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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005610
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電圧検出装置及び電池管理装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01R19/00 B
G01R19/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105870
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】槌矢 真吾
(72)【発明者】
【氏名】隋 停停
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA03
2G035AB03
2G035AC00
2G035AC01
2G035AC02
2G035AD04
2G035AD10
2G035AD14
2G035AD20
2G035AD47
(57)【要約】
【課題】電池と電圧検出回路との間の配線抵抗値を求める電圧検出装置及び電池管理装置において、配線抵抗値を精度高く算出可能とする。
【解決手段】電池セルcに並列接続されると共に放電抵抗器Z及び電子スイッチGを有する放電回路Mと、電池セルcの電圧を検出する電圧検出回路Aと、電子スイッチGを制御する制御部2とを備える電圧検出装置Dであって、制御部2は、電圧検出回路Aと電池セルcとの間の配線抵抗値Rを取得する配線抵抗値取得処理を実行可能であり、電子スイッチGをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後に電圧検出回路Aから得られる検出値に基づいてオン電圧値を取得し、電子スイッチGをOFF状態に設定して電圧検出回路Aから得られる検出値に基づいてオフ電圧値を取得し、オン電圧値及びオフ電圧値に基づいて、配線抵抗値Rを取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池に並列接続されると共に放電抵抗器及び電子スイッチを有する放電回路と、前記電池の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電子スイッチを制御する制御部とを備える電圧検出装置であって、
前記制御部は、前記電圧検出回路と前記電池との間の配線抵抗値を取得する配線抵抗値取得処理を実行可能であり、
前記配線抵抗値取得処理にて、前記制御部は、
前記電子スイッチをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後に前記電圧検出回路から得られる検出値に基づいて配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得し、
前記電子スイッチをOFF状態に設定して前記電圧検出回路から得られる検出値に基づいて配線抵抗算出用第2検出電圧値を取得し、
前記配線抵抗算出用第1検出電圧値及び前記配線抵抗算出用第2検出電圧値に基づいて、前記配線抵抗値を取得する
ことを特徴とする電圧検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得する場合における前記検出値のサンプリング周期よりも、前記配線抵抗算出用第2検出電圧値を取得する場合における前記検出値のサンプリング周期を短くし、複数の前記検出値の平均値を前記配線抵抗算出用第2検出電圧値とする
ことを特徴とする請求項1記載の電圧検出装置。
【請求項3】
イグニッションスイッチを備える車両に搭載され、
前記制御部は、イグニッションスイッチがOFF状態の期間に前記配線抵抗値取得処理を実行する
ことを特徴とする請求項1または2記載の電圧検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記配線抵抗値に基づいて、前記配線抵抗値に起因する電圧降下を除外した実電池電圧値を取得することを特徴とする請求項1または2記載の電圧検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記配線抵抗値取得処理における前記電池の温度と、前記実電池電圧値を取得する場合の前記電池の温度との差分に基づいて、前記配線抵抗値を補正し、
補正後の前記配線抵抗値に基づいて、前記実電池電圧値を取得する
ことを特徴とする請求項4記載の電圧検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、先の前記配線抵抗値の補正の際の前記電池の温度と、現在の前記電池の温度との差分が、予め定められた閾値を超えた場合に、再び前記配線抵抗値を補正することを特徴とする請求項5記載の電圧検出装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の電圧検出装置と、
前記電圧検出装置の検出結果に基づいて前記電池を管理する管理装置と
を備えることを特徴とする電池管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出装置及び電池管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直列接続された複数のセルの状態を管理する管理装置、蓄電システムが開示されている。特許文献1に開示されているように、複数のセルの各電圧は電圧測定回路により常時監視される。このような特許文献1では、放電回路を用いて各セルと電圧測定回路との間の配線抵抗による電圧降下量を求め、セル電圧を補正することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/220805号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配線抵抗値を取得する場合には、放電回路に設けられた電子スイッチをON状態にして得られる検出電圧値と、電子スイッチをOFF状態にして得られる検出電圧値とに基づいて配線抵抗値を求める。しかしながら、電子スイッチをOFF状態からON状態に切り替えた直後は、電池の出力電圧が安定しない。このため、検出電圧値が安定せず、配線抵抗値を精度高く求めることが困難である。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、電池と電圧検出回路との間の配線抵抗値を求める電圧検出装置及び電池管理装置において、配線抵抗値を精度高く算出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の一態様は、電池に並列接続されると共に放電抵抗器及び電子スイッチを有する放電回路と、上記電池の電圧を検出する電圧検出回路と、上記電子スイッチを制御する制御部とを備える電圧検出装置であって、上記制御部が、上記電圧検出回路と上記電池との間の配線抵抗値を取得する配線抵抗値取得処理を実行可能であり、上記配線抵抗値取得処理にて、上記制御部が、上記電子スイッチをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後に上記電圧検出回路から得られる検出値に基づいて配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得し、上記電子スイッチをOFF状態に設定して上記電圧検出回路から得られる検出値に基づいて配線抵抗算出用第2検出電圧値を取得し、上記配線抵抗算出用第1検出電圧値及び上記配線抵抗算出用第2検出電圧値に基づいて、上記配線抵抗値を取得するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放電回路の電子スイッチをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後に電圧検出回路によって配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得する。このため、電子スイッチがOFF状態からON状態になった直後の電池の出力電圧が不安定な期間を避けて配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得することができる。したがって、本発明によれば、電池と電圧検出回路との間の配線抵抗値を求める電圧検出装置及び電池管理装置において、配線抵抗値を精度高く算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態における電圧検出装置の回路構成を示す回路図である。
図2】本発明の第1実施形態における電圧検出装置においてオン電圧値とオフ電圧値を取得する場合におけるタイミングチャートである。
図3】本発明の第1実施形態における電圧検出装置が備える制御部に関連する状態の変化を時系列的に示す模式図である。
図4】温度と補正後の配線抵抗値との関係の一例を示すグラフである。
図5】配線抵抗値取得シーケンスにおける本発明の第1実施形態の電圧検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】配線抵抗値算出処理のフローチャートである。
図7】通常シーケンスにおいて実セル電圧値を求めるための第1実施形態の電圧検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態における電池管理装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る電圧検出装置及び電池管理装置の一実施形態について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の電圧検出装置Dの回路構成を示す回路図である。本実施形態の電圧検出装置Dは、組電池Bを検出対象とするものである。この電圧検出装置Dは、組電池Bと共に電気自動車やハイブリッド自動車等、モータを走行動力源とする電動車両に搭載され、組電池Bの電圧を検出する。また、電圧検出装置Dには、組電池Bの温度を測定する温度センサTが接続されている。なお、組電池Bの温度とは、組電池Bの内部温度に限られるものではなく、組電池Bが設置された箇所の雰囲気温度を含む意味である。また、電圧検出装置Dには、電源供給を行う電源装置Uが接続されている。
【0012】
このような電圧検出装置Dは、図1に示すように、接続配線H(第0接続配線H0、第1接続配線H1、第2接続配線H2及び第3接続配線H3)を備えている。また、電圧検出装置Dは、CRフィルタF(第0CRフィルタF0、第1CRフィルタF1、第2CRフィルタF2及び第3CRフィルタF3)を備えている。また、電圧検出装置Dは、放電抵抗器Z(第0放電抵抗器Z0、第1放電抵抗器Z1、第2放電抵抗器Z2及び第3放電抵抗器Z3)を備えている。また、電圧検出装置Dは、電圧検出IC1を備えている。
【0013】
電圧検出IC1は、入力端子IN(第0入力端子IN0、第1入力端子IN1、第2入力端子IN2及び第3入力端子IN3)を備えている。また、電圧検出IC1は、制御端子CT(第0制御端子CT0、第1制御端子CT1、第2制御端子CT2及び第3制御端子CT3)を備えている。また、電圧検出IC1は、電圧検出回路A(第1電圧検出回路A1、第2電圧検出回路A2及び第3電圧検出回路A3)を備えている。また、電圧検出IC1は、電子スイッチG(第1電子スイッチG1、第2電子スイッチG2及び第3電子スイッチG3)を備えている。さらに、電圧検出IC1は、制御部2を備えている。
【0014】
検出対象である組電池Bについて説明する。組電池Bは、複数の電池セルc(第1電池セルc1、第2電池セルc2及び第3電池セルc3)が直列接続されたものであり、複数の電池セルcの起電圧を合計した出力電圧(電池電圧)の直流電力を外部負荷に供給する二次電池である。このような組電池Bは、例えばリチウムイオン電池である。
【0015】
なお、図1では組電池Bの構成として、第1電池セルc1、第2電池セルc2及び第3電池セルc3の3つの電池セルcを備えるものを便宜的に示している。すなわち、組電池Bを構成する電池セルの個数は3つに限定されない。また、電圧検出IC1を構成する電圧検出回路A及び電子スイッチGは電池セルcに対応して設けられており、よって電圧検出回路A及び電子スイッチGの個数は、電池セルcの個数に応じて変化する。
【0016】
電池セルc(電池)は、所定の起電圧(セル電圧)を有しており、相互に直列接続されている。第1電池セルc1、第2電池セルc2及び第3電池セルc3ののうち、第1電池セルc1及び第3電池セルc3は、接続順が奇数番目の奇数セルである。一方、第2電池セルc2は、接続順が偶数番目の偶数セルである。
【0017】
また、各々の電池セルcは、所定の内部抵抗を有している。この内部抵抗は、図示するように電池セルcの電極毎つまりプラス電極とマイナス電極とに存在するものであり、組電池Bの使用状態に応じて変化し得るものである。
【0018】
すなわち、第1電池セルc1のマイナス電極には内部抵抗r1nが存在し、第1電池セルc1のプラス電極には内部抵抗r1pが存在する。また、第2電池セルc2のマイナス電極には内部抵抗r2nが存在し、第2電池セルc2のプラス電極には内部抵抗r2pが存在する。さらに、第3電池セルc3のマイナス電極には内部抵抗r3nが存在し、第3電池セルc3のプラス電極には内部抵抗r3pが存在する。
【0019】
電圧検出装置Dの説明に戻る。接続配線Hは、各々の電池セルcの電極に対応して設けられており、電圧検出装置Dと組電池Bとを電気的に接続する電線である。第0接続配線H0は、一端が第1電池セルc1のマイナス電極に接続され、他端が電圧検出装置Dの第0CRフィルタF0の入力端に接続された電線である。この第0接続配線H0は、自身の内部抵抗及び各端部の接触抵抗の合計値として第0配線抵抗値R0を有している。
【0020】
第1接続配線H1は、一端が第1電池セルc1のプラス電極つまり第2電池セルc2のマイナス電極に接続され、他端が電圧検出装置Dの第1CRフィルタF1の入力端に接続された電線である。この第1接続配線H1は、自身の内部抵抗及び各端部の接触抵抗の合計値として第1配線抵抗値R1を有している。
【0021】
第2接続配線H2は、一端が第2電池セルc2のプラス電極つまり第3電池セルc3のマイナス電極に接続され、他端が本実施形態に係る電圧検出装置Dの第2CRフィルタF2の入力端に接続された電線である。この第2接続配線H2は、自身の内部抵抗及び各端部の接触抵抗の合計値として第2配線抵抗値R2を有している。
【0022】
第3接続配線H3は、一端が第3電池セルc3のプラス電極に接続され、他端が電圧検出装置Dの第3CRフィルタF3の入力端に接続された電線である。この第3接続配線H3は、自身の内部抵抗及び各端部の接触抵抗の合計値として第3配線抵抗値R3を有している。
【0023】
CRフィルタFは、図示するように抵抗器とコンデンサとから構成されたローパスフィルタである。第0CRフィルタF0は、入力端が第0接続配線H0の他端に接続され、出力端が電圧検出IC1の第0入力端子IN0に接続されている。また、この第0CRフィルタF0の入力端は、図示するように基準電位であるGNDに接続(接地)されている。
【0024】
また、第1CRフィルタF1は、入力端が第1接続配線H1の他端に接続され、出力端が電圧検出IC1の第1入力端子IN1に接続されている。第2CRフィルタF2は、入力端が第2接続配線H2の他端に接続され、出力端が電圧検出IC1の第2入力端子IN2に接続されている。さらに、第3CRフィルタF3は、入力端が第3接続配線H3の他端に接続され、出力端が電圧検出IC1の第3入力端子IN3に接続されている。
【0025】
CRフィルタFにおいて、抵抗器は、一端が各々の電池セルcの電極に接続され他端がコンデンサの一端及び電圧検出IC1における各々の入力端子INに接続されている。また、CRフィルタFにおいて、コンデンサは、一端が抵抗器の他端及び電圧検出IC1における各々の入力端子INに接続され、他端が接地されている。
【0026】
このようなCRフィルタFは、電池セルcの各々から電圧検出IC1における各々の入力端子INに入力される電圧に重畳するノイズを除去するローパスフィルタである。上述したように本実施形態に係る電圧検出装置Dと組電池Bとは接続配線Hで接続されており、接続配線Hには外部からノイズが飛来することがある。4つのCRフィルタFは、このようなノイズが電圧検出IC1に流れ込むことを抑制する。
【0027】
各々の放電抵抗器Zは、全て同一の抵抗値Rdisを有する。第0放電抵抗器Z0は、一端が第0接続配線H0の他端及び第0CRフィルタF0の入力端に接続され、他端が電圧検出IC1の第0制御端子CT0に接続されている。第1放電抵抗器Z1は、一端が第1接続配線H1の他端及び第1CRフィルタF1の入力端に接続され、他端が電圧検出IC1の第1制御端子CT1に接続されている。
【0028】
第2放電抵抗器Z2は、一端が第2接続配線H2の他端及び第2CRフィルタF2の入力端に接続され、他端が電圧検出IC1の第2制御端子CT2に接続されている。第3放電抵抗器Z3は、一端が第3接続配線H3の他端及び第3CRフィルタF3の入力端に接続され、他端が電圧検出IC1の第3制御端子CT3に接続されている。
【0029】
電圧検出IC1は、各々の電池セルcのセル電圧を検出すると共に各々の電池セルcを強制放電させる機能とを少なくとも備える集積回路である。この電圧検出IC1は、図示していないが外部の管理装置によって動作が制御されるものであり、当該管理装置から入力される電圧送信指令に基づいて管理装置への各々の後述する実セル電圧値Vrの送信や電池セルcの強制放電を行う。
【0030】
このような電圧検出IC1における第0入力端子IN0は、第0CRフィルタF0の出力端と第1電圧検出回路A1の第1入力端に接続されている。第1入力端子IN1は、第1CRフィルタF1の出力端、第1電圧検出回路A1の第2入力端及び第2電圧検出回路A2の第1入力端に接続されている。
【0031】
第2入力端子IN2は、第2CRフィルタF2の出力端、第2電圧検出回路A2の第2入力端及び第3電圧検出回路A3の第1入力端に接続されている。第3入力端子IN3は、第3CRフィルタF3の出力端及び第3電圧検出回路A3の第2入力端に接続されている。
【0032】
また、第0制御端子CT0は、第0放電抵抗器Z0の他端及び第1電子スイッチG1の一端に接続されている。第1制御端子CT1は、第1放電抵抗器Z1の他端、第1電子スイッチG1の他端及び第2電子スイッチG2の一端に接続されている。第2制御端子CT2は、第2放電抵抗器Z2の他端、第2電子スイッチG2の他端及び第3電子スイッチG3の一端に接続されている。第3制御端子CT3は、第3放電抵抗器Z3の他端及び第3電子スイッチG3の他端に接続されている。
【0033】
また、第1電圧検出回路A1は、第1入力端が第0入力端子IN0に接続され、第2入力端が第1入力端子IN1に接続された電圧増幅回路である。この第1電圧検出回路A1は、第0入力端子IN0の電圧値と第1入力端子IN1の電圧値との端子間電圧を示す第1検出電圧値V1を出力する。
【0034】
第2電圧検出回路A2は、第1入力端が第1入力端子IN1に接続され、第2入力端が第2入力端子IN2に接続された電圧増幅回路である。この第2電圧検出回路A2は、第1入力端子IN1の電圧値と第2入力端子IN2の電圧値との端子間電圧を示す第2検出電圧値V2を出力する。
【0035】
第3電圧検出回路A3は、第1入力端が第2入力端子IN2に接続され、第2入力端が第3入力端子IN3に接続された電圧増幅回路である。この第3電圧検出回路A3は、第2入力端子IN2の電圧値と第3入力端子IN3の電圧値との端子間電圧を示す第3検出電圧値V3を出力する。
【0036】
電子スイッチGは、制御部2によって制御されることによってON/OFFする電子スイッチである。第1電子スイッチG1は、一端が第0制御端子CT0に接続され、他端が第1制御端子CT1に接続されている。この第1電子スイッチG1は、ON状態になると第0放電抵抗器Z0の他端と第1放電抵抗器Z1の他端とを接続し、以って第1電池セルc1を強制放電させる。
【0037】
第2電子スイッチG2は、一端が第1制御端子CT1に接続され、他端が第2制御端子CT2に接続されている。この第2電子スイッチG2は、ON状態になると第1放電抵抗器Z1の他端と第2放電抵抗器Z2の他端とを接続し、以って第2電池セルc2を強制放電させる。
【0038】
第3電子スイッチG3は、一端が第2制御端子CT2に接続され、他端が第3制御端子CT3に接続されている。この第3電子スイッチG3は、ON状態になると第2放電抵抗器Z2の他端と第3放電抵抗器Z3の他端とを接続し、以って第3電池セルc3を強制放電させる。
【0039】
ここで、第0放電抵抗器Z0、第1放電抵抗器Z1及び第1電子スイッチG1は、第1電池セルc1に接続されており、第1電池セルc1に並列接続された放電回路M(第1放電回路M1)を構成している。また、第1放電抵抗器Z1、第2放電抵抗器Z2及び第2電子スイッチG2は、第2電池セルc2に接続されており、第2電池セルc2に並列接続された放電回路M(第2放電回路M2)を構成している。さらに、第2放電抵抗器Z2、第3放電抵抗器Z3及び第3電子スイッチG3は、第3電池セルc3に接続されており、第3電池セルc3に並列接続された放電回路M(第3放電回路M3)を構成している。
【0040】
また、図示していないが、各々の電子スイッチGには、各々の通電電流を検出する電流検出回路が直列接続されている。すなわち、第1電子スイッチG1には第1電流検出回路が直列接続され、第2電子スイッチG2には第2電流検出回路が直列接続され、また第3電子スイッチG3には第3電流検出回路が直列接続されている。
【0041】
第1電子スイッチG1における通電電流は、第1電子スイッチG1がON状態の時に第1放電抵抗器Z1を流れる第1放電電流I1である。第2電子スイッチG2における通電電流は、第2電子スイッチG2がON状態の時に第2放電抵抗器Z2を流れる第2放電電流I2である。また、第3電子スイッチG3における通電電流は、第3電子スイッチG3がON状態の際に第3放電抵抗器Z3を流れる第3放電電流I3である。
【0042】
制御部2は、各々の電子スイッチGを制御すると共に各々の電池セルcの実セル電圧値Vrを算出する。なお、第1電池セルc1の実セル電圧値Vrを第1実セル電圧値V1rとし、第2電池セルc2の実セル電圧値Vrを第2実セル電圧値V2rとし、第3電池セルc3の実セル電圧値Vrを第3実セル電圧値V3rとする。
【0043】
制御部2は、配線抵抗値Rを取得し、配線抵抗値Rに基づいて実セル電圧値Vrを算出する。配線抵抗値Rを取得する場合には、制御部2は、電子スイッチGのON状態時における電圧検出回路Aの検出電圧値Von(検出値)に基づいて、各々の電池セルcのオン電圧値Va(配線抵抗算出用第1検出電圧値)を取得する。また、制御部2は、電子スイッチGのOFF状態時における電圧検出回路Aの検出電圧値Voff(検出値)に基づいて、オフ電圧値Vb(配線抵抗算出用第2検出電圧値)を取得する。
【0044】
本実施形態においては、制御部2は、配線抵抗値Rを取得するにあたり、電子スイッチGをON状態に設定して、検出電圧値Vonを例えば1度取得する。制御部2は、取得した検出電圧値Vonをオン電圧値Vaとする。また、制御部2は、配線抵抗値Rを取得するにあたり、電子スイッチGをOFF状態に設定して、検出電圧値Voffを例えば複数取得する。制御部2は、これらの検出電圧値Voffを平均化処理してオフ電圧値Vbとする。例えば、制御部2は、検出電圧値Voffを取得する場合には、検出電圧値Vonを取得する場合よりもサンプリング周期を短くして、短時間にて多くの検出電圧値Voffを取得する。例えば、制御部2は、検出電圧値Voffを取得する場合のサンプリング周期を、検出電圧値Vonを取得する場合のサンプリング周期の5分の1とする。
【0045】
図2は、オン電圧値Vaとオフ電圧値Vbを取得する場合におけるタイミングチャートである。図2では、セル電圧と、電子スイッチの状態と、検出電圧値取得周期と、平均化処理期間との関係を示している。図2に示すように電子スイッチGがOFF状態にて検出電圧値(検出電圧値Von)が取得される。図2に示すように、電子スイッチGがOFF状態では、検出電圧値を取得するための制御周期の1周期分の期間において例えば1度のみ検出電圧値が取得される。制御部2は、このとき取得した検出電圧値Vonをオン電圧値Vaとして記憶する。
【0046】
電子スイッチGがON状態となると、電子スイッチGを含む放電回路が接続された電池セルcが放電し、セル電圧が降下する。図2に示すように、電子スイッチGがOFF状態からON状態となった直後の期間は、セル電圧が経時的に下がり続け、セル電圧が安定しない。このため、本実施形態においては、電子スイッチGがOFF状態からON状態となった直後のセル電圧が安定しない期間を電圧安定化期間とし、検出電圧値(検出電圧値Voff)を取得しない。なお、ここで言う検出電圧値を取得しないとは、電圧検出回路Aからの制御部2への信号の入力を停止することに加え、電圧検出回路Aからの制御部2へ信号が入力されてもこの値をオフ電圧値Vbの取得に用いないことも含む意味である。
【0047】
電圧安定化期間は、予め制御部2に記憶されている。例えば、実験あるいはシミュレーションによって電子スイッチGがOFF状態からON状態となってからセル電圧が安定するまでの期間を求め、この結果に基づいて電圧安定化期間が定められる。例えば、電圧安定化期間は、制御部2が検出電圧値の取得に用いる一定の制御周期の1周期分の期間とされる。
【0048】
電圧安定化期間が経過すると、図2に示すように電子スイッチGがOFF状態にて検出電圧値(検出電圧値Voff)が取得される。図2に示すように、電子スイッチGがOFF状態では、一定の制御周期において複数回検出電圧値が取得される。つまり、制御部2は、検出電圧値Voffの取得のサンプリング周期は、検出電圧値Vonのサンプリング周期よりも短く設定する。制御部2は、このとき取得した複数の検出電圧値Voffの平均値をオフ電圧値Vbとして記憶する。例えば、制御部2は、経時的に連続して取得された15個の検出電圧値Voffを平均した値をオフ電圧値Vbとする。なお、一定サンプリング期間ごとの検出電圧値Voffの移動平均値をオフ電圧値Vbとしてもよい。
【0049】
制御部2は、第1電子スイッチG1がON状態において第1電圧検出回路A1から入力される第1検出電圧値V1onに基づいて、第1電池セルc1の第1オン電圧値V1aを取得する。また、制御部2は、第1電子スイッチG1がOFF状態において第1電圧検出回路A1から入力される第1検出電圧値V1offに基づいて、第1電池セルc1の第1オフ電圧値V1bを取得する。
【0050】
また、制御部2は、第2電子スイッチG2がON状態において第2電圧検出回路A2から入力される第2検出電圧値V2onに基づいて、第2電池セルc2の第2オン電圧値V2aを取得する。また、制御部2は、第2電子スイッチG2がOFF状態において第2電圧検出回路A2から入力される第2検出電圧値V2offに基づいて、第2電池セルc2の第2オフ電圧値V2bを取得する。
【0051】
また、制御部2は、第3電子スイッチG3がON状態において第3電圧検出回路A3から入力される第3検出電圧値V3onに基づいて、第3電池セルc3の第3オン電圧値V3aを取得する。また、制御部2は、第3電子スイッチG3がOFF状態時において第3電圧検出回路A3から入力される第3検出電圧値V3offに基づいて、第3電池セルc3の第3オフ電圧値V3bを取得する。
【0052】
制御部2は、これらの第1オン電圧値V1a、第2オン電圧値V2a、第3オン電圧値V3a、第1オフ電圧値V1b、第2オフ電圧値V2b、第3オフ電圧値V3bに基づいて、第0配線抵抗値R0、第1配線抵抗値R1、第2配線抵抗値R2及び第3配線抵抗値R3を算出する。第0配線抵抗値R0、第1配線抵抗値R1、第2配線抵抗値R2及び第3配線抵抗値R3の算出方法については、後に説明する。
【0053】
また、制御部2は、算出した配線抵抗値Rに基づいて、配線抵抗値Rに起因する電圧降下を除外した実セル電圧値Vr(実電池電圧値)を算出する。つまり、制御部2は、第0配線抵抗値R0、第1配線抵抗値R1、第2配線抵抗値R2及び第3配線抵抗値R3に基づいて、第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r、第3実セル電圧値V3rを算出する。第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r、第3実セル電圧値V3rの算出方法については、後に説明する。
【0054】
本実施形態では、制御部2は、上述のように配線抵抗値Rを算出する配線抵抗値取得処理を実行可能である。本実施形態においては、制御部2は、このような配線抵抗値取得処理を車両に設置されたイグニッションスイッチSがOFF状態とされた期間に実行する。
【0055】
図3は、制御部2に関連する状態の変化を時系列的に示す模式図である。図3に示すように、イグニッションスイッチSがON状態とされると、電源起動処理が実行される。この電源起動処理では、電源装置Uが起動され、制御部2への電源供給が開始される。これによって制御部2が起動される。制御部2は、電源起動処理が完了すると、通常シーケンスを実行する。この通常シーケンスは、ドライバが車両の操作可能な状態(例えば車両が走行中)で実行される処理である。本実施形態では、制御部2は、通常シーケンスにて、例えば実セル電圧値Vrの取得を行う。また、本実施形態では、制御部2は、通常シーケンスにて、例えば配線抵抗値Rの補正を行う。
【0056】
配線抵抗値Rは、接続配線Hの温度によって変化する。具体的には、接続配線Hの温度が上昇すると、配線抵抗値Rが大きくなる。接続配線Hの温度は、組電池Bの温度の影響を大きく受ける。このため、制御部2は、組電池Bの温度を計測する温度センサTから入力される温度に基づいて、配線抵抗値Rを補正する。本実施形態では、制御部2は、配線抵抗値取得処理(配線抵抗値取得シーケンス)における組電池Bの温度と、実セル電圧値Vrを取得する場合(通常シーケンス)の組電池Bの温度との差分に基づいて、配線抵抗値Rを補正する。
【0057】
図4は、温度と補正後の配線抵抗値との関係の一例を示すグラフである。図4において、横軸は温度を示す。また、図4において縦軸は、補正後の配線抵抗値を示す。例えば、基準温度をtxとし、基準温度txの場合の配線抵抗値RをRxとする。また、接続配線Hの導体抵抗係数をαとする。温度が基準温度txから温度tyに変化する場合、補正後の配線抵抗値Ryは、下式(1)で求めることができる。
【0058】
Ry=Rx{1+α(ty-tx)} (1)
【0059】
例えば、基準温度txを20℃とし、温度tyを0℃とし、基準温度の配線抵抗値Rxを100mΩとする。また、接続配線Hの導体抵抗係数αを0.00393とする。この場合の補正後の配線抵抗値Ryは、式(1)より、92.14mΩとなる。また、図4に示すように、温度tyが-40℃の場合の補正後の配線抵抗値Ryは76.42mΩ、温度tyが-20℃の場合の補正後の配線抵抗値Ryは84.28mΩ、温度tyが40℃の場合の補正後の配線抵抗値Ryは107.86mΩ、温度tyが60℃の場合の補正後の配線抵抗値Ryは115.72mΩ、温度tyが80℃の場合の補正後の配線抵抗値Ryは123.58mΩとなる。
【0060】
例えば、制御部2は、上記差分と補正値との関係を示す演算式を予め記憶しており、この演算式に基づいて補正値を決定する。例えば、接続配線Hが導体によって形成されている場合には、温度変化に対する配線抵抗値Rの変化量は、導体温度抵抗係数αに上記差分を乗算した値として算出できる。このため、制御部2は、導体温度抵抗係数αに上記差分を乗算した値(補正値)を補正前の配線抵抗値Rに加算することで、配線抵抗値Rを補正する。
【0061】
さらに、制御部2は、先の配線抵抗値Rの補正の際の組電池Bの温度と、現在の組電池Bの温度との差分が、予め定められた閾値(再補正閾値ta)を超えた場合に、再び配線抵抗値Rを補正する。つまり、制御部2は、通常シーケンス中に、組電池Bの温度が再補正閾値taを超えて変化した場合には、改めて配線抵抗値Rを補正する。
【0062】
また、図3に示すように、イグニッションスイッチがON状態からOFF状態とされると、配線抵抗値取得シーケンスが実行される。つまり、配線抵抗値取得シーケンスは、ドライバが車両を操作しない状態で実行される。制御部2は、この配線抵抗値取得シーケンスにおいて、配線抵抗値取得処理を実行する。制御部2は、配線抵抗値取得処理にて、配線抵抗値Rを算出して記憶することで、配線抵抗値Rを取得する。このような配線抵抗値取得シーケンスが完了すると、電源停止処理が実行される。この電源停止処理では、制御部2のシャットダウン処理が実行され、電源装置Uから制御部2への電源供給が停止される。
【0063】
なお、配線抵抗値取得処理の実行には、時間を要する場合がある。このため、配線抵抗値取得処理は、ドライバが車両を操作しない状態(イグニッションスイッチがOFF状態の期間)で実行されるとよい。ただし、イグニッションスイッチがON状態の期間にて配線抵抗値取得処理を実行することも可能である。例えば、ディーラ等において一般ユーザが車両を操作しないような場合には、イグニッションスイッチがON状態の期間にて配線抵抗値取得処理を実行することも可能である。
【0064】
次に、本実施形態に係る電圧検出装置Dの動作について、図5図7のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0065】
図5は、配線抵抗値取得シーケンスにおける電圧検出装置Dの動作を説明するためのフローチャートである。イグニッションスイッチがオフ状態(ステップS1a)とされると、制御部2は、温度センサTから組電池Bの温度(組電池温度t1)を取得する(ステップS1b)。続いて、制御部2は、ステップS1bで取得した組電池温度t1が通常範囲内であるか否かを判定する(ステップS1c)。なお、ここで言う通常範囲は、組電池温度t1が、通常使用にて組電池Bの温度が変化する可能性のある範囲を示し、例えば-40℃程度から80℃程度である。
【0066】
ステップS1cにて組電池温度t1が通常範囲内でないと判定した場合には、制御部2は、温度センサTが異常であると判定する(ステップS1d)。制御部2は、温度センサTが異常であると判定した場合には、外部に温度センサTが異常であることを示す温度センサ異常信号を出力すると共に、ステップS1eに移行する。
【0067】
ステップS1cにて組電池温度t1が通常範囲内であると判定した場合には、制御部2は、配線抵抗値算出処理を実行する(ステップS1e)。図6は、配線抵抗値算出処理のフローチャートである。図6に示すように、制御部2は、配線抵抗値算出処理が開始されると、オフ電圧値Vbを取得する(ステップS2a)。
【0068】
制御部2は、オフ電圧値Vbを取得する場合には、第1電子スイッチG1、第2電子スイッチG2及び第3電子スイッチG3を全てOFF状態に設定し、この時の第1検出電圧値V1offを第1電圧検出回路A1から取得し、第2検出電圧値V2offを第2電圧検出回路A2から取得し、第3検出電圧値V3offを第3電圧検出回路A3から取得する。
【0069】
続いて、制御部2は、いずれかの電子スイッチGをオン状態に設定する(ステップS2b)。続いて、制御部2は、電圧安定化期間が経過した否かを判定する(ステップS2c)。制御部2は、電圧安定化期間が経過していないと判定した場合には、ステップS2bを繰り返す。一方で、制御部2は、電圧安定化期間が経過したと判定した場合には、オン電圧値Vaを取得する(ステップS2d)。
【0070】
制御部2は、オン電圧値Vaを取得する場合には、例えば、第1電子スイッチG1をON状態とし、第2電子スイッチG2と第3電子スイッチG3とをOFF状態として、サンプリング周期を短くして第1検出電圧値V1onを複数回取得する。第1電子スイッチG1をON状態とし、第2電子スイッチG2と第3電子スイッチG3とをOFF状態とすることで、第1放電電流I1が第1電池セルc1と第1電子スイッチG1とを結ぶ閉回路に流れる。制御部2は、複数の第1検出電圧値V1onの平均値を算出し、この平均値を第1オン電圧値V1aとして取得する。なお、制御部2は、ステップS2dにおいて、第1電子スイッチG1をON状態としている期間に、第2オフ電圧値V2b及び第3オフ電圧値V3bを合わせて取得する。
【0071】
また、制御部2は、第2電子スイッチG2及び第3電子スイッチG3の各々に対しても、ステップS2b、ステップS2c及びステップS2dを行う。つまり、制御部2は、第2電子スイッチG2をON状態とし、第1電子スイッチG1と第3電子スイッチG3とをOFF状態として、サンプリング周期を短くして第2検出電圧値V2onを複数回取得する。第2電子スイッチG2をON状態とし、第1電子スイッチG1と第3電子スイッチG3とをOFF状態とすることで、第2放電電流I2が第2電池セルc2と第2電子スイッチG2とを結ぶ閉回路に流れる。制御部2は、複数の第2検出電圧値V2onの平均値を算出し、この平均値を第2オン電圧値V2aとして取得する。なお、制御部2は、ステップS2dにおいて、第2電子スイッチG2をON状態としている期間に、第1オフ電圧値V1b及び第3オフ電圧値V3bを合わせて取得する。
【0072】
また、制御部2は、第3電子スイッチG3をON状態とし、第1電子スイッチG1と第2電子スイッチG2とをOFF状態として、サンプリング周期を短くして第3検出電圧値V3onを複数回取得する。第3電子スイッチG3をON状態とし、第1電子スイッチG1と第2電子スイッチG2とをOFF状態とすることで、第3放電電流I3が第3電池セルc3と第3電子スイッチG3とを結ぶ閉回路に流れる。制御部2は、複数の第3検出電圧値V3onの平均値を算出し、この平均値を第3オン電圧値V3aとして取得する。なお、制御部2は、ステップS2dにおいて、第3電子スイッチG3をON状態としている期間に、第1オフ電圧値V1b及び第3オフ電圧値V3bを合わせて取得する。
【0073】
また、制御部2は、偶数セルである第2電池セルc2に対応する第2電子スイッチG2(偶数スイッチ)と奇数セルである第1電池セルc1及び第3電池セルc3に対応する第1電子スイッチG1及び第3電子スイッチG3(奇数スイッチ)とを交互にON状態あるいはOFF状態に設定することにより、検出電圧値Vonを取得するようにしてもよい。
【0074】
続いて、制御部2は、配線抵抗値Rを算出する(ステップS2e)。ここでは、ステップS2aで取得したオフ電圧値Vbと、ステップS2dで取得したオン電圧値Vaとに基づいて、配線抵抗値Rを算出する。なお、オン電圧値Vaとオフ電圧値Vbとを用いて配線抵抗値Rを算出する方法については特に限定されない。
【0075】
以下にオン電圧値Vaとオフ電圧値Vbとを用いて配線抵抗値Rを算出する方法の一例について説明する。
【0076】
例えば、第2電子スイッチG2をON状態、かつ、第1電子スイッチG1及び第3電子スイッチG3をOFF状態に設定すると、第2電池セルc2と第2電子スイッチG2とを結ぶ閉回路には、第2放電電流I2が流れる。この状態ではこの閉回路について、以下の2式(2)、(3)が成立する。
V2b=I2・(R1+R2)+V2a (2)
I2=V2b/(R1+R2+2Rdis) (3)
【0077】
また、第2放電電流I2が流れる閉回路を構成する第1配線抵抗値R1と第2配線抵抗値R2について、上記2つの式(2)、(3)に基づいて以下の式(4)が得られる。
(R1+R2)=-2Rdis・(V2a-V2b)/V2a (4)
【0078】
一方、ステップS2dの状態において、第3オフ電圧値V3bは、第3電池セルc3のセル電圧に対して、第2配線抵抗R2に第2放電電流I2が流れた際の電圧上昇分となる。したがって、第2放電電流I2を用いた以下の関係式(5)、(6)が成立する。そして、これら2つの式(5)、(6)に基づいて、第2配線抵抗値R2に関する下式(7)が得られる。
【0079】
V3b=V3a-I2・R2 (5)
I2・R2=V3b-V3a (6)
R2=(V3b-V3a)/I2 (7)
【0080】
そして、制御部2は、上式(7)に基づいて第2接続配線H2における第2配線抵抗値R2を算出する。つまり、制御部2は、ステップS2aで得られた第3オフ電圧値V3bとステップS2dで得られた第3オン電圧値V3aを式(7)に代入し、また第3電流検出回路で得られた第2放電電流I2を式(7)に代入することにより第2配線抵抗値R2を求める。
【0081】
また、ステップS2dの状態において、第1オフ電圧値V1bは、第1電池セルc1のセル電圧に対して、第1配線抵抗R1に第2放電電流I2が流れた際の電圧上昇分となる。このため、以下の関係式(8)、(9)が成立する。そして、これら2つの式(8)、(9)に基づいて、第1配線抵抗値R1に関する下式(10)が得られる。
【0082】
V1b=V1a-I2・R1 (8)
I2・R1=V1b-V1a (9)
R1=(V1b-V1a)/I2 (10)
【0083】
そして、制御部2は、上式(10)に基づいて第1接続配線H1における第1配線抵抗値R1を算出する。すなわち、制御部2は、ステップS2aで得られた第1オフ電圧値V1bとステップS2dで得られた第1オン電圧値V1aを式(10)に代入し、また第2電流検出回路で得られた第2放電電流I2を式(10)に代入することにより第1配線抵抗値R1を求める。
【0084】
さらに、第0配線抵抗値R0と第1配線抵抗値R1とについて、以下の式(11)が成立する。また、第2配線抵抗値R2と第3配線抵抗値R3とについて、以下の式(12)が成立する。
(R0+R1)=-2Rdis・(V1a-V1b)/V1a (11)
(R2+R3)=-2Rdis・(V3a-V3b)/V3a (12)
【0085】
制御部2は、上述した式(10)、(11)に基づいて第0配線抵抗値R0を算出する。また、制御部2は、上式(7)、(12)に基づいて第3配線抵抗値R3を算出する。なお、この例では第2配線抵抗値R2→第1配線抵抗値R1→第0配線抵抗値R0→第3配線抵抗値R3の順で求めたが、順番は問わずどの配線抵抗値を基準にしても良い。
【0086】
本実施形態では組電池Bが備える電池セルが3つのみであるためステップS1cで第2電子スイッチG2を閉じることで第0配線抵抗値R0、第1配線抵抗値R1、第2配線抵抗値R2及び第3配線抵抗値R3を取得することができるが、さらに多くの電池セルを含有する組電池の場合においては、ステップS1cで他の電子スイッチGを閉じて得られたオン電圧値Va及びオフ電圧値Vbを用いて配線抵抗値Rを算出することができる。
【0087】
図5に戻り、配線抵抗値算出処理が終了すると、制御部2は、ステップS1bで取得した組電池温度t1とステップS1eで算出した配線抵抗値Rとを保存する(ステップS1f)。そして、このように配線抵抗値Rが保存されると、配線抵抗値取得シーケンスが終了し、図2に示すように、電源停止処理が実行される。
【0088】
図7は、通常シーケンスにおいて実セル電圧値Vrを求めるための電圧検出装置Dの動作を説明するためのフローチャートである。イグニッションスイッチがオン状態(ステップS3a)とされると、制御部2は、ステップS1fで保存した組電池温度t1と配線抵抗値Rとを読み出す(ステップS3b)。
【0089】
続いて、制御部2は、ステップS3bで読み出した組電池温度t1が通常範囲内であるか否かを判定する(ステップS3c)。なお、ここで言う通常範囲は、組電池温度t1が、通常使用にて組電池Bの温度が変化する可能性のある範囲を示し、例えば-40℃程度から80℃程度である。
【0090】
ステップS3cにて組電池温度t1が通常範囲内でないと判定した場合には、制御部2は、温度センサTが異常であると判定する(ステップS3d)。制御部2は、温度センサTが異常であると判定した場合には、外部に温度センサTが異常であることを示す温度センサ異常信号を出力すると共に、ステップS3gに移行する。なお、温度センサTが異常である場合であっても、組電池Bを管理する必要があることから、制御部2は、ステップS3gに移行する場合には、例えば通常範囲内の仮値を現在の組電池温度t2に設定する。
【0091】
ステップS3cにて組電池温度t1が通常範囲内であると判定した場合には、制御部2は、温度センサTから現在の組電池Bの温度(組電池温度t2)を取得する(ステップS3e)。続いて、制御部2は、ステップS3eで取得した組電池温度t2が通常範囲内であるか否かを判定する(ステップS3f)。なお、ここで言う通常範囲は、組電池温度t2が、通常使用にて組電池Bの温度が変化する可能性のある範囲を示し、例えば-40℃程度から80℃程度である。
【0092】
ステップS3eにて組電池温度t1が通常範囲内でないと判定した場合には、制御部2は、ステップS3dに移行する。ステップS3gにて組電池温度t1が通常範囲内であると判定した場合には、配線抵抗値Rの温度補正を行う(ステップS3g)。ここでは、制御部2は、上述のように、配線抵抗値取得処理(配線抵抗値取得シーケンス)における組電池Bの温度(組電池温度t1)と、実セル電圧値Vrを取得する場合(通常シーケンス)の組電池Bの温度(組電池温度t2)との差分に基づいて、配線抵抗値Rを補正する。例えば、制御部2は、上記差分を算出し、差分と補正値との関係を示す演算式から補正値を決定し、補正値に基づいて配線抵抗値Rを補正する。なお、制御部2は、第0配線抵抗値R0と、第1配線抵抗値R1と、第2配線抵抗値R2と、第3配線抵抗値R3との各々を補正する。
【0093】
続いて、制御部2は、ステップS3gで補正した配線抵抗値Rに基づいて、実セル電圧値Vrを取得する(ステップS3h)。ここでは、制御部2は、下式(13)~(15)に基づいて、配線抵抗値Rに起因する電圧降下を除外した真の検出電圧つまり実セル電圧値Vr(第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r及び第3実セル電圧値V3r)を取得する。
【0094】
V1r=V1a+(R0+R1+2Rdis)・I1 (13)
V2r=V2a+(R1+R2+2Rdis)・I2 (14)
V3r=V3a+(R2+R3+2Rdis)・I3 (15)
【0095】
なお、各々の電池セルcに接続された閉回路には各々に2つのCRフィルタの入力端が接続されている。これらのCRフィルタFは、ローパスフィルタであり、各々に時定数を有しているので、入力端子INの各端子電圧は、電子スイッチGの状態がON状態あるいはOFF状態に設定された後に時間の経過とともに変化する。
【0096】
つまり、入力端子INの各端子電圧は、真の端子電圧よりも低い値となり、また電子スイッチGの状態設定後の経過時間に応じて異なる電圧値となる。このような入力端子INの各端子電圧の変化は、電子スイッチGの状態設定後のタイミングに応じて実セル電圧値Vrに誤差が含まれていることを意味している。
【0097】
このような事情を考慮して、本実施形態に係る電圧検出装置Dでは、制御部2が予め記憶している補正特性に基づいて、実セル電圧値Vrを補正する(ステップS3i)。例えば、制御部2は、第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r及び第3実セル電圧値V3r毎の補正係数aを第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r及び第3実セル電圧値V3rに各々乗算することにより、第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r及び第3実セル電圧値V3rの補正量を決定する。そして、制御部2は、各々の補正量を第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r及び第3実セル電圧値V3rに各々加算することにより、第1実セル電圧値V1r、第2実セル電圧値V2r及び第3実セル電圧値V3rの補正処理を完了する。
【0098】
続いて、制御部2は、温度センサTから改めて組電池Bの温度(組電池温度t3)を取得する(ステップS3j)。続いて、制御部2は、先の配線抵抗値Rの補正の際の組電池Bの温度(組電池温度t2)と、現在の組電池Bの温度(組電池温度t3)との差分が、予め定められた閾値(再補正閾値ta)を超えているか否かの判定を行う(ステップS3k)。再補正閾値taは任意に設定可能であるが、例えば5℃にできる。
【0099】
組電池温度t2と組電池温度t3との差分が再補正閾値taを超えている場合には、制御部2は、配線抵抗値Rを再び補正する(ステップS3l)。ここでは、ステップS3gと同様に、制御部2は、組電池温度t1と、組電池温度t3との差分に基づいて、配線抵抗値Rを補正する。例えば、制御部2は、上記差分を算出し、差分と補正値との関係を示す演算式から補正値を決定し、補正値に基づいて配線抵抗値Rを補正する。なお、制御部2は、第0配線抵抗値R0と、第1配線抵抗値R1と、第2配線抵抗値R2と、第3配線抵抗値R3との各々を補正する。
【0100】
ステップS3lが完了した後、あるいは、ステップS3kで組電池温度t2と組電池温度t3との差分が再補正閾値taを超えていない場合には、制御部2は、ステップS3hに戻り、補正した配線抵抗値Rに基づいて、実セル電圧値Vrを取得する。
【0101】
以上のような本実施形態の電圧検出装置Dは、放電回路Mと、電圧検出回路Aと、制御部2とを備えている。放電回路Mは、電池セルcに並列接続されている。また、放電回路Mは、放電抵抗器Z及び電子スイッチGを有する。電圧検出回路Aは、電池セルcの電圧を検出する。制御部2は、電子スイッチGを制御する。また、制御部2は、電圧検出回路Aと電池セルcとの間の配線抵抗値Rを取得する配線抵抗値取得処理を実行可能である。
【0102】
また、配線抵抗値取得処理にて、制御部2は、電子スイッチGをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後に電圧検出回路Aから得られる検出値に基づいてオン電圧値Vaを取得する。また、配線抵抗値取得処理にて、制御部2は、電子スイッチGをOFF状態に設定して電圧検出回路Aから得られる検出値に基づいてオフ電圧値Vbを取得する。さらに、配線抵抗値取得処理にて、制御部2は、オン電圧値Va及びオフ電圧値Vbに基づいて、配線抵抗値Rを取得する。
【0103】
本実施形態の電圧検出装置Dによれば、放電回路Mの電子スイッチGをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後にオン電圧値Vaを取得する。このため、電子スイッチGがOFF状態からON状態になった直後の電池セルcの出力電圧が不安定な期間を避けてオン電圧値Vaを取得することができる。したがって、本実施形態の電圧検出装置Dによれば、配線抵抗値Rを精度高く算出することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態の電圧検出装置Dにおいて、制御部2は、オン電圧値Vaを取得する場合における検出値のサンプリング周期よりも、オフ電圧値Vbを取得する場合における検出値のサンプリング周期を短くし、複数の検出値の平均値をオフ電圧値Vbとする。
【0105】
このような本実施形態の電圧検出装置Dによれば、オフ電圧値Vbが複数の検出値の平均値となる。このため、各々の検出値が誤差含む場合であっても、より正確なオフ電圧値Vbを取得することが可能なり、配線抵抗値Rをより精度高く算出することが可能となる。
【0106】
また、本実施形態の電圧検出装置Dは、イグニッションスイッチSを備える車両に搭載されている。また、制御部2は、イグニッションスイッチSがOFF状態の期間に配線抵抗値取得処理を実行する。
【0107】
このような本実施形態の電圧検出装置Dによれば、ドライバが車両を操作しない状態で、配線抵抗値取得処理が実行される。このため、配線抵抗値取得処理のために、ドライバの待機時間が発生することを防止することができる。
【0108】
また、本実施形態の電圧検出装置Dにおいて、制御部2は、配線抵抗値Rに基づいて、配線抵抗値Rに起因する電圧降下を除外した実セル電圧値Vrを取得する。このような本実施形態の電圧検出装置Dによれば、より正確に実セル電圧値Vrを取得することが可能となる。
【0109】
また、本実施形態の電圧検出装置Dにおいて、制御部2は、配線抵抗値取得処理における組電池の温度と、実セル電圧値Vrを取得する場合の組電池の温度との差分に基づいて、配線抵抗値Rを補正する。さらに制御部2は、補正後の配線抵抗値Rに基づいて、実セル電圧値Vrを取得する。
【0110】
このような本実施形態の電圧検出装置Dによれば、組電池の温度に応じて配線抵抗値Rが補正されるため、配線抵抗値Rを取得した時と組電池の温度が変化した場合であっても、より正確な実セル電圧値Vrを取得することが可能となる。
【0111】
また、本実施形態の電圧検出装置Dにおいて、制御部2は、先の配線抵抗値Rの補正の際の組電池の温度と、現在の組電池の温度との差分が、予め定められた再補正閾値taを超えた場合に、再び配線抵抗値Rを補正する。
【0112】
このような本実施形態の電圧検出装置Dによれば、車両の走行途中等において組電池の温度が変化した場合であっても、より正確な実セル電圧値Vrを取得することが可能となる。
【0113】
(第2実施形態)
図8は、本実施形態の電池管理装置10の概略構成を示す模式図である。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0114】
図8に示すように、本実施形態の電池管理装置10は、上記第1実施形態の電圧検出装置Dと、管理装置Kとを備えている。管理装置Kは、電圧検出装置Dと接続されている。管理装置Kは、電圧検出装置Dの電圧検出IC1と接続されており、電圧検出IC1に対して、電圧送信指令を入力する。また、管理装置Kは、電圧検出IC1から出力された実セル電圧値Vrが入力される。
【0115】
管理装置Kは、例えば実セル電圧値Vrに基づいて、組電池Bへの充電量や充電タイミングを判定し、判定結果に基づいて組電池Bを管理する。このような本実施形態の電池管理装置10によれば、電圧検出装置Dを備えている。このため、精度の高い実セル電圧値Vrに基づいて、組電池Bを管理することができる。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0117】
例えば、上記実施形態においては、本発明の電池が電池セルcである構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、組電池Bを本発明の電池とすることも可能である。
【0118】
なお、上記実施形態については、例えば以下の付記のようにも記載できる。
【0119】
(付記1)
電池に並列接続されると共に放電抵抗器及び電子スイッチを有する放電回路と、前記電池の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電子スイッチを制御する制御部とを備える電圧検出装置であって、
前記制御部は、前記電圧検出回路と前記電池との間の配線抵抗値を取得する配線抵抗値取得処理を実行可能であり、
前記配線抵抗値取得処理にて、前記制御部は、
前記電子スイッチをON状態に設定してから電圧安定化期間の経過後に前記電圧検出回路から得られる検出値に基づいて配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得し、
前記電子スイッチをOFF状態に設定して前記電圧検出回路から得られる検出値に基づいて配線抵抗算出用第2検出電圧値を取得し、
前記配線抵抗算出用第1検出電圧値及び前記配線抵抗算出用第2検出電圧値に基づいて、前記配線抵抗値を取得する
ことを特徴とする電圧検出装置。
【0120】
(付記2)
前記制御部は、
前記配線抵抗算出用第1検出電圧値を取得する場合における前記検出値のサンプリング周期よりも、前記配線抵抗算出用第2検出電圧値を取得する場合における前記検出値のサンプリング周期を短くし、複数の前記検出値の平均値を前記配線抵抗算出用第2検出電圧値とする
ことを特徴とする付記1記載の電圧検出装置。
【0121】
(付記3)
イグニッションスイッチを備える車両に搭載され、
前記制御部は、イグニッションスイッチがOFF状態の期間に前記配線抵抗値取得処理を実行する
ことを特徴とする付記1または2記載の電圧検出装置。
【0122】
(付記4)
前記制御部は、前記配線抵抗値に基づいて、前記配線抵抗値に起因する電圧降下を除外した実電池電圧値を取得することを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の電圧検出装置。
【0123】
(付記5)
前記制御部は、
前記配線抵抗値取得処理における前記電池の温度と、前記実電池電圧値を取得する場合の前記電池の温度との差分に基づいて、前記配線抵抗値を補正し、
補正後の前記配線抵抗値に基づいて、前記実電池電圧値を取得する
ことを特徴とする付記4記載の電圧検出装置。
【0124】
(付記6)
前記制御部は、先の前記配線抵抗値の補正の際の前記電池の温度と、現在の前記電池の温度との差分が、予め定められた閾値を超えた場合に、再び前記配線抵抗値を補正することを特徴とする付記5記載の電圧検出装置。
【0125】
(付記7)
付記1~6のいずれか一つに記載の電圧検出装置と、
前記電圧検出装置の検出結果に基づいて前記電池を管理する管理装置と
を備えることを特徴とする電池管理装置。
【符号の説明】
【0126】
1……電圧検出IC、2……制御部、10……電池管理装置、A……電圧検出回路、B……組電池、c……電池セル(電池)、D……電圧検出装置、F……CRフィルタ、G……電子スイッチ、H……接続配線、K……管理装置、M……放電回路、S……イグニッションスイッチ、T……温度センサ、U……電源装置、Z……放電抵抗器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8