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特開2024-56318河川監視システム、河川監視方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056318
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】河川監視システム、河川監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/10 20060101AFI20240416BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240416BHJP
   G01S 13/04 20060101ALI20240416BHJP
   G01S 13/95 20060101ALI20240416BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G08B21/10
G01S7/03 200
G01S13/04
G01S13/95
G01W1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163115
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 真俊
(72)【発明者】
【氏名】前野 仁
【テーマコード(参考)】
5C086
5J070
【Fターム(参考)】
5C086AA15
5C086CA06
5C086CA25
5C086CB27
5C086FA17
5J070AC13
5J070AD10
5J070AE07
5J070AF01
(57)【要約】
【課題】広範囲を監視可能な河川監視システム、河川監視方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】河川監視システムは、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ群に対し、送信方向を変更しながら電波を送信する送信部31と、電波の反射波を受信する受信部32と、複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと基準値Bとに基づいて、複数のリフレクタ2の状態を一覧で出力する出力部41と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の側壁に固定された複数のリフレクタからなるリフレクタ群に対し、送信方向を変更しながら電波を送信する送信部と、
前記電波の反射波を受信する受信部と、
複数の前記リフレクタの位置に対応する前記反射波に基づく値と基準値とに基づいて、複数の前記リフレクタの状態を一覧で出力する出力部と、
を備える、河川監視システム。
【請求項2】
前記基準値は、前記リフレクタからの電波の反射を遮蔽する物体がない状態の前記反射波に基づく値であり、
前記出力部は、前記リフレクタの位置における前記反射波に基づく値が前記基準値よりも低い場合、前記リフレクタからの反射波がない状態と出力し、前記リフレクタの位置における前記反射波に基づく値が前記基準値以上の場合、前記リフレクタからの反射波がある状態と出力する、
請求項1に記載の河川監視システム。
【請求項3】
前記リフレクタ群は、それぞれ異なるエリアに配置された複数のリフレクタ組を含み、
前記リフレクタ組は、水平方向に所定距離以上離れ、かつ異なる高さに固定された複数のリフレクタを含む、
請求項1に記載の河川監視システム。
【請求項4】
前記出力部は、複数の前記リフレクタの位置に対応する前記反射波に基づく値と、前記リフレクタの位置における過去の前記反射波に基づく値とに基づいて、前記リフレクタの位置の変化を地形の変化として出力する、
請求項1に記載の河川監視システム。
【請求項5】
前記一覧に基づいて、任意の前記リフレクタの状態を推定する推定部と、
前記推定部が推定した状態と前記リフレクタの位置の実際の状態が異なる場合、警告を出す警告部をさらに備える、
請求項1に記載の河川監視システム。
【請求項6】
前記一覧は、それぞれの前記リフレクタの位置からの前記反射波に関する情報の二次元分布である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の河川監視システム。
【請求項7】
前記送信部と前記受信部を備えた複数のセンサは、送信電波の届かない死角を互いに補間する位置に設置されている、請求項1に記載の河川監視システム。
【請求項8】
前記送信部は、回転するアンテナによって送信方向を変更する、請求項1に記載の河川監視システム。
【請求項9】
河川の側壁に固定された複数のリフレクタからなるリフレクタ群に対し、送信部の送信方向を変更しながら電波を送信することと、
前記電波の反射波を受信部で受信することと、
複数の前記リフレクタの位置に対応する前記反射波に基づく値と基準値とに基づいて、複数の前記リフレクタの状態を一覧で出力することと、
を含む、河川監視方法。
【請求項10】
河川の側壁に固定された複数のリフレクタからなるリフレクタ群に対し、送信部の送信方向を変更しながら送信され、受信部で受信された電波の反射波に関するデータを取得することと、
複数の前記リフレクタの位置に対応する前記反射波に基づく値と基準値とに基づいて、複数の前記リフレクタの状態を一覧で出力することと、
を1又は複数のプロセッサに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、河川監視システム、河川監視方法、及びプログラムに関する。
【0002】
各地でゲリラ豪雨などの異常気象が多発しており、水位などの河川の特徴を広範囲で監視できることが望まれる。
【0003】
特許文献1には、アンダーパス構造の車両用道路における冠水監視システムを開示しているが、河川の冠水監視にも適用できる可能性が記載されている。しかし、河川の広範囲の監視に適用できるかが不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-32999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、広範囲を監視可能な河川監視システム、河川監視方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の河川監視システムは、河川の側壁に固定された複数のリフレクタからなるリフレクタ群に対し、送信方向を変更しながら電波を送信する送信部と、前記電波の反射波を受信する受信部と、複数の前記リフレクタの位置に対応する前記反射波に基づく値と基準値とに基づいて、複数の前記リフレクタの状態を一覧で出力する出力部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、河川の側壁に固定された複数のリフレクタからなるリフレクタ群に対して、送信方向を変更しながら電波をセンサ(送信部及び受信部)が送受信するので、1つのセンサ(送信部及び受信部)で広い範囲の複数のリフレクタの状態を監視可能となり、河川の広範囲の監視に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】河川監視システムを説明するための斜視図。
図2】河川監視システムを示すブロック図。
図3】河川の側壁に設けられる複数のリフレクタの位置に関する説明図。
図4】河川に対するセンサ及びリフレクタの配置位置を示す俯瞰図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態の河川監視システムを、図面を参照して説明する。図1は、河川監視システムを説明するための斜視図である。図2は、河川監視システムを示すブロック図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、河川監視システムは、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ群に対して、送信方向を変更しながら電波を送信する送信部31と、電波の反射波を受信する受信部32と、を有する。送信部31及び受信部32はいわゆるレーダ(センサ3とも表記する場合がある)である。第1実施形態において、送信部31は、回転するアンテナ30によって送信方向を変更している。河川1の側壁11は、河川1の増水によって冠水し得る。
【0011】
図3は、河川1の側壁11に設けられる複数のリフレクタ2の位置に関する説明図であり、側壁11(法面)を示す側面図および河川1の断面図を示している。リフレクタ2は、レーダ用リフレクタであり、送信部31から送信された電波を、水10や側壁11に比べて効率的に反射する。図3に示すように、複数のリフレクタ2は、少なくとも1つのリフレクタ組20を有し、リフレクタ組20を構成するリフレクタ2(201~207)は、隣のリフレクタ2と水平方向LDに所定距離L1以上離れ、かつ異なる高さに固定されている。同一のリフレクタ組20に属するリフレクタ2(201~207)は、同一のリフレクタ組20内において互いに異なる高さに配置されていることが好ましい。図中では、高さ方向VDと表記する。ここで所定距離L1は、レーダの分解能及びレーダからリフレクタまでの距離で定まる。図1及び図3において示す水位12は、通常時の水位である。図3に示すように、リフレクタ組20に対して水平方向LDにおいて隣接又は離間するリフレクタ組21を設けてもよい。リフレクタ組21を構成するリフレクタ2(211~213)は、隣のリフレクタ2と水平方向LDに所定距離L1以上離れ、かつ同じリフレクタ組21において互いに異なる高さに固定されている。
【0012】
このように、隣のリフレクタ2と水平方向LDにおいて所定距離L1以上離れること及びアンテナ30からのリフレクタ2の位置(方位)が既知であることにより、電波の反射波がどのリフレクタ2からの反射波であるかが識別可能となる。また、ある纏まりのある複数のリフレクタ2(同一のリフレクタ組20,21に属する複数のリフレクタ2)が異なる高さに設けられているので、反射波の有無を判定することで、水位12を検出可能となる。
【0013】
図2に示すように、河川監視システムは、出力部41を有する。出力部41は、複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと基準値Bとに基づいて、複数のリフレクタ2の状態を一覧で出力する。一覧は、複数のリフレクタ2の状態が含まれていれば、どのような形式であってもよい。リフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rは、例えば受信強度値であってもよい。基準値Bは、リフレクタ2からの電波の反射を遮蔽する物体がない状態の反射波に基づく値(受信強度値)である。また、反射波に基づく値は、受信強度値に基づいて算出されたリフレクタ2の位置の値でもよい。電波の反射を遮蔽する物体は、例えば河川1の水10が挙げられる。各々のリフレクタ2の位置に対応する基準値Bは、記憶部42に予め記憶されている。例えば図2及び図3に示す例では、リフレクタ201~207それぞれの基準値(B201~B207)として記憶部42に記憶されている。
【0014】
第1実施形態において、出力部41は、反射波有無出力部410を有する。反射波有無出力部410は、リフレクタ2の位置における反射波に基づく値Rと基準値Bとを比較する。例えば、反射波有無出力部410は、リフレクタ201の位置に対応する反射波に基づく値(R201)と、対応する基準値(B201)とを比較することが挙げられる。反射波有無出力部410は、リフレクタ2の位置における反射波に基づく値Rが基準値Bよりも低い場合に、リフレクタ2からの反射波がない状態と出力し、リフレクタ2の位置における反射波に基づく値Rが基準値B以上の場合に、リフレクタ2からの反射波がある状態と出力する。反射波有無出力部410は、例えば、リフレクタ201~204の反射波「有」、リフレクタ205~207の反射波「無」と出力することが挙げられる。反射波有無出力部410の出力データ(一覧)は、水平方向LD及び高さ方向VDにおいて反射波の有無を表す二次元分布としてもよい。
【0015】
図4は、河川1に対するセンサ3及びリフレクタ2の配置位置を示す俯瞰図である。図4において、河川1の流れを矢印Y1で示している。図4に示すように、河川1の側壁11にはリフレクタ2が配置されている。例えば、第1エリアAr1には第1リフレクタ組20を構成する複数のリフレクタ2が配置され、第2エリアAr2には第2リフレクタ組22を構成する複数のリフレクタ2が配置され、第3エリアAr3には第3リフレクタ組23を構成する複数のリフレクタ2が配置され、第4エリアAr4には第4リフレクタ組24を構成する複数のリフレクタ2が配置され、第5エリアAr5には第5リフレクタ組25を構成する複数のリフレクタ2が配置されている。各リフレクタ組を構成する複数のリフレクタ2は、図3に例示するように、隣のリフレクタ2と水平方向LDに所定距離L1以上離れ、異なる高さに固定されている。ここで、第1エリアAr1、第2エリアAr2、第3エリアAr3、第4エリアAr4、第5エリアAr5は、異なる位置(緯度経度)に配置されている。異なる位置とは、例えば、所定距離L1以上離れていればよい。
【0016】
第1リフレクタ組20及び第2リフレクタ組22は、第1センサ3aからの送信電波が直接届くが、第2センサ3bからの送信電波が届かない死角にある。第3リフレクタ組23及び第4リフレクタ組24は、第2センサ3bからの送信電波が直接届くが、第1センサ3aからの送信電波が届かない死角にある。このように、第1センサ3a及び第2センサ3bを含む複数のセンサ3は、送信電波の届かない死角を互いに補間する位置に設置されている。
【0017】
また、記憶部42は、リフレクタ2の位置における過去の反射波に基づく値Rを定期的に記憶している。例えば、記憶容量に応じて、毎観測の値を記憶してもよいし、間引いて一月に1回等の頻度でもよい。第1実施形態において、出力部41は、地形変化情報出力部411を有する。地形変化情報出力部411は、複数の前記リフレクタの状態に対応する前記反射波に基づく値と、記憶部42に記憶されているリフレクタの状態に対応する過去の反射波に基づく値とに基づいて、リフレクタ2の位置の変化を地形の変化として出力する。例えば、地形変化情報出力部411は、第5エリアAr5において一カ月前と比べて地形変化が生じたと出力することが挙げられる。地形変化情報出力部411は、緯度及び経度が異なる複数のエリアにおいて、各々のエリアの地形変化の有無を示す二次元分布データを出力してもよい。
【0018】
出力部41は、水位分布出力部412を有する。水位分布出力部412は、緯度及び経度が異なる複数のエリアにおいて、各々のエリアの水位12を表す二次元分布データを出力する。
【0019】
図2に示すように、河川監視システムは、推定部43と、警告部44と、を有する。推定部43は、出力部41が出力した複数のリフレクタ2の状態の一覧に基づいて、任意のリフレクタ2の状態を推定する。例えば、図4に示す第1エリアAr1~第4エリアAr4の水位12から、第5エリアAr5の水位12を予測することが挙げられる。警告部44は、推定部43が推定した状態とリフレクタ2の位置の実際の状態が異なる場合、警告を出すことが可能である。例えば、推定部43が推定した第5エリアAr5の水位12よりも、受信部32が受信した反射波から得られる第5エリアAr5の水位12が所定量以上に大きい場合に、警告を出力することが挙げられる。
【0020】
[方法]
上記河川監視システムの動作フローを説明する。図1に示すように、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ群に対し、送信部31の送信方向を変更しながら電波を送信する。次に、電波の反射波を受信部32で受信する。複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと基準値Bとに基づいて、複数のリフレクタ2の状態を一覧で出力する。これにより、河川監視が可能となる。
【0021】
<変形例>
(A)上記実施形態において、アンテナ30を回転させることで、電波の送信方向を変更しているが、電波の送信方向を変更できれば、どのような送信部31を用いてもよい。例えば、フェーズドアレイレーダを用いることも可能である。
【0022】
(B)上記実施形態において、反射波有無出力部410、地形変化情報出力部411、水位分布出力部412、推定部43、警告部44が実装されているが、これらは必須ではなく、少なくとも1つ備えれば任意に実装可能である。
【0023】
[1]
第1実施形態のように、河川監視システムは、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ群に対し、送信方向を変更しながら電波を送信する送信部31と、電波の反射波を受信する受信部32と、複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと基準値Bとに基づいて、複数のリフレクタ2の状態を一覧で出力する出力部41と、を備える、としてもよい。
この構成によれば、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ2群に対して、送信方向を変更しながら電波をセンサ3が送受信するので、1つのセンサ3で広い範囲の複数のリフレクタ2の状態を監視可能となり、河川1の広範囲の監視に有用である。
【0024】
[2]
上記[1]に記載の河川監視システムにおいて、基準値Bは、リフレクタ2からの電波の反射を遮蔽する物体がない状態の反射波に基づく値であり、出力部41は、リフレクタ2の位置における反射波に基づく値Rが基準値Bよりも低い場合、リフレクタ2からの反射波がない状態と出力し、リフレクタ2の位置における反射波に基づく値Rが基準値B以上の場合、リフレクタ2からの反射波がある状態と出力する、としてもよい。
リフレクタ2の状態に、リフレクタ2からの反射波がない状態が含まれるので、その状態をもって水位12の上昇や地形の変化を検出できる場合がある。
【0025】
[3]
上記[1]又は[2]に記載の河川監視システムにおいて、リフレクタ群は、それぞれ異なるエリアに配置された複数のリフレクタ組20,22,23,24を含み、リフレクタ組20,22,23,24は、水平方向LDに所定距離L1以上離れ、かつ異なる高さに固定された複数のリフレクタ2を含む、としてもよい。
1つのエリアに含まれるリフレクタ組20を構成する複数のリフレクタ201~207が、水平方向LDに所定距離L1以上離れ、かつ異なる高さに固定されているので、1つのエリアでの複数のリフレクタ2の状態一覧が取得可能となる。さらに、異なるエリアにそれぞれリフレクタ組20,22,23,24があるので、エリアごとのリフレクタ2の状態一覧が取得できる。リフレクタ2の状態一覧は、水位12や地形変化を表すことができる場合があるので、水位12や地形変化の分布マップを得ることができる場合がある。
【0026】
[4]
上記[1]から[3]のいずれかに記載の河川監視システムにおいて、出力部41は、複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと、リフレクタ2の位置における過去の反射波に基づく値Rとに基づいて、リフレクタ2の位置の変化を地形の変化として出力する、としてもよい。
この構成によれば、地形の変化の情報を出力可能となる。
【0027】
[5]
上記[1]から[4]のいずれかに記載の河川監視システムにおいて、一覧に基づいて、任意のリフレクタ2の状態を推定する推定部43と、推定部43が推定した状態とリフレクタ2の位置の実際の状態が異なる場合、警告を出す警告部44をさらに備える、としてもよい。
この構成によれば、周囲のリフレクタ2の状態の一覧に基づいて、任意のリフレクタ2の状態を推定し、推定状態と実際状態が異なる場合、例えば異常増水を検知でき警告可能となる場合がある。
【0028】
[6]
上記[1]から[5]のいずれかに記載の河川監視システムにおいて、一覧は、それぞれのリフレクタ2の位置からの反射波に関する情報の二次元分布である、としてもよい。
反射波に関する情報(水位12、地形変化など)を二次元分布として把握可能となる。
【0029】
[7]
上記[1]から[6]のいずれかに記載の河川監視システムにおいて、送信部31と受信部32を備えた複数のセンサ3は、送信電波の届かない死角を互いに補間する位置に設置されている、としてもよい。これにより広範囲な河川監視が可能となる。
【0030】
[8]
上記[1]から[7]のいずれかに記載の河川監視システムにおいて、送信部31は、回転するアンテナ30によって送信方向を変更する、としてもよい。
【0031】
[9]
第1実施形態のように、河川監視方法は、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ群に対し、送信部31の送信方向を変更しながら電波を送信することと、電波の反射波を受信部32で受信することと、複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと基準値Bとに基づいて、複数のリフレクタ2の状態を一覧で出力することと、を含む、としてもよい。
【0032】
[10]
第1実施形態のように、プログラムは、河川1の側壁11に固定された複数のリフレクタ2からなるリフレクタ群に対し、送信部31の送信方向を変更しながら送信され、受信部32で受信された電波の反射波に関するデータを取得することと、複数のリフレクタ2の位置に対応する反射波に基づく値Rと基準値Bとに基づいて、複数のリフレクタ2の状態を一覧で出力することと、を1又は複数のプロセッサに実行させる、としてもよい。
【0033】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0034】
例えば、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現できる。特許請求の範囲、明細書、および図面中のフローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【0035】
図2に示す各部は、所定プログラムを1又はプロセッサで実行することで実現してもよいし、各部を専用メモリや専用回路で構成してもよい。
【0036】
上記実施形態のシステムは、一つのコンピュータのプロセッサに各部が実装されているが、各部を分散させて、複数のコンピュータやクラウドで実装してもよい。すなわち、上記方法を1又は複数のプロセッサで実行してもよい。
【0037】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。説明の便宜上、各部を実装しているが、これらの一部を任意に省略することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 :河川
2 :リフレクタ
3 :センサ
10 :水
11 :側壁
20 :リフレクタ組
21 :リフレクタ組
22 :リフレクタ組
23 :リフレクタ組
24 :リフレクタ組
30 :アンテナ
31 :送信部
32 :受信部
41 :出力部
43 :推定部
44 :警告部
201 :リフレクタ
202 :リフレクタ
203 :リフレクタ
204 :リフレクタ
205 :リフレクタ
206 :リフレクタ
207 :リフレクタ
B :基準値
L1 :所定距離
LD :水平方向
図1
図2
図3
図4