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特開2024-56332縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた縁石鋲施工方法
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  • 特開-縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた縁石鋲施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056332
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた縁石鋲施工方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/35 20180101AFI20240416BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240416BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20240416BHJP
   E01F 9/535 20160101ALI20240416BHJP
【FI】
C09J7/35
C09J201/00
C09J7/10
E01F9/535
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163134
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】519022137
【氏名又は名称】株式会社リンクジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 豊和
【テーマコード(参考)】
2D064
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2D064AA03
2D064AA04
2D064CA03
2D064JA02
4J004AA07
4J004AA08
4J004AA10
4J004AA15
4J004AA16
4J004BA03
4J004CE01
4J004EA05
4J004FA08
4J040DA021
4J040DA101
4J040DB051
4J040DC021
4J040DF081
4J040ED001
4J040EG001
4J040MA06
4J040MB03
4J040MB05
4J040NA12
4J040PA30
(57)【要約】
【課題】施工者や周囲の人への健康障害をなくし、半日~1日以上もの硬化時間を考慮せずに施工できる縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた縁石鋲施工方法を提供する。
【解決手段】本発明は、コンクリート縁石の設置面対し加熱溶融させたシート1と縁石鋲を接着するもので、設置面と縁石鋲の間に介在する縁石鋲用加熱溶融型接着シート1である。主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは1mm~3mmシート状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート縁石又は本石からなる設置面に敷設され、加熱溶融され、縁石鋲を接着するもので、前記設置面と前記縁石鋲の間に介在する
縁石鋲用加熱溶融型接着シート。
【請求項2】
主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは1mm~3mmシート状である
請求項1に記載の縁石鋲用加熱溶融型接着シート。
【請求項3】
コンクリート縁石又は本石からなる設置面が空隙がない底面形状や異なる空隙がある底面形状であっても、縁石鋲用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、施工者が接着材を敷均す事なく、前記設置面との最適な接着層を形成し、強固に接着する
縁石鋲施工方法。
【請求項4】
前記縁石鋲用加熱溶融型接着シートは溶融式であり、前記設置面の素材温度が所定温度よりも低い場合は、接着直前に予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、設置させる
請求項3に記載の縁石鋲施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いたコンクリート縁石面や本石面への縁石鋲施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縁石鋲の施工方法では、コンクリート縁石の上面に、その縁石鋲との固定に、2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を練り混ぜ塗布し、その縁石鋲を接着させ施工している。
【0003】
このような従来の縁石鋲の施工方法における、接着剤の使用量は、縁石鋲の大きさや形状によって差があるが、概ね約30~50g/箇所、使用する事で、コンクリート縁石面と、縁石鋲との最適な接着層が形成されている。
【0004】
ここで、特許文献1では、表面所定位置に再帰反射体を配置して視認性を確保することによりドライバーの視線誘導または境界位置確認を促す縁石鋲において、少なくとも再帰反射体以外の外面を構成する部分が所定の素材を成型してなる成型部品である外殻部からなり、外殻部の表面所定位置に所定の情報を文字またはマークで表示する表示部を設けた縁石鋲が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3136032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を練り混ぜた接着剤を使用した縁石鋲接着の施工方法において、主材と硬化材が化学反応し硬化するという性質に加え、気温によって硬化が左右され、実用可能な接着強度になるには約半日~1日を要し、その間に第三者が縁石鋲に触れないように交通規制する必要があった。
【0007】
したがって、2液硬化型エポキシ樹脂接着剤を練り混ぜた接着剤を使用した縁石鋲の施工方法では、硬化時間を促進させる現実的な方法がなく、交通規制解除は翌日以降となるため、硬化時間を考慮した工程となり、余分に人件費が掛かる原因となっている。
【0008】
さらに、エポキシ樹脂接着剤系の接着剤は、皮膚の一次刺激やアレルギー性皮膚炎、種類によっては変異原性が認められるため、施工者や周囲の人への健康障害を引き起こす原因にもなっている。
【0009】
このように、エポキシ樹脂接着剤の接着剤を使用した縁石鋲接着の施工方法では、化学物質による健康被害に加え、硬化時間を考慮した工程が施工管理を難しいものとし、十分に熟知してない作業者による施工により、接着初期にずれたり剥離するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施工者や周囲の人への健康障害をなくし、半日~1日以上もの硬化時間を考慮せずに施工できる縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る縁石鋲用加熱溶融型接着シートは、コンクリート縁石又は本石からなる設置面に敷設され、加熱溶融され、縁石鋲を接着するもので、前記設置面と前記縁石鋲の間に介在する。
【0012】
この態様において、主成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドの少なくともいずれかの樹脂からなり、厚さは1mm~3mmのシート状であってよい。
【0013】
さらに、本発明の他の態様に係る縁石鋲施工方法では、コンクリート縁石又は本石からなる設置面が空隙がない底面形状や異なる空隙がある底面形状であっても、縁石鋲用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、施工者が接着材を敷均す事なく、前記設置面との最適な接着層を形成し、強固に接着する。従って、縁石鋲の底面はメーカーによって異なる空隙や底面形状に応じて、縁石鋲用加熱溶融型接着シートの厚みを選択し、溶融させることで、コンクリート縁石面に最適な接着層を形成でき、強固に接着できる。接着剤の使用量を調整することなく、前記設置面との最適な接着層を形成でき、強固に接着できる。
【0014】
この態様において、前記縁石鋲用加熱溶融型接着シートは溶融式であり、前記設置面の素材温度が所定温度よりも低い場合は、接着直前に予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、設置させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工者や周囲の人への健康障害をなくし、半日~1日以上もの硬化時間を考慮せずに施工できる縁石鋲用加熱溶融型接着シート、及びこれを用いた床束施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る、コンクリート縁石面に用いた、縁石鋲施工方法の過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0018】
本発明の縁石鋲用加熱溶融型接着シート1は、接着剤をシート化し、図1に示されるように、設置面であるコンクリート縁石面(又は本石面)3等、底面の異なる空隙や底面形状に加熱することで溶融充填し、最適な接着面を形成し、シートの厚さは1mm~3mmの板状のものであり、使用する縁石鋲底面の空隙や底面形状の条件により、シート厚さを選択することにより最適な接着層を調整できることを特徴とする。
【0019】
縁石鋲用加熱溶融型接着シートの主成分は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリアミド(PA)等の少なくともいずれかの樹脂からなる。
【0020】
具体的には、
1)縁石鋲が樹脂製で、空隙がない底面形状の場合には、厚さは1mm程度が好適である。
2)縁石鋲が樹脂製で、メーカーによって異なる空隙がある底面形状の場合には、厚さは1.5mm~3mm程度から選択することで調整できる。
【0021】
すなわち、本発明の縁石鋲用加熱溶融型接着シートは、設置面がコンクリート縁石面3である場合において、目的とする縁石鋲に応じ接着剤の使用量が異なるものに対して、シートの厚さを変えることで、縁石鋲との最適な接着層を調整できるものである。
【0022】
また、加熱することで縁石鋲用加熱溶融型接着シート1の表面は平準化し、施工者が接着材を敷均す事なく、縁石鋲との隙間が生じにくい接着面を形成でき、硬化した際に強固に接着するものである。
【0023】
縁石鋲用加熱溶融型接着シート1は、加熱中は硬化が始まらないため、施工環境の温度による硬化時間が大きく左右されず、ガラス転移温度が100℃~200℃であって、縁石鋲の施工の直前まで溶融状態を保てるものである。尚、設置面のコンクリート縁石3の素材温度が所定温度(例えば15度)よりも低い場合は、縁石鋲用加熱溶融型接着シート1接着直前に予備加熱し、接着に最適な素材温度とした後、設置させるとよい。
【0024】
縁石鋲用加熱溶融型接着シート1の主成分は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリアミド(PA)等の少なくともいずれかの樹脂からなる。
【0025】
コンクリート縁石3とは、縁石鋲を設置しようとする下地の事であり、縁石鋲用加熱溶融型接着シート1は、溶融流動化し、空隙や凹凸に充填する特徴により、コンクリート縁石に塗料や樹脂が塗布された表面であっても好適に縁石鋲を設置できる。本石面に対しても同様にことがいえる。
【0026】
また、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・アセトアルデヒドのような接着剤に使用される揮発性有機化合物を含まず、加熱による溶融化方式である加熱溶融型接着シートは、化学物質などによる空気汚染等と、それによる健康被害が発生しない。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1…縁石鋲用加熱溶融型接着シート
2…縁石鋲
3…コンクリート縁石
図1