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特開2024-56322床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法
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  • 特開-床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法 図1
  • 特開-床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法 図2
  • 特開-床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056322
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
E04F15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163119
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】519022137
【氏名又は名称】株式会社リンクジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 豊和
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA51
2E220AA53
2E220AA55
2E220AC03
2E220CA04
2E220CA05
2E220CA13
2E220DA05
2E220DB19
2E220EA11
2E220FA11
2E220GA24Z
2E220GB02Y
2E220GB22Z
2E220GB32Z
2E220GB33Z
2E220GB34Z
(57)【要約】
【課題】施工者や周囲の人への健康障害をなくし、1日以上もの硬化時間を考慮せずに施工できる床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法を提供する。
【解決手段】本発明は、コンクリート面やアスファルト面に対し加熱溶融させたシート1と床束を接着するもので、設置面と床束の間に介在する床束用加熱溶融型接着シート1である。主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは1mm~3mmシート状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート面又はアスファルト面からなる設置面に敷設され、加熱溶融され、床束を接着するもので、前記設置面と前記床束の間に介在する
床束用加熱溶融型接着シート。
【請求項2】
主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは1mm~3mmシート状である
請求項1に記載の床束用加熱溶融型接着シート。
【請求項3】
コンクリート面又はアスファルト面からなる設置面の異なる空隙や凹凸に応じ、床束用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、充填作業や下地調整をすることなく、前記設置面との最適な接着層を形成でき、強固に接着できる
床束施工方法。
【請求項4】
前記床束用加熱溶融型接着シートは溶融式であり、前記設置面の素材温度が所定温度よりも低い場合は、接着直前に予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、設置させる
請求項3に記載の床束施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたコンクリート面またはアスファルト面への床束施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床束を使用した床やウッドデッキの施工方法では、鋼製タイプの束とプラスチックタイプの束があり、コンクリート面またはアスファルト面と、その床束ベースとの固定に、変成シリコンまたはウレタン樹形系の液状の接着剤を塗布し、その床束を接着させ十分硬化した後に、床やウッドデッキを施工している。
【0003】
このような従来の床束を使用した床やウッドデッキの施工方法における、接着剤の使用量は、床束のベースの大きさや形状によって差があるが、概ね約30~40g/箇所、使用する事で、コンクリート面またはアスファルト面と、床束との最適な接着層が形成されている。
【0004】
ここで、特許文献1では、床束固定具が開示されている。同固定具では、コンクリート製の地面にアンカーボルト、ナットで固定設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-56164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、変成シリコンまたはウレタン樹形系の液状の接着剤を使用した床束接着の施工方法において、空気中の湿気と反応し硬化するという性質上、変成シリコンは完全硬化するのに約3日を要し、ウレタン樹脂系については約7日を要するが、次の作業である床束の上に根太や大引きを取り付けるには、作業可能な強度まで硬化させる必要があり、通常1日から2日程度空ける必要がある。
【0007】
したがって、変成シリコンまたはウレタン樹脂系の液状の接着剤を使用した床束接着の施工方法では、硬化時間を促進させる方法がなく、次の作業は翌日以降となるため、硬化時間を考慮した工程となり、余分に人件費が掛かる原因となっている。
【0008】
さらに、変成シリコンまたはウレタン樹脂系の接着剤は、シックハウス症候群を引き起こす原因とされる化学物質が含まれている場合があり、それを吸い込むことで、施工者や周囲の人への健康障害を引き起こす原因にもなっている。
【0009】
このように、変成シリコンまたはウレタン樹脂系の接着剤を使用した床束接着の施工方法では、化学物質による健康被害に加え、硬化時間を考慮した工程が施工を難しいものとし、十分に熟知してない作業者による施工により、接着不良となり剥離するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施工者や周囲の人への健康障害をなくし、1日以上もの硬化時間を考慮せずに施工できる床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る床束用加熱溶融型接着シートは、コンクリート面又はアスファルト面からなる設置面に敷設され、加熱溶融され、床束を接着するもので、前記設置面と前記床束の間に介在する。
【0012】
この態様において、主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは1mm~3mmのシート状であってよい。
【0013】
本発明の他の態様に係る床束施工方法では、コンクリート面又はアスファルト面からなる設置面の異なる空隙や凹凸に応じ、床束用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、充填作業や下地調整をすることなく、前記設置面との最適な接着層を形成でき、強固に接着できる。
【0014】
この態様において、前記床束用加熱溶融型接着シートは溶融式であり、前記設置面の素材温度が所定温度よりも低い場合は、接着直前に予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、設置させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工者や周囲の人への健康障害をなくし、1日以上もの硬化時間を考慮せずに施工できる床束用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る、大引き又は根太を用いた、床束施工方法の過程を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る、台板付き束柱を用いた、床束施工方法の過程を説明する図である。
図3図1図2の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0018】
本発明の床束用加熱溶融型接着シート1は、接着剤をシート化し、図1図2に示す様に、敷設面であるコンクリート面4、又はアスファルト面5など、表面の異なる空隙や凹凸に加熱することで溶融充填し、レベリングされた接着面を形成し、シートの厚さは1mm~3mmの板状のもので、使用する束柱ベースの形状と下地の条件により、シート厚さを選択することにより最適な接着層を調整できることを特徴とする。
【0019】
床束用加熱溶融型接着シートの主成分は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリアミド(PA)等の少なくともいずれかの樹脂からなる。
【0020】
具体的には、
1)床束が鋼製または樹脂製で、使用条件がコンクリート面の場合には、厚さは1mm~1.5mm程度が好適である。
2)束柱が鋼製または樹脂製で、使用条件がアスファルト面の場合には、厚さは1.5mm~2.5mm程度が好適である。
【0021】
すなわち、本発明の床束用加熱溶融型接着シートは、設置面がコンクリート面4やアスファルト面5である場合において、目的とする床束のベースに応じ接着剤の使用量が異なるものに対して、シートの厚さを変えることで、床束との最適な接着層を調整できるものである。
【0022】
設置面となるコンクリート面4,及びアスファルト面5の表面は、均一ではないため凹凸や空隙率が異なり、直接高温に加熱し溶融させた床束用加熱溶融型接着シート1が、空隙や凹凸に流動し充填することで、下地とシートとの接着面積が増え最適な接着層を形成できるものである。
【0023】
また、加熱することで床束用加熱溶融型接着シート1の表面は平準化し、施工者が接着面を敷均す事なく、床束との隙間が生じにくい接着面を形成でき、硬化した際に強固に接着するものである。
【0024】
即ち、図1、及びその拡大図である図3に示されるように、コンクリート面4又はアスファルト面5の上に床束用加熱溶融型接着シート1を敷設した上で、床又はウッドデッキとの間に、床束としての束柱2、構造体としての大引き又は根太3を介在させて固定することで、床束を使用した床やウッドデッキ等を施工することが可能となる。更に、図2、及びその拡大図である図3に示されるように、コンクリート面4又はアスファルト面5の上に床束用加熱溶融型接着シート1を敷設した上で、構造体としての床仕上げ材7との間に、床束としての台板付き束柱6を介在させて固定することで、床束を使用した床を施工することが可能となる。
【0025】
床束用加熱溶融型接着シートは、加熱中は硬化が始まらないため、施工環境の温度による硬化時間が大きく左右されず、ガラス転移温度が100℃~200℃であって、床束の施工の直前まで溶融状態を保てるものである。尚、設置面の素材温度が所定温度(例えば15度)よりも低い場合は、床束用加熱溶融型接着シート1接着直前に予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、設置させるとよい。
【0026】
床束用加熱溶融型接着シート1の主成分は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリアミド(PA)等の少なくともいずれかの樹脂からなる。
【0027】
アスファルト面4、コンクリート面5とは、床やウッドデッキを作る際の床束を設置しようとする下地の事であり、床束用加熱溶融型接着シート1は、溶融流動化し、空隙や凹凸に充填する特徴により、アスファルトに塗料や樹脂が塗布された表面や、コンクリート製束石や、コンクリート製平板の表面であっても好適に床束を設置できる。
【0028】
また、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・アセトアルデヒドのような接着剤に使用される揮発性有機化合物を含まず、加熱による溶融化方式である加熱溶融型接着シートは、化学物質などによる空気汚染等と、それによる健康被害が発生しない。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1…束用加熱溶融型接着シート
2…束柱
3…大引き又は根太
4…コンクリート面
5…アスファルト面
6…台板付き束柱
7…床仕上げ材
図1
図2
図3