(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005605
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】船舶を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B63B 79/40 20200101AFI20240110BHJP
B63H 25/04 20060101ALI20240110BHJP
B63H 25/02 20060101ALI20240110BHJP
B63H 25/42 20060101ALI20240110BHJP
B63H 20/00 20060101ALI20240110BHJP
B63H 21/21 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B63B79/40
B63H25/04 D
B63H25/02 B
B63H25/42 G
B63H20/00 803
B63H21/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105861
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】井上 宏
(57)【要約】
【課題】自動制御により船舶を目標地点に容易に保持することができるシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、船舶推進器と、入力装置と、コントローラとを備える。入力装置は、操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を出力する。コントローラは、操作信号を受信する。コントローラは、第1モードが選択されているときは、船舶を目標地点に保持するように船舶推進器を制御する。コントローラは、第1モードにおいて、目標地点から離れた第1地点から船舶を目標地点に移動させようとする時には、船首を目標地点に向ける船首モード及び船尾を目標地点に向ける船尾モードのいずれのモードで船舶推進器を制御するかを第1地点に対する目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで船舶を第1地点から目標地点に移動させるように船舶推進器を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶を制御するためのシステムであって、
船舶推進器と、
手動操作可能であり、操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を出力する入力装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記操作信号を受信し、
前記第1モードが選択されているときは、前記船舶を目標地点に保持するように前記船舶推進器を制御し、
前記第1モードにおいて、前記目標地点から離れた第1地点から前記船舶を前記目標地点に移動させようとする時には、船首を前記目標地点に向ける船首モード及び船尾を前記目標地点に向ける船尾モードのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを前記第1地点に対する前記目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで前記船舶を前記第1地点から前記目標地点に移動させるように前記船舶推進器を制御する、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1モードにおいて、前記船首モード及び前記船尾モードのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを前記第1地点に対する前記目標地点の方位と前記第1地点における前記船舶の方位との角度差、及び風向きの少なくとも一方に応じて選択する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1モードにおいて、前記船舶の対水速度が所定速度以下かを判定し、
前記第1モードにおいて前記船舶の前記対水速度が前記所定速度以下の場合は、前記第1モードから第2モードに切り換えて、前記第2モードで前記船舶推進器を制御し、
前記第2モードにおいて、前記船舶の方位を維持しながら、前記船舶を前記目標地点に保持するように前記船舶推進器を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1モードから前記第2モードに切り換えた後、前記船舶が前記目標地点から所定距離以上離れているかを判定し、
前記船舶が前記目標地点から前記所定距離以上離れている場合は、前記第2モードから前記第1モードに切り換えて、前記第1モードで前記船舶推進器を制御する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1モードにおいて、前記第1地点から前記目標地点に移動させようとする時には、前記船首モードと前記船尾モードとで、前記目標地点を向くまでの時間をそれぞれ算出し、前記目標地点を向くまでの時間が短い方のモードを選択する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1モードにおいて、前記船首モードを選択して前記船首が前記目標地点を向くように前記船舶推進器を制御するときに、前記船舶の旋回速度が所定速度以下かを判定し、
前記船首モードにおいて前記船舶の前記旋回速度が前記所定速度以下の場合は、前記船首モードから前記船尾モードに切り換えて、前記船尾モードで前記船舶推進器を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記第1モードにおいて、前記船尾モードを選択して前記船尾が前記目標地点を向くように前記船舶推進器を制御するときに、前記船舶の旋回速度が所定速度以下かを判定し、
前記船尾モードにおいて前記船舶の前記旋回速度が前記所定速度以下の場合は、前記船尾モードから前記船首モードに切り換えて、前記船首モードで前記船舶推進器を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1モードにおいて、前記第1モードを示す前記操作信号を受信した時点での前記船舶の位置に保持するように前記船舶推進器を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記第1モードにおいて、前記船舶が前記目標地点から所定距離以上離れているかを判定し、
前記第1モードにおいて前記船舶が前記目標地点から前記所定距離以上離れているときには、前記船首モード及び前記船尾モードのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを選択し、選択したモードで前記船舶を前記第1地点から前記目標地点に移動させるように前記船舶推進器を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
船舶を制御するためのシステムであって、
船舶推進器と、
手動操作可能であり、操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を出力する入力装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記操作信号を受信し、
前記第1モードが選択されているときは、前記船舶を目標地点に保持するように前記船舶推進器を制御し、
前記第1モードにおいて、前記目標地点から離れた第1地点から前記船舶を前記目標地点に移動させようとする時には、船首を前記目標地点に向ける船首モード、船尾を前記目標地点に向ける船尾モード、及び前記船舶の方位を維持する方位維持モードのうちのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを前記第1地点に対する前記目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで前記船舶を前記第1地点から前記目標地点に移動させるように前記船舶推進器を制御する、
システム。
【請求項11】
船舶推進器と、入力装置とを含む船舶を制御するための方法であって、
前記入力装置の操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を受信することと、
前記第1モードが選択されているときには、前記船舶を目標地点に保持するように前記船舶推進器を制御することと、
前記第1モードにおいて、前記目標地点から離れた第1地点から前記船舶を前記目標地点に移動させようとする時には、船首を前記目標地点に向ける船首モード及び船尾を前記目標地点に向ける船尾モードのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを前記第1地点に対する前記目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで前記船舶を前記第1地点から前記目標地点に移動させるように前記船舶推進器を制御すること、
を備える方法。
【請求項12】
前記第1モードにおいて、前記船首モード及び前記船尾モードのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを前記第1地点に対する前記目標地点の方位と前記第1地点における前記船舶の方位との角度差、及び風向きの少なくとも一方に応じて選択することをさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1モードにおいて、前記船舶の対水速度が所定速度以下かを判定することと、
前記第1モードにおいて前記船舶の前記対水速度が前記所定速度以下の場合は、前記第1モードから第2モードに切り換えて、前記第2モードで前記船舶推進器を制御することと、
前記第2モードにおいて、前記船舶の方位を維持しながら、前記船舶を前記目標地点に保持するように前記船舶推進器を制御すること、
をさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1モードにおいて前記第1モードから前記第2モードに切り換えた後、前記船舶が前記目標地点から所定距離以上離れているかを判定することと、
前記船舶が前記目標地点から前記所定距離以上離れている場合は、前記第2モードから前記第1モードに切り換えて、前記第1モードで前記船舶推進器を制御すること、
をさらに備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1モードにおいて、前記目標地点から離れた前記第1地点から前記船舶を前記目標地点に移動させようとする時には、前記船首モードと前記船尾モードとで、前記目標地点を向くまでの時間をそれぞれ算出し、前記目標地点を向くまでの時間が短い方のモードを選択すること、
をさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1モードにおいて、前記船首モードを選択して前記船首が前記目標地点を向くように前記船舶推進器を制御するときに、前記船舶の旋回速度が所定速度以下かを判定することと、
前記船首モードにおいて前記船舶の前記旋回速度が前記所定速度以下の場合は、前記船首モードから前記船尾モードに切り換えて、前記船尾モードで前記船舶推進器を制御すること、
をさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1モードにおいて、前記船尾モードを選択して前記船尾が前記目標地点を向くように前記船舶推進器を制御するときに、前記船舶の旋回速度が所定速度以下かを判定することと、
前記船尾モードにおいて前記船舶の前記旋回速度が前記所定速度以下の場合は、前記船尾モードから前記船首モードに切り換えて、前記船首モードで前記船舶推進器を制御すること、
をさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1モードにおいて、前記第1モードを示す前記操作信号を受信した時点での前記船舶の位置に保持するように前記船舶推進器を制御することをさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第1モードにおいて、前記船舶が前記目標地点から所定距離以上離れているかを判定することと、
前記第1モードにおいて前記船舶が前記目標地点から前記所定距離以上離れているときには、前記船首モード及び前記船尾モードのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを選択し、選択したモードで前記船舶を前記第1地点から前記目標地点に移動させるように前記船舶推進器を制御すること、
をさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
船舶推進器と、入力装置とを含む船舶を制御するための方法であって、
前記入力装置の操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を受信することと、
前記第1モードが選択されているときには、前記船舶を目標地点に保持するように前記船舶推進器を制御することと、
前記第1モードにおいて、前記目標地点から離れた第1地点から前記船舶を前記目標地点に移動させようとする時には、船首を前記目標地点に向ける船首モード、船尾を前記目標地点に向ける船尾モード、及び前記船舶の方位を維持する方位維持モードのうちのいずれのモードで前記船舶推進器を制御するかを前記第1地点に対する前記目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで前記船舶を前記第1地点から前記目標地点に移動させるように前記船舶推進器を制御すること、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶を指定された目的地に向けて移動するように、船舶を自動制御するシステムが知られている。例えば、特許文献1では、システムは、オートパイロットモードにおいて、船舶が指定された目的地に向けて移動するように、船舶の船外機を制御する。船舶が目的地に近づくと、システムは、船舶を目的地に停泊させる。
【0003】
また、船舶の自動制御として、船舶を目標地点に保持する保持制御が知られている。従来の保持制御は、船舶が目標地点から離れた場合に、船首を目標地点に向ける船首モード及び船尾を目標地点に向ける船尾モードのうち、予めユーザが設定したモードで船舶を目標地点に移動させるように船外機を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の保持制御では、船舶が目標地点から離れた場合に、予めユーザが設定した船首モード及び船尾モードのいずれか一方のモードで船舶を目標地点に移動させるように船外機を制御する。このため、船舶が目標地点から離れた場合において、船舶の位置によっては、船舶が目標地点に移動するまでに時間が掛かる場合があり、改善の余地がある。本開示の目的は、自動制御により船舶を目標地点に容易に保持することができるシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るシステムは、船舶を制御するためのシステムであって、船舶推進器と、入力装置と、コントローラとを備える。入力装置は、操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を出力する。コントローラは、操作信号を受信する。コントローラは、第1モードが選択されているときは、船舶を目標地点に保持するように船舶推進器を制御する。コントローラは、第1モードにおいて、目標地点から離れた第1地点から船舶を目標地点に移動させようとする時には、船首を目標地点に向ける船首モード及び船尾を目標地点に向ける船尾モードのいずれのモードで船舶推進器を制御するかを第1地点に対する目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで船舶を第1地点から目標地点に移動させるように船舶推進器を制御する。
【0007】
本開示の他の態様に係るシステムは、船舶を制御するためのシステムであって、船舶推進器と、入力装置と、コントローラとを備える。入力装置は、操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を出力する。コントローラは、操作信号を受信する。コントローラは、第1モードが選択されているときは、船舶を目標地点に保持するように船舶推進器を制御する。コントローラは、第1モードにおいて、目標地点から離れた第1地点から船舶を目標地点に移動させようとする時には、船首を目標地点に向ける船首モード、船尾を目標地点に向ける船尾モード、及び船舶の方位を維持する方位維持モードのうちのいずれのモードで船舶推進器を制御するかを第1地点に対する目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで船舶を前記第1地点から目標地点に移動させるように船舶推進器を制御する。
【0008】
本開示の他の態様に係る方法は、船舶推進器と入力装置とを含む船舶を制御するための方法であって、以下の処理を備える。第1の処理は、入力装置の操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を受信することとである。第2の処理は、第1モードが選択されているときには、船舶を目標地点に保持するように船舶推進器を制御することとである。第3の処理は、第1モードにおいて、目標地点から離れた第1地点から船舶を目標地点に移動させようとする時には、船首を目標地点に向ける船首モード及び船尾を目標地点に向ける船尾モードのいずれのモードで船舶推進器を制御するかを第1地点に対する目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで船舶を第1地点から目標地点に移動させるように船舶推進器を制御することである。
【0009】
本開示の他の態様に係る方法は、船舶推進器と入力装置とを含む船舶を制御するための方法であって、以下の処理を備える。第1の処理は、入力装置の操作に応じて選択された第1モードを示す操作信号を受信することとである。第2の処理は、第1モードが選択されているときには、船舶を目標地点に保持するように船舶推進器を制御することとである。第3の処理は、第1モードにおいて、目標地点から離れた第1地点から船舶を目標地点に移動させようとする時には、船首を目標地点に向ける船首モード、船尾を目標地点に向ける船尾モード、及び船舶の方位を維持する方位維持モードのうちのいずれのモードで船舶推進器を制御するかを第1地点に対する目標地点の位置に応じて選択し、選択したモードで船舶を第1地点から目標地点に移動させるように船舶推進器を制御することである。
【0010】
本開示に係るシステム及び方法では、船舶を目標地点に保持するように船舶推進器を制御する第1モードにおいて、第1地点から船舶を目標地点に移動させようとする時には、船首モード及び船尾モードのいずれのモード、或いは船首モード、船尾モード及び方位維持モードのうちのいずれのモードで船舶推進器を制御するかを第1地点に対する目標地点の位置に応じてコントローラが選択する。これにより、船舶を目標地点に向けて効率よく近づけることができるので、船舶を目標地点に容易に保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、自動制御により船舶を目標地点に容易に保持することができるシステム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る船舶推進器が搭載された船舶を示す斜視図である。
【
図4】第1制御モードの船首モードにおける船舶動きを示す図である。
【
図5】第1制御モードの船尾モードにおける船舶動きを示す図である。
【
図6】第1制御モードにおける船舶の動きを示す図である。
【
図7】第1制御モードにおける船舶の動きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る船舶推進器1a,1bが搭載された船舶100を示す斜視図である。船舶100は、複数の船舶推進器1a,1bを備えている。本実施形態において、船舶推進器1a,1bは、船外機である。船舶推進器1a,1bは、船舶100の船尾に取り付けられる。船舶推進器1a,1bは、船舶100の幅方向に並んで配置されている。船舶推進器1a,1bは、それぞれ船舶100を推進させるスラストを発生させる。
【0014】
図2は、船舶推進器1aの側面図である。以下、船舶推進器1aの構造について説明するが、船舶推進器1bも船舶推進器1aの構造と同様である。船舶推進器1aは、ブラケット11aを介して船舶100に取り付けられる。ブラケット11aは、ステアリング軸12a回りに回転可能に船舶推進器1aを支持する。
【0015】
船舶推進器1aは、駆動ユニット2aと、ドライブ軸3aと、プロペラ軸4aと、シフト機構5aとを含む。駆動ユニット2aは、内燃エンジンである。駆動ユニット2aは、クランク軸13aを含む。クランク軸13aは、船舶推進器1aの上下方向に延びている。ドライブ軸3aは、クランク軸13aに接続されている。プロペラ軸4aは、船舶推進器1aの前後方向に延びている。プロペラ軸4aは、シフト機構5aを介して、ドライブ軸3aに接続されている。プロペラ軸4aにはプロペラ6aが取り付けられる。
【0016】
シフト機構5aは、前進ギア14aと、後進ギア15aと、ドッグクラッチ16aとを含む。シフト機構5aは、ドッグクラッチ16aによってギア14a,15aの接続が切り換えられることで、前進状態と、後進状態と、中立状態とに切り替えられる。
【0017】
図3は、船舶100の操船システムの構成を示す模式図である。
図3に示すように、船舶推進器1aは、シフトアクチュエータ7aとステアリングアクチュエータ8aとを含む。
【0018】
シフトアクチュエータ7aは、シフト機構5aのドッグクラッチ16aに接続されている。シフトアクチュエータ7aは、ドッグクラッチ16aを動作させることで、ギア14a,15aの接続を切り換える。それにより、シフト機構5aが、前進状態と、後進状態と、中立状態とに切り替えられる。シフトアクチュエータ7aは、例えば電動モータである。ただし、シフトアクチュエータ7aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0019】
ステアリングアクチュエータ8aは、船舶推進器1aに接続されている。ステアリングアクチュエータ8aは、船舶推進器1aをステアリング軸12a回りに回転させる。それにより、船舶推進器1aの舵角が変更される。舵角は、船舶推進器1aの前後方向に対するプロペラ軸4aの角度である。ステアリングアクチュエータ8aは、例えば電動モータである。ただし、シフトアクチュエータ7aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0020】
船舶推進器1aは、第1駆動コントローラ9aを含む。第1駆動コントローラ9aは、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。第1駆動コントローラ9aは、船舶推進器1aを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。第1駆動コントローラ9aは、駆動ユニット2aを制御する。
【0021】
船舶推進器1bは、駆動ユニット2bと、シフトアクチュエータ7bと、ステアリングアクチュエータ8bと、第2駆動コントローラ9bとを含む。船舶推進器1bの駆動ユニット2b、シフトアクチュエータ7b、ステアリングアクチュエータ8b、及び第2駆動コントローラ9bは、船舶推進器1aの駆動ユニット2a、シフトアクチュエータ7a、ステアリングアクチュエータ8a、及び第1駆動コントローラ9aと、それぞれ同様の構成である。
【0022】
操船システムは、ステアリングホイール24と、操作装置25と、第1入力装置27と、第2入力装置28とを含む。ステアリングホイール24と、操作装置25と、第1入力装置27と、第2入力装置28とは、船舶100の操船席に配置されている。ステアリングホイール24と、操作装置25と、第1入力装置27と、第2入力装置28とは、手動操作可能である。
【0023】
ステアリングホイール24は、オペレータが船舶100の旋回方向を操作するための装置である。ステアリングホイール24は、センサ240を含む。センサ240は、ステアリングホイール24の操作方向及び操作量を示すステアリング信号を出力する。
【0024】
操作装置25は、第1スロットルレバー25aと第2スロットルレバー25bとを含む。第1スロットルレバー25aは、オペレータが船舶推進器1aのスラストの大きさを調整するための装置である。また、第1スロットルレバー25aは、オペレータが船舶推進器1aのスラストの方向を前進と後進とに切り替えるための装置である。第1スロットルレバー25aは、中立位置から前進位置と後進位置とに操作可能である。中立位置は、前進位置と後進位置との間の位置である。第1スロットルレバー25aはセンサ251を含む。センサ251は、第1スロットルレバー25aの操作方向及び操作量を示すスロットル信号を出力する。
【0025】
第2スロットルレバー25bは、オペレータが船舶推進器1bのスラストの大きさを調整するための装置である。また、第2スロットルレバー25bは、オペレータが船舶推進器1bのスラストの方向を前進と後進とに切り替えるための装置である。第2スロットルレバー25bの構成は、第1スロットルレバー25aと同様である。第2スロットルレバー25bはセンサ252を含む。センサ252は、第2スロットルレバー25bの操作方向及び操作量を示すスロットル信号を出力する。
【0026】
操船システムは、操船コントローラ30を含む。操船コントローラ30は、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。操船コントローラ30は、船舶推進器1a及び船舶推進器1bを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。操船コントローラ30は、第1、第2駆動コントローラ9a,9bと有線、或いは無線を介して接続されている。操船コントローラ30は、ステアリングホイール24、操作装置25、第1入力装置27、及び第2入力装置28と、有線、或いは無線を介して接続されている。
【0027】
操船コントローラ30は、センサ240からステアリング信号を受信する。操船コントローラ30は、センサ251,252からスロットル信号を受信する。操船コントローラ30は、センサ240,251,252からの信号に基づいて、第1、第2駆動コントローラ9a,9bへ指令信号を出力する。指令信号は、第1駆動コントローラ9aを介して、シフトアクチュエータ7a、ステアリングアクチュエータ8aに送信される。指令信号は、第2駆動コントローラ9bを介して、シフトアクチュエータ7b、ステアリングアクチュエータ8bに送信される。
【0028】
例えば、操船コントローラ30は、第1スロットルレバー25aの操作方向に応じて、シフトアクチュエータ7aへの指令信号を出力する。それにより、船舶推進器1aの前進と後進とが切り替えられる。操船コントローラ30は、第1スロットルレバー25aの操作量に応じて、駆動ユニット2aへのスロットル指令を出力する。第1駆動コントローラ9aは、スロットル指令に応じて、船舶推進器1aの出力回転速度を制御する。
【0029】
操船コントローラ30は、第2スロットルレバー25bの操作方向に応じて、シフトアクチュエータ7bへの指令信号を出力する。それにより、船舶推進器1bの前進と後進とが切り替えられる。操船コントローラ30は、第2スロットルレバー25bの操作量に応じて、駆動ユニット2bへのスロットル指令を出力する。第2駆動コントローラ9bは、スロットル指令に応じて、船舶推進器1bの出力回転速度を制御する。
【0030】
操船コントローラ30は、ステアリングホイール24の操作方向及び操作量に応じて、ステアリングアクチュエータ8a,8bを制御して、船舶推進器1a,1bをステアリング軸12a回りに回転させる。操船コントローラ30は、ステアリングホイール24の操作量に応じて、船舶推進器1aと船舶推進器1bとの舵角を制御する。
【0031】
操船システムは、位置センサ31を含む。位置センサ31は、船舶100の位置を検出する。位置センサ31は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。ただし、位置センサ31は、GNSSの受信機以外センサであってもよい。位置センサ31は、船舶100の位置を示す信号を出力する。操船コントローラ30は、位置センサ31と通信可能に接続されている。操船コントローラ30は、位置センサ31からの信号により、船舶100の位置を取得する。また、操船コントローラ30は、位置センサ31からの信号により、船舶100の速度を取得する。操船システムは、船舶100の対地速度或いは対水速度を検出するための別途のセンサを含んでもよい。対地速度とは、陸地に対する船舶100の速度であり、対水速度とは、水(海水)に対する船舶100の速度である。
【0032】
操船システムは、方位センサ32を含む。方位センサ32は、船舶100の針路を検出する。方位センサ32は、例えば、IMU(inertial measurement unit)である。ただし、方位センサ32は、IMU以外のセンサであってもよい。操船コントローラ30は、方位センサ32と通信可能に接続されている。操船コントローラ30は、方位センサ32からの信号により、船舶100の針路を取得する。
【0033】
操船システムは、風向計33と、風速計34とを含む。風向計33及び風速計34は、計測結果を操船コントローラ30に出力する。操船コントローラ30は、風向計33及び風速計34からの信号により風向及び風速を取得する。本実施形態において、風向計33及び風速計34は、省略されてもよい。
【0034】
第1入力装置27は、例えば、ジョイスティックなどの操船装置に配置されている。第1入力装置27は、船舶推進器1a,1bの制御モードを選択するためにオペレータによって操作可能である。第1入力装置27は、制御モードを選択するためのスイッチを含む。第1入力装置27は、スイッチに限らず、タッチスクリーンなどの他の装置を含んでもよい。第1入力装置27は、オペレータの操作に応じて選択された制御モードを示す操作信号を出力する。
【0035】
操船コントローラ30は、第1入力装置27から操作信号を受信する。操船コントローラ30は、選択された制御モードに応じて船舶推進器1a,1bの舵角とスラストとを制御することで船舶100の自動操船を行う。
【0036】
第2入力装置28は、制御モードの設定を行うためにオペレータによって操作可能である。第2入力装置28は、例えばタッチスクリーンである。第2入力装置28は、タッチスクリーンに限らず、スイッチなどの他の装置を含んでもよい。第2入力装置28は、オペレータによって選択された制御モードの設定を示す操作信号を出力する。操船コントローラ30は、第2入力装置28から操作信号を受信する。
【0037】
制御モードは、第1モードと第2モードとを含む。第1モードでは、操船コントローラ30は、船舶100を目標地点に保持するように船舶推進器1a,1bを制御する。目標地点は、例えば、第1入力装置27によって第1モードが選択されたときの船舶100の位置である。すなわち、操船コントローラ30は、第1モードを示す操作信号を受信した時点での船舶100の位置に保持するように船舶推進器1a,1bを制御する。
【0038】
第2モードでは、操船コントローラ30は、船舶100の船首を目標方位に維持しながら、船舶100を目標地点に保持するように船舶推進器1a,1bを制御する。第2モードにおける目標地点及び目標方位は、例えば、第1入力装置27によって第2モードが選択されたときの船舶100の位置及び方位である。すなわち、操船コントローラ30は、第2モードを示す操作信号を受信した時点での船舶100の方位を維持しながら、船舶100を目標地点P0に保持するように船舶推進器1a,1bを制御する。第2モードは、低速域での船舶100の横方向の移動を含むモードである。なお、目標方位は、オペレータが第2入力装置28を用いて任意の方位に設定されてもよい。
【0039】
図4及び
図5に示すように、操船コントローラ30は、第1モードにおいて、目標地点P0から離れた第1地点P1(目標地点P0から離れた船舶100の現在位置)から船舶を目標地点P0に移動させようとする時には、船首モード及び船尾モードのいずれのモードで船舶推進器1a,1bを制御するかを第1地点P1に対する目標地点P0の位置に応じて選択し、選択したモードで船舶100を第1地点P1から目標地点に移動させるように船舶推進器1a,1bを制御する。
【0040】
図4は、船首モードにおける船舶100の動きを示す図である。船首モードは、船首を目標地点P0に向けて、船首から目標地点P0に向かうモードである。例えば、船舶100の重心を原点としてx軸及びy軸によって構成される直交座標系の4つの象限を第1~第4象限と定義した場合、目標地点P0が第1象限又は第2象限に位置するときは、操船コントローラ30は、船首モードを選択する。
図4では、目標地点P0が第1象限に位置している。y軸は、船舶100の重心と、船舶100の船首の中央と船尾の中央とを通る軸である。x軸は、船舶100の重心を通り、y軸と直交する軸である。
【0041】
図5に示すように、船尾モードは、船尾を目標地点P0に向けて、船尾から目標地点P0に向かうモードである。目標地点P0が第3象限又は第4象限に位置するときは、操船コントローラ30は、船尾モードを選択する。
図5では、目標地点P0が第4象限に位置している。
【0042】
目標地点P0が第1~第4象限のいずれの象限にあるかの判断は、例えば、第1地点P1対にする目標地点P0の方位と第1地点P1における船舶100の船首の方位との角度差αによって判断される。
図4に示すように、角度差αが鋭角の場合、第1地点P1は、第1象限又は第2象限に位置することになるので、操船コントローラ30は、船首モードを選択する。
図5に示すように、角度差αが鈍角の場合、第1地点P1は、第3象限又は第4象限に位置することになるので、操船コントローラ30は、船首モードを選択する。
【0043】
操船コントローラ30は、第1モードにおいて、船舶100が目標地点P0から所定距離以上離れているかを判定する。すなわち、操船コントローラ30は、船舶100の現在位置から目標地点P0までの距離が所定の閾値以上か否かを判定する。船舶100の現在位置から目標地点P0までの距離が所定の閾値以上の場合は、操船コントローラ30は、船首モード及び船尾モードのいずれのモードで船舶推進器1a,1bを制御するかを選択し、選択したモードで船舶100を現在位置から目標地点P0に移動させるように船舶推進器1a,1bを制御する。
【0044】
操船コントローラ30は、第1モードにおいて、船首モードを選択して船首が目標地点P0を向くように船舶推進器1a,1bを制御するときに、船舶100の旋回速度が所定速度以下かを判定する。船舶100の旋回速度が所定速度以下の場合は、操船コントローラ30は、船首モードから船尾モードに切り換えて、船尾モードで船舶推進器1a,1bを制御する。
【0045】
操船コントローラ30は、第1モードにおいて、船尾モードを選択して船尾が目標地点P0を向くように船舶推進器1a,1bを制御するときに、船舶100の旋回速度が所定速度以下かを判定する。船舶100の旋回速度が所定速度以下の場合は、操船コントローラ30は、船尾モードから船首モードに切り換えて、船首モードで船舶推進器1a,1bを制御する。
【0046】
具体的には、
図6に示すように、船舶100は、風、或いは潮流の影響を受けて、目標地点P0から回転しながら流されることがある。
図6に示す例では、船舶100は、北東の風Wを受けており、船尾よりも船首が風で流れ易いので、船舶100は、反時計回りに回転しながら流される。この場合、目標地点P0は、第1象限に位置するので、操船コントローラ30は、船首モードを選択して、船舶100を時計回りに旋回させるように制御する。しかしながら、北東の風Wが船舶100を反時計回りに回転させようとするので、旋回速度が遅くなり、一定の時間が経過しても目標地点P0に船首を向けることができないおそれがある。このため、船舶100の旋回速度が所定速度以下の場合は、船首モードから船尾モードに切り換えて、船尾モードで船舶推進器1a,1bを制御する。
【0047】
図7に示すように、船舶100は、北東の風Wと、南西から流れてくる潮流Tを受けて、目標地点P0から反時計回りに回転しながら流されることがある。
図7に示す例では、目標地点P0は、第3象限に位置するので、操船コントローラ30は、船尾モードを選択して、船舶100を時計回りに旋回させるように制御する。しかしながら、北東の風Wが船舶100を反時計回りに回転させようとするので、旋回速度が遅くなり、一定の時間が経過しても目標地点P0に船尾を向けることができないおそれがある。このため、船舶100の旋回速度が所定速度以下の場合は、船尾モードから船首モードに切り換えて、船首モードで船舶推進器1a,1bを制御する。
【0048】
操船コントローラ30は、第1モードにおいて、船舶100の対水速度が所定速度以下かを判定する。第1モードにおいて船舶100の対水速度が所定速度以下の場合は、操船コントローラ30は、第1モードから第2モードに切り換えて、第2モードで船舶推進器1a,1bを制御する。船舶100の対水速度に応じて第1モードから第2モードに切り換えた場合において、例えば、第1モードから第2モードに切り換えたときの船舶100の方位を維持しながら、船舶100を目標地点P0に保持するように船舶推進器1a,1bを制御する。所定速度は、例えば、第2モードにおいて、船舶推進器1a,1bのアイドル回転で船舶100の位置及び方位を維持できる程度の速度である。
【0049】
なお、船舶100の対水速度に応じて第1モードから第2モードに切り換えた場合において、第1入力装置27によって第1モードが選択されたときの船舶100の方位を維持しながら、船舶100を目標地点P0に保持するように船舶推進器1a,1bを制御してもよい。操船コントローラ30は、第1モードから第2モードに切り換えた際に、タッチスクリーンや報知装置を介してオペレータに報知してもよい。
【0050】
操船コントローラ30は、第1モードから第2モードに切り換えた後、船舶100が目標地点P0から所定距離以上離れているかを判定する。すなわち、操船コントローラ30は、第1モードから第2モードに切り換えた後、船舶100の現在位置から目標地点P0までの距離が所定の閾値以上か否かを判定する。船舶100の現在位置から目標地点P0までの距離が所定の閾値以上の場合は、第2モードで船舶100の位置及び方位を維持することが困難な状況なため、操船コントローラ30は、第2モードから第1モードに切り換えて、第1モードで船舶推進器1a,1bを制御する。操船コントローラ30は、第2モードから第1モードに切り換えた際に、タッチスクリーンや報知装置を介してオペレータに報知してもよい。
【0051】
以上説明した本実施形態に係る操船システムでは、船舶100を目標地点P0に保持するように船舶推進器1a,1bを制御する第1モードにおいて、第1地点P1から船舶100を目標地点P0に移動させようとする時には、船首モード及び船尾モードのいずれのモードで船舶推進器1a,1bを制御するかを第1地点P1に対する目標地点P0に応じて操船コントローラ30が選択する。これにより、船舶100を目標地点P0に向けて効率よく近づけることができるので、船舶100を目標地点P0に容易に保持することができる。
【0052】
また、船舶100の対水速度に応じて第1モードから第2モードに切り換えられ、船舶100の現在位置から目標地点P0までの距離に応じて第2モードから第1モードに切り換えられるので、船舶100の状況に適した制御モードを自動で選択することがきる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
船舶推進器は、船外機に限らず、船内外機、或いはジェット推進器などの他の推進器であってもよい。船舶推進器の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、駆動ユニット2a,2bは、内燃エンジンに限らず、電動モータであってもよい。或いは、駆動ユニット2a,2bは、内燃エンジンと電動モータとのハイブリッドシステムであってもよい。船舶推進器の数は、2つに限らない。船舶推進器の数は、2つより多くてもよい。
【0055】
操船コントローラ30は、第1モードにおける船首モード及び船尾モードの選択は、第1地点P1対にする目標地点P0の方位と第1地点P1における船舶100の船首の方位との角度差αによって判断していた。しなしながら、操船コントローラ30は、風向及び風速に応じて船首モード及び船尾モードのいずれかを選択してもよい。或いは、操船コントローラ30は、角度差α、風向及び風速に応じて船首モード及び船尾モードのいずれかを選択してもよい。或いは、船首モードと船尾モードとで、目標地点P0を向くまでのそれぞれの時間を角度差α、風向及び風速の少なくともいずれかに応じて算出し、目標地点P0を向くまでの時間が短い方のモードを選択するようにしてもよい。
【0056】
第1モードは、船舶100の方位を維持する方位維持モードをさらに含んでもよい。方位維持モードは、第2モードにおいて実行される制御モードと同じである。すなわち、第1モードにおいて、第1地点P1から船舶100を目標地点P0に移動させようとする時には、船首モード、船尾モード及び方位維持モードのうちのいずれのモードで船舶推進器1a,1bを制御するかを第1地点P1に対する目標地点P0の位置に応じて選択してもよい。例えば、船舶100の現在位置から目標地点P0までの距離が所定の閾値未満であれば、操船コントローラ30は、方位維持モードを選択してもよい。
【0057】
前記実施形態では、操船コントローラ30は、船舶100の対水速度に応じて第1モードから第2モードに切り換えていたが、操船コントローラ30は、船舶100を第1モードで制御し始めてからの駆動ユニット2aの回転数の積算が所定値以下かつ船舶100の目標地点P0に近づく速度が所定速度を超える場合に第1モードから第2モードに切り換えてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1a 船舶推進器
27 第1入力装置
30 操船コントローラ
100 船舶