(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056035
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】測定依頼装置、情報処理装置、測定依頼方法、測定依頼プログラム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240412BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034571
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2022208164の分割
【原出願日】2018-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】津脇 美帆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】中根 昌夫
(57)【要約】
【課題】測定機器を有する車両等の移動体による測定の機会を増やし、道路情報を充実させることができる測定依頼装置等を提供する。
【解決手段】取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定し、当該種類の測定機器を有する移動体を特定し、測定を依頼していることを示す依頼情報を、特定した移動体に送信する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定手段と、
前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定手段と、
前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする測定依頼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、移動体を利用して道路に関する道路情報を収集する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路情報の収集は、カメラなどの測定機器を搭載した車両を実際に走行させて道路及びその周囲を測定し、測定データをサーバ装置にアップロードさせることにより行っていたが、測定専用の車両でなければ測定を行うことができず、道路情報を充分に収集することが困難であった。その一方で、測定に利用することができるカメラを搭載した車両が増加しており、こうした車両を利用して測定の機会を増やすことで、道路情報を充実させることができると考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、配車センターが、道路情報の収集を主目的とせず、且つ、道路情報を収集するためのカメラを備える車両を道路情報の価値の高い地域に配車することにより、道路の経路位置、車線数、標識などの道路情報を、車載カメラの映像から効率よく収集する道路情報収集システムが開示されている。また、この道路情報収集システムでは、配車センターに、道路情報の価値に応じた報酬が支払われる旨も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、道路情報の価値に応じた報酬が提供されるため、道路情報の価値が高くなければ報酬が低くなり、道路情報を収集する地域へ向かう手間や消費するガソリン代などの費用を考慮すると割に合わず、道路情報の測定に協力しようという人の意欲が低下し、測定機器を有する車両による測定の機会を増やすことができない。
【0006】
また、カメラ以外のLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)やレーダー等の測定機器が搭載された車両が増加しており、カメラ以外の測定機器による測定をすることができれば道路情報を更に充実させることができるが、特許文献1ではこの点が考慮されておらず、測定機器を有する車両による測定の機会を増やすことができない。
【0007】
更に、自動運転車両の開発が進んでおり、測定機器を有する自動運転車両を測定に利用することにより道路情報を更に充実させることができるが、特許文献1ではこの点が考慮されておらず、測定機器を有する車両による測定の機会を増やすことができない。
【0008】
本願発明は、こうした事情に鑑み、測定機器を有する車両等の移動体による測定の機会を増やし、道路情報を充実させることができる測定依頼装置等を提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定手段と、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定手段と、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項9に記載の発明は、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定手段と、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定手段と、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信手段と、を備える測定依頼装置から前記依頼情報を受信し、且つ、前記移動体が有する情報処理装置であって、前記依頼情報の示す前記依頼に基づいて、前記移動体が有する前記測定機器により測定して取得した前記道路情報を前記測定依頼装置に送信する道路情報送信手段、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項12に記載の発明は、測定依頼装置による測定依頼方法であって、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定工程と、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定工程と、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項13に記載の発明は、測定依頼装置に含まれるコンピュータを、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定手段、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定手段、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信手段、として機能させることを特徴とする。
【0013】
請求項14に記載の発明は、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定手段と、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定手段と、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信手段と、を備える測定依頼装置から前記依頼情報を受信し、且つ、前記移動体が有する情報処理装置による情報処理方法であって、前記依頼情報の示す前記依頼に基づいて、前記移動体が有する前記測定機器により測定して取得した前記道路情報を前記測定依頼装置に送信する道路情報送信工程、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項15に記載の発明は、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する決定手段と、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する特定手段と、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する送信手段と、を備える測定依頼装置から前記依頼情報を受信し、且つ、前記移動体が有する情報処理装置に含まれるコンピュータを、前記依頼情報の示す前記依頼に基づいて、前記移動体が有する前記測定機器により測定して取得した前記道路情報を前記測定依頼装置に送信する道路情報送信手段、として機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態における測定依頼装置1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施例1における道路情報収集システムSの構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施例1におけるサーバ装置100の構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施例1における測定対象道路区間303から所定範囲内に存在する車両を検索する処理を説明するための図である。
【
図5】実施例1における車載装置200の構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施例1における測定依頼画面410に対応を示す図である。
【
図7】実施例1におけるサーバ装置100による測定依頼処理に対応を示すフローチャートである。
【
図8】実施例1におけるサーバ装置100による報酬決定処理に対応を示すフローチャートである。
【
図9】実施例1における車載装置200による依頼受信処理に対応を示すフローチャートである。
【
図10】実施例1の変形例5における測定依頼画面420に対応を示す図である。
【
図11】実施例2における車載装置200による依頼受信処理に対応を示すフローチャートである。
【
図12】実施例3におけるサーバ装置100による測定実行処理に対応を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、測定依頼装置1は決定手段1A、特定手段1B及び送信手段1Cを備える。
【0018】
決定手段1Aは、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定する。
【0019】
特定手段1Bは、前記決定された種類の前記測定機器を有する移動体を特定する。移動体とは、例えば、車両(自動車、バイク、自転車等)、飛翔体(飛行機、飛行船等)、人間などである。
【0020】
送信手段1Cは、前記測定を依頼していることを示す依頼情報を、前記特定された移動体に送信する。
【0021】
測定依頼装置1によれば、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器の種類を決定し、決定された種類の測定機器を有する移動体を特定し、測定を依頼していることを示す依頼情報を、特定された移動体に送信する。したがって、様々な種類の測定機器を有する移動体に依頼を行うことから、測定機器を有する移動体による測定の機会が増え、道路情報を充実させることができる。
【実施例0022】
[1.実施例1]
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例1について説明する。なお、以下に説明する実施例1は、本願発明を、道路情報収集システムにおけるサーバ装置や車載装置に適用した場合の実施例である。
【0023】
[1.1.道路情報収集システムの構成]
図2に示すように、実施例1の道路情報収集システムSは、車両周辺の外界の状況等を測定する測定機器300が接続される車載装置200と、車載装置200とネットワークNWを介して接続するサーバ装置100と、を含んで構成される。なお、実施例1では、車載装置200及び測定機器300は車両に搭載される。また、
図2では車載装置200を一台示しているが、道路情報収集システムSは複数の車載装置200を含んで構成される。また、サーバ装置100は、複数の装置を組み合わせて構成することとしてもよい。
【0024】
[1.2.サーバ装置100の構成]
次に、サーバ装置100の構成について説明する。
図3に示すように、サーバ装置100は、制御部101、記憶部102、通信部103、表示部104及び操作部105を含んで構成されている。
【0025】
記憶部102は、HDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)等により構成されており、OS(Operating System)、サーバプログラム(サーバ装置100が後述する動作や処理を行うために実行されるプログラムを含む)及び各種データ等を記憶する。
【0026】
また、記憶部102には、道路情報データベースが構築されている。道路情報データベースには、地図データの他に、地図データにおける所定の道路区間毎に道路情報が関連付けて記憶されている。道路情報とは、道路又は道路周辺の状態を、測定機器300を用いて測定することにより得られる測定データそのもの、又は、測定データから取得される情報である。なお、道路情報は、更新日時を対応付けて記憶させておき、最後の更新日時を特定できるようにしておく。
【0027】
測定機器300は、例えば、カメラ、LIDAR、レーダー、マイク、時計など、複数の種類がある。また、測定機器300の種類に応じて得られる測定データが異なり、そこから取得される道路情報も異なる。カメラであれば、車両の周囲を撮影した画像データが測定データとして得られる。また、LIDARやレーダーは、光やミリ波などの電磁波を車両の周囲に照射し、地物で反射した反射波に基づいて、地物の各点における反射強度を示す反射強度データを測定する。よって、LIDARやレーダーであれば、反射強度データや地物までの距離データが測定データとして得られる。更に、マイクであれば、車両の周囲の音を録音した音声データが測定データとして得られる。更にまた、時計であれば、時間データ(測定対象の道路区間を移動した際の移動時間を示す時間データ等)が測定データとして得られる。
【0028】
道路情報は、測定データそのものである場合や、それぞれの測定機器300により得られた測定データのうち、一又は複数の測定データから取得される場合もある。例えば、カメラが道路を走行中に撮影した画像データそのものが道路情報である場合がある。また、LIDARにより測定された反射強度データや距離データと、カメラにより撮影された画像データに基づいて道路の周辺に存在する物体の位置を示す位置情報を道路情報として取得する場合もある。更に、時計により得られた時間データに基づいて、車両が所定の道路区間を移動する際の所要時間情報を道路情報として取得する場合もある。したがって、道路情報データベースには、複数の種類の道路情報が記憶される。
【0029】
更に、記憶部102には、車両管理データベースが構築されている。車両管理データベースには、測定機器300を有し、測定を行う車両に関する車両情報が記憶されている。例えば、車両を識別するための車両ID、車両に搭載される車載装置200を識別するための車載装置ID、当該車載装置200と通信を行うために必要な通信情報、車両が有する測定機器300の種類を示す測定機器種類情報(「参照情報」に対応)、車両の現在位置を示す現在位置情報等が車両情報として記憶される。
【0030】
なお、車両管理データベースが記憶する現在位置情報は、各車両に搭載される車載装置200から所定の条件(所定時間が経過することという条件や、車両が所定の距離移動することという条件等)が満たされる度に受信する現在位置情報に基づいて逐次更新される。また、通信情報や測定機器種類情報についても、情報を生成及び更新する必要がある場合には、車載装置200等から得た情報に基づいて生成及び更新される。例えば、測定機器種類情報は、車両(車載装置200)から受信した当該車両が有する測定機器の種類を示す情報に基づいて生成及び更新される。また、予め記憶部102に、車種(メーカー、型式、年式等)と、車種毎に搭載される測定機器300の種類との対応関係を示す車種別測定機器種類情報(「移動体の種類と当該種類の移動体が有する測定機器の種類の対応関係を示す情報」に対応)を記憶させておき、車両(車載装置200)から受信した車種を示す車種情報(「移動体の種類を示す情報」に対応)と、当該車種別測定機器種類情報に基づいて、測定機器種類情報を生成及び更新してもよい。
【0031】
通信部103は、複数の車載装置200とネットワークNWを介して通信接続し、各種データや各種情報を送受信する。
【0032】
表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ等により構成されており、文字や画像等の情報を表示するようになっている。
【0033】
操作部105は、例えば、キーボード、マウス等により構成されており、オペレータからの操作指示を受け付け、その指示内容を指示信号として制御部101に出力するようになっている。
【0034】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。そして、CPUが、ROMや記憶部102に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種手段として機能する。制御部101又はCPUは、「コンピュータ」に対応する。
【0035】
制御部101は、道路情報データベースを参照して、道路情報が最後に更新されてから所定時間が経過している道路区間、又は、道路情報が未だ取得されていない道路区間を抽出し、測定対象とする道路区間(「測定対象道路区間」という)として決定する。また、制御部101は、決定した測定対象道路区間について何れの種類の道路情報を取得するかを決定し、決定した種類の道路情報を取得するために必要な測定データを測定することができる測定機器300の種類を決定する。
【0036】
制御部101は、測定対象道路区間から所定範囲内に存在する車両であって、且つ、決定した種類の測定機器300を有する車両(「測定可能車両」という場合がある)を、測定依頼をする車両の候補として特定する。具体的には、まず、車両管理データベースの現在位置情報を参照して、決定した測定対象道路区間から所定範囲内に存在する車両を検索する。例えば、
図4に示すように、制御部101は、測定開始位置301と測定終了位置302で示される測定対象道路区間303を決定した場合に、測定開始位置301を基準とする所定の範囲を示す円304内に存在する車両を検索する。なお、制御部101は、測定対象道路区間の移動方向を問わない場合には、測定開始位置301と測定終了位置302を入れ替えて、測定終了位置302を基準とする所定の範囲を示す円内に存在する車両を検索することとしてもよい。これにより、測定対象道路区間303から遠方に存在して測定を行うことが困難な車両を、測定依頼をする車両の候補から除外することができる。
【0037】
制御部101は、車両管理データベースの測定機器種類情報を参照して、検索した車両から、決定した種類の測定機器300を有する車両を抽出する。なお、制御部101は、上述した車種別測定機器種類情報を記憶部102に記憶させておき、車両から受信した当該車両の車種を示す車種情報と、に基づいて、決定した種類の測定機器300を有する測定可能車両を抽出することとしてもよい。
【0038】
制御部101は、抽出した1又は複数の測定可能車両のそれぞれについて報酬を決定する。報酬には消費エネルギー費用が含まれるものとする。制御部101は、各測定可能車両について単位移動距離当たりの平均エネルギー消費量(燃費)と、当該測定可能車両が移動に要するエネルギーの単価と、当該測定可能車両が測定に要する移動距離と、に基づいて、消費エネルギー費用を算出する。具体的には、制御部101は、まず、車両管理データベースに記憶されている車種情報を参照し、測定可能車両の車種を特定する。次いで、制御部101は、予め記憶部102に記憶されている車種別燃料情報(車種と使用エネルギー源(ガソリン、軽油、電気など)と、燃費が対応付けられた情報)を参照して、特定した車種のエネルギー源と燃費を特定する。次に、制御部101は、測定可能車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置に戻る経路を探索し、当該経路に対応する走行距離、所要時間を算出する。更に、制御部101は、走行距離、所要時間、燃費に基づいて、消費エネルギー量を算出する。そして、制御部101は、消費エネルギー量とエネルギーの単価に基づいて、消費エネルギー費用を算出する。
【0039】
報酬には消費エネルギー費用の他に測定に対する対価が含まれていてもよい。例えば、報酬はエネルギー費と測定に対する対価の合計であってもよい。対価は、何れの測定対象道路区間についても一定としてもよいし、道路情報の必要度が高いほど対価を増加させることとしてもよい。必要度は、例えば、過去に測定又は取得されたことがない道路情報について最も高く設定し、次いで、既に測定又は取得されている道路情報のうち、直近の更新時から経過した時間が長い道路情報ほど高く設定する。また、例えば、稀少性が高い道路情報(例えば、特定の時間帯、温度、天候に限定した道路情報など)ほど、必要度を高く設定してもよい。このように必要度を高くすべき道路情報は測定又は取得すべき道路情報ということができる。必要度を用いることにより、道路情報をより充実させることができる。なお、消費エネルギー費用さえあれば測定の対価は不要であるという人も存在するため対価を報酬に含めないこととしてもよい。
【0040】
なお、報酬は、通貨、仮想通貨、ポイントプログラム(Loyalty program)のポイント等であってもよい。
【0041】
制御部101は、報酬を決定すると、測定を依頼していることを示す依頼情報を、測定可能車両のうち報酬が低い測定可能車両から順に送信することを、依頼情報の示す依頼が受諾されるまで繰り返す。
【0042】
依頼情報には、測定をする位置を示す情報(例えば、測定開始位置301、測定終了位置302、測定対象道路区間303の位置を示す情報)、測定に要する所要時間を示す測定所要時間情報、測定に要する移動距離を示す測定移動距離情報、車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置(現在位置)に戻る経路を示す経路情報、及び、報酬を示す報酬情報が含まれる。
【0043】
なお、依頼情報に測定所要時間情報や測定移動距離情報を含める場合には、制御部101は、事前に測定に要する所要時間や移動距離を算出する。例えば、制御部101は、測定可能車両の現在位置から、測定対象道路区間へ向かい、当該道路区間を走行して、元の位置(依頼時の現在位置)に戻るまでの時間や移動距離を算出する。この時、測定可能車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置に戻る経路について、各道路の渋滞状況を考慮して所要時間を算出することが好ましい。
【0044】
制御部101は、依頼情報を受信した測定可能車両から、測定依頼を受諾する旨の受諾情報を所定時間内に受信した場合、測定可能車両が測定対象道路区間を測定した測定データが送られてくるのを待機する。制御部101は、予め測定終了時刻を算出しておき、当該測定終了時刻から所定時間経過しても測定データを受信しない場合は、タイムアウトして、他の測定可能車両に依頼情報を送信する。また、制御部101は、依頼情報を送信した測定可能車両から、測定依頼を拒否する旨の拒否情報を受信した場合、又は、所定時間内に回答が送られてこない場合は、受諾されなかったとみなし、受諾しなかった測定可能車両を、測定可能車両から除外し、再度、測定可能車両のうち報酬が最も低い測定可能車両に依頼情報を送信する。すなわち、報酬が低い測定可能車両を優先しながら、依頼に応じる測定可能車両が見つかるまで順次、測定依頼情報を送信する。
【0045】
制御部101は、測定データを受信すると記憶部102に一旦記憶させる。そして、制御部101は、測定データそのものを、又は、測定データに基づいて取得した道路情報を、測定対象道路区間と対応付けて道路情報データベースに記憶させる。また、制御部101は、決定済みの報酬を車両の管理者等に支払うための処理を実行する。
【0046】
[1.3.車載装置200の構成]
次に、実施例1における車載装置200の構成について説明する。
図5に示すように、車載装置200は、制御部211と、HDDやSSD等からなる記憶部212と、キーボード又はリモートコントローラ、タッチパネル等からなる入力部213と、表示ユニット214と、バスライン215と、入出力インターフェース部220と、車速センサ221と、角速度センサ222と、加速度センサ223と、舵角センサ224と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部225と、データ送受信部226と、無線通信部227と、自動運転実行部228と、測定機器300と、を備えて構成されている。
【0047】
車速センサ221は、例えば車載装置200が搭載されている車両から取得される車速パルス等を用いた速度検出処理等を用いて当該車両の現在速度を検出し、速度データを出力する。角速度センサ222は、当該車両の、例えば方向変化の角速度を検出し、単位時間当たりの角速度データ及び相対方位データを出力する。加速度センサ223は、当該車両の例えば前後方向の加速度を検出し、単位時間当たりの加速度データ等を出力する。舵角センサ224は、当該車両の舵角を検出し、舵角データ等を出力する。GNSS受信部225は、GNSS衛星からの航法電波を受信し、GNSS測位データを出力する。データ送受信部226は、ネットワークを介したサーバ装置との間のデータの送受信に係る処理を行う。無線通信部227は、無線による路車間通信と車車間通信に係る処理を行う。
【0048】
自動運転実行部228は、自動運転モードが選択されている場合に制御部211による制御の下、車両の速度やハンドルを制御する。例えば、自動運転実行部228は、燃料を噴射する量を調節することにより自車両の速度を制御したり、ブレーキをかけることにより自車両の速度を低下させたり、ハンドルの操舵角を調節することにより自車両の進行方向を調整したりする。
【0049】
測定機器300は、カメラ、LIDAR、レーダー、マイク、時計等であり、車載装置200には、少なくとも一部の種類の測定機器300が接続されている。記憶部212は、何れの種類の測定機器300が車載装置200に接続されているかを示す測定機器種類情報を記憶する。制御部211は、サーバ装置100の記憶部102に記憶されている測定機器種類情報が最新の状態となるように、記憶部212に記憶されている測定機器種類情報が変更される度(又は定期的に)、当該測定機器種類情報をサーバ装置100に送信する。
【0050】
記憶部212は、表示ユニット214に地図を表示するための地図データや、経路を探索する際に用いる地図情報、道路リンク情報などが格納される。また、記憶部212は、オペレーティングシステムや、アプリケーションプログラム等の各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、サーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしても良いし、CD、DVD、USBメモリ等の記録媒体に記録されたものを読み込むようにしても良い。
【0051】
また、記憶部212は、車両の利用予定を記憶することとしてもよい。利用予定は、車両がいつまでにどの地点に到着しなければならないかといった予定や、車両をいつからいつまで利用するかといった予定など、車両が利用される時間に関する予定である。例えば、3月20日午前9時から午後14時の間、自宅から草津温泉に移動するといった予定であってもよい。また、車両が使用される時間帯における所定時間毎(例えば、1分毎)の車両の予定存在位置をまとめた予定としてもよい。更に、目的地と到着時刻を示す走行条件が設定された場合に、制御部211が探索した経路に関する情報であってもよい。
【0052】
入力部213は、利用者の入力操作を受け付けて、操作内容を示す操作信号を制御部211に送信する。
【0053】
表示ユニット214は、制御部211の制御下で各種表示データを表示する。表示ユニット214は、グラフィックスコントローラ214aと、VRAM(Video RAM)等のメモリからなるバッファメモリ214bと、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ214c等を備えて構成されている。この構成においてグラフィックスコントローラ214aは、バスライン215を介して制御部211から送られる制御データに基づいて、表示ユニット214全体の制御を行う。また、バッファメモリ214bは、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶する。そして、グラフィックスコントローラ214aから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ214cに画像が表示される。
【0054】
制御部211は、制御部211全体を制御するCPU211aと、制御部211を制御する制御プログラム等が予め記憶されているROM211bと、各種データを一時的に格納するRAM211cと、により構成されている。そして、CPU211aが、ROM211bや記憶部212に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種手段として機能する。制御部211又はCPU211aは、「コンピュータ」に対応する。
【0055】
また、制御部211は、車速センサ221、角速度センサ222、加速度センサ223、舵角センサ224及びGNSS受信部225と、バスライン215及び入出力インターフェース部220を介して接続されている。
【0056】
制御部211は、GNSS測位データに基づく衛星測位や、速度データ、角速度データ、相対方位データ、加速度データ、舵角データ等に基づく自立測位、又は、これらを組み合わせたハイブリッド測位等を行い、自車両の現在位置(緯度、経度、高度)を示す現在位置情報を取得する。制御部211は、所定の条件(所定時間が経過することという条件や、車両が所定の距離移動することという条件等)が満たされる度に現在位置情報をサーバ装置100に送信する。
【0057】
制御部211は、サーバ装置100から依頼情報を受信すると、車両の利用予定が設定されているか否かを判定する。制御部211は、利用予定が存在する場合、依頼情報に含まれる測定所要時間情報の示す測定を行うための所要時間と、利用予定とに基づいて、測定の実施が利用予定に影響するか(すなわち、利用予定に余裕をもって測定の実施が可能か否か)を判定する。なお、制御部211は、利用予定における利用時間の少なくとも一部と、測定をするために車両を利用する測定スケジュールの少なくとも一部と、が重複している場合に、測定をすることが不可能であると判定してもよい。すなわち、利用時間が13時~17時であり、測定スケジュールが12時~14時である場合には不可能であると判定し、利用時間が9時~12時であり、測定スケジュールが10時~11時である場合にも不可能であると判定し、利用時間が11時~12時であり、測定スケジュールが10時~13時である場合にも不可能であると判定する。
【0058】
制御部211は、利用予定に影響すると判定した場合、測定依頼を拒否することを示す拒否情報をサーバ装置100に送信する。このとき、制御部211は、利用予定があるため拒否情報を送信してよいかを、車両に搭乗するユーザに確認してから送信することとしてもよいが、当該ユーザに確認せずに拒否情報を送信することとにより、依頼を拒否してよいかを確認される煩わしさをユーザに感じさせずにすむ。
【0059】
一方、制御部211は、利用予定がないと判定した場合、又は、利用予定があるが利用予定に影響しないと判定した場合には、依頼情報に基づいて依頼内容(測定位置、測定に要する所要時間や移動距離、報酬等)を、
図6に示すように、ディスプレイ214cに表示する測定依頼画面410により提示したり、図示しないスピーカーから発声させたりする。これにより車両に搭乗しているユーザが依頼内容を理解し、依頼を受諾するか否かを判断することができる。測定依頼画面410を表示させた場合、ユーザは受諾ボタン411を選択することにより依頼を受諾することができ、拒否ボタン412を選択することにより依頼を拒否することができる。制御部211は、受諾ボタン411が選択された場合には、依頼を受諾することを示す受諾情報をサーバ装置100に送信し、一方、拒否ボタン412が選択された場合には、依頼を拒否することを示す拒否情報をサーバ装置100に送信する。
【0060】
制御部211は、車両が測定対象道路区間を走行し、道路又は道路周辺の状態の測定が完了した場合には、測定データをサーバ装置100に送信する。
【0061】
[1.4.サーバ装置100による測定依頼処理]
次に、
図7に示すフローチャートを用いて、サーバ装置100による測定依頼処理について説明する。
【0062】
まず、サーバ装置100の制御部101は、測定対象道路区間と、測定機器300の種類を決定する(ステップS101)。
【0063】
次に、制御部101は、ステップS101の処理で決定した測定対象道路区間から所定範囲(例えば、
図4の円304)内に存在する車両を検索する(ステップS102)。
【0064】
次に、制御部101は、ステップS101の処理で決定した種類の測定機器300を有する測定可能車両を抽出する(ステップS103)。
【0065】
次に、制御部101は、ステップS103の処理で抽出した各測定可能車両について報酬を算出するための報酬決定処理を行う(ステップS104)。なお、報酬決定処理については後述する。
【0066】
次に、制御部101は、ステップS104の処理で算出した報酬が最低である測定可能車両を選択する(ステップS105)。
【0067】
次に、制御部101は、ステップS105の処理で選択した測定可能車両(車載端末200)に依頼情報を送信する(ステップS106)。
【0068】
次に、制御部101は、ステップS106の処理で依頼情報を送信してから所定時間内に受諾情報又は拒否情報を、依頼情報を送信した測定可能車両(車載端末200)から受信したか否かを判定する(ステップS107)。制御部101は、所定時間内に受諾情報及び拒否情報の何れも受信していないと判定した場合には(ステップS107:NO)、測定可能車両からステップS105の処理で選択した測定可能車両を除外し(ステップS111)、ステップS105の処理に移行する。一方、制御部101は、所定時間内に受諾情報又は拒否情報を受信したと判定した場合には(ステップS107:YES)、次いで、受諾情報を受信したか否かを判定する(ステップS108)。
【0069】
制御部101は、受諾情報を受信していない(拒否情報を受信した)と判定した場合には(ステップS108:NO)、測定可能車両からステップS105の処理で選択した測定可能車両を除外し(ステップS111)、ステップS105の処理に移行する。一方、制御部101は、受諾情報を受信したと判定した場合には(ステップS108:YES)、次いで、測定データを、受諾情報の送信元である測定可能車両(車載端末200)から受信したか否かを判定する(ステップS109)。
【0070】
制御部101は、測定データを受信したと判定した場合には(ステップS109:YES)、測定データを記憶部102に記憶させ(ステップS112)、測定依頼処理を終了する。一方、制御部101は、測定データを受信していないと判定した場合には(ステップS109:NO)、次いで、予め算出しておいた測定終了時刻から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。
【0071】
制御部101は、測定終了時刻から所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS110:YES)、測定可能車両からステップS105の処理で選択した測定可能車両を除外し(ステップS111)、ステップS105の処理に移行する。一方、制御部101は、測定終了時刻から所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS110:NO)、ステップS109の処理に移行する。すなわち、制御部101は、受諾情報を受信した場合には、測定データを受信するか、測定終了時刻から所定時間が経過するまで、測定データの受信を待機する。
【0072】
[1.5.サーバ装置100による報酬決定処理]
次に、
図8に示すフローチャートを用いて、サーバ装置100による報酬決定処理について説明する。
【0073】
まず、サーバ装置100の制御部101は、
図7のステップS103の処理で抽出した測定可能車両から一の車両を選択する(ステップS201)。
【0074】
次に、制御部101は、ステップS201の処理で選択した車両の車種情報を、車両管理データベースから取得する(ステップS202)。
【0075】
次に、制御部101は、車種別燃料情報を参照し、ステップS202の処理で取得した車種情報が示す車種に基づいて、エネルギー源と燃費を取得する(ステップS203)。
【0076】
次に、制御部101は、測定対象道路区間について測定を行うため経路(現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置に戻る経路)を探索する(ステップS204)。
【0077】
次に、制御部101は、ステップS204の処理で探索した経路について移動距離及び移動時間を算出するとともに、ステップS203の処理で取得した燃費に基づいて消費エネルギー量を算出する(ステップS205)。
【0078】
次に、制御部101は、ステップS203の処理で取得したエネルギー源の単価を取得する(ステップS206)。例えば、制御部101は、予め記憶部102に記憶させておいたエネルギー源の単価を示す単価情報を参照して取得する。または、エネルギーごとの最新の単価を記録する外部のサーバ装置から単価情報を取得することとしてもよい。
【0079】
次に、制御部101は、ステップS205の処理で算出した消費エネルギー量と、ステップS206の処理で取得したエネルギー源の単価に基づいて、消費エネルギー費用を算出する(ステップS207)。
【0080】
次に、制御部101は、対価を決定する(ステップS208)。例えば、制御部101は、測定対象の道路情報の必要度に応じて対価を決定する。
【0081】
次に、制御部101は、ステップS207の処理で算出した消費エネルギー費用と、ステップS208の処理で決定した対価を合算し、報酬を決定する(ステップS209)。
【0082】
次に、制御部101は、ステップS201の処理で選択した車両と、ステップS209の処理で算出した報酬を対応付けて記憶部102に記憶させる(ステップS210)。
【0083】
次に、制御部101は、
図7のステップS103の処理で抽出した全ての測定可能車両を選択したか否かを判定する(ステップS211)。制御部101は、全ての測定可能車両を選択していないと判定した場合には(ステップS211:NO)、ステップS201の処理に移行する。一方、制御部101は、全ての測定可能車両を選択したと判定した場合には(ステップS211:YES)、報酬決定処理を終了する。
【0084】
[1.6.車載装置200による依頼受信処理]
次に、
図9に示すフローチャートを用いて、車載装置200による依頼受信処理について説明する。
【0085】
まず、車載装置200の制御部211は、サーバ装置100から依頼情報を受信したか否かを判定する(ステップS301)。制御部211は、依頼情報を受信していないと判定した場合には(ステップS301:NO)、再度、ステップS301に移行する。すなわち、制御部211は、依頼情報を受信するまで待機する。一方、制御部211は、依頼情報を受信したと判定した場合には(ステップS301:YES)、利用予定が設定されているか否かを判定する(ステップS302)。
【0086】
制御部211は、利用予定が設定されていないと判定した場合には(ステップS302:NO)、ディスプレイ214cに測定依頼画面410を表示させ(ステップS304)、ステップS305の処理に移行する。一方、制御部211は、利用予定が設定されていると判定した場合には(ステップS302:YES)、測定が利用予定に影響するか否かを判定する(ステップS303)。
【0087】
制御部211は、測定が利用予定に影響しないと判定した場合には(ステップS303:NO)、ディスプレイ214cに測定依頼画面410を表示させ(ステップS304)、ステップS305の処理に移行する。一方、制御部211は、測定が利用予定に影響すると判定した場合には(ステップS303:YES)、拒否情報をサーバ装置100に送信し(ステップS306)、依頼受信処理を終了する。
【0088】
次に、制御部211は、ユーザが受諾したか否かを判定する(ステップS305)。例えば、制御部211は、測定依頼画面410の受諾ボタン411が選択された場合に、ユーザが受諾したと判定し、測定依頼画面410の拒否ボタン412が選択された場合に、受諾しなかったと判定する。または所定時間内に受諾ボタン411が選択されなかった場合に、受諾しなかったと判定してもよい。制御部211は、ユーザが受諾しなかったと判定した場合には(ステップS305:NO)、拒否情報をサーバ装置100に送信し(ステップS306)、依頼受信処理を終了する。一方、制御部211は、ユーザが受諾したと判定した場合には(ステップS305:YES)、受諾情報をサーバ装置100に送信する(ステップS307)。
【0089】
次に、制御部211は、測定対象道路区間を走行する経路(車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置(現在位置)に戻る経路)を、ディスプレイ214cに表示させる(ステップS308)。これにより、車両は測定対象道路区間を走行し、測定機器300による測定を行う。
【0090】
次に、制御部211は、測定対象道路区間の走行が完了したか否かを判定する(ステップS309)。制御部211は、測定対象道路区間の走行が完了していないと判定した場合には(ステップS309:NO)、再度、ステップS309に移行する。すなわち、制御部211は、測定対象道路区間の走行が完了するまで待機する。一方、制御部211は、測定対象道路区間の走行が完了したと判定した場合には(ステップS309:YES)、測定データをサーバ装置100に送信し(ステップS310)、依頼受信処理を終了する。
【0091】
以上説明したように、実施例1におけるサーバ装置100(「測定依頼装置」に対応)の制御部101は、道路に関する道路情報を取得するための測定に要する消費エネルギー費用を含む報酬を決定し、測定を依頼していることを示す依頼情報であって、報酬を示す報酬情報を含む依頼情報を、測定を可能な測定機器300を有する車両に送信する。
【0092】
したがって、実施例1におけるサーバ装置100によれば、道路情報を取得するための測定に要する消費エネルギー費用を含む報酬を決定し、測定を依頼していることを示す依頼情報であって、報酬を示す報酬情報を含む依頼情報を、測定を可能な測定機器300を有する車両に送信する。したがって、報酬に消費エネルギー費用が含まれることから、車両側(車両の管理者)の道路情報を収集しようという意欲が向上し、測定機器300を有する車両による測定の機会が増え、道路情報を充実させることができる。
【0093】
また、依頼情報には、測定をする位置を示す情報、測定に要する所要時間を示す測定所要時間情報、測定に要する移動距離を示す測定移動距離情報、報酬を示す報酬情報が含まれ、実施例1における車載装置200の制御部211は、依頼情報に基づいて、測定の依頼があったこと、及び、車両による測定に要する消費エネルギー費用を含む報酬を、測定依頼画面410を介してユーザに提示し、ユーザが受諾ボタン411を選択した場合に、ユーザが依頼を受諾したことを示す受諾情報をサーバ装置100に送信する。このように、測定依頼画面410がディスプレイ214cに表示されることから、ユーザは、測定に要する所要時間、移動距離、報酬を確認したうえで、依頼を受諾するか否かを判断することができる。
【0094】
更に、制御部101は、報酬が低い測定可能車両から順に依頼情報を送信することを、依頼情報の示す依頼が受諾されるまで繰り返す。したがって、報酬の低い車両を優先して測定の依頼をすることができるため、道路情報の収集に掛かる費用を低減することができる。
【0095】
更にまた、制御部101(「決定手段」、「特定手段」、「送信手段」に対応)は、取得すべき道路情報に対応する測定が可能な測定機器300の種類を決定し、決定した種類の測定機器300を有する車両を特定し、当該車両に依頼情報を送信する。
【0096】
したがって、実施例1におけるサーバ装置100によれば、様々な種類の測定機器300を有する車両に依頼を行うことから、測定機器300を有する車両による測定の機会が増え、道路情報を充実させることができる。
【0097】
一方、実施例1における車載装置200(「情報処理装置」に対応)は、車両に搭載され、且つ、サーバ装置100から依頼情報を受信する車載装置200であって、制御部211(「道路情報送信手段」に対応)は、依頼情報の示す依頼に基づいて、車両が有する測定機器300により測定した測定データ(「道路情報」に対応)をサーバ装置100に送信する。なお、制御部211は、測定データから道路情報を取得して、当該道路情報をサーバ装置100に送信することとしてもよい。したがって、車載装置200は、サーバ装置100からの依頼に基づき測定機器100により測定した測定データをサーバ装置100に送信することから、サーバ装置100は車載装置200に依頼情報を送信することにより測定データを収集することができる。
【0098】
また、制御部211(「提示手段」、「受諾情報送信手段」に対応)は、依頼情報に基づいて、測定の依頼があったこと、及び、車両による測定に要する消費エネルギー費用を含む報酬を、車載装置200のユーザ(車両の搭乗者)に提示し、ユーザが依頼を受諾するときに行う受諾操作(例えば、受諾ボタン411を選択する操作)を検出した場合に、ユーザが依頼を受諾したことを示す受諾情報をサーバ装置100に送信する。
【0099】
更に、制御部211は、車両の利用予定に基づいて、当該車両が測定をすることが可能か否かを判定し、測定をすることが可能であると判定した場合に、測定依頼画面410を表示する。
【0100】
更にまた、制御部211(「種類特定情報送信手段」に対応)は、記憶部212に記憶されている測定機器種類情報が変更される度(又は定期的に)、当該測定機器種類情報(「種類特定情報」に対応)をサーバ装置100に送信する。これにより、サーバ装置100の記憶部102に記憶されている測定機器種類情報を最新の状態に更新することができる。
【0101】
[1.7.変形例]
次に、実施例1の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例は適宜組み合わせることができる。
【0102】
[1.7.1.変形例1]
実施例1では、サーバ装置100の制御部101は、消費エネルギー費用を、車両の現在位置から測定対象道路区間を介して元の位置に戻ってくるまでの所要時間、走行距離、に基づいて算出した。一方、目的地が設定済みの車両については、依頼情報を受信した際の現在位置にもう一度戻ってくるよりも、測定対象道路区間を経由したうえで最短経路を通って目的地に向かう方が、車両側にとっては時間的に合理的であり、且つ、サーバ装置100側にとっても消費エネルギー費用を低く抑えることができ合理的である。
【0103】
そこで、変形例1では、制御部101は、車両の目的地又は当該目的地までの経路を示す目的地情報を取得し(例えば、車載装置200等から受信する)、目的地情報を取得できた車両については、測定対象道路区間を経由して目的地へ向かう新経路を探索し、元の経路と新経路の所要時間の差分、及び、走行距離の差分を算出し、これらの差分(増分)に基づいて消費エネルギー費用を算出することとしてもよい。つまり、制御部101は、車両が目的地に到達するまでの消費エネルギーのうち、測定をすることに起因して増加する消費エネルギー量に対応する消費エネルギー費用を算出する。
【0104】
また、新経路に基づく測定所要時間情報、測定移動距離情報、経路情報及び報酬情報を依頼情報に含めて車両に送信することとしてもよい。車載装置200は、当該依頼情報を受信した場合に、新経路をユーザに提示し、ユーザに新経路を確認させたうえで、依頼を受諾するか否かを選択させることとしてもよい。
【0105】
なお、サーバ装置100の制御部101は、車載装置200から目的地情報を取得する場合、プライバシー保護の観点から、車載装置200で設定された目的地又は当該目的地までの経路の全てを取得するのではない。例えば、車載装置200側で、目的地設定時に目的地又は経路の開示許可/不許可をユーザに選択させ、サーバ装置100の制御部101は、開示許可されている目的地又は経路を示す目的地情報のみを取得することとする。
【0106】
また、目的地情報の取得元は、車載装置200に限定されず、ユーザが所有する携帯端末から、当該携帯端末に入力された目的地情報及び利用する車両を示す情報を取得することとしてもよい。また、ユーザのスケジュールを記憶する外部のサーバ装置からこれらの情報を取得することとしてもよい。
【0107】
変形例1によれば、車両側は、測定対象道路区間を経由しつつ、最短の経路で目的地に到達することができ、移動時間を短縮することができる。また、サーバ装置100は、道路情報の収集に掛かる費用をより低減することができる。
【0108】
[1.7.2.変形例2]
実施例1では、サーバ装置100の制御部101は、報酬の低い車両を選択して依頼情報を送信し、依頼情報を受信した車両から受諾情報を所定時間内に受信できなかった場合、タイムアウトして他の測定可能車両に依頼情報を送信していたが、この所定時間を道路情報の必要度に応じて変化させてもよい。具体的には、必要度が高いほどタイムアウトまでの時間を短くする。例えば、「タイムアウト時間=K・(1/必要度) 但し、Kは定数」に基づいてタイムアウト時間を算出してもよい。すなわち、必要度が高いほど、タイムアウト時間が短くなり、短時間に複数の車両に次々に依頼情報が送信されることから、サーバ装置100は、必要度の高い道路情報をより早期に取得することができる。
【0109】
また、制御部101は、必要度の高い道路情報の測定を依頼する場合には、複数の車両に同時に依頼情報を送信し、最も早く受諾情報を送信してきた車両に測定を依頼することとしてもよい。この場合、制御部101は、測定を依頼する車両が決定した場合には、それ以外の車両に対して依頼のキャンセル情報を送信する。この場合も、サーバ装置100は、必要度の高い道路情報をより早期に取得することができる。
【0110】
[1.7.3.変形例3]
実施例1では、サーバ装置100の制御部101は、測定対象道路区間の測定開始位置301から所定範囲内に存在する測定可能車両を検索するが、依頼を受諾する測定可能車両が存在しない場合には所定範囲(検索範囲)を広げるものとし、所定範囲の上限を道路情報の必要度に応じて変化させることとしてもよい。例えば、半径1km~10kmまでの間で複数段階の検索範囲を設定するようにしておき、最初は最小の半径1km範囲から検索を開始し(この範囲内に依頼を受諾する測定可能車両が見つかれば、報酬を低く抑えられる。)、この範囲内に依頼を受諾する測定可能車両が存在しない、1段階広げた検索範囲内で再度検索を行うこととする。そこでも依頼を受諾する測定可能車両が見つからない場合は、更に1段階検索範囲を広げる、という処理を繰り返す。ここで、検索範囲の上限が道路情報の必要度に応じて設定されるようにしておく。例えば、「検索範囲の半径上限=L・必要度 但し、Lは定数」に基づいて検索範囲の半径上限を算出してもよい。すなわち、必要度が高いほど、広範囲を検索範囲とするため、依頼を受諾してくれる車両を見つけやすくなる。なお、道路情報の必要度が高いほど、受諾してくれる測定可能車両が見つからなかった場合における、測定可能車両の検索処理のリトライ頻度を高く設定することとしてもよい。変形例3によれば、サーバ装置100は、必要度の高い道路情報をより早期に取得しやすくなる。
【0111】
[1.7.4.変形例4]
道路情報データベースは、季節、気象状況、曜日又は時間帯毎、あるいはこれらを組み合わせた条件に対応する道路情報を記録することとしてもよい。この場合、サーバ装置100は、現在の状況が道路情報の収集を必要とする季節、気象状況、曜日又は時間帯に適合した場合に、測定依頼処理を行うこととしてもよい。特に、所定の気象状況、時間帯など、現在の状況が適合する時間が短い条件に対応する道路情報を収集しようとする場合は、道路情報の必要度に拘らず、検索範囲の上限を最大に設定したり、複数の測定可能車両に同時に測定依頼情報を送信するようにしたりすることで、道路情報を確実に取得できるようにしてもよい。
【0112】
また、サーバ装置100の制御部101は、測定対象道路区間について特定の時間の道路情報を収集しようとする場合、当該測定対象道路区間の所定範囲内に存在する測定可能車両のうち、当該測定可能車両の現在位置に基づいて当該測定対象道路区間の測定開始地点への到達予想時刻を算出し、到達予想時刻が当該特定の時間に近い車両を優先して測定依頼情報を送信するようにしてもよい。本変形例4によれば、サーバ装置100は、季節、気象状況、曜日又は時間帯毎、あるいはこれらを組み合わせた条件に対応するきめ細やかな道路情報を取得することが可能となる。
【0113】
[1.7.5.変形例5]
車両のユーザは、測定の依頼に対して、直ぐには測定をできなくても、時間をおけばできる場合がある。そこで、車載装置200は、
図10に示すように、測定依頼画面420に、受諾ボタン421、拒否ボタン422に加えて、「30分以内に行く」ボタン423、「1時間以内に行く」ボタン424を表示させ、後で行く選択肢をユーザに提示することとしてもよい。この場合、直ぐには測定対象道路区間に向かわずに、寄り道をした後に測定対象道路区間に向かうことを可能とする。なお、寄り道をした後に測定対象道路区間に向かったとしても、先に測定依頼画面420に提示された報酬を支払うのが好ましい。この場合、測定の開始時刻が遅くなる分だけ、報酬に含まれる対価を変更してもよい(例えば、下げてもよい)。
【0114】
変形例5において、1時間以内に行くという選択肢がユーザにより選択された場合、車載装置200の制御部211は、この旨を示す受諾情報をサーバ装置100に送信し、これを受信したサーバ装置100の制御部101は、1時間は他の測定可能車両に依頼情報を送信しないこととし、1時間から所定時間(たとえば0.5時間)を経過しても受諾情報の送信元である車両が測定開始地点に到達しない場合には、当該車両に依頼をキャンセルする旨を通知して、他の測定可能車両に依頼情報を送信することとしてもよい。変形例5によれば、車両のユーザは、すぐに測定を行うことができない状況であっても、依頼を受諾することができることから、測定機器300を有する車両による測定の機会が増え、道路情報を充実させることができる。
【0115】
[1.7.6.変形例6]
実施例1では、依頼情報は、測定をする位置を示す情報、測定に要する所要時間を示す測定所要時間情報、測定に要する移動距離を示す測定移動距離情報、車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置(現在位置)に戻る経路を示す経路情報、及び、報酬を示す報酬情報を含むこととしたが、これらの少なくとも何れかの情報を含むこととしてもよい。これに応じて、車載装置200の制御部211は、測定をする位置を示す情報、測定に要する所要時間を示す測定所要時間情報、測定に要する移動距離を示す測定移動距離情報、車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置(現在位置)に戻る経路を示す経路情報、及び、報酬を示す報酬情報を含むこととしたが、これらの少なくとも何れかの情報をユーザに提示することとしてもよい。
【0116】
[1.7.7.変形例7]
実施例1では、
図7のステップS102及びステップS103で説明したように、依頼情報を送信する車両の候補を、測定対象道路区間の測定開始位置301から所定範囲内に存在する車両を検索し、次いで、測定を行う種類の測定機器を有する測定可能車両を抽出することにより決定したが、ステップS102の処理をスキップし、ステップS103の処理で抽出した車両について報酬決定処理を行い(ステップS104)、報酬の低い車両から順次、依頼情報を送信することとしてもよい。この場合、測定開始位置301から所定範囲外の遠方に存在する車両については消費エネルギー費用が高くなることから、依頼情報が送信される優先順位が下がり、依頼が受諾される可能性は下がるが、依頼情報の送信対象となりえる車両が増加することから、測定機器300を有する車両による測定の機会が増やし、道路情報を充実させることができる。また、車両管理データベースに登録されている車両の数が少ない場合などは、所定範囲内に存在する車両が少ない場合もあり、そのような場合には、現在位置が測定対象道路区間から遠方であっても、測定を行う種類の測定機器300を有する測定可能車両に依頼をしてしまった方が、早期に道路情報を取得できる。
【0117】
[1.7.8.変形例8]
実施例1では、サーバ装置100の制御部101は、
図7のステップS103の処理において、測定を行う種類の測定機器を有する測定可能車両を抽出する場合に、車両管理データベースの測定機器種類情報を参照して、測定可能車両を抽出することとしたが、ステップS103の処理において、ステップS102の処理で検索した車両(車載装置200)から測定機器種類情報を送信してもらい測定可能車両を抽出することとしてもよい。この場合、車載装置200の制御部211は、測定機器種類情報をサーバ装置100に送信することとする。
【0118】
また、上述した車種別測定機器種類情報を記憶部102に予め記憶させておき、ステップS103の処理において、ステップS102の処理で検索した車両(車載装置200)から車種情報を送信してもらい、当該車種別測定機器種類情報を参照して、測定可能車両を抽出することとしてもよい。この場合、車載装置200の制御部211は、車種情報をサーバ装置100に送信することとする。
【0119】
変形例8によれば、ステップS102の処理で検索した車両について、何れの種類の測定機器300を有しているかを依頼の直前に確認することから、より正確に測定可能車両を抽出することができる。
【0120】
[1.7.9.変形例9]
実施例1では、測定を行う対象を道路区間としたが、測定を行う対象は道路の地点(例えば、交差点や駅前のターミナル等)であってもよい。
【0121】
[1.7.10.変形例10]
実施例1では、測定機器300を有する車両に測定を依頼することとしたが、測定機器300を有する人間(「移動体」に対応)に測定を依頼することとしてもよい。例えば、測定機器300としてのカメラを備える携帯端末を有する人間に測定を依頼することとしてもよい。具体的には、車両管理データベースに加えて、又は、代えて、記憶部102に測定協力者管理データベースを構築し、車両管理データベースと同様に測定協力者の情報を管理する。なお、変形例10では、携帯端末を車載装置200に代用することができる。人間が測定を行う場合には、例えば、携帯端末のカメラで撮影をしながら測定対象道路区間を移動し(徒歩での移動、自転車や自動車に乗っての移動等)、測定データとしての画像データをサーバ装置100に送信することとなる。変形例10によれば、移動体としての人間にも測定を依頼することができるため、測定の機会が増加し、道路情報を充実させることができる。
【0122】
[2.実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例1では、車両のユーザが、車載装置200により提示される測定に要する所要時間、移動距離及び報酬を確認したうえで、依頼に応じるか否かを判断することとした。一方で、ユーザが運転する必要のない完全自動運転(無人運転を含む)に対応する車両においては、車両にユーザが搭乗していなくても測定のための走行が可能であるが、この場合、車両のユーザが依頼を受諾するか否かを判断できない場合がある。そこで、実施例2においては、ユーザが予め報酬に関する閾値を設定しておき、当該車両に搭載される車載装置200の制御部211が、閾値以上の報酬が提示されたと判定した場合に、依頼を受諾することとしてもよい。なお、実施例2では、実施例1との相違点を中心に説明し、同様の点については説明を省略する。
【0123】
[2.1.車載装置200による依頼受信処理]
まず、
図11を用いて、実施例2における車載装置200による依頼受信処理について説明する。なお、実施例1における車載装置200による依頼受信処理(
図9参照)と同じ処理について同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0124】
車載装置200の制御部211は、ステップS302の処理又はステップS303の処理において「NO」と判定した場合に、依頼情報に含まれる報酬情報が示す報酬が、予め設定された報酬に関する閾値以上であるか否かを判定する(ステップS304-2)。制御部211は、報酬が閾値以上ではないと判定した場合には(ステップS304-2:NO)、拒否情報をサーバ装置100に送信し(ステップS306)、依頼受信処理を終了する。一方、制御部211は、報酬が閾値以上であると判定した場合には(ステップS304-2:YES)、受諾情報をサーバ装置100に送信する(ステップS307)。
【0125】
次に、制御部211は、測定対象道路区間を走行する経路(車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置(現在位置)に戻る経路)を、自動運転で走行させるための制御を行い(ステップS308-2)、ステップS309の処理に移行する。
【0126】
なお、実施例2は、完全自動運転車両にユーザが搭乗している場合でも、搭乗していない場合でも実行することができる。例えば、次のケースを想定する。
・完全自動運転車両が、自宅の駐車場に駐車されており、ユーザにより16時から使用される予定が利用予定として登録されている。
・報酬に関する閾値は、ユーザにより50ポイントに設定されている。
・14時にサーバ装置100から、所要時間が1時間、移動距離が10km、報酬が100ポイントである依頼を示す依頼情報を受信した。
【0127】
このケースでは、依頼情報を受信した14時から、測定のための所要時間1時間が経過後の15時までについては、利用予定に空きがあり、かつ、この測定を行うことにより得られる報酬である100ポイントは、閾値である50ポイント以上であるから、制御部211は、車両が測定対象道路区間を自動運転で走行するための制御を行う。すなわち、車両の自動運転機能を制御し、現在の駐車位置から測定対象道路区間を介して元の駐車位置に戻ってくるように自動走行させる。
【0128】
次に、実施例1の変形例1の内容を採用して、サーバ装置100の制御部101が、現在位置から測定対象道路区間を経由して目的地へ向かう新経路を探索し、元の経路と新経路の所要時間の差分、及び、走行距離の差分を算出し、これらの差分(増分)に基づいて決定した報酬、さらに探索した新経路に関する情報を依頼情報に含めて車載装置200に送信するケースを想定する。具体的には、
・目的地への到着時刻が16時に設定されている。
・報酬に関する閾値は、ユーザにより50ポイントに設定されている。
・15時にサーバ装置100から、所要時間が30分、移動距離が5km、報酬が80ポイントである依頼を示す依頼情報を受信した。
というケースを想定する。
【0129】
このケースでは、依頼情報を受信した15時から、測定のための所要時間30分が追加されても到着時刻の16時までに目的地に到着可能であり、かつ、この測定を行うことにより得られる報酬である80ポイントは、閾値である50ポイント以上であるから、制御部211は、車両が測定対象道路区間を自動運転で走行するための制御を行う。すなわち、車両の自動運転機能を制御し、現在の駐車位置から測定対象道路区間を経由して目的地へ向かうように自動走行させる。
【0130】
実施例2の車載端末200の制御部211は、道路情報を取得するための測定が可能な測定機器300を有する自動運転可能な車両の利用予定に基づいて、当該車両が測定をすることが可能か否かを判定し、測定をすることが可能であると判定した場合に、当該車両を自動運転により移動させ、測定をさせる。また、制御部211は、測定した測定データをサーバ装置100に送信する。
【0131】
実施例2によれば、完全自動運転対応車両において、車両にユーザが搭乗していない場合であっても、利用予定に影響をしない依頼を受諾することができる。また、依頼を受諾する条件を予めユーザが設定しておくことで、車両にユーザが搭乗していない場合であっても、受諾条件に適合する依頼のみを受諾することができる。更に、利用予定に影響がある依頼は受諾しないため、ユーザが車両を利用する予定のない期間にのみ、車両を活用して報酬を受け取ることができる。更にまた、利用する予定のない期間の完全自動運転車両を測定に活用できることから、サーバ装置100は、測定機器300を有する車両による測定の機会が増え、道路情報を充実させることができる。
【0132】
[2.2.変形例]
次に、実施例2の変形例について説明する。なお、以下に説明する実施例2の変形例は、実施例1及び実施例1の変形例を含め適宜組み合わせることができる。
【0133】
[2.2.1.変形例1]
実施例2では、車載装置200は、報酬に関する閾値を事前に設定しておき、ステップS304-2の処理において閾値以上の報酬の提示があったと判定した場合に、受諾情報をサーバ装置100に送信するが、変形例1として、報酬に含まれる対価に関する閾値を事前に設定しておき、ステップS304-2の処理において閾値以上の対価の提示があったと判定した場合に、受諾情報をサーバ装置100に送信することとしてもよい。なお、報酬に関する閾値及び対価に関する閾値の双方を事前に設定しておき、ステップS304-2の処理において、報酬が報酬に関する閾値以上であり、且つ/又は、対価が対価に関する閾値以上であると判定した場合に受諾情報をサーバ装置100に送信することとしてもよい。また、この場合、サーバ装置100の制御部101は、依頼情報に対価を示す対価情報を含めて送信することとする。
【0134】
[2.2.2.変形例2]
受諾情報を送信する条件として報酬又は対価に関する閾値を設定しておくことに加えて、又は代えて、車載装置200において、測定の所要時間又は移動距離の上限(閾値)を、依頼を受諾する条件として設定できるようにしてもよい。この場合、ステップS304-2の処理において、測定の所要時間又は移動距離に関する設定済みの条件を満たす(所要時間又は移動距離が閾値以下)と判定した場合に受諾情報をサーバ装置100に送信する。これにより、測定の所要時間又は移動距離に関する設定済みの条件を満たす場合にのみ依頼を受諾することができる。
【0135】
[2.2.3.変形例3]
車両に搭乗者がいるかを検出する搭乗者検出手段(座席の加重センサや、車室内を撮影するカメラなど)を車載装置200に更に接続し、制御部211は、搭乗者が存在することが検出された場合には、ステップS304-2の処理において報酬が閾値以上であると判定した後に、依頼内容を搭乗者に提示し、搭乗者が依頼を受諾したか否かを判定することとしてもよい。例えば、ステップS304-2の処理において「YES」と判定した後に、
図9のステップS304の処理及びステップS305の処理と同様の処理を行い、ステップS305の処理で「YES」と判定した場合には、
図11のステップS307の処理に移行し、「NO」と判定した場合には、
図11のステップS306の処理に移行する。
【0136】
[2.2.4.変形例4]
変形例3では、車両に搭乗者が存在することが検出された場合に、依頼内容を搭乗者に提示し、搭乗者が依頼を受諾したか確認するが、車両に搭乗者が存在しない場合であっても、車両の管理者等に依頼を受諾するか問い合わせることとしてもよい。例えば、制御部211は、車両の管理者等の所持する端末装置に問い合わせメールを送信し、受諾する旨の回答があった場合に、
図11のステップS307の処理に移行する。これにより、利用予定に登録されていない予定が管理者等にあった場合に、車両が測定に出かけてしまい利用できなくなってしまうという事態を回避することができる。
【0137】
[3.実施例3]
次に実施例3について説明する。実施例3では、完全自動運転(無人運転を含む)に対応する車両について、サーバ装置100が利用予定を取得し、測定を行うことができるか否かを判定し、できると判定した場合に当該車両を自動運転制御し、当該測定を行わせる。なお、実施例3では、実施例1又は2との相違点を中心に説明し、同様の点については説明を省略する。
【0138】
[3.1.サーバ装置100による測定実行処理]
図12を用いて、実施例3におけるサーバ装置100による測定実行処理について説明する。
【0139】
まず、サーバ装置100の制御部101は、実施例1のサーバ装置100による測定依頼処理(
図7)のステップS101~ステップS105の処理と同様の処理を行う(ステップS401~ステップS405)。
【0140】
次いで、制御部101は、ステップS405の処理で選択した車両について利用予定が設定されているか否かを判定する(ステップS406)。具体的に、制御部101は、当該車両の利用予定を取得し、取得できたか否かを判定する。利用予定は予め記憶部102に記憶させておくこととしてもよいし、利用予定が記憶されている車載端末200の記憶部212や、外部のサーバ装置等から取得することとしてもよい。なお、プライバシーの観点からサーバ装置100による利用予定の取得を許可するか否かをユーザが設定できるようにしておくことが好ましい。
【0141】
制御部101は、利用予定が設定されていないと判定した場合には(ステップS406:NO)、ステップS408の処理に移行する。一方、制御部101は、利用予定が設定されていると判定した場合には(ステップS406:YES)、測定が利用予定に影響するか否かを判定する(ステップS407)。
【0142】
制御部101は、測定が利用予定に影響しないと判定した場合には(ステップS407:NO)、ステップS408の処理に移行する。一方、制御部211は、測定が利用予定に影響すると判定した場合には(ステップS407:YES)、測定可能車両からステップS405の処理で選択した測定可能車両を除外し(ステップS413)、ステップS405の処理に移行する
【0143】
制御部101は、利用予定が設定されていないと判定した場合(ステップS406:NO)、又は、測定が利用予定に影響しないと判定した場合には(ステップS407:NO)、直近のステップS405の処理で選択した測定可能車両に測定させることを決定し、当該測定可能車両に対して、測定対象道路区間を走行する経路(車両の現在位置から測定対象道路区間を経由して元の位置(現在位置)に戻る経路)を、自動運転で走行させるための制御を行う(ステップS408)。なお、サーバ装置100が、測定可能車両を自動運転で走行させるための制御を行う方法については、車載端末200を介して制御してもよいし、他の公知の手法を採用してもよい。
【0144】
次に、制御部101は、測定対象道路区間の走行が完了したか否かを判定する(ステップS409)。例えば、測定車両の自動運転制御を、車載端末200を介して行っている場合には、車載端末200から測定対象道路区間の走行が完了したか否かを示す情報を受信して判定することとしてもよい。制御部101は、測定対象道路区間の走行が完了していないと判定した場合には(ステップS409:NO)、再度、ステップS409に移行する。すなわち、制御部101は、測定対象道路区間の走行が完了するまで待機する。一方、制御部101は、測定対象道路区間の走行が完了したと判定した場合には(ステップS409:YES)、測定データをサーバ装置100に送信させる(ステップS410)。例えば、測定車両の自動運転制御を、車載端末200を介して行っている場合には、車載端末200に測定データを送信するよう指示する。
【0145】
次に、制御部101は、測定データを測定可能車両(車載端末200)から受信したか否かを判定する(ステップS411)。制御部101は、測定データを受信していないと判定した場合には(ステップS411:NO)、ステップS411に移行し、測定データを受信するまで待機する。一方、制御部101は、測定データを受信したと判定した場合には(ステップS411:YES)、測定データを記憶部102に記憶させ(ステップS412)、測定実行処理を終了する。
【0146】
実施例3におけるサーバ装置100の制御部101は、道路情報を取得するための測定が可能な測定機器300を有する自動運転可能な車両の利用予定に基づいて、当該車両が測定をすることが可能か否かを判定し、測定をすることが可能であると判定した場合に、車両を自動運転により移動させ、測定をさせる。
【0147】
したがって、実施例3におけるサーバ装置100によれば、測定機器300を有する自動運転車両を測定に利用することの機会を増やし、道路情報を充実させることができる。
【0148】
[3.2.変形例]
次に、実施例3の変形例について説明する。なお、以下に説明する実施例3の変形例は、実施例1並びに実施例1の変形例、及び、実施例2並びに実施例2の変形例、を含め適宜組み合わせることができる。
【0149】
[3.2.1.変形例1]
車両に搭乗者(「ユーザ」に対応)がいるかを検出する搭乗者検出手段(座席の加重センサや、車室内を撮影するカメラなど)を車載装置200に更に接続し、サーバ装置100の制御部101(「問い合わせ手段」に対応)は、搭乗者が存在することが検出されたことが車載装置200から通知された場合には、車載装置200を介して、測定内容(測定位置、測定に要する所要時間や移動距離、報酬等)を搭乗者に提示し、測定を行うことを受諾するか否かを問い合わせ、搭乗者が測定を行うことを受諾した場合に、測定(
図12のステップS408~ステップS412の処理)を実行することとしてもよい。
【0150】
[3.2.2.変形例2]
変形例1では、車両に搭乗者が存在することが検出された場合に、測定内容を搭乗者に提示し、搭乗者が測定を行うことを受諾したか確認するが、車両に搭乗者が存在しない場合であっても、念のため車両の管理者等に測定を行うことを受諾するか問い合わせることとしてもよい。例えば、制御部101は、車両の管理者等の所持する端末装置に問い合わせメールを送信し、受諾する旨の回答があった場合に、測定(
図12のステップS408~ステップS412の処理)を実行することとしてもよい。
【0151】
[3.2.3.変形例3]
制御部101は、報酬、対価、測定に要する所要時間や移動時間に関してユーザが予め定めた条件(報酬や対価が閾値以上であるかといった条件や、所要時間や移動時間が閾値以下であるかといった条件)を満たすか否かを判定し、条件を満たすと判定した場合に、自動運転による測定を実行することとしてもよい。具体的には、ユーザにより設定された報酬、対価、測定に要する所要時間・移動時間に関する条件を制御部101が取得できるように、記憶部102、車載端末200の記憶部212、外部のサーバ装置等に記憶させておく。そして、制御部101は、測定実行処理において利用予定が設定されていないと判定した場合(ステップS406:NO)、又は、測定が利用予定に影響しないと判定した場合には(ステップS407:NO)、次いで、報酬、対価、測定に要する所要時間・移動時間に関してユーザが予め定めた条件を満たすか否かを判定し、当該条件を満たすと判定した場合に、ステップS408の処理に移行することとする。一方、制御部101は、当該条件を満たさないと判定した場合には、ステップS413の処理に移行することとする。