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特開2024-56140ペダル作動式電動車両向けの作動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056140
(43)【公開日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ペダル作動式電動車両向けの作動システム
(51)【国際特許分類】
   B62M 11/06 20060101AFI20240415BHJP
   B62M 6/55 20100101ALI20240415BHJP
   B62M 11/12 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B62M11/06 E
B62M6/55
B62M11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175263
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】102022000020814
(32)【優先日】2022-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】523384056
【氏名又は名称】ノヴァ プロジェッティ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グアルティエーロ スクデリ
(57)【要約】
【課題】以下の三点を可能にするペダル作動式電動車両向けの作動システムを提供すること。
●離散的ではなく連続的な変動
●始動又は下り坂時など、ユーザにとって最も使いやすいギア比への自動的な位置合わせ
●制動下でのエネルギー回復
【解決手段】ペダル作動式電動車両向けの作動及びトラクション・システムは、電動モータ30と、遊星デバイス102、並びに、比を離散化するアクチュエータ106、2つの拡張可能プーリ108、110、及び制動中のエネルギー回復を可能にするフリー・ホイールを含む、ペダルとは独立して作動する可変速度ドライブ104を有するギア比の自動的な位置合わせを可能にするトランスミッションと、センサ管理を伴う制御ソフトウェアを作動させるためのデバイスが設けられた統合基板112とを備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(30)と、遊星デバイス(102)、及び、ペダルとは独立して作動する連続可変速度ドライブ(104)を有するトランスミッションとを備える、ペダル作動式電動車両向けの作動及びトラクション・システムであって、前記連続可変速度ドライブ(104)が、比を離散化するアクチュエータ(106)、及び2つの拡張可能プーリ(108、110)を含み、前記作動及びトラクション・システムが、センサ管理を伴う制御ソフトウェアを作動させるためのデバイスが設けられた統合基板(112)をさらに備え、前記統合基板(112)が、前記センサから受信された信号に基づいて前記電動モータ(30)を制御するように適合されており、前記作動及びトラクション・システムが、前記ペダル又は前記電動モータ(30)からの動きを前記電動車両の車輪に伝達するためのピニオン(35)をさらに含み、前記ピニオン(35)及び前記連続可変速度ドライブ(104)が、ペダル軸(A)上に同軸に位置付けられており、前記ペダルと、前記電動車両の前記車輪との間の動き伝達が、前記遊星デバイス(102)及び前記可変速度ドライブ(104)を備える運動学的チェーンを介して行われ、前記電動モータ(30)と前記ピニオン(35)との間の動きの伝達は、高速で回転する前記電動モータ(30)と、前記電動車両の前記車輪に動きを伝達するための前記チェーンを作動させる前記ピニオン(35)との間の所望の変換比を取得するように適合されたギアのカスケードを介して行われる、作動及びトラクション・システム。
【請求項2】
前記遊星デバイス(102)が、前記電動車両の前記ペダル軸(A)上に位置付けられたシャフト(65)上に据え付けられ、右プラネタリ・フランジ(60)及び左プラネタリ・フランジ(62)によって形成されたサテライト・キャリアを備え、前記サテライト・キャリア(60、62)が、前記2つのフランジの間に、左サン・ギア(58)と、ローラ・ベアリング(61)と、3つの外側歯付きサテライト・ギア(55)と、前記サテライト・ギア(55)の外側歯付き形状と協働することが可能な内側歯付き形状を設けている内側歯付き固定クラウン・ギア(64)と、を備え、前記遊星デバイス(102)が、伝達比を規定することができる、請求項1に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項3】
前記連続可変速度ドライブ(104)が、アクチュエータ(106)と、前記ペダル又はモータ(30)に連結されたドリブン一次プーリ(110)、及びパッシブ二次プーリ(108)を含む拡張可能プーリ機構(108、110)と、を備え、前記プーリが、前記ドリブン一次プーリ(110)からの運動を前記パッシブ二次プーリ(108)に伝えるための歯付きベルト(19)によって互いに連結されている、請求項1若しくは2のどちらか一方、又は両方に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項4】
前記一次プーリ(110)が、固定側一次プーリ(20)と協働する可動側一次プーリ(18)を備え、前記二次プーリ(108)が、固定側二次プーリ(17)と協働する可動側二次プーリ(16)を備える、請求項3に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項5】
前記アクチュエータ(106)が、メイン・ボディ(106c)及びフォーク(106b)によって前記可動側一次プーリ(18)に連結されたアクチュエータ本体(24)を備え、前記メイン・ボディ(106c)が、前記フォーク(106b)に対して前記メイン・ボディ(106c)の反対端でレバー・ピンを構成するレバー要素(106a)を提供する、請求項4に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項6】
前記連続可変速度ドライブ(104)が、フリー・ホイール(11)、前記二次ドリブン・プーリ(108)の支持要素(12)、及びローラ・ベアリング(13)を備える、請求項5に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項7】
前記ペダル軸(A)からの動きの前記電動車両の前記車輪への伝達が、前記ペダル軸(A)上のホイール支持体(38)に据え付けられた第1の外側歯付きホイール(49)と、前記二次プーリ(108)のホイール支持体(53)における第2の外側歯付きホイール(49)との2つの外側歯付きホイール(49)によって行われる、請求項1から6までの一項又は複数項に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項8】
前記第2の外側歯付きホイール(49)が、デカップリング・デバイス(43)を中に収容するように適合されており、前記デカップリング・デバイスが、前記電動車両の前記車輪から前記ペダルをデカップリングさせることができる、請求項7に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項9】
前記デカップリング・デバイス(43)が、制動下でのエネルギー回復を達成するために、前記車輪から前記ペダルをデカップリングさせるためのフリー・ホイールである、請求項8に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項10】
前記ペダル軸(A)からの動きを前記車輪に伝達するための前記運動学的チェーンが、逆方向のペダル漕ぎ中のフィーディングを取り除くために、前記ペダル軸と一次プーリ(110)との間に第2のデカップリング・デバイス(11)を備える、請求項8若しくは9のどちらか一方、又は両方に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項11】
前記電動モータ(30)と、前記遊星デバイス(102)及び前記可変速度ドライブ(104)を有する前記トランスミッションと、を中に収容するためのケーシング(1、7)を備え、前記ピニオン(35)が、前記ケーシング(1、7)の外側に位置付けられており、前記ケーシング(1、7)が、熱を消散させるように研究されている、請求項1から10までの一項又は複数項に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項12】
前記ケーシング(1、7)が、右ハウジング(1)及び左ハウジング(7)の2つのハウジングによって形成されており、前記2つのハウジングが、前記ケーシングを前記電動車両のフレームに固定させることができる複数の取付けポイント(1a、7a)を有し、前記ペダル軸を支持し、マッスル作動又は電動モータ作動(30)の間、前記ペダルを回転させることができるように、ストップ・リング(2)及びボール・ベアリング(3)が、前記右ハウジング(1)の内部にあり、右カバー(7)の側に対称にストップ・リング(8)及びボール・ベアリング(9)がある、請求項11に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項13】
前記右ハウジング(1)が、前記電動車両の作動システムによって発生した熱をより十分に消散させるための冷却フィン(1b)を有する、請求項12に記載の作動及びトラクション・システム。
【請求項14】
請求項1から12までの一項又は複数項に記載の作動及びトラクション・システムを備える電動自転車。
【請求項15】
請求項1から12までの一項又は複数項に記載の作動及びトラクション・システムを備える電動三輪車又は電動四輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル作動式電動車両向けの作動システムに関する。詳細には、本発明は、ペダルアシスト式自転車又はeバイクの分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明の特に有利な用途は、必要とされるときにユーザのペダル漕ぎを「アシストする」ように運転されることが可能な電動モータを備えるペダルアシスト式自転車の分野にある。本発明はさらに、ペダル作動式の電動三輪車又は四輪車において使用されることも可能である。
【0003】
詳細には、本発明は、モータがペダル軸に作用し、ペダル又はモータの運動によって作動するチェーンが、ピニオンを介して後輪に作用するタイプのペダル作動式電動車両向けの作動システムのための解決策に関する。
【0004】
さらにより詳細には、本発明は、制動中にエネルギー回復も可能な連続可変ペダルアシスト式自転車に関する。
【0005】
したがって、本発明は、作動及びトラクション・システム、並びに、作動及びトラクション・システムを備えるペダルアシスト式自転車三輪車又は四輪車に関する。
【背景技術】
【0006】
eバイクは、必要とされるときにユーザのペダル漕ぎを「アシストする」ように運転されることが可能な電動モータを備えるペダルアシスト式自転車である。このことは、これらのバイクは、モータがアクティブでないときは、全ての点において通常の自転車と同等であることを意味する。逆に、ユーザが、ペダル漕ぎを助ける又は補助するために電動モータをオンするように選択すると、バイクは電動になり、動かすために小さなマッスル労力しか必要としなくなる。
【0007】
交通規則もまた従来の自転車とeバイクの差を認めているものの、どちらも25km/hを超えないため、それらを同等とみなしており、したがって、ペダルアシスト式自転車は、登録、ナンバープレート、又は保険を必要としない。
【0008】
ペダルアシスト式電動バイクでは、最初の数ペダル・ストローク後に電動モータは自動的に起動して、電動バイクは最小限の労力で速度を得る。
【0009】
電動モータは、ペダルの運動を検出するセンサによって送信される信号に基づいて動作する。ペダルの回転が増加するにつれ、センサによって送信される信号がより頻繁になり、その結果、モータは徐々に最大速度に到達することができる。アシストにより、ペダル漕ぎがますます滑らか且つ容易になる。この種の車両を管轄する規則によると、1時間あたり25キロメートルの最大速度に到達したとき、又はペダル漕ぎが止められたとき、モータはオフされる。
【0010】
2つのタイプのセンサ、すなわち、ペダルの最初の回転で起動されることが可能なモーション・センサ、及び、サイクリストによってペダルに印加される力を感知できるデバイスを備えるトルク・センサが現在市販されている。この場合、モータ寄与度は実際、サイクリストが自身の脚でバイクに印加する推力によって調整される。
【0011】
電動自転車のモータは、充電式電池によって電力供給される。
【0012】
同じことが、三輪車又は四輪車などのペダル作動式電動車両にもあてはまる。
【0013】
1881年パリにおけるデモンストレーションとしてGustave Trouveによって設計された電動モータを装備する三輪車を無視する場合、電動自転車は、米国人Ogden Bolton Jr.による特許出願、米国特許第552271A号の提出により、1895年に正式には始まったと思われている。この解決策は、後輪のハブ内に配置されたモータの使用を含んでいた。
【0014】
今日、ペダルアシスト式電動自転車は、マッスル動力と電動モータの動力とを組み合わせたハイブリッド車両と定義されている。
【0015】
電動モータの推力は、ユーザのマッスルペダル漕ぎと同時に存在するので、ユーザのペダル漕ぎの際、より少ない均等な労力しか必要とせず、例えば、上り坂を、又は平坦でない若しくはでこぼこした地形を登るとき、ユーザをサポートすることを意図するものである。
【0016】
eバイクの実装技法には現在、2つのタイプの解決策がある。第1のタイプでは、モータは、前輪又は後輪のハブ内に直接配設されており、一方、第2のタイプでは、モータは、ドライブ・チェーンが係合するピニオンが位置している底部ブラケットで、ペダル軸に直接作用する。ユーザのペダル運動によって駆動されるドライブ・チェーンは、ピニオンを介して後輪に作用する。
【0017】
2つのタイプのシステム間の主な違いは、モータが車輪に伝える駆動トルクの特性である。
【0018】
第1のタイプの解決策、すなわち、モータが前輪又は後輪のハブ内にある場合、トルクは厳密に、モータによって送達されたトルクである。したがって、第1のタイプの解決策は、より大きな又はより小さな強度のペダル漕ぎ補助が必要とされる異なる使用条件には適用できない。
【0019】
第2のタイプの解決策、すなわち、中央モータがペダル軸上に位置付けられる場合は、異なるギアボックス・ピニオンの減速を使用することができるので、地面に伝達されるトルクは、選択されたギア比及び使用条件、すなわち、始動、登坂、高速又は低速に応じて変動し得る。
【0020】
さらに、駆動輪のハブ上に配置されたギアボックスの存在により、ハブ内のフリー・ホイールの存在がデカップリング要素として標準化されたので、ペダルは、トラクション・エネルギーが必要でないとき(下り坂、制動)でも常に動いている状態にはならない。
【0021】
この場合、すなわち、第2のタイプの解決策では、前述の使用条件下で、及び、制動又は下り坂のとき、ペダル軸上に位置しているモータが静止しているのは明らかであるので、エネルギー回復はできない。
【0022】
市販での現在の解決策では、モータは、リチウムイオン電池によって電力供給されており、通常は、充電のために容易に取り外すことができるように収容されている。
【0023】
さらに、電動バイクは、電動モータ及び電池の他に、ケイデンス・センサ、エフォート・センサ、速度センサ、カットオフ・センサ、及び、一般に運転を制御するためのディスプレイからなる電気システムを備える。
【0024】
知られているタイプの解決策では、自転車全体の重要な要素はギアボックスである。
【0025】
ギアボックスがあることにより、ペダル軸上にあるピニオンと駆動輪軸上にあるピニオンとの間のギア比をシフトさせることが可能である。ギア比に関するこの変化は、ギアに印加されるマッスル労力を調整するために必要であり、ユーザの能力が許容する限界内で異なる使用条件に応じて変動し得る。
【0026】
ギアボックスは、駆動輪の軸上に配置されたピニオンのセットと、ペダルの軸上に配置された1つ又は複数のクラウン・ホイールとからなる。ドライブ・チェーンは、あるピニオンから他のピニオンにチェーンをスライドさせる変速機と呼ばれる機構によって、ペダルに印加された力をピニオンから、選択されたピニオンに伝達する。これは、動いているチェーンで、したがって、自転車が動いている間のみ起こり得る。
【0027】
さらに、あるピニオンから別のピニオンへの移行中、チェーンを介した力の伝達は中断されなければならない。
【0028】
このタイプの動作は、いくつかの欠点をもたらす。
【0029】
例えば、障害物、カーブ、傾斜の変化若しくはでこぼこ道、又は最適以下の路面若しくは地面状態が存在し、同時に、ギアをシフトさせることが必要となる多少の牽引力を必要とするとき、ユーザは、車両の完全な制御を維持するのが重要な状況に自身があることに気付くことが非常に多い場合がある。
【0030】
しかしながら、シフト中の力伝達の中断はバイクの不規則な挙動につながり、その結果、横滑り又はユーザがバイクの制御を失う危機が生じるおそれがある。
【0031】
したがって、この場合、ユーザは通常、危険なシフトをして問題に遭遇するほうではなく不適切なギア比を保持するほうを選ぶ。これは、モータによる過度なエネルギー消費に伴うユーザの一部に対する大きすぎる労力、又は、ユーザの不快なペダル操作のどちらか一方に帰着する同様な可能性がある。
【0032】
車両を停止させなければならない場合、ギアボックスは、このタイプの既知の解決策において、停止前にそうであったギア比に設定されることになる。何故なら、再始動時にギア比をシフトできるのは、チェーン-ピニオン・システムが動いているときだけだからである。しかしながら、ギア比は通常、始動に最も適しているわけではない。この制限、すなわち、バイクが静止している場合にギアをシフトできない結果として、始動時に、モータによる過度なエネルギー消費のため、ユーザがかける労力は最適以下となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国特許第552271A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
したがって、本発明の主目的は、上記で概説し、従来技術で見出された欠点を克服する又は少なくとも最小化することである。
【0035】
特に、この特徴解析から、本発明の第1の目的は、現在のeバイク、又は三輪車若しくは四輪車などのペダル作動式電動車両に典型的ないくつかの動作、性能、及び効率特性を改善することである。
【0036】
以下の説明では、電動自転車又はeバイクへの参照を行うこととするが、この解決策は、簡潔にするために以下で「電動車両」と称される電動三輪車又はペダル作動式電動四輪車にもあてはめることができる。
【0037】
したがって、提案される解決策の特性ポイントは以下に列挙される。
●離散的ではなく連続的な変動
●始動又は下り坂時など、ユーザにとって最も使いやすいギア比への自動的な位置合わせ
●制動下でのエネルギー回復
【0038】
特定された重要な要素を解決するために選択された技術的アーキテクチャから、より優れた性能を達成するために高回転数で電動モータを運転すること、及び、迅速な応答のためにペダル漕ぎを増大させることなど、機能的な改善のための他の可能な要因も浮かび上がる。
【0039】
本発明のさらなる目的は、形状及び幾何学形状の修正に頼る必要なく(互換性)、現在のフレームにシステムを装着できるようにする解決策を利用できるようにすることである。したがって、特に、eバイク、又は、三輪車若しくは四輪車などの現在のペダル作動式電動車両向けに修正キットが用意される。
【0040】
さらに、内部ギアボックス/ペダルの使用により、システムを衝撃又は泥(ぬかるみ、水、葉、塵)にさらすことはなく、ユーザは、外部変速機ピニオン・システムがないことにより、潜在的に危険な地形で自由に走れるようになる。
【0041】
変速機がない直接最終比の存在は、従来のチェーン又は保守不要(無潤滑)歯付きベルトのどちらか一方を使用する可能性を示している。
【0042】
最後に、本発明に従って、作動システムは、等しく簡単及び費用効果が高いのみならず構造に実質的な修正を必要としない様式で、市場ニーズ、並びに小さいサイズ、寸法に適合する製造コストを特徴とし、eバイク、及び、知られているタイプの三輪車又は四輪車などの電動車両に適用可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0043】
特に、本明細書に記述されている解決策は、電動モータと、遊星デバイス、及び、ペダルに対して自立的に作動する可変速度ドライブを有するトランスミッションとを備えるペダル作動式電動車両向けの作動及びトラクション・システムであって、可変速度ドライブが、ギア比を離散化するアクチュエータと、2つの拡張可能プーリとを備える、作動及びトラクション・システムに関する。
【0044】
作動及びトラクション・システムは、センサ管理を伴う制御ソフトウェアを作動させるためのデバイスが設けられた統合基板をさらに備え、前記統合基板は、センサから受信された信号に基づいて前記電動モータを制御するように適合されている。
【0045】
作動及びトラクション・システムは、ペダル又は電動モータからの動きをペダル作動式電動車両の車輪に伝達するためのピニオンをさらに含む。ピニオン及び可変速度ドライブは、ペダル軸上に同軸に位置付けられており、動き伝達が、遊星デバイス及び可変速度ドライブを備える運動学的チェーンを介して、ペダルと、ペダル作動式電動車両の車輪との間で行われる。
【0046】
電動モータとピニオンとの間の動きの伝達は、高速で回転する電動モータと、電動車両の車輪に対して動き伝達チェーンを作動させるピニオンとの間の所望の変換比を取得するように適合されたギアのカスケードを介して行われる。
【0047】
システムは、電動モータ、トランスミッション、及び可変速度ドライブを収容するためのケーシングをさらに備える。最後に、ピニオン・ギアは、ケーシングの外側に配置されている。
【0048】
本発明は、遊星減速機、2つの拡張可能プーリ、及び連続可変減速機を備える運動学的チェーンを介した動き伝達に関係する解決策によって、上記の目的を達成すること、及び、特に、機能的及び信頼性要件を満たすこと、ができるという一般的な考慮に基づく。
【0049】
この解決策は、電動バイク、及び、三輪車又は四輪車などのペダル作動式電動車両に適用される。
【0050】
以後、本発明は、図面に示される実現可能な実施例の以下の詳細な説明によってさらに説明されることとなり、本発明の対応する若しくは同等の特徴、及び/又は構成部品は、同じ参照番号によって特定される。本発明は、下記で説明され、添付図面において示される実施例に限定されるものではなく、対照的に、下記で説明され、添付図面において示される実施例に対する全ての変形及び/又は変更は、当業者には明らかで、すぐに思いつくものであり、本発明の範囲内に含まれることが留意されなければならない。
【0051】
本明細書で開示されるシステムの実施例は、非限定的な実例によって示された、図表によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明による、ペダル作動式電動車両向けの作動システムの2つの斜視図である。
図2】本発明による、保護ケーシングの部分分解図である。
図3図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの組立図である。
図4図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの組立図である。
図5図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図6図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図7図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図8図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図9図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図10図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図11図1のペダル作動式電動車両向けの作動システムの一部の分解及び部分組立図である。
図12】組み立てられた状態であるが保護ケーシングがない、本発明によるトラクション及び作動システムを示す図である。
図13】拡張可能プーリ機構を特に強調した、組み立てられた状態の本発明によるトラクション及び作動システムの上面図である。
図14】全体の寸法が示されている、本発明によるトラクション及び作動システムの略図化した側面、正面、及び上面図である。
図15】作動時のモータを備える、動きの伝達を特に強調した、組み立てられた状態の本発明によるトラクション及び作動システムの斜視図である。
図16】ペダル漕ぎ中の、動きの伝達を特に強調した、組み立てられた状態の本発明によるトラクション及び作動システムの上斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、特に、電動自転車又はeバイクの分野において適用される。さらに、用途は、三輪車又は四輪車などのペダル作動式電動車両の分野にある。
【0054】
本明細書で提案される解決策は、eバイクに関する用途のために作成されたものであったが、ペダル作動式電動車両、すなわち、三輪車又は四輪車の分野などの他の分野に移すこともできる。
【0055】
動作特性、性能、及び効率の改善のためのいくつかの介入ポイントは、現在のeバイクの特質の解析から浮かび上がる。
【0056】
最初に、注意深い解析及び集中した研究の後、離散的ではなく連続的な変動を選択するほうが適切であると結論付けられた。
【0057】
さらに、例えば、始動時、又は車両を使用している間の特殊な状況下での、最も使いやすいギア比への自動的な位置合わせを有することができることが好ましい。
【0058】
最後に、制動エネルギー回復も同様に有することができれば有利である。
【0059】
これらが、本明細書で提案される解決策が特に達成することを目標とする3つの主目的である。
【0060】
特定された重要な要素を解決するために選択された技術的アーキテクチャから、機能的な改善のための他の可能な要因も浮かび上がる。
【0061】
特に、より優れた効率を達成するために高回転数で電動モータを運転することと、迅速な応答を達成するためのペダル漕ぎ増加比とに対して措置をとることができる。
【0062】
ここで、本発明によるペダル作動式電動車両向けの作動システムの動作原理について説明することとする。
【0063】
離散的ではなく連続的な変動を達成する必要性が、自然な結果として、一連の離散的な比を備えるギアボックスの代わりに可変速度ドライブを使用する必要性を有するように感じられる。
【0064】
ペダル漕ぎとは独立して作動する可変速度ドライブを用いることにより、始動での最も使いやすいギア比への自動的な位置合わせを達成することもできる。これにより、始動時の問題が解決され、ユーザが最適以下の労力しかかけないこと及び/又は、電動モータによる過度な電力消費を有することが回避される。
【0065】
制動下でのエネルギー回復に関し、ペダルからモータ及び車輪をデカップリングする、すなわち、惰力走行ステップ時にペダルからモータ及び車輪の連結を分離する、デバイスを有する必要がある。これにより、eバイク又はペダル作動式電動車両を操作するためのマッスル・ワークの使用を必要とせずに、車両が前進しているとき(例えば、下り坂を進んでいる又は減速しているとき)、ペダルを停止させることができるようになる。
【0066】
前述の条件は、本発明によるペダル作動式電動車両向けの作動システムのアーキテクチャ及び動作原理を規定し、特に、
-自動的に作動する可変速度ドライブの使用と、
-エネルギー回復が可能な条件下で、ペダルシステムがモータ-車輪システムから連結解除又はデカップリングされることとを規定する。
【0067】
システムの動作を調整するこれらの固有の技術要素に加えて、最大限の重量抑制と、ペダルの通常の位置合わせによって決まる横寸法とを伴う解決策を可能にする、用途の独自性もある。特に、快適なペダル漕ぎ、及び、ペダル漕ぎ中の正しい脚位置を保証するために、ペダル軸の最大幅に対する制約がある。このような様式で、行うべきいくらかの修正があるが、標準の構造及びフレームを使用することができる。
【0068】
ここで、本明細書で提案されている解決策をもたらしたステップについて、プロジェクトの進展の詳細と共に説明することとする。
【0069】
最初の活動は、可能な代案を評価することと、それらのうちのそれぞれの中にある潜在的な、解決すべき問題、又は、さらに探査すべき要素を解析することと、からなる。
【0070】
可変速度ドライブの設計及び使用に関する文献調査により、ペダル回転数の増加を実施するという決定がもたらされた。何故なら、可変速度ドライブのプーリ・ディスクの相対運動が、その回転速度が高くなればなるほど速く行われるからである。増加した回転速度のさらなる利点は、可変速度ドライブによって伝達される瞬間トルク値の減少である。この回転速度の増加は、増速機として機能する遊星デバイスの使用によって達成された。可変速度ドライブ・プーリの位置の制御は、ギア減速を通じて動作する小型電動モータからなるアクチュエータによって達成される。
【0071】
解析は、高回転数で動作できるようにするために、電動モータの可変速度ドライブとの連結の適切なポイントの運動学について探求することによって、引き続き行った。
【0072】
高速動作の技術的解決策により、可変速度ドライブとモータの両方のサイズの低減が可能になり、モータは最良の効率条件下で動作することができるようになった。これにより、全体としてシステムの寸法及び重量を低減することができた。
【0073】
解析及び開発のさらなる要素は、トラクションのためにマッスル動力を必要とせず、車両減速エネルギーが回復され得る条件の下で、車輪-可変速度ドライブモータ・アセンブリからペダルを連結解除するシステムであった。特に、デバイスは、ペダル・ボックスを車輪-可変速度ドライブモータ・アセンブリからデカップリングするために導入された。詳細には、そのようなデカップリング・デバイスは、ペダルを車輪-可変速度ドライブモータ・アセンブリからデカップリングするために配置されたフリー・ホイールである。
【0074】
本明細書で実施され、提案された解決策では、自転車の車輪が最終トランスミッションを通じてモータを駆動し、以て、実現可能なエネルギー回復をもたらす。ペダルは、ペダルに連結されたトランスミッション・システムからモータを連結解除するフリー・ホイール機構の使用によって静止したまま保たれる。
【0075】
モータの選択は、トルク/回転数特性に基づくものであったが、さらに、モータが意図される特定の用途の重量及び寸法要件を満たすことができる用途と一致するサイズであるとの評価に基づくものでもあった。
【0076】
デバイスを自給自足にさせて、車両との電気接続を最小限にするために、可変速度ドライブ作動及びモータ制御SWを備える電子基板並びに関連するセンサ技術が内部に装着されるように計画された。さらに、動作中に発生する熱消散容量に従って抑制ケーシングもサイズ設定及び設計された。
【0077】
ユニットの全体的なアーキテクチャの規定を可能にするさまざまな構成要素のおおまかなサイズ設定の後、最終検証及び関連する計算、シミュレーション、並びに強度及びノイズ検証へと続き、最終設計及び図面へと進んだ。
【0078】
特に、本発明は、遊星減速機と、eバイク又はペダル作動式電動車両で使用することができるトラクション・モータに可変速度ドライブを適合させるためのアクチュエータを備える可変速度ドライブとの研究及び設計を必要とした。詳細には、モータ/ピニオン連結もまた、フリー・ホイールによって動作をデカップリングさせるために研究及び設計された。加えて、熱消散のためのケーシングもまた、研究及び設計された。
【0079】
最後に、センサ管理と一体化された制御ソフトウェアの実装が開発された。
【0080】
次に、提案された目的に従って研究され、開発されたシステム全体について説明することとする。
【0081】
本明細書で提案されている解決策は、ペダルアシスト式自転車又はペダル作動式電動車両向けのギアボックスに関する。特に、ギアボックスは、ペダル軸上に位置付けられ、ハウジング内に収容された(さもなければ減速機は衝撃にさらされることになる)連続可変減速機を備える。
【0082】
より詳細には、解決策は、減速機がペダル軸上に位置付けられ、ギア比を離散化するアクチュエータがある、拡張可能プーリを備える減速機の使用を伴う。最後に、本発明によるシステムは、例えばフリー・ホイールなどのデカップリング・デバイスによって、制動中のエネルギー回復を可能にする。
【0083】
図1は、据え付けられた状態のペダル作動式電動車両向けの作動システムの2つの斜視図を示している。ペダル作動式電動車両向けの作動システムは、モータ及びギアボックスを備える。
【0084】
ペダル作動式電動車両向けの右手作動カバー又はハウジングは、参照番号1によって図面内に示されており、一方、ペダル作動式電動車両向けの左手作動カバー又はハウジングは、参照番号7によって図の中に示されている。2つのハウジング、右1及び左7の結合により、ペダル作動式電動車両向けのモータ及びギアボックスを収容するための保護ケーシングが得られる。ケーシングは、作動システムを収容するように設計された構造を有する。
【0085】
参照番号1a及び7aは、2つのハウジング・シェルを連結して一体にし、構造ケーシングを作成するためのみならず、自転車フレームにケーシングを取り付けるための取付けポイントを示している。もちろん、ケーシングも、作動システムのための保護機能を有する。左側にはカバー1、参照番号2はストップ・リングを、参照番号3はボール・ベアリングを示し、対称に、右カバー側7にストップ・リング8、及びボール・ベアリング9がある。これらの要素はペダル軸を支持するために使用され、マッスル又は電動モータ動作中のペダルの回転を可能にする。
【0086】
部分分解図を示す図2を参照すると、いくつかの締め具もまた見ることができ、いくつかの締め具により、2つのカバー、右1及び左7を接続して一体に、及び固定することができる。締め具は、特に、固定ブッシュ4、及び、参照番号5、6、10で示される固定ねじを含む。
【0087】
図1はまた、ペダル軸Aを示している。
【0088】
最後に、参照番号1bは、ペダル作動式電動車両向けの作動システムによって発生する熱をより十分に消散させるための、右カバー1上に配設された冷却フィンを示している。
【0089】
したがって、ペダル作動式電動車両作動システムの全ての要素は、2つのカバー、右1及び左7の内部に収容されている。
【0090】
特に、図3及び4を参照すると、電動モータすなわちモータ30と、遊星減速機102、アクチュエータ106、並びに2つの拡張可能プーリ108及び110を有する可変速度ドライブ104とを有するトランスミッションがある。ペダル作動式電動車両作動システムは、センサ管理を伴う制御ソフトウェアを作動させるためのデバイスを備える統合基板112のための支持体33をさらに備える。
【0091】
遊星デバイスは、入力速度と出力速度との間に導入されるギア比に応じて減速機又は増速機として見ることができる。
【0092】
特に、遊星減速機及び可変速度ドライブの効果によって、デバイスは、ユーザが最初の発進を克服するのを助けることをできるようにする始動トルクをもたらすことができ、デバイスは、平坦コースにおいて安定したギア比を維持することができる。
【0093】
電動モータ30は、支持プレート32に据え付けられ、支持プレート32は、ねじ31(図6参照)によってペダル作動式電動車両の残りの作動システムに連結される。統合基板112を支持するプレート33は、支持プレート32の背部に据え付けられる。電動モータ30は、モータ・シャフト30aに据え付けられたギアホイール29を有する。
【0094】
次に、図7及び8を参照して減速機又は遊星増速機102を説明することとする。
【0095】
適切な安全係数を用いてペダルからの負荷の値が規定されるやいなや、鋼材でできている遊星機構の特性及びその設計が計算された。
【0096】
特に、作動及びトラクション・システムは、遊星機構102を備える一次トランスミッションと、ピニオン35を備える最終トランスミッションとを含む。
【0097】
図8では、参照番号65が、ペダル軸A上に位置付けられたシャフトを示している。遊星機構102を形成するいくつかの要素は、ペダル軸Aと同軸のシャフト65上に据え付けられる。
【0098】
特に、サテライト・キャリアを共に形成する右プラネタリ・フランジ60及び左プラネタリ・フランジ62がある。左サン・ギア58、ローラ・ベアリング61、及び3つの外側歯付きサテライト・ギア55が、2つのプラネタリ・フランジ60と62との間に挿置される。ペダル軸旋回リング59が、左プラネタリ・フランジ62と左サン・ギア58との間に配設される。さらに、プラネタリ・フランジ60及び62上のあらかじめ穴開けされた穴と協働し、ねじ56によって固定されるように適合された、いくつかの芯出しブッシュ63もある。
【0099】
さらに、参照番号54及び57によって示されているいくつかのストップ・リングもある。最後に、固定された内側歯付きクラウン・ギア64がある。固定クラウン・ギア64は、サテライト・ギア55の歯付き外側形状と協働することが可能な歯付き内側形状を設けている。
【0100】
固定クラウン・ギア64は、サテライト・ギア55とかみ合うことにより、ギア比を規定することができる。
【0101】
遊星減速機102は、入力シャフトと出力シャフトとの間の速度比を交互に入れ替えることができる機械的部材である。動きに対する入力としてのサン・ギア58は、歯付きリング・ギア64の内部で回転する3つのサテライト・ギア55を回転させる。結果として、サテライト・ホルダ60、62に据え付けられているサテライト・ギア自体55の軸は、外周に沿って移動する。したがって、サテライト・キャリア60、62は、サン・ギア58に対して減少した速度で回転する。
【0102】
次に、アクチュエータ及び拡張可能プーリの機構を、図9を参照して説明することとする。特に、2つの拡張可能プーリ、一次110及び二次108があり、一次プーリ110は、ペダル又はモータに連結されたドリブン・プーリであり、二次プーリ108は、パッシブ・プーリである。
【0103】
さらに、2つの拡張可能プーリ、一次110及び二次108は、拡張可能プーリを規定するように共に機能する、1つの固定の、及び、1つの可動な2つの要素を備える。
【0104】
アクチュエータ106は、メイン・ボディ106c及びフォーク106bによって可動側一次プーリ18に連結されたアクチュエータ本体24を備える。
【0105】
メイン・ボディ106cは、前記可動側一次プーリ18の一部分を収容するように適合された貫通穴106dを備える。
【0106】
フォーク106bからメイン・ボディ106cの反対端には、ボックス上のレバーの枢動ピンとして働く、ボックスcに拘束されたピンにヒンジ連結されたレバー要素106aがある。
【0107】
一次プーリ110は、固定側一次プーリ20と協働する可動側一次プーリ18を備える。このように、一次ドリブン・プーリ110は、拡張可能プーリである。歯付きベルト19は、参照番号19で示されており、ドリブン一次プーリ110からの運動をパッシブ二次プーリ108に伝えるために使用される。対称に、二次プーリ108は、固定側二次プーリ17と協働する可動側二次プーリ16を備える。
【0108】
参照番号21は一次プーリ・スプリングを示しており、参照番号22は弾性ストップ・リング又はサークリップであり、参照番号23はスプリング・ケーシングである。
【0109】
再度、図9を参照すると、フリー・ホイール11、二次ドリブン・プーリ108の支持要素12、及びローラ・ベアリング13がある。
【0110】
参照番号15は、一次プーリ17及び20上にあるボールを示している。これらのボール15は、対応する溝16a及び18aと協働するように適合されており、溝16a及び18aは、それぞれ、16上の可動側二次プーリの内側部分及び可動側一次プーリ18の内側部分に作られている。
【0111】
参照番号106bは、ピンを有するアクチュエータ・フォークを示しており、フォーク作動システムは、リニア・モータと一体化される。
【0112】
図10は、ペダル軸Aからホイールへの動きの伝達を実現する2つの外側歯付きホイール49を示している。参照番号38は、ペダル軸A上のホイール支持体を示しており、参照53は、デカップリング・デバイスを、例えば、フリー・ホイール43をその内部に収容するように適合された二次プーリ・ホイール支持体を示している。フリー・ホイール43は、トラクション・エネルギーが必要とされないとき(制動若しくは下り坂時、又は減速中など)でも、ペダルが常に動かないようにする。特に、デカップリング・デバイスがあることによって、車輪が回転し、ペダルが静止したまま自転車を動かすことができる。
【0113】
次に、図11を参照して、最終トランスミッションを形成する要素について説明することとする。最終トランスミッションはギアのカスケードを備え、ペダル又はモータからの動きの自転車の車輪への伝達を可能にする。
【0114】
参照番号52は、ロック・リング(例えば、Boschロック・リング)を示しており、溝付きピニオン35はロック・リングに据え付けられる。ピニオン35は、自転車の車輪を作動させるチェーンに係合する。ペダル、チェーン、車輪、及びバイク・フレームは、図面内の説明を容易にするために例示されていない。
【0115】
ピニオン・スペーサ47は、リング・ナット52に対してピニオン35の反対側にある。ピニオン・スペーサ47は、ストップ・リング50によって適位置に保持されるワッシャ40に連結されるCortecoシール・リング36に連結される。参照番号44は、ピニオン・キャリア51に収容されたローラ・ベアリングを示している。参照番号34は、ピニオン・キャリア51上に配設された、いくつかの一次プーリ・ボールを示している。さらに、ピニオン・キャリア51とペダル軸38上のホイール支持体との間に位置付けられた弾性ストップ・リング又はサークリップ39がある。
【0116】
トランスミッションは、外側歯付き型の、ローラ・ベアリング41上に据え付けられた2つの中間ホイール42を設けている。中間歯付きホイール42は、2つのホイール49と相互作用することを意図するものである。
【0117】
要素37及び45は、中間ギア42のための支持体を示している。要素41、42、45、及び37は、ねじ48及び外側ピン46によって一体に保持される。
【0118】
上述で理解されるように、ペダル漕ぎに対して自立的に動作するアクチュエータを備える可変速度ドライブにより、始動での最も使いやすいギア比に対する自動的な位置合わせを有することへの需要に応えることもできるようになる。
【0119】
このように、通常の遠心作動式アクチュエータを有する代わりに、電動モータによるモータ作動を備えるベルト作動式可変速度ドライブが設計された。可変速度ドライブ比の変化量の大きさ設定は、実現可能な解決策を示す以下の表に要約されている離散ギアを用いて得られた変化量の評価に基づく。
【表1】
【0120】
さらに、以下の表は、3つのピニオン、22、32、及び44、並びに9つのピニオン、11、12、14、16、18、21、24、28、及び32用いて取得することができる異なる比を示している。通常、クラウンはペダル軸上の前方にあり、ピニオンは後輪軸上の後方にある。
【表2】
【0121】
所望のギア比108を達成するためのドリブン・プーリ110及びパッシブ・プーリ108の正しい位置合わせは、正しい位置合わせが常に達成されるように、可逆的に作動をし、いくつかの回転数に制御可能である電動モータ30によって達成される。モータ30は、重量、サイズ、及び信頼性の特性に特別な注意を払って現在の市販製品から選択されたが、さらに、信頼性は、使用時間及び要求性能の両方の観点から、電動モータ30の潜在的な過少利用を通じて達成された。
【0122】
適切なサイズ設定のみならず、耐油性及び耐熱性、並びに必須の静電気防止特性があることにも基づいて選択された市販製品は、ドライブ・ベルト19に使用された。
【0123】
図12は、組み立てられた状態であるものの、保護ケーシングがない状態の本発明によるトラクション及び作動システムを示している。
【0124】
好ましい実施例では、回転数1500から4000の間、及び120N/mのトルクの最適な性能を提供する永久磁石タイプの電動トラクション・モータ30(図13参照)が、専門のサプライヤから入手可能になっている。
【0125】
図13Aは、ドリブン一次プーリ110が最大開度状態にあり、パッシブ二次プーリ108が最小開度状態にある状態を示している。ドリブン一次プーリ110が最大開度状態にあるとき、可動側一次プーリ18は、固定側一次プーリ20からその最大距離にある。同様に、パッシブ二次プーリ108が最小開度状態にあるとき、可動側二次プーリ16は、固定側二次プーリ17からその最小距離にある。この状態では、ベルト19は、一次プーリ110におけるその最も低い位置にあり、二次プーリ108におけるその最も高い位置にある。
【0126】
一方、図13Bは、一次プーリ110が最小開度状態にあり、二次プーリ108が最大開度状態にある状態を示している。一次プーリ110が最小開度状態にあるとき、可動側一次プーリ18は、固定側一次プーリ20からその最小距離にある。同様に、二次プーリ108が最大開度状態にあるとき、可動側二次プーリ16は、固定側二次プーリ17からその最大距離にある。この状態では、ベルト19は、一次プーリ110におけるその最も高い位置にあり、二次プーリ108におけるその最も低い位置にある。
【0127】
図14は、作動及びトラクション・システムの最大全体寸法を示している。特に、最大寸法は、高さが174cmであり、最大寸法は、幅が150cmであり、最大寸法は、長さが205cmである。これらの寸法は、非限定的な実例として示されており、さまざまな構造的な制約、並びに、位置及びペダル漕ぎの適正な設定のための一般的な指示、を考慮して特定された。
【0128】
図15及び図16を参照すると、動作状態における作動及びトラクション・システムが示されている。矢印は、作動及びトラクション・システムのさまざまな要素の回転の方向を示している。
【0129】
電動モータ30のピニオン35との連結は、高速で回転するモータ30と、ペダル作動式電動車両のトランスミッション・チェーンを作動させるピニオン35との間の所望のギア比を取得するように適合されたギアのカスケードを介してなされる。
【0130】
ペダル漕ぎ中、遊星増速機102は、ペダル軸Aと同軸の、ベルトがそれによって駆動されるドリブン一次プーリ110を作動させる。ベルト19は、ギアのカスケードによって、最終ドライブ(ホイールでドライブ・チェーンとかみ合うピニオン35)に作用するパッシブ二次プーリ108に動きを伝達し、二次プーリ108に連結されたギアもまた、電動モータ30がピン止めされているギアとかみ合い、それにより、要求トルクに従ってペダル漕ぎをアシストする。モータ30は、ペダルを踏むステップにおいて常にアクティブである。
【0131】
アクティブなペダル漕ぎ中、ペダル軸Aは、ケーシングに収容されているクラウン・ギア64内で係合するサテライト・ギア55によってサテライト・キャリア60/62を作動させるため、遊星増速機に連結されており、サテライト・キャリア60/62はサン・ギア58を作動させる。サン・ギア58は、フリー・ホイール11によって、アクティブな回転を一次プーリ110に伝達する。
【0132】
ベルト19によって一次プーリ110は、フリー・ホイール43によってギア49に連結されている二次プーリ108を駆動する。フリー・ホイール43は、動きが二次プーリ108(16/17)から来ると、ギア49を二次プーリ108にロックする。
【0133】
ギア49は、ギア29によってモータ30に連結され、ギア42によって同等ギア49に連結され、同等ギア49は、ピニオン35に連結されている。
【0134】
したがって、アクティブなペダル漕ぎの場合、労力が、サテライト・ギア55の伝達によってペダル軸Aからピニオン35>サン・ギア58>一次プーリ110>二次プーリ108>ギア49>ギア42>ギア49>ピニオン35に伝達される。
【0135】
ペダル漕ぎをサポートするためのギア49に連結されているモータ30の動作は、管理SW及びユーザによって選択された設定に依存する。
【0136】
惰力走行ステップ中、動きが車輪から来る場合にペダルが静止しているとき、ピニオン35は、設定による多少の回生機能を伴う固定したリンク機構の効果によって、ギア49>42>49>29(モータ)を駆動する。デカップリング・デバイス、すなわち、フリー・ホイール43があるおかげで、二次プーリはフィードされず、したがって、静止したままとなり、一次プーリ、サン・ギア、サテライト・ギア、及びペダル軸も同様に静止したままとなる。
【0137】
逆方向のペダル漕ぎのケースでは(何らかの理由のために後ろ向きにペダルを操作しなければならないとき)、ペダル軸が一次プーリに固定的に連結されていた場合、プーリ・アセンブリ全体は動き始められることになる。ペダル軸と一次プーリ110との間にフリー・ホイール11があることにより、回転のこの方向への惰力走行もなくなる。
【0138】
動作中、モータ30の効率がどれだけ高くとも、熱はモータ30自体と電子基板112との両方によって作り出される。それを消散させるために、コンテナ・ケーシングの高い熱伝導特性を考慮して、コンテナ・ケーシングには、熱消散を増大させる一連のフィン1bが設けられている。電子基板112は、高伝導マット(図示せず)によって、コンテナの表面に接触した状態で配置されている。
【0139】
ピニオンに連結されたギアのカスケードから取得されるモータの回転によってなされる、制動時の運動エネルギー回復のシステムは、バイクの速度からエネルギーを回復し、電気エネルギーに変換することができる。このエネルギーにより電池は再充電され、したがってペダル補助用に再び使用できるようになる。
【0140】
システムに一体化されたセンサは、
●速度センサは、電子基板112に直接取り付けられており、近くで回転しているギアからの信号を受け取り、
●ペダル軸の近傍に取り付けられているトルク・センサは、ペダル軸自体によって制御される遊星ギアのサン・ギアを介して信号を受け取る、ものである。
【0141】
管理SWを含む電子基板112は、熱伝導マットを敷くことによって促進されるその冷却を容易にするために、ケーシング1の外部壁と接触状態で配設される。デバイス管理SWの開発は、さまざまなプロジェクトの対象である。
【0142】
もちろん、解決策は、電動三輪車又は四輪車にも適用することができる。
【0143】
本発明は、図面に示される本発明の実施例の詳細な説明によって上記で説明されたが、本発明は明らかに、上記で説明し、図面で示した実施例に限定されるものではなく、対照的に、添付図面で説明され、示された実施例に対する全ての変形及び/又は変更は、本発明の目的に含まれ、当業者には明らかであり、且つ直接の関係があるであろう。
【0144】
したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】