(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056283
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240416BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61H7/00 323T
A61H7/00 323G
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163064
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100BA01
4C100BA04
4C100BA09
4C100CA05
4C100CA06
4C100CA07
4C100CA09
4C100DA05
4C100DA06
4C100DA10
4C100EA20
4C100EB03
(57)【要約】
【課題】使用者の反応に基づいて、マッサージ部のマッサージ動作と映像を変更することができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】使用者に対してマッサージを行うマッサージ部と、映像を表示する映像表示装置と、前記マッサージ部によるマッサージ又は前記映像に対する使用者の反応を認識する認識部と、制御部と、を有し、前記マッサージ部によるマッサージ動作は、前記映像と同期するように予め設定されており、前記制御部は、前記映像の表示中に前記認識部により認識した使用者の反応に基づき、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に対してマッサージを行うマッサージ部と、
映像を表示する映像表示装置と、
前記マッサージ部によるマッサージ又は前記映像に対する使用者の反応を認識する認識部と、
制御部と、を有し、
前記マッサージ部によるマッサージ動作は、前記映像と同期するように予め設定されており、
前記制御部は、前記映像の表示中に前記認識部により認識した使用者の反応に基づき、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記認識部は、使用者の音声を認識する音声認識部であり、
前記反応は、前記音声認識部により認識した使用者の音声情報に基づくことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
使用者がマッサージ機を操作するための操作部を有し、
前記認識部は、前記操作部の操作を認識し、
前記制御部は、前記映像に前記操作に関する情報を表示し、
前記反応は、前記操作部の操作に基づくことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記映像表示装置は、使用者が装着可能なウェアラブル型であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記映像表示装置に表示される映像は、マッサージ師によるマッサージ映像であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記映像表示装置に表示されるマッサージ師は、使用者が選択可能であることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
音声出力部を更に有し、
前記制御部は、前記音声出力部から音声が出力された後に、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記音声認識部は、使用者の音声情報の中から特定のキーワードを検出することができ、
前記制御部は、前記音声認識部が検出したキーワードに基づき、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記キーワードは、前記マッサージ動作に対する使用者の反応であることを特徴とする請求項8に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記マッサージ動作の変更は、前記マッサージ動作の強弱、前記マッサージ動作の種類、前記マッサージ部の押出し量、前記マッサージ動作の速度のうち少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ機によってマッサージが行われている時に映像が表示される頭部装着型表示装置を備え、VR(バーチャルリアリティ)モード時において、エア式マッサージ中に当該エアマッサージの強度が変更された時に動画像内の仮想の施療者の動きと同期させるべく、映像データの再生速度を調整することができるマッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のマッサージ機は、変更されたエアマッサージの強度に合うように映像データの再生速度を調整するものであり、エアマッサージの強度の変更は、マッサージ機を使用している使用者自身が手動で操作する必要がある。そのため、使用者は、エアマッサージの強度を変更する度に頭部装着型表示装置を外してリモコンを操作しなければならず、リアリティ感に欠けてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、使用者の反応に基づいて、マッサージ部のマッサージ動作と映像を変更することができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者に対してマッサージ動作を行うマッサージ部と、映像を表示する映像表示装置と、前記マッサージ部によるマッサージ動作又は前記映像に対する使用者の反応を認識する認識部と、制御部と、を有し、前記マッサージ部によるマッサージ動作は、前記映像と同期するように予め設定されており、前記制御部は、前記映像の表示中に前記認識部により認識した使用者の反応に基づき、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の反応に基づいてマッサージ動作と映像を変更することができるため、あたかも人にマッサージしてもらっているかのような臨場感のあるマッサージを受けることができる。
【0006】
前記認識部は、使用者の音声を認識する音声認識部であり、前記反応は、前記音声認識部により認識した使用者の音声情報に基づくことが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者が発する音声により反応を認識することができる。
【0007】
使用者がマッサージ機を操作するための操作部を有し、前記認識部は、前記操作部の操作を認識し、前記制御部は、前記映像に前記操作に関する情報を表示し、前記反応は、前記操作部の操作に基づくことが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者は映像に表示された操作に関する情報を見ながらマッサージ機を操作することができる。
【0008】
また、前記映像表示装置は、使用者が装着可能なウェアラブル型であることが好ましい。
このような構成とすることにより、より臨場感を与えることができる。
【0009】
また、前記映像表示装置に表示される映像は、マッサージ師によるマッサージ映像であることが好ましい。
このような構成とすることにより、マッサージ師にマッサージしてもらっているかのような臨場感を得ることができる。
【0010】
また、前記映像表示装置に表示されるマッサージ師は、使用者が選択可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者が好むマッサージ師を映像表示装置に表示させることができる。
【0011】
また、音声出力部を更に有し、前記制御部は、前記音声出力部から音声が出力された後に、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することが好ましい。
このような構成とすることにより、映像と会話をしながらマッサージ動作と映像を変更することができるため、あたかも人にマッサージしてもらっているかのような臨場感のあるマッサージを受けることができる。
【0012】
また、前記音声認識部は、使用者の音声情報の中から特定のキーワードを検出することができ、前記制御部は、前記音声認識部が検出したキーワードに基づき、前記マッサージ部のマッサージ動作と前記映像を変更することが好ましい。
このような構成とすることにより、映像と会話をしながらマッサージ動作と映像を変更することができるため、あたかも人にマッサージしてもらっているかのような臨場感のあるマッサージを受けることができる。
【0013】
また、前記キーワードは、前記マッサージ動作に対する使用者の反応であることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の反応に応じてマッサージ動作を変更することができる。
【0014】
また、前記マッサージ動作の変更は、前記マッサージ動作の強弱、前記マッサージ動作の種類、前記マッサージ部の押出し量、前記マッサージ動作の速度のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
このような構成とすることにより、より人の手によるマッサージ動作に近づけることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者の音声情報に基づいて、マッサージ部のマッサージ動作を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るマッサージ機のブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るコントローラの模式図であり、(a)はマッサージ機に備え付けのコントローラを示す図であり、(b)はコントローラを携帯型通信端末で構成した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る映像表示装置を示す斜視図であり、(a)はゴーグル型であり、(b)はサンバイザー型であり、(c)はメガネ型である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る映像表示装置に表示される映像を選択する画面を示す図であり、(a)はマッサージ師を選択する画面であり、(b)は場所を選択する画面である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る映像表示装置に表示される映像を選択する画面を示す図であり、(a)は、手技や音楽を選択する画面であり、(b)は目的や時間帯を選択する画面であり、(c)は明るさを調整する画面である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る映像表示装置に表示される映像を示す図であり、(a)は和室を選択した場合の映像であり、(b)はマッサージ開始前に表示されるマッサージ師の映像であり、(c)はマッサージ中に表示されるマッサージ師の映像である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るキーワードを示すテーブルである。
【
図10】本発明の一実施形態に係るマッサージ部のマッサージ動作と映像を変更するテーブルである。
【
図11】本発明の一実施形態に係るマッサージコースのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[マッサージ機の全体構成]
以下、本発明のマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の模式図である。
図3は、マッサージ機1のブロック図である。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、
図1に示す使用状態のマッサージ機1に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0018】
図1~
図3に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者の上半身を支持する背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の脚及び/又は足を支持するフットレスト部4と、座部2の左右両側には、使用者の腕を載置する肘掛部5と、を有している。背凭れ部3の上方側面には、肩部ユニット7が取り付けられている。座部2、背凭れ部3、フットレスト部4、肘掛部5、肩部ユニット7は、使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。マッサージ機1には、映像表示装置90が有線又は無線で接続されている。
【0019】
マッサージ機1の各所には、使用者の身体を押圧することでマッサージを行うマッサージ部M(後述する各マッサージ部a1~a4)が設けられている。背凭れ部3には、揉みマッサージ及び/又は叩きマッサージを行うマッサージ部としてのマッサージユニット8が設けられている。肩部ユニット7には、使用者の肩を左右方向から押圧するための肩マッサージ部a1が取り付けられている。
【0020】
図1~
図3に示すとおり、背凭れ部3は、座部2の下方に設けられた第一アクチュエータ11(
図3参照)により、座部2に対して前後にリクライニング可能に構成されており、
図1に示す起立姿勢から背凭れ面が床面と略水平となるリクライニング姿勢までの間の任意の位置で停止できるようになっている。フットレスト部4は、座部2の下方に設けられた第二アクチュエータ12(
図3参照)により、座部2に対して上下に揺動可能に構成されており、
図1に示す垂下姿勢から膝を伸ばした状態で脚又は足が支持される上昇姿勢までの間の任意の位置で停止できるようになっている。
【0021】
図1、
図3に示すとおり、座部2の下方には、エアセルで構成された各マッサージ部a1~a4に対してエアを給排気するポンプ10a及びバルブ10bを有する給排気装置10と、マッサージ機1の各種動作を制御する制御部9と、が設けられている。
制御部9は、プログラマブルなマイコン等を有しており、マッサージユニット8、給排気装置10、第一アクチュエータ11、第二アクチュエータ12を駆動制御する。制御部9には、使用者が操作するコントローラ16が電気的に接続されている。マッサージ機1は、記憶部13に予め記憶されたプログラム(マッサージコース)に従って動作する他、使用者によるコントローラ16からの指示に従って動作する。
【0022】
[座部の構成]
図1、2に示すとおり、座部2は、使用者の臀部及び/又は大腿部の背面を支持する。座部2の上面には、使用者の臀部及び/又は大腿部の背面をマッサージするための臀部マッサージ部a3が左右一対設けられている。臀部マッサージ部a3は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルで構成されている。なお、左右一対設けられた臀部マッサージ部a3は、左右独立して膨張収縮するように構成されていてもよい。また、座部2の側面に使用者の臀部及び/又は大腿部の側面をマッサージするための側面マッサージ部(図示せず)を設けてもよい。
【0023】
[背凭れ部の構成]
図1、2に示すとおり、背凭れ部3は、使用者の上半身を支持する。背凭れ部3は、硬質の背フレーム3aと、背フレーム3aに組み付けられたマッサージ部としてのマッサージユニット8と、マッサージユニット8の昇降をガイドするガイドレール(図示せず)と、背フレーム3aを被覆するカバー部材3cと、により構成されている。背フレーム3aは、金属部材及び/又は樹脂部材により構成されている。また、背フレーム3aは、左右中央に形成された前後方向に開口する開口部3bを有し、正面視で略門型をなしている。また、カバー部材3cは、開口部3bを前方から覆っている。マッサージユニット8の施療子が開口部3bより前方へ突出しており、カバー部材3cを介して使用者の胴体を後方からマッサージできるようになっている。なお、背凭れ部3に使用者の背面をマッサージするマッサージユニット8とは別のマッサージ部(図示せず)を設けてもよい。
【0024】
[肘掛部の構成]
図1~
図3に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の手先と前腕を支持する肘掛部5が設けられている。肘掛部5は、使用者の手先と前腕を載置する載置面と、載置面の側部から上方に向かって突出する外壁と、載置面に対向するように外壁から内側方に向かって突出する上壁と、からなるコの字状に形成されている(
図1参照)。載置面の上面と上壁の下面には、腕マッサージ部a2が1つずつ設けられている。腕マッサージ部a2は、空気の給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。なお、取り付ける腕マッサージ部a2の個数については何個であってもよい。また、左右独立して膨張収縮できるように構成してもよい。
【0025】
[フットレスト部の構成]
図1~3に示すとおり、フットレスト部4には、使用者の脚をマッサージするための脚部マッサージ部a4が左右一対、上下一対となるように設けられている。脚部マッサージ部a4は、エアセルにより構成されている。なお、脚部マッサージ部a4は、左右上下それぞれ独立して膨張収縮することができるように構成されていてもよい。
【0026】
[コントローラの構成]
図4は、本発明の一実施形態に係るコントローラ16の模式図であり、(a)はマッサージ機1に備え付けのコントローラ16を示す図であり、(b)はコントローラ16を携帯型通信端末で構成した図である。コントローラ16は、操作部に相当する。
図4(a)に示すとおり、コントローラ16は、ディスプレイ17と、電源ボタンなどの物理ボタン18と、マッサージ部Mによるマッサージ動作又は前記映像に対する使用者の反応を認識するための認識部14と、音声を出力するための音声出力部15と、を有する。ディスプレイ17には、マッサージコースなどのアイコンが表示されるようになっている(
図6等参照)。
【0027】
使用者の反応とは、使用者が発する音声や使用者の表情、使用者の視線や使用者の身体の動きなど使用者がマッサージ部Mによるマッサージ動作又は映像表示装置90に表示された映像により刺激を受けた結果として示される変化や使用者の行動を起こすものを指す。
本実施例においては、使用者の反応を認識する認識部14として、使用者の音声を認識する音声認識部を使用した場合について説明するが、一例であり、この限りではない。認識部14について、使用者の反応を認識することができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0028】
例えば、使用者の反応は、使用者の表情や使用者の身体の動きである。
使用者が顔を歪めるような表情をした場合、認識部14は、実行中のマッサージ動作が使用者にとって痛みを感じるような不快な動作であると認識する。制御部9は、認識部14が認識した内容(使用者が顔を歪めるような表情した)に基づき、マッサージ部Mのマッサージ動作と映像を変更する。
また、使用者がマッサージ機1から身体を逃がすような動作をした場合、認識部14は、実行中のマッサージ動作が使用者にとって痛みを感じるような不快な動作であると認識する。制御部9は、認識部14が認識した内容(身体を逃がすような動作をした)に基づき、マッサージ部Mのマッサージ動作と映像を変更する。
【0029】
なお、使用者の表情や使用者の身体の動きを認識するためには、コントローラ16に撮像部(カメラ)19を設けるとよい(
図4参照)。撮像部(カメラ)を認識部14として機能させることができる。この場合においては、コントローラ16は、リモコンスタンド(図示せず)を介して、マッサージ機1の肘掛部5に取り付けられていることが好ましい。肘掛部5にコントローラ16を取り付けることで、使用者がコントローラ16を把持する必要がなくなる。また、肘掛部5に対してコントローラ16が安定して支持されることになるため、撮像部(カメラ)19が手ぶれしてしまうこともなくなる。そして、マッサージ機1に着座した使用者の距離も一定となるため、精度の高い認識結果を得ることができる。
【0030】
また、使用者の反応は、使用者の視線である。
マッサージ機1を使用する際、使用者は、映像表示装置90を装着する。そのため、マッサージ機1によるマッサージコース実行中においては、使用者の視線は、映像表示装置90のディスプレイ91に注がれている。映像表示装置90に視線の動きを追跡することができるアイトラッキング機能を搭載することで、使用者の視線(目の動き)を追跡することができる。つまり、映像表示装置90を認識部14として機能させることができる。映像表示装置90に認識部14の機能を持たせることで、使用者に対して煩わしさを感じさせることなく、使用者の反応を認識することができる。
【0031】
その他、使用者の反応は、操作部(コントローラ16)の操作である。マッサージ機1は、使用者がマッサージ機1を操作するための操作部(コントローラ16)を有している。映像表示装置90に操作に関する情報(例えば、マッサージコースの選択やマッサージ動作の強弱の選択、再生する映像の選択など)を表示させる。使用者は、表示された操作に関する情報の中から、操作部(コントローラ16)の操作により、実行する内容を選択する。このとき、認識部14に操作部(コントローラ16)の操作を認識することができる機能を搭載しておくことで、操作部(コントローラ16)の操作を使用者の反応と認識することができる。なお、操作部(コントローラ16)は、リモコンスタンドを介してマッサージ機1に取り付けられたものでもよいし、手持ち型のものであってもよい。
そうすることで、使用者は、マッサージ機1を操作する際に映像表示装置90を取り外す必要がなくなり、映像表示装置90を装着した状態のまま、映像に表示された操作に関する情報を見ながらマッサージ機1を操作することができる。なお、これらは一例であり、この限りではない。
【0032】
例えば、複数の認識部14を適宜組み合わせてもよい。一例として、使用者の音声情報と使用者の表情を認識する場合について説明する。
マッサージコース実行中に使用者が顔を歪めるような表情をしたことを認識部14が認識すると、認識部14は、実行中のマッサージ動作が使用者にとって痛みを感じるような不快な動作であると認識する。制御部9は、認識した結果に基づき、音声出力部15から「マッサージ動作が強かったですか?」といった音声を出力する。使用者が「強かった」と回答すると、制御部9は、マッサージ部Mのマッサージ動作の内容をより弱い動作となるよう変更(手技、速度、回数など)するとともに、映像表示装置90に表示中の映像を変更する。
【0033】
また、使用者の音声情報と使用者の身体の動きを認識する場合は、マッサージコース実行中に使用者がマッサージ機1に身体を押し付けるような動作をしたことを認識部14が認識すると、認識部14は、実行中のマッサージ動作が使用者にとって弱い動作であると認識する。制御部9は、認識した結果に基づき、音声出力部15から、「マッサージの強さは弱いですか?」といった音声を出力する。使用者が「弱い」と回答すると、制御部9は、マッサージ部Mのマッサージ動作の内容をより強い動作となるよう変更(手技、速度、回数など)するとともに、映像表示装置90に表示中の映像を変更する。
このように、複数の認識部14を適宜組み合わせることで、より精度の高い認識結果を得ることができる。
【0034】
なお、この例においては、使用者の音声情報を認識する認識部14と、使用者の表情を認識する認識部14と、がそれぞれ別々に備えられた場合について説明したが、1つの認識部14が複数の機能(使用者の音声情報を認識する機能、使用者の表情を認識する機能、使用者の身体の動きを認識する機能)を備えていてもよい。
【0035】
また、複数の認識部14の組み合わせは、いろいろなパターンが想定される。例えば、2つを組み合わせる場合は、使用者の音声情報と使用者の視線を組み合わせたり、使用者の音声情報と操作部(コントローラ16)の操作を組み合わせたり、使用者の視線と操作部(コントローラ16)の操作を組み合わせたりすることができる。なお、組み合わせパターンは一例であり、各機能を認識する認識部14をそれぞれ組み合わせることができる。また、3つを組み合わせてもよい、4つを組み合わせてもよい。
このように、複数の認識部14を適宜組み合わせることで、より精度の高い認識結果を得ることができる。
【0036】
なお、コントローラ16の構成は、一例でありこの限りではなく、マッサージ機1を操作できるものであればどのようなものであってもよい。例えば、ディスプレイ17にタッチパネル機能を持たせてもよい。また、
図4(b)に示すとおり、使用者が持っているスマートフォンなどの携帯型通信端末をコントローラ16としてもよい。携帯型通信端末をコントローラ16として使用する場合には、別途インターネットを介して操作アプリをダウンロードし、ダウンロードした操作アプリでマッサージ機1を操作できるように構成されることが好ましい。
【0037】
[映像表示装置の構成]
図5は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置90を示す斜視図であり、(a)はゴーグル型であり、(b)はサンバイザー型であり、(c)はメガネ型である。
図5に示すとおり、本発明の一実施形態に係る映像表示装置90は、使用者が装着可能なウェアラブル型となっている。より詳しくは、使用者の頭部に装着可能なヘッドマウントディスプレイである。映像表示装置90をウェアラブル型とすることで、使用者目線の映像が表示されるため、使用者に対して、より臨場感を与えることができる。
【0038】
図5(a)に示すとおり、映像表示装置90をゴーグル型に構成した場合について説明する。ゴーグル型の映像表示装置90は、映像を表示するためのディスプレイ91と、使用者の頭部に対してディスプレイ91を固定するためのバンド部92と、で構成されている。バンド部92の両端は、ディスプレイ91の左右両端部に対して取り付けられている。バンド部92をディスプレイ91の左右両端部に取り付けることで、使用者の頭部に対して映像表示装置90を安定して固定することができる。
なお、バンド部92は、弾性を有する部材(例えば、ゴムやエラストマーなど)で構成されていることが好ましく、また、長さ調整ができるように構成されていることが好ましい。バンド部92を、弾性を有する部材や長さ調整できるように構成することにより、使用者の頭部の大きさに容易にフィットさせることができる。
【0039】
図5(b)に示すとおり、映像表示装置90をサンバイザー型に構成した場合について説明する。サンバイザー型の映像表示装置90は、映像を表示するためのディスプレイ91と、使用者の頭部に対してディスプレイ91を固定するためのバンド部92と、ディスプレイ91をバンド部92に対して取り付けるための支持部材93と、で構成されている。バンド部92は、合成樹脂などの硬質の部材で構成されていることが好ましい。バンド部92を硬質の部材で構成することにより、使用者の頭部に容易にフィットさせることができる。
ディスプレイ91とバンド部92は、支持部材93を介して取り付けられている。より詳しくは、支持部材93は、ディスプレイ91の左右両端部の上方と、バンド部92の左右両端部と、が離れないように取り付けられており、ディスプレイ91は、支持部材93を支点として回転することができるようになっている。支持部材93を支点にディスプレイ91が回転できるように構成することで、使用者が外部の様子を確認する際、いちいち頭部から映像表示装置90を取り外す必要がなくなる。
【0040】
図5(c)に示すとおり、映像表示装置90をメガネ型に構成した場合について説明する。メガネ型の映像表示装置90は、映像を表示するためのディスプレイ91と、使用者の頭部に対してディスプレイ91を固定するためのバンド部92と、で構成されている。本実施例においては、ディスプレイ91は、右目用と左目用に左右それぞれ分かれた構成となっているが、一例でありこの限りではない。例えば、ディスプレイ91を
図5(a)のようなワンレンズで構成してもよい。バンド部92は、いわゆるメガネのテンプル(つる)であり、前方から後方に向かってやや湾曲した形状となっている。バンド部92の後方をやや湾曲させることにより、バンド部92を使用者の耳に引っ掛けることができる。バンド部92は、ディスプレイ91の左右両側部にそれぞれ取り付けられている。バンド部92をディスプレイ91の左右両側部にそれぞれ取り付けることで、映像表示装置90を左右の耳と鼻との3点で安定して支持することができる。
なお、バンド部92は、硬質の部材(例えば、プラスチックや金属など)で構成されていることが好ましい。バンド部92を硬質の部材で構成することにより、簡単な構成で使用者の頭部の幅に容易に合わせることができる。
【0041】
映像表示装置90は、有線又は無線により、使用者が持っているスマートフォンなどの情報通信端末(
図4(b)参照)やマッサージ機1(より詳しくは、マッサージ機1のコントローラ16(
図4(a)参照)と接続することができるようになっている。映像表示装置90を情報通信端末と接続することで、情報通信端末やコントローラ16のディスプレイ17に表示される映像をそのまま映像表示装置90のディスプレイ91上に表示させることができる。そうすることで、使用者は、情報通信端末やコントローラ16に表示される内容を映像表示装置90で確認することができる。
なお、マッサージ機1の操作を後述する音声認識部14で操作できるように構成することで、使用者は、映像表示装置90を頭部に装着したままの状態で、マッサージコースの選択など、マッサージ機1を操作することができる。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置90に表示される映像を選択する画面を示す図であり、(a)はマッサージ師を選択する画面であり、(b)は場所を選択する画面である。
図7は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置90に表示される映像を選択する画面を示す図であり、(a)は、手技や音楽を選択する画面であり、(b)は目的や時間帯を選択する画面であり、(c)は明るさを調整する画面である。
【0043】
図6(a)に示すとおり、使用者は、映像表示装置90のディスプレイ91上に表示するマッサージ師の映像を自由に選択することができる。つまり、使用者が好むマッサージ師をディスプレイ91上に表示させることができる。例えば、性別(男性/女性)D1を選択することができる。異性にマッサージされたくない使用者もいれば、同性にマッサージされたくない使用者もいる。性別を選択することができるようにすることで、より使用者にとって好ましい状態でマッサージを受けることができる。また、例えば、年齢層(20代未満~70代)D2を選択することができる。年齢が近い人にマッサージされたくない使用者もいれば、年齢が離れた人にマッサージされたくない使用者もいる。年齢層を選択することができるようにすることで、より使用者にとって好ましい状態でマッサージを受けることができる。
【0044】
なお、これらは一例であり、この限りではない。例えば、アニメのキャラクターやゆるキャラ(動物)などがマッサージ師として選択することができるように構成してもよい。また、年齢を指定することができるように構成してもよい。そうすることで、マッサージ機1に対して、より愛着を持たせることができる。
【0045】
また、
図6(b)に示すとおり、使用者は、ディスプレイ91上に表示する風景や光景といった場所の映像を自由に選択することができる。つまり、使用者が好む場所をディスプレイ91上に表示させることができる。なお、性別や年齢層とは異なり、場所については、かなり広範囲となることから、使用者の選択の手間を省くことができるように予めカテゴリー別に分けられていることが好ましい。例えば、カテゴリーを日本と海外とに分け、日本か海外か(D3)を選択することができるようになっている。また、カテゴリーを屋内と屋外とに分け、屋内か屋外か(D4)を選択することができるようになっている。また、カテゴリーを場所や空間で分け、和室や宮殿、ハワイやローマといった特定の場所(D5)を選択することができるようになっている。
そうすることで、使用者は、好きな場所の映像を見ながらマッサージを受け入れることができる。つまり、使用者に対して、あたかも好きな場所でマッサージを受けているかのような臨場感を与えることができる。
【0046】
なお、ディスプレイ91上に表示する場所については、一例でありこの限りではない。例えば、GooGleマップ(登録商標)などの地図アプリと連動するように構成されていてもよい。地図アプリと連動するように構成することで、使用者が選択した特定の場所をピンポイントでディスプレイ91上に映像として表示させることができる。また、一度選択した場所について、お気に入り登録ができるようになっていてもよい。お気に入り登録ができるように構成することで、使用者が毎回場所などを選択する手間を省くことができる。
【0047】
また、
図7(a)に示すとおり、使用者が好きな手技(D6)を選択することができるようになっていてもよい。例えば、使用者によっては、好きな手技がある場合もあれば、好きではない(されたくない)手技がある場合もある。手技を選択することができるようにすることで、より使用者にとって好ましい状態でマッサージを受けることができる。また、音楽やバイブレーション(D7)も選択できるようになっていてもよい。音楽については、予めマッサージ機1の記憶部13に記憶された音楽であってもよいし、使用者が持っている音楽再生機器と有線又は無線で接続され、当該音楽再生機器から再生される音楽であってもよい。
【0048】
また、
図7(b)に示すとおり、使用者の目的(D8)を選択することができるようになっていてもよい。例えば、使用者の目的がヨガであれば、ヨガのアイコンを選択することで、インドの映像などヨガの雰囲気を味わうことができる映像をディスプレイ91上に表示させることができる。また、使用者が好きな時間帯(D9)を選択することができるようになっていてもよい。例えば、使用者が眠気を感じており、眠気をスッキリさせ気分のときに朝のアイコンを選択することで、朝の晴れた青空の映像をディスプレイ91上に表示させることができる。また、明るさを直接設定することができるように明るさアイコンが設けられていてもよい。
【0049】
また、
図7(c)に示すとおり、ディスプレイ91上に表示する映像の明るさを直接設定することができるようになっていてもよい。例えば、メーターを直接操作して、使用者の好む明るさに設定(D10)することができるようになっていてもよいし、矢印アイコンを設け、矢印アイコンを操作することで、使用者の好む明るさに設定(D11)することができるようになっていてもよい。
なお、これらD1~D11は、全て選択・設定しなくてもよい。スキップボタンを設け、使用者にとって必要な選択・設定が完了した段階で、他の項目の選択をスキップしてもよい。また、選択・設定できる時間を予め決めておいてもよい。予め選択・設定できる時間を決めておくことで、所定時間経過後に自動的に選択した内容を表示させることができる。
【0050】
図8は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置90に表示される映像を示す図であり、(a)は和室を選択した場合の映像であり、(b)はマッサージ開始前に表示されるマッサージ師の映像であり、(c)はマッサージ中に表示されるマッサージ師の映像である。
【0051】
使用者が好きな場所として和室を選択(D5)した場合、映像表示装置90のディスプレイ91上には、
図8(a)に示すような和室の映像が表示される。表示される映像は、使用者の顔の向きに連動することが好ましい。使用者の顔の向きと連動するように映像を表示することで、使用者が右を向いた場合には、和室の右側の映像が、使用者が左を向いた場合には、和室の左側の映像が表示される。
つまり、使用者がどこを向いてもディスプレイ91上に表示される映像は途切れることがなく、映像表示装置90を装着してマッサージ機1を使用している間、使用者は現実から離れて、リラックスした状態でマッサージを受けることができる。
【0052】
マッサージ部Mによるマッサージ動作は、ディスプレイ91上に表示される映像と同期するように予め設定されている。マッサージ動作と映像を予め同期させておくことで、映像とマッサージ動作との間にズレを生じなくすることができる。なお、映像は、制御部9により、コントローラ16に設けられた音声認識部14で認識した使用者の音声情報に基づき、変更されるようになっている。また、映像の変更に合わせて、マッサージ部Mのマッサージ動作も変更されるようになっている。詳細については、後述する。
【0053】
音声認識部14と音声出力部15とによる使用者との対話について説明する。
図8(b)に示すとおり、使用者がマッサージ機1の電源をONにし、D1~D11を選択すると、使用者が選択したマッサージ師Hが映像表示装置90のディスプレイ91上に表示される。
ディスプレイ91上に表示されたマッサージ師Hは、使用者と対話を開始する。まず、使用者の状態を把握するために必要な質問(例えば、「お疲れのところはございますか?」といった質問(F1))を音声出力部15から出力する。
【0054】
使用者が質問に対して回答(例えば、「腰のあたりが凝っています。」といった回答(F2))をすると、音声認識部14は、使用者の回答内容を認識する。認識した回答内容に基づき、音声出力部15から回答内容に対応する音声(例えば、「かしこまりました。「腰集中コース」はいかかでしょうか?」といった質問(F3))を出力する。そして、使用者が質問に対して再び回答(例えば、「じゃ、それで」といった回答(F4))をすると、音声認識部14は、使用者の回答内容を認識し、腰集中コースの実行を開始する。なお、このとき、音声出力部15により出力した音声の内容をディスプレイ91上に吹出しとして表示させてもよい。そうすることで、音声出力部15から出力される音声を使用者が聞き漏らした場合であっても、ディスプレイ91を確認することで、質問内容と回答内容を把握することができる。
なお、マッサージ師Hと対話する前に、使用者がマッサージコースを選択していた場合には、F1~F4は省略されるようになっていることが好ましい。
【0055】
マッサージコース実行中には、ディスプレイ91上に、
図8(c)のような映像が表示される。マッサージコース実行中にも、使用者はマッサージ師Hと対話することができる。例えば、マッサージ部Mのマッサージ動作が使用者にとって最適な状態となっているかを把握するために必要な質問(例えば、「力加減はいかかでしょうか?」といった質問(F5))を音声出力部15から出力する。使用者が質問に対して回答(例えば、「もうちょっと強くしてもらえますか?」といった回答(F6))をすると、音声認識部14は、使用者の回答内容を認識する。認識した回答内容に基づき、音声出力部15から回答内容に対応する音声(例えば、「かしこまりました。これでいかかでしょうか?」といった質問(F7))を出力する。
【0056】
なお、このとき、音声出力部15から音声が出力された後に、制御部9によりマッサージ部Mのマッサージ動作と映像が変更される。そうすることで、映像と会話をしながらマッサージ動作を変更することができるため、あたかも人にマッサージしてもらっているかのような臨場感のあるマッサージを受けることができる。
また、マッサージ動作の変更は、マッサージ動作の強弱やマッサージ動作の種類(手技)、マッサージ部Mの押出し量やマッサージ動作の速度のうち少なくとも1つが含まれていればよい。例えば、回答F6を認識した場合には、マッサージ動作を強くするために、マッサージ部Mの押出し量を増やしたり、マッサージ動作を強く(回数を増やす)したり、エアセルの膨張時間を長くしたりする。そうすることで、より人の手によるマッサージ動作に近づけることができる。
なお、変更後のマッサージ動作の内容を記憶部13に記憶することができるように構成してもよい。
【0057】
そして、使用者が質問に対して再び回答(例えば、「OK」といった回答)をすると、音声認識部14は、使用者の回答内容を認識し、変更したマッサージ動作の内容で、引き続き、マッサージコースを実行する。また、このとき、音声出力部15により出力した音声の内容をディスプレイ91上に吹出しとして表示させてもよい。そうすることで、音声出力部15から出力される音声を使用者が聞き漏らした場合であっても、ディスプレイ91を確認することで、質問内容と回答内容を把握することができる。
【0058】
また、その他、マッサージ師Hとの対話について、使用者が特定のキーワード(例えば、「対話終了」といった言葉)を回答することで、対話をスキップないし終了させることができてもよいし、使用者が発した特定のキーワード(例えば、「あ、痛っ」といった言葉)を音声認識部14が認識することで、対話を再開(例えば、「どうされましたか?」といった質問)することができるようになっていてもよい。
【0059】
図9は、本発明の一実施形態に係るキーワードを示すテーブルである。キーワードは、記憶部13に記憶されている。キーワードは、マッサージ部Mのマッサージ動作に対する使用者の反応である。使用者の反応とは、実行中のマッサージ動作に対するネガティブな反応やポジティブな反応、ネガティブでもなければポジティブでもないノーマルな反応である。ネガティブな反応とは、例えば、「痛い」や「強すぎる」といった使用者が不快と感じるときに発せられる言葉のことを指している。また、ポジティブな反応とは、「少し強め」や「リピート」といった使用者にとってあと少しで快適になると感じるときに発せられる言葉のことを指している。また、ノーマルな反応とは、「気持ちいい」や「いい感じ」といった使用者にとって快適と感じるときに発せられる言葉のことを指している。
なお、
図9で示すキーワードは、一例でありこの限りではない。使用者の反応を示すキーワードであれば、どのようなものであってもよい。
また、インターネットを経由して、記憶部13に新たなキーワードを追加したり、記憶されたキーワードの変更、削除など、記憶部13に記憶されているキーワードについて、更新することができるように構成されていてもよい。
【0060】
図10は、本発明の一実施形態に係るマッサージ部Mのマッサージ動作と映像を変更するテーブルである。
図10に基づき、マッサージ機1に搭載されたマッサージコースCを使用者が選択した場合について説明する。マッサージコースCには、予め所定時間t1~t6と、所定時間t1~t6に応じたマッサージ動作と映像が定められている。
【0061】
使用者がマッサージコースCを開始(t1)すると、マッサージ機1は、予め定められたテーブルに基づき、動作を開始する。テーブルには、マッサージコースCに対応したマッサージ動作の強弱、マッサージ動作の種類(手技)、マッサージ部Mの押出し量、マッサージ動作の速度、エアセルの膨張量、ディスプレイ91上に表示する映像が予め対応付けられている。
【0062】
動作開始後(t1)、マッサージ機1は、使用者に対して対話を開始する。このとき、ディスプレイ91には、
図8(b)(c)のような映像が表示されている。使用者と対話中、t2のタイミングで、音声認識部14が特定のキーワード(例えば、使用者が発した「痛いっ」という言葉)を検出すると、実行中のマッサージ動作が使用者にとって不快であると認識する。
【0063】
制御部9は、音声認識部14が認識したキーワードに基づき、マッサージ部Mのマッサージ動作とディスプレイ91に表示している映像を変更する。より詳しくは、マッサージ動作の強さを「5から3」に変更し、マッサージ部Mの押出し量を「5から3」に変更し、マッサージ部の速度は変更せず、エアセルの膨張量を「5から2」に変更し、ディスプレイ91に表示されている映像を「AからB」に変更する。映像の一例として、映像Aは、マッサージ師Hがしっかり力を込めてマッサージしているような映像であり、映像Bは、マッサージ師Hが優しくマッサージしているような映像である。なお、あくまで一例であり、表示される映像の内容については、この限りではない。
【0064】
なお、このとき、t2以降のマッサージコースCのテーブル全体の内容も変更される。例えば、変更前のテーブルにおいて、t3のタイミングでは、マッサージ動作の強さは「4」、マッサージ部Mの押出し量は「4」、マッサージ動作の速度は「5」、エアセルの膨張量は「4」と設定されていたが、テーブル全体の内容が変更されたことにより、マッサージ動作の強さは「1」に、マッサージ部Mの押出し量は「1」に、マッサージ動作の速度は「1」に、エアセルの膨張量は「2」に、変更される。
【0065】
そして、引き続き、使用者と対話を行う。t3のタイミングで、音声認識部14が特定のキーワード(例えば、使用者が発した「少し強く」という言葉)を検出すると、実行中のマッサージ動作が使用者にとって物足りない状態であると認識する。
【0066】
制御部9は、音声認識部14が認識したキーワードに基づき、マッサージ部Mのマッサージ動作とディスプレイ91に表示している映像を変更する。より詳しくは、マッサージ動作の強さを「1から3」に変更し、マッサージ部Mの押出し量を「1から2」に変更し、マッサージ動作の速度を「1から3」に変更し、エアセルの膨張量を「2から3」に変更し、ディスプレイ91に表示されている映像を「BからC」に変更する。映像の一例として、映像Cは、映像Bに比べ、マッサージ師Hが少し力を強めてマッサージしているような映像である。なお、あくまで一例であり、表示される映像の内容については、この限りではない。
【0067】
なお、このとき、t3以降のマッサージコースCのテーブル全体の内容も変更される。例えば、変更前のテーブルにおいて、t4のタイミングでは、マッサージ動作の強さは「1」、マッサージ部Mの押出し量は「2」、マッサージ動作の速度は「2」、エアセルの膨張量は「2」と設定されていたが、テーブル全体の内容が変更されたことにより、マッサージ動作の強さは「2」に、マッサージ部Mの押出し量は「3」に、エアセルの膨張量は「3」に、変更される。なお、マッサージ動作の速度は維持したままである。
【0068】
そして、引き続き、使用者と対話を行う。t4のタイミングで、音声認識部14が特定のキーワード(例えば、使用者が発した「少し強く」という言葉)を検出すると、実行中のマッサージ動作が使用者にとって物足りない状態であると認識する。
【0069】
制御部9は、音声認識部14が認識したキーワードに基づき、マッサージ部Mのマッサージ動作とディスプレイ91に表示している映像を変更する。より詳しくは、マッサージ動作の強さと、マッサージ部Mの押出し量と、マッサージ動作の速度は変更せず、エアセルの膨張量を「3から4」に変更し、ディスプレイ91に表示されている映像を「CからD」に変更する。
【0070】
なお、このとき、t4以降のマッサージコースCのテーブル全体の内容も変更される。例えば、変更前のテーブルにおいて、t5のタイミングでは、マッサージ動作の強さは「2」、マッサージ部Mの押出し量は「3」、マッサージ動作の速度は「2」、エアセルの膨張量は「3」と設定されていたが、テーブル全体の内容が変更されたことにより、マッサージ動作の強さ、マッサージ部Mの押出し量、マッサージ動作の速度は維持したままで、エアセルの膨張量が「4」に変更される。
【0071】
映像の一例として、映像Dは、映像Cに比べ、マッサージ師Hが更に力を強めて(映像Aよりは力弱め)、マッサージしているような映像である。なお、あくまで一例であり、表示される映像の内容については、この限りではない。
【0072】
そして、引き続き、使用者と対話を行う。t5のタイミングで、音声認識部14が特定のキーワード(例えば、使用者が発した「気持ちいい」という言葉)を検出すると、実行中のマッサージ動作が使用者にとって最適な状態であると認識し、マッサージコースCの終了まで、変更された内容(マッサージ動作の強さを「2」、マッサージ部Mの押出し量を「3」、マッサージ動作の速度を「2」、エアセルの膨張量を「4」、映像を「映像D」)でマッサージ動作を継続する。
【0073】
このように、マッサージ部Mのマッサージ動作と映像は、制御部9によって、音声認識部14が検出したキーワードに基づいて変更することができるため、映像と会話をしながらマッサージ動作を変更することができ、あたかも人にマッサージしてもらっているかのような臨場感のあるマッサージを受けることができる。また、キーワードは、マッサージ動作に対する使用者の反応であるため、使用者の反応に応じて、マッサージ動作を変更することもできる。
【0074】
[制御パターン]
図11は、本発明の一実施形態に係るマッサージコースのフロー図である。
図11に示すとおり、マッサージコースは、複数のステップから構成されている。
まず、使用者は、コントローラ16のコースボタンを選択し、マッサージコースを開始する(S-1)。このとき、コントローラ16に表示されるアイコンを映像表示装置90のディスプレイ91上に表示させてもよい。そうすることで、使用者は、映像表示装置90を装着した状態のままマッサージコースを開始することができる。
なお、コントローラ16は、
図4(a)のようなタイプのものであってもよいし、
図4(b)のように使用者が持っているスマートフォンなどの携帯型通信端末をコントローラとして使用することができるようになっていてもよい。
【0075】
マッサージコースが開始されると、使用者との対話が開始される(S-2)。使用者との対話は、映像表装置90のディスプレイ91に表示する方法と、音声認識部14と音声出力部15とによる方法がある。どちらか一方の方法を採用してもよいし、両方の方法を採用してもよい。
ディスプレイ91に表示する方法の場合、
図8(c)に示すように、ディスプレイ91上に吹き出しF5を表示させることで、使用者と対話することができる。
音声認識部14と音声出力部15とによる方法の場合、音声出力部15で音声を出力し、出力された音声に対して使用者が発した音声情報を音声認識部14が認識することで、使用者と対話することができる。
なお、マッサージコース開始前に対話するように構成してもよい。その場合には、
図8(b)に示すように、対話によりおすすめのマッサージコースを使用者に提示することができ、使用者は、音声認識により、マッサージコースを選択し、開始することができる。
【0076】
音声認識部14は、使用者が発する音声情報の中からキーワードを検出する(S-3)。キーワードが検出された場合(S-3でYES)には、検出したキーワードに基づき、マッサージ部Mのマッサージ動作とディスプレイ91に表示される映像を変更する(S-4)。キーワードが検出されない場合(S-3でNO)には、再び対話が開始される(S-5に進む)。検出するキーワードは、マッサージ動作に対する使用者の反応である。より詳しくは、
図9に示すように、実行中のマッサージ動作に対するネガティブな言葉やポジティブな言葉、ネガティブでもなければポジティブでもないノーマルな言葉である。ネガティブな言葉とは、例えば、「痛い」や「強すぎる」といったものであり、実行中のマッサージ動作が使用者にとって不快と感じる際に発せられる言葉である。また、ポジティブな言葉とは、「少し強め」や「リピート」といったものであり、実行中のマッサージ動作が使用者にとってあと少しで快適になると感じる際に発せられる言葉である。また、ノーマルな言葉とは、「気持ちいい」や「いい感じ」といったものであり、実行中のマッサージ動作が使用者にとって快適と感じる際に発せられる言葉である。
なお、検出するキーワードは、一例でありこの限りではない。使用者の反応を示すキーワードであれば、どのようなものであってもよい。
【0077】
マッサージ動作とディスプレイ91に表示される映像を変更したとき、例えば、マッサージ動作を強くした場合には、ディスプレイ91に表示される映像について、より力強くマッサージしているような映像に変更する。また、マッサージ動作を弱くした場合には、ディスプレイ91に表示される映像について、より弱めにマッサージしているような映像に変更する。マッサージ動作とディスプレイ91に表示される映像が変更された後、時間差で再び対話を行う(S-5)。これら(S-2)~(S-5)の各ステップは、所定時間が経過するまで(S-6でYESとなるまで)繰り返し実行される。
【0078】
なお、使用者によっては、使用者自身にとって最適なマッサージ動作が実行されている場合には、それ以降の対話を望まないというケースも考えられる。そのため、コントローラ16に対話をスキップするためのスキップボタン(図示せず)や、対話を終了するための終了ボタン(図示せず)を設けてもよい。また、コントローラ16による操作が煩わしいと感じる使用者のために、音声認識部14による音声認識により対話をスキップしたり、終了したりすることができるように構成してもよい。
【0079】
所定時間が経過していない(S-6でNO)場合には、所定時間が経過する(S-6でYES)まで(S-2)~(S-5)の各ステップが繰り返し実行される。所定時間が経過する(S-6でYES)と、マッサージコースは終了する(S-7)。
なお、コース終了後に、対話に基づき変更したマッサージ部Mのマッサージ動作と映像を記憶部13に記憶させるように構成してもよい。記憶部13に記憶させておくことで、次回マッサージコースを選択した際には、記憶部13に記憶したマッサージ部Mのマッサージ動作と映像からマッサージコースを開始することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、使用者の反応に基づいて、マッサージ部のマッサージ動作をと映像を変更することができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
制御部 9
音声認識部 14
映像表示装置 90
マッサージ部 M