IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大日本印刷株式会社の特許一覧

特開2024-56218機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法
<>
  • 特開-機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法 図1
  • 特開-機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法 図2
  • 特開-機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法 図3
  • 特開-機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法 図4
  • 特開-機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法 図5
  • 特開-機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056218
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】機能制限管理システム、モバイル端末、コンピュータプログラムおよびモバイル端末の機能制限管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72463 20210101AFI20240416BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04M1/72463
H04M1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162955
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 哲治
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB33
5K127DA14
5K127GE11
5K127GE15
(57)【要約】
【課題】機能制限エリアに入場する際、機能制限エリアに応じた機能制限をモバイル端末に簡単に設定でき、更に、機能制限エリアに入場する際にモバイル端末に設定した機能制限を自動で解除できるようにする。
【解決手段】機能制限管理システム1は、モバイル端末2と、モバイル端末2に設定する機能制限を示す設定情報と機能制限の解除条件を示す解除情報を記憶したRFIDタグ3を含む。モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、RFIDタグ3から設定情報を読み出すと、設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定をする処理を行った後、モバイル端末2の機能を利用して解除条件が成立したか否かを判定し、解除条件が成立したと判定すると、設定情報で示される機能制限を解除する処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル端末と、前記モバイル端末に設定する機能制限を示す設定情報と、前記モバイル端末に設定した機能制限を解除する解除条件を示す解除情報を記憶したRFIDタグとから少なくとも構成され、
前記モバイル端末は、前記RFIDタグから前記設定情報と前記解除情報をそれぞれ読み出すと、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定した後、前記モバイル端末の機能を利用して前記解除条件が成立したか否かを判定し、前記解除条件が成立したと判定すると、前記設定情報で示される機能制限を解除する機能制限管理手段を備えている、
ことを特徴とする機能制限管理システム。
【請求項2】
前記モバイル端末の前記機能制限管理手段は、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定すると、機能制限を前記モバイル端末に設定したことを通知する設定通知を前記モバイル端末に表示することを特徴とする、請求項1に記載した機能制限管理システム。
【請求項3】
前記モバイル端末の前記機能制限管理手段は、前記設定情報で示される機能制限を解除すると、機能制限を前記モバイル端末で解除したことを通知する解除通知を前記モバイル端末に表示することを特徴とする、請求項2に記載した機能制限管理システム。
【請求項4】
前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を解除する時間を示す解除時間を含み、前記モバイル端末が備える前記機能制限管理手段は、前記モバイル端末が備える時計機能を利用して、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してからの時間を計測し、計測した時間が前記解除時間を超えると、前記解除条件が成立したと判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載した機能制限管理システム。
【請求項5】
前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアの位置範囲を示すエリア情報を含み、前記モバイル端末が備える前記機能制限管理手段は、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから、前記モバイル端末が備える位置計測機能を利用して位置情報を計測し、前記位置情報が前記エリア情報に含まれなくなると、前記解除条件が成立したと判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載した機能制限管理システム。
【請求項6】
前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに設置された無線機器を示す無線機器情報を含み、前記モバイル端末が備える前記機能制限管理手段は、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから、前記解除情報の前記無線機器情報に対応する前記モバイル端末の無線通信機能を利用して電波を受信し、前記電波を受信できなくなると、前記解除条件が成立したと判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載した機能制限管理システム。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一つに記載した機能制限管理システムを構成するモバイル端末。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一つに記載した機能制限管理システムを構成するモバイル端末が備える機能制限管理手段としてモバイル端末のプロセッサを動作させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
モバイル端末が、前記モバイル端末に設定する機能制限を示す設定情報と機能制限を解除する解除条件を示す解除情報を記憶したRFIDタグから、前記設定情報と前記解除情報を読み出すステップa、
前記モバイル端末が、前記RFIDタグから読み出した前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定するステップb、
前記モバイル端末が、前記モバイル端末の機能を利用して、前記解除条件が成立したか否かを判定するステップc、
前記モバイル端末が、前記解除条件が成立したと判定すると、前記設定情報で示される機能制限を解除するステップd、
を含むことを特徴するモバイル端末の機能制限管理方法。
【請求項10】
前記ステップbにおいて、前記モバイル端末は、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定すると、機能制限を前記モバイル端末に設定したことを通知する設定通知を前記モバイル端末に表示することを特徴とする、請求項9に記載したモバイル端末の機能制限管理方法。
【請求項11】
前記ステップdにおいて、前記モバイル端末は、前記設定情報で示される機能制限を解除すると、機能制限を前記モバイル端末で解除したことを通知する解除通知を前記モバイル端末に表示することを特徴とする、請求項10に記載したモバイル端末の機能制限管理方法。
【請求項12】
前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を解除する時間を示す解除時間を含み、
前記ステップcにおいて、前記モバイル端末は、前記モバイル端末が備える時計機能を利用して、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してからの時間を計測し、計測した時間が前記解除時間を超えると、前記解除条件が成立したと判定する、
ことを特徴とする、請求項9から11のいずれか一つに記載したモバイル端末の機能制限管理方法。
【請求項13】
前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアの位置範囲を示すエリア情報を含み、
前記ステップcにおいて、前記モバイル端末は、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから、前記モバイル端末が備える位置計測機能を利用して位置情報を計測し、前記位置情報が前記エリア情報に含まれなくなると、前記解除条件が成立したと判定する、
ことを特徴とする、請求項9から11のいずれか一つに記載したモバイル端末の機能制限管理方法。
【請求項14】
前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに設置された無線機器を示す無線機器情報を含み、
前記ステップcにおいて、前記モバイル端末は、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから、前記解除情報の前記無線機器情報に対応する前記モバイル端末の無線通信機能を利用して電波を受信し、前記電波を受信できなくなると、前記解除条件が成立したと判定する、
ことを特徴とする、請求項9から11のいずれか一つに記載したモバイル端末の機能制限管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、モバイル端末に機能制限を設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な用途に利用できるモバイル端末は様々な機能を備えるが、モバイル端末を使用するエリアによっては、モバイル端末の機能の使用に制限が設けられている。例えば、美術館など写真撮影を禁止しているエリアでは、モバイル端末が備えるカメラ機能の使用が禁止される。また、飛行機の中では、モバイル端末が備える無線通信機能のすべてまたは一部が禁止される。
【0003】
モバイル端末の機能の使用に制限が設けられたエリアである機能制限エリアでは、ポスターや音声などを利用して、モバイル端末に機能制限を設定することを来場者に伝達している。しかし、モバイル端末に機能制限を設定する手順を知らない人もいるため、モバイル端末の機能制限を簡単に設定できる仕組みが求められている。
【0004】
モバイル端末の機能制限に係る発明として、機能制限を設定する信号を他の機器から受信すると、この信号で指示される所定機能の実行を禁止する発明が、特許文献1で開示されている。また、ユーザ自身で機能制限を簡単に設定できるようにした発明が、特許文献2で開示されている。更に、撮影対象となる物に貼り付けた無線タグを用いて不正撮影を防止する発明が、特許文献3で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-264745号公報
【特許文献2】特開2018-160115号公報
【特許文献3】特開2007-5936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
モバイル端末の所持者が入場するエリアに応じた機能制限をモバイル端末に簡単に設定できることも必要であるが、エリアから退場する際など、エリアに入場する際にモバイル端末に設定した機能制限を自動で解除できることも必要である。
【0007】
そこで、本願では、モバイル端末の機能の使用に制限が設けられたエリアに入場する際、このエリアに応じた機能制限をモバイル端末に簡単に設定でき、更に、モバイル端末に設定した機能制限を自動で解除できるシステムなどを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する第1発明は、モバイル端末と、前記モバイル端末に設定する機能制限を示す設定情報と機能制限を解除する解除条件を示す解除情報を記憶したRFIDタグから少なくとも構成される機能制限管理システムである。
第1発明において、前記モバイル端末は、前記RFIDタグから前記設定情報と前記解除情報をそれぞれ読み出すと、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定した後、前記モバイル端末の機能を利用して前記解除条件が成立したか否かを判定し、前記解除条件が成立したと判定すると、前記設定情報で示される機能制限を解除する機能制限管理手段を備えている。

第1発明において、前記モバイル端末の前記機能制限管理手段は、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定すると、機能制限を前記モバイル端末に設定したことを通知する設定通知を前記モバイル端末の画面に表示することが望ましい。更に、第1発明において、前記モバイル端末の前記機能制限管理手段は、前記設定情報で示される機能制限を解除すると、機能制限を前記モバイル端末で解除したことを通知する解除通知を前記モバイル端末の画面に表示することが望ましい。
【0009】
第1発明では、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから所定の時間が経過したことを前記解除条件にできる。この場合、前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を解除する時間を示す解除時間を含む。前記モバイル端末が備える前記機能制限管理手段は、前記モバイル端末が備える時計機能を利用して、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してからの時間を計測し、計測した時間が前記解除時間を超えると、前記解除条件が成立したと判定する。
【0010】
更に、第1発明では、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに外に出たことを前記解除条件に利用できる。この場合、前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアの位置範囲を示すエリア情報を含む。前記モバイル端末が備える前記機能制限管理手段は、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから、前記モバイル端末が備える位置計測機能を利用して位置情報を計測し、前記位置情報が前記エリア情報に含まれなくなると、前記解除条件が成立したと判定する。
【0011】
更に、第1発明では、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに設置された無線機器から発せられる電波を受信できないことを前記解除条件に利用できる。この場合、前記RFIDタグが記憶する前記解除情報は、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに設置された無線機器を示す無線機器情報を含む。前記モバイル端末が備える前記機能制限管理手段は、前記RFIDタグから読み取った前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから、前記解除情報の前記無線機器情報に対応する前記モバイル端末の無線通信機能を利用して電波を受信し、電波を受信できなくなると、前記解除条件が成立したと判定する。
【0012】
上述した課題を解決する第2発明は、第1発明に係る機能制限管理システムを構成するモバイル端末である。また、上述した課題を解決する第3発明は、第1発明に係る機能制限管理システムを構成するモバイル端末が備える機能制限管理手段としてモバイル端末のプロセッサを動作させるコンピュータプログラムである。
【0013】
上述した課題を解決する第4発明は、モバイル端末が、前記モバイル端末に設定する機能制限を示す設定情報と機能制限を解除する解除条件を示す解除情報を記憶したRFIDタグから、前記設定情報と前記解除情報を読み出すステップa、前記モバイル端末が、前記RFIDタグから読み出した前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定するステップb、前記モバイル端末が、前記モバイル端末の機能を利用して前記解除条件が成立したか否かを判定するステップc、前記モバイル端末が、前記解除条件が成立したと判定すると、前記設定情報で示される機能制限を解除するステップdを含むことを特徴するモバイル端末の機能制限管理方法である。
第4発明の前記ステップbにおいて、前記モバイル端末は、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定すると、機能制限を前記モバイル端末に設定したことを通知する設定通知を前記モバイル端末の画面に表示することが望ましい。更に、第4発明の前記ステップdにおいて、前記モバイル端末は、前記設定情報で示される機能制限を解除すると、機能制限を前記モバイル端末で解除したことを通知する解除通知を前記モバイル端末の画面に表示することが望ましい。
【0014】
第1発明と同様に、第4発明においても、前記設定情報で示される機能制限を前記モバイル端末に設定してから所定の時間が経過したこと、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに外に出たこと、前記設定情報で示される機能制限を設けるエリアに設置された無線機器から発せられる電波を受信できないことなどを解除条件に利用できる。
【発明の効果】
【0015】
本願では、モバイル端末の機能制限が要求されるエリアに入場する際、設定情報を記憶したRFIDタグにモバイル端末を近づけるだけで、エリアに応じた機能制限をモバイル端末に設定でき、更に、モバイル端末に設定した機能制限を自動的に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】機能制限管理システムの構成を説明する図。
図2】RFIDタグを説明する図。
図3】スマートポスターを説明する図。
図4】モバイル端末を説明する図。
図5】モバイル端末の動作を説明する図。
図6】モバイル端末の画面に表示する通知の一例を図示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここから、本願に係る実施形態について記載する。本願に係る実施形態は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、本願発明は、これから記載する実施形態に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、図面は、本願発明の理解を容易にするために描かれた模式的な図である。
【0018】
図1は、機能制限管理システム1の構成を説明する図である。図2は、RFIDタグ3を説明する図である。図3は、スマートポスター4を説明する図である。図4は、モバイル端末2を説明する図である。図5は、モバイル端末2の動作を説明する図である。
【0019】
本願に係る機能制限管理システム1は、モバイル端末2の所持者6が入場する機能制限エリア5に応じた機能制限をモバイル端末2に簡単に設定でき、更に、機能制限エリア5に入場する際にモバイル端末2に設定した機能制限を自動で解除できることを目的として発案されたシステムである。
【0020】
図1で図示した通り、本願に係る機能制限管理システム1は、RFIDタグ3から情報を読み出す手段を備えたモバイル端末2と、所定の機能制限が設けられた機能制限エリア5の入口に掲示するRFIDタグ3から少なくとも構成される。
【0021】
本願において、RFIDタグ3は、NFC(Near Field Communication)に対応した媒体である。図2で図示した通り、RFIDタグ3は、ICチップ31とこれに接続するアンテナコイル30を備えている。RFIDタグ3が備えるICチップ31には、モバイル端末2の機能制限に係る情報として、モバイル端末2に設定する機能制限を示す設定情報と機能制限を解除する解除条件を示す解除情報が記憶される。
【0022】
機能制限エリア5で使用を禁止するモバイル端末2の機能を示す情報を、RFIDタグ3に記憶させる設定情報に用いることができる。モバイル端末2の機能とは、OS21によって提供される機能またはアプリケーションによって提供される機能になる。OS21によって提供される機能には、移動体通信機能またはカメラ機能などがある。アプリケーションによって提供される機能には、電話機能などがある。また、モバイル端末2が、機能制限モード(例えば、飛行機に乗車するときに設定する機内モード)を予め有している場合、機能制限モードを示す情報を、RFIDタグ3に記憶させる設定情報に用いることができる。
【0023】
本願に係る実施形態において、RFIDタグ3の掲示には、例えば、スマートポスター4が利用される。スマートポスター4とは、RFIDタグ3を貼り付けたポスター媒体である。ポスター媒体には、紙、プラスチックシート等を用いることができる。図1では、機能制限エリア5の入口に、RFIDタグ3を貼り付けたスマートポスター4がポスタースタンドを用いて掲示されている。
【0024】
図3で図示した通り、RFIDタグ3を貼り付けたスマートポスター4には、機能制限エリア5(図3では、撮影禁止エリア)に入場することを告げる絵柄4a、モバイル端末2を近づける箇所を示す絵柄4b、および、スマートポスター4の使用方法を説明する絵柄4cが印刷されている。図3において、RFIDタグ3は、モバイル端末2を近づける箇所を示す絵柄4bの裏側に貼られている。
【0025】
スマートポスター4では、NDEF (NFC Data Exchange Format)と呼ばれる形式をデータ形式に利用することが多い。この場合、例えば、NDEFレコードのID要素に、設定情報であることを示す情報または解除情報であることを示す情報を記憶させることができる。また、NDEFレコードのPAYLOAD要素に、設定情報の本体または解除情報の本体を記憶させることができる。
【0026】
図4で図示した通り,モバイル端末2は,モジュールとして,移動体通信モジュール22,近距離無線通信モジュール23、カメラモジュール24、位置計測モジュール25、NFCモジュール26および時計モジュール27を備える。モジュールとは、機能に合わせて必要な要素を集積した電子部品を意味する。当然のことながら,モバイル端末2は,プロセッサおよびメモリなど,モバイル端末2として動作するために必要で図5では図示していないハードウェアを備えている。また,モバイル端末2は,プロセッサを動作させるコンピュータプログラムとして,OS21とサービスアプリケーション20(これ以降,「サービスApp20」と略す。)を備えている。
【0027】
モバイル端末2の移動体通信モジュール22は,移動体通信機能に必要な要素を集積した電子部品である。近距離無線通信モジュール23は、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信機能に必要な要素を集積した電子部品である。カメラモジュール24は、レンズ、撮像センサおよびカメラ用のプロセッサなど、カメラ機能に必要な要素を集積した電子部品である。位置計測モジュール25は、GNSS(Global Navigation Satellite System)で必要な要素など、位置計測機能に必要な要素を集積した電子部品である。NFCモジュール26は,NFCで必要な要素を集積した電子部品である。NFCの規格では、非接触ICカードとしてNFCモジュール26を機能させることもできるが、本願では,RFIDタグ3と無線通信する手段として機能させるために、RFIDタグ3から情報を読み取るリーダライタとしてNFCモジュール26を機能させる。時計モジュール27は、時刻の計測に必要な要素を集積した電子部品である。
【0028】
モバイル端末2が備えるOS21は、モバイル端末2の動作を制御するコンピュータプログラムである。モバイル端末2が備えるOS21は、OS21の上で動作するアプリケーションに対し、モバイル端末2に実装されたモジュールを制御するためのAPI210(Application Programming Interface)を提供する。
【0029】
モバイル端末2が備えるサービスApp20は,モバイル端末2に実装されたOS21の上で動作するコンピュータプログラムである。モバイル端末2が備えるサービスApp20は,モバイル端末2で作動すると、RFIDタグ3から読みだした情報に基づいて、モバイル端末2の機能制限の設定とモバイル端末2の機能制限の解除を実行する機能制限管理手段200として機能する。機能制限管理手段200は、RFIDタグ3から設定情報を読み出すと、設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定をする処理を行う。また、RFIDタグ3から読み出した設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定した後、モバイル端末2から読み出した解除情報で示される解除条件が成立すると、機能制限管理手段200は、RFIDタグ3から読み出した設定情報で示される機能制限を解除する処理を行う。
【0030】
モバイル端末2の機能制限管理手段200は、RFIDタグ3から読み出した解除情報で示される解除条件に対応するモバイル端末2の機能を利用して、解除条件が成立したか否かを判定し、解除条件がすべて成立すると、RFIDタグ3から読み出した設定情報で示される機能制限を解除する。解除条件が成立したか否かの判定に用いるモバイル端末2の機能は、解除条件によって異なる。
【0031】
RFIDタグ3から読み取った設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定してから所定の時間が経過したことを解除条件にする場合、解除条件が成立したか否かの判定に用いるモバイル端末2の機能は、モバイル端末2が備える時計機能になる。図4で図示した通り、実施形態に係るモバイル端末2は、時計機能として時計モジュール27を備えている。この場合、RFIDタグ3が記憶する解除情報は、設定情報で示される機能制限を解除する時間を示す解除時間を含む。モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、モバイル端末2が備える時計モジュール27を利用して、RFIDタグ3から読み取った設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定してからの時間を計測し、計測した時間が解除時間を超えると、解除条件が成立したと判定する。
【0032】
機能制限エリア5に外に出たことを解除条件にする場合、解除条件が成立したか否かの判定に用いるモバイル端末2の機能は、モバイル端末2が備える位置計測機能になる。図4で図示した通り、実施形態に係るモバイル端末2は、位置計測機能として位置計測モジュール25を備えている。この場合、RFIDタグ3が記憶する解除情報は、設定情報で示される機能制限を設ける機能制限エリア5の位置範囲を示すエリア情報を含む。モバイル端末の機能制限管理手段200は、RFIDタグ3から読み取った設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定してから、モバイル端末2が備える位置計測モジュール25を利用して位置情報を計測し、位置情報がエリア情報に含まれなくなると、解除条件が成立したと判定する。モバイル端末2が備える位置計測機能としては、GNSS以外に、ビーコンなどの電波を利用して位置を計測する機能などを利用できる。
【0033】
機能制限エリア5に設置された無線機器から発せられる電波を受信できないことを解除条件にする場合、解除条件が成立したか否かの判定に用いるモバイル端末2の機能は、機能制限エリア5に設置された無線機器に対応する無線通信機能になる。無線機器とは、Wi-Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)など、近距離無線通信に係る電波を発信する機器を意味する。図4で図示した通り、実施形態に係るモバイル端末2は、無線通信機能として近距離無線通信モジュール23を備えている。この場合、RFIDタグ3が記憶する解除情報は、機能制限エリア5に設置された無線機器を示す無線機器情報を含む。モバイル端末の機能制限管理手段200は、RFIDタグ3から読み取った設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定してから、解除情報の無線機器情報に対応するモバイル端末2の近距離無線通信モジュール23を利用して電波を受信し、電波を受信できなくなると、解除条件が成立したと判定する。
【0034】
このように、本願では、RFIDタグ3に記憶させる解除情報によって、モバイル端末2に設定した機能制限の解除条件を変更できる。また、本願では、それぞれ異なる複数の解除情報をRFIDタグ3に記憶させることもできる。それぞれ異なる複数の解除情報をRFIDタグ3に記憶させた場合、複数の解除情報で示される複数の解除条件がすべて成立することが、機能制限を解除する条件となる。例えば、機能制限を解除する時間を示す解除時間を含む解除情報と、機能制限エリア5の位置範囲を示すエリア情報を含む解除情報の2つをRFIDタグ3に記憶させた場合、RFIDタグ3から読み取った設定情報で示される機能制限をモバイル端末2に設定してからの時間が解除時間を超え、かつ、モバイル端末2の位置情報がエリア情報に含まれなくなると、モバイル端末2の機能制限管理手段200は機能制限を解除する。
【0035】
図5は、モバイル端末2が備える機能制限管理手段200の動作を説明する図である。なお、図5の説明は、本願に係るモバイル端末2の機能制限管理方法の説明も兼ねている。
【0036】
モバイル端末2が備えるサービスApp20が起動した後、サービスApp20で所定の操作(例えば、機能制限のメニューを選択する操作)が実行されると、モバイル端末2の機能制限管理手段200が作動し(ステップS1)、モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、NFCモジュール26を利用してRFIDタグ3を検出する動作を行う(ステップS2)。RFIDタグ3の検出には、ポーリングコマンドと呼ばれるコマンドが利用される。モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、ポーリングコマンドに対するレスポンスを受信することで、モバイル端末2の近傍に存在するRFIDタグ3を検出する。
【0037】
モバイル端末2の近傍に存在するRFIDタグ3を検出すると、モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、NFCモジュール26を利用して、検出したRFIDタグ3から設定情報と解除情報それぞれを読み出す(ステップS3)。
【0038】
モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、ステップS3においてRFIDタグ3から読み出した設定情報に従う機能制限をモバイル端末2に設定する処理を実行する(ステップS4)。設定情報が、モバイル端末2の所持者6が入場するエリアで使用を禁止するモバイル端末2の機能を示す情報である場合、機能制限管理手段200は、API210を利用して、設定情報で示されるモバイル端末2の機能を無効にする処理を実行する。また、設定情報が機能制限モードを示す情報である場合、機能制限管理手段200は、API210を利用して、設定情報で示される機能制限モードをモバイル端末2で有効する処理を実行する。
【0039】
モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、ステップS3においてRFIDタグ3から読み出した解除情報で示される解除条件に対応するモバイル端末2の機能を利用して、解除条件が成立したか否かを判定する(ステップS5)。
【0040】
モバイル端末2が備える機能制限管理手段200は、ステップS3においてRFIDタグ3から読み出した解除情報で示される解除条件が成立すると、ステップS4においてモバイル端末2に設定した機能制限を解除して(ステップS6)、図5で図示した手順は終了する。
【0041】
ステップS4においてモバイル端末2の機能を禁止した場合、機能制限管理手段200は、API210を利用して、ステップS4において禁止したモバイル端末2の機能を有効にする処理を実行する。また、ステップS4において機能制限モードをモバイル端末2で有効にした場合、機能制限管理手段200は、API210を利用して、ステップS4において設定したモバイル端末2の機能制限モードを解除する。
【0042】
ここから、本願に係る機能制限管理システム1を不正撮影防止に適用した例について説明する。本願に係る機能制限管理システム1を不正撮影防止に適用する場合、機能制限エリア5は、美術館など、写真撮影が禁止された施設になる。写真撮影が禁止された施設への入場にはチケットが必要になることが多いため、チケットを管理するアプリケーションに、本願に係るサービスApp20を適用することが好適である。
【0043】
本願に係る機能制限管理システム1を不正撮影防止に適用する場合、モバイル端末2で制限される機能はカメラ機能になる。実施形態に係るモバイル端末2は、カメラ機能としてカメラモジュール24を備えている。この場合、RFIDタグ3は、カメラモジュール24の使用禁止を示す設定情報と、機能制限エリア5の位置範囲を示すエリア情報を含む解除情報を記憶する。
【0044】
本願に係る機能制限管理システム1を不正撮影防止に適用する場合、機能制限管理手段200は、図5のステップS3において設定情報と解除情報をRFIDタグ3から読み取ると、図5のステップS4においてモバイル端末2のカメラモジュール24を無効にする処理を実行する。モバイル端末2のカメラモジュール24を無効にするとは、カメラモジュール24を論理的にOS21から取り外すことを意味する。また、図5のステップS5において、機能制限管理手段200は、モバイル端末2の位置計測モジュール25が計測した位置情報を監視する。機能制限管理手段200は、モバイル端末2の位置計測モジュール25が計測した位置情報が、図5のステップS3でRFIDタグ3から読み取った解除情報のエリア情報に含まれなくなると、図5のステップS6において、モバイル端末2のカメラモジュール24を有効にする処理を実行する。モバイル端末2のカメラモジュール24を有効にするとは、カメラモジュール24とOS21を論理的に接続させることを意味する。
【0045】
このように、モバイル端末2を所持する所持者6は、撮影禁止となる機能制限エリア5に掲示されたスマートポスター4にモバイル端末2を近づけるだけで、モバイル端末2のカメラ機能を無効にでき、更に、モバイル端末2を操作することなく、モバイル端末2のカメラ機能を自動で有効に戻すことができる。
【0046】
なお、本願に係る機能制限管理システム1において、機能制限の対象になるモバイル端末2の機能は、カメラモジュール24に限定されない。例えば、本願に係る機能制限管理システム1では、NFCモジュール26を除く図5で図示したモジュールに対応する機能を機能制限の対象にできる。また、電話機能など、アプリケーションで提供される機能も機能制限の対象にできる。
【0047】
これまで説明した通り、本願に係る機能制限管理システム1では、モバイル端末2の機能制限が要求される機能制限エリア5に入場する際、設定情報を記憶したRFIDタグ3にモバイル端末2を近づけるだけで、機能制限エリア5に応じた機能制限をモバイル端末2に設定でき、更に、モバイル端末2に設定した機能制限を自動的に解除できる。
【0048】
モバイル端末2の機能制限に係る設定および解除は、モバイル端末2で実行される処理になる。そこで、機能制限をモバイル端末2に設定したこと、および、機能制限をモバイル端末2で解除したことを人が確認できることが望ましい。
【0049】
このことを実現するため、モバイル端末2の機能制限管理手段200は、図5のステップS4において、RFIDタグ3から読み出した設定情報に従う機能制限をモバイル端末2に設定すると、モバイル端末2に機能制限を設定したことを通知する設定通知をモバイル端末2のディスプレイに表示する。また、モバイル端末2の機能制限管理手段200は、図5のステップS6において、RFIDタグ3から読み出した設定情報に従う機能制限をモバイル端末2で解除すると、モバイル端末2で機能制限を解除したことを通知する解除通知をモバイル端末2のディスプレイに表示する。
【0050】
図6は、モバイル端末2の画面に表示する通知の一例を図示している。図6(a)では、モバイル端末2の画面に表示する設定通知201の一例を図示している。図6(b)では、モバイル端末2の画面に表示する解除通知202の一例を図示している。
【0051】
図6(a)で図示した通り、モバイル端末2に機能制限を設定したことを通知する設定通知201では、機能制限を設定したことと、機能制限を設定したモバイル端末2の機能が少なくとも通知される。図6(a)で図示した設定通知201は、機能制限を設定したことを通知する文字201aと、機能制限を設定した日時201bと、機能制限を設定したモバイル端末2の機能を示すアイコン201cを含んでいる。
【0052】
図6(b)で図示した通り、モバイル端末2の機能制限を解除したことを通知する解除通知202では、機能制限を解除したことと、機能制限を解除したモバイル端末2の機能が少なくとも通知される。図6(b)で図示した解除通知202は、機能制限を解除したことを通知する文字202aと、機能制限を解除した日時202bと、機能制限を解除したモバイル端末2の機能を示すアイコン202cを含んでいる。
【符号の説明】
【0053】
1 機能制限管理システム
2 モバイル端末
200 機能制限管理手段
201 設定通知
202 解除通知
3 RFIDタグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6