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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056192
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 35/36 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B65B35/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162921
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】浦 正樹
【テーマコード(参考)】
3E054
【Fターム(参考)】
3E054AA11
3E054FA05
3E054GA01
3E054GB01
3E054GB02
(57)【要約】
【課題】 移載手段による物品の保持状態を正確に判定する。
【解決手段】 供給コンベヤ4は、キャップ1(物品)を供給箱3に複数行、複数列で収容した状態で供給する。
供給箱3に収容された上記キャップ1の各行の個数が一定である第1供給形態(第3供給形態)で供給した場合、移載手段6が供給箱3から1列のキャップ1を取り出すと、制御手段8はキャップ検出センサ9(検出手段)によって取り出したキャップ1の保持状態を判定する。
上記各行の個数が一定でない第2供給形態(第4供給形態)で供給箱3を供給した場合、上記移載手段6が供給箱3から1列のキャップ1を取り出すと、上方に設けた撮像手段7によって保持手段12に保持されたキャップ1を撮影し、制御手段8が画像認識により当該キャップ1の保持状態を判定する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を正立状態で供給する供給手段と、上記物品を排出する排出手段と、上記供給手段の物品を排出手段に移載する移載手段と、上記供給手段の物品を上方から撮像する撮像手段と、上記撮像手段が撮像した画像に基づいて、上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品移載装置において、
上記供給手段は、上記物品を供給箱に複数行、複数列で収容した状態で供給するとともに、上記供給箱に収容された上記物品の各行の個数を一定とした第1供給形態、もしくは上記各行の個数が一定でない第2供給形態のいずれかで供給し、
上記移載手段は、上記供給箱から1行の物品を保持する保持手段を備え、
上記供給手段と排出手段との間に、上記保持手段が保持した物品を検出する検出手段を設け、
上記制御手段は、
上記供給手段が上記第1供給形態で上記供給箱を供給した場合、上記移載手段が供給箱から上記1行の物品を取り出すと、上記検出手段によって物品の保持状態を判定する第1モードと、
上記第2供給形態で上記供給手段が上記供給箱を供給した場合、上記移載手段が供給手段から上記1行の物品を取り出すと、上記撮像手段によって保持手段に保持された物品を撮影するとともに、制御手段が画像認識によって当該物品の保持状態を判定する第2モードと、を実行可能に構成された
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
複数の物品を正立状態で供給する供給手段と、上記供給手段より上記物品を取り出して排出手段に移載する移載手段と、上記供給手段の物品を上方から撮像する撮像手段と、上記撮像手段が撮像した画像に基づいて、上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品移載装置において、
上記供給手段は、上記物品を供給箱に複数行、複数列で収容した状態で供給するとともに、上記撮像手段による上方からの撮像画像に基づいて認識可能な物品を上記収容箱内に収容した第3供給形態、もしくは上記撮像手段による上方からの撮像画像に基づいて認識できない物品を上記収容箱内に収容した第4供給形態のいずれかで供給し、
上記移載手段は、上記供給箱から1行の物品を保持する保持手段を備え、
また上記供給手段と排出手段との間に、上記保持手段が保持した物品を検出する検出手段を設け、
上記制御手段は、
上記供給手段が上記第3供給形態で上記供給箱を供給した場合、上記撮像手段が供給手段の物品を上方から撮像し、画像認識に基づいて上記移載手段が供給箱から上記1行の物品を取り出すと、上記検出手段によって物品の保持状態を判定する第1モードと、
上記供給手段が上記第4供給形態で上記物品を供給した場合、上記移載手段が供給手段から上記1行の物品を取り出すと、上記撮像手段によって保持手段に保持された物品の側面を撮影するとともに、制御手段が画像認識によって物品の保持状態を判定する第2モードと、を実行可能に構成された
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項3】
上記第4供給形態で供給される物品は、天面が光反射性の高い表面で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品移載装置に関し、詳しくは物品を上方から撮像した画像に基づいて、移載手段を制御するようにした物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品を正立状態で供給する供給手段と、上記物品を排出する排出手段と、上記供給手段の物品を排出手段に移載する移載手段とを備えた物品移載装置が知られている(特許文献1)。
上記特許文献1では、ランダムに供給された物品が供給手段に供給されると、当該供給手段の上方から撮像手段によって物品を撮像し、当該撮像手段が撮像した画像に基づいて制御手段が移載手段を制御し、当該物品を上記供給手段から上記排出手段に移載するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6-76105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1の物品移載装置は、物品を一つずつ移載しているため非効率であるという課題がある。
そこで、物品が複数行、複数列に整列した状態で収容された供給箱を供給手段に供給し、移載手段が当該供給箱から1列の物品を取り出して、これを排出手段に排出することが考えられる。
但し、このような構成とした場合、上記移載手段が物品を取り出した際に、移載手段による物品の保持状態、すなわちいわゆる歯抜け(取りこぼし)なく1列の物品をすべて保持できたか否かを検出する必要が生じる。
しかしながら、上記供給箱に収容された各列の物品の個数が一定でない場合があり、このような場合、単純に物品の有無を検出しただけでは、物品の保持状態を正確に判定することができないこととなる。
また近年、一つの装置で複数種類の物品を扱うことが求められているが、当該物品の天面に特殊な加工が施されている場合には、上記供給手段の上方に設けた撮像手段では当該物品の画像認識ができない場合が発生し、物品の保持状態を判定するのが困難となる。
このような問題に鑑み、本発明は異なる種類の物品が供給箱に収容された状態で供給されても、上記移載手段による物品の保持状態を正確に判定することが可能な物品移載手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明に係る物品移載装置は、複数の物品を正立状態で供給する供給手段と、上記物品を排出する排出手段と、上記供給手段の物品を排出手段に移載する移載手段と、上記供給手段の物品を上方から撮像する撮像手段と、上記撮像手段が撮像した画像に基づいて、上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品移載装置において、
上記供給手段は、上記物品を供給箱に複数行、複数列で収容した状態で供給するとともに、上記供給箱に収容された上記物品の各行の個数を一定とした第1供給形態もしくは上記各行の個数が一定でない第2供給形態のいずれかで供給し、
上記移載手段は、上記供給箱から1列の物品を保持する保持手段を備え、
上記供給手段と排出手段との間に、上記保持手段が保持した物品を検出する検出手段を設け、
上記供給手段が上記第1供給形態で上記供給箱を供給した場合、上記移載手段が供給箱から上記1列の物品を取り出すと、上記検出手段によって物品の保持状態を判定し、
上記第2供給形態で上記供給手段が上記供給箱を供給した場合、上記移載手段が供給手段から上記1列の物品を取り出すと、上記撮像手段によって保持手段に保持された物品を撮影するとともに、制御手段が画像認識によって当該物品の保持状態を判定することを特徴としている。
また請求項2の発明に係る物品移載装置は、複数の物品を正立状態で供給する供給手段と、上記供給手段より上記物品を取り出して排出手段に移載する移載手段と、上記供給手段の物品を上方から撮像する撮像手段と、上記撮像手段が撮像した画像に基づいて、上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品移載装置において、
上記供給手段は、上記物品を供給箱に複数行、複数列で収容した状態で供給するとともに、上記撮像手段によって収容箱内の物品を認識可能な第3供給形態、もしくは画像認識できない第4供給形態のいずれかで供給し、
また上記供給手段と排出手段との間に、上記保持手段が保持した物品を検出する検出手段を設け、
上記供給手段が上記第3供給形態で上記供給箱を供給した場合、上記撮像手段が供給手段の物品を上方から撮像し、画像認識に基づいて上記移載手段が供給箱から上記1列の物品を取り出すと、上記検出手段によって物品の保持状態を判定し、
上記供給手段が上記第4供給形態で上記物品を供給した場合、上記移載手段が供給手段から上記1列の物品を取り出すと、上記撮像手段によって保持手段に保持された物品の側面を撮影するとともに、制御手段が画像認識によって物品の保持状態を判定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、供給箱の内部の各列の物品の個数が同じ第1供給形態の場合、保持手段が保持する物品の個数は一定であるため、検出手段によって物品の有無を判定すれば、物品の歯抜け等を検出することができる。
一方、各列の物品の個数が異なる第2供給形態の場合、移載手段によって供給箱から物品を取り出した後に、撮像手段が保持手段によって保持された物品を撮像することで、保持された物品の保持状態を画像認識によって正確に判定することが可能となっている。
また上記請求項2の発明によれば、第3供給形態では供給箱の内部の物品を上記撮像手段によって上方から撮像することにより、保持する物品の個数を認識できるため、その後検出手段によって物品の有無を判定すれば、物品の歯抜け等を検出することができる。
一方、供給箱の内部の物品を上方からの撮像では画像認識できない第4供給形態の場合、移載手段によって供給箱から物品を取り出した後に、撮像手段が保持手段によって保持された物品の側面を撮像するため、画像認識によって物品の保持状態を判定することが可能となる。
このように、請求項1、2の発明によれば、異なる種類の物品が供給箱に収容された状態で供給されても、その収容状態や物品の状態に応じて、上記移載手段による物品の保持状態を正確に判定することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる物品移載装置の平面図
図2】物品移載装置の側面図
図3】キャップの斜視図
図4】供給箱および整列した状態で収容されたキャップを示す平面図
図5】第2供給形態(第4供給形態)における動作を示した図
図6】第2実施形態における第2供給形態(第4供給形態)の動作を示した図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施形態について説明すると、図1図2は物品としてのキャップ1を図示しないキャップ装着装置へと供給する物品移載装置2を示し、図1は平面図を、図2は側面図を示している。
上記物品移載装置2は、複数のキャップ1が供給箱3に収容された状態で供給される供給手段としての供給コンベヤ4と、上記キャップ1を上記キャップ装着装置へと排出する排出手段としての排出コンベヤ5と、上記供給コンベヤ4の供給箱3から上記キャップ1を取り出して排出コンベヤ5に移載する移載手段6と、上記供給コンベヤ4で供給箱3に収容されたキャップ1を上方から撮像する撮像手段7と、上記移載手段6を制御する制御手段8と、上記移載手段6によって保持されたキャップ1を検出する検出手段としてのキャップ検出センサ9とを備えている。ここで上記制御手段8としては、従来公知のコンピュータ等を用いることが可能となっている。
そして上記キャップ装着装置は複数種類の容器に複数種類のキャップ1を装着することが可能となっており、このため本実施形態の物品移載装置2では様々な種類のキャップ1が供給箱3に収容された状態で供給されるようになっている。
【0009】
図3は上記キャップ1の斜視図を示しており、当該キャップ1は例えば化粧品の容器に装着されるものとなっており、容器に装着された際に一体的なデザインを構成するような特殊な意匠を有している。
本実施形態では、上記キャップ1は略円柱状を有しているものの、その天面1aは側方から見て湾曲しており、また側面1bも上方に向けて拡径するテーパ状を有している。
さらに上記キャップ1には様々なバリエーションがあり、本実施形態では、その直径と天面1aの表面加工が異なった、2種類のキャップ1を取り扱うようになっている。
このうち、一方のキャップ1(後述する第2供給形態(第4供給形態)のキャップ1)には、天面1aに光反射性の高い表面加工、すなわち鏡面加工が施されたものとなっている。このような鏡面加工が施されたキャップ1を上方から撮像手段7によって撮像すると、周囲の風景が写りこんでしまい、画像認識によって当該キャップ1の形状を認識できないという問題がある。
【0010】
そしてこのようなキャップ1は、それぞれ1種類ごとに供給箱3に収容されて、本実施形態の物品移載装置2に供給されるようになっている。
上記キャップ1は正立状態、すなわち上記天面1aを上方に向けた状態で収容され、かつ複数行、複数列で整列した状態で収容されている。また供給箱3には図2に示すようにキャップ1が仕切り板3aを挟んで上下に複数段積層された状態で収容されるようになっている。
図4(a)(b)は、上記2種類のキャップ1がそれぞれ収容された供給箱3を平面視方向から見た図を示している。
図4(a)には、大径かつ天面1aに鏡面加工が施されていないキャップ1が収容され、以下、上記物品移載装置2によって当該キャップ1を取り扱う場合を第1供給形態(本発明にかかる請求項2においては第3供給形態)と呼ぶこととする。
第1供給形態(第3供給形態)では、上記キャップ1は図示上下方向となる行方向に8個整列し、かつ図示左右方向となる列方向に8列整列した状態で供給箱3に収容されている。
すなわち第1供給形態(第3供給形態)では、各列を構成するキャップ1の数が一定となっており、またキャップ1を上方から撮影した際には画像認識をすることが可能となっている。
【0011】
一方、図4(b)には、小径かつ天面1aに鏡面加工が施されたキャップ1が収容され、以下、上記物品移載装置2によって当該キャップ1を取り扱う場合を第2供給形態(本発明にかかる請求項2においては第4供給形態)と呼ぶこととする。
第2供給形態(第4供給形態)では、各列を構成するキャップ1の数が9個または8個となっており、各列のキャップ1の数が一定となっていない。具体的には、左から1、3、5、7列目は8個、それ以外の列は9個のキャップ1で構成されている。
また第2供給形態(第4供給形態)においても、上記キャップ1は供給箱3に積層された状態で収容されており、キャップ1は上下の段で同じ配列で収容されるようになっている。
以上のように第2供給形態(第4供給形態)では、各列を構成するキャップ1の数が一定となっておらず、またキャップ1を上方から撮影した際には画像認識をすることができないものとなっている。
【0012】
上記供給コンベヤ4は、上記キャップ1が収容された供給箱3を搬送するベルトコンベヤによって構成され、図示しない位置決め手段によって上記供給箱3を所定の位置に停止させるようになっている。
上記排出コンベヤ5は上記キャップ1を一列に整列させた状態で搬送するベルトコンベヤとなっており、その下流端には図示しないが上記キャップ装着装置にキャップ1を供給するキャップ供給装置が設けられている。
【0013】
上記移載手段6は、上記排出コンベヤ5に隣接して設けられた従来公知のロボットによって構成され、当該ロボットを構成するアーム11と、当該アーム11の先端に設けられた保持手段12とによって構成されている。
上記制御手段8は上記アーム11を作動させることにより、保持手段12を供給コンベヤ4によって搬送された供給箱3の内部と、上記排出コンベヤ5との間で移動させるものとなっている。
上記保持手段12は、略棒状のステー12aと、当該ステー12aの下部に等間隔に設けられた複数の吸着ヘッド12bとから構成され、各吸着ヘッド12bには図示しない負圧供給手段によって負圧が供給されるようになっている。
上記ステー12aは、図4において破線で示すように1列のキャップ1の整列方向(図示上下方向)に沿って設けられ、かつ供給箱3の図示上下方向の幅よりも短く設定されている。これにより、上記ステー12aごと吸着ヘッド12bを供給箱3の内部に位置させることが可能となっている。
上記吸着ヘッド12bは、上記ステー12aに沿って等間隔に設けられており、当該吸着ヘッド12bの吸着面はフレキシブルな継手機構等によってその向きが変更可能となっている。
本実施形態では、吸着ヘッド12bの個数を、上記供給箱3に収容されている1列のキャップ1(8個ないし9個)よりも多い15個としており、図4に示すように、一つのキャップ1を一つないし二つの吸着ヘッド12bで吸着保持するようになっている。
これにより、1列を構成するキャップ1の個数が8個または9個でない場合であっても、供給箱3から一列のキャップ1を吸着保持することが可能となっており、多品種のキャップ1を扱うことが可能となっている。
【0014】
上記撮像手段7は、上記供給コンベヤ4の上方に設けられており、垂直下方に位置する供給箱3の内部に収容されたキャップ1を撮影することが可能となっている。そして撮像手段7が撮像した画像は従来公知の方法によって制御手段8が画像認識するようになっている。
本実施形態では、供給箱3の内部に収容されたキャップ1を上方から撮影し、制御手段8が画像認識することにより、当該供給箱3に収容されたキャップ1の抜けや倒れを検出するとともに、整列したキャップ1の各行あたりの個数や、列右数を認識することが可能となっている。
しかしながら、第2供給形態(第4供給形態)で扱うキャップ1のように、天面に鏡面加工が施されている場合には、特に天面が湾曲して形成されていることと相まって、天面を撮影した画像には当該天面で反射した周囲の風景が写り込むため、制御手段8による画像認識が困難となっている。
【0015】
上記キャップ検出センサ9は上記供給コンベヤ4の上方に設けられており、具体的には上記供給コンベヤ4によって搬送された供給箱3の上端部よりも上方に隣接した位置に設けられている。
またキャップ検出センサ9は、供給コンベヤ4に供給された供給箱3を挟んで設けられた発光部9aと受光部9bとによって構成され、上記発光部9aは供給コンベヤ4の搬送方向に直交する方向にライン状の光を照射し、供給箱3を挟んで反対側に設けられた受光部9bが上記ライン状の光を受光するように構成されている。
後述するように、上記移載手段6の保持手段12が上記供給箱3から1列のキャップ1を吸着保持すると、アーム11が保持手段12を上方に移動させ、上記発光部9aと受光部9bとの間に保持したキャップ1を位置させる。
すると、発光部9aより照射された光は上記キャップ1によって阻止され、保持手段12が1列のキャップ1をすべて吸着保持している場合には、光が受光部9bに受光されないこととなる。
一方、所要の吸着ヘッド12bにおいて吸着ミス、いわゆる歯抜けが生じた場合には、キャップ1の吸着されていない位置で発光部9aの光が受光部9bに受光されることとなり、保持手段12によるキャップ1の保持不良と判定することができる。
【0016】
ここで、上記キャップ検出センサ9を用いた保持状態の判定を行う場合、連続する複数のキャップ1のうち、中間に位置するキャップ1が脱落していた場合には、透過した光によって保持不良を判断することができる。
しかしながら、連続する複数のキャップ1のうち、両端に位置しているキャップ1が脱落していた場合、その他のキャップ1とキャップ1とは連続して保持されていることから、一見しただけではキャップ1が脱落しているか否かを判定することができない。
つまり、第2供給形態(第4供給形態)のように1列を構成するキャップ1が8個ないし9個の場合、キャップ検出センサ9に8個のキャップ1を位置させても、この時の保持状態が正常なのか不良なのかを判定できないという問題があった。
【0017】
以下、上記構成を有する物品移載装置2の動作について説明する。
制御手段8には第1供給形態(第3供給形態)または第2供給形態(第4供給形態)のいずれの供給形態で物品移載装置2を作動させるかに応じて、以下に述べる第1モード、第2モードが登録されており、供給コンベヤ4には登録された供給形態の動作モードに対応するキャップ1を収容した供給箱3が供給される。
最初に、第1供給形態(第3供給形態)での第1モードの動作から説明すると、上記供給コンベヤ4に供給箱3が所定の向きで供給されると、供給コンベヤ4は当該供給箱3を所定の位置で停止させる。
続いて、供給コンベヤ4の上方に設けた撮像手段7が供給箱3の内部を撮像し、制御手段8が収容されたキャップ1の画像認識を行う。
第1供給形態(第3供給形態)で供給されたキャップ1は天面1aに鏡面加工が行われていないことから、第1モードでは画像認識によって供給箱3に収容されたキャップ1の整列状態を認識することが可能となっている。
制御手段8は、供給箱3の内部においてキャップ1の抜けや倒れが無いかを判定し、またキャップ1の個数を認識するとともに、整列しているキャップ1の各列の位置を認識する。
仮にキャップ1の抜けや倒れが検出された場合、制御手段8はその時点で所要の警報を発生させ、移載作業を中断させるようになっている。
【0018】
このようにして供給箱3の内部のキャップ1について画像認識が終了すると、制御手段8は移載手段6を制御して供給箱3のキャップ1を取り出す。
制御手段8は画像認識の結果に基づいて、上記移載手段6の保持手段12を供給箱3のキャップ1の所要の列の上方に位置させ、上記ステー12aに設けられた吸着ヘッド12bを当該キャップ1の整列方向に合わせる。
その後、保持手段12を下降させると、吸着ヘッド12bがキャップ1を吸着保持するが、この時、図4(a)に示すように1列を構成する8個のキャップ1に対し、15個の吸着ヘッド12bを用いることで、一つのキャップ1を一つないし二つの吸着ヘッド12bによって吸着保持するようになっている。
【0019】
このように吸着ヘッド12bによってキャップ1を吸着保持したら、制御手段8は保持手段12を上昇させ、吸着保持した1列のキャップ1を上記キャップ検出センサ9を構成する発光部9aと受光部9bとの間に位置させる。
保持手段12に8個のキャップ1が保持されている場合、発光部9aからの光はキャップ1によって遮られるため、制御手段8は保持手段12による保持状態に問題がないことを判定する。
一方、発光部9aの光が受光部9bに受光された場合、歯抜けなどの保持状態に問題があるものとして、警告を発生させる。
なお、キャップ1の形状等によっては一部の光が受光部9bに受光される場合があるが、その場合には予め受光部9bにマスク等を設定することにより、保持状態を判定することができる。
【0020】
キャップ検出センサ9による保持状態の検査が終了したら、制御手段8は移載手段6を制御し、保持手段12を上記排出コンベヤ5へと移動させ、保持されたキャップ1を排出コンベヤ5に整列した状態で載置する。
その後、制御手段8を移載手段6を制御して上記動作を繰り返し、供給箱3に収容されたキャップ1を1列ずつ取り出すとともに、これを上記キャップ検出センサ9によって保持状態を検査し、その後排出コンベヤ5に移載する。
上記キャップ1は供給箱3に積層された状態で収容されており、最上段のキャップ1が全て排出コンベヤ5に移載されると、上記保持手段12によってキャップ1とキャップ1との間に設けた仕切り板3aを除去し、その後、各段のキャップ1を移載するようになっている。
【0021】
次に、第2供給形態(第4供給形態)での第2モードの動作について説明すると、供給コンベヤ4が供給箱3を所定の位置で停止させると、制御手段8は移載手段6を制御して、上記保持手段12を供給箱3の上方に位置させる。
このとき、第1モードと異なり、撮像手段7による供給箱3の撮影は行わない。つまり上記第2供給形態(第4供給形態)で供給されるキャップ1の天面1aは鏡面加工されており、天面1aを撮影しても外部の風景が移りこんでしまうことから、キャップ1の抜けや倒れを判定することができない。
そこで第2モードにおいては、予め供給箱3の内部におけるキャップ1の各列の位置(およびその構成キャップ数)を制御手段8に登録しておき、制御手段8は登録された位置に保持手段12を移動させて、1列のキャップ1を吸着保持するようになっている。
その後、制御手段8は保持手段12を上昇させるとともに、図5に示すように供給箱3の上方で当該保持手段12を傾斜させる。すると、撮像手段7が上方から保持手段12に保持されたキャップ1を撮影する。
キャップ1の側面1bには鏡面加工が施されていないため、制御手段8は撮像されたキャップ1の側面1bの画像について画像認識が可能となり、保持手段12に保持されたキャップ1の個数を認識することができる。
上述したように、制御手段8には予め供給箱3に収容された各列のキャップ1の個数が登録されており、制御手段8は保持手段12によって実際に吸着保持した列のキャップ1の個数と、登録されているキャップ1の個数とを比較して、保持手段12による保持状態に問題がないことを判定する。
制御手段8は、画像認識による個数と登録されている個数との間に差が認められた場合には、歯抜けなどの保持状態に問題があるものとして、警告を発生させる。
その後は、第1モードと同様、保持手段12を排出コンベヤ5へと移動させて、1列のキャップ1を排出コンベヤ5に移載し、上述した動作を繰り返すようになっている。
【0022】
以上のように、本実施形態における物品移載装置2によれば、形状や天面1aの表面加工が異なるキャップ1であっても、これを供給箱3から取り出して排出コンベヤ5に移載することが可能となっている。
このとき、移載手段6は供給箱3からキャップ1を1列ずつ取り出して移載するようになっており、キャップ1を一つずつ移載する場合に比べて効率的に移載を行うことが可能となっている。
また、第2供給形態(第4供給形態)のように、供給箱3に収容される各列のキャップ1の個数が異なる場合、キャップ検出センサ9による保持状態の確認が困難であるところ、これを撮像手段7による画像認識を用いて行うことで、確実な保持状態の確認を行うことができる。
さらに、第2供給形態(第4供給形態)のように、キャップ1の天面1aが鏡面加工などの処理がされている場合、天面1aから撮影した画像では画像認識が困難となるが、キャップ1の側面1bを撮像することにより、画像認識を可能とし、確実な保持状態の確認を行うことができる。
但し、この場合においても、第1供給形態(第3供給形態)で使用する撮像手段7を用いてキャップ1の保持状態の確認を行うため、新たな撮像手段7が不要となっている。
【0023】
図6は、第2実施形態を示す物品移載装置2を示し、第2供給形態(第4供給形態)で供給されたキャップ1に対し、第2モードで上記移載手段6が供給箱3からキャップ1を取り出した状態を示している。
第1実施形態の第2モードでは、上記移載手段6が保持手段12ごとキャップ1を傾斜させることにより、上方に設けた撮像手段7によって当該キャップ1の側面1bを撮影するようになっている。
これに対し、本実施形態の第2モードにおいては、上記供給箱3の側方に反射鏡21を傾斜させて設けており、撮像手段7は当該反射鏡21によって反射したキャップ1の側面1bの画像を撮像することで、画像認識によるキャップ1の保持状態の確認を行うことが可能となっている。
【符号の説明】
【0024】
1 キャップ 1a 天面
2 物品移載装置 3 供給箱
4 供給コンベヤ(供給手段) 5 排出コンベヤ(排出手段)
6 移載手段 7 撮像手段
8 制御手段 9 キャップ検出センサ(検出手段)
12 保持手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6