IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パイオラックスの特許一覧

<>
  • 特開-流体フィルタ 図1
  • 特開-流体フィルタ 図2
  • 特開-流体フィルタ 図3
  • 特開-流体フィルタ 図4
  • 特開-流体フィルタ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056213
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】流体フィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20240416BHJP
   B01D 29/13 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B01D29/10 510C
B01D29/14 B
B01D29/10 530B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162949
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】▲土▼橋 美穂
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA12
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC77
4D116DD06
4D116FF12B
4D116GG02
4D116KK04
4D116QB03
4D116QB19
4D116QB23
4D116UU01
4D116UU06
4D116VV04
(57)【要約】
【課題】小型化によって内部流路が狭くなることを抑えた流体フィルタを提供する。
【解決手段】流体フィルタ10は、筒状に形成されるメッシュ部14と、メッシュ部14を支持するフレーム部12と、を備える。フレーム部12は、一端に環状に形成される開口部16と、開口部16から軸方向に沿って延びてメッシュ部14を支持し、周方向に離れて形成される第1柱部20および第2柱部22と、を有する。第1柱部20は、メッシュ部14よりも径方向外側に位置する本体部と、メッシュ部14よりも径方向内側に位置し、本体部から径方向内向きに突出する内方突出部と、を含む。内方突出部の先端側の周方向幅は、本体部の周方向幅よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されるメッシュ部と、
前記メッシュ部を支持するフレーム部と、を備え、
前記フレーム部は、
一端に環状に形成される開口部と、
前記開口部から軸方向に沿って延びて前記メッシュ部を支持し、周方向に離れて形成される第1柱部および第2柱部と、を有し、
前記第1柱部は、
前記メッシュ部よりも径方向外側に位置する本体部と、
前記メッシュ部よりも径方向内側に位置し、前記本体部から径方向内向きに突出する内方突出部と、を含み、
前記内方突出部の突出方向先端側の周方向幅は、前記本体部の周方向幅よりも小さいことを特徴とする流体フィルタ。
【請求項2】
前記本体部は、軸方向から見て、前記内方突出部の両側に前記メッシュ部に沿った内周面を有することを特徴とする請求項1に記載の流体フィルタ。
【請求項3】
前記内方突出部は、突出方向基端側に前記メッシュ部に沿った周面を有することを特徴とする請求項1に記載の流体フィルタ。
【請求項4】
前記内方突出部は、径方向内向きに向かって周方向幅が小さくなるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体フィルタ。
【請求項5】
前記第1柱部は、前記第2柱部よりも周方向幅が大きく、
前記メッシュ部は、網を重ね合わせて形成された重ね合わせ部を有し、
前記重ね合わせ部は、前記第1柱部によって支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ部とメッシュ部を支持するフレーム部とを備える流体フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一端側に開口が形成されて筒状をなす枠体と、枠体に外周に形成された開口を覆うメッシュ部材とを備えるフィルタ本体が開示されている。この枠体は、一端に位置して流通孔に当接するシール部と、他端に位置する支持座と、シール部および支持座を連結して周方向に均等間隔を空けて配置される複数の柱部とを有する。メッシュ部材は、複数の柱部に埋め込まれるように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2021-187363号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術において、フィルタ本体を小型化した場合に、メッシュ部の保持性を確保するため柱部が相対的に大きくなり、フィルタ本体の内部流路を狭め過ぎるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、小型化によって内部流路が狭くなることを抑えた流体フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の流体フィルタは、筒状に形成されるメッシュ部と、メッシュ部を支持するフレーム部と、を備える。フレーム部は、一端に環状に形成される開口部と、開口部から軸方向に沿って延びてメッシュ部を支持し、周方向に離れて形成される第1柱部および第2柱部と、を有する。第1柱部は、メッシュ部よりも径方向外側に位置する本体部と、メッシュ部よりも径方向内側に位置し、本体部から径方向内向きに突出する内方突出部と、を含む。内方突出部の突出方向先端側の周方向幅は、本体部の周方向幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型化によって内部流路が狭くなることを抑えた流体フィルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の流体フィルタの斜視図である。
図2】実施例の流体フィルタを被取付部材に取り付けた状態を示す図である。
図3図1に示す流体フィルタの線分A-A断面を示す図である。
図4図4(a)は、流体フィルタの上面図であり、図4(b)は、図1に示す流体フィルタの線分B-B断面を示す図である。
図5】変形例の流体フィルタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の流体フィルタ10の斜視図である。また、図2は、実施例の流体フィルタ10を被取付部材26に取り付けた状態を示す図である。流体フィルタ10は、例えば車両のトランスミッションのオイルに含まれる鉄粉やアルミや塵などの異物を除去するために用いられる。つまり、図2に示す被取付部材26は、トランスミッションの一部を構成し、流体回路を形成する。
【0010】
流体フィルタ10は、樹脂材料によって形成されたフレーム部12と、金属網を巻回して筒状に形成されたメッシュ部14とを備える。樹脂材料が筒状のメッシュ部14に対してインサート成形によって射出されてフレーム部12になり、メッシュ部14がフレーム部12と一体に埋め込まれるようになり、フレーム部12によって支持される。
【0011】
フレーム部12は、開口部16、基部18、第1柱部20および第2柱部22を有する。開口部16は、流体フィルタ10の一端に位置し、環状に形成される。基部18は、流体フィルタ10の他端に位置し、円盤状に形成される。第1柱部20および第2柱部22を区別しない場合、単に柱部という。
【0012】
第1柱部20および第2柱部22は、開口部16から基部18に亘って軸方向に沿って延び、周方向に離れて形成される。第1柱部20は、1つ形成され、第2柱部22よりも大きい。第2柱部22は複数形成されるが、1つであってもよい。第1柱部20および第2柱部22にメッシュ部14が埋め込まれて支持される。実施例の流体フィルタ10は小型であるため、メッシュ部14に対するフレーム部12の割合が多い。
【0013】
図2に示す流体フィルタ10は、被取付部材26の凹部26aに配置され、バネ28によって基部18を上方に付勢されて孔形成部26bに押し当てられて、被取付部材26に取り付けられる。流体フィルタ10は、孔形成部26bを介して上部の開口部16から流体を取り入れ、内部流路24を通って側面のメッシュ部14から流体を出す。このときメッシュ部14が異物の通過を制限して流体から異物を除去する。メッシュ部14は、所定の大きさ以上の異物が通過できないように格子状に形成される。なお、流体フィルタ10は、側面のメッシュ部14から流体を取り入れ、開口部16から流体を出してよい。
【0014】
図3は、図1に示す流体フィルタ10の線分A-A断面を示す図である。開口部16および基部18は軸方向に対向して配置され、開口部16は上方に開口している。基部18は、中央にて上方に突出して形成される錐部18aと、メッシュ部14の内側で凹んで形成される窪み部18bとを有する。窪み部18bは、異物を溜めるスペースとして機能する。
【0015】
図3に示すようにメッシュ部14は、開口部16の内周面、基部18、第1柱部20および第2柱部22に埋め込まれるように支持される。メッシュ部14は、柱部20,22の間で側面にて露出し、その露出部分14aが流体の出入り口になっている。
【0016】
第2柱部22は、メッシュ部14よりも径方向外側に位置する本体部22aと、メッシュ部14よりも径方向内側に位置し、本体部22aから径方向内向きに突出する内方突出部22bとを有する。内方突出部22bは、メッシュ部14をフレーム部12に強固に固定することができ、流体フィルタ10の剛性を高めることができる。
【0017】
図4(a)は、流体フィルタ10の上面図であり、図4(b)は、図1に示す流体フィルタ10の線分B-B断面を示す図である。第1柱部20は、メッシュ部14よりも径方向外側に位置する本体部20aと、メッシュ部14よりも径方向内側に位置し、本体部20aから径方向内向きに突出する内方突出部20bとを有する。
【0018】
メッシュ部14は、網を重ね合わせて形成された重ね合わせ部14bを有する。重ね合わせ部14bは、メッシュ部14の側面に一定の幅で軸方向に亘って形成される。メッシュ部14は、一枚の網を巻回して筒状にして形成され、網の端部を重ね合わせた部分を溶接で固められて、筒状態を維持している。
【0019】
重ね合わせ部14bは、網の重なりによってメッシュ密度が濃くなっており、露出部分14aに配置されると流体の移動を妨げることになる。そのため、重ね合わせ部14bは、露出部分14aに配置せず、第1柱部20に埋め込むように保持され、第1柱部20に支持される。重ね合わせ部14bの周方向幅は、溶接のためにある程度の大きさを確保することになり、例えば略2ミリメートルになる。本体部20aの周方向幅W1は、重ね合わせ部14bの周方向幅と同じか、少し大きくなるように設定される。流体フィルタ10は小型であるため、メッシュ部14の直径は略4ミリメートルとなり、重ね合わせ部14bを埋め込んだ第1柱部20は、内部流路24を狭める要因となる。このように、流体フィルタ10が小型化されたことによって、メッシュ部14の重ね合わせ部14bを埋める第1柱部20が相対的に大きくなる。
【0020】
そこで、内方突出部20bの突出方向先端側の周方向幅W2は、本体部20aの周方向幅W1よりも小さくなるように形成される。これにより、内方突出部20bを小さくして、内部流路24が狭まることを抑えることができ、流路を確保できる。内方突出部20bによって、メッシュ部14が本体部20aから剥離することを抑え、流体フィルタ10の剛性を高めることができる。なお、周方向幅W1および周方向幅W2は、図4(b)で直線状で示しているが、円弧状の寸法であってもよい。
【0021】
第2柱部22の周方向幅W3は、本体部22aおよび内方突出部22bともに一定であり、重ね合わせ部14bよりも小さく、約半分程度に設定される。また、第2柱部22の周方向幅W3は、内方突出部20bの突出方向先端側の周方向幅W2と略同一であってよい。
【0022】
第1柱部20は、第2柱部22よりも周方向幅が大きい。本体部20aの周方向幅W1は、第2柱部22の周方向幅W3よりも大きい。これにより、第2柱部22よりも大きい周方向幅の重ね合わせ部14bを第1柱部20に埋め込んでも、重ね合わせ部14bが露出部分14aに出ないようにできる。
【0023】
内方突出部20bの平均の周方向幅は、第2柱部22の周方向幅W3よりも大きく、内方突出部20bの突出方向基端側の周方向幅W4は、第2柱部22の周方向幅W3よりも大きい。本体部20aの周方向幅W1は、内方突出部20bの突出方向基端側の周方向幅W4よりも大きい。
【0024】
本体部20aは、軸方向から見て、内方突出部20bの両側に位置するメッシュ部14に沿った内周面20cを有する。内周面20cは、本体部20aの径方向内側に位置する。メッシュ部14の重ね合わせ部14bは、内周面20cに半分ほど埋まって状態にある。内方突出部20bの両側に本体部20aの内周面を露出させることで、内部流路24を十分に確保できる。また、内周面20cは異物を受け止める壁となり、異物が内周面20cに当たって止まったり、落ちたりすることで、異物がメッシュ部14の露出部分14aに直接当たって目詰まりする可能性を低減できる。
【0025】
内方突出部20bは、径方向内向きに向かって周方向幅が小さくなるように形成される。つまり、内方突出部20bが先端に向かって先細になるように形成される。これにより、内方突出部20bが基端側の周方向幅W4で一様である場合よりも小さくなり、内部流路24を大きくできる。また、内方突出部20bの側面と本体部20aの内周面20cとが交差する角度を鈍角にして成形を容易にできる。
【0026】
図5は、変形例の流体フィルタ100の断面図である。変形例の流体フィルタ100は、図4(b)に示す流体フィルタ10と比べて、第1柱部120の形状が異なる。
【0027】
第1柱部120は、メッシュ部14よりも径方向外側に位置する本体部120aと、メッシュ部14よりも径方向内側に位置し、本体部120aから径方向内向きに突出する内方突出部120bとを有する。
【0028】
内方突出部120bは、基端側にメッシュ部14に沿った周面120cを有する。
つまり、内方突出部120bの周面120cは、メッシュ部14の内周面に沿って湾曲しており、重ね合わせ部14bを全て覆うように形成される。内方突出部120bは、両側で凹むように形成されており、本体部120aがそのまま突出するよりも内部流路24を大きくできる。また、重ね合わせ部14bを覆うことで、メッシュ部14が本体部120aから剥離することを抑えることができる。
【0029】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0030】
10 流体フィルタ、 12 フレーム部、 14 メッシュ部、 14b 重ね合わせ部、 14a 露出部分、 16 開口部、 18 基部、 18a 錐部、 18b 窪み部、 20 第1柱部、 20a 本体部、 20b 内方突出部、 20c 内周面、 22 第2柱部、 22a 本体部、 22b 内方突出部、 24 内部流路、 26 被取付部材、 26b 孔形成部、 26a 凹部、 28 バネ。
図1
図2
図3
図4
図5