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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056038
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20240412BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20240412BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20240412BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 C
B60N2/68
B60H1/34 651A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034632
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2022088689の分割
【原出願日】2017-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘治
(72)【発明者】
【氏名】小林 和樹
(57)【要約】
【課題】支持部材の剛性を向上させることができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シートは、シートクッションのフレームを構成するクッションフレームの左右のサイドフレームの間に配置され、着座者からの荷重を受ける板状の支持部材20を備える。支持部材20は、クッションフレームのフロントフレーム12とリアフレーム13に架設された架設線材100と、上側から見て架設線材100と交差するように配置された補強線材200と、架設線材100および補強線材200と一体に形成された板状の樹脂部材300とを有する。補強線材200は、左右の端に、前後に延びる端部224を有する。樹脂部材300は、架設線材100を覆う第1被覆部と、補強線材200の端部224を覆う第2被覆部と、第1被覆部と第2被覆部をつなぐ接続部とを有する。補強線材200の端部224は、左右方向から見て、架設線材100に対して非平行である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションのフレームを構成するクッションフレームであって、左右方向において対向した状態で離間して配置された一対の対向フレームと、前記一対の対向フレームの前部同士を連結する第1連結フレームと、前記第1連結フレームに対し離間して配置され、前記一対の対向フレームを連結する第2連結フレームとを有するクッションフレームと、
前記一対の対向フレームの間に配置され、着座者からの荷重を受ける板状の支持部材と、
ダクトが接続される接続部を有する送風装置と、を備え、
前記支持部材は、前側部分に前斜め上方に向けて延びる傾斜部を有し、当該傾斜部は、前記ダクトが通る貫通孔を有し、
前記送風装置の全体が、前記支持部材の下端よりも上に配置され、
前記支持部材は、前記第1連結フレームと前記第2連結フレームに架設された架設線材と、上側から見て前記架設線材と交差するように配置された補強線材と、前記架設線材および前記補強線材と一体に形成された板状の樹脂部材とを有し、
前記補強線材は、左右の端に、前後に延びる端部を有し、
前記樹脂部材は、前記架設線材を覆う第1被覆部と、前記補強線材の前記端部を覆う第2被覆部と、前記第1被覆部と前記第2被覆部をつなぐ接続部とを有し、
前記補強線材の前記端部は、左右方向から見て、前記架設線材に対して非平行であることを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置を備える乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートとして、例えば、特許文献1には、シートクッションの前後のフレームに架け渡されたシートバネに、送風装置が取り付けられたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-223836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術では、送風装置がシートバネの中央付近に取り付けられているので、シートに座った着座者からの荷重が送風装置にかかりやすくなっている。
【0005】
そこで、本発明は、着座者からの荷重を送風装置にかかりにくくすることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、送風装置の取付自由度を向上させることを目的とする。
また、シート内のスペースを有効に利用することを目的とする。
また、送風装置の動作に伴う振動や雑音を低減することを目的とする。
また、着座者に伝わる送風装置の動作音を低減することを目的とする。
また、送風装置の取付剛性を向上させることを目的とする。
また、シートをコンパクト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための乗物用シートは、対向した状態で離間して配置された一対の対向フレーム、および、前記一対の対向フレームを連結する第1連結フレームを有するフレーム部材と、前記一対の対向フレームの間に配置され、着座者からの荷重を受ける板状の支持部材と、送風装置と、を備え、前記送風装置は、前記支持部材に取り付けられ、一部が前記第1連結フレームの着座者側とは反対側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、支持部材に取り付けられた送風装置の一部が第1連結フレームの着座者側とは反対側に配置されていることで、着座者からの荷重を第1連結フレームで支えることができる。これにより、着座者からの荷重を送風装置にかかりにくくすることができる。
【0008】
前記した乗物用シートは、前記支持部材の着座者側とは反対側に取り付けられたブラケットを備え、前記送風装置は、少なくとも一部が前記ブラケットに取り付けられている構成とすることができる。
【0009】
これによれば、送風装置の取付自由度を向上させることができる。また、シート内における送風装置の配置の自由度を向上させることができるので、シート内のスペースを有効に利用することができる。
【0010】
前記した乗物用シートにおいて、前記フレーム部材は、前記第1連結フレームに対し離間して配置され、前記一対の対向フレームを連結する第2連結フレームを有し、前記支持部材は、前記第1連結フレームと前記第2連結フレームに架設された架設線材と、前記架設線材と一体に形成された板状の樹脂部材とを有し、前記送風装置は、前記樹脂部材に取り付けられている構成とすることができる。
【0011】
これによれば、送風装置が架設線材に取り付けられる場合と比較して、送風装置の動作に伴う支持部材の振動を低減したり、送風装置の動作時の振動によって発生する雑音を低減したりすることができる。
【0012】
前記した乗物用シートにおいて、前記樹脂部材は、着座者側から見て前記送風装置の少なくとも羽根車を覆う壁を有する構成とすることができる。
【0013】
これによれば、羽根車の回転によって発生する音を樹脂部材の壁で遮ることができるので、着座者に伝わる送風装置の動作音を低減することができる。
【0014】
前記した乗物用シートにおいて、前記樹脂部材は、着座者側とは反対側に向けて突出するボスを有し、前記送風装置は、前記ボスに取り付けられている構成とすることができる。
【0015】
これによれば、送風装置の取付自由度を向上させることができる。
【0016】
前記した乗物用シートにおいて、前記ボスは、前記一対の対向フレームの対向方向における前記架設線材の両側に配置されている構成とすることができる。
【0017】
これによれば、送風装置が樹脂部材の架設線材によって補強された剛性の高い部分を挟んで樹脂部材に取り付けられることになるので、送風装置の取付剛性を向上させることができる。
【0018】
前記した乗物用シートにおいて、前記樹脂部材は、前記送風装置に接続されたダクトが通る貫通孔を有する構成とすることができる。
【0019】
これによれば、支持部材を迂回するようにダクトを配置する場合と比較して、シートをコンパクト化することができる。
【0020】
前記した乗物用シートにおいて、前記フレーム部材は、シートクッションのフレームを構成するクッションフレームであり、前記一対の対向フレームが、左右方向に離間して配置され、前記第1連結フレームが、前記一対の対向フレームの前部同士を連結しており、前記支持部材は、前側部分に前斜め上方に向けて延びる傾斜部を有し、前記送風装置は、前記傾斜部の下に配置されている構成とすることができる。
【0021】
これによれば、支持部材の下に送風装置をコンパクトに配置することができるので、シートをコンパクト化することができる。
【0022】
前記した乗物用シートにおいて、前記フレーム部材は、シートクッションのフレームを構成するクッションフレームであり、前記一対の対向フレームが、左右方向に離間して配置され、前記第1連結フレームが、前記一対の対向フレームの前部同士を連結しており、前記送風装置は、前側部分が前記ブラケットに取り付けられて前記第1連結フレームの下側に配置され、後側部分が前記支持部材に直接取り付けられている構成とすることができる。
【0023】
これによれば、送風装置の取付自由度をより向上させることができる。また、シート内における送風装置の配置の自由度をより向上させることができるので、シート内のスペースをより有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、着座者からの荷重を送風装置にかかりにくくすることができる。
【0025】
また、送風装置の少なくとも一部をブラケットを介して支持部材に取り付けることで、送風装置の取付自由度を向上させることができるとともに、シート内のスペースを有効に利用することができる。
【0026】
また、送風装置を支持部材を構成する樹脂部材に取り付けることで、送風装置の動作に伴う振動や雑音を低減することができる。
【0027】
また、樹脂部材に送風装置の少なくとも羽根車を覆う壁を設けることで、着座者に伝わる送風装置の動作音を低減することができる。
【0028】
また、送風装置を樹脂部材に設けられたボスに取り付けることで、送風装置の取付自由度を向上させることができる。
【0029】
また、ボスを一対の対向フレームの対向方向における架設線材の両側に配置することで、送風装置の取付剛性を向上させることができる。
【0030】
また、樹脂部材に送風装置に接続されたダクトが通る貫通孔を設けることで、シートをコンパクト化することができる。
【0031】
また、送風装置を樹脂部材の傾斜部の下に配置することで、シートをコンパクト化することができる。
【0032】
また、送風装置の前側部分をブラケットを介して支持部材に取り付け、後側部分を支持部材に直接取り付けることで、送風装置の取付自由度をより向上させることができるとともに、シート内のスペースをより有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態に係る乗物用シートとしての車両用シートを示す図である。
図2】クッションフレームと支持部材を示す図である。
図3】架設線材と補強線材を示す図(a)と、第2縦ワイヤと第2横ワイヤが交差する部分を上から見た図(b)と、左右方向から見た図(c)と、第1縦ワイヤと第2横ワイヤが交差する部分を左右方向から見た図(d)である。
図4】支持部材を示す図である。
図5】支持部材を上から見た図である。
図6図5のV-V断面図である。
図7図5のW-W断面図である。
図8】支持部材の一部を拡大して示す図である。
図9】クッションフレームと支持部材を下から見た図(a)と、後から見た図(b)である。
図10】支持部材の前側部分とパンフレームを上から見た図である。
図11図10のX-X断面図である。
図12】支持部材のフレーム当接部付近を下から見た図である。
図13】送風装置、ブラケットおよび支持部材を示す図である。
図14】送風装置、ブラケットおよび支持部材を左右方向から見た図である。
図15】変形例に係る支持部材を上から見た図(a)と、図(a)のY-Y断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照しながら、発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車の運転席や助手席などで使用される車両用シートSとして構成されており、主に、シートクッションS1と、シートバックS2とを備えている。
【0035】
シートクッションS1の内部には、シートクッションS1のフレームを構成する、図2に示すようなフレーム部材の一例としてのクッションフレームF1が内蔵されている。シートクッションS1は、クッションフレームF1に、ウレタンフォームなどからなるパッド材と、布地や皮革などからなる表皮材を被せることで構成されている。また、図示は省略するが、シートバックS2は、シートバックS2のフレームを構成するバックフレームに、パッド材と、表皮材を被せることで構成されている。
【0036】
クッションフレームF1は、一対の対向フレームとしての左右のサイドフレーム11と、第1連結フレームとしてのフロントフレーム12と、第2連結フレームとしてのリアフレーム13と、規制フレームとしてのパンフレーム14とを有している。なお、本実施形態では、左右方向が「一対の対向フレームの対向方向」に相当し、前後方向が「一対の対向フレームの対向方向(左右方向)に直交する直交方向」に相当する。また、本実施形態では、上側が「着座者側」に相当し、下側が「着座者側とは反対側」に相当する。
【0037】
左右のサイドフレーム11は、前後に長い長尺状のフレームであり、左右方向において対向した状態で離間して配置されている。各サイドフレーム11は、板金からなり、周縁部が左右方向内側に延出した断面形状を有している。
フロントフレーム12とリアフレーム13は、前後方向に離間して配置され、左右のサイドフレーム11を連結する一対の連結フレームを構成している。詳しくは、フロントフレーム12とリアフレーム13は、金属製のパイプ材からなり、フロントフレーム12が、左右のサイドフレーム11の前部同士を連結している。また、リアフレーム13は、フロントフレーム12の後方でフロントフレーム12に対し離間して配置され、左右のサイドフレーム11の後部同士を連結している。
パンフレーム14は、左右のサイドフレーム11を連結する連結フレームであり、板金からなる。パンフレーム14は、左右のサイドフレーム11の前端部同士を連結するように配置されている。
【0038】
枠状のクッションフレームF1の内側、言い換えると、左右のサイドフレーム11の間には、板状の支持部材20が配置されている。支持部材20は、シートクッションS1の図示しないパッド材を介して着座者からの荷重を受ける部材であり、架設線材100と、補強線材200と、板状の樹脂部材300とを有して構成されている。詳細については後述するが、架設線材100と補強線材200は、左右のサイドフレーム11の間に配置された線材である。架設線材100と補強線材200は、金属製の線材からなる。また、樹脂部材300は、樹脂からなり、インサート成形などにより架設線材100と補強線材200を覆った状態でこれらと一体に形成されている。
【0039】
図3(a)に示すように、架設線材100は、フロントフレーム12とリアフレーム13に架設されている。本実施形態では、架設線材100は、左右方向に並んで複数配置されている。具体的に、架設線材100は、左右の第1架設線材としての左右の第1縦ワイヤ110と、第2架設線材としての2本の第2縦ワイヤ120とを含む。
【0040】
左右の第1縦ワイヤ110は、左右方向に離間して配置され、それぞれ、延出部としての前側延出部111および後側延出部112と、屈曲部113と、前側傾斜部114と、前側フック状部115と、後側傾斜部116と、後側フック状部117とを有している。
前側延出部111および後側延出部112は、略前後方向に延びている。本実施形態では、前側延出部111が「第1延出部」に相当し、後側延出部112が「第2延出部」に相当する。
前側傾斜部114は、前側延出部111の前端から前斜め上方に向けて延びており、後側傾斜部116は、後側延出部112の後端から上斜め後方に向けて延びている。
前側フック状部115は、フロントフレーム12に掛止される部分であり、前側傾斜部114の前端から延び出て上に向けて凸となる略円弧状に形成されている。また、後側フック状部117は、リアフレーム13に掛止される部分であり、後側傾斜部116の上端から延び出て略円弧状に形成されている。
【0041】
屈曲部113は、前後方向における前側延出部111と後側延出部112の間で、前後の延出部111,112に対して左右方向外側に向けて略U字状に突出するように屈曲して形成されている。また、図6に示すように、屈曲部113は、左右の第1縦ワイヤ110の各延出部111,112を通る平面PLに対し、上側に位置している。すなわち、屈曲部113は、前後の延出部111,112に対して左右方向外側の斜め上方に向けて突出するように形成されている。なお、図3(a)に示すように、前述した前側延出部111は、屈曲部113の左右方向内側の端のうちの一方である前側の端から略前方に向けて延びており、また、後側延出部112は、屈曲部113の左右方向内側の端のうちの他方である後側の端から略後方に向けて延びている。
【0042】
第2縦ワイヤ120は、左右の第1縦ワイヤ110の間において左右方向に並んで配置され、それぞれ、延在部121と、前側傾斜部124と、前側フック状部125と、後側傾斜部126と、後側フック状部127とを有している。
延在部121は、略前後方向に延びており、左右の第1縦ワイヤ110の前後の延出部111,112に対し略平行に配置されている。
前側傾斜部124および前側フック状部125は、第1縦ワイヤ110の前側傾斜部114および前側フック状部115と略同じ形状に形成されており、後側傾斜部126および後側フック状部127は、第1縦ワイヤ110の後側傾斜部116および後側フック状部117と略同じ形状に形成されている。本実施形態では、縦ワイヤ110,120の前側フック状部115,125が「架設線材に形成されたフック状部」に相当する。
【0043】
補強線材200は、上側から見て架設線材100(第1縦ワイヤ110および第2縦ワイヤ120)と交差するように配置されている。本実施形態では、補強線材200は、前後方向に並ぶように複数設けられている。具体的に、補強線材200は、第1横ワイヤ210と、第1横ワイヤ210の前側に配置された第2横ワイヤ220とを含む。
第1横ワイヤ210は、1本の線材からなり、第1補強線材としての第1ワイヤ部211および左右の第1支持部212と、第2補強線材としての左右2つの第2ワイヤ部213とを有している。第1ワイヤ部211および第2ワイヤ部213は、第2縦ワイヤ120の延在部121と交差するように配置されている。
【0044】
第1ワイヤ部211は、左右方向に延びている。図5に示すように、第1ワイヤ部211は、着座者の坐骨位置SPを避けるように、一部が坐骨位置SPの後に配置されている。詳しくは、第1ワイヤ部211は、左右の端部211Aと、各端部211Aの左右方向内側の端から屈曲して左右方向内側の斜め後方に向けて延びる中間部211Bと、左右の中間部211Bの後端同士をつなぐように左右方向に沿って延びる中央部211Cとを有しており、中央部211Cが坐骨位置SPの後に配置されている。一方、左右の端部211Aは、坐骨位置SPよりも前に配置されている。なお、左右の端部211Aは、坐骨位置SPと同じ前後位置に配置されていてもよい。本明細書において、坐骨位置SPは、着座者の坐骨の最も下に突出する部分に対応する位置である。
【0045】
第1支持部212は、第1ワイヤ部211の左右両端(各端部211Aの左右方向外側の端)から後方に向けて屈曲して略前後方向に延びている。各第1支持部212は、対応する第1縦ワイヤ110の前側延出部111から後側延出部112にわたって略前後方向に延びており、前側延出部111および後側延出部112の下側に配置されている。これにより、第1支持部212は、樹脂部材300を介して第1縦ワイヤ110の前側延出部111および後側延出部112を下側から支持しており、さらに、前側延出部111および後側延出部112を介して屈曲部113を下側から支持している。図3(a)に示すように、第1横ワイヤ210は、第1縦ワイヤ110と交差する部分である第1支持部212が第1縦ワイヤ110の前後の延出部111,112よりも下側に配置されている一方で、第2縦ワイヤ120と交差する部分が第2縦ワイヤ120よりも上側に配置されている。具体的には、第1横ワイヤ210は、第1ワイヤ部211の中央部211Cおよび第2ワイヤ部213の左右方向内側の端部が第2縦ワイヤ120の延在部121よりも上側に配置されている。
【0046】
第2ワイヤ部213は、各第1支持部212の後端から左右方向内側に向けて屈曲して左右方向内側に向けて延びており、第1ワイヤ部211の後方で第1ワイヤ部211と並んで配置されている。さらに説明すると、図5に示すように、第2ワイヤ部213は、第1ワイヤ部211の坐骨位置SPの後に配置された部分である中央部211Cのさらに後に配置されている。
【0047】
図3(a)に示すように、第2横ワイヤ220は、中央部221と、第1中間部222と、第2中間部223と、端部224とを有している。
中央部221は、左右方向に延びており、左右の第2縦ワイヤ120の前側傾斜部124と交差するように前側傾斜部124の上側に配置されている。
第1中間部222は、中央部221の左右の端から屈曲して前側傾斜部124の一端である後端側に向けて延びている。
第2中間部223は、第1中間部222の後端から屈曲して左右方向外側に向けて延びている。第2中間部223は、左右方向外側の端部が、第1縦ワイヤ110の前側延出部111と交差するように前側延出部111の上側に配置されている。
端部224は、第2中間部223の左右方向外側の端から屈曲して前側延出部111の一端である後端側に向けて延びている。
【0048】
図3(b)に示すように、第2横ワイヤ220の第1中間部222は、上側から見て、第2縦ワイヤ120の前側傾斜部124に対して非平行である。さらに言えば、図3(c)に示すように、第1中間部222は、左右方向から見て、前側傾斜部124と交差している。ここでは、第2縦ワイヤ120の前側傾斜部124が「第1部分」に相当し、第2横ワイヤ220の中央部221が「第2部分」に相当し、第1中間部222が「第3部分」に相当する。
また、図3(d)に示すように、第2横ワイヤ220の端部224は、左右方向から見て、第1縦ワイヤ110の前側延出部111と交差しており、前側延出部111に対して非平行である。ここでは、第1縦ワイヤ110の前側延出部111が「第1部分」に相当し、第2横ワイヤ220の第2中間部223が「第2部分」に相当し、端部224が「第3部分」に相当する。
【0049】
図3(a)に示すように、樹脂部材300は、架設線材100と補強線材200を覆うとともに、架設線材100と補強線材200を連結している。詳しくは、架設線材100と補強線材200は、交差する部分が互いに接触しないように所定の間隔をあけた状態で配置されており、樹脂部材300は、この状態の架設線材100と補強線材200の全体を覆って連結している。このため、樹脂部材300、詳しくは、樹脂部材300を構成する樹脂は、架設線材100の補強線材200と交差する部分と、補強線材200の架設線材100と交差する部分との間の隙間に入り込んで介在している。
【0050】
図4に示すように、樹脂部材300は、ベース部310と、線材被覆部320と、取付部330と、第2支持部340と、掛止部としての前側掛止部350と、後側掛止部360と、左右一対のフレーム当接部370とを有して構成されている。
【0051】
線材被覆部320は、架設線材100または補強線材200を包むように覆う部分であり、本実施形態では、ベース部310や取付部330に対して上側に凸となるビード状に形成されている。線材被覆部320は、第1縦ワイヤ110を覆う第1縦ワイヤ被覆部321と、第2縦ワイヤ120を覆う第2縦ワイヤ被覆部322と、第1横ワイヤ210を覆う第1横ワイヤ被覆部323と、第2横ワイヤ220を覆う第2横ワイヤ被覆部324とを含む。本実施形態では、第1縦ワイヤ被覆部321および第2縦ワイヤ被覆部322が「架設線材被覆部」に相当し、第1横ワイヤ被覆部323および第2横ワイヤ被覆部324が「補強線材被覆部」に相当する。線材被覆部320は、架設線材100と補強線材200が交差する部分では、架設線材100と補強線材200の間に樹脂が介在した状態で接続されている。
【0052】
ベース部310は、左右の第1縦ワイヤ被覆部321の間の部分であり、隣り合う第1縦ワイヤ被覆部321と第2縦ワイヤ被覆部322、または、隣り合う第2縦ワイヤ被覆部322同士をつなぐように設けられている。ベース部310は、水平部311と、支持部材20の前側部分に形成された傾斜部312とを有している。
【0053】
図8に拡大して示すように、水平部311は、第2縦ワイヤ120の延在部121に沿うように略前後方向に延びている。水平部311の上面には、線材被覆部320と同じ側である上側に凸となる複数のリブ313が形成されている。各リブ313は、線材被覆部320につながって、線材被覆部320と一体に形成されている。言い換えると、各リブ313は、線材被覆部320から延びるように形成されている。このような構成によれば、樹脂部材300の剛性を向上させることができるので、支持部材20の剛性を向上させることができる。
【0054】
本実施形態では、リブ313は、第1リブ313Aと、第2リブ313Bと、第3リブ313Cとを含む。
第1リブ313Aは、前後の第1横ワイヤ被覆部323の間に配置され、略前後方向に延びている。第1リブ313Aは、一端である後端が、線材被覆部320のうちの後側の第1横ワイヤ被覆部323(第2ワイヤ部213を覆う部分)につながっている。そして、第1リブ313Aは、他端である前端に向けて水平部311の上面からの突出量、言い換えると、高さが徐々に小さくなるように、当該第1リブ313Aの上面が前斜め下方に向けて傾斜した形状に形成されている。このような構成によれば、第1リブ313Aを設けたことによる段差感を低減することができるので、人がシートに座ったときの着座フィーリングをより良好なものとすることができる。
【0055】
第2リブ313Bおよび第3リブ313Cは、第1横ワイヤ被覆部323と第2横ワイヤ被覆部324の間に配置され、左右方向に対して傾斜するように延びている。第2リブ313Bは、一端である前端が第2縦ワイヤ被覆部322につながっており、他端である後端が前側の第1横ワイヤ被覆部323(第1ワイヤ部211を覆う部分)につながっている。このような構成によれば、樹脂部材300の剛性をより向上させることができるので、支持部材20の剛性をより向上させることができる。また、第3リブ313Cは、第2リブ313Bに対して平行または直交するように延びている。本実施形態では、第1横ワイヤ被覆部323と第2横ワイヤ被覆部324の間に、第2リブ313Bと第3リブ313Cとによって格子状のリブが形成されている。このような構成によれば、樹脂部材300の剛性を一層向上させることができるので、支持部材20の剛性を一層向上させることができる。
【0056】
傾斜部312は、縦ワイヤ110,120の前側傾斜部114,124に沿うように水平部311の前端から前斜め上方に向けて延びている(図14も参照)。図7に示すように、傾斜部312の上面には、着座センサ30が配置されている。着座センサ30は、車両用シートSへの着座を検出するための公知のセンサである。本実施形態では、着座センサ30は、隣り合う架設線材100、具体的には、第2縦ワイヤ120の間に配置されている。詳しくは、着座センサ30は、傾斜部312の上面の中央付近で、第2縦ワイヤ被覆部322の間に配置されている。このような構成によれば、着座センサ30が樹脂部材300の隣り合う第2縦ワイヤ120によって補強された剛性の高い部分の間に配置されることになるので、着座センサ30の取付剛性を向上させることができる。なお、傾斜部312の中央付近には、上下に貫通した略矩形状の第1貫通孔314が形成されている。図9に示すように、着座センサ30から延びるハーネス31は、第1貫通孔314を通って支持部材20の下側に引き出され、前側に向かうように敷設され、パンフレーム14に取り付けられたコネクタ32に接続されている。
【0057】
図8に示すように、樹脂部材300は、第2縦ワイヤ被覆部322が前側傾斜部124を覆う第1被覆部322Aを有し、第2横ワイヤ被覆部324が第1中間部222を覆う第2被覆部324Aを有し、ベース部310が第1被覆部322Aと第2被覆部324Aをつなぐ接続部310Aを有している。前述したとおり、第1中間部222は、前側傾斜部124に対して非平行であるので、第1中間部222が前側傾斜部124に対して平行である場合と比較して、接続部310Aでつながった第1被覆部322Aおよび第2被覆部324Aは、一方が他方に対してねじれた位置関係にあることで、一方が他方を軸として回動しにくくなっている。すなわち、樹脂部材300は、接続部310A付近が変形しにくくなっている。このような構成によれば、樹脂部材300の剛性を向上させることができるので、支持部材20の剛性を向上させることができる。
【0058】
取付部330は、樹脂部材300の左右両端部のうち前側部分を構成する板状の部分であり、左右の第1縦ワイヤ被覆部321の前端部から左右方向外側に向けて延びるように設けられている。取付部330は、縦ワイヤ110,120の前側傾斜部114,124に沿うように前後に延びている。取付部330、言い換えると、樹脂部材300の線材被覆部320を避けた位置には、上下に貫通した複数の取付穴331が形成されている。取付穴331は、支持部材20に他の部材を取り付けるための穴である。支持部材20に取り付けられる他の部材としては、例えば、図9に示すように、車両用シートSに設けられる図示しないモータや面状ヒータなどの電装部品に接続されるハーネス81~83などを挙げることができる。具体的に、ハーネス81~83は、公知のハーネスクリップ84に保持された状態で、当該ハーネスクリップ84の図示しない爪を取付穴331に係合させることにより支持部材20に取り付けられている。このように、取付穴331を線材被覆部320を避けた位置に形成することで、樹脂部材300に他の部材を取り付けるための取付穴331を容易に形成することができる。また、他の部材を取り付ける部分として、例えば、樹脂部材300に他の部材に係合する爪状の部分などを形成する場合と比較して、支持部材20が複雑な構造となるのを抑制することができる。なお、ハーネス81~83は、パンフレーム14に取り付けられたコネクタ85に接続されている。他の部材を取り付けるための穴は、線材被覆部320を避けた位置であれば、例えば、ベース部310などに設けてもよい。
【0059】
図4に示すように、第2支持部340(支持部)は、樹脂部材300の左右両端部のうち後側部分を構成する略板状の部分であり、ベース部310(詳しくは、水平部311および傾斜部312の後端部)から左右方向外側の斜め上方に向けて延びるように形成されている。第2支持部340は、第1縦ワイヤ110の前側延出部111の後端部、後側延出部112および屈曲部113と、第1横ワイヤ210の左右両端部と、第2横ワイヤ220の端部224とを包むように覆っている。図9に示すように、第2支持部340の下面には、下側に向けて突出したリブ341,342が形成されている。リブ341は、略前後方向に延びており、左右方向に並んで複数配置されている。また、リブ342は、略左右方向に延びており、前後方向に並んで複数配置されている。図6に示すように、左右に延びるリブ342は、前後方向から見て略三角形状を有し、屈曲部113の左右方向外側の端よりも左右方向外側の位置から、屈曲部113の左右方向内側の端よりも左右方向内側の位置まで延びている。
【0060】
図8に示すように、本実施形態では、第2支持部340は、第1縦ワイヤ110の前側延出部111の後端部を覆う第1被覆部340Aと、第2横ワイヤ220の端部224を覆う第2被覆部340Bと、第1被覆部340Aと第2被覆部340Bをつなぐ接続部340Cとを有している。前述したとおり、端部224は、前側延出部111に対して非平行であるので、端部224が前側延出部111に対して平行である場合と比較して、第1被覆部340Aおよび第2被覆部340Bは、一方が他方に対して回動しにくく、第2支持部340は、接続部340C付近が変形しにくくなっている。これにより、樹脂部材300の剛性を向上させることができるので、支持部材20の剛性を向上させることができる。
【0061】
前側掛止部350は、フロントフレーム12に掛止される部分であり、左右方向に長い略半円筒状に形成されている。前側掛止部350は、縦ワイヤ110,120の前側フック状部115,125が、樹脂部材300、具体的には、樹脂部材300を構成する樹脂で覆われて構成されている。
【0062】
図4に示すように、後側掛止部360は、リアフレーム13に掛止される部分である。後側掛止部360は、左右の第1後側掛止部361と、左右の第1後側掛止部361の間に配置された第2後側掛止部362とを含む。左右の第1後側掛止部361は、それぞれ、対応する第1縦ワイヤ110の後側フック状部117が樹脂で覆われて構成されている。また、第2後側掛止部362は、2つの第2縦ワイヤ120の後側フック状部127が樹脂で覆われて構成されている。なお、図9(a),(b)に示すように、ハーネス81,82は、リアフレーム13の上で、左の第1後側掛止部361と第2後側掛止部362の間を通るように配置されている。第1後側掛止部361と第2後側掛止部362の間の部分は、第1後側掛止部361および第2後側掛止部362の上部に対して凹となる凹部を形成しているので、この部分にハーネス81,82を配置することで、ハーネス81,82を配置したことによる段差感を低減することができる。
【0063】
図4に示すように、フレーム当接部370は、パンフレーム14の後述する位置規制面14A(図10参照)に左右方向内側から当接可能な部分であり、前側掛止部350の左右両側に設けられている。詳しくは、フレーム当接部370は、前側掛止部350の左右両側から、前側掛止部350よりも上側に突出するように設けられている。フレーム当接部370は、前端部の左右方向外側に、パンフレーム14の位置規制面14Aに当接可能な当接面371を有している。
【0064】
図10に示すように、パンフレーム14は、左右方向内側を向く一対の位置規制面14Aを有している。詳しくは、パンフレーム14は、後端部の左右方向中央に、前側に向けて凹となる略U字状の凹部14Bを有しており、当該凹部14Bの左右の面が位置規制面14Aとなっている。樹脂部材300(支持部材20)は、その前端部がパンフレーム14の凹部14Bに入り込むように配置されていて、フレーム当接部370は、左右の対応する位置規制面14Aの左右方向内側に隣接して配置されている。さらに説明すると、フレーム当接部370の当接面371は、対応する位置規制面14Aの左右方向内側に隣接して、位置規制面14Aと対面するように配置されている。当接面371および位置規制面14Aは、パンフレーム14と支持部材20が並ぶ方向である前後方向における支持部材20が配置された側、すなわち、後側に向かうにつれて、左右方向外側に位置する傾斜した傾斜面として形成されている。図11に示すように、フレーム当接部370は、前側掛止部350の左右両側から、パンフレーム14の後側の縁に形成された位置規制面14Aよりも上側に突出するように設けられている。
【0065】
図9および図11に示すように、板金からなるパンフレーム14は、凹部14Bの左右方向外側に、フレーム当接部370の左右方向外側に配置される板状部14Cを有している。左の板状部14Cの下側には、ハーネス82,83が配置されている。本実施形態では、ハーネス82,83が「電線」に相当する。このような構成によれば、剛性が高いクッションフレームF1の下側にハーネス82,83が配置されることになるので、車両用シートS内に配置される可撓性を有する部材であるハーネス82,83に力がかかるのを抑制することができる。なお、ハーネス82,83は、ハーネスクリップ86に保持された状態で、当該ハーネスクリップ86を板状部14Cに形成された取付穴14Hに係合させることによりパンフレーム14に取り付けられている。
【0066】
図12に下側から示すように、樹脂部材300は、前端部に、外側壁381と、リブ382とを有している。
外側壁381は、フレーム当接部370の左右方向外側の壁を含む、樹脂部材300の前端部の左右方向外側の壁を形成している。
リブ382は、下側に凸となっており、略前後に延びる外側壁381から左右方向内側に向けて延びて前側掛止部350の上部につながるように形成されている。リブ382は、前後方向におけるフレーム当接部370の傾斜した当接面371の後端付近の位置と、当該位置よりも後の位置の2箇所に、前後に並んで2つ設けられている。リブ382は、前側掛止部350がフロントフレーム12に掛止されたときには、フロントフレーム12の上方に配置される。
【0067】
図13に示すように、支持部材20の下側には、送風装置40が配置されている。図示は省略するが、シートクッションS1のパッド材は、上面に形成された複数の通気孔と、通気孔に連通する通気路とを有しており、送風装置40の吹出口40Bがダクト50(図14参照)を介して通気路に接続されている。このような構成により、車両用シートSは、送風装置40が動作したときに、シートクッションS1の上面から空気を吹き出すように構成されている。
【0068】
送風装置40は、一例として、シロッコファンであり、筐体41と、羽根車42と、羽根車42を回転させるための図示しないモータとを備えている。
筐体41は、羽根車42やモータが収容される筐体本体44と、筐体本体44の左端部から後方に向けて延びる筒状の吹出部45と、筐体本体44から外側に向けて延びる板状の固定部46とを有している。筐体本体44の上面には、空気を吸い込むための図示しない吸込口が形成されており、吹出部45の後端には、空気を吹き出すための吹出口40Bが形成されている。固定部46は、第1固定部46Aと、第2固定部46Bと、第3固定部46Cとを含む。第1固定部46Aは、筐体本体44から右斜め前方に向けて延びるように形成され、第2固定部46Bは、筐体本体44から左斜め前方に向けて延びるように形成されている。また、第3固定部46Cは、筐体本体44から略後方に向けて延びるように形成されている。各固定部46には、貫通孔46Hが形成されている。
【0069】
送風装置40は、支持部材20に取り付けられている。詳しくは、送風装置40は、前側部分が支持部材20にブラケット60を介して取り付けられており、後側部分が支持部材20に直接取り付けられている。
ブラケット60は、支持部材20の下側に取り付けられており、板状のブラケット本体61と、ボス62A,62Bと、貫通孔63A,63Bとを有している。ブラケット本体61は、略U字状をなし、送風装置40の吸込口と対向する位置に、上下および後方に向けて開いた開口61Aが形成されている。ボス62A,62Bは、ブラケット本体61の下面から下側に向けて突出する円筒状に形成されている。ボス62Aは、ブラケット本体61の前端部の右側に設けられ、ボス62Bは、ブラケット本体61の前端部の左側に設けられている。貫通孔63A,63Bは、上下に貫通した孔である。貫通孔63A,63Bは、開口61Aを挟んで、貫通孔63Aがブラケット本体61の後端部の右側に設けられ、貫通孔63Bがブラケット本体61の後端部の左側に設けられている。
【0070】
図9に示すように、支持部材20を構成する樹脂部材300は、送風装置40が取り付けられる左右の送風装置取付部390R,390Lを有している。本実施形態の車両用シートSは、その仕様に応じて、送風装置40の取り付け位置が異なっている。具体的には、車両用シートSの仕様に応じて、右の送風装置取付部390Rと左の送風装置取付部390Lのいずれかに送風装置40が取り付けられる。例えば、車両用シートSが右座席で使用されるものである場合には、右の送風装置取付部390Rに送風装置40が取り付けられ、車両用シートSが左座席で使用されるものである場合には、左の送風装置取付部390Lに送風装置40が取り付けられる。左右の送風装置取付部390R,390Lの構成は略同じであるので、以下では、主に右の送風装置取付部390Rの構成について詳細に説明する。
【0071】
送風装置取付部390Rは、図13に示すように、樹脂部材300の下面から下側に向けて突出する円筒状のボス391を複数有している。ボス391は、第1ボス391Aと、第2ボス391Bと、第3ボス391Cとを含む。第1ボス391A、第2ボス391Bおよび第3ボス391Cは、下側から見て三角形の頂点に位置するように配置されている。詳しくは、第1ボス391Aおよび第2ボス391Bは、左右方向に離間した状態で並ぶように配置され、第3ボス391Cは、第1ボス391Aおよび第2ボス391Bよりも後の位置であって、左右方向における第1ボス391Aと第2ボス391Bの間の位置に配置されている。また、第1ボス391Aは、右の取付部330の前端部に配置され、第2ボス391Bと第3ボス391Cは、傾斜部312の前端部のうち、右の第1縦ワイヤ110と右の第2縦ワイヤ120の間の位置に配置されている。さらに説明すると、第1ボス391Aは、右の第1縦ワイヤ110の右側に配置され、第2ボス391Bと第3ボス391Cは、右の第1縦ワイヤ110の左側に配置されている。すなわち、ボス391は、左右方向における右の第1縦ワイヤ110の両側に配置されている。
【0072】
なお、図9に示すように、左の送風装置取付部390Lについては、第1ボス391Aが、傾斜部312の前端部のうち、左右の第2縦ワイヤ120の間の位置に配置され、第2ボス391Bと第3ボス391Cは、傾斜部312の前端部のうち、左の第2縦ワイヤ120と左の第1縦ワイヤ110の間の位置に配置されている。さらに説明すると、左の送風装置取付部390Lについては、第1ボス391Aが、左の第2縦ワイヤ120の右側に配置され、第2ボス391Bと第3ボス391Cが、左の第2縦ワイヤ120の左側に配置されている。すなわち、左の送風装置取付部390Lについても、ボス391A~391Cが、左右方向における左の第2縦ワイヤ120の両側に配置されている。
【0073】
ここで、支持部材20への送風装置40の取り付けの一例について説明する。
図13に示すように、送風装置40を支持部材20に取り付けるときには、まず、ブラケット60を支持部材20の下側に取り付ける。具体的には、ネジ91を、ブラケット60の貫通孔63Aに挿通して第1ボス391Aに螺嵌するとともに、ネジ92を、ブラケット60の貫通孔63Bに挿通して第2ボス391Bに螺嵌する。その後、送風装置40をブラケット60および支持部材20の下側に取り付ける。具体的には、ネジ93を、送風装置40に形成された第1固定部46Aの貫通孔46Hに挿通してブラケット60のボス62Aに螺嵌するとともに、ネジ94を、第2固定部46Bの貫通孔46Hに挿通してブラケット60のボス62Bに螺嵌することで、送風装置40の前側部分をブラケット60に取り付ける。また、ネジ95を、送風装置40に形成された第3固定部46Cの貫通孔46Hに挿通して樹脂部材300の第3ボス391Cに螺嵌することで、送風装置40の後側部分を支持部材20に直接取り付ける。
【0074】
本実施形態では、送風装置40は、一部がブラケット60を介して支持部材20に取り付けられているので、送風装置40の全体が支持部材20に直接取り付けられる場合と比較して、送風装置40の取付自由度を向上させることができる。また、車両用シートS内における送風装置40の配置の自由度を向上させることができるので、車両用シートS内のスペースを有効に利用することができる。
【0075】
特に、本実施形態では、送風装置40は、その一部である前側部分がブラケット60に取り付けられることで支持部材20にブラケット60を介して取り付けられ、後側部分が支持部材20に直接取り付けられているので、取付用のボスを設けにくい前側掛止部350の下の位置に送風装置40を取り付けることができる。これにより、送風装置40の取付自由度をより向上させることができる。また、車両用シートS内における送風装置40の配置の自由度をより向上させることができるので、車両用シートS内のスペースをより有効に利用することができる。
【0076】
また、送風装置40は、樹脂部材300に取り付けられているので、送風装置40が金属製の架設線材100などに取り付けられる場合と比較して、送風装置40の動作に伴う支持部材20の振動を低減したり、送風装置40の動作時の振動によって発生する雑音を低減したりすることができる。
【0077】
また、送風装置40は、樹脂部材300に設けられた突出したボス391に取り付けられているので、例えば、送風装置40が樹脂部材300の平らな面に取り付けられる場合と比較して、送風装置40の取付自由度を一層向上させることができる。
【0078】
また、ボス391が架設線材100の両側に配置されているので、送風装置40が樹脂部材300の架設線材100によって補強された剛性の高い部分を挟んで樹脂部材300に取り付けられることになる。これにより、送風装置40の取付剛性を向上させることができる。
【0079】
図14に示すように、支持部材20に取り付けられた送風装置40は、支持部材20を構成する樹脂部材300の傾斜部312の下に配置されている。このような構成によれば、支持部材20の下に送風装置40をコンパクトに配置することができるので、送風装置40が内蔵される車両用シートSをコンパクト化することができる。また、送風装置40は、前側部分が金属製のフロントフレーム12の下側に配置されている。
【0080】
図9に示すように、樹脂部材300の傾斜部312には、第2ボス391Bの後側の位置に、上下に貫通した第2貫通孔315が形成されている。第2貫通孔315は、左右の送風装置取付部390R,390Lに対応して傾斜部312の左右に1つずつ設けられている。図14に示すように、第2貫通孔315は、送風装置40の吹出部45に接続されたダクト50が通る貫通孔である。このような構成によれば、支持部材20を迂回するようにダクトを配置する場合と比較して、クッションフレームF1(シートクッションS1)をコンパクト化することができるので、車両用シートSをコンパクト化することができる。
【0081】
また、図5に示すように、樹脂部材300(傾斜部312)の前側掛止部350と第2貫通孔315の間の部分は、上側から見て、送風装置40の筐体本体44、さらに言えば、筐体本体44に収容された羽根車42を覆う壁としての遮音壁316となっている。このような構成によれば、羽根車42の回転によって発生する音を樹脂部材300の遮音壁316で遮ることができるので、着座者に伝わる送風装置40の動作音を低減することができる。なお、遮音壁316は、上側から見て、吹出部45を含む送風装置40の全体を覆うように設けられていてもよい。
【0082】
以上説明した本実施形態によれば、図2に示したように、着座者からの荷重を受ける支持部材20を、架設線材100、補強線材200、および、架設線材100と補強線材200を覆う板状の樹脂部材300によって構成することができる。その結果、着座者からの荷重を面で受けることができる。また、支持部材が金属板からなる場合と比較して、支持部材20に適度な可撓性を持たせることができる。さらに、板状の樹脂部材300を金属製の線材からなる架設線材100と補強線材200で補強することができるので、支持部材20に適度な剛性を持たせることができる。これらにより、車両用シートSの着座フィーリングを良好なものとすることができる。また、樹脂部材300が架設線材100と補強線材200を接触しないように間隔をあけた状態で覆っているので、線材同士の接触による音の発生を防止することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、図3および図4に示したように、左右の第1縦ワイヤ110が、それぞれ、前後の延出部111,112に対して左右方向外側の斜め上方に突出するように屈曲した略U字状の屈曲部113を有しているので、樹脂部材300の第2支持部340を介し、左右の屈曲部113によって着座者を左右両側から挟むように支持することができる。これにより、車両用シートSのホールド性を向上させることができる。一方で、屈曲部113は、左右の第1縦ワイヤ110の一部を屈曲して設けているので、着座者を左右両側から挟むように支持する部分を有する部材を第1縦ワイヤ110とは別に設ける場合と比較して、車両用シートSの部品点数を削減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、第1横ワイヤ210の第1支持部212が、延出部111,112を介して屈曲部113を下側から支持しているので、着座者が座ったときに屈曲部113を有する第1縦ワイヤ110が下側に撓んだ場合であっても、第1支持部212によって屈曲部113を支えることができる。その結果、屈曲部113が下側に移動しすぎるのを、言い換えると、屈曲部113が下がりすぎるのを抑制することができる。これにより、左右の屈曲部113による着座時のホールド性を良好に保つことができる。
【0085】
また、本実施形態では、第1支持部212によって屈曲部113の前後両側、具体的には、前側延出部111と後側延出部112の両方を支えることができるので、第1縦ワイヤ110が撓んだ場合に屈曲部113が下がりすぎるのを効果的に抑制することができる。これにより、左右の屈曲部113による着座時のホールド性をより良好に保つことができる。
【0086】
また、本実施形態では、第1横ワイヤ210の第2縦ワイヤ120と交差する部分が第2縦ワイヤ120よりも上側に配置されているので、第1支持部212を有する第1横ワイヤ210を第2縦ワイヤ120によって支えることができる。これにより、第1縦ワイヤ110が撓んだ場合に、第1横ワイヤ210自体が下がるのが抑制されるので、屈曲部113が下がりすぎるのを第1支持部212によってより効果的に抑制することができる。その結果、左右の屈曲部113による着座時のホールド性をより一層良好に保つことができる。
【0087】
また、本実施形態では、樹脂部材300が屈曲部113を覆う板状の第2支持部340を有するので、第2支持部340によって着座者を面で支持することができる。これにより、着座フィーリングを向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、図6に示したように、第2支持部340の裏側に設けられたリブ342が、屈曲部113よりも左右方向内側まで延びているので、屈曲部113が左右方向内側の端を中心として下側に回動しようとするのをリブ342によって支えることで抑制することができる。これにより、着座者からの荷重によって左右の屈曲部113が左右外側へ開くように変形するのを抑制できるので、左右の屈曲部113による着座時のホールド性を良好に保つことができる。
【0089】
また、本実施形態では、図5に示したように、縦ワイヤ110,120に交差するように配置された第1ワイヤ部211を有するので、着座者から荷重を受ける支持部材20を補強することができる。また、第1ワイヤ部211は、坐骨位置SPを避けるように、中央部211Cが坐骨位置SPの後に配置されているので、着座者の坐骨付近と第1ワイヤ部211とが当たることによる着座フィーリングの低下を抑えることができる。
【0090】
また、本実施形態では、第1ワイヤ部211ほかに、さらに第2ワイヤ部213を有するので、支持部材20をより強固に補強することができる。また、第2ワイヤ部213が、第1ワイヤ部211の中央部211Cよりも後に配置されているので、着座者の坐骨付近と第2ワイヤ部213とが当たることによる着座フィーリングの低下を抑えることができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、図14に示したように、支持部材20に取り付けられた送風装置40の一部である前側部分がフロントフレーム12の下側に配置されているので、車両用シートSに座った着座者からの荷重を金属製の剛性が高いフロントフレーム12で受け止めて支えることができる。これにより、着座者からの荷重を送風装置40にかかりにくくすることができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、図10に示したように、パンフレーム14が左右一対の位置規制面14Aを有し、支持部材20が左右一対のフレーム当接部370を有するので、図10に示す状態から支持部材20が左右方向へ大きく移動しようとしたときには、支持部材20のフレーム当接部370がパンフレーム14の位置規制面14Aに左右方向内側から当接する。これにより、支持部材20のそれ以上の左右方向への移動が規制されるので、支持部材20の位置が左右にずれるのを抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、前側掛止部350が掛止されているフロントフレーム12に沿って支持部材20が左右に移動しようとするので、フレーム当接部370を前側掛止部350の左右両側に設けることで、フレーム当接部370を位置規制面14Aに左右方向内側から良好に当接させることができる。これにより、支持部材20の位置が左右にずれるのを効果的に抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態では、フレーム当接部370が位置規制面14Aよりも上側に突出するように設けられているので、例えば、フレーム当接部370に寸法誤差などが生じたり、パンフレーム14がチルト機構などによって上下に移動可能に設けられていたりしても、フレーム当接部370と位置規制面14Aを良好に当接させることができる。これにより、支持部材20の位置が左右にずれるのをより効果的に抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、支持部材20がフレーム当接部370を含む外側壁381から左右方向内側に向けて延びるリブ382を有するので、外側壁381の剛性を向上させることができる。これにより、フレーム当接部370の剛性も向上させることができるので、フレーム当接部370と位置規制面14Aとの当接によって支持部材20の位置が左右にずれるのを良好に抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、フレーム当接部370が前側掛止部350よりも上側に突出するように設けられているので、当接面371の大きさを十分に確保することができる。これにより、フレーム当接部370と位置規制面14Aを良好に当接させることができるので、支持部材20の位置が左右にずれるのをより良好に抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、位置規制面14Aおよび当接面371が後側に向かうにつれて左右方向外側に位置する傾斜面であるので、位置規制面14Aと当接面371が左右方向に直交する面である場合と比較して、位置規制面14Aと当接面371が当接したときの衝撃を低減することができる。これにより、支持部材20の位置ずれを抑制するときの衝撃を低減することができる。
【0098】
また、フレーム当接部370が樹脂製の樹脂部材300に形成されているので、金属製のパンフレーム14に形成された位置規制面14Aと、フレーム当接部370とが当接したときに雑音が発生するのを抑制することができる。これにより、支持部材20の位置ずれを抑制するときの雑音の発生を抑制することができる。
【0099】
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、以下では、前記実施形態と同様の構成については同一符号を付して適宜説明を省略し、前記実施形態と異なる点について詳細に説明する。
例えば、図15(a),(b)に示すように、変形例に係る支持部材20は、架設線材としての左右の第1縦ワイヤ110および1つの第3縦ワイヤ130と、補強線材としての第1横ワイヤ210と、ワイヤ110,130,210を覆った状態で一体に形成された樹脂部材300とを有して構成されている。
【0100】
第3縦ワイヤ130は、左右の第1縦ワイヤ110の間に配置され、フロントフレーム12とリアフレーム13に架設されている。第3縦ワイヤ130は、主に、前側の第1平行部131と、後側の第2平行部132と、第1平行部131と第2平行部132の間に配置された屈曲部133とを有している。第1平行部131および第2平行部132は、略前後方向に延びる一の直線Lに対して平行に配置されている。詳しくは、第1平行部131および第2平行部132は、上側から見て同一の直線L上に配置され、略前後方向に延びている。屈曲部133は、直線Lから逸れるように左右方向に屈曲している。詳しくは、屈曲部133は、前部133Aが直線Lに対して右側に向けて略U字状に突出するように屈曲しており、後部133Bが直線Lに対して左側に向けて略U字状に突出するように屈曲している。屈曲部133は、前部133Aの後端と、後部133Bの前端とがつながって左右方向にまっすぐ延びていることで、全体としては略S字状を有している。
【0101】
樹脂部材300は、線材被覆部320の一部として、第3縦ワイヤ130を覆う第3縦ワイヤ被覆部325を含む。第3縦ワイヤ被覆部325は、ベース部310や取付部330に対して上側に凸となるビード状に形成されており、屈曲部133を覆う屈曲部被覆部326を有している。また、樹脂部材300は、周囲の部分よりも厚みが大きい肉厚部317を有している。肉厚部317は、第3縦ワイヤ被覆部325と同様に、周囲の部分に対して上側に凸となるビード状に形成されている。肉厚部317は、第1肉厚部317Aと、第2肉厚部317Bとを含む。第1肉厚部317Aは、屈曲部被覆部326によって形成される前側の開口部326Aの、第1平行部131に近い端と、第2平行部132に近い端とをつなぐ略L字状に形成されている。また、第2肉厚部317Bは、屈曲部被覆部326によって形成される後側の開口部326Bの、第1平行部131に近い端と、第2平行部132に近い端とをつなぐ略L字状に形成されている。このような構成によれば、屈曲部被覆部326の前側部分と第1肉厚部317A、および、屈曲部被覆部326の後側部分と第2肉厚部317Bとによって、略矩形の輪郭を有する閉じた肉厚部分が形成されるので、肉厚部317が設けられていない場合と比較して、樹脂部材300の剛性を向上させることができる。これにより、支持部材20の剛性を向上させることができる。
【0102】
また、図15に示す形態では、着座センサ30が、屈曲部被覆部326の前側部分と第1肉厚部317Aに囲まれた領域の内側に配置されている。このような構成によれば、着座センサ30が樹脂部材300の第3縦ワイヤ130と肉厚部317とによって補強された剛性の高い部分の内側に配置されることになるので、着座センサ30の取付剛性を向上させることができる。なお、以上の説明では、肉厚部としてビード状の肉厚部317を例示したが、これに限定されない。言い換えると、肉厚部は、周囲の部分よりも厚みが大きい部分であればよく、形状は特に限定されない。また、図15では、架設線材としての第3縦ワイヤ130が第1平行部131、第2平行部132および屈曲部133を有する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、補強線材が第1平行部、第2平行部および屈曲部を有していてもよいし、架設線材と補強線材の両方が第1平行部、第2平行部および屈曲部を有していてもよい。
【0103】
また、前記実施形態では、左右の第1縦ワイヤ110に屈曲部113が1つずつ形成されていたが、これに限定されず、複数ずつ形成されていてもよい。
【0104】
また、前記実施形態では、第1補強線材としての第1ワイヤ部211の一部が坐骨位置SPの後に配置されていたが、これに限定されず、坐骨位置SPの前に配置されていてもよい。また、第1ワイヤ部211は、その全体が坐骨位置SPの前または後に配置されていてもよい。
【0105】
また、前記実施形態では、第1横ワイヤ210が、第1補強線材としての第1ワイヤ部211および第1支持部212と、第2補強線材としての2つの第2ワイヤ部213とを含み、1本の線材からなる構成であったが、これ限定されない。例えば、第1補強線材としての第1ワイヤ部211および第1支持部212を構成する線材と、第2補強線材としての2つの第2ワイヤ部213をそれぞれ構成する2本の線材とが別部品として設けられていてもよい。また、第1補強線材を構成する線材と、第2補強線材を構成する線材とを別部品として設ける場合においては、第2補強線材は、2本の線材ではなく、1本の線材からなる構成であってもよい。なお、前記実施形態のように、第1補強線材と第2補強線材が1本の線材からなる構成とすることで、第1補強線材と第2補強線材が異なる線材からなる場合と比較して、線材の数を減らすことができるので、車両用シートSの部品点数を削減することができる。
【0106】
また、前記実施形態では、第1支持部212が、前後の延出部111,112にわたって前後方向に延び、前後の延出部111,112の下側に配置され、当該延出部111,112を下側から支持する構成であったが、これに限定されない。例えば、第1支持部は、左右方向に延び、前側延出部111および後側延出部112の一方の下側に交差するように配置され、当該一方を下側から支持する構成であってもよい。また、第1補強線材は、第1支持部を備えない構成であってもよい。
【0107】
また、前記実施形態では、補強線材としての第2横ワイヤ220が、中央部221(第2部分)と、第1中間部222(第3部分)とを有し、第1中間部222が第2縦ワイヤ120(架設線材)の前側傾斜部124(第1部分)に対して非平行である構成であったが、これに限定されない。例えば、補強線材ではなく、架設線材が、第2部分と、第3部分とを有し、架設線材の第3部分が補強線材の第1部分に対して非平行である構成であってもよい。この場合、樹脂部材は、支持部材の剛性を向上させるため、補強線材の第1部分を覆う第1被覆部と、架設線材の第3部分を覆う第2被覆部と、第1被覆部と第2被覆部をつなぐ接続部とを有する構成とすることが望ましい。
【0108】
また、前記実施形態では、架設線材100や補強線材200は、全体が樹脂部材300によって覆われていたが、これに限定されず、一部が外部に露出していてもよい。例えば、架設線材100や補強線材200は、交差する部分が互いに接触しないように間隔をあけた状態で樹脂部材によって覆われて連結され、屈曲部113などの他の部分が樹脂部材によって覆われていない構成であってもよい。
【0109】
また、前記実施形態では、線材被覆部320が、着座者側である上側に凸となっていたが、これに限定されず、例えば、着座者側とは反対側である下側に凸となっていてもよい。また、線材被覆部320は、上側と下側の両方に凸となっていてもよい。
【0110】
また、前記実施形態では、支持部材20のフレーム当接部370とパンフレーム14の位置規制面14Aとが直接当接することを前提として説明をしたが、これに限定されない。例えば、図11を参考にして説明すると、フレーム当接部370の当接面371および位置規制面14Aの少なくとも一方にゴムやフェルトなどを配置し、フレーム当接部370と位置規制面14Aとがゴムやフェルトなどを介して当接するようにしてもよい。これによれば、当接面371と位置規制面14Aが当接したときの音や衝撃を低減することができる。
【0111】
また、前記実施形態では、フレーム当接部370が前側掛止部350よりも上側に突出するように設けられていたが、これに限定されず、例えば、樹脂部材に、上側に突出するフレーム当接部は設けず、前側掛止部の左右方向外側の面をフレーム当接部としてもよい。また、前記実施形態では、位置規制面14Aおよびフレーム当接部370をクッションフレームF1および支持部材20の前側に設けたが、これに限定されず、例えば、後側に設けてもよい。また、位置規制面および当接面は、左右方向に略直交するような面であってもよい。また、位置規制面を有するフレームと支持部材が掛止されるフレームは、同一の部材であってもよい。
【0112】
また、前記実施形態では、送風装置40は、前側部分がブラケット60を介して支持部材20に取り付けられ、後側部分が支持部材20に直接取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、送風装置は、全体がブラケットに取り付けられ、ブラケットを介して支持部材に取り付けられていてもよい。また、送風装置は、全体が支持部材20に直接取り付けられていてもよい。
【0113】
また、前記実施形態では、送風装置40が傾斜部312の下に配置されていたが、これに限定されず、例えば、図14を参考にして説明すると、送風装置は、水平部311の下に配置されていてもよい。また、前記実施形態では、送風装置40は、前側部分がフロントフレーム12の下側に配置されていたが、これに限定されず、例えば、一部である後側部分が、第1連結フレームの他の例としてのリアフレーム13の下側に配置されていてもよい。
【0114】
また、前記実施形態では、送風装置40としてシロッコファンを例示したが、これに限定されず、例えば、プロペラファンやターボファンなどであってもよい。また、前記実施形態では、車両用シートSが送風装置40の動作によって空気を吹き出すように構成されていたが、これに限定されず、例えば、送風装置の動作によって空気を吸い込むように構成されていてもよい。また、送風装置は、例えば、羽根車の回転方向を切り替えることで、送風と吸引を切り替えることができるものであってもよい。
【0115】
また、前記実施形態では、フレーム部材としてクッションフレームF1を例示したが、これに限定されず、例えば、フレーム部材は、シートバックS2のフレームを構成するバックフレームであってもよい。すなわち、車両用シートSは、架設線材、補強線材および樹脂部材を含む板状の支持部材を、枠状のバックフレームの内側に配置し、前記実施形態のシートクッションS1と同様の構成を、シートバックS2に適用した構成としてもよい。なお、支持部材をバックフレームの内側に配置した構成では、前側が「着座者側」に相当し、後側が「着座者側とは反対側」に相当する。また、支持部材をバックフレームの内側に配置した構成で、一対の対向フレームとしてバックフレームのサイドフレームを採用した場合には、上下方向が「一対の対向フレームの対向方向(左右方向)に直交する直交方向」に相当する。
【0116】
また、車両用シートSは、支持部材をバックフレームの内側に配置した構成で、一対の対向フレームとして枠状のバックフレームの上下のフレームを採用できる場合がある。また、前記実施形態のように支持部材をクッションフレームの内側に配置した構成で、一対の対向フレームとして枠状のクッションフレームの前後のフレームを採用できる場合もある。このような場合、バックフレームやクッションフレームの左右のフレームを連結フレームとすることができる。また、車両用シートSは、例えば、架設線材がリアフレーム13とパンフレーム14に架設された構成を採用できる場合がある。
【0117】
また、前記実施形態では、支持部材20が、架設線材100、補強線材200および樹脂部材300を有して構成されていたが、これに限定されない。例えば、支持部材は、補強線材を備えない構成であってもよい。また、支持部材として、架設線材のみからなる支持部材や、樹脂のみからなる板状の支持部材、板金からなる支持部材などを採用できる場合がある。
【0118】
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
【0119】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0120】
11 サイドフレーム
12 フロントフレーム
13 リアフレーム
20 支持部材
40 送風装置
42 羽根車
50 ダクト
60 ブラケット
100 架設線材
110 第1縦ワイヤ
120 第2縦ワイヤ
300 樹脂部材
312 傾斜部
315 第2貫通孔
316 遮音壁
391 ボス
F1 クッションフレーム
S 車両用シート
S1 シートクッション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15