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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056013
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】防災監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240412BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240412BHJP
   G08B 25/14 20060101ALI20240412BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B17/00 C
G08B25/00 510K
G08B25/14
H04M11/04
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034124
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2019178578の分割
【原出願日】2019-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】青山 晃久
(72)【発明者】
【氏名】茂木 稜子
(57)【要約】
【課題】非常電話親機から非常電話子機を容易に呼び出すことが困難だった。
【解決手段】火災の検出に供する端末装置と、非常電話子機と、端末装置と伝送回線を介して接続され火災を監視する受信機としての機能、および、非常電話子機と電話回線を介して通話可能な非常電話親機としての機能、を備える防災監視装置と、を備える防災監視システムであって、防災監視装置は、端末装置のうち火災の検出に関連する端末装置の設置位置を火災が発生した場所として表示する第1表示部と、非常電話子機からの着信信号を受信している場合に非常電話子機の設置位置情報を表示する第2表示部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災の検出に供する端末装置と、
非常電話子機と、
前記端末装置と伝送回線を介して接続され火災を監視する受信機としての機能、および、前記非常電話子機と電話回線を介して通話可能な非常電話親機としての機能、を備える防災監視装置と、を備える防災監視システムであって、
前記防災監視装置は、
前記端末装置のうち火災の検出に関連する前記端末装置の設置位置を火災が発生した場所として表示する第1表示部と、
前記非常電話子機からの着信信号を受信している場合に前記非常電話子機の設置位置情報を表示する第2表示部と、を備えることを特徴とする防災監視システム。
【請求項2】
火災の検出に供する端末装置と、
非常電話子機と、
前記端末装置と伝送回線を介して接続され火災を監視する受信機としての機能、および、前記非常電話子機と電話回線を介して通話可能な非常電話親機としての機能、を備える防災監視装置と、を備える防災監視システムであって、
前記防災監視装置は、
前記端末装置のうち火災の検出に関連する前記端末装置の設置位置を火災が発生した場所として表示する第1表示部と、
前記非常電話子機からの着信履歴を前記非常電話子機の設置位置情報とともに表示する第2表示部と、を備えることを特徴とする防災監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、火災受信盤に火災受信機と非常電話親機とが備えられた防災監視装置が開示されている。
非常電話親機は、施設内に配置された複数の非常電話子機と電話回線を介して接続されており、非常電話子機からの着信信号を受信した場合に通話操作を行うことで、当該非常電話子機と通話可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-79379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、非常電話親機及び非常電話子機には、非常電話親機から非常電話子機を呼び出したい場合がある。この場合には、作業者は、非常電話親機に設けられたテンキーを用いて、呼び出したい非常電話子機のアドレスや位置を入力する必要があり、面倒である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、非常電話親機から非常電話子機を容易に呼び出すことができる防災監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、火災の検出に供する端末装置と、非常電話子機と、前記端末装置と伝送回線を介して接続され火災を監視する受信機としての機能、および、前記非常電話子機と電話回線を介して通話可能な非常電話親機としての機能、を備える防災監視装置と、を備える防災監視システムであって、前記防災監視装置は、前記端末装置のうち火災の検出に関連する前記端末装置の設置位置を火災が発生した場所として表示する第1表示部と、前記非常電話子機からの着信信号を受信している場合に前記非常電話子機の設置位置情報を表示する第2表示部と、を備えることである。
【0007】
(2)本発明の一態様は、火災の検出に供する端末装置と、非常電話子機と、前記端末装置と伝送回線を介して接続され火災を監視する受信機としての機能、および、前記非常電話子機と電話回線を介して通話可能な非常電話親機としての機能、を備える防災監視装置と、を備える防災監視システムであって、前記防災監視装置は、前記端末装置のうち火災の検出に関連する前記端末装置の設置位置を火災が発生した場所として表示する第1表示部と、前記非常電話子機からの着信履歴を前記非常電話子機の設置位置情報とともに表示する第2表示部と、を備えることである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、非常電話親機から非常電話子機を容易に呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る防災監視装置4を備えた防災監視システムAの概略構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る非常電話親機5の概略構成図である。
図3】本実施形態に係る非常電話親機5の盤面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る防災監視システムAを、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る防災監視システムAの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、防災監視システムAは、端末装置1、非常電話子機2、中継器3及び防災監視装置4を備える。防災監視装置4は、非常電話親機5及び受信機6を備える。本実施形態の防災監視装置4は、受信盤Bを有し、非常電話親機5と受信機6とが受信盤Bで一体化されている。
【0012】
複数の端末装置1は、建物の各階の天井や壁等に配置されている。例えば、端末装置1は、熱感知器や煙感知器等の各種の感知器、発信機、中継器、地区音響装置、光警報装置等である。例えば、1台又は複数台の端末装置1がそれぞれ法定の設置間隔で各階に配置されている。端末装置1は、伝送回線Dを介して受信機6に接続されている。なお、各端末装置1は、受信機6に対して有線ではなく無線で接続されてもよい。
端末装置1(例えば、発信機)は、火災の発生を検出すると、火災発生を示す発報信号を、伝送回線Dを介して受信機6に送信する。
【0013】
非常電話子機2は、施設内に複数配置されている。非常電話子機2は、中継器3を介して非常電話親機5と接続されている。非常電話子機2は、送受話器2aを備え、所定の位置にある送受話器2aがフックから取り外されると(いわゆるオフフック)、着信信号を、中継器3を介して受信機6に送信する。これにより、非常電話親機5に接続されている受信機6から不図示の非常放送設備に移報信号が送信され、当該非常放送設備から非常発報が行われる。
さらに、非常電話子機2は、非常電話親機5との通話が確立すると、送受話器2aに入力された音声を信号(音声信号)に変換して中継器3を介して受信機6に送信する。
【0014】
中継器3は、非常電話親機5と一以上の非常電話子機2との間に接続されている。中継器3は、第1電話回線L1を介して非常電話親機5と接続されている。また、中継器3は、第2電話回線L2を介して一以上の非常電話子機2と接続されている。
中継器3は、非常電話親機5と一以上の非常電話子機2との間における通信を中継する。中継器3は、第2電話回線L2を介して非常電話子機2から発信された着信信号を受信すると、発信元である当該非常電話子機2を特定可能な情報(以下、「識別情報」という。)を着信信号に付して第1電話回線L1と並列に敷設された図示しない信号線Ld1を介して非常電話親機5に送信する。この識別情報とは、発信元である当該非常電話子機2と接続する中継器3の固有の情報であって、例えば、中継器3に割り当てられたアドレスと、当該中継器3のうち当該非常電話子機2と接続する回線を特定する情報であって、例えば、当該非常電話子機2と接続する回線の回線番号と、の2つの情報に基づくものであってもよい。また、識別情報は、発信元である非常電話子機2の固有の情報であって、例えば、非常電話子機2に割り当てられたアドレスであってもよい。
【0015】
また、中継器3は、非常電話子機2からの音声信号をデジタル信号に変換して非常電話親機5に送信する機能を備えてもよい。
【0016】
非常電話親機5は、一以上の非常電話子機2と通話可能である。すなわち、非常電話親機5は、非常電話子機2からの着信(着呼ともいう)に応答することで非常電話親機から信号線Ld1を介して中継器3に通話開始命令が送信され、中継器3が第1電話回線L1と第2電話回線L2を接続することで当該非常電話子機2と通話可能である。本実施形態に係る着信とは、着信信号を受信することである。
【0017】
非常電話親機5は、一以上の非常電話子機2のうち、任意の非常電話子機2を呼び出すことができる。すなわち、非常電話親機5は、一以上の非常電話子機2のうち、任意の非常電話子機2を指定して発信することで中継器3を介して非常電話子機2を呼び出すことができる。本実施形態に係る発信とは、発信信号を送信することである。
ここで、非常電話親機5は、非常電話子機2からの着信信号を受信した場合には、当該着信信号の発信元の情報である発信元情報を着信履歴として記憶し、前記着信履歴から選択された任意の非常電話子機2を呼び出すことが可能である。発信元情報は、発信元を特定できれば、いかなる情報であってもよく、発信元の設置位置を示す情報(後述する設置位置情報)であってもよいし、発信元の固有の識別情報(例えば、アドレス)であってもよい。
【0018】
また、非常電話親機5は、着信信号を受信すると、当該着信信号を受信機6に送信する。
【0019】
受信機6は、非常電話親機5と電気通信回線を介して接続されている。例えば、受信機6は、非常電話親機5との間でRS485に準拠したシリアル通信を行うように構成されている。
【0020】
受信機6は、端末装置1から発報信号を受信すると火災発生を報知する。例えば、受信機6は、端末装置1から発報信号を受信すると非常放送設備(不図示)に移報信号を送信する。これにより、前記非常放送設備から非常発報(ベル音やアナウンス)が行われる。
また、受信機6は、端末装置1から発報信号を受信すると火災発生を報知する。例えば、受信機6は、非常電話親機5から着信信号を受信すると前記非常放送設備に移報信号を送信する。これにより、前記非常放送設備から非常発報(ベル音やアナウンス)が行われる。このように、受信機6は、端末装置1からの発報信号及び非常電話親機5からの着信信号の少なくともいずれかの信号を受信した場合には、上記非常放送設備に移報信号を送信して火災発生を報知する。
受信機6は、いわゆるR型受信機であってよいし、P型受信機であってもよい。
【0021】
例えば、受信機6は、表示部61及び制御部62を備える。
【0022】
表示部61は、液晶ディスプレイや表示灯を備える。表示部61は、例えば、火災の発生を示す表示と共に、発報信号を受信機6に出力した端末装置1の設置場所を、火災が発生した場所として表示する。
【0023】
制御部62は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成される。
制御部62は、受信機6に関する各種の制御を行う。制御部62は、端末装置1からの発報信号及び非常電話親機5からの着信信号の少なくともいずれかの信号に基づき火災を判定した場合には、上記非常放送設備移報信号を送信する。また、制御部62は、表示部61の表示を制御する。
【0024】
次に、本実施形態に係る非常電話親機5の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る非常電話親機5の概略構成図である。図3は、本実施形態に係る非常電話親機5の盤面を示す図である。
【0025】
図2に示すように、非常電話親機5は、送受話器10、第1操作部11、状態表示灯12、第2操作部13、第3操作部14、表示灯15、表示部16、選択部17、第4操作部18、スピーカ19、格納部20及び制御部21を備える。
【0026】
送受話器10は、制御部21に有線又は無線で接続されている。送受話器10は、フックから取り外される操作(以下、「応答操作」という。)が行われると、非常電話子機2と通信可能となる。すなわち、応答操作とは、いわゆるオフフックである。
【0027】
第1操作部11は、テンキーや決定ボタンを備えている。ユーザは、第1操作部11を操作して非常電話親機5から呼び出したい非常電話子機2の発信先情報を入力することで、当該非常電話子機2を呼び出すことができる。なお、ユーザとは、非常電話親機5を使用する者であって、例えば、施工者や管理者等である。
【0028】
状態表示灯12は、制御部21により点灯が制御される。状態表示灯12は、複数の表示灯12-1~12-3を備える。
【0029】
表示灯12-1は、非常電話親機5の内部回路の電圧が正常値の場合に点灯する。
表示灯12-2は、非常電話親機5に設けられた蓄電池(不図示)に対して充電している際(トリクル充電を含む)に点灯する。
表示灯12-3は、送受話器10が所定のスペースから外れている場合に点灯する。
【0030】
第2操作部13は、ユーザが操作可能なスイッチである。例えば、第2操作部13は、連動停止スイッチ13-1及び蓄電池試験スイッチ13-2を備える。
【0031】
連動停止スイッチ13-1は、ユーザにより操作されると、制御部21に上記非常放送設備への移報を停止させる移報停止信号を出力する。これにより、制御部21は、移報停止信号を取得すると、受信機6と通信して受信機6から上記非常放送設備への移報信号の出力を停止させる。
【0032】
蓄電池試験スイッチ13-2は、ユーザにより操作されると、上記蓄電池の電圧を確認する試験の実行を指示する試験開始信号を制御部21に出力する。これにより、制御部21は、試験開始信号を取得すると、上記蓄電池の電圧を確認する試験を実行する。
【0033】
第3操作部14は、ユーザにより操作可能な操作部である。第3操作部14は、ユーザが着信履歴表示モードに移行させる際に操作される。着信履歴表示モードとは、着信履歴を表示部16に表示させるモードである。なお、以下の説明において、着信履歴を表示部16に表示させることを履歴表示と称する場合がある。なお、第3操作部14は、タッチパネルであってもよいし、スイッチであってもよい。
【0034】
表示灯15は、着信履歴表示モード中においてのみ常に点灯する。表示灯15の点灯は、制御部21により制御される。
【0035】
表示部16は、種々の情報を表示可能である。表示部16の表示は、制御部21により制御される。例えば、表示部16は、液晶ディスプレイや7セグメントディスプレイである。
表示部16は、着信履歴表示モード中においては着信履歴を表示する。また、表示部16は、非常電話親機5が着信信号を受信している場合には、当該着信信号を発信している発信元の発信元情報を表示する。
【0036】
一例として、図3に示すように、表示部16は、複数の表示エリア16x(表示エリア16a~表示エリア16c)を備える。本実施形態では、表示部16は、3つの表示エリア16a~表示エリア16cを備えるが、これに限定されず、2つ以上であればよい。そして、表示エリア16xは、表示エリア16a、表示エリア16b、表示エリア16cの順に並んで設けられている。なお、複数の表示エリア16a~表示エリア16cのそれぞれは、同様の構成を備えており、それぞれを区別しない場合には、単に「表示エリア16x」と標記する。
【0037】
表示エリア16xは、第1表示エリア161と第2表示エリア162を備える。
第1表示エリア161は、液晶ディスプレイや7セグメントディスプレイであって、発信元情報を表示可能である。
第2表示エリア162は、液晶ディスプレイや7セグメントディスプレイであって、第1表示エリア161に表示された発信元情報が示す発信元からの着信の着信順序を表示可能である。
【0038】
選択部17は、表示部16に履歴表示された着信履歴の中から任意の発信元情報を選択可能な操作部である。選択部17は、ユーザにより操作される。なお、選択部17は、タッチパネルであってもよいし、スイッチであってもよい。
本実施形態の選択部17は、表示エリア16xごとに設けられる選択スイッチ171を備える。例えば、選択スイッチ171aは、表示エリア16aに対応して設けられている。選択スイッチ171bは、表示エリア16bに対応して設けられている。選択スイッチ171cは、表示エリア16cに対応して設けられている。
【0039】
したがって、選択スイッチ171aが押下された場合には、表示エリア16aに表示されている発信元情報が示す非常電話子機2が非常電話親機5の通話先として選択される。選択スイッチ171bが押下された場合には、表示エリア16bに表示されている発信元情報が示す非常電話子機2が非常電話親機5の通話先として選択される。選択スイッチ171cが押下された場合には、表示エリア16cに表示されている発信元情報が示す非常電話子機2が非常電話親機5の通話先として選択される。
【0040】
第4操作部18は、スクロール操作部18-1及び障害表示操作部18-2を備える。
スクロール操作部18-1は、スクロール表示灯18a-1及びスクロールスイッチ18b-1を備える。
スクロール表示灯18a-1は、表示部16に表示される着信履歴の発信元情報が規定数(本実施形態では、「3」)を超える場合には、制御部21の制御にもとに点灯する。
スクロールスイッチ18b-1は、表示部16に表示される着信履歴の発信元情報をスクロールするためのスイッチである。例えば、スクロールスイッチ18b-1が操作されると、表示部16に表示される着信履歴の発信元情報が着信順に従って変更される。
【0041】
障害表示操作部18-2は、障害表示灯18a-2及び障害表示スイッチ18b-2を備える。
【0042】
障害表示灯18a-2は、非常電話親機5に障害が発生した場合に点灯する。
障害表示スイッチ18b-2は、非常電話親機5に発生した障害の障害コードを表示部16に表示させるためのスイッチである。
【0043】
スピーカ19は、非常電話子機2から非常電話親機5に着信があった場合に所定の呼び出し音を出力する。これにより、非常電話子機2から非常電話親機5に着信があった場合に呼び出し音が鳴動される。
【0044】
格納部20には、種々の情報が格納されている。格納部20には、着信履歴が格納される。また、格納部20には、複数の非常電話子機2の設置場所を特定するための情報テーブル(例えば、ルックアップテーブル)が格納されている。
情報テーブルには、非常電話子機2の固有の識別情報(例えば、接続される中継器3のアドレスと当該中継器の回線のうち非常電話子機が接続されている回線の回線番号からなる情報、または非常電話子機2固有のアドレス)と、当該非常電話子機2の設置位置の情報(以下、「設置位置情報」という。)とが非常電話子機2ごとに関連付けられている。設置位置情報とは、例えば、棟,階,番(フロア)で示される施設内における位置情報である。ただし、設置位置情報は、棟,階,番(フロア)の情報に限定されず、非常電話子機2の設置位置が特定できればよい。
【0045】
制御部21は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成される。例えば、制御部21は、コンピュータ等の情報処理装置であってもよい。
【0046】
制御部21は、制御部62との間で通信する。例えば、制御部21は、制御部62との間でRS485に準拠したシリアル通信を行う。
制御部21は、非常電話子機2から着信信号を受信した場合には、着信信号の発信元を示す発信元情報を着信履歴として格納部20に格納する。ここで、発信元情報は、発信元の固有の識別情報であってもよいし、発信元の設置位置情報であってもよい。そして、制御部21は、着信履歴の中から任意の非常電話子機を呼び出し可能な機能を備える。
【0047】
以下に、本実施形態における制御部21の各機能について、図2を用いて説明する。
制御部21は、処理部30、表示制御部31、及び通話制御部32を備える。
【0048】
処理部30は、非常電話子機2からの着信信号を受信した場合には、当該着信信号を受信機6に送信するとともに、当該着信信号の発信元の情報である発信元情報を着信履歴として格納部20に格納する。例えば、処理部30は、非常電話子機2からの着信信号を受信した場合には、当該着信信号に含まれているアドレスを着信履歴として格納部20に格納する。また、処理部30は、非常電話子機2からの着信信号を受信した場合には、当該着信信号に含まれているアドレスに関連付けられた設置位置情報を上記情報テーブルから読み取り、その読み取った設置位置情報を着信履歴として格納部20に格納してもよい。なお、例えば、処理部30は、発信元情報を着信順に格納部20に格納する。
【0049】
表示制御部31は、非常電話子機2から着信信号を受信した場合には、当該着信信号の発信元を示す発信元情報を着呼表示として表示部16に表示する。
表示制御部31は、第3操作部14が操作された場合には着信履歴表示モードに移行して、格納部20に格納されている着信履歴を履歴表示として表示部16に表示する。ただし、表示制御部31は、履歴表示中において、非常電話子機2から着信信号を受信した場合には、着信履歴表示モードを脱出して履歴表示から着呼表示に切り替える。
【0050】
通話制御部32は、選択部17により任意の発信元情報が選択された場合には、選択部17により選択された当該発信元情報が示す非常電話子機2を指定する呼出信号を送信する。これにより、通話制御部32は、当該非常電話子機2を呼び出すことができる。
【0051】
以下に、本実施形態における非常電話親機5の動作について、説明する。
例えば、施設内に4つの非常電話子機2-1~2-4が設置されているとする。この場合において、非常電話親機5が非常電話子機2-1、非常電話子機2-2、非常電話子機2-3、非常電話子機2-4の順に非常電話子機2から着信信号を受信した場合には、処理部30は、非常電話子機2-1~2-4のそれぞれの発信元情報を着信履歴として着信順に格納部20に格納する。
また、非常電話子機2-1から着信信号を受信したときに非常電話子機2-1の発信元情報を表示エリア16aに表示し、非常電話子機2-2から着信信号を受信したときに非常電話子機2-1からの呼出又は通話が完了していない場合は、非常電話子機2-2の発信元情報を表示エリア16bに表示し、非常電話子機2-2から着信信号を受信したときに非常電話子機2-1からの呼出又は通話が完了している場合は、表示エリア16aに表示されていた非常電話子機2-1の発信元情報は表示されていない状態となるため、非常電話子機2-2の発信元情報を表示エリア16aに表示する。
非常電話子機2-1~2-4のいずれも呼出または通話が完了していないときに着信信号を受信した場合には、非常電話子機2-1の発信元情報を表示エリア16aに表示し、非常電話子機2-2の発信元情報を表示エリア16bに表示し、非常電話子機2-3の発信元情報を表示エリア16cに表示する。
その後、表示制御部31は、第3操作部14が操作されると、着信履歴表示モードに移行して、格納部20に格納されている着信履歴のうち、直近の着信から近い順に3つの発信元情報を格納部20から読み出し、読み出した3つの発信元情報を表示部16に表示する。すなわち、表示制御部31は、非常電話子機2-4,非常電話子機2-3,非常電話子機2-2の各発信元情報を読み出し、非常電話子機2-4の発信元情報を表示エリア16aに表示し、非常電話子機2-3の発信元情報を表示エリア16bに表示し、非常電話子機2-2の発信元情報を表示エリア16cに表示する。ここで、スクロールスイッチ18b-1が操作されると、表示制御部31は、非常電話子機2-3の発信元情報を表示エリア16aに表示し、非常電話子機2-2の発信元情報を表示エリア16bに表示し、非常電話子機2-1の発信元情報を表示エリア16cに表示する。
なお、発信元のアドレスが着信履歴として格納部20に格納される場合には、表示制御部31は、格納部20に着信履歴として格納されているアドレスに関連付けられた設置位置情報を着信順に上記情報テーブルから読み取り、その読み取った設置位置情報を発信元情報として各表示エリア16xに表示してもよい。
【0052】
次に、ユーザが選択スイッチ171aを押下したとする。すると、通話制御部32は、表示エリア16aに表示されている発信元情報が示す非常電話子機2に対して呼出信号を送信する。例えば、表示エリア16aに非常電話子機2-1の設置位置情報が表示されている場合には、通話制御部32は、非常電話子機2-1に対して呼出信号を送信する。これにより、通話制御部32は、非常電話子機2-1を呼び出すことができる。そして、非常電話子機2-1の送受話器2aがフックから外された場合には、非常電話親機5は、非常電話子機2-1との通話が可能となる。したがって、ユーザは、非常電話親機5から非常電話子機2を呼び出す場合に、非常電話親機5に設けられたテンキーを用いて、呼び出したい非常電話子機のアドレスや位置を入力する必要がなくなり、容易に非常電話子機2を呼び出すことができる。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0054】
(変形例1)上記実施形態において、表示制御部31は、着信履歴表示モード中の履歴表示において、着信履歴に含まれる複数の発信元情報のうち、最新の発信元情報を第1の色で表示し、最新の発信元情報以外の発信元情報を第1の色とは異なる第2の色で表示してもよい。
【0055】
(変形例2)上記実施形態において、非常電話親機5は、二以上の非常電話子機2と同時に通話可能であってもよい。この場合に、非常電話親機5は、二以上の非常電話子機2との通話時の通話履歴として、当該二以上の非常電話子機2のそれぞれを特定する情報(アドレスや設置位置情報)を表示部16に表示してもよい。
【0056】
(変形例3)上記実施形態において、選択部17は、非常電話親機5と非常電話子機2とが通話中において当該非常電話子機を保留にする機能を備えてもよい。すなわち、非常電話親機5は、着信履歴表示モード以外において、選択部17によって任意の発信元情報が選択された場合には、選択された発信元情報が示す非常電話子機2を保留にしてもよい。
【0057】
(変形例4)上記実施形態において、表示制御部31は、履歴表示において、発信元情報としてアドレスを表示部16に表示してもよい。
【0058】
(変形例5)上記実施形態において、第2表示エリア162は、必ずしも必要ではなく、省略されてもよい。また、表示制御部31は、第2表示エリア162に、着信順序ではなく、着信があった時刻を表示してもよい。
【0059】
(変形例6)上記実施形態において、着信履歴の格納部20と、制御部21のうちの格納部に着信履歴を格納するとともに着信履歴から呼び出す非常電話子機2を指定する部分、及び表示部16については、非常電話親機5以外に設けても良い。例えば、受信機6や受信機6と接続される防災表示装置に設けても良い。
【0060】
(変形例7)上記実施形態において、着信履歴は例えば一日ごとの、所定の区間で区別するようにし、着信履歴を表示する際は、現在の区間より以前の着信履歴を表示しないようにしても良い。このようにすることで、例えば、当日の着信履歴のみを表示することにより確認作業を容易にすることが可能となる。
【0061】
(変形例8)上記実施形態において、例えば、スクロールボタン(例えば、スクロールスイッチ18b-1)等の長押し操作により、最新の着信履歴又は最古の着信履歴が表示されるようにスクロールするようにしても良い。
【0062】
(変形例9)上記実施形態において、着信履歴の表示の際、通話が成立した着信履歴と成立しなかった着信履歴について区別できるように表示しても良い。
【0063】
以上、説明したように、本実施形態に係る非常電話親機5は、着信履歴から任意の発信元情報が選択された場合には、当該発信元情報が示す非常電話子機2を呼び出す。
【0064】
このような構成によれば、非常電話親機5から非常電話子機2を呼び出す場合に呼び出したい非常電話子機のアドレスや位置を入力する必要がなくなり、非常電話親機から非常電話子機を容易に呼び出すことができる。
【0065】
また、本実施形態に係る非常電話親機5は、着呼表示と履歴表示とを表示部16で兼用している。例えば、表示部16において、着呼表示の際に発信元情報を表示する領域と、履歴表示の際に発信元情報を表示する領域と、は同一の領域である。
このような構成により、非常電話親機5に対して、着呼表示用の表示部と履歴表示用の表示部とのそれぞれの表示部を設ける必要がない。
【0066】
また、本実施形態に係る非常電話親機5において、履歴表示で表示部16に表示される情報は、着信履歴に関する情報のみであるため、履歴表示が行われている場合に、受信機6の他のイベントの情報が表示部16に表示されることがない。
【0067】
なお、上述した制御部21の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、制御部21の全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 端末装置
2 非常電話子機
3 中継器
4 防災監視装置
5 非常電話親機
6 受信機
11 第1操作部
14 第3操作部
15 表示灯
16 表示部
17 選択部
20 格納部
21 制御部
30 処理部
31 表示制御部
32 通話制御部
図1
図2
図3