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特開2024-56153制御装置、支援システム、リーン車両、及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056153
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】制御装置、支援システム、リーン車両、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20240416BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240416BHJP
   B62J 45/42 20200101ALI20240416BHJP
   B62J 45/414 20200101ALI20240416BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W50/14
B62J45/42
B62J45/414
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162865
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】萩原 悠太
(72)【発明者】
【氏名】岸野 沙耶
(72)【発明者】
【氏名】トウ カコウ
(72)【発明者】
【氏名】福増 悠貴
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241BA60
3D241BB27
3D241BC04
3D241BC05
3D241CA12
3D241CC01
3D241CC08
3D241DB48Z
3D241DD02Z
(57)【要約】
【課題】リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御装置であって、運転手の運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することが可能な制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る制御装置は、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御装置であって、前記リーン車両の着座部にかかる前記運転手の荷重の重心の位置情報である重心位置情報と、前記運転手が装着したヘルメットの位置の情報であるヘルメット位置情報と、を取得する情報取得部と、前記重心位置情報及び前記ヘルメット位置情報に基づいて、前記運転手の運転中の体勢情報を取得する体勢認識部と、前記体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、前記支援動作を実行する実行部と、を備えている。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両(100)の運転手(200)の支援動作を実行する制御装置(10)であって、
前記リーン車両(100)の着座部(105)にかかる前記運転手(200)の荷重の重心(C)の位置情報である重心位置情報と、前記運転手(200)が装着したヘルメット(210)の位置(P)の情報であるヘルメット位置情報と、を取得する情報取得部(11)と、
前記重心位置情報及び前記ヘルメット位置情報に基づいて、前記運転手(200)の運転中の体勢情報を取得する体勢認識部(12)と、
前記体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、前記支援動作を実行する実行部(13)と、
を備えた制御装置(10)。
【請求項2】
前記情報取得部(11)は、さらに、前記ヘルメット(210)の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報を取得する構成であり、
前記体勢認識部(12)は、さらに、前記ヘルメット姿勢情報に基づいて、前記体勢情報を取得する構成である
請求項1に記載の制御装置(10)。
【請求項3】
前記情報取得部(11)は、さらに、カメラ(20)によって前記運転手(200)を撮影した画像データを取得する構成であり、
前記体勢認識部(12)は、さらに、前記画像データに基づいて、前記体勢情報を取得する構成である
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項4】
前記情報取得部(11)は、さらに、前記リーン車両(100)の姿勢の情報である車両姿勢情報を取得する構成であり、
前記実行部(13)は、前記車両姿勢情報に応じて、前記体勢情報と比較される前記参照情報を異ならせる構成である
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項5】
前記情報取得部(11)は、さらに、前記リーン車両(100)の車速情報を取得する構成であり、
前記実行部(13)は、前記車速情報に応じて、前記体勢情報と比較される前記参照情報を異ならせる構成である
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項6】
前記情報取得部(11)は、さらに、前記リーン車両(100)の車速情報を取得する構成であり、
前記実行部(13)は、さらに、前記車速情報に基づいて、前記支援動作を実行する構成である
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項7】
前記情報取得部(11)は、さらに、前記リーン車両(100)の周囲環境情報を取得する構成であり、
前記実行部(13)は、前記周囲環境情報に応じて、前記体勢情報と比較される前記参照情報を異ならせる構成である
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項8】
前記情報取得部(11)は、さらに、前記リーン車両(100)の周囲環境情報を取得する構成であり、
前記実行部(13)は、さらに、前記周囲環境情報に基づいて、前記支援動作を実行する構成である
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項9】
前記支援動作は、報知装置(112)に制御指令を出力する報知動作を含み、
前記実行部(13)は、前記比較結果に応じて、前記制御指令を異ならせる
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項10】
前記支援動作は、制動装置(120)及び/又は駆動装置(130)に制御指令を出力する自動加減速動作を含み、
前記実行部(13)は、前記比較結果に応じて、前記制御指令を異ならせる
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)と、
前記リーン車両(100)の前記着座部(105)に設けられた荷重検出装置(2)と、
前記ヘルメット(210)に設けられた慣性計測装置(4)と、
を備え、
前記情報取得部(11)は、前記荷重検出装置(2)の検出結果に基づいて、前記重心位置情報を取得し、前記慣性計測装置(4)の検出結果に基づいて、前記ヘルメット位置情報を取得する構成である
支援システム(1)。
【請求項12】
請求項1又は請求項2に記載の制御装置(10)を備えている
リーン車両(100)。
【請求項13】
リーン車両(100)の運転手(200)の支援動作を実行する制御方法であって、
前記リーン車両(100)の着座部(105)にかかる前記運転手(200)の荷重の重心(C)の位置情報である重心位置情報と、前記運転手(200)が装着したヘルメット(210)の位置(P)の情報であるヘルメット位置情報と、を取得する情報取得ステップ(S1)と、
前記重心位置情報及び前記ヘルメット位置情報に基づいて、前記運転手(200)の運転中の体勢情報を取得する体勢認識ステップ(S3)と、
前記体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、前記支援動作を実行する実行ステップ(S4)と、
を備えた制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御装置、該制御装置を備えた支援システム、該制御装置を備えたリーン車両、及び、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の一種として、旋回する際に車体が旋回方向に傾斜するリーン車両が知られている(特開2021-20645号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-20645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、リーン車両は、旋回する際に車体が旋回方向に傾斜する。このため、リーン車両では、運転手の運転中の体勢が車両挙動に大きく影響する。そこで、従来、リーン車両の運転手に対して、運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することが望ましいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御装置であって、運転手の運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することが可能な制御装置を提供することを、第1の目的とする。また、本発明は、このような制御装置を備えた支援システムを提供することを、第2の目的とする。また、本発明は、このような制御装置を備えたリーン車両を提供することを、第3の目的とする。また、本発明は、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御方法であって、運転手の運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することが可能な制御方法を提供することを、第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御装置であって、前記リーン車両の着座部にかかる前記運転手の荷重の重心の位置情報である重心位置情報と、前記運転手が装着したヘルメットの位置の情報であるヘルメット位置情報と、を取得する情報取得部と、前記重心位置情報及び前記ヘルメット位置情報に基づいて、前記運転手の運転中の体勢情報を取得する体勢認識部と、前記体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、前記支援動作を実行する実行部と、を備えている。
【0007】
また、本発明に係る支援システムは、本発明に係る制御装置を備えている。
【0008】
また、本発明に係るリーン車両は、本発明に係る制御装置を備えている。
【0009】
また、本発明に係る制御方法は、リーン車両の運転手の支援動作を実行する制御方法であって、前記リーン車両の着座部にかかる前記運転手の荷重の重心の位置情報である重心位置情報と、前記運転手が装着したヘルメットの位置の情報であるヘルメット位置情報と、を取得する情報取得ステップと、前記重心位置情報及び前記ヘルメット位置情報に基づいて、前記運転手の運転中の体勢情報を取得する体勢認識ステップと、前記体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、前記支援動作を実行する実行ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、リーン車両の運転手の運転中の体勢情報を取得し、該体勢情報に基づいて、リーン車両の運転手の支援動作を実行する。このため、本発明は、リーン車両の運転手の運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す側面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る支援システムの荷重検出装置を説明するための図であり、リーン車両の着座部を示す平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る制御装置を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す背面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す背面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す背面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る制御装置が支援動作を実行する際の制御方法を示すフロー図である。
図8】本発明の実施の形態に係る制御装置の変形例が搭載されたリーン車両を示す側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る制御装置の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態において、本発明に係る制御装置、支援システム、リーン車両、及び制御方法の一例について、図面を用いて説明する。
【0013】
なお、以下で説明する構成及び動作等は本発明の一例であり、本発明は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0014】
例えば、以下では、リーン車両として自動二輪車を例示している。しかしながら、リーン車両とは、旋回する際に車体が旋回方向に傾斜する車両全般を指し示すものである。このため、リーン車両は自動二輪車に限定されない。例えば、リーン車両には、旋回する際に車体が旋回方向に傾斜するモータサイクル(自動二輪車、旋回する際に車体が旋回方向に傾斜する自動三輪車)、及び自転車等が含まれる。また、旋回する際に車体が旋回方向に傾斜するモータサイクルは、エンジンを駆動源とするものであってもよく、モータを駆動源とするものであってもよく、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車は、ペダルに付与されるライダー運転手の踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0015】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は、同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0016】
実施の形態.
<リーン車両、及び、該リーン車両に搭載された支援システムの構成>
本実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す側面図である。
【0017】
例えば自動二輪車であるリーン車両100は、胴体101と、胴体101に旋回自在に保持されているハンドル102と、胴体101にハンドル102と共に旋回自在に保持されている前輪103と、胴体101に回動自在に保持されている後輪104とを備えている。また、胴体101は、リーン車両100の運転手200が着座する着座部105を備えている。
【0018】
また、リーン車両100は、該リーン車両100に駆動力を発生させる駆動装置130を備えている。駆動装置130は、リーン車両100の駆動源と、該駆動源の出力を制御する駆動源制御装置132とを備えている。本実施の形態では、リーン車両100は、駆動源として、エンジン131を備えている。駆動源制御装置132は、エンジン131の回転数を制御する等により、エンジン131の出力を制御する。
【0019】
また、リーン車両100は、該リーン車両100に制動力を発生させる制動装置120を備えている。制動装置120は、操作部の操作量に応じた制動力をリーン車両100に発生させる制動機構を備えている。本実施の形態では、制動装置120は、制動機構として、前輪制動機構121及び後輪制動機構122を備えている。前輪制動機構121は、ハンドル102に設けられている操作部の一例であるブレーキレバー106が操作された際、該ブレーキレバー106の操作量に応じた制動力を前輪103に発生させるものである。後輪制動機構122は、胴体101に設けられている操作部の一例であるブレーキペダル107が操作された際、該ブレーキペダル107の操作量に応じた制動力を後輪104に発生させるものである。また、制動装置120は、操作部とは独立して制動機構で発生させる制動力の大きさを制御するため、制動機構で発生させる制動力の大きさを制御する制動機構制御装置123を備えている。
【0020】
このリーン車両100には、運転手200の支援動作を実行する支援システム1の少なくとも一部が搭載されている。具体的には、支援システム1は、リーン車両100に搭載された荷重検出装置2及び制御装置10と、運転手200のヘルメット210に設けられた慣性計測装置4とを備えている。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態に係る支援システムの荷重検出装置を説明するための図であり、リーン車両の着座部を示す平面図である。なお、図2は、紙面下から紙面上へ向かう方向がリーン車両100の前進方向となる状態において、リーン車両100の着座部105を上方から観察した図となっている。
【0022】
荷重検出装置2は、リーン車両100の着座部105に設けられている。荷重検出装置2の検出結果に基づいて、制御装置10は、リーン車両100の着座部105にかかる運転手200の荷重の重心Cの位置情報である重心位置情報を取得する。図2に示すように、本実施の形態では、荷重検出装置2は、略四角形状に配置された4つの力覚センサ3で構成されている。力覚センサ3は、複数軸方向の荷重を検出することができるセンサである。なお、制御装置10が重心位置情報を取得できれば、荷重検出装置2を構成するセンサは、力覚センサ3に限定されない。例えば、荷重検出装置2を構成するセンサとして、1軸方向の荷重のみを検出できる荷重検出センサを用いてもよい。また、制御装置10が重心位置情報を取得できれば、荷重検出装置2を構成するセンサの数も、限定されない。例えば、荷重検出装置2を構成するセンサの数を、4つ以外の数としてもよい。
【0023】
再び図1に着目すると、慣性計測装置4は、上述のように、運転手200のヘルメット210に設けられている。慣性計測装置4は、例えば、互いに直交する3軸の方向の加速度、及び、上述の3軸の各々の軸周りの角速度を検出する。慣性計測装置4の検出結果に基づいて、制御装置10は、運転手200が装着したヘルメット210の位置Pの情報であるヘルメット位置情報を取得する。なお、制御装置10がヘルメット位置情報を取得できれば、慣性計測装置4が加速度及び角速度を検出する軸数は、任意である。
【0024】
制御装置10は、上述の重心位置情報及びヘルメット位置情報に基づいて、運転手200の支援動作を実行するものである。以下、制御装置10の構成について、詳細に説明する。
【0025】
<制御装置の構成>
図3は、本発明の実施の形態に係る制御装置を示すブロック図である。
制御装置10は、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。また、制御装置10の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。また、制御装置10のうちの少なくとも一部は、制動機構制御装置123及び駆動源制御装置132のうちの少なくとも一方と一体に構成されていてもよい。この制御装置10は、機能部として、情報取得部11、体勢認識部12、及び実行部13を備えている。
【0026】
情報取得部11は、リーン車両100の着座部105にかかる運転手200の荷重の重心Cの位置情報である重心位置情報、及び、運転手200が装着したヘルメット210の位置Pの情報であるヘルメット位置情報を取得する。
【0027】
本実施の形態では、上述のように、情報取得部11は、荷重検出装置2の検出結果に基づいて、重心位置情報を取得する。具体的には、情報取得部11は、重心位置情報として、荷重検出装置2の各力覚センサ3が検出する荷重に基づいて、着座部105上の仮想平面での重心Cの座標値を取得する。なお、着座部105にかかる運転手200の荷重の重心Cの位置がわかれば、情報取得部11は、重心位置情報として、該座標値以外の他の物理量を取得してもよい。例えば、情報取得部11は、重心位置情報として、該座標値に換算可能な他の物理量を取得してもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、上述のように、情報取得部11は、運転手200のヘルメット210に設けられた慣性計測装置4の検出結果に基づいて、ヘルメット位置情報を取得する。従来、慣性計測装置の検出結果に基づいて、該慣性計測装置が設けられている物の位置を取得する技術が知られている。本実施の形態では、このような公知の技術を用いて、情報取得部11は、ヘルメット位置情報として、慣性計測装置4の検出結果に基づいて、三次元空間内のヘルメット210の位置Pの座標値を取得する。なお、運転手200が装着したヘルメット210の位置Pがわかれば、情報取得部11は、ヘルメット位置情報として、該座標値以外の他の物理量を取得してもよい。例えば、情報取得部11は、ヘルメット位置情報として、該座標値に換算可能な他の物理量を取得してもよい。
【0029】
体勢認識部12は、情報取得部11が取得した重心位置情報及びヘルメット位置情報に基づいて、運転手200の運転中の体勢情報を取得する。本実施の形態では、体勢認識部12は、体勢情報として、着座部105にかかる運転手200の荷重の重心Cとヘルメット210の位置Pとを通過する軸Lを取得する。軸Lは、運転手200の体幹に概略沿ったものとなる。このため、体勢認識部12は、体勢情報として、軸Lを取得する。なお、運転手200の体勢がわかれば、体勢認識部12は、体勢情報として、軸L以外の他の物理量を取得してもよい。例えば、体勢認識部12は、体勢情報として、軸Lに換算可能な他の物理量を取得してもよい。
【0030】
実行部13は、体勢認識部12が取得した体勢情報と参照情報とを比較する。なお、参照情報は、実行部13が記憶していてもよいし、実行部13以外の他の機能部に記憶されていてもよい。実行部13は、例えば、次のように、体勢情報と参照情報とを比較する。
【0031】
図4及び図5は、本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す背面図である。図4及び図5は、直進中のリーン車両100を、該リーン車両100の後方から観察した図となっている。また、図4は、運転手200の体幹がリーン車両100の中心線に概略沿っている状態を示している。また、図5は、運転手200の体幹がリーン車両100の中心線に対して傾いている状態を示している。
【0032】
体勢情報と参照情報とを比較する際、実行部13は、例えば、基準軸Kに対する軸Lの傾きを取得する。基準軸Kは、例えば、鉛直方向の軸である。具体的には、本実施の形態では、実行部13は、図1に示すように、基準軸Kに対する軸Lの前後方向の傾きθ1を取得する。また、実行部13は、図4及び図5に示すように、基準軸Kに対する軸Lの横方向の傾きθ2を取得する。体勢情報との比較対象となる参照情報は、好適な体勢で運転手200がリーン車両100を運転しているときの体勢情報を示すものである。例えば、好適な体勢で運転手200がリーン車両100を運転しているときの、基準軸Kに対する軸Lの傾きの範囲を、参照情報としている。具体的には、本実施の形態では、基準軸Kに対する軸Lの前後方向の傾きθ1の好適な範囲、及び、基準軸Kに対する軸Lの横方向の傾きθ2の好適な範囲を、参照情報としている。なお、参照情報は、例えば、熟練の運転手200がリーン車両100を運転しているときの体勢を計測することにより、取得される。そして、実行部13は、体勢情報と参照情報とを比較し、リーン車両100を運転中の運転手200の基準軸Kに対する軸Lの傾きが参照情報の範囲内であるか否かを判定する。具体的には、本実施の形態では、リーン車両100を運転中の運転手200の基準軸Kに対する軸Lの傾きθ1及び傾きθ2が参照情報の範囲内であるか否かを判定する。
【0033】
また、実行部13は、体勢認識部12が取得した体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、運転手200の支援動作を実行する。このため、本実施の形態に係る制御装置10は、リーン車両100の運転手200の運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することができる。例えば、制御装置10の実行部13は、次のような支援動作を実施する。
【0034】
例えば、実行部13が実行する支援動作は、報知装置112に制御指令を出力する報知動作を含む。そして、実行部13は、体勢情報と参照情報との比較結果に応じて、報知装置112に出力する制御指令を異ならせる。具体的には、例えば、リーン車両100を運転中の運転手200の基準軸Kに対する軸Lの傾きが参照情報の範囲内でない場合、実行部13は、報知装置112に対して、報知を指示する制御指令を出力する。報知装置112の報知により、運転手200は、好適でない体勢でリーン車両100を運転していたことを自覚できる。すなわち、報知装置112の報知により、運転手200は、運転中の体勢を好適な体勢に正すことができる。運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転していると、運転手200の身体的負荷が大きくなる。このため、本実施の形態に係る制御装置10をリーン車両100に搭載することにより、運転手200の身体的負荷を軽減することができる。また、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転していると、リーン車両100の走行が不安定になりやすい。このため、本実施の形態に係る制御装置10をリーン車両100に搭載することにより、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0035】
なお、本実施の形態では、報知装置112として、リーン車両100が備える表示装置を用いている。このため、報知装置112は、文字又はマーク等を表示する報知方法となっている。しかしながら、運転手200が認識可能であれば、報知方法は、上記の方法に限定されない。例えば、報知方法は、電球を点灯又は点滅させる方法であってもよい。また、例えば、報知方法は、音声等の音を出力する方法であってもよい。また、報知装置112は、リーン車両100の表示装置に限定されない。例えば、ヘルメット210がスマートヘルメットの場合、ヘルメット210を報知装置112として用いてもよい。
【0036】
例えば、実行部13が実行する支援動作は、制動装置120及び/又は駆動装置130に制御指令を出力する自動加減速動作を含む。すなわち、実行部13は、制動装置120及び駆動装置130のうちの少なくとも一方に制御指令を出力し、リーン車両100を自動的に加減速させる。本実施の形態の場合、実行部13は、制動装置120の制動機構制御装置123及び駆動装置130の駆動源制御装置132のうちの少なくとも一方に、制御指令を出力する。そして、実行部13は、体勢情報と参照情報との比較結果に応じて、上述の制御指令を異ならせる。
【0037】
従来、リーン車両を自動的に加減速させる技術が、換言するとリーン車両に自動加減速動作させる技術が、知られている。例えば、道路の傾斜に応じて自動的にリーン車両を加減速させ、リーン車両の車速を予め設定された車速近傍に保つ技術が知られている。このような自動加減速動作を行う際、運転手が好適でない体勢でリーン車両を運転しているときに、リーン車両の加減速を自動的に行うと、運転手がバランスをくずし、リーン車両の走行が不安定になる可能性がある。そこで、本実施の形態に係る制御装置10の実行部13は、体勢情報と参照情報との比較結果に応じて、制動装置120及び/又は駆動装置130に出力する上述の制御指令を異ならせる。例えば、実行部13は、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転している場合、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転している場合と比べ、リーン車両100の加減速度が小さくなるように制御指令を異ならせる。これにより、リーン車両100の走行が不安定になることを抑制できる。このため、本実施の形態に係る制御装置10をリーン車両100に搭載することにより、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0038】
ここで、本実施の形態に係る制御装置10においては、情報取得部11は、さらに、ヘルメット210の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報を取得する構成となっている。ヘルメット210の姿勢とは、例えば、ある基準軸に対するヘルメット210の傾きである。また、ヘルメット姿勢情報とは、例えば、ヘルメット210の姿勢を示す物理量、あるいはヘルメット210の姿勢を示す物理量に換算可能な他の物理量である。図1に示すように、本実施の形態に係る支援システム1は、ヘルメット210に設けられた慣性計測装置4を備えている。従来、慣性計測装置の検出結果に基づいて、該慣性計測装置が設けられている物の姿勢(傾き等)を取得する技術が知られている。本実施の形態では、このような公知の技術を用いて、情報取得部11は、ヘルメット210の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報を取得する構成となっている。ヘルメット210の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報は、運転手200の目線Lsに対応したものとなる。
【0039】
そして、本実施の形態に係る制御装置10においては、体勢認識部12は、さらに、ヘルメット210の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報に基づいて、体勢情報を取得する構成となっている。すなわち、体勢認識部12が取得する体勢情報には、ヘルメット210の姿勢の情報も含まれる。このため、参照情報にも、好適な体勢で運転手200がリーン車両100を運転しているときの、ヘルメット210の姿勢の情報が含まれる。そして、実行部13が行う体勢情報と参照情報との比較では、ヘルメット210の姿勢も比較されることとなる。このように体勢情報と参照情報とを比較することにより、運転手200の目線Lsも考慮して、リーン車両100を運転中の運転手200の体勢が好適か否かを判定できる。リーン車両100を安定走行させる際、運転手200の目線Lsも重要な要素となる。例えば、リーン車両100を運転中の運転手200の基準軸Kに対する軸Lの傾きが参照情報の範囲内であったとしても、運転手200の目線がリーン車両100に対して近くすぎる場合、リーン車両100の走行が不安定になりやすい。このため、情報取得部11がさらにヘルメット210の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報を取得し、体勢認識部12がさらに当該ヘルメット姿勢情報に基づいて体勢情報を取得することにより、リーン車両100を運転する運転手200の安全性がさらに向上する。
【0040】
また、本実施の形態に係る制御装置10においては、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の姿勢の情報である車両姿勢情報を取得する構成となっている。車両姿勢情報とは、例えば、リーン車両100の姿勢を示す物理量、あるいは、リーン車両100の姿勢を示す物理量に換算可能な他の物理量である。上述のように、従来、慣性計測装置の検出結果に基づいて、該慣性計測装置が設けられている物の姿勢(傾き等)を取得する技術が知られている。また、図1に示すように、リーン車両100は、慣性計測装置108を備えている。このため、図3に示すように、本実施の形態では、情報取得部11は、慣性計測装置108の検出結果に基づいて、例えばリーン車両100のリーン角等、リーン車両100の姿勢の情報である車両姿勢情報を取得する。そして、本実施の形態に係る制御装置10においては、実行部13は、上述の車両姿勢情報に応じて、体勢情報と比較される参照情報を異ならせる構成となっている。例えば、実行部13は、基準軸Kに対する軸Lの前後方向の傾きθ1の好適な範囲、及び、基準軸Kに対する軸Lの横方向の傾きθ2の好適な範囲のうちの少なくとも一方を異ならせる。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態に係る支援システムが搭載されたリーン車両を示す背面図である。図6は、旋回中のリーン車両100を、該リーン車両100の後方から観察した図となっている。リーン車両100は、旋回中、車体が旋回方向に傾斜する。このため、リーン車両100の旋回中、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転していても、基準軸Kに対する軸Lの横方向の傾きθ2は、リーン車両100の直進時の好適な傾きθ2の範囲外となる場合がある。このため、情報取得部11がさらにリーン車両100の姿勢の情報である車両姿勢情報を取得し、実行部13が該車両姿勢情報に応じて参照情報を異ならせることにより、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転しているか否かを、より正確に把握することができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る制御装置10においては、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の車速情報を取得する構成となっている。図1及び図3に示すように、本実施の形態では、情報取得部11は、リーン車両100の車速情報として、リーン車両100が備える速度計110からリーン車両100の車速を取得している。なお、情報取得部11は、速度計110以外の装置から、リーン車両100の車速情報を取得してもよい。また、リーン車両100の車速情報は、リーン車両100の車速に換算可能な他の物理量であってもよい。
【0043】
そして、本実施の形態に係る制御装置10においては、実行部13は、リーン車両100の車速情報に応じて、体勢情報と比較される参照情報を異ならせる構成となっている。例えば、実行部13は、基準軸Kに対する軸Lの前後方向の傾きθ1の好適な範囲、及び、基準軸Kに対する軸Lの横方向の傾きθ2の好適な範囲のうちの少なくとも一方を異ならせる。リーン車両100を運転する運転手200の好適な体勢は、リーン車両100の車速によって異なる場合があるからである。
【0044】
例えば、リーン車両100の減速時、リーン車両100が低速の場合には、運転手200は、リーン車両100が減速する前の体勢を維持することが好ましい。一方、リーン車両100の減速時、リーン車両100が中速又は高速の場合には、運転手200は、リーン車両100が減速する前の体勢と比べ、後傾となることが好ましい。また、例えば、リーン車両100の旋回時、リーン車両100が中速又は高速の場合には、運転手200は、リーン車両100と同程度に体幹が傾く体勢が好ましい。一方、リーン車両100の旋回時、リーン車両100が低速の場合には、運転手200は、リーン車両100よりも体幹が傾かない体勢が好ましい。このように、リーン車両100を運転する運転手200の好適な体勢は、リーン車両100の車速によって異なる場合がある。このため、情報取得部11がさらにリーン車両100の車速情報を取得し、実行部13がリーン車両100の車速情報に応じて参照情報を異ならせることにより、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転しているか否かを、より正確に把握することができる。
【0045】
また、本実施の形態に係る制御装置10においては、実行部13は、さらに、リーン車両100の車速情報に基づいて、支援動作を実行する構成となっている。例えば、リーン車両100が低速の場合には、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転していても、リーン車両100の走行が不安定になりにくい。このため、リーン車両100の車速によっては、運転手200に対して、支援動作が不要な場合や、支援動作の度合いを小さくしてもよい場合がある。このため、情報取得部11がさらにリーン車両100の車速情報を取得し、実行部13がリーン車両100の車速情報基づいて支援動作を実行することにより、運転手200に対する過度な支援動作を抑制できる等、リーン車両100を運転する運転手200の快適性が向上する。
【0046】
また、本実施の形態に係る制御装置10においては、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の周囲環境情報を取得する構成となっている。図1及び図3に示すように、本実施の形態では、情報取得部11は、リーン車両100が備える周囲環境検出装置111から、リーン車両100の周囲環境情報を取得している。そして、本実施の形態に係る制御装置10においては、実行部13は、リーン車両100の周囲環境情報応じて、体勢情報と比較される参照情報を異ならせる構成となっている。例えば、実行部13は、基準軸Kに対する軸Lの前後方向の傾きθ1の好適な範囲、及び、基準軸Kに対する軸Lの横方向の傾きθ2の好適な範囲のうちの少なくとも一方を異ならせる。例えば、リーン車両100の周囲に、リーン車両100の走行に対して注意すべき対象物がある場合、運転手200は、体を起こして(基準軸Kに対する軸Lの傾きを小さくして)リーン車両100を運転した方が、該対象物を認識しやすくなり、好適な体勢となる場合がある。このため、情報取得部11がさらにリーン車両100の周囲環境情報を取得し、実行部13がリーン車両100の周囲環境情報応じて参照情報を異ならせることにより、リーン車両100を運転する運転手200の安全性がさらに向上する。
【0047】
また、本実施の形態に係る制御装置10においては、実行部13は、さらに、リーン車両100の周囲環境情報に基づいて、支援動作を実行する構成となっている。周囲環境情報に基づいて支援動作を実行する場合、例えば、実行部13は、周囲環境情報に基づいて自動加減速動作を行うことができる。具体的には、例えば、実行部13は、リーン車両100を自動的に加減速させ、リーン車両100の前方を走行する車両にリーン車両100を追従させることができる。また、例えば、実行部13は、リーン車両100と接触する可能性のある対象物が検出された場合、リーン車両100を減速させ、当該対象物にリーン車両100が接触することを回避させることができる。このような自動加減速動作を行う際、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転していると、運転手200がバランスをくずし、リーン車両100の走行が不安定になる可能性がある。このため、本実施の形態に係る実行部13は、周囲環境情報に基づいて自動加減速動作を実行する場合、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転しているときには、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転している場合と比べ、リーン車両100の加減速度を小さくする制御信号を出力する。又は、本実施の形態に係る実行部13は、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転しているときには、自動加減速動作を実行しない。これにより、リーン車両100の走行が不安定になることを抑制でき、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0048】
また、例えば、周囲環境情報に基づいて支援動作を実行する場合、例えば、実行部13は、リーン車両100と接触する可能性のある対象物が検出された際、報知装置112に制御指令を出力し、報知装置112に報知させることができる。この際、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転している場合、報知装置112の報知動作に運転手200が驚き、リーン車両100の走行が不安定になる可能性がある。このため、本実施の形態に係る実行部13は、周囲環境情報に基づいて報知動作を実行する場合、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転しているときには、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転している場合と比べ、報知の度合いを小さくする制御信号を出力する。報知の度合いを小さくするとは、例えば、報知の音を小さくする、報知の光を暗くする等である。又は、本実施の形態に係る実行部13は、運転手200が好適でない体勢でリーン車両100を運転しているときには、報知動作を実行しない。これにより、リーン車両100の走行が不安定になることを抑制でき、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0049】
<制御装置が支援動作を実行する際の制御方法>
本実施の形態に係る制御装置が支援動作を実行する際の制御方法について説明する。
【0050】
図7は、本発明の実施の形態に係る制御装置が支援動作を実行する際の制御方法を示すフロー図である。
制御の開始条件となった際、ステップS1において制御装置10は、図7に示す制御を開始する。制御の開始条件は、例えば、リーン車両100のエンジン131が起動したときである。ステップS1の後のステップS2は、情報取得ステップである。ステップS2において、制御装置10の情報取得部11は、リーン車両100の着座部105にかかる運転手200の荷重の重心Cの位置情報である重心位置情報、及び、運転手200が装着したヘルメット210の位置Pの情報であるヘルメット位置情報を取得する。なお、ステップS2において、情報取得部11は、さらに、上述のヘルメット姿勢情報、車両姿勢情報、車速情報、及び周囲環境情報のうちの少なくとも1つを取得してもよい。
【0051】
ステップS2の後のステップS3は、体勢認識ステップである。ステップS3において、制御装置10の体勢認識部12は、ステップS2において取得した重心位置情報及びヘルメット位置情報に基づいて、運転手200の運転中の体勢情報を取得する。なお、ステップS2においてヘルメット姿勢情報を取得している場合、ステップS3において、制御装置10の体勢認識部12は、重心位置情報及びヘルメット位置情報に加え、さらにヘルメット姿勢情報に基づいて、運転手200の運転中の体勢情報を取得してもよい。
【0052】
ステップS3の後のステップS4は、実行ステップである。ステップS4において、制御装置10の実行部13は、ステップS3で取得した体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、運転手200の支援動作を実行する。具体的には、実行部13は、体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、運転手200の支援動作が必要か否かを判断する。そして、実行部13は、運転手200の支援動作が必要と判断した場合、運転手200の支援動作を実行する。支援動作とは、例えば、上述の報知動作及び自動加減速動作である。なお、実行部13は、上述のように、車両姿勢情報、車速情報、及び周囲環境情報のうちの少なくとも1つに基づいて、参照情報を異ならせてもよい。また、実行部13は、上述のように、体勢情報と参照情報との比較結果に加え、さらに、車速情報及び周囲環境情報のうちの少なくとも1つに基づいて、運転手200の支援動作を実行してもよい。
【0053】
ステップS4の後のステップS5は、終了判定ステップである。ステップS5において、制御装置10は、制御の終了条件が成立したか否かを判定する。制御の終了条件は、例えば、リーン車両100のエンジン131が停止したときである。制御の終了条件が成立している場合、制御装置10は、ステップS6に進み、図7に示す制御を終了する。一方、制御の終了条件が成立していない場合、ステップS2に戻り、上述の各ステップを繰り返す。
【0054】
<変形例>
図8は、本発明の実施の形態に係る制御装置の変形例が搭載されたリーン車両を示す側面図である。また、図9は、本発明の実施の形態に係る制御装置の変形例を示すブロック図である。
図8に示すリーン車両100は、カメラ20を備えている。そして、図8及び図9に示す制御装置10においては、情報取得部11は、さらに、カメラ20によって運転手200を撮影した画像データを取得する構成となっている。また、図8及び図9に示す制御装置10においては、さらに、該画像データに基づいて、体勢情報を取得する構成となっている。すなわち、図8及び図9に示す制御装置10の体勢認識部12が取得する体勢情報には、運転手200の肘201及び膝202の位置等の情報も含まれる。このため、図8及び図9に示す制御装置10においては、参照情報にも、好適な体勢で運転手200がリーン車両100を運転しているときの肘201及び膝202の位置等の情報が含まれる。そして、実行部13が行う体勢情報と参照情報との比較では、運転手200の肘201及び膝202の位置等も比較されることとなる。このように体勢情報と参照情報とを比較することにより、図7以前に説明していた情報では考慮できなかった箇所も考慮して、リーン車両100を運転中の運転手200の体勢が好適か否かを判定できる。したがって、このように体勢情報と参照情報とを比較することにより、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転しているか否かを、より正確に把握することができる。
【0055】
なお、図8及び図9を見た当業者は、カメラ20によって運転手200を撮影した画像データのみを用いても、リーン車両100を運転中の運転手200の体勢が好適か否かを判定できると考えるかもしれない。しかしながら、カメラ20によって運転手200を撮影した画像データのみでは、運転手200の体幹の方向(基準軸Kに対する軸Lの傾き)を認識することが困難である。このため、本実施の形態に係る制御装置10においては、少なくとも情報取得部11が取得した重心位置情報及びヘルメット位置情報に基づいて、運転手200の運転中の体勢情報を取得することが重要である。
【0056】
<制御装置の効果>
本実施の形態に係る制御装置の効果について説明する。
【0057】
本実施の形態に係る制御装置10は、リーン車両100の運転手200の支援動作を実行する制御装置である。制御装置10は、情報取得部11と、体勢認識部12と、実行部13とを備えている。情報取得部11は、リーン車両100の着座部105にかかる運転手200の荷重の重心Cの位置情報である重心位置情報と、運転手200が装着したヘルメット210の位置の情報であるヘルメット位置情報と、を取得する。体勢認識部12は、重心位置情報及びヘルメット位置情報に基づいて、運転手200の運転中の体勢情報を取得する。実行部13は、体勢情報と参照情報との比較結果に基づいて、支援動作を実行する。
このように構成された制御装置10は、リーン車両100の運転手200の運転中の体勢情報が反映された支援動作を実行することができる。
【0058】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、ヘルメット210の姿勢の情報であるヘルメット姿勢情報を取得する構成である。そして、体勢認識部12は、さらに、ヘルメット姿勢情報に基づいて、体勢情報を取得する構成である。
このように構成された制御装置10は、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0059】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、カメラ20によって運転手200を撮影した画像データを取得する構成である。そして、体勢認識部12は、さらに、画像データに基づいて、体勢情報を取得する構成である。
このように構成された制御装置10は、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転しているか否かを、より正確に把握することができる。
【0060】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の姿勢の情報である車両姿勢情報を取得する構成である。そして、実行部13は、車両姿勢情報に応じて、体勢情報と比較される参照情報を異ならせる構成である。
このように構成された制御装置10は、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転しているか否かを、より正確に把握することができる。
【0061】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の車速情報を取得する構成である。そして、実行部13は、車速情報に応じて、体勢情報と比較される参照情報を異ならせる構成である。
このように構成された制御装置10は、運転手200が好適な体勢でリーン車両100を運転しているか否かを、より正確に把握することができる。
【0062】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の車速情報を取得する構成である。そして、実行部13は、さらに、車速情報に基づいて、支援動作を実行する構成である。
このように構成された制御装置10は、運転手200に対する過度な支援動作を抑制できる等、リーン車両100を運転する運転手200の快適性が向上する。
【0063】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の周囲環境情報を取得する構成である。そして、実行部13は、周囲環境情報に応じて、体勢情報と比較される参照情報を異ならせる構成である。
このように構成された制御装置10は、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0064】
好ましくは、情報取得部11は、さらに、リーン車両100の周囲環境情報を取得する構成である。そして、実行部13は、さらに、周囲環境情報に基づいて、支援動作を実行する構成である。
このように構成された制御装置10は、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0065】
好ましくは、支援動作は、報知装置112に制御指令を出力する報知動作を含む。そして、実行部13は、比較結果に応じて、上述の制御指令を異ならせる。
このように構成された制御装置10は、運転手200の身体的負荷を軽減することができ、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0066】
好ましくは、支援動作は、制動装置120及び/又は駆動装置130に制御指令を出力する自動加減速動作を含む。そして、実行部13は、比較結果に応じて、上述の制御指令を異ならせる。
このように構成された制御装置10は、リーン車両100を運転する運転手200の安全性が向上する。
【0067】
以上、実施の形態において本発明に係る制御装置の一例について説明したが、本発明に係る制御装置は実施の形態の説明に限定されない。例えば、本発明に係る制御装置は、実施の形態の説明の一部のみが実施されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 支援システム、2 荷重検出装置、3 力覚センサ、4 慣性計測装置、10 制御装置、11 情報取得部、12 体勢認識部、13 実行部、20 カメラ、100 リーン車両、101 胴体、102 ハンドル、103 前輪、104 後輪、105 着座部、106 ブレーキレバー、107 ブレーキペダル、108 慣性計測装置、110 速度計、111 周囲環境検出装置、112 報知装置、120 制動装置、121 前輪制動機構、122 後輪制動機構、123 制動機構制御装置、130 駆動装置、131 エンジン、132 駆動源制御装置、200 運転手、201 肘、202 膝、210 ヘルメット、C 重心、K 基準軸、L 軸、Ls 目線、P 位置、θ1 傾き、θ2 傾き。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9