは固定され、副保持部4が休止位置にある。
図8に示す実施形態の場合、特にブランクから、内歯部19が加工される。ここでは、スカイビング加工法が用いられる。
【0089】
本実施形態において、内歯部19を有するワークピースは、ワークピース保持部1上の鍋状または壷状のチャック20によりクランプまたは固定される。このために、ワークピース保持部1の副保持部2は、作業領域の上方に移動されるか、および/または取り外される。
【0090】
本発明に係る副保持部4を用いることにより、第1加工モードにおいてフライス加工に、特に両側でクランプされた工具による外歯部のホビング加工に使用されるフライス装置を、第2加工モードにおいて内歯部をスカイビング加工するのにも使用することができる。
【0091】
図9~
図11は、本発明の第3実施形態に係る方法を示す。この方法は、ワークピース保持部1にクランプされたワークピースのウォーム歯部22を加工するのに利用できる。本実施形態において、ワークピースは、その両側において、ワークピース保持部1と副保持部2との間にクランプまたは固定される。
【0092】
図9は、第1加工ステップを示す。第1加工ステップでは、フライス工具21によってウォーム歯部22が加工される。フライス加工でウォーム歯部を加工するのに必要とされる比較的小さな軸交差角のために、フライス工具21はその片側のみで工具保持部3にクランプまたは固定され、副保持部4は折り畳まれ、それによりワークピース保持部1に対
する干渉要素の形成が回避される。
【0093】
本実施形態において、フライス工具21は、その円周に沿って配置されたフライス歯を有するフライスディスクである。したがって、工具保持部3の回転動作は、ワークピース保持部1の回転動作と同期している必要はない。なぜなら、創成加工を行わないためである。
【0094】
図10および
図11は、2つの代替的な態様に係る第2加工ステップを示す。この第2加工ステップでは、第1加工ステップで加工された歯部が、他の工具でさらに加工される。その中で、1つまたは複数のスカイビング工具23が特に使用され、それにより第2加工ステップがスカイビングによって実行される。これにより、第1加工ステップでフライス加工されたウォーム歯部の表面品質を実質的に向上させることができる。
【0095】
図10に示す実施形態では、スカイビング工具23は、その片側のみで工具保持部3にクランプまたは固定され、したがって副保持部4は折り畳まれる。
【0096】
一方、
図11に示す他方の態様に係る第2加工ステップでは、スカイビング工具23は、その両側において工具保持部3と展開された副保持部4との間にクランプまたは固定される。その結果として得られる安定性により、例えば、複数の工具23を工具保持部3において軸方向に並べて一体的にクランプまたは固定できる。複数の工具は、同じように構成されて摩耗のための複式工具として設けられてもよいし、または互いに異なって構成されて同じ歯部の一連の加工ステップに使用されたり、異なる歯部の加工に使用されたりしてもよい。ウォームねじのスカイビング加工では大きな軸交差角が得られるため、工具をクランプまたは固定するために副保持部を使用することもできる。
【0097】
本発明に係る方法の全ての実施形態は、2つの加工ステップまたは加工モードの間で、回動軸Aを介して軸交差角が変更されることを特徴とする。相対的に小さい軸交差角を伴う加工ステップでは、副保持部4は、ワークピース保持部1の干渉要素を構成しないように休止位置に動かされる。一方、相対的に大きい軸交差角を伴う加工ステップでは、副保持部4は、動作位置に動かされて工具をクランプまたは固定するのに使用されてもよい。なぜなら、そのようにしても、副保持部4がワークピース保持部1とぶつからないためである。
【0098】
本発明に係る方法の第1および第3実施形態において示すように、本発明に係る歯車製造装置は、単一のワークピースを加工するための一連の加工ステップに使用可能である。当該ワークピースは、複数の加工ステップの間、ワークピース保持部1にクランプまたは固定されたままとなる。
【0099】
しかしながら、本発明に係る歯車製造装置は、それぞれ異なる加工モードにおいて、異なるワークピースを加工するのに使用することもできる。第1加工モードでは、副保持部を展開しかつ工具を両側でクランプまたは固定して、第1ワークピースを加工する。一方、第2加工モードは、副保持部を折り畳みかつ工具を片側でクランプまたは固定して、1つまたは複数の第2ワークピースを加工するのに用いられる。
【0100】
本発明に係る歯車製造装置は、副保持部を折り畳みもしくは展開することにより、または副保持部を取り付けもしくは取り外すことにより、2つの加工モードに対応するように容易に変更することができる。ここで、加工モードは、加工ステップについて上述したのと同様に実行可能である。
【0101】
加工ステップや加工モードについて上述した特徴は、副保持部の可動性や分解性に関す
る別の運動学的設計に伴って使用されてもよい。
【0102】
本発明の実施可能な別の態様によると、ワークピース保持部1の副保持部2は、工具保持部3の副保持部4と同様に構成されてもよく、その場合、動作位置から休止位置へ移動可能であるか、または着脱可能に接続することができる。この場合に選択される構造的設計は、工具保持部3の副保持部4に対して選択されるものと同じであってもよい。
【0103】
しかしながら、たいていの使用場面において、副保持部2を何らかの直線軸に沿って動かすことで十分である。そのような直線軸を介して、ワークピース保持部1と副保持部2との間の軸方向距離が可変となり、作業領域の外側へも移動可能となり、それにより加工中の干渉を回避することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 ワークピース保持部
3 工具保持部
4 副保持部
5,5’ 駆動部
6 加工ヘッド
7 直線軸体
8 スライド体
9 収容開口
14 工具
15 スカイビング工具
16 ワークピース
17 第1歯部
18 第2歯部
21 フライス工具
22 ウォーム歯部
23 スカイビング工具
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備える歯車製造装置であって、
上記工具保持部は、該工具保持部に保持された工具によって上記ワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するために、上記歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介して上記ワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられ、
上記工具保持部は、移動軸を介して上記歯車製造装置の加工ヘッドにおいて動作位置から休止位置へ移動可能である、および上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに着脱可能に接続され得る副保持部を有し、
上記副保持部は、上記工具保持部および該副保持部が上記ワークピース保持部に対して1つ又は複数の上記移動軸を介して上記加工ヘッドによって移動することができるように、上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに上記工具保持部と共に配置され、
第1の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記工具保持部と上記副保持部との間に固定された第1工具によりワークピースを加工し、
第2の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記副保持部を上記休止位置に動かすかまたは上記加工ヘッドから取り外して、上記工具保持部に片側で固定された第2工具によりワークピースを加工し、かつ、
(a)上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの一方において、上記ワークピースをフライス加工し、かつ上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの他方において、上記ワークピースをスカイビング加工すること、
並びに、
(b)上記第1工具または第2工具と上記ワークピースとが第1軸交差角をなす状態で上記第1の加工ステップおよび/または加工モードを実行し、上記第1工具または第2工具と上記ワークピースとが第2軸交差角をなす状態で上記第2の加工ステップおよび/または加工モードを実行し、上記第1軸交差角と上記第2軸交差角との差は、45°以上であり、かつ135°以下とすること
の少なくとも一方を行って、
少なくとも1つの歯付ワークピースを製造するように制御する制御ユニットを備えている
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記副保持部は、直線軸体のスライド体に移動可能に設けられ、および/または着脱可能に接続されていて、上記スライド体を介して、上記工具保持部に対して該工具保持部の軸方向に移動可能である
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項3】
それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備える歯車製造装置であって、
上記工具保持部は、該工具保持部に保持された工具によって上記ワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するために、上記歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介して上記ワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられ、
上記工具保持部は、回動軸である移動軸を介して動作位置から休止位置へ移動可能である、および上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに着脱可能に接続され得る副保持部を有し、
上記副保持部は、上記工具保持部および該副保持部が上記ワークピース保持部に対して1つ又は複数の上記移動軸を介して上記加工ヘッドによって移動することができるように、上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに回動可能に上記工具保持部と共に配置されている
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記副保持部は、上記工具保持部の軸方向に対して垂直な平面内を延びる上記回動軸回りに回動可能であって、上記工具保持部に向かって折り畳まれるように構成されている
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
上記副保持部の上記休止位置において、上記副保持部およびその支持部の全ての要素は、上記工具保持部の軸に対して所定の距離を隔てる
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
上記副保持部は、上記休止位置にある場合、上記加工ヘッドの収容開口に収容されている
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項において、
上記副保持部は、上記動作位置にある場合、先細ピンおよび/または先細ピン収容ユニットを有するストッパ要素に当接し、
および/または、
上記副保持部は、上記動作位置において空気圧または流体圧で固定されるように構成される
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項において、
上記副保持部は、直線軸体のスライド体に対して再現可能な位置決めを行うために、ゼロ点クランプシステム、ならびに/または副保持部の相補的な先細ピンおよび/若しくは先細ピン収容ユニットを有する固定システムにより上記加工ヘッドに着脱可能に接続可能である
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項において、
自動工具交換装置を、および/またはフライス工具およびスカイビング工具を備える
ことを特徴とする歯車製造装置。
【請求項10】
それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備える歯車製造装置であり、
それぞれが駆動部によって回転され得るワークピース保持部および工具保持部を備え、
上記工具保持部は、該工具保持部に保持された工具によって上記ワークピース保持部に保持されたワークピースを歯車形成加工するために、上記歯車製造装置の1つまたは複数の移動軸を介して上記ワークピース保持部に対して移動可能な加工ヘッドに設けられ、
上記工具保持部は、移動軸を介して上記歯車製造装置の加工ヘッドにおいて動作位置から休止位置へ移動可能である、および上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに着脱可能に接続され得る副保持部を有し、
上記副保持部は、上記工具保持部および該副保持部が上記ワークピース保持部に対して1つ又は複数の上記移動軸を介して上記加工ヘッドによって移動することができるように、上記歯車製造装置の上記加工ヘッドに上記工具保持部と共に配置された歯車製造装置
を用いて、少なくとも1つの歯付きワークピースを製造する方法であって、
第1の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、工具保持部と移動軸を介して動作位置から休止位置へ移動可能である、および/または歯車製造装置の加工ヘッドに着脱可能に接続され得る副保持部との間に固定された第1工具によりワークピースを加工し、
第2の加工ステップおよび/または加工モードにおいて、上記副保持部を上記休止位置に動かすかまたは上記加工ヘッドから取り外して、上記工具保持部に片側で固定された第2工具によりワークピースを加工することを含み、かつ、
(a)上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの一方において、
上記ワークピースをフライス加工し、かつ上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードの他方において、上記ワークピースをスカイビング加工すること、
ならびに、
(b)上記第1工具または第2工具と上記ワークピースとが第1軸交差角をなす状態で上記第1の加工ステップおよび/または加工モードを実行し、上記第1工具または第2工具と上記ワークピースとが第2軸交差角をなす状態で上記第2の加工ステップおよび/または加工モードを実行し、上記第1軸交差角と上記第2軸交差角との差は、45°以上であり、および135°以下であること
の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、同じワークピースの加工に使用し、
または、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、異なるワークピースの加工に使用する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、ワークピースの2つの異なる歯部の加工に使用し、該加工において第1歯部をフライス加工しかつ第2歯部をスカイビング加工し、
および/または、
上記第1歯部は、上記第2歯部の直径よりも大きい直径を有し、および/または上記第2歯部に対する干渉要素を構成し、
および/または、
上記第1歯部および上記第2歯部は、平歯車歯部である
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10又は11において、
上記第1および第2の加工ステップおよび/または加工モードを、ワークピースの同じ歯部の加工に連続的に使用して、荒加工を行った後に仕上げ加工を行い、
および/または、
上記歯部は、ウォーム歯部である
ことを特徴とする方法。