(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056155
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】血管挿入用カテーテルの作製方法、心線成形用型部材、および、心線成形用型部材と模型との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A61M25/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162867
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】592078597
【氏名又は名称】タマチ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522397721
【氏名又は名称】高梨 成彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】高梨 成彦
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 拓真
(72)【発明者】
【氏名】太田 邦博
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267CC08
4C267FF01
(57)【要約】
【課題】患者固有の血管形状に対応するように心線を成形することを容易にする技術を提供する。
【解決手段】血管挿入用カテーテルの作製方法は、患者の血管の形状に基づいて、3Dプリンタを用いて、複数の突起を有する型部材を作製する工程と、複数の突起の外表面に沿って心線を湾曲させることにより、心線を成形する工程と、熱可塑性のカテーテルに心線を挿入する工程と、心線が挿入された状態のカテーテルを熱成形する工程と、カテーテルから心線を抜き取る工程と、を具備する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管の形状に基づいて、3Dプリンタを用いて、複数の突起を有する型部材を作製する工程と、
前記複数の突起の外表面に沿って心線を湾曲させることにより、前記心線を成形する工程と、
熱可塑性のカテーテルに前記心線を挿入する工程と、
前記心線が挿入された状態の前記カテーテルを熱成形する工程と、
前記カテーテルから前記心線を抜き取る工程と
を具備する
血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項2】
前記複数の突起には、第1突起が含まれ、
前記第1突起は、前記心線に第1湾曲部を形成するための第1溝を有する
請求項1に記載の血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項3】
前記複数の突起には、第2突起が含まれ、
前記第2突起の延在方向は、前記第1突起の延在方向と異なる
請求項2に記載の血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項4】
前記心線を成形する工程において、前記心線は、前記第1突起と前記第2突起とに跨って配置され、前記第1突起と前記第2突起との間の領域で、前記心線は前記型部材から離間する
請求項3に記載の血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項5】
前記型部材には、前記心線の基端部を位置決めする位置決め穴が形成されている
請求項1に記載の血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項6】
前記心線の先端部は、
屈曲部と、
前記屈曲部よりも基端側の第1部分と、
前記屈曲部よりも先端側の第2部分と
を有し、
前記複数の突起には、先端部支持用突起が含まれ、
前記先端部支持用突起は、
前記第1部分を支持する支持面と、
前記第2部分が面することとなる第2面と、
前記支持面と前記第2面との間に配置され、前記心線の前記先端部に前記屈曲部を形成するためのエッジと
を有する
請求項1に記載の血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項7】
前記型部材を作製する工程は、
前記血管の三次元形状データを取得することと、
前記血管の三次元形状データに基づいて、前記血管に対応する形状を有し、且つ、前記血管よりも細い仮想細長体の三次元形状データを作成することと、
前記型部材の三次元形状データを作成することと、
前記型部材の三次元形状データに基づいて、前記3Dプリンタを用いて、前記型部材を作製することと
を含み、
前記型部材の三次元形状データを作成することは、前記複数の突起のうちのいずれかの外表面の位置および形状に、前記仮想細長体の湾曲部の位置および形状が対応するとの条件が満たされるように、前記型部材の三次元形状データを作成することを含む
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の血管挿入用カテーテルの作製方法。
【請求項8】
血管の形状に沿うようにカテーテルを成形するために前記カテーテルに挿入される心線を成形するための型部材であって、
第1突起および第2突起を含む複数の突起を有し、
前記第1突起の外表面は、前記心線に第1湾曲部を形成するための第1ガイド部を有し、
前記第2突起の外表面は、前記心線に前記第1湾曲部とは異なる第2湾曲部を形成するための第2ガイド部を有する
心線成形用型部材。
【請求項9】
請求項8に記載の心線成形用型部材と、
前記血管の長手方向軸線の形状を示す、前記心線成形用型部材とは別の模型と
を備える
心線成形用型部材と模型との組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管挿入用カテーテルの作製方法、心線成形用型部材、および、心線成形用型部材と模型との組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
脳動脈瘤コイル塞栓術とは、マイクロカテーテルの先端を脳動脈瘤の内部に誘導し、当該マイクロカテーテルの先端から送り出されるコイルを脳動脈瘤の内部に配置する治療法である。マイクロカテーテルの先端部の形状は、患者の血管に固有の形状に適合した形状であることが好ましい。
【0003】
一般的な手術手技では、まず、カテーテルが脳血管に挿入され、当該カテーテルの先端が瘤内部に誘導される。この際、カテーテルの形状が脳血管の形状に適合していれば、カテーテルの先端を瘤内部に誘導することを、安全かつ容易に実行できる。しかし、脳血管は、3次元的に複雑に湾曲しており、脳血管は、患者それぞれで独自の形状を有する。
【0004】
次に、カテーテルから瘤内にコイルが挿入される。コイルが瘤の内壁に当たると、カテーテルの先端には反力が作用し、カテーテルの先端が瘤内部から血管に向けて押し出される可能性がある。安定して安全にコイルが挿入されるようにするためには、瘤とは反対側に位置する血管壁部分にカテーテルの背部が当接した状態で、カテーテルが血管壁によって支えられている必要がある。しかし、瘤の発生部位、形状、大きさは、患者それぞれに固有であり、最適なカテーテルの先端部形状も様々である。
【0005】
従来、術者は、予め既定の形状が付与されたカテーテルを使用するか、あるいは、手術中あるいは手術直前に、術者が患者の血管画像を参照しながら、カテーテルの先端部を加熱して成形していた。例えば、先端部が非直線形状のカテーテルが市販されており、例えば、カテーテル先端から5mm程までの部分が、2次元的に、45°あるいは90°屈曲しているものや、カテーテルの先端部が、J字形状あるいはS字形状を有するものが存在する。これらの既定形状の複数のカテーテルのうち、できるだけ患者の血管の形状に適合したものが選択される。適合が不十分である場合には、手術中あるいは手術直前に、選択されたカテーテルの形状が修正されるように当該カテーテルが加熱成形される。
【0006】
カテーテルは、目的の形状に維持された状態で加熱されることにより成形される。カテーテルには、マンドレルと呼ばれる針金が付属している。針金は、カテーテルの内部に挿入できる太さ寸法を有し、ユーザが指で曲げることができる。ユーザ(術者)は、モニター画面に表示された患者の血管画像を参照しながら、マンドレル(針金)を湾曲させる。マンドレルがカテーテルに配置された状態で加熱されることにより、カテーテルの先端部は、マンドレルの形状に沿った形状に成形される。
【0007】
関連する技術として、特許文献1における背景技術の欄には、カテーテル用チューブに血管形状に合わせた針金型が挿入された状態でカテーテル用チューブを加熱することにより、カテーテル用チューブを成形することが記載されている。
【0008】
上述の従来技術の問題点は、ユーザ(術者)が、拡大された2次元の患者の血管画像を見ながら、3次元形状を想像して、マンドレル(針金)を成形する必要があるため、ユーザの熟練度が求められる点にある。また、マンドレル(針金)の成形に時間がかかり易く、マンドレルの各部分の長さ、湾曲角度等が不正確になり易いとの問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、患者固有の血管形状に対応するように心線を成形することを容易にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0012】
いくつかの実施形態における血管挿入用カテーテルの作製方法は、患者の血管(B)の形状に基づいて、3Dプリンタ(105)を用いて、複数の突起(2)を有する型部材(1)を作製する工程と、前記複数の突起(2)の外表面に沿って心線(8)を湾曲させることにより、前記心線(8)を成形する工程と、熱可塑性のカテーテル(9)に前記心線(8)を挿入する工程と、前記心線(8)が挿入された状態の前記カテーテル(9)を熱成形する工程と、前記カテーテル(9)から前記心線(8)を抜き取る工程と、を具備する。
【0013】
上記血管挿入用カテーテルの作製方法において、前記複数の突起(2)には、第1突起(2a)が含まれていてもよい。また、前記第1突起(2a)は、前記心線(8)に第1湾曲部(81)を形成するための第1溝(221a)を有していてもよい。
【0014】
上記血管挿入用カテーテルの作製方法において、前記複数の突起(2)には、第2突起(2b)が含まれていてもよい。また、前記第2突起(2b)の延在方向は、前記第1突起(2a)の延在方向と異なっていてもよい。
【0015】
上記血管挿入用カテーテルの作製方法において、前記心線を成形する工程において、前記心線(8)は、前記第1突起(2a)と前記第2突起(2b)とに跨って配置されてもよい。また、前記第1突起(2a)と前記第2突起(2b)との間の領域で、前記心線(8)は前記型部材(1)から離間していてもよい。
【0016】
上記血管挿入用カテーテルの作製方法において、前記型部材(1)には、前記心線(8)の基端部(85)を位置決めする位置決め穴(3h)が形成されていてもよい。
【0017】
上記血管挿入用カテーテルの作製方法において、前記心線(8)の先端部(86)は、屈曲部(86b)と、前記屈曲部(86b)よりも基端側の第1部分(86c)と、前記屈曲部(86b)よりも先端側の第2部分(86a)と、を有していてもよい。前記複数の突起には、先端部支持用突起(4)が含まれていてもよい。前記先端部支持用突起(4)は、前記第1部分(86c)を支持する支持面(43)と、前記第2部分(86a)が面することとなる第2面(45)と、前記支持面(43)と前記第2面(45)との間に配置され、前記心線(8)の前記先端部(86)に前記屈曲部(86b)を形成するためのエッジ(41)と、を有していてもよい。
【0018】
上記血管挿入用カテーテルの作製方法において、前記型部材(1)を作製する工程は、前記血管(B)の三次元形状データを取得することと、前記血管(B)の三次元形状データに基づいて、前記血管(B)に対応する形状を有し、且つ、前記血管(B)よりも細い仮想細長体(7)の三次元形状データを作成することと、前記型部材(1)の三次元形状データを作成することと、前記型部材(1)の三次元形状データに基づいて、前記3Dプリンタ(105)を用いて、前記型部材(1)を作製することと、を含んでいてもよい。前記型部材(1)の三次元形状データを作成することは、前記複数の突起(2)のうちのいずれかの外表面の位置および形状に、前記仮想細長体(7)の湾曲部の位置および形状が対応するとの条件が満たされるように、前記型部材(1)の三次元形状データを作成することを含んでいてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態における心線成形用型部材は、血管(B)の形状に沿うようにカテーテル(9)を成形するために前記カテーテル(9)に挿入される心線(8)を成形するための型部材(1)である。当該型部材(1)は、第1突起(2a)および第2突起(2b)を含む複数の突起(2)を有する。前記第1突起(2a)の外表面は、前記心線(8)に第1湾曲部(81)を形成するための第1ガイド部(220a)を有する。前記第2突起(2b)の外表面は、前記心線(8)に前記第1湾曲部(81)とは異なる第2湾曲部(82)を形成するための第2ガイド部(220b)を有する。
【0020】
いくつかの実施形態における心線成形用型部材と模型との組み合わせは、上述の心線成形用型部材と、前記血管(B)の長手方向軸線(AX)の形状を示す、前記心線成形用型部材(1)とは別の模型(6)と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、患者固有の血管形状に対応するように心線を成形することを容易にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、血管の三次元形状データに基づいて描画された血管の画像の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、血管の三次元形状データに基づいて描画された血管の画像上に、仮想細長体が表示されている様子を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、3Dプリンタによって作製される予定の型部材と、仮想細長体とが対応付けられてモニターに表示されている様子を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、3Dプリンタによって作製される予定の型部材と、仮想細長体とが対応付けられてモニターに表示されている様子を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、型部材が、3Dプリンタを用いて作製される様子を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態における心線成形用型部材の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態における心線成形用型部材の一例を模式的に示す概略正面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態における心線成形用型部材の一例を模式的に示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、心線の基端部が、位置決め部によって位置決めされる様子を模式的に示す概略断面図である。
【
図10】
図10は、先端部支持用突起の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、心線の先端部に屈曲部が形成される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、型部材を用いて、心線が湾曲成形される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は、型部材を用いて、心線が湾曲成形される様子を模式的に示す概略平面図である。
【
図14】
図14は、型部材を用いて成形された心線の一例を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、カテーテルに心線が挿入される様子を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、カテーテルに心線が挿入された後の状態を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、熱成形工程が実行されている様子を模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、カテーテルから心線が抜き取られる工程を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、第1の実施形態における血管挿入用カテーテルの作製方法の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、第2の実施形態における心線成形用型部材と模型との組み合わせの一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図21】
図21は、心線の形状と、血管の長手方向軸線の形状とが比較されている様子を模式的に示す図である。
【
図22】
図22は、カテーテルの形状と、血管の長手方向軸線の形状とが比較されている様子を模式的に示す図である。
【
図23】
図23は、第2の実施形態における血管挿入用カテーテルの作製方法の一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、第2の実施形態の変形例における血管挿入用カテーテルの作製方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法、心線成形用型部材1、および、心線成形用型部材1と模型6との組み合わせに関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しとなる説明は省略される。
【0024】
(用語の定義)
本明細書において、カテーテル9を成形するためにカテーテル9に挿入される線材のことを心線と呼ぶ。心線は、一般的には、金属製である。心線は、マンドレル、あるいは、針金と呼ばれることもある。心線は、ユーザの指で湾曲させることができることが好ましく、ユーザの指で屈曲させることができることが好ましい。
【0025】
(第1の実施形態)
図1乃至
図19を参照して、第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法、および、心線成形用型部材1について説明する。
図1は、血管Bの三次元形状データに基づいて描画された血管Bの画像102の一例を模式的に示す図である。
図2は、血管Bの三次元形状データに基づいて描画された血管Bの画像102上に、仮想細長体7が表示されている様子を模式的に示す図である。
図3および
図4は、3Dプリンタによって作製される予定の型部材1と、仮想細長体7とが対応付けられてモニターに表示されている様子を模式的に示す図である。
図5は、型部材1が、3Dプリンタ105を用いて作製される様子を模式的に示す図である。
図6は、第1の実施形態における心線成形用型部材1の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図7は、第1の実施形態における心線成形用型部材1の一例を模式的に示す概略正面図である。
図8は、第1の実施形態における心線成形用型部材1の一例を模式的に示す概略平面図である。
図9は、心線8の基端部85が、位置決め部によって位置決めされる様子を模式的に示す概略断面図である。
図10は、先端部支持用突起4の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
図11は、心線8の先端部86に屈曲部86bが形成される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図12は、型部材1を用いて、心線8が湾曲成形される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図13は、型部材1を用いて、心線8が湾曲成形される様子を模式的に示す概略平面図である。
図14は、型部材1を用いて成形された心線8の一例を模式的に示す図である。
図15は、カテーテル9に心線8が挿入される様子を模式的に示す図である。
図16は、カテーテル9に心線8が挿入された後の状態を模式的に示す図である。
図17は、熱成形工程が実行されている様子を模式的に示す図である。
図18は、カテーテル9から心線8が抜き取られる工程を模式的に示す図である。
図19は、第1の実施形態における血管挿入用カテーテルの作製方法の一例を示すフローチャートである。
【0026】
(型部材1)
図6乃至
図13を参照して、第1の実施形態における心線成形用型部材について説明する。
図12に例示されるように、心線成形用型部材1(以下、単に「型部材1」と呼ぶ。)は、心線8を成形するための部材である。また、
図16に例示されるように、心線8は、血管の形状に沿うようにカテーテル9を成形するためにカテーテル9に挿入される部材である。
【0027】
図6に例示されるように、型部材1は、第1突起2aおよび第2突起2bを含む複数の突起2を有する。
【0028】
第1突起2aの第1外表面21aは、心線8に第1湾曲部81(必要であれば、
図13を参照。)を形成するための第1ガイド部220a(より具体的には、第1溝221a)を有する。
【0029】
また、
図7に例示されるように、第2突起2bの第2外表面21bは、心線8に第1湾曲部81とは異なる第2湾曲部82(必要であれば、
図13を参照。)を形成するための第2ガイド部220b(より具体的には、第2溝221b)を有する。
図7に記載の例では、第2突起2bの太さは、第1突起2aの太さより細い。代替的に、第2突起2bの太さは、第1突起2aの太さより太くてもよいし、第1突起2aの太さと等しくてもよい。
【0030】
図14に記載の例では、心線8の第2湾曲部82の曲率半径は、心線8の第1湾曲部81の曲率半径と異なる。代替的に、心線8の第2湾曲部82の曲率半径は、心線8の第1湾曲部81の曲率半径と同一であってもよい。第1湾曲部81と第2湾曲部82とは連続的に配置されていてもよい。代替的に、第1湾曲部81と第2湾曲部82との間に、他の湾曲部あるいは直線状部分が介在していてもよい。
【0031】
図6および
図7に例示されるように、第1の実施形態における心線成形用型部材1は、心線8に第1湾曲部81を形成するための第1ガイド部220aを有する第1突起2aと、心線8に第2湾曲部82を形成するための第2ガイド部220bを有する第2突起2bと、を備える。よって、医療従事者等のユーザ(例えば、医師)は、当該型部材1を用いて、患者固有の血管形状に対応するように心線8を容易に成形することができる。
【0032】
(任意付加的な構成)
続いて、
図6乃至
図18を参照して、第1の実施形態における心線成形用型部材1において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0033】
(第1突起2a)
図6に記載の例では、第1突起2aは、心線8の第1湾曲部81を支持可能な第1柱20aである。第1柱20aは、円柱形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。
図6に記載の例では、第1突起2a(より具体的には、円柱状の第1柱20a)の第1外周面22aに、第1溝221aが形成されている。
図6に記載の例では、第1溝221aは、円弧状に延在する溝である。代替的に、第1溝221aは、環状に延在する溝であってもよい。第1溝221aは、第1突起2aに対する心線8の摺動を許容する溝であることが好ましい。この場合、第1溝221aを用いて、心線8に第1湾曲部81を形成するのが容易である。
【0034】
(第2突起2b)
図7に記載の例では、第2突起2bは、心線8の第2湾曲部82を支持可能な第2柱20bである。第2柱20bは、円柱形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。
図7に記載の例では、第2突起2b(より具体的には、円柱状の第2柱20b)の第2外周面22bに、第2溝221bが形成されている。第2溝221bは、円弧状に延在する溝であってもよいし、環状に延在する溝であってもよい。第2溝221bは、第2突起2bに対する心線8の摺動を許容する溝であることが好ましい。この場合、第2溝221bを用いて、心線8に第2湾曲部82を形成するのが容易である。
【0035】
図7に記載の例では、第2突起2bの延在方向(より具体的には、第2突起2bの軸AX2が延在する方向)は、第1突起2aの延在方向(より具体的には、第1突起2aの軸AX1が延在する方向)と異なる。代替的に、第2突起2bの延在方向は、第1突起2aの延在方向と平行であってもよい。
【0036】
(第3突起2c)
図6に記載の例では、型部材1は、第3突起2cを有する。また、第3突起2cの第3外表面21cは、心線8に第3湾曲部83(必要であれば、
図12を参照。)を形成するための第3ガイド部220cを有する。
図14に記載の例では、第3湾曲部83の曲率半径は、第1湾曲部81の曲率半径および第2湾曲部82の曲率半径と異なる。代替的に、第3湾曲部83の曲率半径は、第1湾曲部81の曲率半径または第2湾曲部82の曲率半径と同一であってもよい。
図6に記載の例では、第1湾曲部81、第2湾曲部82、および、第3湾曲部83を、1つの平面上には配置することはできず、心線8は、3次元形状を有する線状体である。
【0037】
図6に記載の例では、第3突起2cは、心線8の第3湾曲部83を支持可能な第3柱20cである。第3柱20cは、円柱形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。
図6に記載の例では、第3突起2c(より具体的には、円柱状の第3柱20c)の第3外周面22cに、第3溝221cが形成されている。第3溝221cは、円弧状に延在する溝であってもよいし、環状に延在する溝であってもよい。第3溝221cは、第3突起2cに対する心線8の摺動を許容する溝であることが好ましい。この場合、第3溝221cを用いて、心線8に第3湾曲部83を形成するのが容易である。
【0038】
型部材1は、第1突起2a、第2突起2b、および、第3突起2c以外に、心線8に他の湾曲部を形成するための他の突起を有していてもよい。
【0039】
図6に記載の例では、型部材1は、山状の突起2dを有する。山状の突起2dの外表面21dは、心線8に第1湾曲部81の突出方向とは異なる方向に突出する湾曲部84(必要であれば、
図14を参照。)を形成するためのガイド部220dを有する。
図6に記載の例では、山状の突起2dの稜部に、心線8に湾曲部84を形成するためのガイド部220d(より具体的には、溝221d)が形成されている。
【0040】
(基端部支持用突起3)
図6に記載の例では、型部材1は、基端部支持用突起3を有する。基端部支持用突起3は、心線8の基端部85(必要であれば、
図13を参照。)を支持する。基端部支持用突起3は、心線8の基端部85を位置決めする位置決め部(より具体的には、位置決め穴3h)を有することが好ましい。
図9に記載の例では、心線8の基端85eが位置決め穴3hに挿入されることにより、心線8の基端85eが位置決め穴3hの底によって位置決めされる。
図9に記載の例では、基端部支持用突起3は、心線8の基端部85を囲む面310(より具体的には、端面310e)を有し、当該面310に位置決め穴3h(より具体的には、有底穴)が形成されている。
【0041】
図6に記載の例では、基端部支持用突起3は、心線8の基端部85を支持可能な柱30である。当該柱30は、円柱形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。
【0042】
型部材1が基端部支持用突起3を有する場合、心線8の基端部85が基端部支持用突起3によって支持された状態で、心線8に複数の湾曲部(80、81、82、83、84)を形成することができる。この場合、心線8に複数の湾曲部を形成する作業が容易となる。また、型部材1が心線8の基端部85を位置決めする位置決め部(より具体的には、位置決め穴3h)を有する場合、心線8の基端部85が位置決めされた状態で、心線8に複数の湾曲部(80、81、82、83、84)を形成することができる。この場合、心線8において、複数の湾曲部(80、81、82、83、84)が形成される位置の精度が向上する。
【0043】
(先端部支持用突起4)
図8に記載の例では、型部材1は、先端部支持用突起4を有する。先端部支持用突起4は、心線8の先端部86(必要であれば、
図11を参照。)を支持する。先端部支持用突起4は、例えば、心線8の先端部86を支持可能な柱40である。当該柱40は、円柱形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。
【0044】
図10に記載の例では、先端部支持用突起4は、エッジ部41と、支持面43(より具体的には、側部支持面431)と、第2面45(より具体的には、端面451)と、を有する。
【0045】
エッジ部41は、心線8の先端部86に屈曲部86b(必要であれば、
図11を参照。)を形成するための部分である。エッジ部41は、支持面43と第2面45との間の境界に配置される。換言すれば、第2面45は、エッジ部41を介して、支持面43に連なる。なお、エッジ部41は、多少の丸みを有していてもよい。
【0046】
図11に記載の例では、支持面43は、心線8の先端部86のうちの屈曲部86bよりも基端側の第1部分86c(より具体的には、第1部分86cの側部)を支持する。支持面43には、心線8の先端部86(より具体的には、第1部分86c)をガイドするV字状溝43vが形成されていてもよい。
【0047】
第2面45は、心線8の先端部86のうちの屈曲部86bよりも先端側の第2部分86aに面することとなる部分である。心線8の先端部86の第2部分86aが第2面45に向けて曲げられることにより、エッジ部41によって、心線8に屈曲部86bが形成される。
【0048】
図13に記載の例では、先端部支持用突起4は、心線8の先端側部分に先端側湾曲部80を形成するためのガイド部420(より具体的には、ガイド溝421)を有する。ガイド部420(より具体的には、ガイド溝421)は、例えば、先端部支持用突起4の外周面42に設けられる。
【0049】
ガイド溝421は、円弧状に延在する溝であってもよいし、環状に延在する溝であってもよい。ガイド溝421は、先端部支持用突起4に対する心線8の摺動を許容する溝であることが好ましい。この場合、ガイド溝421を用いて、心線8に先端側湾曲部80を形成するのが容易である。
【0050】
(台座51)
図6に例示されるように、型部材1は、少なくとも1つの突起(2a;2b;4)あるいは少なくとも2つの突起(2a;2b;4)を支持する台座51を有していてもよい。台座51の太さは、当該台座51によって支持される突起(2a;2b;4)の太さより太くてもよい。
【0051】
(ベース54)
図6に例示されるように、型部材1は、第1突起2aおよび第2突起2bを含む複数の突起2を、直接的または間接的に支持するベース54を有していてもよい。
図6に記載の例では、ベース54は、複数の突起2のうちの少なくとも1つ(2a;2b;4)を、台座51を介して支持し、複数の突起2のうちの少なくとも1つ(2c;2d;3)を直接的に支持している。ベース54は、例えば、板状体である。
【0052】
(血管挿入用カテーテル9の作製方法)
続いて、第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法について説明する。血管挿入用カテーテル9は、例えば、動脈瘤治療用カテーテル、より具体的には、脳動脈瘤等の動脈瘤に塞栓コイルを誘導するカテーテルである。
【0053】
第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法は、(1)患者の血管の形状に基づいて、3Dプリンタ105を用いて、複数の突起2を有する型部材1を作製する工程(
図5を参照。)と、(2)複数の突起2の外表面に沿って心線8を湾曲させることにより、心線8を成形する工程(
図12を参照。)と、(3)熱可塑性のカテーテル9に心線8を挿入する工程(
図15を参照。)と、(4)心線8が挿入された状態のカテーテル9を熱成形する工程(
図17を参照。)と、(5)カテーテル9を冷却する工程と、(6)カテーテル9から心線8を抜き取る工程(
図18を参照。)と、を具備する。
【0054】
第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法は、血管の形状に基づいて作製された型部材1を用いて心線8を成形することを含む。よって、患者固有の血管形状に対応するように心線8を成形することができる。また、第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法では、当該心線8を用いて、カテーテル9が熱成形される。よって、患者固有の血管形状に対応するようにカテーテル9を作製することができる。
【0055】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図19を参照して、第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0056】
(型部材作製工程)
第1ステップST1において、患者の血管の形状に基づいて、3Dプリンタ105(3次元的なデジタルモデルをもとにして物体を形成するすプリンタ)を用いて、複数の突起2を有する型部材1が作製される。第1ステップST1は、型部材作製工程である。型部材作製工程(第1ステップST1)は、複数のサブステップを含む。
【0057】
サブステップST1-1において、動脈瘤Cの近傍の血管Bの三次元形状データが取得される。例えば、患者の動脈瘤Cを含む領域に対してCTスキャンが実行されることにより、動脈瘤Cの近傍の血管の三次元形状データが取得される。
図1は、サブステップST1-1において取得された血管Bの三次元形状データに基づいて描画された血管Bの画像102の一例を模式的に示す図である。
【0058】
サブステップST1-2において、患者の血管Bの三次元形状データに基づいて(より具体的には、動脈瘤Cの近傍の血管Bの三次元形状データに基づいて)、当該血管Bに対応する形状を有し、且つ、当該血管Bよりも細い仮想細長体7の三次元形状データ(例えば、パイプ形状データ)が作成される(
図2を参照。)。
【0059】
仮想細長体7の三次元形状データは、患者の血管Bの画像上でユーザ(より具体的には、医師)によって指定される経路指定図に基づいて、作成されてもよい。代替的に、仮想細長体7の三次元形状データは、患者の血管Bの三次元形状データに基づいて(より具体的には、動脈瘤Cの近傍の血管Bの三次元形状データに基づいて)、コンピュータによって自動的に作成されてもよい。更に代替的に、仮想細長体7の三次元形状データは、患者の血管Bの三次元形状データに基づいてコンピュータが作成したデータにユーザが修正を加えることにより作成されてもよい。
【0060】
図2に例示されるように、サブステップST1-2において、動脈瘤Cの近傍の血管Bの三次元形状データに基づいて、仮想細長体7の先端7eの位置が、動脈瘤Cの内壁C2に対向する位置、且つ、動脈瘤Cの内壁C2から微小距離Lだけ離間した位置(例えば、1mm程度離間した位置)となるように、仮想細長体7の三次元形状データが作成されることが好ましい。この場合、後工程で作製されたカテーテル9の先端が、動脈瘤Cの内壁C2から微小距離Lだけ離間することが保証される。
【0061】
第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法は、仮想細長体7の三次元形状データを、仮想細長体7の三次元形状データを作成したコンピュータから、型部材1の三次元形状データを作成するコンピュータに送信する工程(以下、送信工程という。)を含んでいてもよい。送信工程は、仮想細長体7の三次元形状データを、STL形式(Stereolithography形式)で、仮想細長体7の三次元形状データを作成したコンピュータから、型部材1の三次元形状データを作成するコンピュータに送信することを含んでいてもよい。
【0062】
第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法が、上述の送信工程を備える場合、仮想細長体7の三次元形状データの作成と、型部材1の三次元形状データの作成とを分業化することができる。また、データ送信によりデータの送受が行われる場合、郵送によりデータの送受が行われる場合と比較して、型部材1の三次元形状データの作成の外注を速やかに行うことができる。
【0063】
サブステップST1-3において、少なくとも2つの突起2を有する型部材1の三次元形状データが作成される。少なくとも2つの突起2を有する型部材1の三次元形状データは、コンピュータを用いて作成される。少なくとも2つの突起2を有する型部材1の三次元形状データは、CADソフトを用いて作成されることが好ましい。少なくとも2つの突起2を有する型部材1の三次元データの作成は、オペレータの入力に基づいて、コンピュータによって実行されてもよいし、コンピュータによって全自動で実行されてもよい。
【0064】
図3に記載の例では、型部材1の三次元形状データは、型部材1の突起2の外表面21(例えば、外周面22、より具体的には、外周面22に配置される溝221)の位置および形状に、仮想細長体7の湾曲部の位置および形状が対応するとの条件が満たされるように、作成される。
【0065】
より具体的には、
図4に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、型部材1の第1突起2aの第1外表面21a(例えば、第1外周面22a、より具体的には、第1外周面22aに配置される第1溝221a)の位置および形状に、仮想細長体7の第1湾曲部71の位置および形状が対応するとの第1条件、および、型部材1の第2突起2bの第2外表面21b(例えば、第2外周面22b、より具体的には、第2外周面22bに配置される第2溝221b)の位置および形状に、仮想細長体7の第2湾曲部72の位置および形状が対応するとの第2条件が満たされるように、作成されることが好ましい。付加的に、型部材1の三次元形状データは、上述の第1条件および上述の第2条件に加え、型部材1の第3突起2cの第3外表面21c(例えば、第3外周面22c、より具体的には、第3外周面22cに配置される第3溝221c)の位置および形状に、仮想細長体7の第3湾曲部73の位置および形状が対応するとの第3条件が満たされるように、作成されてもよい。
【0066】
付加的に、
図4に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、上述の第1条件(あるいは、上述の第1条件および第2条件)に加え、型部材1の先端部支持用突起4の外表面(例えば、先端部支持用突起4の外表面に配置されるガイド溝421)の位置および形状に、仮想細長体7の先端側湾曲部70の位置および形状が対応するとの第4条件が満たされるように、作成されてもよい。
【0067】
図4に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、仮想細長体7の基端部75に対応する位置に、基端部75を位置決めする位置決め部(より具体的には、位置決め穴3h)が形成されるとの条件が満たされるように、作成されることが好ましい。
図4に記載の例では、位置決め穴3hが、基端部支持用突起3(より具体的には、基端部支持用の柱30)の端面310eに形成されている。
【0068】
図4に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、仮想細長体7の先端部76に対応する位置に、先端部支持用突起4(より具体的には、
図4に例示されるように、支持面43、第2面45、および、支持面43と第2面45との間のエッジ部41を有する先端部支持用突起4)が形成されるとの条件が満たされるように、作成されることが好ましい。特に、型部材1の三次元形状データは、仮想細長体7の先端76eに対応する位置に、上述のエッジ部41が形成されるとの条件が満たされるように、作成されることが好ましい。
【0069】
図4に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、仮想細長体7の先端部76に対応する位置に、V字状溝43vが配置される支持面43と、第2面45と、支持面43と第2面45との間のエッジ部41と、を有する先端部支持用突起4が形成されるとの条件が満たされるように、作成されてもよい。
【0070】
図3に例示されるように、型部材1の三次元形状データによって規定される複数の突起2のうちの少なくとも1つは、外周面22に溝221が配置された柱20であってもよい。また、型部材1の三次元形状データによって規定される複数の突起2のうちの少なくとも1つは、稜部に溝221dが配置された山状の突起2dであってもよい。
【0071】
図3に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、複数の突起2を直接的または間接的に支持するベース54が形成されるとの条件が満たされるように、作成されてもよい。
【0072】
図3に例示されるように、型部材1の三次元形状データは、少なくとも1つの突起2を支持する台座51と、当該台座51を支持するベース54とが形成されるとの条件が満たされるように、作成されてもよい。
【0073】
サブステップST1-4において、型部材1の三次元形状データに基づいて、3Dプリンタ105を用いて、少なくとも2つの突起2を有する型部材1が作製される。
【0074】
図5には、型部材1の三次元形状データに基づいて、3Dプリンタ105を用いて、型部材1が作製される様子の一例が示されている。
【0075】
図5に記載の例では、3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、心線8に第1湾曲部81を形成するための第1ガイド部220a(より具体的には、第1溝221a)を有する第1突起2a、および、心線8に第2湾曲部82を形成するための第2ガイド部220b(より具体的には、第2溝221b)を有する第2突起2bを備えた型部材1を作製する。
【0076】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、上述の第1突起2aおよび上述の第2突起2bに加えて、心線8に第3湾曲部83を形成するための第3ガイド部220c(より具体的には、第3溝221c)を有する第3突起2cを備えた型部材1を作製してもよい。
【0077】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、上述の第1突起2a(あるいは、上述の第1突起2aおよび上述の第2突起2b)に加えて、心線8に先端側湾曲部80を形成するためのガイド溝421を有する先端部支持用突起4を備えた型部材1を作製してもよい。
【0078】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、心線8の基端部85を位置決めする位置決め部(より具体的には、位置決め穴3h)を備えた型部材1(より具体的には、位置決め穴3hが配置された基端部支持用突起3を備えた型部材1)を作製してもよい。
【0079】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、先端部支持用突起4を備えた型部材1(より具体的には、支持面43、第2面45、および、支持面43と第2面45との間のエッジ部41を有する先端部支持用突起4を備えた型部材1)を作製してもよい。
【0080】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、稜部に溝221dが配置された山状の突起2dを備えた型部材1を作製してもよい。
【0081】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、複数の突起2を直接的または間接的に支持するベース54を備えた型部材1を作製してもよい。
【0082】
3Dプリンタ105は、型部材1の三次元形状データに基づいて、少なくとも1つの突起2を支持する台座51と、当該台座51を支持するベース54とを備えた型部材1を作製してもよい。
【0083】
図6には、型部材1の三次元形状データに基づいて、3Dプリンタ105を用いて作製された型部材1の一例が示されている。
【0084】
(滅菌工程)
第2ステップST2において、型部材1が滅菌される。第2ステップST2は、型部材滅菌工程である。型部材滅菌工程は、型部材1をガス滅菌(例えば、酸化エチレンガス滅菌)することを含んでいてもよい。なお、型部材1が、病院外で作製される場合には、病院外で作製された型部材1が病院内に搬入された後、病院内で、型部材1が滅菌されるようにしてもよい。
【0085】
(心線成形工程)
第3ステップST3において、心線8が成形される。第3ステップST3は、心線成形工程である。心線成形工程は、例えば、医師等の医療従事者によって実行される。なお、心線8は、心線成形工程の実行前に滅菌されていることが好ましい。心線成形工程(第3ステップST3)は、複数のサブステップを含む。
【0086】
サブステップST3-1において、心線8の基端85eが位置決め穴3h(より具体的には、有底穴)に挿入される。心線8の基端85eが、位置決め穴3hに挿入されることにより、心線8の基端85eが位置決め穴3hによって位置決めされる。
図9に記載の例では、基端部支持用突起3(より具体的には、基端部支持用突起3の端面310e)に有底の位置決め穴3hが形成されている。
【0087】
サブステップST3-1は、省略されてもよい。
【0088】
サブステップST3-2において、型部材1の複数の突起2の外表面に沿って心線8が湾曲される。
【0089】
図12に例示されるように、心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-2)は、第1突起2a(より具体的には、第1突起2aの外周面)に形成された第1溝221aに沿って心線8を配置することにより、心線8に、第1溝221aに対応する第1湾曲部81を形成することを含んでいてもよい。
【0090】
図12に例示されるように、心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-2)は、第2突起2b(より具体的には、第2突起2bの外周面)に形成された第2溝221bに沿って心線8を配置することにより、心線8に、第2溝221bに対応する第2湾曲部82を形成することを含んでいてもよい。
【0091】
図12に記載の例では、心線成形工程において、心線8が、第1突起2aと第2突起2bとに跨って配置される。また、心線成形工程において、第1突起2aと第2突起2bとの間の領域で、心線8は型部材1から離間している。
【0092】
図12に例示されるように、心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-2)は、第3突起2c(より具体的には、第3突起2cの外周面)に形成された第3溝221cに沿って心線8を配置することにより、心線8に、第3溝221cに対応する第3湾曲部83を形成することを含んでいてもよい。
【0093】
図13に例示されるように、心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-2)は、先端部支持用突起4(より具体的には、先端部支持用突起4の外周面)に形成されたガイド溝421に沿って心線8を配置することにより、心線8に、ガイド溝421に対応する先端側湾曲部80を形成することを含んでいてもよい。
【0094】
図13に例示されるように、心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-2)は、山状の突起2d(より具体的には、山状の突起2dの稜部)に形成された溝221dに沿って心線8を配置することにより、心線8に、溝221dに対応する湾曲部84を形成することを含んでいてもよい。
【0095】
心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-2)は、心線8の基端部85により近い位置から順に、心線8を湾曲成形することを含むことが好ましい。
図12に記載の例では、第1に、心線8において、基端部85に最も近い湾曲部(84)が、位置決め穴3hの近傍に配置された突起(2d)に設けられた1番目の溝(221d)に沿うように形成される。第2に、心線8において、基端部85に2番目に近い湾曲部(83)が、1番目の溝(221d)の近傍に配置された突起(2c)に設けられた2番目の溝(221c)に沿うように形成される。第3に、心線8において、基端部85に3番目に近い湾曲部(82)が、2番目の溝(221c)の近傍に配置された突起(2b)に設けられた3番目の溝(221b)に沿うように形成される。第4に、心線8において、基端部85に4番目に近い湾曲部(81)が、3番目の溝(221b)の近傍に配置された突起(2a)に設けられた4番目の溝(221a)に沿うように形成される。第5に、心線8において、
図13に例示されるように、基端部85に5番目に近い湾曲部(80)が、4番目の溝(221a)の近傍に配置された突起(4)に設けられた5番目の溝(421)に沿うように形成される。
【0096】
なお、基端部85に「K」番目に近い湾曲部(「K」は、2以上の任意の自然数である。)を形成することは、「K-1」番目の溝に心線8が指で押し付けられた状態で実行されるとよい。
【0097】
サブステップST3-3において、心線8の先端部86に、屈曲部86bが形成される。
【0098】
図11に記載の例では、心線成形工程(より具体的には、サブステップST3-3)は、心線8の先端部86の第1部分86cを、型部材1の先端部支持用突起4の支持面43に沿って配置することと、心線8の先端部86の第2部分86aを、先端部支持用突起4の第2面45(より具体的には、端面451)に向けて曲げることとにより、心線8の第1部分86cと第2部分86aとの間に屈曲部86bを形成することを含む。
【0099】
なお、支持面43と第2面45との間にはエッジ部41が設けられていることが好ましい。この場合、心線8の先端部86の第2部分86aが、先端部支持用突起4の第2面45(より具体的には、端面451)に向けて曲げられるとき、エッジ部41を用いて、心線8に屈曲部86bを形成することができる。
【0100】
サブステップST3-3は、省略されてもよい。
【0101】
図14には、心線成形工程(第3ステップST3)の実行により成形された心線8の一例が示されている。
【0102】
(心線挿入工程)
第4ステップST4において、熱可塑性のカテーテル9に心線8が挿入される。第4ステップST4は、心線挿入工程である。なお、カテーテル9は、心線挿入工程の実行前に滅菌されていることが好ましい。
【0103】
図16に記載の例では、心線挿入工程は、カテーテル9の先端96e(より具体的には、動脈瘤Cに挿入されることとなる端)が、心線8の先端部86の第2部分86aによって位置決めされるように(より具体的には、カテーテル9の先端96eが、当該第2部分86aに接触するように)、カテーテル9に心線8を挿入することを含む。この場合、心線8の先端部86に対するカテーテル9の先端部の相対位置が、当該第2部分86aによって規定されるため、カテーテル9の先端部の形状が、心線8の先端部86の第1部分86cの形状に、より正確に対応することとなる。
図16に記載の例では、心線挿入工程の実行後、心線8の先端部86の第1部分86cは、カテーテル9の内側に位置し、心線8の先端部86の第2部分86aは、カテーテル9の外側に位置している。
【0104】
図15に例示されるように、心線挿入工程は、心線8の基端85eが、カテーテル9の先端96eからカテーテル9の基端95eに向かう方向に移動するように、心線8をカテーテル9に挿入することを含んでいてもよい。また、
図16に例示されるように、心線挿入工程の実行後、心線8の基端85e、および、心線8の先端86eの各々が、カテーテル9から露出するように構成されていてもよい。
【0105】
図16に記載の例では、心線挿入工程の実行により(換言すれば、カテーテル9に心線8が挿入されることにより)、心線8の第1湾曲部81によって、カテーテル9に、当該第1湾曲部81に対応する第1湾曲部(なお、当該第1湾曲部のことを、心線8の第1湾曲部81と区別するため、「カテーテル第1湾曲部91」と呼ぶ。)が形成される。
【0106】
図16に記載の例では、心線挿入工程の実行により(換言すれば、カテーテル9に心線8が挿入されることにより)、心線8の第2湾曲部82によって、カテーテル9に、当該第2湾曲部82に対応する第2湾曲部(なお、当該第2湾曲部のことを、心線8の第2湾曲部82と区別するため、「カテーテル第2湾曲部92」と呼ぶ。)が形成される。
【0107】
図16に記載の例では、心線挿入工程の実行により(換言すれば、カテーテル9に心線8が挿入されることにより)、心線8の第3湾曲部83によって、カテーテル9に、当該第3湾曲部83に対応する第3湾曲部(なお、当該第3湾曲部のことを、心線8の第3湾曲部83と区別するため、「カテーテル第3湾曲部93」と呼ぶ。)が形成される。
【0108】
図16に記載の例では、心線挿入工程の実行により(換言すれば、カテーテル9に心線8が挿入されることにより)、心線8の湾曲部84によって、カテーテル9に、当該湾曲部84に対応する湾曲部(なお、当該湾曲部のことを、心線8の湾曲部84と区別するため、「カテーテル湾曲部94」と呼ぶ。)が形成される。
【0109】
図16に記載の例では、心線挿入工程の実行により(換言すれば、カテーテル9に心線8が挿入されることにより)、心線8の先端側湾曲部80によって、カテーテル9に、当該先端側湾曲部80に対応する先端側湾曲部(なお、当該先端側湾曲部のことを、心線8の先端側湾曲部80と区別するため、「カテーテル先端側湾曲部90」と呼ぶ。)が形成される。
【0110】
(熱成形工程)
第5ステップST5において、心線8が挿入された状態のカテーテル9が熱成形される。第5ステップST5は、熱成形工程である。
【0111】
図17に記載の例では、熱成形工程は、ホットエアガン107から、心線8が挿入された状態のカテーテル9に向けて、加熱エアAを吹き付けることを含む。加熱エアAによって加熱されるカテーテル9は軟化する。
【0112】
(冷却工程)
第6ステップST6において、カテーテル9(より具体的には、心線8が挿入された状態のカテーテル9)が冷却される。第6ステップST6は、冷却工程である。熱可塑性のカテーテル9が冷却されることにより、カテーテル9のデフォルト形状(換言すれば、外力が作用していない状態におけるカテーテル9の形状)が、心線8の形状に対応する形状に固定される。
【0113】
冷却工程は、カテーテル9(より具体的には、心線8が挿入された状態のカテーテル9)を、暫くの間、室温で放置することを含んでいてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、冷却工程は、カテーテル9(より具体的には、心線8が挿入された状態のカテーテル9)に、常温エアあるいは冷却エアを吹き付けることを含んでいてもよい。
【0114】
(抜取工程)
第7ステップST7において、カテーテル9から心線8が抜き取られる。第7ステップST7は、抜取工程である。
図18には、抜取工程が実行された後の様子が示されている。
【0115】
上述の例では、血管Bの三次元形状データに基づいて作製された型部材1を用いて、心線8が成形される。よって、医療従事者等のユーザ(例えば、医師)は、型部材1の外表面(より具体的には、溝)に沿って心線8を湾曲させることにより、迅速且つより正確に、心線8を成形することができる。また、正確に湾曲された心線8をカテーテル9に挿入して加熱することにより、従来よりも簡単且つより正確に、3次元的に湾曲したカテーテル9を作製することができる。その結果、より安全、且つ、より迅速に、カテーテル9を血管内の所望の位置に配置することが可能となる。
【0116】
(第2の実施形態)
図1乃至
図24を参照して、第2の実施形態における心線成形用型部材1と模型6との組み合わせ、および、血管挿入用カテーテル9の作製方法について説明する。
図20は、第2の実施形態における心線成形用型部材1と模型6との組み合わせの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図21は、心線8の形状と、血管の長手方向軸線AXの形状とが比較されている様子を模式的に示す図である。
図22は、カテーテル9の形状と、血管の長手方向軸線AXの形状とが比較されている様子を模式的に示す図である。
図23は、第2の実施形態における血管挿入用カテーテルの作製方法の一例を示すフローチャートである。
図24は、第2の実施形態の変形例における血管挿入用カテーテルの作製方法の一例を示すフローチャートである。
【0117】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0118】
図20に例示されるように、第2の実施形態における心線成形用型部材1と模型6との組み合わせは、心線成形用型部材1と、心線成形用型部材1とは別の模型6とを含む。心線成形用型部材1については、第1の実施形態において説明済みであるため、心線成形用型部材1についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0119】
図21に記載の例において、模型6は、血管Bの長手方向軸線AXの形状を示す模型である。模型6は、血管Bの長手方向軸線AXの形状を示す第1模型61を含む。模型6(より具体的には、第1模型61)は、
図2において説明された仮想細長体7の形状を模擬した部分62を含んでいてもよい。
【0120】
図20および
図21に例示されるように、心線成形用型部材1と、模型6との組み合わせが準備される場合、心線成形用型部材1を用いて心線8が成形された後、当該心線8の形状と、血管の長手方向軸線AXの形状とを比較することができる。心線8の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状から逸脱している場合には、心線8の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状に合致するように、心線8の形状が微修正される。
【0121】
図20および
図22に例示されるように、心線成形用型部材1と、模型6との組み合わせが準備される場合、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8がカテーテル9に挿入された状態において、当該カテーテル9の形状と、血管の長手方向軸線AXの形状とを比較することができる。カテーテル9の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状から逸脱している場合には、心線8が挿入された状態におけるカテーテル9の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状に合致するように、心線8およびカテーテル9の形状が微修正される。その後、カテーテル9は、心線8がカテーテル9に挿入された状態で、熱成形される。
【0122】
第2の実施形態における心線成形用型部材1と模型6との組み合わせは、第1の実施形態における心線成形用型部材1と同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態では、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8の形状、あるいは、当該心線8が挿入された状態のカテーテル9の形状と、血管の長手方向軸線AXの形状とを、非画面上で、且つ、等尺度で、比較できる。このため、心線8の形状(あるいは、カテーテル9の形状)が所望の形状になっているか否かを、より正確に把握することができる。
【0123】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図22を参照して、第2の実施形態における心線成形用型部材1と模型6との組み合わせにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0124】
(模型6の作製)
模型6の作製は、例えば、血管Bの三次元形状データ(必要であれば、
図1を参照。)、あるいは、仮想細長体7の三次元形状データ(必要であれば、
図2を参照。)に基づいて、3Dプリンタ(3次元的なデジタルモデルをもとにして物体を形成するプリンタ)を用いて行われることが好ましい。
【0125】
(第1模型61)
図21に記載の例では、模型6は、血管Bの長手方向軸線AXの形状を示す第1模型61を含む。
図21に記載の例では、第1模型61の頂面63が、血管Bの長手方向軸線の形状を示している。第1模型61の頂面63には、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8を載置可能であってもよい。代替的に、あるいは、付加的に、第1模型61の頂面63には、当該心線8が挿入された状態のカテーテル9を載置可能であってもよい。
【0126】
(血管模型66)
図21に記載の例では、模型6は、血管B(必要であれば、
図1を参照。)の三次元形状モデルを示す血管模型66を含む。模型6が、第1模型61に加えて、血管模型66を有する場合、医療従事者等のユーザ(より具体的には、医師)は、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8の形状(あるいは、当該心線8が挿入された状態のカテーテル9の形状)と、患者の血管の形状とを、非画面上で、且つ、等尺度で、比較できる。このため、心線8の形状(あるいは、心線8が挿入された状態のカテーテル9の形状)が所望の形状になっているか否かを、より正確に把握することができる。
【0127】
血管模型66において、血管を模擬した部分の内部は、空洞であってもよいし、中実であってもよい。血管模型66において、血管を模擬した部分の内部が空洞である場合、血管模型66は、当該空洞にアクセスするための開口を有していてもよい。また、当該空洞に、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8(あるいは、カテーテル9)を挿入可能であってもよい。
【0128】
(血管挿入用カテーテル9の作製方法)
続いて、第2の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法について説明する。第2の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法において、第1ステップST1乃至第7ステップST7は、第1の実施形態における第1ステップST1乃至第7ステップST7と同様であるため、第1ステップST1乃至第7ステップST7についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0129】
第8ステップST8において、模型6が作製される。第8ステップST8は、模型作製工程である。
【0130】
模型作製工程では、血管Bの三次元形状データ(必要であれば、
図1を参照。)、および、仮想細長体7の三次元形状データ(必要であれば、
図2を参照。)のうちの少なくとも一方に基づいて、3Dプリンタを用いて、血管Bの長手方向軸線AXの形状を示す模型6が作製される。
【0131】
模型作製工程において、血管Bの三次元形状データ(必要であれば、
図1を参照。)、および、仮想細長体7の三次元形状データ(必要であれば、
図2を参照。)のうちの少なくとも一方に基づいて、3Dプリンタを用いて、血管Bの長手方向軸線AXの形状を示す第1模型61と、血管Bの三次元形状モデルを示す血管模型66とを含む模型6が作製されてもよい。
図20には、模型作製工程によって作製された模型6の一例が示されている。
【0132】
模型6の作製は、型部材1の作製よりも前に実行されてもよいし、型部材1の作製よりも後で実行されてもよいし、型部材1の作製と同じタイミングで実行されてもよい。
【0133】
(滅菌工程)
第9ステップST9において、模型6が滅菌される。第9ステップST9は、模型滅菌工程である。模型滅菌工程は、模型6をガス滅菌(例えば、酸化エチレンガス滅菌)することを含んでいてもよい。なお、模型6が、病院外で作製される場合には、病院外で作製された模型6が病院内に搬入された後、病院内で、模型6が滅菌されるようにしてもよい。
【0134】
模型滅菌工程(第9ステップST9)は、型部材滅菌工程(第2ステップST2)よりも前に実行されてもよいし、型部材滅菌工程(第2ステップST2)よりも後で実行されてもよいし、型部材滅菌工程(第2ステップST2)と同じタイミングで実行されてもよい。
【0135】
(比較工程、および、形状修正工程)
図21に例示されるように、第10ステップST10において、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8の形状と、模型6によって示される血管の長手方向軸線AXの形状とが比較される。第10ステップST10は、比較工程である。比較工程は、医療従事者等のユーザ(より具体的には、医師)の目視によって行われる。
【0136】
上述の比較工程において、心線8の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状から逸脱していると判断される場合、第11ステップST11において、心線8の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状に合致するように、心線8の形状が修正される。第11ステップST11は、形状修正工程である。形状修正工程は、医療従事者等のユーザ(より具体的には、医師)の手作業によって行われる。
【0137】
(比較工程の変形例、および、形状修正工程の変形例)
代替的に、
図22に例示されるように、第10ステップST10(比較工程)において、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8が挿入された状態のカテーテル9の形状と、模型6によって示される血管の長手方向軸線AXの形状とが比較されてもよい。当該比較工程は、医療従事者等のユーザ(より具体的には、医師)の目視によって行われる。
【0138】
上述の比較工程において、カテーテル9の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状から逸脱していると判断される場合、第11ステップST11(形状修正工程)において、心線8が挿入された状態におけるカテーテル9の形状が、血管の長手方向軸線AXの形状に合致するように、心線8およびカテーテル9の形状が修正される。当該形状修正工程は、医療従事者等のユーザ(より具体的には、医師)の手作業によって行われる。
【0139】
図23あるいは
図24に記載の例では、上述の比較工程および上述の形状修正工程が、熱成形工程(第5ステップST5)よりも前に実行される。代替的に、あるいは、付加的に、上述の比較工程および上述の形状修正工程が、熱成形工程(第5ステップST5)よりも後に実行されてもよい。この場合、上述の形状修正工程の実行後、再度、熱成形工程(第5ステップST5)が実行される。
【0140】
第2の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法は、第1の実施形態における血管挿入用カテーテル9の作製方法と同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態では、心線成形用型部材1を用いて成形された心線8の形状、あるいは、当該心線8が挿入された状態のカテーテル9の形状と、血管の長手方向軸線AXの形状とを、非画面上で、且つ、等尺度で、比較できる。このため、心線8の形状(あるいは、カテーテル9の形状)が所望の形状になっているか否かを、より正確に把握することができる。
【0141】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 :心線成形用型部材
2 :突起
2a :第1突起
2b :第2突起
2c :第3突起
2d :山状の突起
3 :基端部支持用突起
3h :位置決め穴
4 :先端部支持用突起
6 :模型
7 :仮想細長体
7e :仮想細長体の先端
8 :心線
9 :血管挿入用カテーテル
20 :柱
20a :第1柱
20b :第2柱
20c :第3柱
21 :外表面
21a :第1外表面
21b :第2外表面
21c :第3外表面
21d :外表面
22 :外周面
22a :第1外周面
22b :第2外周面
22c :第3外周面
30 :柱
40 :柱
41 :エッジ部
42 :外周面
43 :支持面
43v :V字状溝
45 :第2面
51 :台座
54 :ベース
61 :第1模型
62 :仮想細長体の形状を模擬した部分
63 :頂面
66 :血管模型
70 :先端側湾曲部
71 :第1湾曲部
72 :第2湾曲部
73 :第3湾曲部
75 :仮想細長体の基端部
76 :仮想細長体の先端部
76e :仮想細長体の先端
80 :先端側湾曲部
81 :第1湾曲部
82 :第2湾曲部
83 :第3湾曲部
84 :湾曲部
85 :心線の基端部
85e :心線の基端
86 :心線の先端部
86a :心線の先端部の第2部分
86b :屈曲部
86c :心線の先端部の第1部分
86e :心線の先端
90 :カテーテル先端側湾曲部
91 :カテーテル第1湾曲部
92 :カテーテル第2湾曲部
93 :カテーテル第3湾曲部
94 :カテーテル湾曲部
95e :カテーテルの基端
96e :カテーテルの先端
102 :血管の画像
105 :3Dプリンタ
107 :ホットエアガン
220a :第1ガイド部
220b :第2ガイド部
220c :第3ガイド部
220d :ガイド部
221 :溝
221a :第1溝
221b :第2溝
221c :第3溝
221d :溝
310 :心線の基端部を囲む面
310e :基端部支持用突起の端面
420 :ガイド部
421 :ガイド溝
431 :側部支持面
451 :端面
A :加熱エア
B :血管
C :動脈瘤
C2 :動脈瘤の内壁