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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056336
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】椅子、及び背凭れ
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A47C7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163138
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】石丸 俊介
(72)【発明者】
【氏名】ハーフォード アレキザンダー
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084EA03
3B084EC01
(57)【要約】
【課題】背凭れへの入力荷重が、背凭れの連結箇所に与える影響を低減することができる椅子、及び背凭れを提供する。
【解決手段】椅子は、下部支持構造体と、下部支持構造体に左右方向の軸線回りに傾動可能に支持され、下部支持構造体から後方に突出する傾動部材と、傾動部材に連結される背凭れと、を備え、背凭れは、前方に面した荷重支持面を有する背凭れ本体と、前方に向かって開口する筒状に形成され、傾動部材が内部に収容された状態で傾動部材と連結する筒状部と、筒状部の左右方向両側の側壁に設けられ、背凭れ本体と筒状部とを接続する接続部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部支持構造体と、
前記下部支持構造体に左右方向の軸線回りに傾動可能に支持され、前記下部支持構造体から後方に突出する傾動部材と、
前記傾動部材に連結される背凭れと、
を備え、
前記背凭れは、
前方に面した荷重支持面を有する背凭れ本体と、
前方に向かって開口する筒状に形成され、前記傾動部材が内部に収容された状態で前記傾動部材と連結する筒状部と、
前記筒状部の左右方向両側の側壁に設けられ、前記背凭れ本体と前記筒状部とを接続する接続部と、を備える椅子。
【請求項2】
前記接続部は、各前記側壁から左右方向両外側に延びて、前後方向に延在する補強部を有する請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記補強部は、各前記側壁に上下方向に離間して一対設けられている請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記接続部は、各前記側壁から左右方向両外側に延びて、左右方向外側に向かうにしたがって上方に位置する一対の延設部を有し、
前記補強部は、一対の前記延設部のそれぞれから前方に突出している請求項2又は請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
下部支持構造体に左右方向の軸線回りに傾動可能に支持され、前記下部支持構造体から後方に突出する傾動部材に連結される背凭れであって、
前方に面した荷重支持面を有する背凭れ本体と、
前方に向かって開口する筒状に形成され、前記傾動部材が内部に収容された状態で前記傾動部材と連結する筒状部と、
前記筒状部の左右方向両側の側壁に設けられ、前記背凭れ本体と前記筒状部とを接続する接続部と、を備える背凭れ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子、及び背凭れに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、支持基部上に座を有するとともに、支持基部に背支持体を介して背凭れを支持させた椅子が開示されている。背凭れは、枠状の背フレームを備える。背フレームは、左右の側枠材と、これら左右の側枠材の上部間を連結する上枠材と、側枠材の下部間を連結する下枠材とを有した一体成型品である。背フレームの下枠材は、平板状の下枠材本体を備える。この下枠材本体は、背支持体の背凭れ取付部上に重ね合わされている。下枠材本体には、背支持体のナット部に対応するボルト挿通孔が形成されている。これら各ボルト挿通孔に挿通させたボルトが背支持体のナット部にそれぞれ螺着されることにより背フレームが背支持体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-079900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背凭れは、着座者を後方から支持している。このため、背凭れには着座者の荷重が入力されるが、背凭れに入力される荷重は一定ではない。例えば、着座者が左右方向の一方に振り返ると、左右方向の荷重が背凭れに入力される。特許文献1に開示された椅子では、背凭れに入力された左右方向の荷重が、背フレームの下枠材本体と背支持体とを引き離すように作用する場合があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、背凭れへの入力荷重が、背凭れの連結箇所に与える影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る椅子は、下部支持構造体と、前記下部支持構造体に左右方向の軸線回りに傾動可能に支持され、前記下部支持構造体から後方に突出する傾動部材と、前記傾動部材に連結される背凭れと、を備え、前記背凭れは、前方に面した荷重支持面を有する背凭れ本体と、前方に向かって開口する筒状に形成され、前記傾動部材が内部に収容された状態で前記傾動部材と連結する筒状部と、前記筒状部の左右方向両側の側壁に設けられ、前記背凭れ本体と前記筒状部とを接続する接続部と、を備える。
本態様によれば、例えば、着座者が左右方向の一方に振り返ると、背凭れは傾動部材と連動して傾動する。これにより、背凭れに左右方向の成分を含む荷重が入力される。この入力荷重は、接続部を介して筒状部の側壁に入力される。すると、側壁が左右方向に変形し、傾動部材を水平状態から左右方向に傾けさせようとする荷重が吸収される。さらに、筒状部は筒状に形成されているため、入力荷重を筒状部の全体に分散できる。これにより、傾動部材と背凭れとの連結強度を向上させることができる。よって、本態様によれば、背凭れへの入力荷重が、背凭れの連結箇所に与える影響を低減することができる。
【0007】
(2)上記(1)の態様に係る椅子において、前記接続部は、各前記側壁から左右方向両外側に延びて、前後方向に延在する補強部を有することが好ましい。
本態様によれば、補強部によって、接続部が前後方向に捻る向きの荷重に対して強固となる。このため、接続部は、補強部によって、背凭れに入力された荷重が筒状部に伝達される前に荷重の大分部を吸収することができる。
【0008】
(3)上記(2)の態様に係る椅子において、前記補強部は、各前記側壁に上下方向に離間して一対設けられていることが好ましい。
本態様によれば、各側壁に補強部が1つのみ設けられている場合と比較して接続部の強度を向上させることができる。また、前方に開口する筒状部の成形時に補強部を同時に成形できる。
【0009】
(4)上記(2)又は(3)の態様に係る椅子において、前記接続部は、各前記側壁から左右方向両外側に延びて、左右方向外側に向かうにしたがって上方に位置する一対の延設部を有し、前記補強部は、一対の前記延設部のそれぞれから前方に突出していることが好ましい。
本態様によれば、延設部によって、各補強部の強度を向上させることができる。さらに、一対の延設部によって、背凭れの左側に入力された荷重を左側の側壁に、背凭れの右側に入力された荷重を右側の側壁にそれぞれ個別に導くことができる。筒状部の左右方向中央部への過剰な応力集中を抑制することができる。
【0010】
(5)本発明の一態様に係る背凭れは、下部支持構造体に左右方向の軸線回りに傾動可能に支持され、前記下部支持構造体から後方に突出する傾動部材に連結される背凭れであって、前方に面した荷重支持面を有する背凭れ本体と、前方に向かって開口する筒状に形成され、前記傾動部材が内部に収容された状態で前記傾動部材と連結する筒状部と、前記筒状部の左右方向両側の側壁に設けられ、前記背凭れ本体と前記筒状部とを接続する接続部と、を備える。
本態様によれば、傾動部材と背凭れとの連結強度を向上させることができる。よって、背凭れへの入力荷重が、背凭れの連結箇所に与える影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、背凭れへの入力荷重が、背凭れの連結箇所に与える影響を低減することができる椅子、及び背凭れを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態における椅子の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態における支基と背凭れを示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態における傾動部材と背凭れとの連結を示す断面図である。
図4】本発明の第1実施形態における傾動部材と背凭れとの連結を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態における傾動部材と背凭れとの連結を示す正面図である。
図6】本発明の第1実施形態における連結部を示す側面図である。
図7】本発明の第1実施形態における連結部を示す断面図である。
図8】本発明の第2実施形態における背凭れを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る背凭れ4及び椅子1の第1実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態における椅子1の正面図である。本実施形態の椅子1は、着座者を着座姿勢の状態で支持する什器である。椅子1は、例えばオフィスや店舗で用いられる。
図1に示すように、椅子1は、下部支持構造体2と、傾動部材3と、背凭れ4とを備える。
【0015】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、座12に正規姿勢で着座した着座者を基準として、椅子1の前後方向D1、左右方向D2、及び上下方向D3を定義する。
【0016】
下部支持構造体2は、床面上に載置される。下部支持構造体2は、着座者の荷重を下方から支持する。下部支持構造体2は、脚部10と、支基11と、座12とを有する。
【0017】
脚部10は、床面に接触している。脚部10は、下方から直接的あるいは間接的に支基11、座12及び背凭れ4を支持する。脚部10は、多岐脚13と、脚柱14とを有する。
【0018】
多岐脚13は、中央部から放射状に延伸する複数の脚体15を有している。各々の脚体15の先端部には、キャスタ15aが設置されている。各々のキャスタ15aは、床面に対して転動可能に接触する。
【0019】
脚柱14は、多岐脚13の中央部に立設されており、多岐脚13の中央部から上方に向けて延伸している。脚柱14は、外筒14aと、内筒14bとを有する。外筒14aは、多岐脚13に固定されている。内筒14bの下部は、外筒14aに接続されている。内筒14bは、外筒14aに対して上下方向D3に移動可能に接続されている。内筒14bは、脚柱14の内部に収容された不図示のスプリングによって支持されている。また、内筒14bの上端部は、支基11に固定されている。このような脚柱14は、支基11を介して、座12を上下方向D3に移動可能に支持する。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態における支基11と背凭れ4を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態における傾動部材3と背凭れ4との連結を示す断面図である。図3の断面は、背凭れ4の左右方向D2中央部を示す断面である。図3の断面は、前後方向D1及び上下方向D3に沿っている。
支基11は、脚部10の上方に位置するボックス状の部位である。支基11には、後述する傾動部材3が設けられている。また、図2図3に示すように、支基11は、下方に向けて開口する上側筐体11aと、上側筐体11aに下方から嵌め込まれる下側筐体11bとを有する。下側筐体11bは、上方に向けて開口した箱状をなしている。下側筐体11bの後面11cは、下方に向かうにしたがって漸次前方に位置するように傾斜している。
また、支基11上には、座12が設置されている。
座12は、着座者が直接的に座る部位である。座12は、座本体12aと、表皮材12bと、を有する。座本体12aは、支基11に取り付けられている。表皮材12bは、座本体12aの上面を覆っている。表皮材12bの内側(表皮材12bと座本体12aとの間)には、クッション材(図示省略)が配置されている。
【0021】
図2図3に示すように、傾動部材3は、支基11の内部に設けられている。また、支基11の内部には、傾動部材3を支持する傾動軸5が設けられている。傾動軸5は、左右方向D2に延びている。以下、傾動軸5の軸線Oを単に「軸線O」と称して説明する場合がある。
傾動部材3は、下部支持構造体2の支基11に左右方向D2の軸線O回りに傾動可能に支持されている。傾動部材3は、下部支持構造体2の支基11から後方に突出している。
【0022】
図4は、本発明の第1実施形態における傾動部材3と背凭れ4との連結を示す斜視図である。図5は、発明の第1実施形態における傾動部材3と背凭れ4との連結を示す正面図である。
図3から図5に示すように、傾動部材3は、傾動プレート50と、第1板51と、第2板52とを有する。
【0023】
傾動プレート50は、傾動軸5の左右方向D2両端部に1枚ずつ取付けられている。傾動プレート50は、支基11を構成する上側筐体11aの後壁から後方に突出している。傾動プレート50は、前側プレート53と、前側プレート53の後端部に接続された後側プレート54とを有する。後側プレート54の上縁は、後方に向かうにしたがって漸次下方に位置するように傾斜している。後側プレート54の後端部には、左右方向D2に貫通する挿通孔50aが設けられている。挿通孔50aには、傾動軸5が挿通されている。一対の傾動プレート50は、傾動軸5回りに回転可能とされている。
【0024】
第1板51は、傾動プレート50の後端部同士を架け渡している。第1板51は、左右方向D2に延在する平板である。第1板51の板厚方向は、鉛直方向と一致、あるいは鉛直方向に対して僅かに傾斜している。第1板51には、板厚方向に貫通する挿通孔51aが形成されている。本実施形態では、挿通孔51aは、左右方向D2に間隔を空けて3つ形成されている。3つの挿通孔51aのうち、左右方向D2中間部の挿通孔51aは、他2つの挿通孔51aよりも前方に形成されている。左右方向D2両外側の挿通孔51aは、同一の前後方向D1位置に形成されている。
【0025】
第2板52は、第1板51の上面に重ねて配置されている。第2板52は、第1板51と同程度の厚さを有した平板である。第2板52には、板厚方向に貫通する挿通孔52aが形成されている。第2板52の挿通孔52aは、第1板51の挿通孔51aと同数だけ形成され、第1板51の挿通孔51aと上下方向D3に重なる位置に設けられている。
【0026】
上述した傾動部材3は、背凭れ4に連結される。
図1図2に示すように、背凭れ4は、背凭れ本体20と、連結部6とを備える。
【0027】
背凭れ本体20は、座12の後方に位置する。背凭れ本体20は、着座者の背中を後方及び左右方向D2両側から包み込むように支持する。
背凭れ本体20は、シェル21と、表皮材22と、下部フレーム24とを有する。
【0028】
シェル21は、上下方向D3に延在する板状に形成されている。シェル21は、上方に向かうにしたがって後方に位置するように僅かに傾斜している。また、シェル21は、左右方向D2中央部から左右方向D2外側に向かうにしたがい、前方に位置するように湾曲形成されている。
【0029】
表皮材22は、少なくともシェル21の前面に設けられている。表皮材22の内側(表皮材22とシェル21との間)には、クッション材(図示省略)が配置されている。表皮材22の表面は、前方に面し、着座者の荷重を後方から支持する荷重支持面23として機能する。なお、表皮材22は、シェル21の前面のみを覆ってもよく、シェル21の後面を含む下部以外の全体を覆うように設けられていてもよい。
【0030】
図5に示すように、下部フレーム24は、シェル21の下端部に形成された取付孔21aに差し込まれた状態で、シェル21に固定されている。また、本実施形態では、下部フレーム24は、後述する連結部6と樹脂成形により一体形成されている。
【0031】
図6は、本発明の第1実施形態における連結部6を示す側面図である。
図5図6に示すように、連結部6は、下部フレーム24の下端から下方に延在している。連結部6は、座12に正規姿勢で着座した着座者の腰部を後方及び下方、そして左右方向D2両側から包み込む形状に形成されている。連結部6の外形は、前後方向D1から見て、上方に開口するU字状に形成されている。連結部6の後面6aは、曲面状に形成されている。
【0032】
図2に示すように、連結部6は、筒状部30と、接続部40と、中央補強部7と、後側補強部9と備える。
筒状部30は、前方に向かって開口する筒状に形成されている。筒状部30の外形は、前後方向D1及び左右方向D2に延在するとともに上下方向D3に薄い直方体状に形成されている。また、筒状部30の後端部は、後述する後側補強部9(図3参照)によって閉塞されている。筒状部30の内部には、傾動部材3が収容される。筒状部30は、上述した傾動部材3が内部に収容された状態で傾動部材3と連結する。
【0033】
筒状部30は、上壁31と、下壁32と、側壁33と、厚肉部35(図5参照)と、下壁リブ36(図6参照)と、を有する。
図3図4に示すように、上壁31には、スリット31aが形成されている。スリット31aは、上壁31の左右方向D2両端部にそれぞれ設けられている。スリット31aは、上壁31を上下方向D3に貫通するとともに、前方に開口している。各スリット31aには、傾動部材3の後側プレート54が前方から挿通されている。このため、各後側プレート54の上側部分は、それぞれ対応するスリット31aに左右方向D2両側から挟み込まれている。また、上述したように後側プレート54の上縁は、後方に向かうにしたがい下方に位置するように傾斜している。このため、後側プレート54の後端部は、筒状部30の内部に収容されている。
【0034】
下壁32の左右方向D2両端部には、上方及び前方に開口した溝部32aが形成されている。溝部32aには、傾動部材3の後側プレート54が前方から挿通されている。このため、各後側プレート54の下側部分は、溝部32aに左右方向D2両側から挟み込まれる。
【0035】
また、下壁32には、傾動部材3の第1板51が重ねて配置されている。下壁32には、板厚方向に貫通する挿通孔32bが形成されている。下壁32の挿通孔32bは、第1板51の挿通孔51a及び第2板52の挿通孔52aと同数だけ形成され、第1板51の挿通孔51a及び第2板52の挿通孔52aと上下方向D3に重なる位置に設けられている。上下方向D3に重ねられた挿通孔32b,51a,52aには、下方からボルト8が挿通されている。このボルト8によって、下壁32は、傾動部材3の第1板51及び第2板52に締結固定されている。
【0036】
側壁33は、筒状部30の左右方向D2両側の端部を構成している。側壁33は、上壁31と下壁32の左右方向D2両端部を上下方向D3に接続している。
【0037】
図5に示すように、厚肉部35は、下壁32の左右方向D2両端部に設けられている。厚肉部35は、下壁32の下面から下方に突出している。厚肉部35の前端部には、前方に開口した穴部35aが形成されている。
図3図5に示すように、下壁リブ36は、下壁32のうち左右方向D2両側の厚肉部35同士の間に設けられている。下壁リブ36は、下壁32の下面から下方に突出している。下壁リブ36は、複数の第1下壁リブ36aと、複数の第2下壁リブ36bとを有する。第1下壁リブ36aは、前後方向D1に延びるリブであり、第2下壁リブ36bは、左右方向D2に延びるリブである。第1下壁リブ36aと第2下壁リブ36bとは、格子状に交差している。第2下壁リブ36bは、左右方向D2両側の厚肉部35同士を接続している。
【0038】
また、図3に示すように、別の観点では、上述した筒状部30の前端部の下面30aは、下方に向かうにしたがって漸次後方に位置するように傾斜している。すなわち、筒状部30の前端部の下面30aは、下方に向かうにしたがって、前後方向D1に対向する支基11の後面11cから後方に離間するように傾斜している。
【0039】
図2図5に示すように、接続部40は、筒状部30の左右方向D2両側の側壁33にそれぞれ設けられている。接続部40は、背凭れ本体20の下端部20a(本実施形態では下部フレーム24)と、筒状部30とを接続している。
接続部40は、延設部41と、補強部42とを有する。
【0040】
延設部41は、筒状部30の左右方向D2両側の側壁33にそれぞれ設けられている。一対の延設部41同士は、左右方向D2に離間している。一対の延設部41は、各側壁33から左右方向D2外側に延びるアーム状の部材である。各延設部41は、左右方向D2外側に向かうにしたがって上方に位置している。各延設部41の上端は、背凭れ本体20の下端部20a(本実施形態では下部フレーム24)に接続されている。
本実施形態では、一対の延設部41と筒状部30とを合わせた外形状は、前後方向D1から見て、上方に向けて開口するU字状に形成されている。
【0041】
補強部42は、筒状部30の左右方向D2両側の側壁33にそれぞれ設けられている。補強部42は、各側壁33から左右方向D2両外側に延びて、前後方向D1に延在している。
【0042】
図7は、本発明の第1実施形態における連結部6を示す断面図である。図7の断面は、連結部6のうち補強部42を切った断面である。図7の断面は、前後方向D1及び上下方向D3に沿っている。
本実施形態では、図7に示すように、補強部42は、一対の延設部41のそれぞれから前方に突出したリブ状に形成されている。さらに、図5に示すように、補強部42は、延設部41に沿って、筒状部30から左右方向D2両側に向かうにしたがって上方に位置するように形成されている。各補強部42の上端は、背凭れ本体20の下端部20a(本実施形態では下部フレーム24)に接続されている。
【0043】
また、補強部42は、各側壁33に上下方向D3に離間して一対設けられている。以下では、上下一対の補強部42のうち、上方に位置する補強部42を上側補強部43と称し、下方に位置する補強部42を下側補強部44と称する。
【0044】
上側補強部43は、延設部41の上縁に沿った湾曲形状に形成されている。上側補強部43の前後方向D1の長さL1(図7参照)は、左右方向D2で筒状部30側に向かうにしたがい次第に大きくなっている。上側補強部43の下端部43aは、筒状部30の側壁33の上縁に接続されている(図4参照)。
【0045】
下側補強部44は、延設部41の下縁に沿った湾曲形状に形成されている。下側補強部44の前後方向D1の長さL2(図7参照)は、左右方向D2で筒状部30側に向かうにしたがい次第に大きくなっている。下側補強部44の下端部44aは、筒状部30の側壁33の下側及び、厚肉部35に接続されている(図4参照)。下側補強部44の下端部44aは、筒状部30の前後方向D1の略全域にわたって設けられている。
【0046】
下側補強部44の下端部44aの前端は、上側補強部43の下端部43aの前端よりも前方に位置している。また、下側補強部44の上下方向D3の厚さW2(図7参照)は、上側補強部43の上下方向D3の厚さW1(図7参照)よりも大きい。
【0047】
このように、本実施形態では、接続部40は、上述した形状の延設部41と、補強部42とを有する。このため、図7に示すように、接続部40の上下方向D3及び前後方向D1に沿う断面形状は、前方に向けて開口するU字状をなしている。
また、左右方向D2両側に設けられた一対の接続部40は、中央補強部7によって接続されている。
【0048】
図5図6に示すように、中央補強部7は、筒状部30の後方に設けられ、筒状部30及び接続部40と一体形成されている。中央補強部7は、筒状部30の後部から上方に向けて延びている。中央補強部7の上端は、背凭れ本体20の下端部20a(本実施形態では下部フレーム24)に接続されている。
中央補強部7の左右方向D2中央部には、前後方向D1に貫通する貫通孔7aが形成されている。貫通孔7aの左右方向D2の寸法は、下方に向かうにしたがって漸次短くなっている。
中央補強部7の下端部(以下、中央下側補強部7bとする。)は、左右方向両側に延びている。中央下側補強部7bの上縁は、前方から見て、貫通孔7aの下端縁に沿って下方に張り出すように僅かに湾曲している。中央下側補強部7bは、後側補強部9(図3参照)と接続されている。
後側補強部9は、筒状部30の後側の開口を閉塞する部材である。後側補強部9の筒状部30の後側の開口の全域に亘って設けられている。後側補強部9は、筒状部30の後端部の上下方向D3及び左右方向D2の荷重に対する強度を向上させる。後側補強部9は、筒状部30の後端から後方に向けて延びている。また。後側補強部9は、筒状部30と同程度の上下方向D3の厚みを有する。後側補強部9は、筒状部30と、接続部40と、中央補強部7と、一体に形成されている。
【0049】
本実施形態によれば、以下のような作用効果が発揮される。
【0050】
本実施形態では、椅子1は、下部支持構造体2と、傾動部材3と、背凭れ4と、を備える。傾動部材3は、下部支持構造体2に左右方向D2の軸線O回りに傾動可能に支持され、下部支持構造体2から後方に突出している。背凭れ4は、傾動部材3に連結されている。背凭れ4は、背凭れ本体20と、筒状部30と、接続部40と、を備える。背凭れ本体20は、前方に面した荷重支持面23を有する。筒状部30は、前方に向かって開口する筒状に形成され、傾動部材3が内部に収容された状態で傾動部材3と連結している。接続部40は、筒状部30の左右方向D2両側の側壁33に設けられ、背凭れ本体20と筒状部30とを接続している。
【0051】
これにより、着座者が例えば体を捻る等して体を動かすと背凭れ4は傾動部材3と連動して傾動する。これにより、背凭れ4に左右方向D2の成分を含む荷重が入力される。この入力荷重は、接続部40を介して筒状部30の側壁33に入力される。すると、側壁33が左右方向D2に変形し、傾動部材3を水平状態から左右方向D2に傾けさせようとする荷重が吸収される。本実施形態では、傾動部材3が筒状部30の下壁32で筒状部30と連結しているが、側壁33の左右方向に変形によって、傾動部材3と筒状部30とがこの入力荷重に起因するモーメントによって上下に引き離されることが抑制される。
さらに、筒状部30は筒状に形成されているため、入力荷重を筒状部30の全体に分散できる。このため、傾動部材3と背凭れ4との連結強度を向上させることができる。よって、本実施形態によれば、背凭れ4への入力荷重が、背凭れ4の連結箇所に与える影響を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態では、接続部40は、各側壁33から左右方向D2両外側に延びて、前後方向D1に延在する補強部42を有する。
【0053】
これにより、補強部42によって、接続部40が前後方向D1に捻る向きの荷重に対して強固となる。このため、接続部40は、補強部42によって、背凭れ4に入力された荷重が筒状部30に伝達される前に荷重の大分部を吸収することができる。よって、傾動部材3と背凭れ4との連結強度をより一層向上させることができる。これにより、背凭れ4を堅牢なものにすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、補強部42は、各側壁33に上下方向D3に離間して一対設けられている。
【0055】
これにより、各側壁33に補強部42が1つのみの場合と比較して接続部40の強度を向上させることができる。よって、傾動部材3と背凭れ4との連結強度をより一層向上させることができる。また、前方に開口する筒状部30の成形時に補強部42を同時に成形できるので、製造効率も向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、接続部40は、各側壁33から左右方向D2両外側に延びて、左右方向D2外側に向かうにしたがって上方に位置する一対の延設部41を有する。補強部42は、一対の延設部41のそれぞれから前方に突出している。
【0057】
これにより、延設部41によって、各補強部42の強度が向上する。さらに、一対の延設部41によって、背凭れ4の左側に入力された荷重を左側の側壁33に、背凭れ4の右側に入力された荷重を右側の側壁33にそれぞれ個別に導くことができる。これにより、筒状部30の左右方向D2中央部への過剰な応力集中が抑制される。よって、傾動部材3と背凭れ4との連結強度をより一層向上させることができる。これにより、背凭れ4がより一層堅牢なものとなる。
【0058】
また、本実施形態では、背凭れ4は、筒状部30の後部に設けられた中央補強部7を備える。左右一対の接続部40が、中央補強部7によって接続されている。
これにより、各接続部40及び筒状部30が中央補強部7によって補強される。さらに、中央補強部7の左右方向D2中央部には、前後方向D1に貫通する貫通孔7aが形成されている。このため、左右方向D2両側の一対の接続部40は、少なくとも上下方向D3中間部分では左右方向D2に離間する。これにより、背凭れ4から伝達される荷重が左右方向D2に分散され、左右方向D2中央部での応力集中が抑制される。よって、各接続部40及び筒状部30を補強しつつ、左右方向D2中央部での応力集中を抑制することができる。これにより、傾動部材3と背凭れ4との連結強度をより一層向上させることができ、背凭れ4がより一層堅牢なものとなる。
【0059】
また、本実施形態では、筒状部30の前端部の下面30aは、下方に向かうにしたがって、前後方向D1に対向する支基11の後面11cから後方に離間するように傾斜している。
これにより、背凭れ4が後方に傾動したとしても、筒状部30の下面30aと支基の後面11cとが十分に離間した状態で維持される。このため、筒状部30と支基11との間に着座者の指が挟み込まれることがなくなり、安全性が向上される。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0061】
図8は、本発明の第2実施形態における背凭れ104を示す斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の椅子101、及び背凭れ104において、背凭れ本体120は、背凭れフレーム121と、メッシュ材122と、を有する。
背凭れフレーム121は、前後方向D1に貫通した貫通孔121aを有した枠状に形成されている。メッシュ材122は、背凭れフレーム121の前側に張り付けられたシート状の部材である。背凭れフレーム121の貫通孔121aは、このメッシュ材122によって閉塞されている。本実施形態では、メッシュ材122の前面が、前方に面し、荷重者による入力荷重を後方から支持する荷重支持面123として機能する。
【0062】
また、本実施形態では、背凭れ本体120の下端部120a(背凭れフレーム121の下端部)に第1実施形態と同様の構成の連結部6が設けられている。
このため、本実施形態の椅子101及び背凭れ104は、上述した第1実施形態と同様の作用効果を発揮することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0064】
上述した実施形態では、筒状部30が前後方向D1及び左右方向D2に延在する直方体状に形成されている場合について説明したが、この構成に限られない。筒状部30は、例えば五角以上の多角形筒状に形成されてもよい。また、筒状部30は、円筒状に形成されてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、筒状部30の後端部が閉塞されている場合について説明したが、この構成に限られない。筒状部30は、前方だけでなく後方にも開口していてもよい。
【0066】
上述した実施形態では、補強部42が各側壁33に上下方向D3に離間して一対設けられている場合について説明した、この構成に限られない。各側壁33に設けられる補強部42の数は、適宜変更可能である。補強部42は、各側壁33に1つのみ設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:椅子
2:下部支持構造体
3:傾動部材
4:背凭れ
20:背凭れ本体
23:荷重支持面
30:筒状部
33:側壁
40:接続部
41:延設部
42:補強部
101:椅子
104:背凭れ
120:背凭れ本体
123:荷重支持面
D1:前後方向
D2:左右方向
D3:上下方向
O:軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8