IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業情報記録装置 図1
  • 特開-作業情報記録装置 図2
  • 特開-作業情報記録装置 図3
  • 特開-作業情報記録装置 図4
  • 特開-作業情報記録装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056282
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】作業情報記録装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/86 20130101AFI20240416BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20240416BHJP
   G06F 21/88 20130101ALI20240416BHJP
【FI】
G06F21/86
G08B13/00 Z
G06F21/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163063
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅一
(72)【発明者】
【氏名】多胡 尚
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 正道
(72)【発明者】
【氏名】坂井 大斗
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 理沙
【テーマコード(参考)】
5C084
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084BB31
5C084CC31
5C084DD01
5C084EE02
5C084HH01
(57)【要約】
【課題】建設機械から記録装置の装置本体を取り外して持ち出されても、顧客情報を含んだデータが第三者に漏洩するのを防止でき、信頼性の高い建設機械用の作業情報記録装置を得ること。
【解決手段】本発明の作業情報記録装置(1)は、建設機械の周囲を撮像した撮像画像を含む建設機械の作業情報を記録する記憶装置(12)と、記録装置を制御するコントローラ(11)とを装置本体(10)内に具備する装置であって、コントローラは、建設機械に取り付けられた装置本体が建設機械から取り外された場合に記憶装置に記録済みの作業情報を記憶装置から削除することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の周囲を撮像した撮像画像を含む建設機械の作業情報を記録する記録装置と、前記記録装置を制御するコントローラとを装置本体内に具備する作業情報記録装置であって、
前記コントローラは、前記建設機械に取り付けられた前記装置本体が前記建設機械から取り外されたことが検知されると前記記録装置に記録済みの前記作業情報を前記記録装置から削除することを特徴とする作業情報記録装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記作業情報を取得する作業情報取得部と、
該作業情報取得部に前記作業情報を提供する有線通信用ハーネスの切断を検知する切断検知部と、
該切断検知部による検知結果に基づいて前記装置本体が前記建設機械から取り外されたか否かを判断する状態管理部と、
該状態管理部において前記装置本体が前記建設機械から取り外されたと判断された場合に前記記録装置から前記作業情報を削除する処理を行う削除部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の作業情報記録装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記状態管理部において前記装置本体が前記建設機械から取り外されたと判断された場合に警告表示および警告音の発生の少なくとも一方の警告処理を行う警告処理部を有し、
前記削除部は、前記警告処理部による警告処理が行われて所定時間経過後に前記作業情報を削除する処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の作業情報記録装置。
【請求項4】
前記作業情報には、前記建設機械の車体識別番号の情報が含まれており、
前記状態管理部は、予め記録されている車体識別番号と前記作業情報に含まれている車体識別番号とを比較して不一致の場合に前記装置本体が前記建設機械から取り外されたと判断することを特徴とする請求項2に記載の作業情報記録装置。
【請求項5】
前記切断検知部は、前記装置本体に前記有線通信用ハーネスを着脱可能なコネクタが取り外された状態を検知することを特徴とする請求項2に記載の作業情報記録装置。
【請求項6】
前記記録装置は、外部からの給電により前記作業情報の記録を保持し、給電の停止により前記作業情報の記録を失う揮発性メモリを有することを特徴とする請求項1に記載の作業情報記録装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
通信端末との間で情報通信を行う通信部と、
該通信部を介して前記通信端末から要求された前記作業情報を前記記録装置から読み込む読込部と、を有し、
前記通信部は、前記読込部により前記記録装置から読み込んだ前記作業情報を、要求元の前記通信端末に提供することを特徴とする請求項1に記載の作業情報記録装置。
【請求項8】
前記警告表示を行う表示灯および前記警告音を発生させるスピーカを備えており、
前記警告処理部は、前記表示灯に前記警告表示を表示させ、前記スピーカから前記警告音を発生させる警告処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の作業情報記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の作業情報を記録する作業情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車などの車両には、車両の周囲を撮影した撮影画像や車両の車速、走行経路等を記録するドライブレコーダ(車載器)が搭載されることがある(例えば、特許文献1)。一般的に、自動車用ドライブレコーダは、ドライブレコーダ本体から取り出しが容易な記録媒体に撮影画像データ等を記録し、記録媒体のみをドライブレコーダ本体から取外し、ノートパソコンなどの別の読み取り装置で記録したデータを閲覧できる(例えば、特許文献2)。
【0003】
一方、施工会社の管理する建設機械は、施工会社が顧客から受注した工事現場で稼働するため、建設機械に搭載されたドライブレコーダに記録される撮影画像や稼働データには顧客の情報が含まれており、誤って第三者にデータが漏洩すると、施工会社は顧客からの信頼を失う恐れがある。
【0004】
このような点を考慮し、従来より、建設機械に搭載されたドライブレコーダは、ドライブレコーダ本体から取り出しが困難な記録媒体にデータを記録して、データが漏洩するリスクの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5528182号公報
【特許文献2】特開2018-45580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、建設機械からドライブレコーダ等の記録装置の装置本体を取り外して持ち出されると、データの漏洩を防止することができない。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を鑑み、建設機械から記録装置の装置本体を取り外して持ち出されても、顧客情報を含んだデータが第三者に漏洩するのを防止でき、信頼性の高い建設機械用の作業情報記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の作業情報記録装置は、建設機械の周囲を撮像した撮像画像を含む建設機械の作業情報を記録する記録装置と、前記記録装置を制御するコントローラとを装置本体内に具備する作業情報記録装置であって、前記コントローラは、前記建設機械に取り付けられた前記装置本体が前記建設機械から取り外されたことが検知されると前記記録装置に記録済みの前記作業情報を前記記録装置から削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、建設機械からの装置本体の取り外しによって記録装置から作業情報が削除されるので、建設機械から装置本体を取り外して持ち出されても、顧客情報を含んだデータが第三者に漏洩するのを防止でき、信頼性の高い建設機械用の作業情報記録装置を提供することができる。
【0010】
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態における作業情報記録装置の構成図。
図2】本発明の第1実施形態における作業情報記録装置のECUの機能ブロック図。
図3】作業情報記録装置における制御処理の内容を説明するフローチャート。
図4】本発明の第2実施形態における作業情報記録装置の構成図。
図5】本発明の第2実施形態における作業情報記録装置のECUの機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態における作業情報記録装置の構成図である。
【0013】
作業情報記録装置1は、油圧ショベルやホイールローダ等の建設機械に搭載され、建設機械から周囲を撮像した撮像画像を含む建設機械の作業情報を記録する機能を有する。作業情報記録装置1は、建設機械から容易に取り外せないように装置本体10が建設機械に取り付けられている。作業情報記録装置1の装置本体10には、記憶装置12が容易に取り外せないように内蔵されており、記憶装置12に記録された作業情報の確認は、通信モジュール13によって無線接続される通信端末30を用いて行われる。
【0014】
作業情報記録装置1は、図1に示すように、入力側に撮像装置21と車体制御装置22が接続されている。撮像装置21と車体制御装置22は、建設機械の作業情報を作業情報記録装置1に出力する。建設機械の作業情報には、例えば施工現場における作業を撮像した画像データ、建設機械の稼働データ、建設機械ごとに設定された固有の車体識別番号の情報、および、GPS等を利用した位置データなどの少なくとも一つが含まれている。
【0015】
撮像装置21は、建設機械に搭載されたカメラによって建設機械の周囲を撮像し、施工現場の状況や作業機械の動作状況の画像データを取得し、作業情報として出力する。車体制御装置22は、例えばブームの上下や前進後退など建設機械の車体制御を行うものであり、これらの車体制御の稼働データを取得し、作業情報として出力する。建設機械の稼働データには、オペレータの操作内容も含まれている。また、車体制御装置22は、車体識別番号を含む車体情報を有しており、作業情報として出力する。
【0016】
作業情報記録装置1は、装置本体10に、ECU(Electronic Control Unit;コントローラ)11と、記憶装置12と、通信モジュール13と、表示灯14と、スピーカ15と、バッテリ16と、時計17と、コネクタ18が設けられている。
【0017】
ECU(コントローラ)11は、マイコン、メモリ、および入出力回路等のハードウエアを有しており、メモリに記憶されているソフトウエアプログラムを実行することによって、作業情報を記録するための機能を具現化し、記憶装置12と、通信モジュール13と、表示灯14と、スピーカ15の制御を行う。
【0018】
記憶装置12は、電源を喪失しても情報を保持できるフラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、撮像装置21と車体制御装置22から作業情報記録装置1に入力される建設機械の作業情報を読み出し可能に記録する。本実施形態の記憶装置12は、特許請求の範囲の記録装置に相当する。記憶装置12は、例えば装置本体10の内部に装着された回路基板(図示せず)に一体に固定され、容易に取り外しできないように装置本体10に収容されている。
【0019】
通信モジュール13は、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)など無線通信規格の技術を使用して通信端末30との間で情報の無線通信を行う。通信モジュール13は、通信端末30からの作業情報の閲覧要求を無線通信により受信し、要求に応じた作業情報を、要求元の通信端末30に送信する。通信端末30では、受信した作業情報がモニターに表示される。
【0020】
表示灯14は、作業情報記録装置1の装置本体10が建設機械から取り外されているか否かを表示するものであり、例えば建設機械から取り外されていない通常の使用状態であるときは緑色に点灯し、建設機械から取り外された状態にて赤色に点灯するように、点灯色がECU11によって制御される。
【0021】
スピーカ15は、作業情報記録装置1の装置本体10が建設機械から取り外されたときに、記憶装置12に記録済みの作業情報が削除されることを警告する音声が流れるようにECU11によって制御される。
【0022】
バッテリ16は、作業情報記録装置1が建設機械から取り外されて、外部電源40の供給が停止されたとしても、ECU11が記憶装置12内の作業情報を削除する処理を実行できるように装置本体10に内蔵されている。時計17は、作業情報記録装置1が建設機械から取り外されたと判定されてから作業情報を削除する処理を開始するまでの所定時間を計測するのに用いられる。
【0023】
コネクタ18は、作業情報記録装置1に有線通信用ハーネス23a、23bを着脱可能に接続するためのものであり、有線通信用ハーネス23a、23bごとに分けられた2つのコネクタ18a、18bを有している。作業情報記録装置1のコネクタ18a、18bは、有線通信用ハーネス23a、23bを接続することにより、撮像装置21および車体制御装置22を作業情報記録装置1に有線接続する。本実施形態では、有線通信用ハーネス23a、23bに対してそれぞれ別個にコネクタ18a、18bを設けた構成について示したが、コネクタ18a、18bを一つのコネクタにまとめてもよい。
【0024】
作業情報記録装置1には、例えば建設機械に搭載されたバッテリである外部電源40が接続されている。作業情報記録装置1は、外部電源40から電源の供給を受けることで記録制御を行う。外部電源40は、コネクタ18を介して装置本体10に接続する構成としてもよい。
【0025】
図2は、本発明の第1実施形態における作業情報記録装置のECUの機能ブロック図である。
作業情報記録装置1は、画像入力部112、情報入力部113、書込部114、読込部115、削除部116、車体識別番号記録部121、読込部122、車体判定部123、切断検知部124、状態管理部125、状態表示部126、音声出力部127、および通信部128を有している。これらの各部は、図1に示すECU11においてソフトウエアプログラムの実行により、内部機能として具現化される。
【0026】
画像入力部112は、有線通信用ハーネス23aを介して撮像装置21から出力される画像情報を取得する。情報入力部113は、有線通信用ハーネス23bを介して車体制御装置22から出力される車体情報を取得する。画像入力部112と情報入力部113は、建設機械の作業情報を取得する作業情報取得部を構成する。
【0027】
書込部114は、画像入力部112において取得した画像情報と、情報入力部113において取得した制御情報を作業情報として記憶装置12に書き込む。記憶装置12は、書込部114によって書き込まれた作業情報を読み出し可能な形で記録する。
【0028】
読込部115は、通信端末30から閲覧要求された作業情報を記憶装置12から読み出し、通信部128に提供する。通信部128は、通信モジュール13を制御して通信端末30に所望の作業情報を送信する。
【0029】
削除部116は、状態管理部125によって装置本体10が建設機械から取り外されたと判断された場合に、記憶装置12に記録済みの全ての作業情報を記憶装置12から削除する処理を行う。作業情報記録装置1は、装置本体10が建設機械から取り外されて外部電源40からの電源供給が停止しても、内蔵のバッテリ16から供給される電源によって駆動され、削除部116は、記憶装置12内に格納されている作業情報を削除する。
【0030】
車体識別番号記録部121は、自己が搭載されている建設機械の車体識別番号の情報を予め記録している。車体識別番号は、建設機械ごとに設定された固有の番号情報であり、作業情報記録装置1が搭載されている建設機械を特定することができる。読込部122は、車体識別番号記録部121に記録された車体識別番号を読み込み、車体判定部123に提供する。車体判定部123は、読込部122によって読み込まれた車体識別番号と、情報入力部113によって取得された車体識別番号とを比較して、一致しているか否かを判定する。車体判定部123は、常時または所定時間毎に判定を行う。車体判定部123の判定結果は、状態管理部125に提供される。
【0031】
切断検知部124は、車体制御装置22から情報入力部113に作業情報を提供する有線通信用ハーネス23bの切断を検知する。切断検知部124は、コネクタ18bが取り外された場合に、有線通信用ハーネス23bが切断されたと判断する。例えば、コネクタ18bが切り離されたことによってONからOFFに切り替わるスイッチをコネクタ18bに設けて、このスイッチの出力に基づいて有線通信用ハーネス23bが切断されたか否かを判断する構成としてもよい。
【0032】
コネクタ18が、撮像装置21と車体制御装置22の有線通信用ハーネス23a、23bにそれぞれ接続される別々のコネクタ18a、18bによって構成される場合、切断検知部124は、コネクタ18bにおいて有線通信用ハーネス23bの切断を検知するように実装するのが好ましい。単一のコネクタ18bで切断判定と車体判定の二重系にすることで、セキュリティ性を高めることができ、また、複数のコネクタ18にそれぞれ切断検知を実装するよりもコスト低減を図ることができる。切断の検知結果と車体識別番号の照合結果は、状態管理部125に送られる。
【0033】
状態管理部125は、切断検知部124による検知結果と車体判定部123による判定結果に基づいて装置本体10が建設機械から取り外されたか否かを判断する。状態管理部125は、有線通信用ハーネス23bが切断されているとの検知結果を切断検知部124から受け取った場合に、装置本体10が建設機械から取り外されたと判断する。
【0034】
状態管理部125は、有線通信用ハーネス23bが切断されているとの検知結果を切断検知部124から受け取っていない状態で、読込部122によって車体識別番号記録部121から読み込まれた車体識別番号と、情報入力部113によって取得された車体識別番号が不一致であるとの判定結果を車体判定部123から受け取った場合に、装置本体10が建設機械から取り外されたと判断する。これにより、例えば有線通信用ハーネス23bの切断検知によって作業情報が削除されることを知っている悪意のある第三者が、切断検知部124の入力端子を短絡するなどにより、切断検知機能を無効化して装置本体10を取り外そうとした場合であっても、車体識別番号の照合によって、装置本体10の建設機械からの取り外しを判断することができる。
【0035】
状態管理部125において装置本体10が建設機械から取り外されたことを検知する手法として、有線通信用ハーネス23bの信号の健全性を診断する手法も考えられる。例えば、車体制御装置22から有線通信用ハーネス23bを通じて情報入力部113に供給される車体情報の通信を監視し、この車体情報の通信が途切れた場合に有線通信用ハーネス23bが切断されたと判断してもよい。
【0036】
しかしながら、車体制御装置22の車体情報出力部の故障などによって誤検知する可能性が考えられる。したがって、切断検知用の信号線をコネクタ18bに設けて、コネクタ18bが取り外された場合に導通が途絶えるように構成するのが好ましい。そして、この切断検知用の信号線は、コネクタ18bに埋設して肉眼では確認できないようにするのが望ましい。
【0037】
状態表示部126と音声出力部127は、状態管理部125において装置本体10が建設機械から取り外されたと判断された場合に警告表示および警告音の発生の少なくとも一方の警告処理を行う警告処理部を構成する。
【0038】
状態表示部126は、状態管理部125によって装置本体10が建設機械から取り外されたと判断された場合に、表示灯14を通常表示から警告表示に変更する制御を行う。状態表示部126は、例えば、表示灯14の点灯色を通常表示を示す緑色から警告表示を示す赤色に変更する。
【0039】
音声出力部127は、状態管理部125によって装置本体10が建設機械から取り外されたと判断された場合に、スピーカ15から警告音を発生させる制御を行う。音声出力部127は、警告音として例えば、すぐに元に戻さないと所定時間経過後に作業情報の記録が削除されることを警告する音声をスピーカ15から出力させる。本実施形態では、状態表示部126と音声出力部127の両方により警告処理が行われる場合を例に示したが、状況等に応じて何れか一方とすることも可能である。
【0040】
図3は、作業情報記録装置における制御処理の内容を説明するフローチャートである。
まず、切断検知部124は、有線通信用ハーネス23bが切断されているか否かが判断される(S101)。状態管理部125は、切断検知部124により有線通信用ハーネス23bが切断されていると判断されると(S101でYES)、切断されてからの経過した時間を計測するために切断時間のカウントを開始する(S102)。そして、装置本体10が建設機械から取り外されていると判断し、その判断結果を状態表示部126と音声出力部127に送る。
【0041】
状態表示部126では、装置本体10が取り外されたとの判断結果を状態管理部125から取得すると、表示灯14の色を通常表示の緑色から警告表示の赤色に変更して、車体識別番号が不一致状態であることを警告する表示とする処理を行う(S103)。
【0042】
音声出力部127は、状態管理部125から装置本体10が取り外されたとの判断結果を取得すると、有線通信用ハーネス23bが切断された状態となっており、所定時間経過後に作業情報の記録が削除されることを警告する音声をスピーカ15から発生させる処理を行う(S104)。
【0043】
状態管理部125は、切断時間のカウントが予め設定されたしきい値を超えた場合に、切断検知部124により切断と判断されてから一定時間が経過したと判断し(S105でYES)、書込部114による記憶装置12への書き込みを非許可とし(S106)、記憶装置12に記録済みの作業情報を削除部116により削除させる(S107)。
【0044】
また、状態管理部125は、切断検知部124により有線通信用ハーネス23bが切断されていないと判断されたときは(S101でNO)、切断時間のカウントの初期化を行う(S108)。そして、車体判定部123による判定結果が、車体識別番号が一致しているか否かを判断し(S109)、車体識別番号が一致している場合は(S109でYES)、状態表示部126により表示灯14の表示を通常表示の緑色に保持して、作業情報を記憶装置12に記録中であることを表示させる(S110)。
【0045】
一方、車体識別番号が一致していない場合は(S109でNO)、状態表示部126により表示灯14の表示を警告表示の赤色に保持して、車体識別番号が不一致状態であることを表示させる(S112)。そして、所定時間経過後に作業情報の記録が削除されることを警告する音声をスピーカ15から発生させる処理を音声出力部127に行わせる(S113)。そして、書込部114による記憶装置12への書き込みを非許可とし(S114)、記憶装置12に記録済みの作業情報を削除部116により削除させる(S115)。
【0046】
上記した本実施形態の作業情報記録装置1によれば、建設機械に固着された装置本体10を建設機械から取り外した場合に、記憶装置12に記録済みの作業情報が記憶装置12から削除される。したがって、建設機械から装置本体10を取り外して持ち出されても、顧客情報を含んだデータが第三者に漏洩するのを防止でき、信頼性の高い建設機械用の作業情報記録装置1を得ることができる。
【0047】
本実施形態の作業情報記録装置1は、建設機械の作業情報を取得する作業情報取得部として画像入力部112と情報入力部113を有している。そして、その作業情報取得部に作業情報を提供する有線通信用ハーネス23bの切断を検知する切断検知部124と、切断検知部124による検知結果に基づいて装置本体10が建設機械から取り外されたか否かを判断する状態管理部125と、状態管理部125において装置本体10が建設機械から取り外されたと判断された場合に記憶装置12から作業情報を削除する処理を行う削除部116を有する。作業情報記録装置1は、切断検知部124により有線通信用ハーネス23bの切断が検知された場合に、装置本体10が建設機械から取り外されたと判断して、記憶装置12に記録済みの作業情報を削除するので、装置本体10の建設機械からの取り外しにより作業情報を確実に削除でき、データの漏洩を防止できる。
【0048】
本実施形態の作業情報記録装置1によれば、作業情報には、建設機械の車体識別番号の情報が含まれており、状態管理部125は、予め記録されている車体識別番号と作業情報に含まれている車体識別番号とを比較して不一致の場合に装置本体10が建設機械から取り外されたと判断する。したがって、例えば有線通信用ハーネス23bの切断検知によって作業情報が削除されることを知っている悪意のある第三者が、切断検知機能を無効化して装置本体10を取り外そうとした場合であっても、車体識別番号の照合によって、装置本体10の建設機械からの取り外しを判断することができる。
【0049】
本実施形態の作業情報記録装置1によれば、装置本体が建設機械から取り外された場合に状態表示部126と音声出力部127によって警告処理が行われるので、装置1の持ち去りを止めさせる抑止力となる。また、警告処理が行われてから所定時間経過後に作業情報を削除する処理が行われるので、何者かが誤って取り外しを行った場合に、警告によって取り外しを止めさせることができ、元に戻すことで作業情報の削除を防ぐことができる。
【0050】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態における作業情報記録装置の構成図、図5は、本発明の第2実施形態における作業情報記録装置のECUの機能ブロック図である。本実施形態において第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態において特徴的なことは、記憶装置12AにRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリを用いたことである。記憶装置12Aに用いられる揮発性メモリは、外部から給電を受けている間は作業情報の記録を保持し、給電の停止により作業情報の記録を失う。
【0052】
作業情報記録装置1は、建設機械から装置本体10を取り外すと、外部電源40からの電源の供給、つまり給電が受けられなくなる。したがって、記憶装置12Aは、作業情報を保持しておくことができず、作業情報が削除されたのと同じことになる。
【0053】
外部電源40は、建設機械のイグニッションスイッチをOFFにしても電源を供給し続け、建設機械から取り外されると電源を供給することができなくなる構成となっている。第1実施形態と比較して、削除部116、車体識別番号記録部121、読込部122、車体判定部123、切断検知部124、状態管理部125、状態表示部126、および音声出力部127が不要となり、構成を簡単化することができる。
【0054】
本実施形態の作業情報記録装置1Aは、インターネットなどの情報通信ネットワーク32を利用してサーバ31との間、および通信端末30との間でそれぞれ情報通信が可能である。サーバ31は、作業情報記録装置1Aの通信モジュール13から送信される作業情報を記録し、通信端末30からの要求に応じて所望の作業情報を通信端末30に供給する。
【0055】
作業情報記録装置1Aは、所定のタイミングで記憶装置12Aに記憶されている作業情報を、サーバ31に移動して格納することにより、記憶装置12Aの容量を小さくすることができ、設備費用を低く抑えることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:作業情報記録装置、10:装置本体、11:ECU(コントローラ)、12、12A:記憶装置(記録装置)、13:通信モジュール、16:バッテリ、23a、23b:有線通信用ハーネス、30:通信端末、40:外部電源、18、18a、18b:コネクタ、112:画像入力部(作業情報取得部)、113:情報入力部(作業情報取得部)、114:書込部、116:削除部、121:車体識別番号記録部、123:車体判定部、124:切断検知部、125:状態管理部、126:状態表示部(警報処理部)、127:音声出力部(警報処理部)
図1
図2
図3
図4
図5