(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056298
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】伸縮管継手の組立方法、及び、ロックリングの仮固定構造
(51)【国際特許分類】
F16L 27/12 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
F16L27/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163083
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前西 保
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢志
【テーマコード(参考)】
3H104
【Fターム(参考)】
3H104JA03
3H104JA08
3H104JA18
3H104JB01
3H104KA01
3H104KB04
3H104KB11
3H104LA14
3H104LA19
3H104LF02
3H104LG03
3H104MA10
(57)【要約】
【課題】ロックリングの装着作業性を向上できる伸縮管継手の組立方法、及び、ロックリングの仮固定構造を提供する。
【解決手段】管体1と、それに挿入された管体2とが、軸芯方向に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続され、管体2の外周面に装着されたロックリング4により離脱防止機能を発揮する伸縮管継手10の組立方法であって、弾性変形により拡径させたロックリング4を仮固定治具8に組み付けてなる組付体48を管体1に内嵌し、拡径状態のロックリング4を管体1と同芯状の姿勢で保持する仮固定工程と、拡径状態のロックリング4に管体2を挿入し、管体2の挿入移動によって仮固定治具8をロックリング4から取り外し、管体2の外周面にロックリング4を装着する装着工程と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管体と、それに挿入された第2の管体とが、軸芯方向に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続され、前記第2の管体の外周面に装着されたロックリングにより離脱防止機能を発揮する伸縮管継手の組立方法であって、
弾性変形により拡径させた前記ロックリングを仮固定治具に組み付けてなる組付体を前記第1の管体に内嵌し、拡径状態の前記ロックリングを前記第1の管体と同芯状の姿勢で保持する仮固定工程と、
拡径状態の前記ロックリングに前記第2の管体を挿入し、前記第2の管体の挿入移動によって前記仮固定治具を前記ロックリングから取り外し、前記第2の管体の外周面に前記ロックリングを装着する装着工程と、を備えることを特徴とする、伸縮管継手の組立方法。
【請求項2】
前記ロックリングは、前記ロックリングを周方向に分断する分割部を有し、
前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第1の突出部とを有し、
前記仮固定工程では、弾性変形により間隙を大きくした前記分割部に前記第1の突出部を差し込むことにより前記ロックリングが拡径状態で保持される、請求項1に記載の伸縮管継手の組立方法。
【請求項3】
前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第2の突出部とを有し、
前記仮固定工程では、前記第2の突出部に添え当てた状態で前記ロックリングが前記仮固定治具に組み付けられている、請求項1に記載の伸縮管継手の組立方法。
【請求項4】
前記装着工程では、前記第1の管体の内部に形成された被係合部に対して前記ロックリングが前記第2の管体の挿入方向に係合する状態で、前記第2の管体により前記仮固定治具を押圧して前記ロックリングから取り外す、請求項1に記載の伸縮管継手の組立方法。
【請求項5】
前記第1の管体は、球面状の内周面を備えたケーシングと、その球面状の内周面に対して相対的に摺動自在に嵌合される球面状の外周面を備えた中間スリーブとを備え、
前記仮固定工程では、前記組付体が前記中間スリーブに内嵌されている、請求項1~4いずれか1項に記載の伸縮管継手の組立方法。
【請求項6】
前記中間スリーブには、前記中間スリーブの軸芯方向に径方向を一致させた姿勢の前記ロックリングの通過を許容する切欠部が形成されており、
前記仮固定工程では、前記仮固定治具を前記切欠部に嵌入する、請求項5に記載の伸縮管継手の組立方法。
【請求項7】
第1の管体と、それに挿入された第2の管体とが、軸芯方向に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続され、前記第2の管体の外周面に装着されたロックリングにより離脱防止機能を発揮する伸縮管継手を組み立てるための仮固定構造であって、
弾性変形により拡径させた前記ロックリングを仮固定治具に組み付けてなる組付体が前記第1の管体に内嵌され、拡径状態の前記ロックリングが前記第1の管体と同芯状の姿勢で保持されており、
拡径状態の前記ロックリングに前記第2の管体を挿入すると、前記第2の管体の挿入移動によって前記仮固定治具が前記ロックリングから取り外され、前記第2の管体の外周面に前記ロックリングが装着されるように構成されていることを特徴とする、ロックリングの仮固定構造。
【請求項8】
前記ロックリングは、前記ロックリングを周方向に分断する分割部を有し、
前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第1の突出部とを有し、
弾性変形により間隙を大きくした前記分割部に前記第1の突出部を差し込むことにより前記ロックリングが拡径状態で保持されている、請求項7に記載のロックリングの仮固定構造。
【請求項9】
前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第2の突出部とを有し、
前記第2の突出部に添え当てた状態で前記ロックリングが前記仮固定治具に組み付けられている、請求項7に記載のロックリングの仮固定構造。
【請求項10】
前記第1の管体の内部に、拡径状態の前記ロックリングが前記第2の管体の挿入方向に対向する被係合部が形成されている、請求項7に記載のロックリングの仮固定構造。
【請求項11】
前記第1の管体は、球面状の内周面を備えたケーシングと、その球面状の内周面に対して相対的に摺動自在に嵌合される球面状の外周面を備えた中間スリーブとを備え、
前記組付体は前記中間スリーブに内嵌されている、請求項7~10いずれか1項に記載のロックリングの仮固定構造。
【請求項12】
前記中間スリーブには、前記中間スリーブの軸芯方向に径方向を一致させた姿勢の前記ロックリングの通過を許容する切欠部が形成されており、
前記仮固定治具は前記切欠部に嵌入されている、請求項11に記載のロックリングの仮固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伸縮管継手の組立方法と、その方法で用いられるロックリングの仮固定構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、それぞれ伸縮機能を有した伸縮管継手が記載されている。かかる伸縮管継手によれば、第1の管体と、それに挿入された第2の管体とが、軸芯方向に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続される。第2の管体の外周面には、周方向に沿って延びたロックリング(リング部材)が装着されている。第1の管体から第2の管体が離脱する方向に一定範囲を越えて相対移動しようとすると、第1の管体の内部に形成されている被係合部にロックリングが係合し、それにより相対移動を規制して離脱を防止することができる。
【0003】
上述の離脱防止機能を発揮できるよう、ロックリングの外径は被係合部の内径よりも大きく設定されている。そのため、特許文献1,2で示されているように、第2の管体の外周面にロックリングを装着する作業は、それらを第1の管体の内部に配置した状態で行われる。特許文献1では、工具を用いてロックリングを回転操作し、そのロックリングの内周面に形成された雌ネジを、第2の管体の外周面に形成された雄ネジに螺着する手法が提案されている。特許文献2では、工具を用いてロックリングを拡径操作し、その拡径させたロックリングを第2の管体に外嵌する手法が提案されている。
【0004】
特許文献1,2に記載された上記の手法では、第1の管体の両端に形成された一対の開口のうち、第2の管体を挿入する開口とは反対側の開口から工具を挿入し、それを操作してロックリングを回転または拡径させる、という比較的煩雑な作業が必要となる。しかも、その工具を挿入する開口が軸芯方向に延在した挿口(例えば、
図1参照)の端部に形成されている場合、及び/又は、管体が小口径(例えば、呼び径100以下)である場合には、狭小な空間に工具を通してロックリングを操作することになるため、既存の工具では対処が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2-271192号公報
【特許文献2】特開平10-54487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロックリングの装着作業性を向上できる伸縮管継手の組立方法、及び、ロックリングの仮固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
本開示に係る伸縮管継手の組立方法は、第1の管体と、それに挿入された第2の管体とが、軸芯方向に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続され、前記第2の管体の外周面に装着されたロックリングにより離脱防止機能を発揮する伸縮管継手の組立方法であって、弾性変形により拡径させた前記ロックリングを仮固定治具に組み付けてなる組付体を前記第1の管体に内嵌し、拡径状態の前記ロックリングを前記第1の管体と同芯状の姿勢で保持する仮固定工程と、拡径状態の前記ロックリングに前記第2の管体を挿入し、前記第2の管体の挿入移動によって前記仮固定治具を前記ロックリングから取り外し、前記第2の管体の外周面に前記ロックリングを装着する装着工程と、を備える。
【0008】
かかる方法によれば、第1の管体の内部において、拡径状態のロックリングが第1の管体と同芯状の姿勢で仮固定され、その拡径状態のロックリングに第2の管体が挿入されることにより、第2の管体の外周面にロックリングが装着される。このため、第1の管体の両端に形成された一対の開口のうち、第2の管体を挿入する開口とは反対側の開口から工具を挿入してロックリングを操作する必要がなくなり、ロックリングの装着作業性を向上できる。
【0009】
[2]
上記[1]の伸縮管継手の組立方法において、前記ロックリングは、前記ロックリングを周方向に分断する分割部を有し、前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第1の突出部とを有し、前記仮固定工程では、弾性変形により間隙を大きくした前記分割部に前記第1の突出部を差し込むことにより前記ロックリングが拡径状態で保持されることが好ましい。かかる方法によれば、簡易な構成の仮固定治具を用いて、拡径状態のロックリングを所定の姿勢で保持することができる。
【0010】
[3]
上記[1]又は[2]の伸縮管継手の組立方法において、前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第2の突出部とを有し、前記仮固定工程では、前記第2の突出部に添え当てた状態で前記ロックリングが前記仮固定治具に組み付けられていることが好ましい。ロックリングを第2の突出部に添え当てることにより、仮固定治具にロックリングを組み付ける際の位置決めに利用できる。また、仮固定治具に組み付けたロックリングの相対位置が安定するため、作業性が向上する。
【0011】
[4]
上記[1]~[3]いずれか1つの伸縮管継手の組立方法において、前記装着工程では、前記第1の管体の内部に形成された被係合部に対して前記ロックリングが前記第2の管体の挿入方向に係合する状態で、前記第2の管体により前記仮固定治具を押圧して前記ロックリングから取り外すことが好ましい。かかる方法によれば、第2の管体の挿入移動によって仮固定治具をロックリングから円滑に取り外すことができるため、作業性が向上する。
【0012】
[5]
上記[1]~[4]いずれか1つの伸縮管継手の組立方法において、前記第1の管体は、球面状の内周面を備えたケーシングと、その球面状の内周面に対して相対的に摺動自在に嵌合される球面状の外周面を備えた中間スリーブとを備え、前記仮固定工程では、前記組付体が前記中間スリーブに内嵌されているものでもよい。この場合、伸縮機能に加えて屈曲機能を有した伸縮管継手(伸縮可撓管継手)の組み立てにおいて、ロックリングの装着作業性を向上できる。また、ケーシングに中間スリーブを嵌合する前に、その中間スリーブに組付体を予め内嵌しておくことが可能となり、作業性を向上できる。
【0013】
[6]
上記[5]の伸縮管継手の組立方法において、前記中間スリーブには、前記中間スリーブの軸芯方向に径方向を一致させた姿勢の前記ロックリングの通過を許容する切欠部が形成されており、前記仮固定工程では、前記仮固定治具を前記切欠部に嵌入することが好ましい。かかる方法によれば、中間スリーブに形成された切欠部を利用して組付体を中間スリーブに内嵌できる。
【0014】
[7]
本開示に係るロックリングの仮固定構造は、第1の管体と、それに挿入された第2の管体とが、軸芯方向に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続され、前記第2の管体の外周面に装着されたロックリングにより離脱防止機能を発揮する伸縮管継手を組み立てるための仮固定構造であって、弾性変形により拡径させた前記ロックリングを仮固定治具に組み付けてなる組付体が前記第1の管体に内嵌され、拡径状態の前記ロックリングが前記第1の管体と同芯状の姿勢で保持されており、拡径状態の前記ロックリングに前記第2の管体を挿入すると、前記第2の管体の挿入移動によって前記仮固定治具が前記ロックリングから取り外され、前記第2の管体の外周面に前記ロックリングが装着されるように構成されている。
【0015】
かかる構造によれば、第1の管体の内部において、拡径状態のロックリングが第1の管体と同芯状の姿勢で仮固定され、その拡径状態のロックリングに第2の管体を挿入されることにより、第2の管体の外周面にロックリングが装着される。このため、第1の管体の両端に形成された一対の開口のうち、第2の管体を挿入する開口とは反対側の開口から工具を挿入してロックリングを操作する必要がなくなり、ロックリングの装着作業性を向上できる。
【0016】
[8]
上記[7]のロックリングの仮固定構造において、前記ロックリングは、前記ロックリングを周方向に分断する分割部を有し、前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第1の突出部とを有し、弾性変形により間隙を大きくした前記分割部に前記第1の突出部を差し込むことにより前記ロックリングが拡径状態で保持されていることが好ましい。かかる構成によれば、簡易な構成の仮固定治具を用いて、拡径状態のロックリングを所定の姿勢で保持することができる。
【0017】
[9]
上記[7]又は[8]のロックリングの仮固定構造において、前記仮固定治具は、前記第1の管体に内嵌可能に形成された本体部と、前記本体部から突出した第2の突出部とを有し、前記第2の突出部に添え当てた状態で前記ロックリングが前記仮固定治具に組み付けられていることが好ましい。ロックリングを第2の突出部に添え当てることにより、仮固定治具にロックリングを組み付ける際の位置決めに利用できる。また、仮固定治具に組み付けたロックリングの相対位置が安定するため、作業性が向上する。
【0018】
[10]
上記[7]~[9]いずれか1つのロックリングの仮固定構造において、前記第1の管体の内部に、拡径状態の前記ロックリングが前記第2の管体の挿入方向に対向する被係合部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第2の管体の挿入移動によって仮固定治具をロックリングから円滑に取り外すことができるため、作業性が向上する。
【0019】
[11]
上記[7]~[10]いずれか1つのロックリングの仮固定構造において、前記第1の管体は、球面状の内周面を備えたケーシングと、その球面状の内周面に対して相対的に摺動自在に嵌合される球面状の外周面を備えた中間スリーブとを備え、前記組付体は前記中間スリーブに内嵌されているものでもよい。この場合、伸縮機能に加えて屈曲機能を有した伸縮管継手(伸縮可撓管継手)の組み立てにおいて、ロックリングの装着作業性を向上できる。また、ケーシングに中間スリーブを嵌合する前に、その中間スリーブに組付体を予め内嵌しておくことが可能となり、作業性を向上できる。
【0020】
[12]
上記[11]のロックリングの仮固定構造において、前記中間スリーブには、前記中間スリーブの軸芯方向に径方向を一致させた姿勢の前記ロックリングの通過を許容する切欠部が形成されており、前記仮固定治具は前記切欠部に嵌入されていることが好ましい。かかる構成によれば、中間スリーブに形成された切欠部を利用して組付体を中間スリーブに内嵌できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】自然状態のロックリングの(A)正面図と(B)A-A矢視断面図
【
図3】従来の手法で伸縮管継手を組み立てるときの不都合を説明する図
【
図6】中間スリーブに組付体を内嵌する作業を示す断面図
【
図7】中間スリーブの(A)背面図と(B)B-B矢視断面図
【
図11】
図10に示した本体部の(A)分解正面図と(B)分解側面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の伸縮管継手の組立方法、及び、ロックリングの仮固定構造の実施形態について説明する。
【0023】
[伸縮管継手の構成]
図1,2を参照して、伸縮管継手の構成について説明する。
図1に示す伸縮管継手10は、管体1(第1の管体)と、それに挿入された管体2(第2の管体)と、それらの間を密封する環状のパッキン3とを備える。管体1と管体2とは、軸芯方向(
図1の左右方向)に沿って一定範囲内で相対移動可能に接続されている。本実施形態では、管体1及び管体2が、それぞれ水道管として供される呼び径75の鋳鉄管である例を示す。但し、管体1,2は、水以外の液体、気体または気液混合体などに用いられる流体管であってもよい。また、管寸法などの仕様は使用条件に応じて適宜に変更可能である。
【0024】
管体1は、その両端に形成された一対の開口1a,1bを有する。開口1aは、管体1の受口の端部に形成されている。開口1bは、軸芯方向に延在した管体1の挿口の端部に形成されている。管体2は、開口1aを介して管体1に挿入されている。開口1aは、後述する中間スリーブ6の開口6a(
図6,7参照)を含む。挿入方向D1は、管体1に管体2を挿入する方向であり、
図1の右方向に相当する。離脱方向D2は、管体1から管体2が離脱する方向であり、
図1の左方向に相当する。また、挿入方向D1に沿って見た図を正面図とし、離脱方向D2に沿って見た図を背面図としている。
【0025】
管体2の外周面にはロックリング4が装着されている。ロックリング4は、軸芯周りとなる周方向に沿って延びている。ロックリング4は、鋼材などの金属により形成されている。管体2の外周面には、ロックリング4を装着するための環状溝21が形成されている。ロックリング4は、環状溝21に嵌入されることにより管体2に対して固定される。環状溝21は、管体2の先端から離脱方向D2に離れた位置に形成されている。環状溝21の深さはロックリング4の厚みよりも小さいため、ロックリング4は環状溝21から突出した状態で装着固定される。
【0026】
図2に示すように、ロックリング4は、ロックリング4を周方向に分断する分割部41を有する。本実施形態では、ロックリング4がC字状のリング部材で形成されており、分割部41は周方向の一箇所に設定されている。外力を加えていない自然状態のロックリング4の内径は、管体2の外径よりも小さい。そのため、ロックリング4を管体2に外嵌するときは、弾性変形により分割部41の間隙を大きくしてロックリング4を拡径させる。分割部41を挟む一対の端部には、それぞれ差込孔42が設けられている。差込孔42には、ロックリング4を拡径するための工具34(
図6(B)参照)が差し込まれる。
【0027】
弾性変形によりロックリング4を円滑に拡径できるよう、ロックリング4の内周面には切欠き43が設けられている。切欠き43は、ロックリング4の厚みを部分的に小さくするようにして形成されている。切欠き43は、所定の角度範囲で周方向に延び、その内面の両端は円弧状に湾曲している。切欠き43は、周方向の複数箇所(本実施形態では三箇所)に形成されている。ロックリング4の径寸法が小さくなるほど、それを拡径させるために大きな力を加える必要があるため、このような切欠き43を備えたロックリング4の形状は、管体2が小口径(例えば、呼び径100以下)である場合に特に有用である。
【0028】
伸縮管継手10は、管体2の外周面に装着されたロックリング4により離脱防止機能を発揮する。管体1から管体2が離脱する方向に一定範囲を越えて相対移動しようとすると、管体1の内部に形成されている被係合部11にロックリング4が係合し、それにより相対移動を規制して離脱を防止することができる。被係合部11は、パッキン3が装着される装着溝12を区画する環状壁部により形成され、内周側に向かって突出している。被係合部11(環状壁部)の内径は、管体2の外径よりも大きく、管体2の外周面に装着されたロックリング4の外径よりも小さい。
【0029】
本実施形態では、伸縮管継手10が、伸縮機能に加えて屈曲機能を有する伸縮管継手(伸縮可撓管継手)である例を示す。管体1は、球面状の内周面を備えたケーシング5と、その球面状の内周面に対して相対的に摺動自在に嵌合される球面状の外周面を備えた中間スリーブ6と、それらの間を密封する環状のパッキン7とを備える。伸縮管継手10は、中間スリーブ6と管体2との摺動により伸縮自在に構成されており、ケーシング5と中間スリーブ6との摺動により屈曲自在に構成されている。但し、後述する変形例のように、本開示が適用される伸縮管継手は屈曲機能を有するものに限られない。
【0030】
管体2の外周面にロックリング4を装着する作業は、ロックリング4と、それが装着される管体2の部位を管体1の内部に配置した状態で行う必要がある。しかし、特許文献2に記載の手法によれば、
図3のように開口1bから工具35を挿入してロックリング4を操作しなければならず、作業が煩雑になる。特に、開口1bが挿口の端部に形成されていたり、管体1が小口径であったりすると、狭小な空間に工具35を通してロックリング4を操作することが非常に困難である。そこで、本実施形態では、ロックリング4を容易に装着できるよう、以下に説明する方法により伸縮管継手10を組み立てる。
【0031】
[伸縮管継手の組立方法]
図4~9を参照して、伸縮管継手10の組立方法について説明する。本実施形態の伸縮管継手10の組立方法は、弾性変形により拡径させたロックリング4を仮固定治具8に組み付けてなる組付体48を管体1に内嵌し、拡径状態のロックリング4を管体1と同芯状の姿勢で保持する仮固定工程(
図4参照)と、その拡径状態のロックリング4に管体2を挿入し、管体2の挿入移動によって仮固定治具8をロックリング4から取り外し、管体2の外周面にロックリング4を装着する装着工程(
図5参照)と、を備える。
【0032】
この方法によれば、
図4に示すように、管体1の内部において、拡径状態のロックリング4が管体1と同芯状の姿勢で仮固定される。そして、
図5に示すように、その拡径状態のロックリング4に管体2を挿入することにより、管体2の外周面にロックリング4が装着される。このため、管体1の開口1bから工具を挿入してロックリング4を操作する必要がない。したがって、開口1bが挿口の端部に形成されていようが、管体1が小口径であろうが、上述の不都合は生じない。それ故、ロックリング4の装着作業性を向上することができる。管体1が小口径(例えば、呼び径100以下)である場合は、かかる改善効果が特に顕著である。
【0033】
この組立方法では、拡径させたロックリング4を仮固定するために仮固定治具8が用いられる。仮固定治具8は、管体1に内嵌可能に構成されている。また、仮固定治具8は、管体1に内嵌された状態で、拡径させたロックリング4を管体1と同芯状の姿勢で保持可能に構成されている。ここで、「内嵌」とは、相手方部材(本実施形態では管体1)の内側に嵌めることを意味し、それらの間に隙間が設けられていても構わない。仮固定治具8は、
図5(B)のように装着工程においてロックリング4から取り外され、その後に回収される。
【0034】
本実施形態では、管体1がケーシング5と中間スリーブ6とを備えており、
図4のように組付体48は管体1の中間スリーブ6に内嵌される。このため、
図6に示すように、ケーシング5に中間スリーブ6を嵌合する前に、その中間スリーブ6に組付体48を予め内嵌しておくことが可能である。このように組付体48を内嵌した中間スリーブ6(
図6(C)参照)をケーシング5に嵌合することにより、
図4のように組付体48が内嵌された管体1を得ることができる。かかる方法によれば、ケーシング5に嵌合した後の中間スリーブ6に組付体48を内嵌する場合に比べて、作業性が良好となる。
【0035】
中間スリーブ6に組付体48を内嵌するには、まず、
図6(A)のように、中間スリーブ6の内部にロックリング4を配置する。ロックリング4は、被係合部11の挿入方向D1側に形成された環状周溝13に配置される。環状周溝13の内径は、ロックリング4の外径よりも大きく設定されている。既述のように被係合部11の内径はロックリング4の外径よりも小さいため、ロックリング4は、中間スリーブ6の両端に形成された一対の開口6a,6bのうち、挿入方向D1側に位置する開口6bから中間スリーブ6に差し入れられる。
【0036】
図7に示すように、中間スリーブ6の開口6bには、その径寸法を部分的に大きくする切欠部61が設けられている。切欠部61における径寸法D61は、ロックリング4の外径D4(
図2参照)と同等以上に設定されている。よって、中間スリーブ6には、中間スリーブ6の軸芯方向に径方向を一致させた姿勢のロックリング4(
図7(A)の破線を参照)の通過を許容する切欠部61が形成されている。切欠部61を通過させて中間スリーブ6の内部にロックリング4を配置した後、そのロックリング4を環状周溝13内で旋回させることにより、
図6(A)のように中間スリーブ6と同芯状の姿勢に変更できる。
【0037】
次に、
図6(B)のように中間スリーブ6に仮固定治具8を取り付ける。本実施形態において、仮固定治具8は、環状周溝13よりも挿入方向D1側の位置に、より詳しくは中間スリーブ6の挿入方向D1側の開口6bに取り付けられる。
図8に示すように、仮固定治具8は、中間スリーブ6に(延いては管体1に)内嵌可能に形成された本体部80を有する。本体部80は板状に形成されているが、これに限られない。本体部80は、切欠部61に嵌入可能な形状を有している(
図7(A)の一点鎖線を参照)。これにより、仮固定治具8の軸芯周りの動きが防止される。
【0038】
本実施形態において、仮固定治具8は、本体部80から突出した突出部81(第1の突出部)を有する。また、仮固定治具8は、本体部80から突出した突出部82(第2の突出部)を有する。突出部81,82は、それぞれ離脱方向D2に向けて突出しており、仮固定治具8に組み付けられるロックリング4と相対し得る径方向位置に設定されている。突出部81,82は、いずれも周方向に沿って延びた円弧状に形成されているが、これに限られない。また、仮固定治具8は、ジュラコンなどの樹脂により形成されているが、これに限定されるものではない。
【0039】
続いて、
図6(B)及び(C)のように、弾性変形により拡径させたロックリング4を仮固定治具8に組み付け、中間スリーブ6に組付体48を内嵌させる。ロックリング4は、仮固定治具8の離脱方向D2側に隣接して組み付けられる。ロックリング4は、工具34を使って拡径することができる。工具34には、スナップリングプライヤーなどの既存の工具を用いることができ、その先端は差込孔42(
図2参照)に差し込まれる。このような工具34によるロックリング4の拡径操作は、管体1の開口1bを通して行われるものではないため、特に作業性の低下を招来しない。
【0040】
仮固定工程では、
図9に示すように、弾性変形により間隙を大きくした分割部41に突出部81を差し込むことによりロックリング4が拡径状態で保持される。このため、簡易な構成の仮固定治具8を用いて、拡径状態のロックリング4を所定の姿勢で保持できる。また、拡径させたロックリング4を仮固定治具8に隣接させるだけでよいため、作業性に優れる。ロックリング4は、その内径が管体2の外径よりも大きくなる程度に拡径した状態で保持される。突出部81の幅W81は、そのようなロックリング4の内径を確保するうえで必要とされる分割部41の間隙と同等以上の大きさを有する。
【0041】
本実施形態において、仮固定工程では、
図9に示すように、突出部82に添え当てた状態でロックリング4が仮固定治具8に組み付けられている。ロックリング4を突出部82に添え当てることにより、仮固定治具8にロックリング4を組み付ける際の位置決めに利用できる。また、仮固定治具8に組み付けたロックリング4の相対位置が安定するため、作業性が良好となる。ここで、「添え当てた状態」とは、相手方部材(本実施形態では突出部82)と接触するように宛がった状態、または微小隙間を隔てて実質的に宛がった状態を意味する。
【0042】
本実施形態では、ロックリング4の内周面であって、ロックリング4の中心を挟んで分割部41と相対する部分が、突出部82に添え当てられている。工具34で支持した拡径状態のロックリング4を仮固定治具8に組み付ける際(
図6(B)参照)、その部分を突出部82に添え当てることにより、仮固定治具8に対するロックリング4の初期位置が定まり、それによって作業性が良好になる。また、この例では、径方向に沿って凹んだ切欠き43が突出部82に添え当てられているため、仮固定治具8に対するロックリング4の周方向に沿った位置ずれを防止できる。
【0043】
図6(C)のように中間スリーブ6に組付体48を内嵌させた後、パッキン7が装着されたケーシング5に中間スリーブ6を嵌合する。図示しないが、ケーシング5の離脱方向D2側の開口には、ケーシング5の軸芯方向に径方向を一致させた姿勢の中間スリーブ6の通過を許容する切欠部が形成されている。その切欠部を通過させてケーシング5の内部に中間スリーブ6を配置した後、その中間スリーブ6を旋回させることにより、
図4のようにケーシング5と同芯状の姿勢に変更できる。中間スリーブ6を円滑に旋回できるよう、パッキン7の内周面と中間スリーブ6の外周面との間に潤滑剤を塗布してもよい。
【0044】
上記の如くケーシング5に中間スリーブ6を嵌合し、その中間スリーブ6にパッキン3を装着することにより、
図4のように組付体48が内嵌された管体1が得られる。パッキン3は、ケーシング5に嵌合する前の中間スリーブ6に装着してもよい。管体1に内嵌された組付体48における仮固定治具8は、拡径状態のロックリング4に管体2が挿入されたときに、その管体2と干渉し得る位置に配置されている。本実施形態では、
図9のように挿入方向D1から見た組付体48において、ロックリング4を縦断または横断するようにして仮固定治具8(の本体部80)が配置されている。
【0045】
図4や
図7に示すように、管体1の内部には、拡径状態のロックリング4が管体2の挿入方向D1に対向する被係合部14が形成されている。被係合部14は、仮固定治具8が取り付けられる開口(中間スリーブ6の開口6b)を形成する環状壁部により形成され、内周側に向かって突出している。その被係合部14(環状壁部)の離脱方向D2側に隣接して、拡径状態のロックリング4の配置を許容する許容空間15が形成されている。許容空間15の径寸法D15は、切欠部61における径寸法D61よりも大きく、拡径状態のロックリング4の外径と同等以上に設定されている。
【0046】
仮固定工程によりロックリング4を仮固定した後、
図5のように管体1に管体2を挿入する。管体1の内部では拡径状態のロックリング4が管体1と同芯状の姿勢で保持されているため、管体1に挿入された管体2は自ずとロックリング4に挿入される。管体1の内部で仮固定されているロックリング4の軸芯は、管体1の軸芯と厳密に一致している必要はなく、このように管体1に管体2を挿入したときに、その管体2がロックリング4に挿入される程度に実質的に一致していればよい。
【0047】
本実施形態において、装着工程では、管体1の内部に形成された被係合部14に対してロックリング4が管体2の挿入方向D1に係合する状態で、管体2により仮固定治具8を押圧してロックリング4から取り外す。これにより、管体2の挿入移動によって仮固定治具8をロックリング4から円滑に取り外すことができ、作業性が向上する。仮固定治具8が取り外されたロックリング4は弾性変形の復元により縮径し、管体2の外周面に装着される。ロックリング4が環状溝21に嵌入されたことを確認し、仮固定治具8を回収することで、
図1に示した伸縮管継手10が得られる。
【0048】
[ロックリングの仮固定構造]
組立方法の説明において既に示されているため、ロックリング4の仮固定構造については簡潔な説明に留める。
図4のように、本実施形態の仮固定構造では、弾性変形により拡径させたロックリング4を仮固定治具8に組み付けてなる組付体48が管体1に内嵌され、拡径状態のロックリング4が管体1と同芯状の姿勢で保持されている。また、
図5のように、拡径状態のロックリング4に管体2を挿入すると、管体2の挿入移動によって仮固定治具8がロックリング4から取り外され、管体2の外周面にロックリング4が装着されるように構成されている。
【0049】
図4及び
図9のように、本実施形態の仮固定構造は、弾性変形により間隙を大きくした分割部41に突出部81を差し込むことによりロックリング4が拡径状態で保持されている。また、突出部82に添え当てた状態でロックリング4が仮固定治具8に組み付けられている。管体1の内部には、拡径状態のロックリング4が管体2の挿入方向D1に対向する被係合部14が形成されている。このため、被係合部14に対してロックリング4が管体2の挿入方向D1に係合する状態で、管体2により仮固定治具8を押圧してロックリング4から取り外すことができる。
【0050】
[他の実施形態]
図10,11を参照して、仮固定治具の変形例について説明する。
図10に示す仮固定治具9は、以下に説明する構成を除いて前述した仮固定治具8と同様に構成できるため、共通点の説明を省略し、主に相違点について説明する。仮固定治具9は、管体1に内嵌可能に構成された本体部90、並びに、本体部90から突出した突出部91及び突出部92を備える。これらは、仮固定治具8が備える本体部80、突出部81及び突出部82と同様の機能を有する。仮固定治具9は、鋼材などの金属により形成されているが、これに限定されるものではない。
【0051】
管体1(の中間スリーブ6)が鋳物により形成されている場合は、その内径などの寸法が比較的大きくばらつく傾向にあるため、管体1に内嵌した仮固定治具9(または組付体)がぐらついたり、仮固定した位置から脱落したりする恐れがある。かかる事情を踏まえ、仮固定治具9は、径方向(
図10の上下方向)に沿った長さを調整可能に構成されている。かかる構成によれば、管体1の寸法に合わせて仮固定治具9の長さを調整することにより、管体1に内嵌した仮固定治具9(または組付体)を安定させて、作業性を更に向上することができる。
【0052】
仮固定治具9は、長さ調整部材としてのターンバックル93と、そのターンバックル93を支持する一対の支持部94a,94bとを備える。本体部90は、支持部94aが形成された分割片90aと、支持部94bが形成された分割片90bとを含む複数の分割片により構成されている。
図11のように、分割片90aと分割片90bとの間には、互いに嵌合する相補形状の凹凸部が設けられ、径方向に沿って相対的にスライド自在に構成されている。この凹凸部は、分割片90aに形成された凹部95と、分割片90bに形成された凸部96とで構成されているが、これらの凹凸関係は逆でもよい。
【0053】
また、この仮固定治具9は、外周部に取り付けられた弾性部材97を備える。管体1と仮固定治具9との間に弾性部材97を介在させることにより、管体1にフィットさせた状態で仮固定治具9を内嵌できる。弾性部材97は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などのゴムにより形成されている。弾性部材97は、ゴムや合成樹脂を発泡させたスポンジ材であってもよい。本体部90の外周部には、弾性部材97を取り付けるための取付溝98が形成されている。以上のような長さ調整機構と弾性部材97のうち、いずれか一方のみを適用することも可能である。
【0054】
前述の実施形態では、管体1(のケーシング5)が軸芯方向に延在した挿口を有する例を示したが、これに限られず、例えば
図12に示すようなフランジ16を有する形式の管体1であってもよい。かかる形式であっても、上述した要領に従ってロックリング4を管体2の外周面に装着することが可能である。但し、管体1が軸芯方向に延在した挿口を有している場合は、ロックリング4の装着作業性の向上効果が特に顕著である。既述の通り、そのような挿口を管体1が有していることにより、工具35がロックリング4まで届かないなど種々の不都合を生じ(
図3参照)、作業性が悪化しやすいためである。
【0055】
前述した実施形態において仮固定工程や装着工程を実施する際、管体1の軸芯方向は水平方向に向けられるのが標準的である。但し、これに限られず、例えば、開口1aが上向きとなるように管体1の軸芯方向を上下方向に向けてもよい。管体1が小口径である場合は、それほどの重量物ではないため、そのような縦向き姿勢で作業することは難しくない。また、管体1の内部に被係合部14が形成されていることにより、仮固定した位置から組付体48が脱落することが防止される。
【0056】
前述の実施形態では、伸縮可撓管継手である伸縮管継手10の組立方法について例示したが、本開示が適用される伸縮管継手は、屈曲機能(可撓機能)を有するものに限られない。加えて、管体1は、ケーシング5とそれに嵌合される中間スリーブ6とを備えた構造でなくても構わない。
図13は、屈曲機能を有しない伸縮管継手に本開示を適用した例である。この実施形態は、以下に説明する構成を除いて前述の実施形態と同様に構成できるため、共通点の説明を省略し、主に相違点について説明する。既に説明した構成には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0057】
図13は、装着工程において管体2を拡径状態にあるロックリング4に挿入した直後であって、仮固定治具8をロックリング4から取り外す直前の状態(
図5(A)参照)を示す。この管体2を更に挿入することで、管体2の外周面にロックリング4が装着され、伸縮管継手が適切に組み立てられる。組み立てた伸縮管継手においては、管体1と、それに挿入された管体2とが、軸芯方向に沿って相対移動可能に接続される。図示しない管体1,2の端部では、例えば
図12に示した伸縮可撓管継手が設けられる。それにより、一対の伸縮可撓管継手の間の管路に、この伸縮管継手の伸縮代を継ぎ足すことができる。
【0058】
図13では、仮固定工程によって管体1に組付体48が内嵌されている。但し、前述の実施形態とは異なり、組付体48は中間スリーブを介在させずに内嵌されている。そのため、仮固定治具8は、離脱方向D2側の開口1aから管体1の内部に配置する必要がある。図示しないが、この管体1の開口1aや被係合部11には、管体1の軸芯方向に径方向を一致させた姿勢のロックリング4の通過を許容する切欠部が形成されている。その切欠部を通過させて管体1の内部にロックリング4を配置した後、そのロックリング4を環状周溝13内で旋回させることにより、管体1と同芯状の姿勢に変更できる。
【0059】
以上、本開示の実施形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本開示は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。また、上述した実施形態で採用されている各構成については、任意に組み合わせて採用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 第1の管体
2 第2の管体
4 ロックリング
5 ケーシング
6 中間スリーブ
8 仮固定治具
10 伸縮管継手
41 分割部
48 組付体
61 切欠部
80 本体部
81 第1の突出部
82 第2の突出部
D1 挿入方向
D2 離脱方向