(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005616
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ろ過システム
(51)【国際特許分類】
B01D 24/36 20060101AFI20240110BHJP
B01D 24/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B01D29/08 510A
B01D29/08 520A
B01D29/08 540A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105881
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】518314833
【氏名又は名称】株式会社グリーンズメンテル
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】上田 年男
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BA02
4D116BA06
4D116BA07
4D116BA08
4D116DD02
4D116EE04
4D116EE06
4D116EE09
4D116EE12
4D116FF02A
4D116GG09
4D116GG24
4D116GG29
4D116KK04
4D116QA02C
4D116QA02D
4D116QA02F
4D116QA06C
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QA06G
4D116UU13
4D116UU14
4D116VV07
(57)【要約】
【課題】多量の原水を供給した場合であっても原水が外部にあふれることなくろ過できるろ過システムを提供する。
【解決手段】有孔の砕石からなる第1層11、第1層11より粒径が小さな砕石からなる第2層12、第2有孔層よりも更に粒径が小さな砂と焼砂が混合された第3層13、第3層13と同じ粒径の砂と有孔の砂が混合された第4層14、各層11~14の間に配置された透過性を有する分離層15からなるろ過層10と、ろ過層10の外部に設けられ、下端から原水を供給する外部管50、ろ過層10を上下方向に貫通するように設けられ、外部管50の上端側から原水の供給を受ける内部管60、内部管60の下端側から原水の供給を受け、供給を受けた原水をろ過層10の下側からろ過層10に対して供給する給水機構70を備えた給水部20と、ろ過層10でろ過したろ過水をろ過層10の上部から排出する排出部30と、を備えたろ過システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水をろ過するろ過層と、
前記ろ過層の下側から前記ろ過層へ前記原水を供給する給水部と、
前記ろ過層でろ過したろ過水を前記ろ過層の上部から排出する排出部と、
を備えたことを特徴とするろ過システム。
【請求項2】
請求項1に記載のろ過システムにおいて、
前記給水部は、
前記ろ過層の外部に設けられ、下端から前記原水を供給する外部管と、
前記ろ過層を上下方向に貫通するように設けられ、前記外部管の上端側から前記原水の供給を受ける内部管と、
前記内部管の下端側から前記原水の供給を受け、供給を受けた前記原水を前記ろ過層の下側からろ過層に対して供給する給水機構と、
を備えていることを特徴とするろ過システム。
【請求項3】
請求項2に記載のろ過システムにおいて、
前記給水機構は、
前記内部管から供給される前記原水を前記ろ過層の下側に供給するために複数の給水口を有し、
前記複数の給水口は、前記内部管に近い位置にある給水口の口径が遠い位置にある給水口の口径以下であることを特徴とするろ過システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のろ過システムにおいて、
前記ろ過層は、
有孔の砕石からなる第1層と、
前記第1層の上側に積層され、前記第1層よりも砕石の粒径が小さな砕石からなる第2層と、
前記第2層に積層され、前記第2有孔層の砕石の粒径よりも更に粒径が小さな砂と焼砂が混合された第3層と、
前記第3層に積層され、前記第3層の砂と焼砂の粒径と同じ粒径の砂と有孔の砂が混合された第4層と、
前記第1層と前記第2層、前記第2層と前記第3層及び前記第3層と前記第4層との間に配置され、各層を構成する構成物の混合を防止するための、透過性を有する分離層と、
を備え、
前記給水部は、前記第1層に前記原水を供給し、
前記排出部は、前記第4層から前記ろ過水を排出することを特徴とするろ過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽や池の水などをろ過して水槽や池の水の水質管理を容易にするろ過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、砂ろ過装置のろ過最下部に集水・分水部を設け、その上に栗石層と砂利層若しくは穴あき板を形成し、さらにその上に粒径0.05~0.2mmの細砂を充填した細砂層を形成する。このような構成を有する細砂緩速ろ過装置に、原水をろ過速度2~100m/日で流し、目詰まり時には細砂部分を逆流して再生する。このときの逆流タイミングをタイマー又はろ過時の圧力損失によって決定するようにしたろ過装置がある。
【0003】
このろ過装置は、薬品を用いず、標準的な緩速ろ過法よりも維持管理が簡単で安全な浄水を得ることが可能となり、また、特に汚濁が激しくないが微細な腐葉や大雨時に濁水となる原水も浄化できる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが上記ろ過装置では、原水をろ過装置の上面側から供給し、ろ過水を下面側から取り出している。したがって、多量の原水をろ過装置に供給した場合、ろ過しきれなかった原水が上側から外部にあふれ出することがあり、原水を正常にろ過できない場合があるという課題があった。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、多量の原水を供給した場合であっても原水が外部にあふれることなくろ過できるろ過システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
[適用例1]
適用例1に記載の発明は、
原水をろ過するろ過層(10)と、
前記ろ過層(10)の下側から前記ろ過層(10)へ前記原水を供給する給水部(20)と、
前記ろ過層(10)でろ過したろ過水を前記ろ過層(10)の上部から排出する排出部(30)と、
を備えたことを要旨とするろ過システム(1)である。
【0009】
このようなろ過システム(1)では、原水がろ過層(10)の下側から上側に向かって供給され、ろ過後のろ過水がろ過層(10)の上部から排出される。したがって、多量の原水をろ過装置に供給した場合であっても、原水がろ過システム(1)の外部に漏れだすことがなくろ過できることとなる。
【0010】
また、原水をろ過層(10)の上側から下側へ供給した場合、原水の供給を停止した場合にろ過層(10)に原水を保水できない。したがって、原水の供給を再開した場合にろ過水に濁りが出る場合がある。
【0011】
これに対し、本発明のように、ろ過層(10)の下側から原水を供給すると原水の供給を停止した場合でもろ過層(10)に原水を保水できる。したがって、原水の供給を再開した場合であってもろ過水に濁りが出にくくなるという利点もある。
【0012】
[適用例2]
適用例2に記載のろ過システム(1)は、適用例1に記載のろ過システム(1)において、
前記給水部(20)は、
前記ろ過層(10)の外部に設けられ、下端から前記原水を供給する外部管(50)と、
前記ろ過層(10)を上下方向に貫通するように設けられ、前記外部管(50)の上端側から前記原水の供給を受ける内部管(60)と、
前記内部管(60)の下端側から前記原水の供給を受け、供給を受けた前記原水を前記ろ過層(10)の下側からろ過層(10)に対して供給する給水機構(70)と、
を備えていることを要旨とする。
【0013】
このようなろ過システム(1)では、原水は、外部管(50)の下端から供給され、外部管(50)の上端に達する。そして、外部管(50)の上端から内部管(60)の上端に供給されて内部管(60)の下端に達する。さらに内部管(60)の下端から給水機構(70)に供給され、ろ過層(10)の下側からろ過層(10)に供給される。
【0014】
すると、ろ過システム(1)に供給される原水の量が多量であっても、ろ過システム(1)のろ過層(10)に供給される原水の量が自然に制限されるため、原水がろ過システム(1)の外部に漏れだすことがなくろ過できる。
【0015】
[適用例3]
適用例3に記載のろ過システム(1)は、適用例2に記載のろ過システム(1)において、
前記給水機構(70)は、
前記内部管(60)から供給される前記原水を前記ろ過層(10)の下側に供給するために複数の給水口(71)を有し、
前記複数の給水口(71)は、前記内部管(60)に近い位置にある給水口(71)の口径が遠い位置にある給水口(71)の口径以下であることを要旨とする。
【0016】
このようなろ過装置では、給水機構(70)の複数の給水口(71)のうち内部管(60)から遠い位置の給水口(71)の口径の方が近い位置の口径以上である。つまり、内部管(60)から供給される原水の圧力が高い部分では給水口(71)の口径が小さく、圧力が低くなるに従って供給口の口径が大きくなる。したがって、ろ過層(10)に対して、内部管(60)からの位置に関係なく一様な量の原水を供給することが可能となり、効率よく原水をろ過することができる。
【0017】
[適用例4]
適用例4に記載のろ過システム(1)は、適用例1~適用例3のいずれか1項に記載のろ過システム(1)において、
前記ろ過層(10)は、
有孔の砕石からなる第1層(11)と、
前記第1層(11)の上側に積層され、前記第1層(11)よりも砕石の粒径が小さな砕石からなる第2層(12)と、
前記第2層(12)に積層され、前記第2有孔層の砕石の粒径よりも更に粒径が小さな砂と焼砂が混合された第3層(13)と、
前記第3層(13)に積層され、前記第3層(13)の砂と焼砂の粒径と同じ粒径の砂と有孔の砂が混合された第4層(14)と、
前記第1層(11)と前記第2層(12)、前記第2層(12)と前記第3層(13)及び前記第3層(13)と前記第4層(14)との間に配置され、各層を構成する構成物の混合を防止するための、透過性を有する分離層(15)と、
を備え、
前記給水部(20)は、前記第1層(11)に前記原水を供給し、
前記排出部(30)は、前記第4層(14)から前記ろ過水を排出することを要旨とする。
【0018】
このようなろ過システム(1)では、第1層(11)~第4層(14)によって効率よくろ過を行うことができ、ろ過層全体として効率のよいろ過を行うことができる。また、各層を構成する構成物を容易に入手することも可能となる。
【0019】
また、分離層(15)によって各層が分離されて各層の構成物が他の層に混合することがないため、メンテナンスに頻度を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】水槽にろ過システムを適用した際の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0022】
(ろ過システムの構成)
図1に基づいてろ過システム1の構成について説明する。
図1は、ろ過システム1の概略の構成を示す図である。
【0023】
図1に示すように、ろ過システム1は、ろ過層10、給水部20、排出部30及びケース40を備えている。
ろ過層10は、原水をろ過する層であり、第1層11、第2層12,第3層、第4層及び分離層15を有している。
【0024】
第1層11は、有孔の砕石からなるろ過層であり、本実施形態では、有孔の砕石として、主成分が二酸化ケイ素の堆積岩であるチャート石の砕石(以下、チャート砕石と呼ぶ)を使用している。また、第1層11では、粒径が20~5mmのチャート砕石を用い、厚さを50mmの層としている。
【0025】
ここで、粒径とは、砕石や砂を、メッシュの大きさが粒径で指定された大きさのふるいにかけて通過するものをいう。例えば、粒径20mmの砕石とは、1辺が20mmの大きさのメッシュを通過する砕石のことを意味している。
【0026】
第2層12は、第1層11の上側に積層されたろ過層であり、第2層と同様のチャート砕石で大きさが13~5mmと第1層のチャート砕石よりも小さいものを用い、厚さを50mmの層としている。
【0027】
第3層13は、第2層12に積層されたろ過層であり、第2層のチャート砕石の大きさよりも小さな砂と焼砂とを混合したものを用いている。本実施形態では、大きさ3.5mmの洗砂、天然木曽砂と焼砂を混合したものを用い、厚さ100mmの層としている。
【0028】
第4層14は、第3層13に積層されたろ過層であり、第3層13と砂や焼砂と同じ粒径の有孔の砂とその有孔の砂よりも粒径の小さい砂とが混合されたろ過層である。有孔の砕石として、粒径3.5mmのチャート砕石と粒径3mmの砂を用い、厚さ100mmの層としている。
【0029】
分離層15は、第1層11と第2層12、第2層12と第3層13、第3層13と第4層14との間に配置された層であり、第1層11~第4層14を構成する構成物(砕石、チャート砕石あるいは砂)の各層11~14間での混合を防止するための層である。
【0030】
本実施形態では、第1層11と第2層12との間にメッシュの大きさが20mmの金網の分離層15a、第2層12と第3層との間にメッシュの大きさが8mmの金網の分離層15b、第3層13と第4層14との間にメッシュの大きさが5mmの金網の分離層15cが配置されている。
【0031】
給水部20は、ろ過層10の下側からろ過層10へ原水を供給する部分であり、外部管50、内部管60、給水機構70及び給水ポンプ80を備えている。
外部管50は、ろ過層10の外部に設けられた管であり、ビニル管などの樹脂管や鉄管などの金属管を用いている。
【0032】
内部管60は、ろ過層10の側面近傍を上下方向に貫通するように設けられた管であり、外部管50と同じ材質の管で形成されている。
また、内部管60の上端部分と外部管50の上端部とは、側面形状が略半円状の接続管61で接続されている。この接続管61により、原水が外部管50の上端側から内部管60の上端側に供給される。
【0033】
給水機構70は、内部管60の下端側から原水の供給を受け、供給を受けた原水をろ過層10の下側からろ過層10に対して供給する機構であり、ろ過層10の第1層11の下端部に配置されている。
【0034】
ここで、
図2に基づき給水機構70の構成について説明する。
図2は、給水機構70の概略の機構を示す図である。
図2に示すように、給水機構70は、ビニル管などの樹脂管や鉄管などの金属管の横管72を横方向に1個配置するとともに、ビニル管などの樹脂管や鉄管などの金属管の縦管73を横管72に重なるように2個配置する。横管72と縦管73とが重なる部分は貫通しており、横管72に供給された原水は縦管73にも供給されるようになっておいる。
【0035】
また、横管72の端部(
図2においてAで示す部分)に内部管60の下端の開口部が接続されている。
さらに、横管72と縦管73の上面(第1層11側)に、原水を第1層11に供給するための孔である給水口71が複数箇所に設けられている。
【0036】
この給水口71は、横管72に接続されている内部管60に近い位置にある給水口71の口径の方が遠い位置にある給水口71の口径以下となっている。本実施形態では、給水口71のうち内部管60に近い給水口71aの口径が6mm(
図2において白丸で示す)、内部管60に対して給水口71aよりも遠い位置にある吸水口71bの口径が10mm(
図2において黒丸で示す)となっている。
【0037】
排出部30は、ろ過層10でろ過したろ過水を前記ろ過層10の上部から排出する部分である。排出部30は、ビニル管などの樹脂管や鉄管などの金属管を用いて形成されており、ケース40の壁面において、第4層14の側面の位置に、開口面が下側になるように取り付けられている。
【0038】
ケース40は、ガラス板やポリエステルなどの樹脂板などを、上面が開口面である立方体状に形成したケースであり、内部に、ろ過層10、内部管60及び給水機構70を配置するとともに、側面に排出部30が取り付けられている。
【0039】
給水ポンプ80は、原水を吸入し外部管50に供給するための電動ポンプである。
【0040】
(ろ過システムの作動)
図3に基づき、ろ過システム1の作動について説明する。
図3は、水槽5にろ過システム1を適用した際の概略の構成を示す図である。
【0041】
図3に示すように、水槽5に、魚などを飼育する水(原水)を満たす。そして、水槽5の上側にろ過システム1を載置し、外部管50の下部と給水ポンプ80を原水の中に沈める。
【0042】
給水ポンプ80を電源に接続して作動させると、原水が給水ポンプ80から外部管50、接続管61、内部管60及び給水機構70を通して、ろ過層10に供給する。
ろ過層10に供給された原水は、第1層11、第2層12,第3層13及び第4層14でろ過されろ過水となって排出部30から排出され、水槽5へ戻される(
図1参照)。
【0043】
(ろ過システムの特徴)
以上のように、水槽5の原水を、ろ過システム1を介して循環させることにより、原水をろ過し続け、原水を清浄に保つことができる。
【0044】
また、原水がろ過層10の下側から上側に向かって供給され、ろ過後のろ過水がろ過層10の上部から排出される。したがって、多量の原水をろ過装置に供給した場合であっても、原水がろ過システム1の外部に漏れだすことがなくろ過できる。
【0045】
さらに、ろ過層10の下側から原水を供給しているため、原水の供給を停止した場合でもろ過層10に原水を保水できる。したがって、原水の供給を再開した場合であってもろ過水に濁りが出にくくなるという利点もある。
【0046】
また、ろ過システム1に供給される原水の量が多量であっても、ろ過システム1のろ過層10に供給される原水の量が自然に制限されるため、原水がろ過システム1の外部に漏れだすことがなくろ過できる。
【0047】
また、給水機構70の複数の給水口71のうち内部管60から遠い位置の給水口71の口径を近い位置の口径以上にすると、内部管60から供給される原水の圧力が高い部分では給水口71の口径が小さく、圧力が低くなるに従って供給口の口径が大きくなる。したがって、ろ過層10に対して、内部管60からの位置に関係なく一様な量の原水を供給することが可能となり、効率よく原水をろ過することができる。
【0048】
さらに、分離層15によって各層11~14が分離されて各層11~の構成物である砂、砕石などが他の層に混合することがないため、メンテナンスに頻度を減少させることができる。
【0049】
(ろ過性能評価試験結果)
次に、ろ過システム1のろ過性能を評価するために、ろ過システム1を水槽5に適用して、水槽5に溜めた原水を、ろ過システム1を介して循環させ、ろ過性能の評価試験を実施した。
【0050】
ろ過性能の評価方法としては、水の透明度で評価することとし、具体的には、日本分光株式会社製の紫外可視近赤外分光光度計(V―670DS)を使用して、ろ過前及びろ過後の水の分光透過率を計測することで、水の透明度改善の程度を評価した。
なお、水槽は、120cm(横幅)×45cm(高さ)×45cm(奥行)のサイズの水槽を使用し、試験用の原水としては、調整池に溜まっている水を使用した。
【0051】
具体的な試験方法は、以下の(ア)~(エ)による。
(ア)調整池から水をくみ取り、水槽に溜める(約220リットル)
(イ)水槽の水を少量とり、紫外可視近赤外分光光度計(V―670DS)を用いて分光透過率を計測する。
【0052】
(ウ)ろ過システム1を動作させ、24時間放置する。
(エ)水槽の水を少量とり、紫外可視近赤外分光光度計(V―670DS)を用いて分光透過率を計測する。
【0053】
図4に、ろ過性能評価試験の試験結果を示す。
図4は、ろ過前の原水とろ過後の水それぞれの分光透過率曲線を表している。
図4に示したように、ろ過システム1によるろ過前の原水の透過率は、最も高い透過率でも約66%(900nm)で、波長が短くなるにつれ透過率も減少している。
【0054】
これに対し、ろ過後の水の透過率は、計測した全波長帯域にわたって向上し、可視光域(約380nm~780nm)では、98.5%以上まで透過率が向上する結果が得られており、今回発明のろ過システム1が、優れたろ過性能を有していることが確認できた。
【0055】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、ろ過システム1を水槽5に適用していたが、水槽5の代わりに池などの構造物に使用してもよい。
【0056】
(2)上記実施形態では、有孔の砕石としてチャート石を用いており、その他、洗砂や天然木曽砂あるいは焼砂を用いていたが、同様の機能・性能を有するものであれば他の砕石や樹脂などを用いてもよい。
【0057】
(3)上記実施形態では、給水機構70は、横方向に1個配置した横管72と縦方向に配置した2本の縦管73で構成したが、横管72と縦管73の本数は、ろ過層10の平面形状の大きさや原水の供給量に応じて変更してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1… ろ過システム 5… 水槽 10… ろ過層 11… 第1層 12… 第2層 13… 第3層 14… 第4層 15… 分離層 30… 排出部 40… ケース 50… 外部管 60… 内部管 61… 接続管 70… 給水機構 71… 給水口 72… 横管 73… 縦管 80… 給水ポンプ。