(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056132
(43)【公開日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ビデオ監視のコンピュータ実施方法、コンピュータプログラム、記憶媒体及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240415BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240415BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20240415BHJP
【FI】
H04N7/18 F
H04N7/18 D
H04N23/60 500
H04N23/60 300
H04N23/661
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170712
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】2214928.0
(32)【優先日】2022-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】523375098
【氏名又は名称】マイルストーン システムズ エー/エス
【氏名又は名称原語表記】MILESTONE SYSTEMS A/S
【住所又は居所原語表記】Banemarksvej 50C, Brondby 2605 Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジェンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ナスロラヒ, カマル
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054EA07
5C054FC12
5C054FC13
5C054FC14
5C054FC15
5C054FF02
5C054FF06
5C054GB01
5C054HA19
5C054HA31
5C122DA03
5C122DA11
5C122EA55
5C122EA63
5C122EA67
5C122EA68
5C122FA18
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK29
5C122FK35
5C122GA01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA46
5C122HA86
5C122HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】現在の監視方法及び対応するシステムを、それらが動作するために必要とする計算量及び人的資源を制限することによって最適化し、正確な監視結果を生成する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、第1のビデオストリームを提供する第1のビデオカメラに基づいて、それぞれの第2のビデオストリームをそれぞれ提供することができる1つ又は複数の第2のビデオカメラを識別するために、複数のビデオカメラをエッジによって接続されたオントロジエンティティとして表す知識グラフを問い合わせるステップと、第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は第1の解析データに基づいて、第2の解析データを取得するために少なくとも1つの第2のビデオストリームを供給され得る少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別するステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ監視のコンピュータ実施方法であって、
第1の解析データを取得するために少なくとも1つの第1のアプリケーションプログラムに供給され得る第1のビデオストリームを提供する第1のビデオカメラに基づいて、それぞれの第2のビデオストリームをそれぞれ提供することができる1つ又は複数の第2のビデオカメラを識別するために、複数のビデオカメラをエッジによって接続されたオントロジエンティティとして表す知識グラフを問い合わせるステップと、
前記第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は前記第1の解析データに基づいて、第2の解析データを取得するために少なくとも1つの第2のビデオストリームを供給され得る少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記第1のアプリケーションプログラムは、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、前記第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の解析データは、前記第1のビデオストリームにおいて検出されたオブジェクト及び/又はイベントの種類を示す、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の解析データに基づいて、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化するステップをさらに含み、前記第1の解析データは、オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のビデオカメラに基づいて前記知識グラフを問い合わせることは、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラを識別することをもたらし、前記方法は、前記第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は前記第1の解析データに基づいて、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのうち一部のビデオカメラのみを起動及び/又は有効化する、及び/又は、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのそれぞれの第2のビデオストリームの一部のみをそれぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のアプリケーションプログラムは、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、前記第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行し、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのうち一部の前記ビデオカメラのみを有効化する、及び/又は前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのそれぞれの第2のビデオストリームの一部のみをそれぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給することは、前記1つ又は複数の第1のビデオカメラとは異なり、撮像範囲が第1の所定時間内に前記1つ又は複数の第1のビデオカメラの撮像範囲から前記オブジェクト及び/又はイベントのそばに到達され得る、1つ又は複数のビデオカメラを識別することを含み、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別することは、前記第1の解析データに基づいている、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベントの潜在的な出現を見越して、前記第1の解析データに基づいて前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含み、前記第1の解析データは、前記オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のアプリケーションプログラム及び前記第2のアプリケーションプログラムは、同じソフトウェアプログラムの異なるインスタンスである、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のアプリケーションプログラム及び第2のアプリケーションプログラムは、異なるソフトウェアプログラムである、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のアプリケーションプログラム及び前記第2のアプリケーションプログラムの少なくとも1つは、前記第1のビデオカメラ又は前記第2のビデオカメラにおいてそれぞれ実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のアプリケーションプログラム及び第2のアプリケーションプログラムの少なくとも1つは、前記第1のビデオカメラ及び前記第2のビデオカメラから遠隔の処理装置においてそれぞれ実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記処理装置は、前記ビデオカメラから前記ビデオストリームの少なくとも一部を受信し、ユーザが前記1つ又は複数のビデオカメラの少なくとも1つの動作を遠隔で制御可能にするビデオ管理システムである、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記処理装置は、前記ビデオカメラから前記ビデオストリームの少なくとも一部を受信し、ユーザが前記1つ又は複数のビデオカメラの少なくとも1つの動作を制御可能にする、ビデオ管理システムから第1のビデオストリーム又は第2のビデオストリームを受信するクラウドベースのシステムである、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の解析データが前記ビデオ管理システムによって取得又は受信され、前記方法が前記ビデオ管理システムに前記第2の解析データを表示させることをさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも前記第1のビデオストリームを前記ビデオ管理システムに表示させることと、前記第2のビデオカメラの識別に基づいて、前記第2のビデオストリームを前記ビデオ管理システムに表示させることと、をさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記オブジェクト及び/又はイベントが、第1の所定時間以上の第2の所定時間内に、1つの前記第1のビデオカメラの撮像範囲を離れた、又は前記第1のビデオストリームから消失した、もしくは消失しようとしている、又は第2のビデオカメラの撮像範囲に到達していない、又は第2のビデオカメラの第2のビデオストリームに現れていない場合に、警報を発生させること及び/又はログ内のエントリにロギングすることをさらに含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のアプリケーションプログラム及び/又は前記第1の解析データ及び/又は前記第2のアプリケーションプログラム及び/又は前記第2の解析データに基づいて、第3の解析データを取得するために、少なくとも1つの第3のビデオストリームを供給され得る少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを識別することをさらに含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の解析データ及び/又は前記第2の解析データに基づいて、前記少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含み、前記第2の解析データは、前記第1のビデオストリームから消失したか又は消失しようとしている前記オブジェクト及び/又はイベントが、前記第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、有効化された前記第2のビデオカメラに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、それぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給された前記ビデオストリームに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていないことを示す、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3のビデオストリームにおける前記オブジェクト及び/又はイベントの潜在的な出現を見越して、前記第1の解析データと、前記第3のアプリケーションプログラムをロードするために必要な推定ロード時間とに基づいて、前記少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含み、前記第1の解析データは、前記オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしている前記オブジェクト及び/又はイベントは、第2の所定時間以上の第3の所定時間内に、前記第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、有効化した前記第2のビデオカメラに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、それぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給された前記ビデオストリームに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていない、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コンピュータによって実行されると、請求項1に記載の方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項23】
請求項22に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読データ媒体。
【請求項24】
請求項1に記載の方法を実行するように構成されたビデオ監視システムであって、前記ビデオ監視システムは、前記第1のビデオカメラ及び前記1つ又は複数の第2のビデオカメラを備える前記複数のビデオカメラを備え、前記第1のビデオカメラは前記知識グラフに問い合わせるステップを実行する手段を備え、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラは前記第1のビデオカメラから受信された情報に基づいて、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別するステップを実行する手段を備え、前記受信された情報は前記第1のアプリケーションプログラムを識別し及び/又は前記第1の解析データを備える、
ビデオ監視システム。
【請求項25】
前記第1のアプリケーションプログラムは、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、前記第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行するように構成される、
請求項24に記載のビデオ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ビデオ監視のコンピュータ実施方法、前記方法を実行するためのコンピュータプログラム、前記プログラムを記憶したコンピュータ可読データ媒体(記憶媒体)、及びビデオ監視システムに関する。本発明は特に、解析アプリケーションプログラムを実行するために必要とされるコンピュータリソースの使用を最適化することに関する。また、本発明は特に、ビデオストリームによって供給され、コンピュータビジョンアルゴリズムを実行する解析アプリケーションプログラムに関する。
【0002】
ビデオ管理システム(VMS)は、通常、複数の監視カメラからビデオデータを受信する。ビデオ管理システムは、データを記録サーバに記憶し、画像処理又は解析を実行し、ビデオデータを、携帯端末又はオペレータによって見られるディスプレイを含むオペレータコンソールであり得るクライアント装置(又はクライアント装置)に送信し得る。また、ビデオ管理システムは、ビデオデータの保存及び削除に関する制御を行ってもよい。
【0003】
ビデオ管理システムはまた、ユーザから、クライアント装置(又はオペレータクライアント)からコマンドを受信し得る。コマンドは、パン・チルト・ズーム(PTZ)ビデオカメラなどのビデオ管理システムに接続されたビデオカメラを遠隔制御するためのコマンドを含むことができる。コマンドはまた、どのデータが表示のためにクライアント装置に送信されるかを制御する、ビデオ管理システムへのコマンドを含んでもよい。例えば、オペレータはどのビデオカメラのデータがビデオ管理システムからディスプレイに送信されるかを制御することができ、それにより、オペレータは、どのビデオカメラからデータを閲覧するかを選択することができる。
【0004】
オペレータのディスプレイは、任意の一度に1つのビデオカメラからのデータのみを表示することができる。しかしながら、複数のカメラからのビデオデータは、選択されたカメラからのビデオが好ましくは他のカメラよりも比較的大きいビューで表示される状態で、インターフェースの複数のウィンドウにおいて(例えば、親ウィンドウ内の複数のペイン又は子ウィンドウにおいて)同時に表示され得る。したがって、クライアント装置は、ビデオデータの1つのストリーム又は複数のストリームを受信することができる。
【0005】
ビデオ監視は多くの場合、リアルタイムで実行され、オペレータはオブジェクトを追跡し、及び/又はイベントが発生したときに関心のあるイベントを監視する。しかしながら、そのような追跡及び監視は、完全に又は部分的に自動化されてもよい。追跡及び/又は監視は、例えば、ビデオカメラ、解析サーバ、及び/又はクライアント装置において実行される解析ソフトウェアによって、完全に又は部分的に実行され得る。
【0006】
そのような解析ソフトウェアには、ビデオ監視システムの一部である様々なデバイス(例えば、センサ)からのビデオストリーム及び/又はデータが供給され得る。解析ソフトウェアは、監視システムのそれぞれのビデオカメラ及び/又はデバイス(例えば、センサ)に関連するいくつかのアプリケーションプログラムを備え得る。
【0007】
そのようなシステムは、様々な解析アプリケーションプログラムを実行するために大量の計算能力を必要とする場合があり、多くの場合、これらのプログラムのすべてを並列に実行することは不可能であるか、又は望ましくないことさえある。いくつかのアプリケーションプログラムは、他のアプリケーションプログラムによって取得された解析結果も必要とする場合があり、したがって、それらの結果が事前に生成されるのを待つ必要がある場合がある。
【0008】
例えば、第1のアプリケーションプログラムが、オフィスビル内で火災が発生するなどの関心のあるイベントを検出するように構成され、第2のアプリケーションプログラムが煙警報によってイベントが警告された後に、ビルから出る人々をカウントするように構成される、第1のシナリオを仮定する。通常、ビル内の人数は、従業員がビルに出入りするときに識別バッジをスワイプすることを必要とするアクセスシステムを通じて監視されるが、避難を容易にするために火災の場合にはアクセスシステムを無効化する必要がある。したがって、誰も建物に閉じ込められたままにならないようにするために、出る人々を数えることが重要になる。そのようなシナリオでは、関心のあるイベントを検出する前に、建物から出る人々をカウントするためのアプリケーションプログラムを実行する必要はない。したがって、計算資源は、他のアプリケーションプログラムのために利用可能に保たれ得る。しかしながら、このように監視システムを動作させることは、第2のアプリケーションプログラムが全く開始されないか、又はビルを出る人々を確実にカウントするために時間内に開始されないというリスクを生じさせる。
【0009】
アプリケーションプログラムが、病院の異なる部分を介して、高価な医療装置などの建物内の関心のある動産及び/又はオブジェクトを追跡するように構成される、第2のシナリオを仮定する。そのようなシナリオでは、病院内のビデオ監視システムの各ビデオカメラは、医療装置が病院の異なる部分から出る/そこに入るときに、医療装置を検出及び追跡するように構成された同じアプリケーションプログラムのインスタンスを実行することができる。しかしながら、この例においても、ビデオ監視システムの各ビデオカメラにおいて同じアプリケーションプログラムのインスタンスを同時に実行することは、大きな計算資源を必要とするので、有利ではない。さらに、関連するビデオカメラ上でアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化するのに時間がかかりすぎる場合、動産及び/又はオブジェクトを見失う可能性がある。
【0010】
第1のアプリケーションプログラムが、第1のビデオストリーム内の特定のナンバープレートを検出するように構成され、第2のアプリケーションプログラムがそのナンバープレートの検出時に、第2のビデオストリーム内の赤いコートを有する人物を検索するように構成される、警察捜査である第3のシナリオを仮定する。このシナリオでは、赤いコートを有する任意の人をいつでも探すことは多数の偽陽性結果、すなわち、そのナンバープレートとは無関係の赤いコートを有する人を潜在的にもたらす可能性があるので、有用ではないかもしれない。さらに、このシナリオでは、ナンバープレートの検出時にビデオ監視システムの各ビデオカメラで第2のアプリケーションプログラムを実行することは、大きな計算資源を必要とするので、有利ではない。
【0011】
上記のシナリオでは、第2のアプリケーションプログラム又は同じアプリケーションプログラムの第2のインスタンスがオペレータによって起動及び/又は有効化されるとき、ヒューマンエラーのリスクもある。例えば、オペレータは関連するアプリケーションプログラムを起動及び/又は活性化しなくてもよく、又は関連する処理システム上で(例えば、埋め込み解析能力を有する関連するビデオカメラ上で)起動及び/又は活性化しなくてもよい。オペレータはさらに、監視下の物理的領域及びその距離、例えば、遠隔監視センター内のオペレータに精通していないことがある。加えて、そのような起動及び/又は有効化が人間のオペレータに依存するとき、オペレータのうちの1人が休暇中である場合、監視システムが常に実行され得るように、いくつかのオペレータを訓練する必要もある。これらの問題は、監視下の物理的領域におけるビデオカメラ又は監視デバイス(例えば、センサ)の数が増加することにつれて、さらに複雑になる。場合によってはオペレータがディスプレイ上の限られた個数のビデオストリーム、例えば、8つ又は9つのビデオストリームのみを見ていることがあり、一方、物理的領域内のビデオカメラの個数は数十のビデオカメラ、場合によっては1000のビデオカメラを超えることさえある。検索に必要な時間は、特に、リストのオペレータの知識に依存し、例えば、経験の少ないオペレータは、おそらく、関連するビデオカメラを見つけるためにより多くの時間を必要とする。オペレータが、関心のある移動オブジェクト又はイベント(又はアクティビティ)が最初に検出された監視ゾーンに隣接し、関連する解析アプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化する監視ゾーンのビデオストリームを提供する、1つ又は複数のビデオカメラを見つけて選択するときまでに、オブジェクト又はイベントは、オペレータがそれを見失うように、これらの隣接ゾーンを越えてすでに移動している可能性がある。この問題は、ビデオストリーム及び/又はアプリケーションプログラムをロードするのにかかる時間によって悪化する。さらに、オペレータがオブジェクト又はイベントを見失った場合、例えば、オブジェクト又はイベントによって多数の人々及びいくつかの代替ルートを監視できる場合、オブジェクト又はイベントが異なる時間に潜在的に通過した可能性がある異なる場所から個々のカメラストリームをチェックしなければならない場合、それを再配置することはほとんど不可能である。要約すると、オペレータはこの時間中ずっとオブジェクト又はイベントを見ることなく、関連するビデオストリーム及び/又はアプリケーションプログラムを検索し、ロードする貴重な時間を失うことがあり、最終的にオブジェクト又はイベントを見失うかもしれない。
【0012】
したがって、このように監視システムを実行することは、時間がかかり、費用がかかり、困難である。
【0013】
ユークリッド距離に基づいて、すなわち、オペレータがインシデントを観察するビデオカメラからの半径に基づいて、ビデオカメラをランク付けすることによって、関連するビデオカメラを見つけることも知られている。しかしながら、そのような解決策は、インシデントを引き起こすオブジェクト(人間又は車など)による到達可能性を考慮しない、なぜならばそれはオブジェクトがアクセスできない物理的領域のビデオカメラ監視ゾーンを含む、所定の半径内にある全てのビデオカメラを含むからである。例えば、高速道路の両側に位置し、監視している2つのビデオカメラは、ユークリッド距離に基づいて近いように見えるが、同じ車を次々に撮像することはできない。したがって、2つのビデオカメラのうちの1つは、最初にそれを撮像したビデオカメラの撮像範囲を車が離れた後に、車をさらに観察することには関連しない。
【0014】
関連するビデオカメラを識別する問題を解決するために、文献US2022207971A1では、監視ゾーンを横切って移動する関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを示すことができる1つ又は複数の関連するビデオカメラを自動的に識別するために、ビデオ監視カメラ及び問い合わせ可能な監視ゾーンを表す知識グラフに依拠する解決策が提案されている。しかしながら、提案された解決策は、解析アプリケーションプログラムを実行するためのコンピュータリソースの使用を最適化する問題に対処していない。
【0015】
したがって、現在の監視方法及び対応するシステムを、それらが動作するために必要とする計算量及び人的資源を制限することによって最適化する必要があり、より関連性があり、正確な監視結果を生成する方法及びシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、上述の問題の少なくともいくつかに対処することを目的とする。
【0017】
この目的のために、本発明は特に、第1の解析データを取得するために少なくとも1つの第1のアプリケーションプログラムに供給され得る第1のデータストリーム(例えば、第1のビデオストリーム)を提供する第1の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第1のビデオカメラ)に基づいて、それぞれの第2のデータストリーム(例えば、それぞれの第2のビデオストリーム)をそれぞれ提供することができる1つ又は複数の第2の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第2のビデオカメラ)を識別するために、複数の監視デバイス及び/又はセンサ(ビデオカメラなど)をエッジによって接続されたオントロジエンティティとして表す知識グラフを問い合わせるステップと、第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は第1の解析データに基づいて、第2の解析データを取得するために少なくとも1つの第2のデータストリーム(例えば、1つの第2のビデオストリーム)を供給され得る少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別するステップと、を含む監視(好ましくは、ビデオ監視の)のコンピュータ実施方法を提供する。
【0018】
本発明はメタデータの形式で解析データを提供するために、ビデオストリームを供給され、コンピュータビジョンアルゴリズムを実行するアプリケーションプログラムの場合に特に適用可能である。
【0019】
特に、本発明は、上述のコンピュータ実施方法に関する。
【0020】
任意選択で、本方法では、前記第1のアプリケーションプログラムは、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、前記第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行する。
【0021】
任意選択で、本方法では、前記第1の解析データは、前記第1のビデオストリームにおいて検出されたオブジェクト及び/又はイベントの種類を示す。
【0022】
任意選択で、本方法は、前記第1の解析データに基づいて、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化するステップをさらに含み、前記第1の解析データは、前記オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す。
【0023】
任意選択で、本方法では、前記第1のビデオカメラに基づいて前記知識グラフを問い合わせることは、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラを識別することをもたらし、前記方法は前記第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は前記第1の解析データに基づいて、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのうち一部の前記ビデオカメラのみを起動及び/又は有効化する、及び/又は、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのそれぞれの第2のビデオストリームの一部のみをそれぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給するステップをさらに含む。
【0024】
任意選択で、本方法では、前記第1のアプリケーションプログラムは、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、前記第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行し、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのうち一部の前記ビデオカメラのみを有効化する、及び/又は前記1つ又は複数の第2のビデオカメラのそれぞれの第2のビデオストリームの一部のみをそれぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給することは、前記1つ又は複数の第1のビデオカメラとは異なり、撮像範囲が第1の所定時間内に前記1つ又は複数の第1のビデオカメラの撮像範囲から前記オブジェクト及び/又はイベントのそばに到達され得る、1つ又は複数のビデオカメラを識別することを含む。
【0025】
任意選択で、本方法では、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別することは、前記第1の解析データに基づいている。
【0026】
任意選択で、本方法は、前記第2のビデオストリームにおいて前記オブジェクト及び/又はイベントの潜在的な出現を見越して、前記第1の解析データに基づいて前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含み、前記第1の解析データは、前記オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す。
【0027】
任意選択で、本方法では、前記第1のアプリケーションプログラム及び前記第2のアプリケーションプログラムは、同じソフトウェアプログラムの異なるインスタンスである。
【0028】
任意選択で、本方法では、前記第1のアプリケーションプログラム及び第2のアプリケーションプログラムは、異なるソフトウェアプログラムである。
【0029】
任意選択で、本方法では、前記第1のアプリケーションプログラム及び前記第2のアプリケーションプログラムの少なくとも1つは、前記第1のビデオカメラ又は前記第2のビデオカメラにおいてそれぞれ実行される。
【0030】
任意選択で、本方法では、前記第1のアプリケーションプログラム及び第2のアプリケーションプログラムの少なくとも1つは、前記第1のビデオカメラ及び前記第2のビデオカメラから遠隔の処理装置においてそれぞれ実行される。
【0031】
任意選択で、本方法では、前記処理装置は、前記ビデオカメラから前記ビデオストリームの少なくとも一部を受信し、ユーザが前記1つ又は複数のビデオカメラの少なくとも1つの動作を遠隔で制御可能にするビデオ管理システムである。
【0032】
任意選択で、本方法では、前記処理装置は、前記ビデオカメラから前記ビデオストリームの少なくとも一部を受信し、ユーザが前記1つ又は複数のビデオカメラの少なくとも1つの動作を制御可能にする、ビデオ管理システムから第1のビデオストリーム又は第2のビデオストリームを受信するクラウドベースのシステムである。
【0033】
任意選択で、本方法は、少なくとも前記第1のビデオストリームを前記ビデオ管理システムに表示させることと、前記第2のビデオカメラの識別に基づいて、前記第2のビデオストリームを前記ビデオ管理システムに表示させることと、をさらに含む。
【0034】
任意選択で、本方法は、前記オブジェクト及び/又はイベントが、第1の所定時間以上の第2の所定時間内に、1つの前記第1のビデオカメラの撮像範囲を離れた、又は前記第1のビデオストリームから消失した、もしくは消失しようとしている、又は第2のビデオカメラの撮像範囲に到達していない、又は第2のビデオカメラの第2のビデオストリームに現れていない場合に、警報を発生させること及び/又はログ内のエントリにロギングすることをさらに含む。
【0035】
本発明はまた、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに、上述の選択肢のいずれか1つに定義されるようなビデオ監視のコンピュータ実施方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0036】
本発明はさらに、前記コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読データ媒体に関する。
【0037】
本発明はさらに、上記の選択肢のいずれか1つによる方法を実行するように構成されたビデオ監視システムに関し、前記システムは、前記第1のビデオカメラ及び前記1つ又は複数の第2のビデオカメラを備える前記複数のビデオカメラを備え、前記第1のビデオカメラは前記知識グラフに問い合わせるステップを実行する手段を備え、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラは前記第1のビデオカメラから受信された情報に基づいて、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別するステップを実行する手段を備え、前記受信された情報は前記第1のアプリケーションプログラムを識別し及び/又は前記第1の解析データを備える。
【0038】
任意選択で、ビデオ監視システムにおいて、前記第1のアプリケーションプログラムは、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、前記第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
次に、本発明の実施形態を、単なる例を介して、添付の図面を参照して説明する。
【0040】
【
図1】
図1は、本発明を実施するビデオ監視システムの一例を示す。
【0041】
【
図2】
図2は、本発明によるビデオ監視のコンピュータ実施方法の本質的なステップを示すフローチャートである。
【0042】
【
図3】
図3は、物理的領域のゾーンを監視する異なる監視デバイスを示す、監視下の物理的領域の平面図の例である。
【0043】
【
図4A】
図4Aは、
図3の監視ゾーンの監視デバイスのいくつかを、監視ゾーン間の物理的経路を表すエッジによって接続されたオントロジエンティティ(又はノード)として表す知識グラフの例である。
【
図4B】
図4Bは、
図3の監視ゾーンの監視デバイスのいくつかを、監視ゾーン間の物理的経路を表すエッジによって接続されたオントロジエンティティ(又はノード)として表す知識グラフの例である。
【
図4C】
図4Cは、
図3の監視ゾーンの監視デバイスのいくつかを、監視ゾーン間の物理的経路を表すエッジによって接続されたオントロジエンティティ(又はノード)として表す知識グラフの例である。
【
図4D】
図4Dは、
図3の監視ゾーンの監視デバイスのいくつかを、監視ゾーン間の物理的経路を表すエッジによって接続されたオントロジエンティティ(又はノード)として表す知識グラフの例である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の実施形態を実施することができるビデオ監視システム100の一例を示す。システム100は、管理サーバ130と、記録サーバ150と、解析サーバ160とを備える。さらなる記録サーバ、アーカイブサーバ、索引付けサーバ、又は解析サーバなどのさらなるサーバも含まれ得る。例えば、記録サーバ150から即座にアクセス可能である必要はなく、永続的に削除されることを望まない、記録サーバ150に記憶された古いデータをアーカイブするために、アーカイブサーバ(図示せず)が提供され得る。主記録サーバが故障した場合には、フェイルオーバ記録サーバ(図示せず)を設けてもよい。また、モバイルサーバ(図示せず)は、ウェブクライアントを使用してブラウザからシステムにアクセスするモバイルクライアント又はラップトップをホストする携帯電話などの携帯端末からの監視/監視システムへのアクセスを可能にするために提供され得る。専用の解析サーバは、画像解析のための解析ソフトウェア、例えば、動き又はオブジェクト検出、顔認識、及び/又はイベント検出(活動の検出)を実行することもできる。本発明では、解析アプリケーションプログラムが文献EP4002853A1(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)のようなクラウドベースであり得る専用の解析サーバ160上で実行され得る。加えて、及び/又は代替として、解析アプリケーションプログラムは、例えば、監視デバイスにおいて「オンプレミス」で実行されてもよい(例えば、監視領域においてビデオカメラで実行されているときに「オンエッジ」、それは例えば、管理者及び/又はスーパーユーザがその領域を監視するのに適した解析プログラムをインストールすることを可能にするオペレーティングシステムを実行することができる)。解析アプリケーションプログラムはまた、クライアント装置(又はオペレータ装置又はオペレータクライアント)にインストールされた管理ソフトウェアであり得る、ビデオ管理システム(VMS)において実行され得る。本発明は、解析アプリケーションプログラムの任意の特定の位置に限定されない。
【0045】
複数のビデオ監視カメラ110a~110e(この特定の例では5つのビデオカメラ)は、ビデオデータ(例えば、ライブビデオストリーム)を記録サーバ150に送信する。オペレータクライアント120は、オペレータがビデオカメラ110a~110eからのライブビデオストリーム、又は記録サーバ150からの録画ビデオデータを見ることができるインターフェースを提供する。ビデオカメラ110a~110eは、画像データを撮像し、これを複数のビデオストリームとして記録サーバ150に送信する。記録サーバ150は、ビデオカメラ110a~110eによって撮像されたビデオストリームを格納する。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、ビデオカメラの撮像範囲の一部又は全部が重なり合っておらず、したがって、監視下の物理的領域のより大きな部分を監視することが可能になる。本発明は、動作のために必要とする計算量及び人的資源を制限することによって、現在の監視方法及び対応するシステムを最適化することを可能にするので、オブジェクト及び/又はイベントの効率的な追跡及び/又は監視は、より少ない監視センサ(例えば、ビデオカメラ)で達成され得る。したがって、ビデオカメラは、それらの撮像範囲間の重複をほとんど又は全く伴わずに、互いからさらに離れて配置され得り、したがって、必要とされるビデオカメラの個数を最適化することを可能にする。
【0047】
管理サーバ130は、警報の条件、取り付けられた監視装置(ハードウェア)の詳細、どのデータストリームがどの記録サーバに記録されているかなど、監視システム100の構成に関する情報を管理する管理ソフトウェアを含む。また、管理サーバ130は、オペレータ権限等のユーザ情報を管理する。オペレータクライアント120がシステムに接続されるか、又はユーザがログインすると、管理サーバ130は、ユーザがビデオデータを閲覧する権限を与えられているかどうかを判定する。管理サーバ130はまた、初期化又はセットアップ手順を開始し、その間に、管理サーバ130は、構成データをオペレータクライアント120に送信する。構成データは、システム内のビデオカメラと、各カメラがどの記録サーバに接続されているか(複数の記録サーバがある場合)を定義する。オペレータクライアント120は、次いで、構成データをキャッシュに格納する。構成データは、オペレータクライアント120がカメラを識別し、カメラ及び/又は記録サーバからデータを取得するために必要な情報を含む。
【0048】
オペレータクライアント120は、ビデオカメラ110a~110eの出力を監視又はレビューするために、オペレータ(セキュリティガード又は他のユーザなど)による使用のために提供される。オペレータクライアント120は、固定コンソールであってもよく、又はネットワークを介してビデオ管理システムに接続された携帯端末であってもよい。オペレータクライアント120は、管理サーバ130上の管理ソフトウェアと対話するためのインターフェースを表示することができるディスプレイを含む。オペレータクライアント120は、ビデオストリームをリアルタイムで見るために、ビデオカメラ110a~110eのうちの1つ又は複数からビデオデータストリームを要求できるか、又はオペレータクライアント120は、記録サーバ150に記憶された録画ビデオデータを要求することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、選択されたビデオストリームとしてビデオカメラのうちの1つによって撮像されているビデオは、メインウィンドウに表示され、他のビデオカメラによって撮像されたビデオストリームはより小さいウィンドウに表示される。この場合、複数のビデオストリームがオペレータクライアント120に送信される。多数のカメラを有するシステムの場合、大きなディスプレイでさえ、全てのビデオカメラからのビデオストリームを示すことができず、選択のみできる。代替として、オペレータクライアント120は、ビデオカメラ110a~110eのうちの1つのみによって撮像されているビデオストリームを、そのディスプレイ上の選択されたビデオストリームとして示すように構成され得る。この場合、1つのビデオストリームのみがオペレータクライアント120に送信され、これは選択されたカメラからのストリームである。
【0049】
オペレータクライアントはまた、遠隔的にドアを閉じる、アクセス制御権を設定又は変更する、物理的領域の特定のゾーンへのアクセスを防止又は許可する、交通信号を設定する、警報をトリガする、又はインシデント応答システムを介して遠隔的に制御されるように構成された任意のデバイスを制御するように、オペレータからのコマンドを受信することができるインシデント応答システムに接続され得る。コマンドは、セキュリティ関連、緊急関連、又は動作関連とすることができることに留意されたい。オペレータは、ビデオカメラに埋め込まれたスピーカを介して話すこともできる。
【0050】
オペレータクライアント120は、第1のネットワーク/バス121を介して、管理サーバ130及び記録サーバ150ならびにビデオカメラ110a、110b、110cと通信するように構成される。記録サーバ150は、第2のネットワーク/バス122を介して、ビデオカメラ110a、110b、110cと通信する。記録サーバ150は、ビデオカメラ110a~110eからオペレータクライアント120にビデオストリームをストリーミングするように構成される。
【0051】
図1のビデオ監視システムは、本発明を実施することができるシステムの一例である。しかしながら、他のアーキテクチャも可能である。例えば、
図1のシステムはオンプレミスで一部動作し、クラウドで一部動作するシステムであるが、本発明はクラウドベースのシステムで実施することもできる。クラウドベースのシステムでは、ビデオカメラはデータをクラウドにストリーミングし、少なくとも記録サーバ150はクラウド内にある。さらに、ビデオ解析は、クラウドにおいて実行され得る。クライアント装置は、クラウドからユーザが視聴するビデオデータを要求する。システムはまた、例えば、データが、オンプレミスの記録サーバに記録された後、クラウドベースのアーカイブサーバにアーカイブされるハイブリッドシステムとして構成されてもよい。あるいは、オンプレミスのサーバが、ビデオデータをクラウドベースの記録サーバに移動する前に、ビデオデータをバッファリングしてもよい。
【0052】
図2は、2つの本質的なステップを含む、本発明によるコンピュータ実施方法を示すフローチャートである。第1のステップS200において、コンピュータは、第1の解析データを取得するために少なくとも1つの第1のアプリケーションプログラムに供給することができる第1のデータストリーム(例えば、第1のビデオストリーム)を提供する、第1の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第1のビデオカメラ)に基づいて、それぞれの第2のデータストリーム(例えば、それぞれの第2のビデオストリーム)をそれぞれ提供することができる1つ又は複数の第2の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第2のビデオカメラ)を識別するために、複数の監視デバイス及び/又はセンサ(ビデオカメラなど)をエッジによって接続されたオントロジエンティティとして表す知識グラフを問い合わせる。
【0053】
本発明の文脈において、用語「監視装置及び/又はセンサ」は、監視信号及び/又はデータを生成するための装置を含むものとして理解されるべきである。典型的な監視デバイス及び/又はセンサは、ビデオカメラ、カメラ、オーディオ記録装置など、生物学的、化学的、又は物理量/パラメータのためのセンサ、電気的、磁気的、又は光学的センサ、温度又は風センサ、光検出センサ、受動赤外線(PIR)センサなどの運動検出センサ、マイクロ波又は超音波パルスを使用するセンサ、又は振動センサ、バイオメトリックセンサ又はシステム、アクセス制御及び警報装置又はシステム、ドアアクセス制御装置又はシステム、ならびに生産プロセスパラメータセンサなどの従来の測定又は感知デバイスを含む。本発明は、任意の特定の種類の監視デバイス及び/又はセンサに限定されず、特にビデオカメラに適用可能である。好ましくは、監視装置は、ビデオカメラと、アクセス制御及び警報装置又はシステム又はドアアクセス制御装置又はシステムのような他の装置との組合せを含む。本発明は、病院又は醸造所の機器の部分などの貴重な動産を追跡するために使用することができる。
【0054】
なお、監視装置及び/又はセンサは、互いに接続又は通信する必要はなく、例えば、無線接続を介したイーサネット(登録商標)ケーブルによって記録サーバ150に接続することができる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、監視デバイス及び/又はセンサが解析データを送信、受信、及び/又は交換するように相互接続され得る。例えば、第1の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第1のビデオカメラ)は、第1のアプリケーションプログラムを用いて第1の解析データを生成し、次いで、そのようなデータを第2の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第2のビデオカメラ)に送信し得、次に、第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は活性化するために、このデータを使用できる。
【0055】
あるいは、監視装置及び/又はセンサは、監視装置及び/又はセンサが前記1つ又は複数の並列システムを介して可視及び/又は制御可能であれば、1つ又は複数の並列システムを介してビデオ監視システム又は記録サーバに間接的に接続されてもよい。
【0056】
知識グラフは、監視下の物理的領域内の関心のあるオブジェクト及び/又はイベントが、どのゾーンに到達可能かを反映する。例として、そのような知識グラフは、以下に説明される
図4A~4Dに示される。本発明の文脈において、用語「監視ゾーン」は、監視される、例えばビデオカメラによって観察される、警報又は任意の他の監視デバイスによって制御される物理的領域の一部として理解されるべきである。したがって、監視ゾーンは、必ずしもではないが、ビデオカメラの撮像範囲に対応し得る。
【0057】
本発明は特に、ビデオ監視の分野に関するが、ビデオストリームを監視するための他の典型的な目的は、文書化、医療観察、建物管理、生産、トラフィック制御、及び/又はプロセス制御であり得る。
【0058】
監視デバイス及び/又はセンサによって生成された信号、データストリーム、及び解析データは、記録サーバに記憶されるために、管理可能なサイズのデータセグメントにセグメント化され得る。次いで、信号、データストリーム、及び解析データは、好ましくはインデックスサーバを使用して、クライアント側での閲覧及び/又は解析のために、ライブ又は再生ストリーミングのために記録サーバから取り出すことができる。
【0059】
方法の第2のステップS210は、第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は第1の解析データに基づいて、第2の解析データを取得するために少なくとも1つの第2のデータストリーム(例えば、1つの第2のビデオストリーム)を供給され得る少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別することを含む。
【0060】
本発明の文脈内で、第2のステップS210は、第1の監視デバイス及び/又はセンサ(例えば、第1のビデオカメラ)内で実行されてもよいが、第2の監視デバイス及び/又はセンサによって、特に、第2のアプリケーションプログラムが実行されることが意図される第2の監視デバイス及び/又はセンサによって実行されてもよい。あるいは、第2のステップS210がクライアント装置120内のVMSによって実行されてもよい。
【0061】
識別ステップS210は、第1の解析データのコンテンツと、起動及び/又は有効化される第2のアプリケーションプログラムとの間の既知の関係に基づいて実行され得ることが理解されよう。例えば、第1の解析データは、特定のナンバープレートが第1のビデオカメラによって提供される第1のビデオストリームに存在することを示す場合、この情報及び/又は結果は、1つ又は複数の第2のビデオカメラ及び/又はVMSに送信され得、次いで、それらのうちの1つはどの第2のアプリケーションプログラムを実行すべきか、及びどこでそれを実行すべきかを識別し得る。例えば、第2のカメラは、特定のナンバープレートが第1のビデオストリームにおいて検出されたという情報に基づいて、赤いコートを有する人物を追跡及び/又は検出するために、第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化するように構成され得る。
【0062】
本発明は、有利には生の文脈において使用され得る。例えば、Mona Lisa(モナリザ)が位置する部屋の出口は、埋め込み解析とビデオカメラ、例えば、その絵画を特に検出するための同じ第1のアプリケーションプログラムを有する各ビデオカメラを含むと仮定する。これらのカメラアプリケーションのうちの1つがMona Lisa(モナリザ)を検出すると、知識グラフを問い合わせて、Mona Lisa(モナリザ)検出アプリケーションプログラムを、博物館の、例えば、博物館の出口の他の関連カメラに配備する。したがって、有利には、博物館内のビデオカメラは、通常、近くの絵画又は美術品を特に検出するためにのみアプリケーションを実行する。
【0063】
前記関係は、使用形態に応じて、ローカルに記憶され、集中的に記憶され、及び/又は分散された方法で記憶され得る。例えば、監視システム内の各ビデオカメラは、各ビデオカメラが必要に応じて関係を参照することができるように、例えばテーブルとして、前記関係を記憶した記憶手段を含むことができる。前記関係はまた、集中的に記憶されてもよい。例えば、監視システム内のそれぞれのビデオカメラは、前記関係を取得するために、VMS内の記憶手段にアクセスできる。この方法では、関係をより容易に更新することができる。前記関係はまた、特定の監視デバイスに関連する情報のみがそのデバイスに記憶され、及び/又はアクセス可能であるように、特定のデバイスに分散され、及び/又は調整され得る。
【0064】
代替的及び/又は追加的に、識別ステップS210は、第1のビデオカメラと第2のアプリケーションプログラムとの間の既知の関係に基づいて実行することができる。例えば、第1のビデオカメラが病院の患者の部屋の近くの廊下で(第1のアプリケーションプログラムとして)動き検出プログラムを実行するように構成される場合、(第2のアプリケーションプログラムとしての)顔認識プログラムには、監視下にある特定の患者がビルを出たかどうかを検出するために、例えば病院ビルの出口にあるビデオカメラから、1つ又は複数のそれぞれの第2のビデオカメラからの1つ又は複数のビデオストリームを供給され得る。同じ第2のアプリケーションプログラムが、1つ又は複数の第2のビデオカメラからビデオストリームを受信し得ることが理解されよう。例えば、オフィスビルでの火災発生の上述の例を参照すると、同じアプリケーションプログラムに、異なる第2のビデオカメラからのビデオストリームを供給することは、第2のアプリケーションプログラムの同じインスタンスにおいて、ビルを出る人の総数をカウントするために、有利であり得る。あるいは、異なる第2のアプリケーションプログラム(例えば、人をカウントするための第2のアプリケーションプログラム及び車両をカウントするための第2のアプリケーションプログラム)は、同じ第2のビデオカメラから発信されるビデオストリームを受信してもよい。別の代替形態によれば、同じアプリケーションプログラムの異なるインスタンスはそれぞれ、それぞれの第2のビデオカメラから第2のビデオストリームを受信することができる(例えば、病院ビルの出口にある2つのビデオカメラが、顔認識のために自身の第2のアプリケーションプログラムを供給できる)。例えば、認知症の患者がいる介護施設を想定する。このシナリオでは、介護施設(又はVMS)の出口にあるビデオカメラが、歩き回る又は歩き回ることが知られている患者の顔認識を実行する。顔が認識されると、VMSで警報が発せられ、同時に、患者がどの方向に行くかについてのオペレータ情報を与えるために、その患者を検出する顔認識アプリケーションプログラムが(次のレベルの)駐車場/通りなどで起動される。このようにして、入口カメラのみが、複数のアプリケーションプログラムを同時に実行する(かつ、実行可能である)必要がある。
【0065】
したがって、本発明によれば、関係は第1のアプリケーションプログラムを第2のアプリケーションプログラムに、又は第1のビデオカメラを第2のアプリケーションプログラムに関連付けることができる。代替的に、関係は、一方では第1のビデオカメラと第1のアプリケーションプログラムとを、他方では第2のアプリケーションプログラムに関連付けることができる。例えば、関係は第1の解析データが特定のナンバープレートを含む場合、第2のアプリケーションプログラムは、その第1の解析データが特定の第1のビデオカメラから生じたときにのみ起動及び/又は有効化され得ることを示し得る。したがって、1つ又は複数の第2のアプリケーションプログラムを、1つ又は複数のそれぞれの第2のビデオカメラにおいて、VMSにおいて、及び/又はクラウドにおいて、どの第1のビデオカメラが使用されたか、及びそれが生成する第1の解析データのコンテンツに応じて実行することが可能である。
【0066】
本発明は、第1のアプリケーションプログラムが、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントを検出するために、第1のビデオストリームにおいてオブジェクト及び/又はイベント検出を実行する、使用形態において特に有用である。
【0067】
オブジェクト及び/又はイベント検出は、異なるレベルの詳細で実行され得ることが理解されよう。例えば、オブジェクト検出は、その形状及び/又は外観に基づいて、オブジェクトの種類(例えば、人間、車両、動産など)のみを検出し得る。しかしながら、オブジェクト検出は、1つ又は複数の特定の特徴(例えば、前記第1のビデオカメラによって検出され得るバーコード)に基づいて、特定のオブジェクト、例えば、建物内の特定の動産をより正確に検出し得る。本発明は、オブジェクト及び/又はイベント(又は活動)検出の詳細の特定のレベルに限定されない。
【0068】
本発明によれば、第1の解析データは、特定の種類のオブジェクト及び/又はイベントが検出されたこと、及び/又は第1のビデオストリーム及び/又は第1のビデオカメラの撮像範囲内に存在することを示し得る(撮像範囲が第1のビデオストリームに対応し得るが、第1のビデオストリームはそのビデオカメラの撮像範囲の切り捨てられた部分にも対応し得ることを知りながら)。
【0069】
本発明によれば、第1の解析データは、代替的に及び/又は追加的に、特定の種類のオブジェクト、特定のオブジェクト、及び/又は特定のイベントが第1のビデオストリームから、及び/又は第1のビデオカメラの撮像範囲内で消えてしまった、及び/又は消えようとしていることを示してもよい。
【0070】
有利には、少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムが、第1の解析データに基づいて起動及び/又は有効化されてもよく、第1の解析データは、オフィスビル内で火災が発生する上述の例のように、オブジェクト及び/又はイベントが消失したこと、及び/又は第1のビデオストリームから消えようとしていることを示す。この起動及び/又は有効化は、1つ又は複数の第2のビデオカメラ、VMS、又はクラウドにおける前記第1の解析データの受信時に実行されてもよいが、必要に応じて、所定の期間だけ遅延されてもよい。例えば、異なる監視ゾーン間で非常に迅速に移動することができるオブジェクトを仮定する。そのような場合、前記第1の解析データの受信の直後に、前記起動及び/又は有効化を実行する必要があり得る。逆に、非常に遅いオブジェクトが監視されている場合(又は、監視ゾーン間の距離が比較的長い場合)、所定の期間の後に前記起動及び/又は活性化を実行することは、その期間中に他の潜在的なアプリケーションプログラムのために利用可能な計算資源を維持するために、可能であり得る。
【0071】
本発明によれば、ステップS200は、複数の前記1つ又は複数の第2のビデオカメラを識別することをもたらし得る。その場合、本方法は、第1のアプリケーションプログラムに基づいて及び/又は第1の解析データに基づいて、第2のビデオカメラのうちのいくつかのビデオカメラのみを起動及び/又は活性化することと、及び/又はそれらのそれぞれの第2のビデオストリームのうちのいくつかのみをそれぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給することを含むステップを含むことができる。例えば、オフィス空間における火災発生の上述の例を参照すると、第1のアプリケーションプログラムが火災を検出したと仮定すると、建物の出口を観察する(したがって、建物から出る人をカウントするために使用され得る)第2のビデオカメラを起動することのみが有用であり得る。このようにして、建物から出る人々をカウントするための第2のアプリケーションプログラムは、無関係なビデオストリームを供給されない。同様に、オペレータに関連するビデオストリームを示すディスプレイは、無関係なビデオストリームと混同されるべきではなく、第1のビデオストリームと、出口を観察するこれらの第2のビデオカメラからのビデオストリームとのみを示すべきであると決定することができる。
【0072】
より一般的に言えば、VMSに、少なくとも第1のビデオストリームを表示させ、VMSに、前記第2のビデオカメラの識別時に、1つ又は複数の第2のビデオカメラからの第2のビデオストリーム(複数)を表示させることが有利であり得る。
【0073】
したがって、どの第2のビデオカメラを起動及び/又は有効化するかの選択は、どの第1のビデオカメラが使用されるかに依存することができ、好ましくは、それが生成する第1の解析データのコンテンツにも依存することができる。
【0074】
好ましくは、どの第2のビデオカメラ(複数)を起動及び/又は有効化するかの前記選択は、オブジェクト及び/又はイベントが第1の所定時間内にそれらのビデオカメラに到達することができるかどうかにさらに基づくことができる。例えば、1m/sの推定速度で移動されている動産を仮定する。第1のビデオカメラは、動産が第1のビデオストリーム及び/又は第1のビデオカメラの撮像範囲を離れたことを検出すると、方法は、10秒の第1の所定時間(又は期間)内にオブジェクトによって到達可能な1つ又は複数の第2のビデオカメラ、すなわち、第1のビデオカメラから10メートル以下に位置する、又はその撮像範囲が第1のビデオカメラから10メートル以下に位置する第2のビデオカメラを起動及び/又は有効化することを含み得る。これに関して、ビデオカメラが実際にはかなり離れている撮像範囲を見ながら、近接して配置され得るので、物理的なカメラ間の実際の距離以外の、ビデオカメラの異なる撮像範囲間の距離を考慮することが有利であり得る。これらの異なる撮像範囲の各々における幾何学的中心又は重心は例えば、そのような距離を測定、計算、及び/又は推定するために使用され得る。しかしながら、当業者はそのような距離を決定又は推定するために、任意の公知の方法を使用することができる。
【0075】
本発明によれば、第2のビデオストリームにおける追跡オブジェクト及び/又は監視イベントの潜在的な出現を見越して、第1の解析データに基づいて前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は活性化することが必要又は有利であり得る。これは、第2のアプリケーションプログラムが短時間で起動及び/又は有効化され得ない場合に特に有用であり得る。例えば、第1の解析データは、オブジェクト及び/又はイベントが第1のビデオカメラの第1のビデオストリーム及び/又は撮像範囲を離れようとしていることを示すと仮定する。そのような場合、オブジェクト及び/又はイベントが、第1のビデオカメラの第1のビデオストリーム及び/又は撮像範囲を実際に離れる前に、すなわち、第2のビデオストリーム内のオブジェクト及び/又は監視イベントの潜在的な出現を見越して、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することが可能である。例えば、オブジェクト及び/又はイベントがビデオストリームを離れようとしているかどうかを決定することは、オブジェクト及び/又はイベントが撮像範囲及び/又はビデオストリームのエッジ(又は境界)に近づくかどうかを決定することを含み得る。
【0076】
本発明によれば、第1及び第2のアプリケーションプログラムは、同じソフトウェアの異なるインスタンスであってもよいが、異なるソフトウェアプログラムであってもよい。当業者は、これが具体的な使用態様に特に依存することを理解するのであろう。
【0077】
本発明によれば、第1及び第2のアプリケーションプログラムは、それぞれのカメラで実行することができる。これは、例えば、これらのカメラによって提供されるビデオストリームが、前記アプリケーションプログラムに迅速に供給され、これらのアプリケーションプログラムから得られた解析データは、ビデオストリームがクライアント装置及び/又は他のビデオカメラなどのさらなるデバイスに送信された後、同時に、又はすぐに送信され得るという利点を提供し得る。
【0078】
しかしながら、第1及び第2(又はさらなる又は後続の)アプリケーションプログラムのうちの少なくとも1つは、第1及び第2のビデオカメラから遠隔の処理装置においてそれぞれ実行されてもよい。これは、例えば、ビデオカメラの外部で実行されるソフトウェアにセキュリティパッチ及び定期的な更新を適用することがより容易であり得るので、セキュリティの理由から有利であり得る。これは、ビデオカメラが前記ソフトウェアを実行するハードウェア能力を有していないときにも必要であり得る。
【0079】
本発明によれば、そのような遠隔の処理装置は、上述のようにVMSを実行するクライアント装置であってもよい。
【0080】
本発明の別の実施形態によれば、そのような遠隔の処理装置は例えば、文献EP4002853A1に記載されている遠隔のデジタルデバイスなど、クラウドベースであってもよい。当業者は、オンプレミス又はクラウドベースの処理装置の選択が特定の使用形態に依存することを理解するのであろう。
【0081】
第1及び/又は第2の解析データがVMSに送信及び受信されるとき、VMSにそのようなデータをオペレータに表示させることが有利であり得る。これは、オペレータが例えば、上述のような避難の文脈において、第1及び/又は第2の解析データの発展に従うことを可能にし得る。当業者は、解析データを表示する前に、解析データを人間が読み取ることができる形式に変換することが必要であり得ることを理解するのであろう。
【0082】
本発明によれば、前記オブジェクト及び/又はイベントが、第1の所定時間以上の第2の所定時間内に、1つの前記第1のビデオカメラの撮像範囲を離れた、又は前記第1のビデオストリームから消失した、もしくは消失しようとしている、又は第2のビデオカメラの撮像範囲に到達していない、又は第2のビデオカメラの第2のビデオストリームに現れていない場合に、警報を発生させること及び/又はログ内のエントリにロギングすることが有利であり得る。この警報は、監視領域内の特定の問題にオペレータの注意を引くことができる。さらに、適切なアクセス権を有するオペレータは問題を確認するために、及び/又はフォレンジック解析を実行するために、前記ログをチェックすることができる。第2の所定時間は第1の所定時間に等しい(又は対応する)ことができ、すなわち、それが第1のビデオカメラの第1のビデオストリーム及び/又は撮像範囲を離れた後、オブジェクト及び/又はイベントが第2のレイヤに到達するための推定時間内に、オブジェクト及び/又はイベントがビデオカメラ/ストリーム/アプリケーションプログラムの第2のレイヤ又は線によって再度検出されない場合、警報が発生され、及び/又はログエントリがロギングされる。
【0083】
本発明の文脈内で、「第1のビデオカメラ」/「第2のビデオカメラ」及び「第1の解析データ」/「第2の解析データ」及び「第1のアプリケーションプログラム」/「第2のアプリケーションプログラム」という用語は、ビデオカメラの識別情報及び/又は解析データ、又はそのカメラのビデオストリームが供給される第1のアプリケーションプログラムの識別情報が第2のビデオカメラを起動及び/又は有効化し、第2の解析データを取得し、及び/又は第2のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化するために使用されるという意味で相対的な用語であることを当業者は理解するのであろう。したがって、第2のビデオカメラは、第3のビデオカメラの観点から第1のビデオカメラに対応し得、第3のビデオカメラは第2のビデオカメラの観点から第2のビデオカメラに対応し得る。したがって、「第1の」及び「第2の」という用語は、監視領域内のビデオカメラの絶対位置に対応するのではなく、これらのビデオカメラ及び対応するアプリケーションプログラムの相対的な使用順序、及び解析データの相対的な入手順序、すなわち、どのビデオカメラ、ビデオストリーム、解析データ、及び/又はプログラムが、他のものより前に使用又は取得されるかに対応する。
【0084】
例えば、本発明の文脈内で、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントが第1のビデオカメラによって提供される第1のビデオストリームから、第2のビデオカメラによって提供される第2のビデオストリームに(及び/又は第1のカメラの撮像範囲から第2のカメラの撮像範囲に)移動すると、元の第1のビデオカメラは元の第2のビデオカメラの視点から第2のビデオカメラになり、元の第2のビデオカメラは、元の第1のカメラの視点から第1のビデオカメラになる。
【0085】
したがって、監視システムは、カスケードで使用することができるビデオカメラなどの多数の監視デバイス及び/又はセンサを備えることができ、例えば、第3のビデオカメラから取得された解析データ及び/又は第3のビデオカメラの識別情報が、第4のビデオカメラに埋め込まれた、又はクラウドベースのシステムで動作する第4のアプリケーションプログラムを有効化及び/又は起動するために使用され得り、第4のアプリケーションプログラムには、その第4のビデオカメラからの第4のビデオストリームを供給することができることを、当業者は理解するのであろう。
【0086】
本発明によれば、本方法は、前記第1の解析データ及び/又は前記第2の解析データに基づいて、前記少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含み、前記第2の解析データは、前記第1のビデオストリームから消失したか又は消失しようとしている前記オブジェクト及び/又はイベントが、前記第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、有効化された前記第2のビデオカメラに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、それぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給された前記ビデオストリームに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていないことを示す。例えば、第3のビデオカメラ、第3のビデオストリーム、及び第3のアプリケーションプログラムは、第1及び第2のレイヤ又は線又はカメラ/ストリーム/アプリケーションプログラムの後に使用されるべきビデオカメラ/ストリーム/アプリケーションプログラムの第3のレイヤ又は線に対応する。
【0087】
本発明によれば、本方法は、前記第3のビデオストリームにおける前記オブジェクト及び/又はイベントの潜在的な出現を見越して、前記第1の解析データと、前記第3のアプリケーションプログラムをロードするために必要な推定ロード時間とに基づいて、前記少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含み、前記第1の解析データは、前記オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す。例えば、関心のあるオブジェクト及び/又はイベントが、第1のビデオカメラの第1のビデオストリーム及び/又は撮像範囲を離れたと仮定すると、オブジェクト及び/又はイベントは、監視領域内でオブジェクト及び/又はイベントがあまりにも速く移動するため、及び/又は第2のアプリケーションプログラムが前記オブジェクト及び/又はイベントを撮像するために時間内に起動及び/又は活性化することができないため、ビデオカメラ/ストリーム/アプリケーションプログラムの第2のレイヤ又は線によって撮像されない可能性がある。したがって、そのようなシナリオでは、前記第3のビデオストリームにおける前記オブジェクト及び/又はイベントの潜在的な出現を見越して、前記第1の解析データと、前記第3のアプリケーションプログラムをロードするために必要な推定ロード時間とに基づいて、前記少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することをさらに含むことが有利であり、前記第1の解析データは、前記オブジェクト及び/又はイベントが前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしていることを示す。オブジェクト及び/又はイベントがビデオストリームから出ようとしているかどうかを判定することは、ここでもまた、オブジェクト及び/又はイベントが撮像範囲及び/又はビデオストリームのエッジに近づくかどうかを判定することを含み得る。
【0088】
本発明によれば、少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は有効化することは、前記第1のビデオストリームから消失したか、又は消失しようとしている前記オブジェクト及び/又はイベントは、第2の所定時間以上の第3の所定時間内に、前記第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、有効化した前記第2のビデオカメラに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていないか、それぞれの第2のアプリケーションプログラムに供給された前記ビデオストリームに対応する第2のビデオストリームのいずれかに現れていない場合に実行され得る。
【0089】
したがって、本発明によれば、第1の所定時間は、どの第2のビデオカメラがオブジェクトを追跡し、及び/又はイベントを監視するために有効化され得るかを決定するために使用され得り、第2の所定時間は、オブジェクト及び/又はイベントが再び現れなかった場合、警報を発生させる及び/又はログ内のエントリにロギングするために使用され得り、第3の所定時間は、少なくとも1つの第3のアプリケーションプログラムを起動及び/又は活性化するために使用され得る。これらの3つの所定時間は、好ましくは、第1の所定時間が第2の所定時間よりも短く、第2の所定時間が第3の所定時間よりも短くなるようなものであることが理解されよう。しかし、本発明は、使用形態に応じて、第1及び第2及び/又は第2及び第3の所定時間が等しい場合に及ぶ。
【0090】
次いで、第1のビデオカメラは知識グラフの周りをナビゲートし、ステップS200において、(選択された)第1のビデオカメラに基づいて関連する第2の(及び/又は任意のさらなる及び/又は任意の後続の)ビデオカメラ監視ゾーンを識別するための開始点として使用される。
【0091】
好ましくは、識別されたビデオカメラが、第1のビデオカメラにトポロジー的に最も近いビデオカメラであるか、又は複数のビデオカメラである。本発明の文脈において、「トポロジー的に最も近い」は、選択された第1のビデオカメラから始まる全ての方向において、知識グラフにおいて最も近いか、又はすぐ隣にあるこれらのビデオカメラを意味する。しかしながら、本発明は、この最も近い隣接するビデオカメラの識別に限定されず、それらを識別することが有利であり得ることに留意されたい。
【0092】
ステップS200及びS210で説明されるプロセスは、有利には物理領域内の関心のある移動オブジェクト又はイベントに追従するために、複数回繰り返すことができる。
【0093】
図3は、監視下にある建物の地上階の2D図の例を示す。この地上階は、6つのドアD1、D2、D3、D4、D5、及びD6と、物理的領域の異なるゾーンに属し、監視する5つのカメラC1、C2、C3、C4、C5(ビデオカメラ110a~110eにそれぞれ対応する)とによって接続される、3つの廊下Cor1、Cor2、Cor3、及び2つの部屋Room1、Room2を備える。図示するように、ドアD1は建物の外部から廊下Cor1へのアクセスを与え、廊下Cor1はドアD2を介して廊下Cor2に接続され、廊下Cor2はドアD3を介して廊下Cor3に接続され、ドアD5を介して部屋Room1に接続され、ドアD4を介して建物の外部に接続される。廊下Cor3は、ドアD6を介して部屋Room2に接続されている。
【0094】
ビデオカメラC1は廊下Cor1とドアD1の開閉を監視し、ビデオカメラC3は廊下Cor2とドアD2、D4、D5の開閉を監視し、ビデオカメラC4は部屋Room1とドアD5の開閉を監視し、ビデオカメラC5は廊下Cor3とドアD3の一部を監視する。なお、カメラC2は建物の外部に配置され、地上階に接続された建物(例えば、道)の外部を監視する。また、他の監視装置(IDバッジを検出可能なセンサ)であるアクセス制御リーダA1が、ドアD3の開閉を監視するために、ドアD3に接続されている。また、廊下Cor3の左側部分がビデオカメラC5の撮像範囲外にあるので、廊下Cor3は完全に監視されないことに留意されたい。さらに、部屋Room2及びドアD6も直接監視されない。それにもかかわらず、部屋Room2に向かう、又はそこから来るオブジェクト及び/又はイベントは、カメラC5の撮像範囲に到達すると、カメラC5によって発見される。3つのドアD1、D2、D5ならびに2つの廊下Cor1及びCor2を通過することなく、関心のある移動オブジェクト及び/又はイベントは、例えば、ドアD1から部屋Room1に直接行くことができないことが分かる。同様に、そのようなオブジェクト及び/又はイベントは、廊下Cor2及びCor3ならびにドアD3及びD6を通過することなく、例えば、ドアD4から部屋Room2に直接行くことができない。
【0095】
なお、この平面図は一例に過ぎず、本発明は、より広い物理的領域に拡張されてもよい。例えば、監視下に保たれるべき物理的領域の図は、物理的領域の地図を使用し、それをそれらのGPS座標に基づいて監視デバイス及び/又はセンサと重ね合わせ、監視デバイス及び/又はセンサが物理的領域のどのゾーンを監視するかを表すデータを組み合わせることによって得ることができる。例えば、ビデオカメラは、それらのGPS座標と、既知の方法によって(例えば、ローカルカメラ座標を使用することによって)決定されたそれぞれの撮像範囲とに基づいて配置され得る。
【0096】
本発明によれば、このような図は次に、ビデオカメラがどのように相互接続されるかを示す
図4A~4Dで例示されるように、知識グラフに変換されるべきである。このグラフは、カメラ間の距離及び/又はそれらのそれぞれの撮像範囲で補完され得る。例えば、
図4A~4Dは、カメラC1~C3、C2~C1、C3~C4、C3~C5及びC3~C4の間に10メートルの歩行距離がある一方で、カメラC1~C3の間の歩行距離は15メートルであることを示す。これらの歩行距離は、
図4A~4Dに示されるように、メタデータとして、及び/又は知識グラフ上のラベルとして記憶され得る。
【0097】
なお、本発明は、
図4A~
図4Dに記載されたグラフの種類に限定されない。例えば、文献US2022207971A1(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)の
図4のグラフのような、より複雑なグラフを使用することができる。
【0098】
図4A~4Dの本実施例は、医療装置(建物内外の動産)の追跡に関する。
【0099】
図4Aを参照すると、カメラC2が医療装置を監視し、第1の解析データを提供する第1の監視アプリケーションプログラムが、そのカメラ上で、又はVMS内もしくは例えばクラウドベースのシステム内の解析サーバ内のそのカメラについてのみ実行されていると仮定する。
【0100】
図4Bを参照すると、カメラC2は、デバイスが1m/秒の推定又は所定速度でその撮像範囲から外に移動されていることを検出する。デバイスが10秒以内に到達することができるすべてのカメラ(上述の第1の所定時間に対応する)、すなわち、カメラC1及びC3は、同じ解析アプリケーションのために起動される。言い換えれば、第1の監視アプリケーションプログラムの2つのインスタンスが、第2のアプリケーションプログラムとして、カメラC1及びC3上で、又はVMS内もしくはクラウドベースのシステム内のこれらのカメラC1及びC3について、実行されることになる。
【0101】
図4Cを参照すると、医療装置は、カメラC2の撮像範囲からその出発地から8秒以内にカメラC3によって再び検出される。医療装置は、15秒(上述の第2の所定時間に対応する)の期間内に検出されるので、警報は発せられないか、又は監視ログにログエントリは構成されない。言い換えれば、監視システムは、医療装置を見失っていない。
【0102】
ここで、医療装置がカメラC2の撮像範囲を離れたが、15秒以内にカメラC1及びC3の撮像範囲に現れないと仮定すると、監視システムが医療装置を見失ったことをオペレータに知らせるために、警報が発せられ、及び/又はログエントリがログに構成される。さらに、監視システムは、医療装置が20秒以内にカメラC1及びC3の撮像範囲内に現れない場合(上述の第3の所定時間に対応する)、ビデオカメラC4及びC5などのさらなるビデオカメラを起動及び/又は活性化するようにさらに構成され得る。
【0103】
上述のように、本発明は、特定の所定時間に限定されない。さらに、監視システムは、医療装置が上述の第3の所定時間内にカメラC1及びC3の撮像範囲内に現れない場合、ビデオカメラC4及びC5を起動及び/又は活性化し、それらの第3のアプリケーションプログラムを直ちに起動及び/又は活性化するように構成され得る。その場合、故障がカメラの第2のレイヤ又は線、すなわちビデオカメラC1及びC3による医療装置の検出を妨げた場合、第3のビデオカメラの線、すなわちビデオカメラC4及びC5によって医療装置が発見される可能性が依然として存在する。
【0104】
図4Dを参照すると、医療装置がカメラC3の撮像範囲を離れると、デバイスが10秒以内(上述の第1の所定時間に対応する)に到達することができるすべてのカメラ、すなわちビデオカメラC4及びC5が、解析データを提供するために、そのカメラ上で、又はVMS内のもしくは例えばクラウドベースのシステム内の解析サーバ内のそのカメラについて関連する監視アプリケーションプログラムとともに起動される。
【0105】
関心のある異なるオブジェクト(動産など)及び/又はイベントを監視するためのプロセスは、有利には独立していてもよい。例えば、1つのカメラ及びその解析アプリケーションプログラムは、ビデオカメラ間と、好ましくは加えて、それらが提供する解析データ、一方では第2の(及び/又はさらなる及び/又は後続の)ビデオカメラ上で又はそれについて実行される第2(及び/又はさらなる及び/又は後続の)アプリケーションプログラム(複数可)との上記の関係に基づいて、資産Aについて非活性化され得るが、資産Bについて依然として活性化され得る。
【0106】
本発明の図示されていない実施形態によれば、知識グラフは、有向ラベル付きグラフの形態であってもよい。これは、例えば、移動オブジェクト及び/又はイベントが知識グラフ内の異なるビデオカメラ間で、したがって物理的領域内でも、特定の方向にのみ移動し得ることを示す。エッジはまた、コンピュータがこれらのエッジの意味を決定するように構成されている限り、実線又は曲線(すなわち、無向エッジ)の形態であってもよい。これらの無向エッジは、ラベル及び/又はその特性を表すデータ及び/又はメタデータを含むこともできる。ここでも、データ及び/又はメタデータは、文献US2022207971A1のように、エッジの上、上、及び/又は下に表されてもよい。
【0107】
本発明の別の図示されていない実施形態によれば、知識グラフは監視ゾーンを、監視ゾーン間の物理的経路を表すエッジによって接続されたオントロジエンティティとしてさらに表すことができ、ビデオカメラは文献US2022207971A1のように、それらが監視するゾーンへのエッジによって接続される。
【0108】
本発明の別の図示されていない実施形態によれば、知識グラフはまた、監視ゾーンの全体を表すことができるが、また好ましくは監視ゾーン間の経路上にある非監視ゾーンを表すことができる。
【0109】
なお、ビデオカメラは、それらが属する監視ゾーンの全体を監視するために回転するように構成されたPTZカメラであってもよい。
【0110】
本発明の別の図示されていない実施形態によれば、監視ゾーンは、死角又は不感帯を含むことができる。そのような場合、これらの死角又は不感帯を、知識グラフ内の非監視ゾーンとして表すことが有利であり、なぜならば、これらは関心のあるオブジェクト及び/又はイベントが1つのビデオストリーム(又は撮像範囲)から別のビデオストリームに移動し得る速度にも影響を与えるからである。
【0111】
本発明の別の図示されていない実施形態によれば、エッジのうちの少なくともいくつかは、監視ゾーン、非監視、監視デバイス及び/又はセンサとその特性との間の関係を示す有向エッジ(一方向エッジ)として表されてもよい。
【0112】
本発明の別の図示されていない実施形態によれば、エッジの少なくともいくつかは、前記双方向エッジの両方向に関連するラベル及び/又は特性を表すデータ及び/又はメタデータを含む双方向エッジ(両矢印)として表されてもよい。データ及び/又はメタデータは、エッジの上、上、及び/又は下に表され得る。
【0113】
本発明の別の図示されていない実施形態によれば、エッジのうちの少なくともいくつかは、単一のオントロジエンティティに由来し、単一のオントロジエンティティを指すエッジとして表され得る。これらのエッジは、ラベル及び/又はその特性を表すデータ及び/又はメタデータを含むこともできる。例えば、エッジは、そのオントロジエンティティによって表されるゾーンにアクセスするための条件を表すラベルを含む。データ及び/又はメタデータは、エッジの上、上、及び/又は下に表され得る。
【0114】
なお、オントロジエンティティ(又はノード)はまた、例えば、ゾーンが屋内ゾーンであるか、又は屋外ゾーンであるかを表すデータ及び/又はメタデータなど、監視ゾーン及び/又は非監視ゾーン(もしあれば)のラベル及び/又は特性を表すデータ及び/又はメタデータを備え得ることに留意されたい。データ及び/又はメタデータは、オントロジエンティティの上、上、及び/又は下に表され得る。
【0115】
なお、知識グラフは、前記オントロジエンティティ及びエッジを表すコンピュータ実行可能コードの形態で記憶され得ることに留意されたい。このコードは例えば、XML又はJSONなどの形式、又は任意の他の適切な形式で提示され得る。
【0116】
本発明によれば、その内容が、監視デバイス及び/又はセンサが投入される監視下の領域(又はそのゾーン)の表現を含む1つ又は複数のファイルから始まる、知識グラフを作成又は生成することが可能である。そのような場合、監視下の領域(又はそれらのゾーン)を表すファイルは例えば、監視下の領域を拡張する必要があるとき、又は監視下の領域のレイアウトが変更されたときに、管理者及び/又はスーパーユーザによって、又は他の方法で十分なアクセス権を有する人によって変更されない、1つ又は複数の静的ファイルであり得る。次いで、前記管理者及び/又はスーパーユーザと同じアクセス権又はより少ないアクセス権を有するオペレータは、記憶部からコンピュータメモリにコンテンツをコピーすることによって、静的ファイルの監視下の領域の表現を格納することができ、前記コンテンツは、前記デバイス及び/又はセンサで補足することができる。次いで、監視デバイス及び/又はセンサを用いて監視下の領域を含む1つ又は複数の結果として得られるファイルを、必要に応じて記憶することができる。
【0117】
本発明の別の実施形態によれば、前記監視デバイス及び/又はセンサを含む1つ又は複数の動的ファイルは、前記1つ又は複数の静的ファイルとは別に記憶されてもよく、クライアント装置120及び/又は管理サーバ130などのコンピュータは必要に応じて静的ファイル及び動的ファイルのコンテンツを組み合わせるように構成されてもよい。したがって、静的及び動的ファイルは、それらのアクセス権に応じて異なるユーザによって編集され得る。
【0118】
監視デバイス及び/又はセンサの位置の論理モデル、及びそれらが(好ましくは部屋、ドア、廊下などを介して)どのように互いに関連しているかを使用することによって、最も関連する監視デバイス及び/又はセンサをオペレータに提案することができ、及び/又はこれらのデバイス及び/又はセンサ上で、又はこれらのデバイス及び/又はセンサのために、対応するアプリケーションプログラムを実行することができる。
【0119】
本発明の非図示の実施形態によれば、知識グラフは物理的領域の非監視ゾーンを、エッジによって接続されたオントロジエンティティとして含むことができ、前記非監視ゾーンは前記可能な経路の一部であり、例えば、
図3の部屋Room2である。このように、非監視ゾーンは最も関連する監視デバイス及び/又はセンサをオペレータに提案するために考慮することもでき、及び/又は、対応するアプリケーションプログラムを、これらのデバイス及び/又はセンサ上で、又はこれらのデバイス及び/又はセンサのために実行することができる。
【0120】
例えば、
図3の外部が、オブジェクトを検出するために第1のアプリケーションプログラムに供給される第1のビデオストリームを提供する第1のビデオカメラに対応する、カメラC2によってオブジェクトが検出されるゾーンであると仮定する。(ステップS200のように)本発明に係る知識グラフを問い合わせることにより、監視下の領域の論理モデルに基づいて、オブジェクトが建物に入った場合にオブジェクトを検出する可能性が高い2つの前記第2のビデオカメラ、すなわちカメラC1及びC3を識別することが可能になる。
【0121】
使用形態に基づいて、第1のアプリケーションプログラム(例えば、オブジェクトを検出するためのプログラム)に基づいて、及び/又はそのようなプログラムによって生成された第1の解析データ(例えば、特定のオブジェクトの存在を示すメタデータ)に基づいて、カメラC1及び/又はC3のビデオストリームとともに供給され得る少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別することが可能である。例えば、少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムは、建物にわたってオブジェクトを検出し続けるために、第1のインスタンスプログラムの異なるインスタンスであってもよい。あるいは、少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムは、第1のアプリケーションプログラムによって提供することができないより多くの機能を実行するプログラムであってもよい。例えば、少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムは、顔認識を実行するプログラムであってもよい。
【0122】
オペレータが別のカメラ(例えば、カメラC2)によって最初に検出された移動オブジェクト(例えば、追跡人物)を追跡したかったため、いくつかのカメラ(例えば、カメラC1及びC3)が選択されたと仮定すると、アクセス制御は、オブジェクトが建物内にさらに進んだ場合に、オブジェクトを見る可能性が高いビデオカメラを識別するために、オブジェクトが特定の監視ゾーンに移動することを防止するかどうかを考慮することが可能である。
【0123】
例えば、追跡人物が前記第2のビデオカメラC3からのビデオストリームを供給される顔認識のための第2のアプリケーションプログラムによって認識されており、認識された人物がドアD3を開くことを許可されていないことが知られている(したがって、アクセス制御リーダA1が廊下Cor3へのアクセスをそれらに許可する可能性が低い)と仮定する。この情報は、知識グラフを問い合わせし、及び/又は問い合わせ結果をフィルタリングするために、知識グラフに埋め込まれた監視下の領域の論理モデルに基づいて、次にそれが建物内にさらに進んだ場合にオブジェクト(追跡人物)を発見する可能性が高い1つ又は複数の第3の(又はさらなる又は後続の)ビデオカメラを識別するために、使用することができる。オブジェクトがカメラC5によって見られる可能性が低いと知りながら(それはドアD3を開くことができないので)、次にオブジェクトを見ることができる第3のビデオカメラは、したがって、カメラC1及びC4である。したがって、本例では、第1のビデオカメラは、カメラC2(いわゆるカメラの第1のレイヤ又は線に対応する)であり、第2のビデオカメラは、カメラC1及びC3(いわゆるカメラの第2のレイヤ又は線に対応する)であり、第3のビデオカメラは、カメラC1及びC4(いわゆるカメラの第3のレイヤ又は線に対応する)である。
【0124】
人物がアクセス制御リーダA1で自身を正常に認証した場合、コンピュータは、ビデオカメラの新しいレイヤ又は線を識別し、この特定の例では、ビデオカメラC5を関連するビデオカメラとして識別するために、そのような認証を考慮することができる。
【0125】
本発明の別の例(図示せず)によれば、Room1はビデオカメラC4の代わりに、又はそれに加えて、煙警報を備えると仮定する。火災がRoom1で発生した場合(火災は関心のあるイベントと考えることができる)、煙警報は消灯し、カメラC4を第1のビデオカメラとして活性化させることを可能にする信号を送信し、その第1のビデオストリームは、第1のアプリケーションプログラムとしてRoom1内の無意識の人々を検出するためのプログラムに供給され得る。次いで、監視領域の知識グラフを問い合わせて(ステップS200のように)、知識グラフに埋め込まれた監視下の領域の論理モデルに基づいて、関連するビデオストリームを提供する可能性が高い少なくとも1つ又は複数の第2のビデオカメラを識別する。本例では、知識グラフに問い合わせることにより、カメラC3を関連するビデオカメラとして識別することが可能になる。さらに、どの第1のアプリケーションプログラムが起動されたか(すなわち、ここでは無意識の人を検出するためのプログラム)を知ることによって、第2のビデオカメラC3の第2のビデオストリームが供給されたときに有用である可能性が高い少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを(ステップS210のように)識別することが可能である。この例では、1つの第2のアプリケーションプログラムは、ドアD5の前に仮想トリップワイヤを配置し、それによって部屋Room1に出入りする人々を監視するためのプログラムとすることができる。本例では、識別ステップS210は、起動及び/又は活性化される第1のアプリケーションプログラムと第2のアプリケーションプログラムとの間の既知の関係に基づいて実行することができる。
【0126】
本発明によれば、監視デバイス又はセンサは、第1のビデオカメラ(上述の煙警報など)を選択することを可能にする信号を送信するとき、この監視デバイスは、ビデオカメラである必要はない。
【0127】
上記で説明したように、当業者は、ステップS200において識別することができるビデオカメラの最大個数を制限することを任意に選択することができ、これは、予め決定することができ、及び/又は問い合わせの結果として識別されるビデオカメラの数に基づいて決定することができる。
【0128】
問い合わせが、前記1つ又は複数の第2(及び/又は任意のさらなる及び/又は任意の後続の)ビデオカメラのうちの複数を識別することをもたらす場合、それらをランク付けすることが有利であり得る。このランク付けは、異なる基準に基づくことができる。
【0129】
図示されていない例によれば、ランク付けは、そのエッジによって表される物理的距離に基づいて知識グラフの各エッジを重み付けすることによって行うことができる。これらの距離は、上述の通りになり得る。
【0130】
あるいは、ランク付けは各監視ゾーンの寸法又は幾何学的形状を考慮することによって行うことができる。そのような寸法又は幾何学的形状は、監視ゾーンを表す各オントロジエンティティの特性として表すことができる。これらの特性は、文献2022207971A1の
図4に示すように、オントロジエンティティの特性と同様の円又はボックスで表すことができる。知識グラフは、文献US2022207971A1に記載されているように、異なるカメラ、監視ゾーン及び/又は非監視ゾーンをそれらのそれぞれの特性にリンクする、ラベル付けされた有向エッジをさらに含むことができる。
【0131】
図示されていない例によれば、ランク付けは、カメラ、監視ゾーン、及び/又は非監視ゾーンを互いに接続するエッジのラベル及び/又は特性として直接表すことができる。言い換えれば、エッジは、前述のランク付けなど、エッジのラベル及び/又は特性を表すデータ及び/又はメタデータを備え得る。データ及び/又はメタデータは、エッジの上、上、及び/又は下に表され得る。
【0132】
本発明の図示されていない実施形態によれば、知識グラフは、有向ラベル付きグラフの形態であってもよい。しかしながら、コンピュータがこれらのエッジの意味を決定するように構成されている限り、エッジは実線(すなわち、無向エッジ)の形態であってもよいことに留意されたい。これらの無向エッジは、有向エッジに関して上述したものと同様に、ラベル及び/又はその特性を表すデータ及び/又はメタデータを含むこともできる。ここでも、データ及び/又はメタデータは、エッジの上、上、及び/又は下に表されてもよい。
【0133】
前述のランク付けは、オブジェクト及び/又はイベントが一般に、特定の速度で歩くか、又はそれぞれ進み、特定のビデオカメラが後の段階で到達するという事実を反映し得る。
【0134】
本発明によれば、ランク付けは、選択された又は所定の第1のビデオカメラから開始して識別された、以前に識別された第2の(及び/又は任意の更なる及び/又は任意の後続の)ビデオカメラに基づくことができる。
【0135】
別の代替によれば、第2の(及び/又は任意のさらなる及び/又は任意の後続の)アプリケーションプログラムは、所定の第1のアプリケーションプログラムから開始して識別された、識別された第2の(及び/又は任意のさらなる及び/又は任意の後続の)プログラムの過去の履歴に基づいて識別され得る。
【0136】
本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに、前述の実施形態、実施形態、及び/又は実施例のいずれか1つの方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムをさらに含む。
【0137】
本発明はさらに、前記コンピュータプログラム製品がそこに記憶されたコンピュータ可読データ媒体(例えば、HDD又はSSD)を含む。
【0138】
本発明は、前述の実施形態、実施形態、及び/又は実施例のいずれか1つの方法を実行するように構成されたビデオ監視システムをさらに含む。そのような場合、システムは、前記第1のビデオカメラ及び前記1つ又は複数の第2のビデオカメラを備える前記複数のビデオカメラを備える。さらに、前記第1のビデオカメラは、知識グラフを問い合わせるステップを実行する手段を備え、前記1つ又は複数の第2のビデオカメラは、前記第1のビデオカメラから受信された情報に基づいて、前記少なくとも1つの第2のアプリケーションプログラムを識別するステップを実行する手段を備え、前記受信された情報は前記第1のアプリケーションプログラムを識別し及び/又は前記第1の解析データを備える。
【0139】
有利には、システムは上述のようなオペレータクライアント120、及び/又は例えば、上述のようなオペレータクライアント120、管理サーバ130、及び記録サーバ150などの異なる電子デバイスの組合せを備え得る。
【0140】
本発明の一実施形態では、知識グラフ(及び/又は上述の静的ファイル及び/又は動的ファイル)が管理サーバ130に記憶される。あるいは、知識グラフ(及び/又は上述の静的ファイル及び/又は動的ファイル)がオペレータクライアント120に記憶されてもよい。オペレータクライアント120に知識グラフを記憶することによって、各オペレータクライアント120は、知識グラフの問い合わせごとに管理サーバ130と通信する必要がなくなり、動作速度が増加し、ネットワークトラフィックが減少する。
【0141】
前記第1及び/又は第2(及び/又は任意のさらなる及び/又は任意の後続の)アプリケーションプログラムは、上記で定義されたように、解析サーバ160及び/又はクライアント装置120上で記憶され、実行され得る。ただし、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【外国語明細書】