(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056072
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】決定装置、決定方法、決定プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04842 20220101AFI20240412BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20240412BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G06F3/04842
G06F3/0354 453
G01C21/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035540
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2022108089の分割
【原出願日】2015-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】針谷 真人
(57)【要約】
【課題】操作部に対する操作をハンドルから手を離して行う必要がなく、操作者が地図上に表示される地点のうち選択対象の候補である選択候補地点を決定することができる決定装置等を提供する。
【解決手段】ハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付け、画面上に表示される地図に地点を表す地点画像を表示させ、操作者の操作に応じて、地点画像の画面上の位置又は画面に設定された選択部の位置を移動させ、画面における地点画像と選択部の位置関係に基づいて選択候補地点を決定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付ける受付手段と、
画面上の地図に前記操作者に提示する地点を表す地点画像を表示させ、前記操作に応じて、前記地点画像の前記画面上の位置又は前記画面に設定された選択部の位置を移動させる表示制御手段と、
前記地点画像と前記選択部の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、地図上に表示される地点のうち操作者の選択対象の候補となる選択候補地点を決定する決定装置等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の移動体とともに移動し、経路案内等を行うナビゲーション装置が普及している。こうしたナビゲーション装置などの情報提供装置では、地図上にレストランや公園など目的地となりうる地点を表す画像を表示し、操作者により画像が選択された場合に、当該画像が表す地点が選択されたと判定し、当該地点を目的地に設定するなどの処理を行う。その際、操作者によるどのような操作によって画像を選択できるようにするかが、安全運転を考える上で重要となる。
【0003】
一方で、画面に表示される項目のうち何れの項目が選択されたかを判定する手法が多々提案されている。例えば、特許文献1には、操作画面に表示された複数の操作項目のうち何れかの操作項目を操作面の小さな入力装置を用いて選択する技術が開示されている。具体的には、タッチ操作が可能な操作面を備える入力装置と、複数の操作項目を含む操作画面を表示するディスプレイと、処理装置とを備え、処理装置はディスプレイに、入力装置により操作可能な画面範囲を表す枠であって、複数の操作項目のうちの一部の操作項目のみを囲む枠を表示する。そしてユーザによる枠移動操作に応じて枠の位置を移動させた後、枠内の操作項目に対するユーザによる選択操作に応じてユーザが選択した操作項目を特定する。すなわち、ユーザは枠を移動させて選択候補の操作項目を限定し、次いで、枠内の選択候補の中から実際に選択する操作項目を指定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、操作面(タッチパッド)を自動車のセンターコンソールやインストルメントパネルに配置する旨が開示されており、自動車の運転手はタッチ操作を行うためにハンドルから手を離して操作を行う必要があり安全運転に支障を及ぼす場合がある。
【0006】
本願発明は、こうした事情に鑑み、操作部に対する操作をハンドルから手を離して行う必要がなく、操作者が地図上に表示される地点のうち選択対象の候補である選択候補地点を決定することができる決定装置等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動体のハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付ける受付手段と、画面上の地図に前記操作者に提示する地点を表す地点画像を表示させ、前記操作に応じて、前記地点画像の前記画面上の位置又は前記画面に設定された選択部の位置を移動させる表示制御手段と、前記地点画像と前記選択部の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項14に記載の発明は、決定装置が行う決定方法であって、移動体のハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付ける受付工程と、画面上の地図に前記操作者に提示する地点を表す地点画像を表示させ、前記操作に応じて、前記地点画像の前記画面上の位置又は前記画面に設定された選択部の位置を移動させる表示制御工程と、前記地点画像と前記選択部の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する決定工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項15に記載の発明は、コンピュータを、移動体のハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付ける受付手段、画面上の地図に前記操作者に提示する地点を表す地点画像を表示させ、前記操作に応じて、前記地点画像の前記画面上の位置又は前記画面に設定された選択部の位置を移動させる表示制御手段、前記地点画像と前記選択部の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する決定手段、として機能させることを特徴とする。
【0010】
請求項16に記載の発明は、コンピュータを、移動体のハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付ける受付手段、画面上の地図に前記操作者に提示する地点を表す地点画像を表示させ、前記操作に応じて、前記地点画像の前記画面上の位置又は前記画面に設定された選択部の位置を移動させる表示制御手段、前記地点画像と前記選択部の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する決定手段、として機能させることを特徴とする決定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】決定装置1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施例に係るハンドルHとタッチパッドTの配置例を示す図である。
【
図3】本実施例に係る地点アイコン301と枠画像302の表示例を示す図である。
【
図4】本実施例に係る地点アイコン301と枠画像302の表示例を示す図である。
【
図5】ナビゲーション装置NVの構成例を示すブロック図である。
【
図6】ナビゲーション装置NVの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る地点アイコン301と枠画像302の表示例を示す図である。
【
図8】変形例における地点アイコン301と枠画像302の位置関係が変化した場合の概念図である。
【
図9】変形例における選択部304の位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、決定装置1は、受付手段111Aと、表示制御手段111Bと、決定手段111Cを備えている。決定装置1は移動体とともに移動する装置である。
【0014】
受付手段111Aは、移動体のハンドルに付された操作部に対する操作者の操作を受け付ける。移動体とは、例えば、自動車、自転車、航空機、船などハンドルにより方向転換する乗り物である。操作部とは、例えば、タッチパッド、ジョイスティック、十字キー、ポインティングスティックなどのポインティングデバイスである。
【0015】
表示制御手段111Bは、画面上の地図に操作者に提示する地点を表す地点画像を表示させ、受付手段111Aが受け付けた操作に応じて、地点画像の画面上の位置又は画面に予め設定された選択部の位置を移動させる。地点画像とは、例えば、地点が商店(デパート、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、レストラン等)である場合における、当該商店のロゴマークを表すアイコンである。選択部とは、例えば、画面の一部の領域であったり、又は、画面の縁の少なくとも一部(この場合、領域ではなく線であることもある)であったりする。選択部が、画面の一部の領域である場合には、当該一部の領域を操作者に知らせるために、例えば、当該一部の領域を表す枠画像を表示する。一方、選択部が画面の縁である場合には、当該選択部を操作者に知らせるために、例えば、選択部を指し示す矢印画像を表示したり、選択部の位置を音声で案内したり、決定装置1の説明書に表記したりする。
【0016】
決定手段111Cは、地点画像と選択部の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する。
【0017】
これにより、操作者は、選択対象としたい地点を表す地点画像と選択部の位置関係が、選択対象としたい地点が選択候補地点となるように地点画像又は選択部を移動させる操作をハンドルに付された操作部に対して行うことにより、選択対象としたい地点を選択候補地点とすることができる。すなわち、操作部に対する操作をハンドルから手を離して行う必要がなく、操作者が地図に表示される地点のうち選択対象の候補である選択候補地点を決定することができる。なお、決定装置1は、選択候補地点を決定した場合に、操作者による選択候補地点を選択対象とするための更なる選択確定操作を受け付けた場合、当該選択候補地点を選択対象の地点に決定するのが好ましい。
【0018】
また、表示制御手段111Bは、受付手段111Aが受け付けた操作に応じて、地図とともに当該地図上の地点画像を移動して表示させ、選択部を移動させないこととしてもよい。この場合、操作者は、選択対象としたい地点を表す地点画像と選択部の画面における位置関係が、選択対象としたい地点が選択候補地点となるように、地図とともに地図画像を移動させる操作をすることにより、選択対象としたい地点を選択候補地点とすることができる。
【0019】
更に、決定手段111Cは、受付手段111Aが受け付けた操作に応じて、画面における地点画像と選択部の距離が、当該地点画像が表示された時点よりも縮まった場合、当該地点画像が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。この場合、操作者は、画面における選択対象としたい地点を表す地点画像と選択部の距離が縮まるように操作をすることにより、選択対象としたい地点を選択候補地点とすることができる。なお、決定手段111Cは、例えば、地点画像と選択部の距離が、地点画像が表示された時点より、所定割合以上近づいた場合に当該地点画像が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよいし、地点画像と選択部の距離に対応する画素数が所定画素以下になった場合に当該地点画像が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。
【0020】
更にまた、選択部は画面における一部の領域である選択領域であってもよく、決定手段111Cは、受付手段111Aが受け付けた操作に応じて、地点画像が当該選択領域に含まれた場合、当該地点画像が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。なお、地点画像が当該選択領域に含まれた場合については、地点画像の中心(又は重心)が当該選択領域に含まれた場合としてもよいし、地点画像を表す画素の所定割合以上が含まれた場合としてもよい。この場合、操作者は、画面における選択対象としたい地点を表す地点画像を、選択部である選択領域に含まれるように操作をすることにより、選択対象としたい地点を選択候補地点とすることができる。
【0021】
更にまた、選択部を画面における選択領域とした場合において、表示制御手段111Bは、表示される地図の縮尺に応じて、同時に複数の地点画像を含まない大きさの選択領域を表示することとしてもよい。これにより、同時に複数の地点画像が選択領域に含まれ、複数の地点が選択候補地点となることを防ぐことができる。
【0022】
更にまた、選択部を画面における選択領域とした場合において、表示制御手段111Bは、表示されている地図の縮尺では同時に複数の地点画像が選択領域に含まれる場合、縮尺を、同時に複数の地点画像が選択領域に含まれない縮尺に変更することとしてもよい。これにより、同時に複数の地点画像が当該選択領域に含まれ、複数の地点が選択候補地点となることを防ぐことができる。
【0023】
更にまた、選択部を画面における選択領域とした場合において、表示制御手段111Bは、受付手段111Aが受け付けた操作に応じて、当該選択領域に複数の地点画像が含まれた場合、当該選択領域に含まれる各地点画像に対応する各対応画像を当該選択領域外に表示させ、操作者による更なる操作(受付手段111Aが受け付けた更なる操作)に応じて、対応画像の画面上の位置又は当該選択領域の位置を移動させることとし、決定手段111Cが、対応画像が当該選択領域に含まれた場合、当該対応画像が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。これにより、選択領域に含まれる地点画像に対応する対応画像の数を絞り込むことができる。
【0024】
更にまた、操作部が、ハンドルが切られていない状態において当該ハンドルの右半分の何れかの部分に取り付けられている場合、選択部は画面の右半分の領域に配置してもよい。
図2に示すように、操作部であるタッチパッドTがハンドルHに設けられており、運転手である操作者がタッチパッドTを右手の指(例えば、親指や人差し指)で操作する場合、右方向に移動させる操作をしやすいと考えられる。したがって、操作者が操作しやすい右方向に対応する画面の右半分の領域に選択部を配置することにより、操作者が地点画像を選択部に近づけやすくするのが好ましい。この場合、操作者は操作部を右方向に操作することで、地点画像が表す地点を選択候補地点とすることができ、操作がしやすくなる。同様に、操作部が、ハンドルが切られていない状態において当該ハンドルの左半分の何れかの部分に取り付けられている場合、選択部は画面の左半分の領域に位置してもよい。
【0025】
更にまた、操作者に提示する地点は操作者に関連する地点であってもよい。この場合、操作者にとって興味のある地点を提示することができる。操作者に関連する地点は、決定装置1又は他の装置が従来公知の手法により決定することとする。なお、操作者に関連する地点は、操作者が移動する経路上の地点であってもよい。また、経路上の地点は、移動体が移動する道路として予め左側通行が設定されている場合、経路上の左側の地点であることが好ましいし、移動体が移動する道路として予め右側通行が設定されている場合、経路上の右側の地点であることが好ましい。
【0026】
更にまた、表示制御手段111Bは、予め設定されている数の地点画像を表示させることとしてもよい。この場合、地点画像が沢山表示され、何れの地点画像を選択部との位置関係において何れの方向に移動させるべきか操作者を迷わせることを防ぐことができる。また、選択対象としたい地点を表す地点画像を選択部との位置関係において適切に移動させるために(地点画像が沢山表示されていると、意図しない地点が選択候補地点となってしまうおそれがある)操作者を操作に集中させることがないので、運転への集中力を維持することができる。
【0027】
更にまた、表示制御手段111Bは、移動体が移動している地点を含む地図上に地点画像を表示させることとしてもよい。この場合、操作者は、現在地付近の地点を選択候補地点とすることができる。
【実施例0028】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について説明する。
【0029】
図2-
図6を用いて実施例について説明する。なお以下に説明する実施例は、本願発明を、車載ナビゲーション装置NV(「決定装置」の一例。以下、「ナビゲーション装置NV」という場合がある)に適用した場合の実施例である。また、ナビゲーション装置NVは、
図2に示したハンドル(本実施例では自動車のハンドル)に取り付けられたタッチパッドTと有線又は無線により接続されており、タッチパッドTに対する運転手の操作を受け付ける。つまり、タッチパッドTは車載ナビゲーション装置NVの入力装置の一つである。
【0030】
[1.ナビゲーション装置NVの概要]
本実施例のナビゲーション装置NVは、車両の運転手が向かう目的地や立ち寄り地、興味のある地点を推定する推定機能を有する。推定機能では、運転手の過去の走行履歴や、車室内に設置されたカメラにより撮影された運転手の動作や、生体センサにより取得された運転手の生体情報(体温、血圧、心拍数等)が用いられる。
【0031】
ナビゲーション装置NVは、推定機能により推定された複数の地点を所定の絞り込み条件により絞り込み、当該地点を表す地点アイコンを画面上の地図に表示する。所定の絞り込み条件としては、例えば、推定された複数の地点を任意の並び順(例えば、運転手の訪問回数順)で並べた場合における、上位n件であることといった条件、所定順位以上であることといった条件が挙げられる。
【0032】
ナビゲーション装置NVは、ディスプレイに地図等を表示する表示機能と、選択候補地点決定機能を有する。具体的には、ナビゲーション装置NVは、
図3に示すように、ディスプレイの画面300に地図を表示させる。また、ナビゲーション装置NVは、地図上に、推定機能により推定された地点であって、所定の絞り込み条件により絞り込まれた地点を表す地点アイコン301A、301B(地点アイコンを総称して、地点アイコン301という場合がある)と、枠画像302を表示させる。枠画像302は画面300において固定的に表示され、タッチパッドTに対する運転手の操作により移動しない。一方、地点アイコン301はタッチパッドTに対する操作により地図とともに移動する。
【0033】
枠画像302を表示する位置は、画面300内であればどの位置でもよい。
図2に示すようにタッチパッドTが設けられている場合には、操作者が操作しやすいように画面300の右半分の領域に枠画像302を配置することが好ましい。また、枠画像301を表示するタイミングは、地点アイコン301を表示するのと同時であってもよいし、地点アイコン301を表示した後、表示された地点アイコン301に関連して予め設定された運転手の動作(「関連動作」という場合がある)が検出された場合に表示することとしてもよい。地点アイコン301に関連して予め設定された運転手の動作とは、例えば、表示された地点アイコン301に顔や視線を向ける動作や、地点アイコン301を移動させようとする動作(例えば、タッチパッドTをタッチする操作)などが挙げられる。これらの動作は、車室内に設置されたカメラにより撮影された画像や、タッチパッドTにより検出される。このように、運転手の動作に応じて枠画像302を表示することにより、運転手が地点アイコンが表す地点に興味がある場合など、地点を選択する意思がある場合にのみ枠画像302を表示させることができる。これにより、画面300に不要な枠画像302が表示されないことから運転手は運転に集中することができる。
【0034】
枠画像302は、地点アイコン301を移動させる際の目標となり、枠画像302が示す画面300上の領域内に地点アイコン301が含まれた場合に、ナビゲーション装置NVは地点アイコン301が表す地点を選択対象の候補である選択候補地点として決定する(以下、枠画像302が示す領域(枠画像302で囲われた領域)を「選択領域」という)。
【0035】
枠画像302は、選択領域を表すものであれば何れの態様でも構わない。
図3に示すように選択領域を点線や線で表す場合には、線の色や濃度は問わない(線は半透明でもよい)。
【0036】
ナビゲーション装置NVは、
図4に示すように、地点アイコン301Aが、枠画像302が表す選択領域に含まれたと判定した場合には、地点アイコン301の表示態様を変化させる。例えば、ナビゲーション装置NVは、地点アイコン301Aを拡大表示したり、色を変えたり、点滅させたりする。これにより、運転手は、地点アイコン301Aが表す地点が選択候補地点に決定されたことを認識することができる。そして、ナビゲーション装置NVは選択候補地点が決定された状態で、タッチパッドTに対する運転手による更なる選択確定操作(例えば、タッチパッドTをタップする操作)を受け付けた場合、当該選択候補地点を選択対象の地点に決定する。なお、ナビゲーション装置NVは、決定した選択対象の地点を、目的地又は立ち寄り地に設定してルート案内することとしてもよい。
【0037】
[2.ナビゲーション装置NVの構成]
次に、本実施例に係るナビゲーション装置NVの構成について説明する。
図5に示すように、ナビゲーション装置NVは、制御部211と、HDD等からなる記憶装置212と、キーボード又はリモートコントローラ、タッチパネル等からなる入力装置213と、表示ユニット214と、バスライン215と、入出力インターフェース部220と、車速センサ221と、角速度センサ222と、加速度センサ223と、舵角センサ224と、GPS(Global Positioning System)受信部225と、データ送受信部226と、無線通信部227と、カメラ228と、生体センサ229を備えて構成されている。
【0038】
車速センサ221は、例えばナビゲーション装置NVが搭載されている車両から取得される車速パルス等を用いた速度検出処理等を用いて当該車両の現在速度を検出し、速度データを出力する。角速度センサ222は、当該車両の、例えば方向変化の角速度を検出し、単位時間当たりの角速度データ及び相対方位データを出力する。加速度センサ223は、当該車両の例えば前後方向の加速度を検出し、単位時間当たりの加速度データ等を出力する。舵角センサ224は、当該車両の舵角を検出し、舵角データ等を出力する。GPS受信部225は、GPS衛星からの航法電波を受信し、GPS測位データとして自車位置(現在地)情報である緯度、経度、高度データ、車両の進行方向の絶対方位データ及びGPS速度データ等を出力する。データ送受信部226は、ネットワーク(図示しない)を介して、ナビゲーション装置NVに対するサービスを提供するサーバ装置との間のデータの送受信に係る処理を行う。無線通信部227は、無線による路車間通信と車車間通信に係る処理を行う。カメラ228は、車室内に設置され、運転手又は車内を撮影する。生体センサ229は、車室内に設置され、運転手の生態情報を取得する。
【0039】
記憶装置212は、表示ユニット214に地図を表示するための地図画像データや、経路を探索する際に用いる地図情報、道路リンク情報などが格納される。また、記憶装置212は、オペレーティングシステムや、アプリケーションプログラム等の各種プログラム(上述した推定機能、表示機能及び選択候補地点決定機能を実現するためのプログラムを含む)を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、サーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしても良いし、CD、DVD、USBメモリ等の記録媒体に記録されたものを読み込むようにしても良い。
【0040】
入力装置213は、タッチパネルT、キーボード、マウス、その他のコントローラ等により構成され、利用者の入力操作を受け付けて、操作内容を示す操作信号を制御部211に送信する。
【0041】
表示ユニット214は、制御部211の制御下で各種表示データを表示する。表示ユニット214は、グラフィックスコントローラ214aと、VRAM(Video RAM)等のメモリからなるバッファメモリ214bと、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ214c等を備えて構成されている。この構成においてグラフィックスコントローラ214aは、バスライン215を介して制御部211から送られる制御データに基づいて、表示ユニット214全体の制御を行う。また、バッファメモリ214bは、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶する。そして、グラフィックスコントローラ214aから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ214cに画像が表示される。
【0042】
制御部211は、制御部211全体を制御するCPU211aと、制御部211を制御する制御プログラム等が予め記憶されているROM211bと、各種データを一時的に格納するRAM211cと、により構成されている。制御部211は、車速センサ221、角速度センサ222、加速度センサ223、舵角センサ224及びGPS受信部225と、バスライン215及び入出力インターフェース部220を介して接続されており、それぞれから出力される速度データ、角速度データ及び相対方位データ、舵角データ、GPS測位データ及び車両の進行方向の絶対方位データ、加速度データ等に基づいて、ナビゲーション装置NV全体の制御を行うとともに、表示ユニット214等の各種構成部材における夫々の動作を制御する。
【0043】
制御部211は、上述した推定機能、表示機能及び選択候補地点決定機能を実現するための処理を実行する。なお、制御部211又はCPU211aは、本発明の受付手段、表示制御手段、決定手段として機能する。
【0044】
[3.ナビゲーション装置NVの動作例]
次に、
図6のフローチャートを用いて、ナビゲーション装置NVによる選択地点決定処理の動作例について説明する。
図6は、選択地点決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、ナビゲーション装置NVの制御部211は、ナビゲーション装置NVが搭載された車両の現在位置を含む地図をディスプレイ214cに表示させる。(ステップS11)。次に、制御部211は、推定機能により、運転手の目的地又は立ち寄り地を推定する(ステップS12)。次に、制御部211は、ステップS12に処理で推定した目的地又は立ち寄り地を、上述した所定の絞り込み条件に基づいて絞り込み、目的候補地又は立ち寄り候補地とする(ステップS13)。次に、制御部211は、目的候補地又は立ち寄り候補地をそれぞれ示す地点アイコン301を地図上に表示させる(ステップS14)。但し、地図の画面内に表示されている領域の外に目的候補地又は立ち寄り候補地がある場合には、地図がスクロールされて当該領域が画面内に入った場合に地点アイコン301を表示する。または、地図の縮尺を変更して全ての目的候補地又は立ち寄り候補地を表す地点アイコン301を表示することとしてもよい。
【0046】
次に、制御部211は、ステップS14の処理で地点アイコン301を表示してから所定時間内(例えば、10秒以内)に関連動作(地点アイコン301に関連して予め設定された運転手の動作)が検出されたか否かを判定する(ステップS15)。制御部211は、所定時間内に関連動作が検出されなかったと判定した場合には(ステップS15:NO)、ステップS12に処理に移行する。一方、制御部211は、所定時間内に関連動作が検出されたと判定した場合には(ステップS15:YES)、枠画像302をディスプレイ214cに表示させる(ステップS16)。
【0047】
次に、制御部211は、ステップS16の処理で枠画像302を表示してから所定時間内(例えば、5秒以内)に地点アイコン301(及び地図)を移動させる移動操作(タッチパッドTをなぞる操作)が検出されたか否かを判定する(ステップS17)。制御部211は、所定時間内に地点アイコン301(及び地図)を移動させる移動操作が検出されなかったと判定した場合には(ステップS17:NO)、枠画像302を非表示として(ステップS18)、ステップS12の処理に移行する。一方、制御部211は、所定時間内に地点アイコン301(及び地図)を移動させる移動操作が検出されたと判定した場合には(ステップS17:YES)、移動操作に従って、地図と地点アイコン301を移動表示させる(ステップS19)。
【0048】
次に、制御部211は、一の地点アイコン301が、枠画像302が表す選択領域に含まれているか否かを判定する(ステップS20)。制御部211は、一の地点アイコン301が、枠画像302が表す選択領域に含まれていないと判定した場合には(ステップS20:NO)、ステップS17の処理に移行する。一方、制御部211は、一の地点アイコン301が、枠画像302が表す選択領域に含まれていると判定した場合には(ステップS20:YES)、当該一の地点アイコン301が表す地点を選択候補地点に決定し、当該一の地点アイコン301を拡大表示させる(表示態様の変化の一例)(ステップS21)。
【0049】
次に、制御部211は、ステップS21の処理で地点アイコン301を拡大表示してから所定時間内(例えば、3秒以内)に選択確定操作(タッチパッドTをタップする操作)が検出されたか否かを判定する(ステップS22)。制御部211は、地点アイコン301を拡大表示してから所定時間内に選択確定操作が検出されなかったと判定した場合には(ステップS22:NO)、ステップS18の処理に移行する。一方、制御部211は、地点アイコン301を拡大表示してから所定時間内に選択確定操作が検出されたと判定した場合には(ステップS22:YES)、選択候補地点を選択地点に決定し(ステップS23)、選択地点決定処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施例に係るナビゲーション装置NV(「決定装置」の一例)は、制御部211(「受付手段」、「表示制御手段」、「決定手段」の一例)が、自動車(「移動体」の一例)のハンドルHに取り付けられたタッチパッドT(「操作部」の一例)に対する運転手(「操作者」の一例)の操作を受け付け、ディスプレイ214cの画面300に表示される地図上に運転手に提示する地点を表す地点アイコン301(「地点画像」の一例)を表示させ、受け付けた操作に従い、地点アイコン301の画面300上の位置を移動させ、画面300における地点アイコン301と選択領域(「選択部」の一例)の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定する。
【0051】
したがって、本実施例に係るナビゲーション装置NVによれば、運転者は、選択対象としたい地点を表す地点アイコン301と選択領域の画面300における位置関係が、選択対象としたい地点が選択候補地点となるようにタッチパッドTに対して操作することにより、選択対象としたい地点を選択候補地点とすることができる。すなわち、タッチパッドTに対する操作をハンドルHから手を離して行う必要がなく、運転手は地図上に表示される地点のうち選択対象の候補である選択候補地点を決定することができる。
【0052】
また、ステップS12の処理で推定する目的地・立ち寄り地は、運転手の過去の走行履歴等に基づく運転手に関連する地点である。これにより、運転手にとって興味がある地点を提示することができる。なお、立ち寄り地は、運転手が移動する経路上の地点であってもよく、また、車両が移動する道路として予め左側通行が設定されている場合には、経路上の左側の地点であることが好ましい。これにより、運転者が停車させやすい地点を提示することができ、運転手の利便性が向上する。
【0053】
更に、制御部211は、車両がその時点で移動している地点を含む地図上に地点アイコン301を表示する。この場合、運転手は、現在地付近の地点を選択候補地点とすることができる。
【0054】
なお、本実施例では、ステップS13の処理において所定の絞り込み条件で絞り込んだ目的候補地・立ち寄り候補地を提示することとしたが、所定の絞り条件によって、表示する地点アイコン301の数を制限し、予め設定されている数の地点アイコン301を表示させることとしてもよい。この場合、地点アイコン301が沢山表示され、何れの地点アイコン301を選択領域内に移動させるべきか運転手を迷わせることを防ぐことができる。また、選択対象としたい地点を表す地点アイコン301を選択領域に含ませるように移動させるため(地点アイコン301が沢山表示されていると、意図しない地点アイコン301が表す地点が選択候補地点となってしまうおそれがある)運転手に地点アイコン301を移動させるための操作に集中させることがないので、運転への集中力を維持することができる。
【0055】
[4.変形例]
次に、上記実施例の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例は適宜組み合わせることができる。
【0056】
[4.1.変形例1]
上記実施例では、タッチパッドTに対する操作に従って、地図及び地点アイコン301を移動させることとしたが、これに代えて、タッチパッドTに対する操作に従って、選択領域を表す枠画像302を移動させることとしてもよい。
【0057】
[4.2.変形例2]
制御部211は、表示されている地図の縮尺に応じて、同時に複数の地点アイコン301を含まない大きさの選択領域を表示することとしてもよい。この場合、同時に複数の地点アイコン301が選択領域に含まれ、複数の地点が選択候補地点となることを防ぐことができる。
【0058】
[4.3.変形例3]
制御部211は、表示されている地図の縮尺では同時に複数の地点アイコン301が選択領域に含まれる場合、縮尺を、同時に複数の地点アイコン301が選択領域に含まれない縮尺に変更することとしてもよい。これにより、同時に複数の地点アイコン301が選択領域に含まれ、複数の地点が選択候補地点となることを防ぐことができる。
【0059】
[4.4.変形例4]
制御部211は、運転手の操作に従い地図及び地点アイコン301を移動させた結果、選択領域に複数の地点アイコン301が含まれた場合に、
図7に示すように、選択領域に含まれる各地点アイコン301A、302Aに対応する各対応画像303A、303Bを選択領域外に表示させ、運転者による更なる操作に従い、対応画像303A、303Bの画面300上の位置を移動させることとし、対応画像303A、303Bが選択領域に含まれた場合に、当該含まれた対応画像303A、303Bが表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。これにより、選択領域に含まれる地点アイコン301A、301Bに対応する対応画像303A、303Bの数を絞り込むことができる。
【0060】
[4.5.変形例5]
制御部211は、受け付けた操作により、画面300における地点アイコン301と選択領域の距離が、地点アイコン301が表示された時点よりも縮まった場合に、当該地点アイコンが表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。例えば、
図8に示すように、地点アイコン301と選択領域の距離(選択領域の中心(重心)と、地点アイコン301の中心(重心)との距離)が、地点アイコン301が当初表示された時点より、所定割合以上近づいた場合に当該地点画像が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。また、地点アイコン301と選択領域の距離に対応する画素数が所定画素以下になった場合に当該地点アイコン301が表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。つまり、当該変形例では、地点アイコン301が選択領域内に含まれなくても選択候補地点を決定することができる。この場合、運転手は、画面300における選択対象としたい地点を表す地点アイコン301と選択領域の距離が縮まるように操作をすることにより、選択対象としたい地点を選択候補地点とすることができる。
【0061】
[4.6.変形例6]
上記実施例では、画面300における地点アイコン301と枠画像302が表す選択領域の位置関係に基づいて、選択対象の候補となる選択候補地点を決定することとしたが、選択領域に代えて、選択部304を設定することとしてもよい。選択部304は画面300の縁の少なくとも一部で形成されている。
図9の例では、画面300の右上の縁に線状の選択部304が設定されている。なお、画面300の一又は複数の縁を選択部304に設定してもよい。この場合、制御部211は、タッチパッドTに対する操作により、地点アイコン301Aが移動し、選択部304に接したと判定した場合に、地点アイコン301Aが表す地点を選択候補地点に決定することとする。また、上記変形例5で説明したように、地点アイコン301Aが移動し、地点アイコン301Aと選択部304の距離が縮まったと判定した場合に、地点アイコン301Aが表す地点を選択候補地点に決定することとしてもよい。