(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056299
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】包装容器及び展開体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20240416BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65D5/52 L
B65D5/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163085
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 舞
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA01
3E060AB04
3E060BA08
3E060BB03
3E060CA02
3E060CA23
3E060CB02
3E060CB06
3E060CB16
3E060CE16
3E060CE22
3E060CF05
3E060CG23
3E060DA23
3E060EA14
(57)【要約】
【課題】 内部に収容される被包装物の正面を露出させつつ、側面を保護することができる技術を提供する。
【解決手段】 包装容器は、背板と、前記背板の前方に配置される第1前板と、前記背板の前方に配置される第2前板であって、前記第1前板に対して上下方向に対して隙間を有して配置される前記第2前板と、を備え、前記背板の左右方向の両端の端縁部のぞれぞれは、前方に向かって延びており、前記端縁部は、前記第1前板に連結され、前記第1前板と前記第2前板との前記隙間に沿って、前記第2前板まで延びており、前記第1前板は、上下方向において前記第2前板に近づくのに従って前方に向かって傾斜していてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板と、
前記背板の前方に配置される第1前板と、
前記背板の前方に配置される第2前板であって、前記第1前板に対して上下方向に対して隙間を有して配置される前記第2前板と、を備え、
前記背板の左右方向の両端の端縁部のぞれぞれは、前方に向かって延びており、
前記端縁部は、前記第1前板に連結され、前記第1前板と前記第2前板との前記隙間に沿って、前記第2前板まで延びており、
前記第1前板は、上下方向において前記第2前板に近づくのに従って前方に向かって傾斜している、包装容器。
【請求項2】
前記背板は、前記端縁部の後端縁において、前記端縁部に対して折曲線を介して連結される背面部を備える、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記第1前板は、左右方向の両端のそれぞれにおいて、後方に向かって前記端縁部まで延びている、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記背板と前記第2前板とは、下端において隙間を有して配置されており、
前記包装容器は、前記背板と前記第2前板との間に配置される底板をさらに備える、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記第2前板は、左右方向の両端のそれぞれにおいて、後方に向かって前記端縁部まで延びており、
前記底板は、前記背板と、前記第2前板と、によって囲まれている、請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記端縁部は、
前記第1前板の背面側に位置する第1部分と、
前記第2前板の背面側に位置する第2部分であって、前記第1部分よりも前記背面部に対して前方に向かって傾斜している前記第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に、前記端縁部の前記背面部に対する角度が変化する変化部と、を備える、請求項2に記載の包装容器。
【請求項7】
1枚の平板で構成されており、請求項1又は2に記載の包装容器を組み立て可能な展開体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、包装容器及び展開体に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チューブ等の容器を包装するための容器包装体が開示されている。容器包装体は、後半部と、後半部の前側に配置される前半部と、を備える。前半部には、2個の孔が配置されている。前半部の2個の孔のそれぞれに、容器を通過させることによって、容器が保持される。前半部は、湾曲した状態で維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、容器包装体の側面から容器が略全体的に露出しており、保護されていない。本明細書では、内部に収容される被包装物の正面を露出させつつ、側面を保護することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、第1態様の包装容器を開示する。包装容器は、背板と、前記背板の前方に配置される第1前板と、前記背板の前方に配置される第2前板であって、前記第1前板に対して上下方向に対して隙間を有して配置される前記第2前板と、を備え、前記背板の左右方向の両端の端縁部のぞれぞれは、前方に向かって延びており、前記端縁部は、前記第1前板に連結され、前記第1前板と前記第2前板との前記隙間に沿って、前記第2前板まで延びており、前記第1前板は、上下方向において前記第2前板に近づくのに従って前方に向かって傾斜していてもよい。
【0006】
この構成によると、第1前板と第2前板との隙間から包装容器に収容される被包装物を露出させることができる。これにより、包装容器に収容されている状態で、被包装物を特定することができる。また、背板の左右方向の端縁が前方に向かって延びていることによって、被包装物の側面を保護することができる。なお、「前」「後」「上」「下」「左」「右」は、理解を容易にするために規定されており、使用状態における方向とは一致しなくてもよい。例えば、第1形態の包装容器における「左右方向」及び「上下方向」のそれぞれが、使用状態における「上下方向」及び「左右方向」のそれぞれに対応していてもよい。
【0007】
第2態様では、上記の第1態様において、前記背板は、前記端縁部の後端縁において、前記端縁部に対して折曲線を介して連結される背面部を備えていてもよい。
【0008】
この構成では、背板が、背面部と、折曲線を介して背面部の左右方向の両端縁のそれぞれから前方に向かって延びる端縁部と、を備える。この構成によると、端縁部を、折曲線によって背面部から前方に向かって傾斜させることができる。
【0009】
第3態様では、上記の第1態様から第2態様のいずれか一つにおいて、前記第1前板は、左右方向の両端のそれぞれにおいて、後方に向かって前記端縁部まで延びていてもよい。
【0010】
この構成によると、第1前板と背板との隙間を、背板の端縁部と第1前板の左右方向の両端縁のそれぞれとによって確保することができる。これにより、被包装物を配置する空間を、第1前板と背板との隙間に形成することができる。
【0011】
第4態様では、上記の第1態様から第3形態のいずれか一つにおいて、前記背板と前記第2前板とは、下端において隙間を有して配置されており、前記包装容器は、前記背板と前記第2前板との間に配置される底板をさらに備えていてもよい。
【0012】
この構成によると、第2前板と背板との隙間を、底板によって確保することができる。これにより、被包装物を配置する空間を、第2前板と底板との隙間に形成することができる。
【0013】
第5態様では、上記の第4態様において、前記第2前板は、左右方向の両端のそれぞれにおいて、後方に向かって前記端縁部まで延びており、前記底板は、前記背板と、前記第2前板と、によって囲まれていてもよい。
【0014】
この構成によると、第2前板と底板との隙間に形成される被包装物を配置する空間を、第2前板と背板とによって囲むことができる。これにより、第2前板と底板との隙間に配置される被包装物を、第2前板と背板とによって保護することができる。
【0015】
第6態様では、上記の第2態様において、前記端縁部は、前記第1前板の背面側に位置する第1部分と、前記第2前板の背面側に位置する第2部分であって、前記第1部分よりも前記背面部に対して前方に向かって傾斜している前記第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に、前記端縁部の前記背面部に対する角度が変化する変化部と、を備えていてもよい。
【0016】
この構成によると、背板に対する第1前板の位置と背板に対する第2前板の位置とを互いに相違させることができる。これにより、被包装物の形状に合わせて、背板に対する第1前板の位置と背板に対する第2前板の位置とを個別に設計することができる。
【0017】
上記の第1形態から第6形態のいずれか一つの形態の包装容器を組み立て可能な展開体であって、1枚の平板で構成される展開体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施例の被包装物を包装している包装容器の斜視図。
【
図2】第1実施例の被包装物を包装している包装容器の正面図。
【
図3】第1実施例の被包装物を包装している包装容器の背面図。
【
図4】第1実施例の被包装物を包装している包装容器の右側面図。
【
図6】第1実施例の包装容器に被包装物を収容する状態を説明するための図。
【
図7】第2実施例の被包装物を包装している包装容器の斜視図。
【0019】
(第1実施例)
図1及び
図2に示すように、包装容器10は、正面側において被包装物100を露出している状態で包装する。包装容器10は、被包装物100を搬送し、店頭において被包装物100を陳列するために用いられる。なお、包装容器10の用途は、搬送、陳列に限られず、保護、保管等に用いられてもよい。本明細書に含まれる前後、左右、及び上下方向は、説明を容易にするために規定されており、必ずしも実際の使用時の姿勢を規定するものではない。
【0020】
図3に示すように、包装容器10は、背面側において、被包装物100を全面的に(但し後述する開口50を除く)覆っている。また、
図4に示すように、包装容器10は、左右方向の両側面側において、被包装物100の背面側の一部を覆っている。
【0021】
図5に示すように、包装容器10は、1枚の平板状の展開体BL1に設けられている複数の折曲線を折り曲げることによって作製される。複数の折曲線のそれぞれは、折曲線に沿って容易に折り曲げられるように、折曲線に沿った溝及びスリットの少なくとも一方を有する。折曲線は、細い破線で表されている。スリットは、平板を貫通する隙間を有さないか、あるいは、若干の隙間を有する切込みである。包装容器10は、段ボール、厚紙等の紙製である。なお、包装容器10の材質に制限はなく、例えば、樹脂や金属製であってもよい。また、接着剤が塗布される面は、平行細線で示されている。
【0022】
包装容器10は、背板12と、上前板20と、下前板部30と、底板部40と、を備える。背板12は、長方形の平板形状を有する。背板12には、背板12を折り曲げるための複数の折曲線12a、12b、12c、12d、12e、12fが配置されている。
【0023】
背板12の上端縁には、折曲線14を介して上前板20が連結されている。上前板20は、折曲線14と反対側の端縁において、折曲線14(包装容器10が組み立てられている状態で上方)に向かって湾曲する円弧形状の切欠き22を有する。折曲線14の左右両端のそれぞれには、背板12と上前板20とに亘って切欠き24が配置されている。切欠き24は、上前板20を背板12に対して折曲線14で折り曲げ易く、また、折り曲げた後に、角が立つことを防止するために設けられている。上前板20は、左右方向において、背板12と同一の長さを有する。上前板20には、上前板20を折り曲げるための複数の折曲線20a、20bが配置されている。
【0024】
背板12の左右両端縁のそれぞれには、上端部において、折曲線16を介して、接着片17が連結されている。各接着片17は、折曲線16において背板12に対して背板12と重なるように折り曲げられている状態で、折曲線14において背板12に対して背板12と重なるように折り曲げられている上前板20と重なる範囲に設けられている。
【0025】
背板12の左右両端縁のそれぞれには、上端部において、折曲線18、19を介して、下前板部30が連結されている。下前板部30は、前面板32と、接着板34と、を備える。前面板32は、背板12の左右方向の一方の折曲線18を介して、背板12に連結されている。前面板32は、左右方向において、背板12よりも若干短い。前面板32は、背板12の下端縁から上方に延びている。前面板32には、前面板32を折り曲げるための折曲線32aが配置されている。
【0026】
接着板34は、背板12の左右方向の他方の端縁の折曲線19を介して、背板12に連結されている。接着板34は、左右方向において、背板12よりも短く、前面板32よりも短い。接着板34は、背板12の下端縁から上方に延びている。接着板34には、接着板34を折り曲げるための折曲線34aが配置されている。接着板34の折曲線34aよりも折曲線19側に位置する部分34bの上端縁は、上下方向において、折曲線19から離れるのに従って下方に傾斜している。部分34bは、上下方向において、折曲線19から離れるのに従って、徐々に短くなっている。部分34bの大半の部分は、上下方向において、前面板32よりも長い。
【0027】
接着板34の折曲線34aよりも折曲線19と反対側に位置する部分34cは、上下方向において前面板32より短い。部分34cの上端は、前面板32の上端よりも下方に配置される。
【0028】
包装容器10の下端には、底板部40が配置されている。底板部40は、重複板42と、底面板44と、を備える。底面板44は、前面板32の下端縁に、折曲線36を介して連結されている。底面板44は、前後方向の端縁が互いに平行であり、左右方向の端縁が背板12及び下前板部30に沿った形状を有する。底面板44の前面板32と反対側の端縁には、折曲線46を介して、挿入片48が連結されている。挿入片48は、底面板44の左右方向中央に配置されている。
【0029】
重複板42は、背板12の下端縁に、折曲線13を介して連結されている。重複板42は、略長方形状を有している。重複板42は、左右方向において、背板12の中央に配置され、背板12よりも短い。重複板42の折曲線13から折曲線13と反対側の端縁までの長さが、底面板44の折曲線36から折曲線36と反対側の端縁までの長さと略等しく、若干短い。
【0030】
折曲線13上には、スリット状の挿入孔45が配置されている。挿入孔45は、左右方向において、背板12の中央に配置される。挿入孔45は、左右方向において、挿入片48と略等しい長さを有する。挿入孔45の左右方向の両端のそれぞれには、背板12を上方に向かって左右方向外側に延びるミシン目45aが配置されている。
【0031】
背板12と上前板20とのそれぞれには、開口50、52が配置されている。開口50、52は、互いに同一形状を有する。
【0032】
(包装容器10の組立方法)
展開体BL1から被包装物100を収容する包装容器10を組み立てる方法を説明する。背板12の上端付近では、左右両側の接着片17のそれぞれを、背板12の前側に重なるように、背板12に対して折曲線16で折り曲げる。背板12の前側では、2個の接着片17は、左右方向において互いに離間して配置される。上前板20は、接着片17の前側に重なるように、背板12に対して折曲線14で折り曲げる。接着片17の前面には、接着剤が塗布されている。これにより、上前板20と2個の接着片17のそれぞれとが接着される。
【0033】
背板12の下端付近では、接着板34を、背板12の前側に重なるように、背板12に対して折曲線19で折り曲げる。前面板32は、接着板34の前側に重なるように、背板12に対して折曲線18で折り曲げる。接着板34のうち、部分34cの前面には、接着剤が塗布されている。これにより、前面板32と接着板34とが接着される。
【0034】
これにより、背板12の上端部では、背板12と接着片17と上前板20とが重なり合って配置され、背板12の下端部では、上前板20と間隔を有して、背板12と接着板34と前面板32とが重なり合って配置されている。底板部40は、前面板32の下方において、前面板32と同一平面上に配置されている。被包装物100が収容される前では、この状態で搬送される。この構成によると、搬送時の包装容器10の寸法を小さく抑えることができる。
【0035】
図6に示すように、被包装物100を収容する際には、左右方向の一方の端において、折曲線19において接着板34を背板12から離間するように前方に移動させるとともに、折曲線12bにおいて背板12の左右方向の一方の端縁部12yが背板12の本体12xに対して前方に傾斜するように、背板12を折り曲げる。また、折曲線34aにおいて部分34cが本体12xと平行になるように、接着板34を折り曲げる。同様に、被包装物100を収容する際には、左右方向の端において、折曲線18において前面板32を背板12から離間するように前方に移動させるとともに、折曲線12bにおいて背板12の左右方向の他方の端縁部12yが背板12の本体12xに対して前方に傾斜するように、背板12を折り曲げる。また、折曲線32aにおいて部分34cに接着されている前面板32の部分が部分34cに接着されている状態で背板12に平行になるように、前面板32を折り曲げる。
【0036】
背板12の本体12xは、左右両側のそれぞれに配置される端縁部12y、12yの間の領域である。本体12xの左右両端縁には、上下方向に平行な2本の折曲線12bが配置されている。2本の折曲線12bは、互いに平行に、背板12の下端から上端の若干下方まで延びている。2個の端縁部12yのそれぞれは、折曲線12bと背板12の端縁とに挟まれる領域である。2個の端縁部12yは、互いに同一形状を有する。
【0037】
被包装物100は、例えば歯磨き粉やハンドクレーム等が収容されるチューブ状の容器を含む。被包装物100は、背板12と下前板部30とによって囲まれる底部の開口から、包装容器10内に挿入される。被包装物100は、上端部が平坦であり、下方に向かって、前後方向の厚みが増加するとともに、左右方向の長さが減少する。被包装物100を挿入する場合には、比較的に平坦な上端縁から挿入する。このとき、折曲線12bに沿って左右両端の端縁部12yを本体12xに対して前方に傾斜するように折り曲げる。
【0038】
背板12の上前板20が重なっている部分の下方には、左右両端のそれぞれに、3個の折曲線12c、12d、12eが配置されている。折曲線12cは、上前板20が重なっている部分の下端から、下方に進むのに従って本体12xに向かって傾斜している。折曲線12cは、背板12の左右方向の端縁から折曲線12bまで延びている。折曲線12cの下端には、折曲線12d、12eが配置されている。折曲線12dは、左右方向に平行に配置されている。折曲線12dは、背板12の左右方向の端縁から折曲線12bまで延びている。折曲線12eは、折曲線12cの下端から、下方に向かって本体12xから離間する方向に傾斜している。折曲線12eは、背板12の左右方向の端縁から折曲線12bまで延びている。
【0039】
左右両端のそれぞれに配置される折曲線12dの間には、本体12xに配置される折曲線12fが配置されている。折曲線12fは、折曲線12dと同一直線上に配置されている。
【0040】
背板12が、折曲線12b沿って左右両端の端縁部12yを本体12xに対して前方に傾斜するように折り曲げられると、折曲線12c、12d、12eによって、背板12の左右両端縁のそれぞれにおいて、折曲線12c、12eの間の部分で、端縁部12yの本体12xに対する角度が緩く変化する。折曲線12cの上端より上方、即ち、上前板20の後側に位置する部分では、背板12は、本体12xに対する端縁部12yの角度が、下方よりも小さい。
【0041】
また、背板12では、折曲線12d、12f、12dにおいて、折曲線12d、12f、12dよりも上方の部分が、前方に傾斜する。背板12の上端部では、2個の折曲線12bの上端から背板12の左右端縁に向けて、上方に傾斜する折曲線12aが配置されている。これにより、背板12の上端部には、端縁部12yが配置されておらず、背板12の左右両端は、本体12xと同一平板上に配置される。
【0042】
背板12の変形に伴って、上前板20は、上前板20の下端から上方に向かって上下方向に平行な2本の折曲線20aに沿って、左右両端縁部20yが、左右方向の中央の本体20xに対して、後方に傾斜する。2個の折曲線20aの上端から上前板20の左右端縁に向けて、上方に傾斜する折曲線20bが配置されている。これにより、背板12と同様に、上前板20の上端部には、端縁部20yが配置されておらず、上前板20の左右両端は、本体20xと同一平板上に配置される。なお、上前板20及びその後方に位置する背板12は、被包装物100の形状に合わせて、適宜、折曲線によって変形される。
【0043】
折曲線12c、12d、12eによって本体12xに対する端縁部12yの角度を変化させることによって、上前板20と背板12との隙間が広がることを抑制することができる。同様に、折曲線12d、12f、12dによって背板12の上部を前方に傾斜させることによって、上前板20と背板12との隙間が広がることを抑制することができる。これにより、被包装物100が包装容器10内でがたつくことを抑制することができる。
【0044】
被包装物100が包装容器10に収容されると、折曲線13において重複板42を背板12に対して前方に折り曲げ、折曲線36において底面板44を前面板32に対して後方に折り曲げる。挿入片48を挿入孔45に差し込むことによって、挿入片48を挿入孔45の内側で係合させて、底面板44を固定する。これにより、被包装物100を包装容器10に収容することができる。
【0045】
図2に示すように、被包装物100が包装容器10に収容されている状態では、上前板20と下前板部30との間で被包装物100の前方が開かれている。これにより、被包装物100が確認することができる。被包装物100を包装容器10に収容されている状態で店舗等に陳列することができる。上前板20の切欠き22によって、上前板20と下前板部30との間隔を広げることができる。
【0046】
図3、
図4に示すように、被包装物100の背面及び左右両側面には、背板12が配置されている。被包装物100の左右両側面では、被包装物100の前側の一部が露出しているが、背板12の端縁部12yによって、完全に露出することが防止されている。これにより、被包装物100を露出させるとともに、背板12によって保護することができる。
【0047】
背板12では、端縁部12yが折曲線12bによって本体12xに対して前方に傾斜している。このため、背板12が平板形状の場合と比較して、背板12の剛性を高めることができる。
【0048】
背板12の下端部では、背板12と下前板部30と底板部40とで、被包装物100の下端部を囲むことができる。これにより、被包装物100の下端部を保護することができる。チューブ状の被包装物100では、下端部に蓋が設けられているため、下端部、即ち蓋を囲むことによって、蓋が緩むことを防止することができる。
【0049】
背板12の開口50と上前板20の開口52とは互いに重なる。これにより、開口50、52を貫通するフック等に引掛けることによって、包装容器10を引っ掛けた状態で陳列することができる。
【0050】
包装容器10を開封する際には、ミシン目45a、45aを破断することによって、挿入孔45を広げて、挿入片48の係合を解除する。これにより、底面板44が折曲線36において前面板32に対して回動し、重複板42が折曲線13において背板12に対して回動することができる。これにより、被包装物100を取り出することができる。
【0051】
(第2実施例)
図7及び
図8を用いて、本実施例の包装容器210を説明する。包装容器210は、被包装物300を包装する。包装容器210は、1枚の平板状の展開体BL2に設けられている複数の折曲線を折り曲げることによって作製される。包装容器210は、包装容器10の各部12、17、20、30、40、45、45aと同様の、背板212、接着片217、上前板220、下前板部230、底板部240、挿入孔245、ミシン目245aを備える。また、折曲線13、14、16、18、19と同様の折曲線213、214、216、218、219を備える。
【0052】
下前板部230は、下前板部30の各部32、34と同様に、前面板232、接着板234を備える。前面板232は、前面板32の折曲線32aと同様に、折曲線232aを備える。接着板234は、接着板34の各部34a、34b、34cと同様の折曲線234a、部分234b、234cを備える。底板部240は、折曲線236を介して前面板232の下端縁に連結されている。底板部240は、底板部40の各部44、46と同様の、底板244、挿入片246を備える。また、底板部240の重複板242は、重複板42と同様の構成を有する。重複板242の背板212と反対側の端縁には、折曲線を介して挿入片249が配置されている。挿入片249は、展開体BL2から包装容器210を組み立てる際に、重複板242に対して上方に折り曲げて、重複板242を背板212に対して前方に折り曲げる際に、下前板部230の内面に沿って包装容器210に挿入する。
【0053】
背板212は、複数の折曲線212a、212b、212c、212d、212e、212f、212g、212hを備える。折曲線212a、212b、212c、212d、212e、212fは、複数の折曲線12a、12b、12c、12d、12e、12fと同様である。なお、折曲線212aは、折曲線212bの上端から、背板212の上端と左右端との角部まで延びている。
【0054】
折曲線212gは、折曲線212bの上端と折曲線212cの上端とを結ぶ直線である。折曲線212hは、2個の折曲線212bの上端を結ぶ直線である。
【0055】
上前板220は、2個の折曲線220a、2個の折曲線220b、及び1個の折曲線220cを備える。折曲線220a、220bは、折曲線20a、20bと同様である。折曲線220bは、折曲線220aの上端から、上前板220の上端と左右両端縁のそれぞれの角部まで延びている。折曲線220cは、2個の折曲線220bの上端を結ぶ直線である。
【0056】
折曲線220c、212h、212gが配置されていることによって、背板212と上前板220との隙間が広がるように背板212と上前板220とを変形させることができる。また、折曲線212aが背板212の上端の角部まで延びており、折曲線220aが上前板220の上端の角部まで延びていることによって、背板212と上前板220との隙間が広がるように背板212と上前板220とを変形させることができる。これにより、被包装物300が上端部において比較的に前後方向の寸法が大きい場合であっても、包装容器210に収容することができる。
【0057】
その他、包装容器210は、包装容器10と同様の効果を奏することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0059】
包装容器10、210の使用状態での上下左右方向は、実施例で説明される方向と異なっていてもよい。
【0060】
包装容器10では、下前板部30は、上前板20と同様の構成を有していてもよい。底板部40を備えていなくてもよい。本変形例の包装容器10は、例えば、両端部が中間部と比較して平坦に形成されている被包装物に好適に用いられる。包装容器210も同様であってもよい。
【0061】
背板12は、折曲線12bを備えていなくてもよい。例えば、背板12は、後方に向かって突出するように湾曲する形状を有していてもよい。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0063】
10:包装容器、12:背板、12x:本体、12y:端縁部、20:上前板、20x:本体、20y:端縁部、30:下前板部、32:前面板、34:接着板、40:底板部、42:重複板、44:底面板、48:挿入片、100:被包装物、BL1:展開体、210:包装容器、212:背板、220:上前板、230:下前板部、232:前面板、234:接着板、240:底板部、242:重複板、244:底板、BL2:展開体