(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005625
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】スプライシング作業の割り当て装置、部品実装システム、スプライシング作業の割り当て方法、及び、スプライシング作業の割り当てプログラム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105890
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴仁
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC23
5E353EE37
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH23
5E353HH30
5E353JJ21
5E353LL03
5E353LL06
5E353LL07
5E353QQ01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品切れが頻発したり他の作業が集中したりする状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制する。
【解決手段】表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる生産管理PCであって、部品切れ時刻を予測するための情報が記憶されている記憶部と、制御部と、を備え、該制御部は、前記情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する複数の前記部品テープを予測する予測処理と、予測処理で予測した前記部品テープごとのスプライシング作業を、同一時刻に複数の作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる割り当て処理と、を実行し、割り当て処理において、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる、スプライシング作業の生産管理PC。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる割り当て装置であって、
部品テープの部品切れ時刻を予測するための情報が記憶されている記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する複数の部品テープを予測する予測処理と、
前記予測処理で予測した部品テープごとのスプライシング作業を、同一時刻に複数の作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる割り当て処理と、
を実行し、
前記割り当て処理において、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスプライシング作業の割り当て装置であって、
前記制御部は、割り当てたスプライシング作業の開始予定時刻の所定時間前に、部品切れのアラートを発出する発出処理を実行する、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスプライシング作業の割り当て装置であって、
前記制御部は、前記割り当て処理において、前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は、割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータに割り当てる、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のスプライシング作業の割り当て装置であって、
前記表面実装機は、基板に実装する部品とその部品を供給する部品テープとを示す基板データに基づいて基板に部品を実装するものであり、
前記制御部は、
前記割り当て処理で前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合に、スプライシング作業を割り当てることのできない部品テープのうち少なくとも1つの部品テープについて、当該部品テープに替えて当該部品テープと同じ種類の部品を保持している別の部品テープによって供給される部品を実装する基板データを作成する第1の作成処理を実行し、
前記少なくとも1つの部品テープの部品残数が所定数以下になった場合は前記第1の作成処理で作成した基板データに一時的に切り替えて基板に部品を実装すると仮定して前記割り当て処理を再実行し、
前記割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、前記表面実装機の生産計画を、前記少なくとも1つの部品テープの部品残数が所定数以下になった場合は前記第1の作成処理で作成した基板データに一時的に切り替える生産計画に変更する、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のスプライシング作業の割り当て装置であって、
前記制御部は、
前記割り当て処理で前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合に、それぞれが前記表面実装機を有する複数の生産ラインの生産開始時刻をずらした生産計画を作成する第2の作成処理を実行し、
前記第2の作成処理で作成した生産計画で基板を生産すると仮定して前記割り当て処理を再実行し、
前記割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、前記表面実装機の生産計画を、前記第2の作成処理で作成した生産計画に変更する、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のスプライシング作業の割り当て装置であって、
前記制御部は、
前記割り当て処理で前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合に、基板の生産順序を入れ替えた生産計画を作成する第3の作成処理を実行し、
前記第3の作成処理で作成した生産計画で基板を生産すると仮定して前記割り当て処理を再実行し、
前記割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、前記表面実装機の生産計画を、前記第3の作成処理で作成した生産計画に変更する、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のスプライシング作業の割り当て装置であって、
記憶部を備え、
前記制御部は、スプライシング作業の実作業時間をオペレータ毎に前記記憶部に記憶し、オペレータ毎に記憶した実作業時間に基づいてスプライシング作業の予測作業時間を決定する、スプライシング作業の割り当て装置。
【請求項8】
部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機と、
前記表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる請求項1又は請求項2に記載のスプライシング作業の割り当て装置と、
を備える部品実装システム。
【請求項9】
部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる割り当て方法であって、
部品テープの部品切れ時刻を予測するための情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する複数の部品テープを予測する予測工程と、
前記予測工程で予測した部品テープごとのスプライシング作業を、同一時刻に複数のスプライシング作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる割り当て工程と、
を含み、
前記割り当て工程において、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる、スプライシング作業の割り当て方法。
【請求項10】
部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる割り当てプログラムであって、
部品テープの部品切れ時刻を予測するための情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する複数の部品テープを予測する予測処理と、
前記予測処理で予測した部品テープごとのスプライシング作業を、同一時刻に複数のスプライシング作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる割り当て処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記割り当て処理において、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる、スプライシング作業の割り当てプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てるスプライシング作業の割り当て装置、部品実装システム、スプライシング作業の割り当て方法、及び、スプライシング作業の割り当てプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機では、部品テープの部品残数が少なくなると部品テープの後端部にその部品テープと同種の部品を保持している別の部品テープの先端部を繋げるスプライシング作業が行われている。
【0003】
そして、従来、スプライシング作業を行うオペレータの作業スケジュールを作成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の作業管理装置は、所定の期間に発生する作業を基板の生産情報に基づいて予測し、予測した作業を開始する開始予定時刻を作業習熟度に基づいて決定している。同文献には作業の一例として部品補給(スプライシング)が記載されている。
そして、同文献には、各作業について、その作業の開始予定時刻の10分前(所定時間前の一例)になるとその作業が割り当てられている作業者の携帯端末に作業指示を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-35808号公報(段落0063)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品切れが頻発したり他の作業が集中したりすると、スプライシング作業が間に合わず、表面実装機の実装動作が停止する可能性がある。特許文献1に記載の作業管理装置ではこれについて十分に検討されていなかった。
本明細書では、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる割り当て装置であって、部品テープの部品切れ時刻を予測するための情報が記憶されている記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する複数の部品テープを予測する予測処理と、前記予測処理で予測した部品テープごとのスプライシング作業を、同一時刻に複数の作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる割り当て処理と、を実行し、前記割り当て処理において、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】生産管理PCの電気的構成を占めずブロック図
【
図5】スプライシング作業の割り当てを説明するための模式図
【
図6】スプライシング作業の割り当てを説明するための模式図
【
図7】スプライシング作業の割り当て処理のフローチャート
【
図8A】実施形態2に係る基板データの一例を示す模式図
【
図9】スプライシング作業の割り当て処理のフローチャート
【
図10】スプライシング作業の割り当て処理のフローチャート
【
図11】スプライシング作業の割り当て処理のフローチャート
【
図14】比較例に係る部品切れのアラートの発出を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本実施形態の概要)
(1)実施形態に係るスプライシング作業の割り当て装置は、部品を保持している部品テープによって供給される部品を基板に実装する表面実装機のオペレータに部品テープのスプライシング作業を割り当てる割り当て装置であって、部品テープの部品切れ時刻を予測するための情報が記憶されている記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する複数の部品テープを予測する予測処理と、前記予測処理で予測した部品テープごとのスプライシング作業を、同一時刻に複数の作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる割り当て処理と、を実行し、前記割り当て処理において、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる。
【0010】
図14に示す比較例を参照して、従来の部品切れのアラートの発出について説明する。
図14において時点T3は部品Eaの部品テープ(以下、単に部品Eaという)の部品切れ予測時刻であり、時点T4は部品Ebの部品テープ(以下、単に部品Ebという)の部品切れ予測時刻である。
図14において他作業時間はスプライシング作業以外の他の作業に割り当てられている時間である。
図14に示す例では他作業時間中に部品Ea及び部品Ebの部品切れが発生する。
比較例では、各部品について、単にその部品の部品切れ予測時刻の所定時間前に部品切れのアラートを発出している。すなわち、比較例では、ある部品について部品切れのアラートを発出するとき、他の部品のスプライシング作業の作業時間は考慮されていない。
【0011】
具体的には、比較例では部品Eaの部品切れ予測時刻の所定時間前の時点T1で部品Eaの部品切れのアラートが発出されている。時点T1は部品Ebのスプライシング作業時間を考慮することなく決定されている。そして、部品Ebの部品切れ予測時刻の所定時間前の時点T2で部品Ebの部品切れのアラートが発出されている。部品Ebの部品切れのアラートも部品Eaのスプライシング作業時間を考慮せずに発出されている。このため、部品Eaの部品切れのアラートが発出された後、比較的短い時間間隔で部品Ebの部品切れのアラートが発出されている。
オペレータは時点T1で部品Eaのアラートが発出されると、部品Eaのスプライシング作業を行う。
図14に示す例では部品Eaのスプライシング作業のすぐ後に他作業が割り当てられているので、オペレータは他作業の前に部品Ebのスプライシング作業を行うことができない。このため部品Ebのスプライシング作業が間に合わず、表面実装機の実装動作が停止する。
【0012】
上記(1)に記載の割り当て装置によると、予測処理で予測した部品テープのスプライシング作業を、同一時刻に複数のスプライシング作業が重複しないように1人のオペレータに割り当てる。その場合に、上記(1)に記載の割り当て装置によると、予測される部品切れ時刻が早い部品テープほど先にスプライシング作業が開始されるように、予測される部品切れ時刻が遅い部品テープの順でスプライシング作業を割り当てる。このようにすると、いずれの部品テープについても部品切れになる前にスプライシング作業が完了するように割り当てることができる可能性が高くなる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。これにより、部品切れによる実装動作の停止を抑制できる。
【0013】
(2)前記制御部は、割り当てたスプライシング作業の開始予定時刻の所定時間前に、部品切れのアラートを発出する発出処理を実行してもよい。
【0014】
上記(2)に記載の割り当て装置によると、同一時刻に複数の作業が重複しないようにスプライシング作業を割り当てる。このため、スプライシング作業の作業時間が考慮されて割り当てられる。このため、スプライシング作業の開始予定時刻の所定時間前にアラートを発出することにより、スプライシング作業の作業時間を考慮してアラートを発出できる。
【0015】
(3)前記制御部は、前記割り当て処理において、前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は、割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータに割り当ててもよい。
【0016】
部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況では、部品切れが予測される全ての部品テープのスプライシング作業を1人のオペレータに割り当てることができない場合もある。
上記(3)に記載の割り当て装置によると、1人のオペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は、割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータに割り当てるので、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0017】
(4)前記表面実装機は、基板に実装する部品とその部品を供給する部品テープとを示す基板データに基づいて基板に部品を実装するものであり、前記制御部は、前記割り当て処理で前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合に、スプライシング作業を割り当てることのできない部品テープのうち少なくとも1つの部品テープについて、当該部品テープに替えて当該部品テープと同じ種類の部品を保持している別の部品テープによって供給される部品を実装する基板データを作成する第1の作成処理を実行し、前記少なくとも1つの部品テープの部品残数が所定数以下になった場合は前記第1の作成処理で作成した基板データに一時的に切り替えて基板に部品を実装すると仮定して前記割り当て処理を再実行し、前記割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、前記表面実装機の生産計画を、前記少なくとも1つの部品テープの部品残数が所定数以下になった場合は前記第1の作成処理で作成した基板データに一時的に切り替える生産計画に変更してもよい。
【0018】
スプライシング作業を割り当てることのできない部品テープの部品残数が所定数以下になった場合は第1の作成処理で作成した基板データに切り替えると、同じ種類の部品を保持している別の部品テープによって部品の供給が継続されるので、スプライシング作業を割り当てることのできない部品テープのスプライシング作業の作業期限時刻を遅らせることができる。作業期限時刻とは、その時刻までにスプライシング作業が完了しないと表面実装機の実装動作が停止する時刻のことをいう。作業期限時刻を遅らせると複数のスプライシング作業を分散させることができるので、より多くの場面で全てのスプライシング作業の割り当てが可能になる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0019】
(5)前記制御部は、前記割り当て処理で前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合に、それぞれが前記表面実装機を有する複数の生産ラインの生産開始時刻をずらした生産計画を作成する第2の作成処理を実行し、前記第2の作成処理で作成した生産計画で基板を生産すると仮定して前記割り当て処理を再実行し、前記割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、前記表面実装機の生産計画を、前記第2の作成処理で作成した生産計画に変更してもよい。
【0020】
上記(5)に記載の割り当て装置によると、複数の生産ラインの生産開始時刻をずらすことによって複数のスプライシング作業を分散させることができるので、より多くの場面で全てのスプライシング作業の割り当てが可能になる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0021】
(6)前記制御部は、前記割り当て処理で前記オペレータに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合に、基板の生産順序を入れ替えた生産計画を作成する第3の作成処理を実行し、前記第3の作成処理で作成した生産計画で基板を生産すると仮定して前記割り当て処理を再実行し、前記割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、前記表面実装機の生産計画を、前記第3の作成処理で作成した生産計画に変更してもよい。
【0022】
上記(6)に記載の割り当て装置によると、基板の生産順序を入れ替えることによって複数のスプライシング作業を分散させることができるので、より多くの場面で全てのスプライシング作業の割り当てが可能になる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0023】
(7)記憶部を備え、前記制御部は、スプライシング作業の実作業時間をオペレータ毎に前記記憶部に記憶し、オペレータ毎に記憶した実作業時間に基づいてスプライシング作業の予測作業時間を決定してもよい。
【0024】
上記(7)に記載の割り当て装置によると、オペレータ毎に実作業時間に基づいてスプライシング作業の予測作業時間を決定するので、オペレータの習熟度の変化や個人差に対応できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0026】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図7に基づいて説明する。以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0027】
(1)部品実装システム
図1を参照して、実施形態1に係る部品実装システム1について説明する。部品実装システム1は回路パターンが印刷された基板に電子部品などの部品を実装するシステムである。
部品実装システム1は1以上の生産ラインL(L1,L2,L3)、生産管理PC(パーソナルコンピュータ)2、及び、1以上のオペレータ端末3を備えている。生産管理PC2は割り当て装置及びコンピュータの一例である。これらの機器は通信ネットワーク4を介して通信可能に接続されている。オペレータ端末3は通信ネットワーク4に無線接続されている。
【0028】
オペレータ5(5A,5B)は生産ラインLで発生する作業(スプライシング作業やエラーの対処など)を行う作業者である。オペレータ5はオペレータ端末3を携帯している。実施形態1ではオペレータ5A(1人のオペレータの一例)は生産ラインL1の作業を担当しており、オペレータ5B(他のオペレータの一例)は生産ラインL2の作業を担当しているものとする。
【0029】
(1-1)生産ライン
各生産ラインLはそれぞれ1以上の表面実装機6を備えている。生産ラインLは表面実装機6以外にも基板Pに対する作業を行うその他の装置(ローダー、スクリーン印刷機、印刷検査機、ディスペンサ、実装後外観検査機、リフロー装置、硬化後外観検査機、アンローダーなど)を備えているが、
図1ではその他の装置については省略している。
【0030】
図2を参照して、表面実装機6について説明する。表面実装機6は基板Pに部品Eを実装する装置である。表面実装機6は架台10、搬送コンベア11、4つの部品供給装置12、ヘッドユニット13、ヘッド移動部14、制御部、及び、操作部を備えている。
架台10は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされている。
図2において二点破線で示す領域Aは、基板Pに部品Eを実装するときに基板Pが固定される作業位置(以下、作業位置Aという)である。作業位置Aの下方には作業位置Aに搬送された基板Pを固定する図示しないバックアップ装置が配されている。バックアップ装置は基板Pを下から支持する複数のバックアップピンを有している。
【0031】
搬送コンベア11は基板Pを搬送する装置である。搬送コンベア11はX方向に循環移動する一対の搬送ベルト15(前側搬送ベルト15A及び後側搬送ベルト15B)、搬送ベルト15が掛け回されている複数のローラ、搬送ベルト15を駆動するコンベア駆動モータなどを備えている。搬送コンベア11は上流側から搬入された基板Pを作業位置Aに搬送し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出する。
【0032】
部品供給装置12は表面実装機6のY方向の両側においてX方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。部品供給装置12には複数のテープフィーダ16がX方向に横並び状に整列して取り付けられている。各テープフィーダ16は部品Eを保持している部品テープ17(
図3参照)が巻回されたリール、及び、リールから部品テープ17を引き出す電動式の送出装置等を備えており、搬送コンベア11側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを1つずつ供給する。部品テープ17についての説明は後述する。
【0033】
ヘッドユニット13は部品Eを吸着及び解放する複数の実装ヘッド18、これらの実装ヘッド18を個別に昇降させるZ軸サーボモータ、及び、これらの実装ヘッド18を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータを備えている。実施形態1に係るヘッドユニット13は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド18がX方向に並んで設けられている。ヘッドユニット13は複数の実装ヘッド18が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
【0034】
ヘッド移動部14はヘッドユニット13を所定の可動範囲内でX方向及びY方向に移動させる機構である。ヘッド移動部14はヘッドユニット13をX方向に往復移動可能に支持しているビーム19、ビーム19をY方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール20、ヘッドユニット13をX方向に往復移動させるX軸サーボモータ、ビーム19をY方向に往復移動させるY軸サーボモータなどを備えている。
【0035】
図3を参照して、部品テープ17について説明する。部品テープ17は基板Pに実装する部品Eを保持しているテープである。部品テープ17は複数の収容凹部17Aが長手方向に等間隔に設けられているキャリアテープ17B、各収容凹部17Aに収容されている部品E、及び、キャリアテープ17Bの上面に張り付けられている剥離テープ17Cを有している。部品テープ17の幅方向の一方の側には部品供給装置12の送出装置が備えているスプロケットの歯が挿入される送り穴17Dが長さ方向に沿って等間隔で設けられている。部品Eには複数の種類があり、1つの部品テープ17には同一種類の部品Eが収容されている。
【0036】
(1-2)生産管理PC
図4を参照して、生産管理PC2について説明する。生産管理PC2は基板Pの生産を統括して管理するコンピュータである。生産管理PC2は基板Pの生産計画の立案、監視、オペレータ5の作業計画の立案、監視などの処理を実行する。
生産管理PC2は制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33及び操作部34を備えている。制御部30はCPU30A及びRAM30Bを備えている。制御部30は記憶部31に記憶されているプログラムを実行することによって生産管理PC2の各部を制御する。
【0037】
記憶部31はハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性の記憶媒体を有する記憶装置である。記憶部31には制御部30によって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。
各種のデータには生産ラインL毎の生産計画、後述する基板データ、基板1枚当たりの推定生産時間、部品テープ17に関する情報(部品残数など)、スプライシング作業の予測作業時間などが含まれる。生産計画は、生産する基板Pの機種、生産に用いる基板データ、各機種の生産順序、生産開始時刻などの情報である。スプライシング作業の予測作業時間はオペレータ5毎に記憶されている。オペレータ5毎の予測作業時間ではなく全てのオペレータ5に共通の予測作業時間が記憶されてもよい。
【0038】
通信部32は生産管理PC2を通信ネットワーク4に接続するための通信回路である。表示部33は液晶ディスプレイなどの表示装置、表示装置を駆動する駆動回路などで構成されている。操作部34はキーボード、マウス、タッチパネルなどである。
【0039】
(1-3)オペレータ端末
図1を参照して、オペレータ端末3について説明する。オペレータ端末3は情報を表示する表示部を備えるコンピュータであり、具体的にはタブレットコンピュータやスマートフォンなどである。オペレータ端末3は携帯型のPCであってもよいし、専用に設計された端末であってもよい。
【0040】
生産管理PC2はスプライシング作業やその他の作業の作業計画をオペレータ5毎に作成し、作成した作業計画をオペレータ端末3に送信する。生産管理PC2は、スプライシング作業の開始予定時刻の所定時間前になると、オペレータ端末3を介してオペレータ5に部品切れのアラートを発出する。アラートを発出する方法は適宜に決定できる。例えば部品切れが近いことを示すメッセージをオペレータ端末3に表示することによって発出してもよいし、音声によって発出してもよい。メッセージと共に所定のアラート音を発することによって発出してもよい。
【0041】
(2)スプライシング作業の割り当て処理
図5を参照して、実施形態1に係るスプライシング作業の割り当て処理について説明する。スプライシング作業の割り当て処理は、基板Pの生産を開始する前にコンピュータ(生産管理PC2)上のシミュレーションとして実行される。制御部30は生産管理PC2上で仮想的に現在時刻を所定の時間間隔(例えば30分間隔)で変化させ、現在時刻を変化させる毎にスプライシング作業の割り当て処理を実行する。以下、具体的に説明する。
【0042】
制御部30は、表面実装機6に取り付けられている各部品テープ17の部品切れ時刻を予測するための情報に基づいて、現在時刻(コンピュータ上の仮想的な現在時刻)を起点として一定時間(例えば30分)内に部品切れが発生する部品テープ17を予測する(予測処理の一例)。部品切れ時刻を予測するための情報は、例えば基板Pの生産計画、後述する基板データ、基板1枚当たりの推定生産時間、部品テープ17に関する情報などである。
【0043】
そして、制御部30は、一定時間内に部品切れが発生すると予測した部品テープ17のスプライシング作業を、同一時刻に複数の作業が重複しないように1人のオペレータ5Aに割り当てる。この割り当てにおいて、制御部30は、部品切れ予測時刻(予測される部品切れ時刻の一例)が早い部品テープ17ほど先にスプライシング作業が開始されるように、部品切れ予測時刻が遅い部品テープ17の順でスプライシング作業を割り当てる。
【0044】
具体的には、
図5に示す例では、一定期間内に部品Ea及び部品Ebが部品切れになる。これらの部品Eのうち部品切れ予測時刻が最も遅い部品Eは部品Ebである。このため、制御部30は先ず部品Ebのスプライシング作業を割り当てる。スプライシング作業の割り当てでは、制御部30はスプライシング作業を割り当てるオペレータ5Aの予測作業時間を記憶部31から読み出し、読み出した予測作業時間をスプライシング作業の作業時間として確保する。
【0045】
制御部30は、スプライシング作業を割り当てるとき、部品切れ予測時刻の前にスプライシング作業が完了するように割り当てる。例えば、
図5に示す例では部品Ebの部品切れ予測時刻が他作業時間中である。このため、制御部30は他作業時間の前に部品Ebのスプライシング作業が完了するように割り当てる。
そして、制御部30は部品Ebの次に部品切れ予測時刻が遅い部品Eである部品Eaのスプライシング作業を部品Ebのスプライシング作業の前に割り当てる。これにより、部品切れ予測時刻が早い部品テープ17ほど先にスプライシング作業が開始されるように割り当てられる。
【0046】
図6は実施形態1の別の例である。
図6に示す例では部品Ec,Eb,Eaの順で部品切れ予測時刻が遅い。このため最初に部品Ecのスプライシング作業が割り当てられ、その前に部品Ebのスプライシング作業が割り当てられ、その前に部品Eaのスプライシング作業が割り当てられる。
図6に示す例では、部品切れ予測時刻が遅い部品Eから順にスプライシング作業を割り当てた結果、部品Eaのスプライシング作業の開始予定時刻が現在時刻(コンピュータ上の仮想的な現在時刻)より前になっている。開始予定時刻が現在時刻より前の場合は時間を遡ってスプライシング作業を開始しなければならないので不可能である。このため、開始予定時刻が現在時刻より前になっているスプライシング作業がある場合は、1人のオペレータ5Aに割り当てることのできないスプライシング作業が生じたことになる。
【0047】
制御部30は、1人のオペレータ5Aに割り当てることのできないスプライシング作業(ここでは部品Eaのスプライシング作業)が生じた場合は、割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータ5Bに割り当て可能か否かを判断する。制御部30は、割り当て可能な場合は、1人のオペレータ5Aに割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータ5Bに割り当てる。
図6に示す例では部品Eaのスプライシング作業が他のオペレータ5Bに割り当てられている。
【0048】
他のオペレータ5Bに割り当てるスプライシング作業は部品Eaのスプライシング作業に限定されず、部品Ebあるいは部品Ecのスプライシング作業であってもよい。
【0049】
(3)スプライシング作業の割り当て処理
図7を参照して、スプライシング作業の割り当て処理のフローについて説明する。
S101では、制御部30は、表面実装機6に取り付けられている各部品テープ17の部品切れ時刻を予測するための情報に基づいて、一定時間内に部品切れが発生する部品テープ17を予測する。
S102では、制御部30はS101で予測した部品テープ17のスプライシング作業を1人のオペレータ5Aに割り当てる。
【0050】
S103では、制御部30は1人のオペレータ5Aに割り当てることができたか(言い換えると開始予定時刻が現在時刻より前になっているスプライシング作業がないか)を判断する。制御部30は、割り当てることができなかった場合はS104に進み、割り当てることができた場合は処理を終了する。
S104では、制御部30は、1人のオペレータ5Aに割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータ5Bに割り当て可能か否かを、他のオペレータ5Bの作業計画を参照して判断する。制御部30は、割り当て可能な場合はS105に進み、割り当て不能な場合は処理を終了する。
S105では、制御部30は1人のオペレータ5Aに割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータ5Bに割り当てる。
【0051】
(4)実施形態の効果
実施形態1に係る生産管理PC2によると、予測処理で予測した部品テープ17のスプライシング作業を、同一時刻に複数のスプライシング作業が重複しないように1人のオペレータ5Aに割り当てる。その場合に、生産管理PC2によると、部品切れ予測時刻が早い部品テープ17ほど先にスプライシング作業が開始されるように、部品切れ予測時刻が遅い部品テープ17の順でスプライシング作業を割り当てる。このようにすると、いずれの部品テープ17についても部品切れになる前にスプライシング作業が完了するように割り当てることができる可能性が高くなる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。これにより、部品切れによる実装動作の停止を抑制できる。
【0052】
生産管理PC2によると、スプライシング作業の作業時間を考慮してアラートを発出できる。
【0053】
生産管理PC2によると、1人のオペレータ5Aに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は、割り当てることのできないスプライシング作業を他のオペレータ5Bに割り当てるので、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0054】
<実施形態2>
実施形態2を
図8ないし
図11によって説明する。
前述した実施形態1では、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合(言い換えると他のオペレータ5Bに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合)は処理を終了する。
これに対し、実施形態2に係る制御部30は、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合は、スプライシング作業を割り当てることのできない部品テープ17のうち少なくとも1つの部品テープ17について、当該部品テープ17に替えて当該部品テープ17と同じ種類の部品Eを保持している別の部品テープ17によって供給される部品Eを実装する基板データを作成する(第1の作成処理の一例)。
【0055】
図8A及び
図8Bを参照して、基板データについて説明する。基板データは基板Pに実装する部品Eとその部品Eを供給する部品テープ17とを示すデータである。基板データは生産する基板Pの機種毎に作成される。表面実装機6は生産する機種に応じた基板データに基づいて基板Pに部品Eを実装する。
【0056】
図8Aに示す基板データには、基板Pに実装する部品の部品名、実装座標、部品Eの実装に用いる実装ヘッド18のヘッド番号、部品Eを供給するテープフィーダ16のフィーダ番号などが含まれる。テープフィーダ16には部品テープ17がセットされているので、フィーダ番号によって部品テープ17が特定される。すなわち、
図8Aに示す例では、部品Eを供給する部品テープ17がフィーダ番号によって示されている。
図8Aに示す例では1枚の基板Pに部品Ebが3つ実装される。3つの部品Ebはそれぞれフィーダ番号が異なっているので、それぞれ異なる部品テープ17によって供給される。このため、表面実装機6には部品Ebを供給する部品テープ17が少なくとも3つセットされている。
【0057】
図8Bは第1の作成処理によって作成された基板データの一例である。例えば2行目の部品Ebの部品テープ17のスプライシング作業を割り当てることができなかったとする。この場合、制御部30は2行目の部品Ebのフィーダ番号を、4行目(あるいは5行目)の部品Ebを供給するテープフィーダ16のフィーダ番号と同じ番号にする。これにより、4行目の部品Ebを供給する部品テープ17(以下、代替部品テープ17という)によって2行目の部品Ebの供給が継続される。このようにすると、2行目の部品Ebの部品テープ17のスプライシング作業は代替部品テープ17が部品切れになる前に行えばよいため、スプライシング作業の作業期限時刻を遅くできる。
【0058】
制御部30は、
図8Bに示す基板データを作成すると、2行目の部品Ebの部品テープ17の部品残数が所定数以下になった場合(例えば0になった場合)は
図8Bに示す基板データに一時的に切り替えて基板Pに部品Eを実装すると仮定して割り当て処理を再実行する。制御部30は、割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープ17のスプライシング作業を割り当てることができた場合は、表面実装機6の生産計画を、2行目の部品Ebの部品テープ17の部品残数が所定数以下になった場合は
図8Bに示す基板データに一時的に切り替える生産計画に変更して基板Pの生産を開始する。
【0059】
制御部30は、
図8Bに示す基板データに切り替えた後、2行目の部品Ebの部品テープ17のスプライシング作業が行われると、
図8Aに示す元の基板データに戻す。すなわち、
図8Bに示す基板データは、2行目の部品Ebの部品テープ17のスプライシング作業が行われるまでの間、一時的に用いられる。
【0060】
(1)スプライシング作業の割り当て処理
図9~
図11を参照して、実施形態2に係るスプライシング作業の割り当て処理のフローについて説明する。実施形態2に係る制御部30は、S104で割り当て不能と判断した場合はS106に進む。
【0061】
S106では、制御部30はS104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した部品テープ17(言い換えるとスプライシング作業を割り当てることのできない部品テープ17)のうちいずれかの部品テープ17を選択する。
S107では、制御部30は、選択した部品テープ17について、代替部品テープ17が表面実装機6に取り付けられているか否かを判断する。制御部30は、取り付けられていない場合はS108に進み、取り付けられている場合はS109に進む。
【0062】
S108では、制御部30は代替部品テープ17の取り付けが可能か否かを判断する。制御部30は、取り付け可能な場合はS109に進み、取り付け不能な場合はS116に進む。
S109では、制御部30は代替部品テープ17が取り付けられたと仮定する。この時点では仮定であり、実際には未だ取り付けられない。
【0063】
S110では、制御部30はS106で選択した部品テープ17の代替部品テープ17を1つ選択する。
S111では、制御部30はS110で選択した代替部品テープ17によって供給される部品Eを実装する基板データを作成する。
S112では、制御部30は、S106で選択した部品テープ17の部品残数が所定数以下になった場合はS111で作成した基板データに一時的に切り替えて基板Pに部品Eを実装すると仮定して割り当て処理を再実行する。
【0064】
S113では、制御部30は、S112で割り当て処理を再実行した結果、全ての部品テープ17のスプライシング作業を割り当てることができた場合はS114に進み、割り当てることができなかった場合はS115に進む。
S114では、制御部30は、S106で選択した部品テープ17の部品残数が所定数以下になった場合はS111で作成したした基板データに一時的に切り替える生産計画に変更する。ここで、S106で選択した代替部品テープ17が、S109で取り付けたと仮定した代替部品テープ17である場合は、実際には未だ取り付けられていないので、制御部30は新たな代替部品テープ17の取り付け作業をオペレータ5に割り当てる。
【0065】
S115では、制御部30は全ての代替部品テープ17を選択したか否かを判断し、選択していない代替部品テープ17がある場合はS110に戻り、全ての代替部品テープ17を選択した場合はS116に進む。
S116では、制御部30は他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した全ての部品テープ17を選択したか否かを判断し、選択していない部品テープ17がある場合はS106に戻り、全ての部品テープ17を選択した場合は処理を終了する。
【0066】
(2)実施形態の効果
実施形態2に係る生産管理PC2によると、オペレータ5に割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は代替部品テープ17を用いる基板データに一時的に切り替えるので、スプライシング作業を割り当てることのできない部品テープ17のスプライシング作業の作業期限時刻を遅らせることができる。作業期限時刻を遅らせると複数のスプライシング作業を分散させることができるので、より多くの場面で全てのスプライシング作業の割り当てが可能になる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0067】
<実施形態3>
実施形態3を
図12ないし
図13によって説明する。
実施形態3に係る部品実装システム1は複数(ここでは3つ)の生産ラインLを備えている。各生産ラインLはそれぞれ1以上の表面実装機6を有している。実施形態3では1人のオペレータ5Aが3つの生産ラインLの作業を担当しているものとする。
【0068】
図12を参照して、基板Pの生産計画について説明する。
図12に示す例では生産ラインL1で機種A,Bが生産される。機種Aの生産時間と機種Bの生産時間との間の段取り替えは、切り替わり後の機種Bに応じてバックアップ装置(図示せず)のバックアップピンの配置を変更する作業である。
図12に示す例の場合、生産ラインL2では機種C,Dが生産され、生産ラインL3では機種E,F,Gが生産される。生産ラインL2,L3でも機種の切り替わりの間に段取りが行われる。
図12では、生産ラインL1で機種Aの基板Pを生産し、生産ラインL2で機種Cの基板Pを生産しているときに、他のオペレータ5Bに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合を示している。
【0069】
前述した実施形態1では、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合(言い換えると他のオペレータ5Bに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合)は処理を終了する。
これに対し、
図13に示すように、実施形態3に係る制御部30は、他のオペレータ5Bに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は、複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらした生産計画を作成する(第2の作成処理の一例)。具体的には、制御部30は、いずれか1つの生産ラインLを選択し、選択した生産ラインLの生産開始時刻を納期に遅れない範囲で遅らせた生産計画を作成する。
図13では生産ラインL2の生産開始時刻を遅らせた場合を示している。
【0070】
制御部30は作成した生産計画で基板Pを生産すると仮定して割り当て処理を再実行し、その結果、全てのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、新たに作成した生産計画に変更して基板Pの生産を開始する。
制御部30は、全てのスプライシング作業を割り当てることができなかった場合は別の生産ラインLを選択し、選択した生産ラインLの生産開始時刻を遅らせた生産計画を作成する。生産計画を作成した後の処理は同じであるので説明は省略する。
【0071】
実施形態3に係る生産管理PC2によると、複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらすことによって複数のスプライシング作業を分散させることができるので、より多くの場面で全てのスプライシング作業の割り当てが可能になる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0072】
<実施形態4>
実施形態4を
図12ないし
図13によって説明する。
実施形態4に係る部品実装システム1は複数(ここでは3つ)の生産ラインLを備えている。各生産ラインLはそれぞれ1以上の表面実装機6を有している。実施形態4でも1人のオペレータ5Aが3つの生産ラインLの作業を担当しているものとする。
【0073】
前述した実施形態1では、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合(言い換えると他のオペレータ5Bに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合)は処理を終了する。
これに対し、
図13に示すように、実施形態4に係る制御部30は、他のオペレータ5Bに割り当てることのできないスプライシング作業が生じた場合は、いずれかの生産ラインLで基板Pの生産順序を入れ替えた生産計画を作成する(第3の作成処理の一例)。具体的には、制御部30は、いずれか1つの生産ラインLを選択し、選択した生産ラインLの生産順序を入れ替えた生産計画を作成する。
図13では生産ラインL3で機種Eと機種Fとの生産順序を入れ替えた場合を示している。
【0074】
制御部30は作成した生産計画で基板Pを生産すると仮定して割り当て処理を再実行し、その結果、全てのスプライシング作業を割り当てることができた場合は、新たに作成した生産計画に変更して基板Pの生産を開始する。
制御部30は、全てのスプライシング作業を割り当てることができなかった場合は別の生産ラインLを選択し、選択した生産ラインLの生産順序を入れ替えた生産計画を作成する。生産計画を作成した後の処理は同じであるので説明は省略する。
【0075】
実施形態4に係る生産管理PC2によると、基板Pの生産順序を入れ替えることによって複数のスプライシング作業を分散させることができるので、より多くの場面で全てのスプライシング作業の割り当てが可能になる。このため、部品切れが頻発したり他の作業が集中したりするような状況においてスプライシング作業が間に合わないことを抑制できる。
【0076】
<実施形態5>
実施形態5を
図1によって説明する。
前述したように、記憶部31にはオペレータ5毎にスプライシング作業の予測作業時間が記憶されている。実施形態5では、記憶部31に記憶されている予測作業時間がオペレータ5の実作業時間に応じて自動で更新される。
【0077】
図1を参照して、予測作業時間の更新について説明する。オペレータ5は、スプライシング作業を開始するとき、オペレータ端末3を操作して、スプライシング作業を開始することをオペレータ端末3に通知する。そして、オペレータ5は、スプライシング作業が終了すると、スプライシング作業が終了したことをオペレータ端末3に通知する。
【0078】
オペレータ端末3は、スプライシング作業の開始が通知された時から終了が通知された時までの時間をスプライシング作業の実作業時間とし、オペレータID(Identification)と実作業時間とを生産管理PC2に送信する。
生産管理PC2の制御部30は、オペレータ端末3から受信したオペレータIDと実作業時間とを対応付けて記憶部31に記憶する。これによりオペレータ5毎に実作業時間が蓄積される。制御部30は同一のオペレータIDに対応付けられている全ての実作業時間の平均値を、そのオペレータIDによって識別されるオペレータ5の予測作業時間とする。
【0079】
上述した平均値はオペレータ5の全ての実作業時間の平均値でなくてもよい。例えば直近の所定回数(例えば3回)の実作業時間の平均値であってもよい。あるいは、最後に記憶された実作業時間(言い換えると最新の実作業時間)をオペレータ5の予測作業時間としてもよい。
【0080】
実施形態5に係る生産管理PC2によると、オペレータ5毎に実作業時間に基づいてスプライシング作業の予測作業時間を決定するので、オペレータ5の習熟度の変化や個人差に対応できる。これにより、アラートを発出するタイミングを高精度化できる。
【0081】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)上記実施形態2では、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合に基板データを作成する。これに対し、S103で1人のオペレータ5Aに割り当てることができないと判断した場合は、S104を実行せず、基板データを作成してもよい。すなわち、S103で1人のオペレータ5Aに割り当てることができないと判断した場合は、他のオペレータ5Bに割り当て可能か否かを判断せず、基板データを作成してもよい。
【0083】
(2)上記実施形態3では、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合に複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらした生産計画を作成する。これに対し、S103で1人のオペレータ5Aに割り当てることができないと判断した場合は、S104を実行せず、複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらした生産計画を作成してもよい。すなわち、S103で1人のオペレータ5Aに割り当てることができないと判断した場合は、他のオペレータ5Bに割り当て可能か否かを判断せず、複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらした生産計画を作成してもよい。
【0084】
(3)上記実施形態4では、S104で他のオペレータ5Bに割り当て不能と判断した場合に基板Pの生産順序を入れ替えた生産計画を作成する。これに対し、S103で1人のオペレータ5Aに割り当てることができないと判断した場合は、S104を実行せず、基板Pの生産順序を入れ替えた生産計画を作成してもよい。すなわち、S103で1人のオペレータ5Aに割り当てることができないと判断した場合は、他のオペレータ5Bに割り当て可能か否かを判断せず、基板Pの生産順序を入れ替えた生産計画を作成してもよい。
【0085】
(4)上記実施形態2と実施形態3とは組み合わされてもよい。例えば、基板データを作成しても全てのスプライシング作業を割り当てることができなかった場合は複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらした生産計画を作成してもよい。あるいは、複数の生産ラインLの生産開始時刻をずらした生産計画を作成しても全てのスプライシング作業を割り当てることができなかった場合は基板データを作成してもよい。
【0086】
(5)上記実施形態4は実施形態2又は3と組み合わされてもよいし、実施形態2及び3の両方と組み合わされてもよい
【0087】
(6)上記実施形態ではオペレータ5がオペレータ端末3を操作してスプライシング作業の開始と終了とを生産管理PC2に通知する場合を例に説明した。これに対し、オペレータ5は表面実装機6の操作部34を操作して表面実装機6の制御部にスプライシング作業の開始と終了とを通知し、表面実装機6の制御部から生産管理PC2にスプライシング作業の実作業時間が通知されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1: 部品実装システム
2: 生産管理PC(割り当て装置及びコンピュータの一例)
5A:オペレータ(1人のオペレータの一例)
5B:オペレータ(他のオペレータの一例)
6: 表面実装機
17: 部品テープ
30: 制御部
31: 記憶部
E: 部品
L: 生産ライン
P: 基板