(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056019
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】貨物自動車
(51)【国際特許分類】
B60R 19/38 20060101AFI20240412BHJP
B60P 1/00 20060101ALI20240412BHJP
B60P 1/43 20060101ALI20240412BHJP
B60R 19/24 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B60R19/38 B
B60P1/00 H
B60P1/43 A
B60P1/43 B
B60R19/24 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034249
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2022037428の分割
【原出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】目黒 祐太
(57)【要約】
【課題】構造の複雑化を抑制することが可能な貨物自動車を提供する。
【解決手段】シャシフレーム200に対する姿勢を、シャシフレーム200の上に配置した姿勢である格納姿勢と、地面Gの上に配置した姿勢である接地姿勢とに変化させることが可能な荷台102と、荷台102の姿勢が格納姿勢から接地姿勢へ変化する際に、貨物自動車100の幅方向から見て、貨物自動車100の全体の重心CG1が貨物自動車100の後輪軸CG2よりも後方へ移動する前に、荷台102の一部を地面Gに接地させる荷台昇降装置(ガイドローラ案内部104、ガイドローラ403)を備える貨物自動車100。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体が備えるシャシフレームに対する姿勢を、該シャシフレームの上に配置した姿勢である格納姿勢と、自身を前記車両本体から後側に張り出させ、さらに地面の上に配置した姿勢である接地姿勢とに変化させることが可能な荷台を備えている貨物自動車であって、
長さ方向が車両前後方向に沿い、前端部が前記シャシフレームの後端部に車幅方向に沿う軸回りに揺動可能に支持されている長尺部材であり、車幅方向両側に備えられている一対の第一バンパステーと、
長さ方向が車幅方向に沿い、車両右側及び車両左側の前記第一バンパステーの後端部に跨って固定されているリヤバンパと、
前記荷台の下面を車両前後方向に沿って転動移動可能なバンパローラと、
上端部が前記バンパローラに車幅方向に沿う軸回りに相対回転可能に接続され、下端部が前記リヤバンパの上部に車幅方向に沿う軸回りに揺動可能に接続されている第二バンパステーと、
前記第二バンパステーに、前記荷台が前記格納姿勢のとき車両後側を向くように固定されているテールランプと、を備え、
前記荷台が前記格納姿勢のとき、前記第一バンパステーが地面と略平行であり、且つ前記第二バンパステーが地面と略垂直な姿勢をとり、
前記荷台が前記接地姿勢のとき、前記第一バンパステーが傾斜して前記リヤバンパが接地し、前記第二バンパステーの上端部が車両後側に傾斜した姿勢をとることを特徴とする貨物自動車。
【請求項2】
前記荷台の下部には、前記バンパローラを車両前後方向に沿って案内するための縦根太が、車幅方向両側に一つずつ備えられ、
前記縦根太は、横断面が略コの字形状の長尺部材であり、長さ方向が車両前後方向に沿い且つ開口側が車幅方向外側を向くように、前記荷台の下部における車両右側及び車両左側に固定されており、
前記バンパローラは、前記縦根太の内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の貨物自動車。
【請求項3】
前記リヤバンパは、前記荷台が前記格納姿勢のときに上面及び下面が車両前後方向に沿い且つ前面及び後面が上下方向に沿う向きの四角柱から、前記後面と前記下面との角部を斜めに切り欠いて接地面が形成されている部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貨物自動車。
【請求項4】
前記リヤバンパは、さらに、前記前面と前記上面との角部を前記接地面と平行に切り欠いて荷台支持面が形成されている六角柱形状の部材であることを特徴とする請求項3に記載の貨物自動車。
【請求項5】
請求項1に記載の貨物自動車に搭載されるリヤバンパであって、
上面及び下面が車両前後方向に沿い且つ前面及び後面が上下方向に沿う向きの四角柱から、前記後面と前記下面との角部を斜めに切り欠いて接地面が形成され、前記前面と前記上面との角部を前記接地面と平行に切り欠いて荷台支持面が形成された、六角柱形状であることを特徴とするリヤバンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台の姿勢をシャシフレームの上に配置した姿勢である格納姿勢と、地面の上に配置した姿勢である接地姿勢とに変化させることが可能な貨物自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
後方へスライド移動させた荷台を接地させることが可能な貨物自動車は、例えば、特許文献1に開示されているように、後方へスライド移動させる荷台が自車両の後方において片持ち状態で支持されることを抑制するために、荷台を支持する支持脚を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、接地させている荷台を貨物自動車の走行時における姿勢に戻す際に、支持脚を折りたたむ必要があるため、支持脚の構造を、折りたたみが可能な構造とする必要があり、構造が複雑化するという問題がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、構造の複雑化を抑制することが可能な貨物自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る貨物自動車は、荷台と、荷台昇降装置とを備える。荷台は、シャシフレームに対する姿勢を、シャシフレームの上に配置した姿勢である格納姿勢と、地面の上に配置した姿勢である接地姿勢とに変化させることが可能である。荷台昇降装置は、荷台の姿勢が格納姿勢から接地姿勢へ変化する際に、貨物自動車の幅方向から見て、貨物自動車の全体の重心が貨物自動車の後輪軸よりも後方へ移動する前に、荷台の一部を前記地面に接地させる装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る貨物自動車によれば、構造の複雑化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】後煽り装置を備える貨物自動車の構成を示す側面図であり、荷台の姿勢が格納姿勢である状態を示す図である。
【
図2】荷台の姿勢が格納姿勢である状態における、車両本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る後煽り装置について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0009】
(実施形態)
(構成)
図1に示すように、貨物自動車100は、後煽り装置1を備える。なお、後煽り装置1の説明は、後述する。
また、貨物自動車100は、車両本体101を備える。
実施形態では、
図1に示すように、車両本体101を、トラックとした場合について説明する。なお、以降の説明及び図面では、貨物自動車100が前進する方向(シフトがDレンジ等に選択されている状態で走行する方向)を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、貨物自動車100が後退する方向(シフトがRレンジに選択されている状態で走行する方向)を、「後方」と記載する場合がある。
【0010】
また、以降の説明及び図面では、貨物自動車100の運転者が運転席に座っているときの左手側を「左側」と示し、運転者が運転席に座っているときの右手側を「右側」と示す。したがって、以降の説明及び図面では、貨物自動車100を左側から見た視点を「左側面視」とし、貨物自動車100を右側から見た視点を「右側面視」とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
車両本体101は、
図1から
図3に示すように、シャシフレーム200と、荷台102と、傾斜フレーム300と、ガイドフレーム400と、荷台シリンダ500と、傾斜フレームシリンダ600と、バンパステー700を備える。
シャシフレーム200は、車両本体101の骨格を構成する。
【0011】
<荷台>
荷台102は、
図1に示す格納姿勢で、傾斜フレーム300の上に配置されている。
また、荷台102は、床板106と、前方ローラ102aと、後方ローラ102bと、縦根太103を備える。
床板106は、運搬対象車両等の貨物を上面に積載する板である。
【0012】
前方ローラ102aは、円筒状に形成されており、床板106の下面(
図2では、下側の面)に配置されている。また、前方ローラ102aは、前方ブラケット102cを用いて、床板106に対して回転可能に取り付けられている。前方ローラ102aの一部は、前方ブラケット102cよりも下方へ突出している。
前方ローラ102aの回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
後方ローラ102bは、円筒状に形成されており、床板106の後端(
図2では、右側の端部)において、床板106の下面に配置されている。また、後方ローラ102bは、
床板106に対して回転可能に取り付けられている。後方ローラ102bの一部は、床板106よりも下方及び後方へ突出している。
後方ローラ102bの回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
【0013】
縦根太103は、二本一組で形成されており、床板106の下面に固定されている。
また、縦根太103は、
図5等に示すように、貨物自動車100の前後方向から見て、貨物自動車100の幅方向で外側を向く部分が開口したコの字形に形成されている。
縦根太103の長さ方向は、貨物自動車100の前後方向と平行である。
また、床板106の下面のうち、貨物自動車100の前後方向から見て、前方ブラケット102cと縦根太103との間に配置される部分は、ガイドローラ案内部104を形成している。
【0014】
ガイドローラ案内部104は、前側水平案内面104aと、傾斜案内面104bと、後側水平案内面104cを備える。
前側水平案内面104aは、ガイドローラ案内部104のうち、貨物自動車100の幅方向から見て前側(
図2では、左側)の部分を形成しており、床板106の下面と平行な面である。
傾斜案内面104bは、ガイドローラ案内部104のうち、貨物自動車100の幅方向から見て前側水平案内面104aよりも後側(
図2では、右側)の部分を形成している。また、傾斜案内面104bは、貨物自動車100の幅方向から見て、前方よりも後方が低くなるように傾斜している面である。
【0015】
傾斜案内面104bの傾斜度合い(傾斜角度)は、例えば、貨物自動車100に設定されている最大積載量(例えば、3.5トン)の積荷(運搬対象車両等)を、荷台102の最後部に載せている状態で、荷台102の姿勢が格納姿勢から接地姿勢へ変化する際に、貨物自動車100の幅方向から見て、貨物自動車100の全体の重心CG1が貨物自動車100の後輪軸CG2よりも後方へ移動する前に、荷台102の一部が地面Gに接地する傾斜度合いに設定する。
なお、後輪軸CG2とは、貨物自動車100が備える後輪の回転軸である。
後側水平案内面104cは、ガイドローラ案内部104のうち、貨物自動車100の幅方向から見て傾斜案内面104bよりも後側(
図2では、右側)の部分を形成しており、床板106の下面と平行な面である。
【0016】
<傾斜フレーム>
傾斜フレーム300は、ガイドフレーム400と荷台102との間に配置されており、ガイドフレーム400及び荷台102と相対変位可能に形成されている。
具体的に、傾斜フレーム300は、ガイドフレーム400に対して、傾斜とスライド移動が可能に取り付けられている。
また、傾斜フレーム300は、第一水平部301と、傾斜部302と、第二水平部303と、第一下面ローラ304と、第二下面ローラ305を備える。
【0017】
第一水平部301は、貨物自動車100の前後方向から見てコの字形に形成した板状の部材を、二本一組で用いて形成されており、荷台102が格納姿勢である状態で、長さ方向を貨物自動車100の前後方向と平行に向けて配置されている。
二本一組の第一水平部301は、貨物自動車100の幅方向に沿って平行に配列されており、厚さ方向が貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、二本一組の第一水平部301は、
図5に示すように、それぞれ、前方ローラ102aが走行する第一ガイドレーン301aを備える。第一ガイドレーン301aは、二本一組の第一水平部301において、それぞれ、貨物自動車100の幅方向で外側を向く面に形成されている。
【0018】
傾斜部302は、第一水平部301の後端(
図2では、右側の端部)と連続している。
傾斜部302は、板状の部材を二本一組で用いて形成されており、荷台102が格納姿勢である状態では、側面視で、第一水平部301から離れるほど上方へ向けて傾斜している。
二本一組の傾斜部302は、貨物自動車100の幅方向に沿って平行に配列されており、厚さ方向が貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、二本一組の傾斜部302は、それぞれ、前方ローラ102aが走行する傾斜部ガイドレーン302aを備える。傾斜部ガイドレーン302aは、二本一組の傾斜部302において、それぞれ、貨物自動車100の幅方向で外側を向く面に形成されている。また、傾斜部ガイドレーン302aは、第一ガイドレーン301aと連続している。
【0019】
第二水平部303は、傾斜部302の後端(
図2では、右側の端部)と連続している。
傾斜部302は、板状の部材を二本一組で用いて形成されており、荷台102が格納姿勢である状態で、長さ方向を貨物自動車100の前後方向と平行に向けて配置されている。
二本一組の第二水平部303は、貨物自動車100の幅方向に沿って平行に配列されており、厚さ方向が貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、二本一組の第二水平部303は、
図6に示すように、それぞれ、前方ローラ102aが走行する第二ガイドレーン303aを備える。第二ガイドレーン303aは、二本一組の第二水平部303において、それぞれ、貨物自動車100の幅方向で外側を向く面に形成されている。また、第二ガイドレーン303aは、傾斜部ガイドレーン302aと連続している。
【0020】
第一下面ローラ304は、円筒状に形成されており、第二水平部303の下面(
図2では、下側の面)に配置されている。また、第一下面ローラ304は、第一下面ブラケット306を用いて、第二水平部303に対して回転可能に取り付けられている。第一下面ローラ304の一部は、第一下面ブラケット306よりも下方へ突出している。
第一下面ローラ304の回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
第二下面ローラ305は、円筒状に形成されており、第一下面ローラ304よりも第一水平部301から離れた位置で、第二水平部303の下面(
図2では、下側の面)に配置されている。また、第二下面ローラ305は、第二下面ブラケット307を用いて、第二水平部303に対して回転可能に取り付けられている。第二下面ローラ305の一部は、第二下面ブラケット307よりも下方へ突出している。
第二下面ローラ305の回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
【0021】
<ガイドフレーム>
ガイドフレーム400は、シャシフレーム200に固定されており、シャシフレーム200と荷台102との間に配置されている。
また、ガイドフレーム400は、水平ガイド部401と、傾斜ガイド部402と、ガイドローラ403と、保持フック404と、摺動部材405を備える。
水平ガイド部401は、貨物自動車100の前後方向から見てコの字形に形成した板状の部材を、二本一組で用いて形成されており、長さ方向を貨物自動車100の前後方向と平行に向けて配置されている。
【0022】
二本一組の水平ガイド部401は、貨物自動車100の幅方向に沿って平行に配列されており、厚さ方向が貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、二本一組の水平ガイド部401は、
図6に示すように、それぞれ、第一下面ローラ304と第二下面ローラ305が走行する水平ガイドレーン401aを備える。水平ガイドレーン401aは、二本一組の水平ガイド部401が互いに対向する面に形成されている。
【0023】
傾斜ガイド部402は、水平ガイド部401の後端(
図2では、右側の端部)と連続している。
傾斜ガイド部402は、板状の部材を二本一組で用いて形成されており、側面視で、水平ガイド部401から離れるほど下方へ向けて傾斜している。
二本一組の傾斜ガイド部402は、貨物自動車100の幅方向に沿って平行に配列されており、厚さ方向が貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、二本一組の傾斜ガイド部402は、それぞれ、第一下面ローラ304と第二下面ローラ305が走行する傾斜ガイドレーン402aを備える。傾斜ガイドレーン402aは、二本一組の傾斜ガイド部402が互いに対向する面に形成されている。また、傾斜ガイドレーン402aは、水平ガイドレーン401aと連続している。
【0024】
ガイドローラ403は、円筒状に形成されており、水平ガイド部401の後端に配置されて、水平ガイド部401に対して回転可能に取り付けられている。ガイドローラ403の一部は、水平ガイド部401よりも上方へ突出している。
ガイドローラ403の回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、ガイドローラ403は、荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際に、ガイドローラ案内部104と接触した状態で回転する。
そして、傾斜案内面104bは、ガイドローラ案内部104のうち、荷台102の姿勢が、格納姿勢と荷台102の一部のみが地面Gに接地した姿勢との間で変化するときに、上方からガイドローラ403と接触する面である。
【0025】
保持フック404は、水平ガイド部401の前端(
図2では、左側の端部)に配置されており、水平ガイド部401よりも上方へ突出している。
また、保持フック404は、荷台102の一部を捕捉することが可能な形状に形成されている。
摺動部材405は、例えば、銅合金を用いて、板状に形成されている。
また、摺動部材405は、厚さ方向を貨物自動車100の幅方向と平行に向けた状態で、水平ガイド部401の後端(
図2では、右側の端部)に配置されている。さらに、摺動部材405は、二本一組の水平ガイド部401において、それぞれ、貨物自動車100の幅方向で外側を向く面に取り付けられている。
【0026】
<荷台シリンダ>
荷台シリンダ500は、アクチュエータやシリンダ等を備えて形成されており、荷台102の姿勢を、
図1に示す格納姿勢と、接地姿勢とに変化させる装置である。
接地姿勢は、荷台102を、貨物自動車100の後方において、地面Gの上に配置した姿勢である。
荷台102の姿勢を格納姿勢から接地姿勢に変化させる際には、荷台シリンダ500を作動させて、荷台102を傾斜フレーム300に沿って移動させる。
【0027】
<傾斜フレームシリンダ>
傾斜フレームシリンダ600は、アクチュエータやシリンダ等を備えて形成されており、荷台102の姿勢を、格納姿勢と、接地姿勢とに変化させる装置である。
荷台102の姿勢を格納姿勢から接地姿勢に変化させる際には、傾斜フレームシリンダ600を作動させて、荷台102及び傾斜フレーム300を、ガイドフレーム400に沿って移動させる。
以上により、荷台102は、シャシフレーム200に対する姿勢を、格納姿勢と接地姿勢とに変化させることが可能である。
【0028】
<バンパステー>
バンパステー700は、第一バンパステー710と、第二バンパステー720を備える。
第一バンパステー710は、角筒状の部材を二本一組で用いて形成されており、荷台102の姿勢が格納姿勢である状態では、長さ方向を貨物自動車100の前後方向と平行に向けて配置されている。
第一バンパステー710の前端(
図2では、左側の端部)は、ガイドフレーム400(傾斜ガイド部402)に対して回転可能に接続されている。第一バンパステー710の回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
第一バンパステー710の後端(
図2では、右側の端部)には、リヤバンパ730が固定されている。
リヤバンパ730は、貨物自動車100の法規上で必要な位置(ガイドフレーム400よりも後方)に配置される部品である。
【0029】
第二バンパステー720は、角筒状の部材を二本一組で用いて形成されており、荷台102の姿勢が格納姿勢である状態では、長さ方向を上下方向と平行に向けて配置されている。
第二バンパステー720の下端(
図2では、下側の端部)は、第一バンパステー710の後端に対して回転可能に取り付けられている。第二バンパステー720の回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
第二バンパステー720の上端(
図2では、上側の端部)には、一対のバンパローラ740が取り付けられている。
【0030】
一対のバンパローラ740は、貨物自動車100の幅方向で対向している。
バンパローラ740は、円筒状に形成されている。バンパローラ740の一部は、第二バンパステー720よりも上方へ突出しており、下方バンパ案内面103bに上方から接触している。
バンパローラ740の回転軸は、貨物自動車100の幅方向と平行に向いている。
また、一対のバンパローラ740は、それぞれ、縦根太103のうち、
図8に示すように、上方バンパ案内面103a及び下方バンパ案内面103bと、回転可能な状態で接触している。また、一対のバンパローラ740は、それぞれ、縦根太103のうち、
図8に示すように、側方バンパ案内面103cと端面が接触している。
【0031】
上方バンパ案内面103aは、縦根太103の、貨物自動車100の前後方向から見てコの字形の部分を形成している部分のうち、バンパローラ740の上方に配置される面である。
下方バンパ案内面103bは、縦根太103の、貨物自動車100の前後方向から見てコの字形の部分を形成している部分のうち、バンパローラ740の下方に配置される面である。
側方バンパ案内面103cは、縦根太103の、貨物自動車100の前後方向から見てコの字形の部分を形成している部分のうち、バンパローラ740の側方に配置される面である。
したがって、一対のバンパローラ740は、バンパステー720の上方に配置されているとともに、荷台102と接触した状態で回転が可能である。
【0032】
(後煽り装置)
後煽り装置1は、
図1等に示すように、後煽り2を備える。
<後煽り>
後煽り2は、荷台102の後部に設けられており、貨物を荷台102に積載するときのスロープを兼ねる板である。また、後煽り2は、荷台102に対して回転させることが可
能な状態で、荷台102の後端部に取り付けられている。さらに、後煽り2は、荷台102に対して回転させることで、荷台102に対する姿勢を、閉姿勢と開姿勢とに変化させることが可能である。
【0033】
閉姿勢は、立ち上がった姿勢、具体的には、
図1に示すように、貨物自動車100が走行する方向に対して垂直な姿勢であり、貨物自動車100の走行時等における後煽り2の姿勢である。
開姿勢は、後煽り2の上端部が車両本体101の後方を向いて横になった姿勢である。具体的には、貨物自動車100が走行する方向に対して水平な姿勢であり、貨物を荷台102に積載するときに、荷台102と共に傾斜して地面Gとの間のスロープとなる姿勢である。
【0034】
<動作>
次に、
図1から
図8を参照しつつ、
図9から
図19を用いて、後煽り装置1の動作について説明する。
後煽り装置1の動作については、図に示すように、荷台102の状態が空荷の状態である場合について説明する。
なお、
図9から
図19は、
図2等と同様、左側面視の側面図である。また、
図9から
図19では、見易さを考慮し、構成を簡略化して図示している。
まず、
図2に示すように、後煽り2の姿勢が閉姿勢であり、荷台102の姿勢が格納姿勢である状態で、荷台シリンダ500を作動させる。
なお、
図2に示す状態では、ガイドローラ403が、ガイドローラ案内部104のうち、後側水平案内面104cと接触している。
【0035】
図2に示す状態で、荷台シリンダ500を作動させると、
図9に示すように、ガイドフレーム400に対する傾斜フレーム300の位置が固定された状態で、荷台102が、傾斜フレーム300に沿って後方へ移動する。すなわち、傾斜フレーム300と荷台102のうち、荷台102のみが移動する。このとき、
図2に示す状態で第一ガイドレーン301aに乗っていた前方ローラ102aが、傾斜部ガイドレーン302aへ移動する。このため、荷台102は、前端から後端へ向けて下方へ傾斜した状態となる。
また、荷台102が、傾斜フレーム300に沿って後方へ移動すると、荷台102の移動に伴い、第一バンパステー710の後端が下方へ傾斜し、第二バンパステー720の上端が後方へ傾斜する。
【0036】
なお、
図2、
図9から
図19に示すように、荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際には、バンパローラ740が、上方バンパ案内面103a及び下方バンパ案内面103bと接触した状態で回転する。また、荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際には、バンパローラ740の端面が側方バンパ案内面103cと接触する。
また、
図9に示す状態では、ガイドローラ403が、ガイドローラ案内部104のうち、後側水平案内面104cと接触している。
【0037】
図9に示す状態から、さらに、荷台シリンダ500を作動させて荷台102を後方へ移動させると、
図10に示すように、
図9に示す状態で傾斜部ガイドレーン302aに乗っていた前方ローラ102aが、第二ガイドレーン303aへ移動する。このため、荷台102は、
図9に示す状態から、さらに、前端から後端へ向けて下方へ傾斜した状態となる。また、荷台102の移動に伴い、
図9に示す状態から、さらに、第一バンパステー710の後端が下方へ傾斜し、第二バンパステー720の上端が後方へ傾斜する。
なお、
図10に示す状態では、ガイドローラ403が、ガイドローラ案内部104のうち、後側水平案内面104cと傾斜案内面104bとの境界の位置に接触している。
【0038】
図10に示す状態から、さらに、荷台シリンダ500を作動させて荷台102を後方へ移動させると、
図11に示すように、荷台102の移動に伴って、
図10に示す状態までは摺動部材405と接触していなかった縦根太103が、摺動部材405と接触する。具体的には、
図12に示すように、縦根太103のうち、貨物自動車100の前後方向から見て、貨物自動車100の中心を向く一つの面であるガイドフレーム対向部103dが、摺動部材405と接触する。また、荷台102の移動に伴い、
図10に示す状態から、さらに、第一バンパステー710の後端が下方へ傾斜し、第二バンパステー720の上端が後方へ傾斜する。
なお、
図11及び
図12に示す状態では、ガイドローラ403が、ガイドローラ案内部104のうち、傾斜案内面104bに接触している。
【0039】
図11に示す状態から、さらに、荷台シリンダ500を作動させて荷台102を後方へ移動させ、
図13に示すように、荷台102の一部(後方ローラ102b)を地面Gに接地させる。なお、
図13に示す状態においても、縦根太103のうちガイドフレーム対向部103dは、
図14に示すように、摺動部材405と接触している。
このとき、貨物自動車100の幅方向から見て、貨物自動車100の全体の重心CG1が貨物自動車100の後輪軸CG2よりも後方へ移動する前に、荷台102の一部である後方ローラ102bが、地面Gに接地する。
なお、例えば、運搬対象車両等を荷台102に積載している状態で、重心CG1が後輪軸CG2よりも後方へ移動すると、貨物自動車100の後輪が接地した状態で、貨物自動車100の前輪が地面Gから浮いてしまう。
【0040】
また、
図13及び
図14に示す状態では、ガイドローラ403が、ガイドローラ案内部104のうち、前側水平案内面104aに接触している。
したがって、傾斜案内面104bは、荷台102の姿勢が、格納姿勢と荷台102の一部のみが地面Gに接地した姿勢との間で変化するときに、ガイドローラ案内部104のうち上方からガイドローラ403と接触する面の少なくとも一部である。
後方ローラ102bを接地させた後、さらに、荷台シリンダ500を作動させて荷台102を後方へ移動させると、
図15に示すように、ガイドローラ403が荷台102(ガイドローラ案内部104)から離れる。
【0041】
図15に示す状態から、荷台シリンダ500を停止させ、さらに、傾斜フレームシリンダ600を作動させると、
図16に示すように、傾斜フレーム300が、荷台102と共に、ガイドフレーム400に沿って後方へ移動する。このとき、荷台102及び傾斜フレーム300の移動に伴い、傾斜フレーム300が、前端から後端へ向けて下方へ傾斜した状態となる。
図16に示す状態から、さらに、傾斜フレームシリンダ600を作動させて荷台102及び傾斜フレーム300を後方へ移動させると、
図17に示すように、
図16に示す状態よりも、前端から後端へ向けて下方へ傾斜した状態となる。
【0042】
図17に示す状態から、さらに、傾斜フレームシリンダ600を作動させて荷台102及び傾斜フレーム300を後方へ移動させると、
図18に示すように、水平ガイドレーン401aに乗っていた第二下面ローラ305が、傾斜ガイドレーン402aへ移動する。このため、傾斜フレーム300は、
図17に示す状態よりも、前端から後端へ向けて下方へ傾斜した状態となる。
図18に示す状態から、さらに、傾斜フレームシリンダ600を作動させて荷台102及び傾斜フレーム300を後方へ移動させ、
図19に示すように、傾斜フレーム300の後端部と、リヤバンパ730を地面Gに接地させて、荷台102の姿勢を接地姿勢とする。
【0043】
次に、傾斜フレームシリンダ600を停止させ、後煽り2が閉姿勢である状態において、作業者の操作により、閉姿勢の後煽り2を、開姿勢へ向けて傾斜させる方向へ回転させ、後煽り2の姿勢を開姿勢とする。その後、運搬対象車両等を後煽り2から荷台102に移動させて、荷台102に積載する。そして、作業者による人力の作業により、開姿勢の後煽り2を、閉姿勢へ向けて傾斜させる方向へ回転させると、後煽り2の姿勢が閉姿勢となる。
【0044】
運搬対象車両等を荷台102に積載し、後煽り2の姿勢を閉姿勢とした後、傾斜フレームシリンダ600を作動させ、
図18に示すように、荷台102と共に傾斜フレーム300を前進させる。
荷台102と共に傾斜フレーム300を前進させ、
図15に示すように、ガイドフレーム400に対する傾斜フレーム300の位置が固定された後、荷台102を、傾斜フレーム300に沿って前進させる。
そして、荷台102を傾斜フレーム300に沿って前進させ、
図2に示すように、荷台102の姿勢が格納姿勢となった状態で、荷台シリンダ500を停止させる。
【0045】
<請求項との対応>
傾斜案内面104bは、荷台102の姿勢が格納姿勢と荷台102の一部のみが地面Gに接地した姿勢との間で変化するときに、ガイドローラ案内部104のうち上方からガイドローラ403と接触する面の少なくとも一部に対応する。
一対の側方バンパ案内面103cは、荷台102が備え、貨物自動車100の幅方向に沿ってバンパローラ740と対向し、且つ荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際にバンパローラ740の端面が接触する一対のバンパローラ案内部に対応する。
【0046】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態の貨物自動車100であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)荷台102の姿勢が格納姿勢から接地姿勢へ変化する際に、貨物自動車100の幅方向から見て、重心CG1が後輪軸CG2よりも後方へ移動する前に、荷台102の一部(後方ローラ102b)を地面Gに接地させる荷台昇降装置を備える。
このため、荷台102の姿勢を格納姿勢から接地姿勢へ変化させる際に、重心CG1が後輪軸CG2よりも後方へ移動する前に、荷台102の一部を地面Gに接地させることが可能となる。
その結果、荷台102を支持する支持脚を備える構成とせずに、荷台102の姿勢を格納姿勢から接地姿勢へ変化させる際に車両本体101の前方が浮き上がることを抑制することが可能となる。これにより、支持脚を備える構成と比較して、構造の複雑化を抑制することが可能な貨物自動車100を提供することが可能となる。
【0047】
(2)シャシフレーム200に固定されてシャシフレーム200と荷台102との間に配置され、且つ荷台102と相対変位可能なガイドフレーム400を備える。
その結果、シャシフレーム200に加え、ガイドフレーム400により、荷台102を移動可能な状態で支持することが可能となる。
【0048】
(3)荷台昇降装置が、ガイドフレーム400が備え、且つ荷台102を下方から支持するとともに、荷台102と接触した状態で回転が可能なガイドローラ403を備える。これに加え、荷台昇降装置が、荷台102が備え、且つ荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際にガイドローラ403が接触した状態で回転するガイドローラ案内部104を備える。そして、荷台102の姿勢が格納姿勢と荷台102の一部(後方ローラ102b)のみが地面Gに接地した姿勢との間で変化するときに、ガイドローラ案内部104のうち上方からガイドローラ403と接触する面の少なくとも一部(傾斜案内面104b)は、貨物自動車100の幅方向から見て、前方よりも後方が低くなるように傾斜している。
その結果、荷台102の一部を既存の構造から改良することで、荷台102の姿勢を格納姿勢から接地姿勢へ変化させる際に車両本体101の前方が浮き上がることを抑制することが可能となる。
【0049】
(4)ガイドフレーム400よりも後方に配置されたリヤバンパ730と、ガイドフレーム400に接続され、且つリヤバンパ730を支持するバンパステー700を備える。これに加え、バンパステー700は、回転軸が貨物自動車100の幅方向と平行であり、且つ荷台102と接触した状態で回転が可能な一対のバンパローラ740を備える。また、一対のバンパローラ740は、貨物自動車100の幅方向で対向し、且つ荷台102の下方に配置されている。さらに、荷台102は、荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際に、バンパローラ740の端面が接触する一対のバンパローラ案内部(側方バンパ案内面103c)を備える。
その結果、ガイドフレーム400に対して荷台102を移動させる際に、ガイドフレーム400に対する荷台102の、貨物自動車100の幅方向に沿った位置ずれを低減させることが可能となる。
【0050】
(5)荷台102は、荷台102とガイドフレーム400とが相対変位する際に、貨物自動車100の幅方向でガイドフレーム400と対向するガイドフレーム対向部103dを備える。さらに、ガイドフレーム400は、貨物自動車100の幅方向でガイドフレーム対向部103dと対向する摺動部材405を備える。そして、荷台102とガイドフレーム400とは、ガイドフレーム対向部103dと摺動部材405が接触した状態で相対変位する。
その結果、ガイドフレーム400に対して荷台102を移動させる際に、ガイドフレーム400に対する荷台102の、貨物自動車100の幅方向に沿った位置ずれを低減させることが可能となる。
また、摺動部材405を備えていない構成と比較して、荷台102とガイドフレーム400とが接触する面積を減少させることが可能となり、荷台102とガイドフレーム400との間に発生する摺動抵抗を減少させることが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 後煽り装置
2 後煽り
2b 後煽り側連結部
100 貨物自動車
101 車両本体
102 荷台
102a 前方ローラ
102b 後方ローラ
102c 前方ブラケット
103 縦根太
103a 上方バンパ案内面
103b 下方バンパ案内面
103c 側方バンパ案内面
103d ガイドフレーム対向部
104 ガイドローラ案内部
104a 前側水平案内面
104b 傾斜案内面
104c 後側水平案内面
105 後煽り保持プレート
106 床板
G 地面
200 シャシフレーム
300 傾斜フレーム
301 第一水平部
301a 第一ガイドレーン
302a 傾斜部ガイドレーン
303a 第二ガイドレーン
302 傾斜部
303 第二水平部
304 第一下面ローラ
305 第二下面ローラ
306 第一下面ブラケット
307 第二下面ブラケット
400 ガイドフレーム
401 水平ガイド部
401a 水平ガイドレーン
402 傾斜ガイド部
402a 傾斜ガイドレーン
403 ガイドローラ
404 保持フック
405 摺動部材
500 荷台シリンダ
600 傾斜フレームシリンダ
700 バンパステー
710 第一バンパステー
720 第二バンパステー
730 リヤバンパ
740 バンパローラ
CG1 貨物自動車100の全体の重心
CG2 貨物自動車100の後輪軸