(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056343
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ラップフィルム及びラップフィルム収容体
(51)【国際特許分類】
B65D 65/02 20060101AFI20240416BHJP
B65D 25/52 20060101ALI20240416BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240416BHJP
C08K 3/015 20180101ALI20240416BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20240416BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20240416BHJP
C08L 27/08 20060101ALI20240416BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20240416BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20240416BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240416BHJP
A23L 3/00 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
B65D65/02 A
B65D25/52 C
C08L101/00
C08K3/015
C08L23/00
C08L27/06
C08L27/08
C08K3/08
C08K5/103
C08J5/18
A23L3/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163145
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】521475990
【氏名又は名称】株式会社キッチニスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】千葉 宏伸
(72)【発明者】
【氏名】大木 絵里加
【テーマコード(参考)】
3E062
3E086
4B021
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AB13
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(57)【要約】
【課題】インフルエンザA型ウィルス及びネコカリシウィルスの両方に対して優れた抗ウィルス性を有するラップフィルム及びその収容体を提供すること。
【解決手段】本発明の一側面は、熱可塑性樹脂と、銀及び銅を含む抗ウィルス剤と、を含有するラップフィルムであって、上記抗ウィルス剤の含有量が、上記ラップフィルムの全量基準で0.25質量%以上0.95質量%以下である、ラップフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、銀及び銅を含む抗ウィルス剤と、を含有するラップフィルムであって、
前記抗ウィルス剤の含有量が、前記ラップフィルムの全量基準で0.25質量%以上0.95質量%以下である、ラップフィルム。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂及びポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項3】
可塑剤を更に含有し、前記可塑剤の含有量が、前記ラップフィルムの全量基準で10質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項4】
グリセリン系防曇剤を更に含有する、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項5】
食品の包装に用いられる、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項6】
巻芯と、
前記巻芯に巻回された、請求項1~5のいずれか一項に記載のラップフィルムと、
前記巻芯及び前記ラップフィルムを収容する箱体と、を備えるラップフィルム収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップフィルム及びラップフィルム収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルムは、家庭のほか、ホテル、レストラン等においても広く使用されている。ラップフィルムは食品に接触することが通常想定されているため、抗菌性、抗ウィルス性等を有することが好ましい。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂と着色剤と銀系抗菌剤とを含有するラップフィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のラップフィルムは抗菌性を有するが、上述したとおり、ラップフィルムとしては抗ウィルス性を有するものも求められている。そのようなラップフィルムとしては、例えば、身近に存在し得るインフルエンザウィルス及びノロウィルスに対する抗ウィルス性を有することが好ましい。そこで、本発明のいくつかの側面は、インフルエンザA型ウィルスと、ノロウィルスの類似ウィルスであるネコカリシウィルスと、の両方に対して優れた抗ウィルス性を有するラップフィルム及びその収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの検討によれば、ラップフィルムに抗ウィルス剤を添加しても、抗ウィルス剤の種類及び含有量とウィルスの種類によっては、抗ウィルス性が有効に得られない場合があることが判明した。そして、本発明者らは、銅及び銀を含む抗ウィルス剤の特定量をラップフィルムに添加することにより、インフルエンザA型ウィルス及びネコカリシウィルスの両方に対して優れた抗ウィルス性を有するラップフィルムが得られることを見出した。
【0006】
本発明のいくつかの側面は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1]熱可塑性樹脂と、銀及び銅を含む抗ウィルス剤と、を含有するラップフィルムであって、上記抗ウィルス剤の含有量が、上記ラップフィルムの全量基準で0.25質量%以上0.95質量%以下である、ラップフィルム。
[2]上記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂及びポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[1]に記載のラップフィルム。
[3]可塑剤を、上記ラップフィルムの全量基準で10質量%以上30質量%以下含有する、[1]又は[2]に記載のラップフィルム。
[4]グリセリン系防曇剤を更に含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のラップフィルム。
[5]食品の包装に用いられる、[1]~[4]のいずれかに記載のラップフィルム。
[6]巻芯と、上記巻芯に巻回された、[1]~[5]のいずれかに記載のラップフィルムと、上記巻芯及び上記ラップフィルムを収容する箱体と、を備えるラップフィルム収容体。
【発明の効果】
【0007】
本発明のいくつかの側面によれば、インフルエンザA型ウィルス及びネコカリシウィルスの両方に対して優れた抗ウィルス性を有するラップフィルム及びその収容体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るラップフィルム収容体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[ラップフィルム]
一実施形態に係るラップフィルムは、熱可塑性樹脂と、銀及び銅を含む抗ウィルス剤と、を含有する。銀及び銅を含む抗ウィルス剤の含有量は、ラップフィルムの全量基準で0.25質量%以上0.95質量%以下である。このようなラップフィルムは、物品を包装するためのフィルムであり、特に食品包装用のフィルムとして好適に用いられる。本実施形態に係るラップフィルムは、熱可塑性樹脂と銀及び銅を含む抗ウィルス剤とを、銀及び銅を含む抗ウィルス剤の含有量がラップフィルムの全量基準で0.25質量%以上0.95質量%以下となるように混合することで、優れた抗ウィルス性を発揮することができる。
【0011】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;6-ナイロン、6,6-ナイロン、12-ナイロン等のポリアミド系樹脂;ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-DL-乳酸等のポリ乳酸系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニリデン系樹脂などであってよい。熱可塑性樹脂は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。
【0012】
熱可塑性樹脂は、取扱い性に優れる観点から、好ましくは、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である。
【0013】
ポリ塩化ビニル系樹脂は、ラップフィルムの成形性、耐熱性及び流動性に優れる観点から、好ましくは、平均重合度700~1300のポリ塩化ビニル系樹脂である。本明細書における平均重合度は、JIS K6720-2に準じて測定された平均重合度を意味する。
【0014】
ポリ塩化ビニル系樹脂は、機械特性に優れる観点から、塩化ビニルホモポリマー(ポリ塩化ビニル樹脂)であってもよく、他の特性を付与する目的から、塩化ビニルとこれに共重合可能なその他のモノマーとの共重合体であってもよい。共重合体は、グラフト共重合体、ブロック共重合体又はランダム共重合体であってよい。その他のモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン;酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル等の飽和酸のビニルエステル;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の不飽和酸のアルキルエステル;ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;アクリロニトリル;及びフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0015】
ポリ塩化ビニル系樹脂が共重合体である場合、共重合体における塩化ビニル単位の含有量は、モノマー単位全量基準で、10質量%以上であってよく、機械特性に優れる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。共重合体における塩化ビニル単位の含有量の上限は、特に限定されず、例えば、モノマー単位全量基準で99質量%以下であってよい。
【0016】
ポリ塩化ビニル系樹脂は、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンの三次元ポリマー等とのポリマーブレンド、アルコール等による後処理物、含塩素化合物による後処理物であってもよい。これらの場合、ポリ塩化ビニル系樹脂における塩化ビニル単位の含有量は、モノマー単位全量基準で10質量%以上であってよい。
【0017】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデンホモポリマー(ポリ塩化ビニリデン樹脂)であってもよく、例えば、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能なその他のモノマーとをモノマー単位として含む共重合体であってよい。その他のモノマーは、塩化ビニル、アクリル酸と炭素数1~8のアルコールとのアクリル酸エステル、メタクリル酸と炭素数1~8のアルコールとのメタクリル酸エステル、脂肪族カルボン酸のビニルエステル、不飽和脂肪族カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル等であってよい。なお、塩化ビニリデンと塩化ビニルとの共重合体は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂に属するものとする。
【0018】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデン単位の含有量は、ラップフィルムの成形性及び耐熱性の観点から、モノマー単位全量基準で、例えば、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってよい。ポリ塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデン単位の含有量の上限は、特に限定されず、例えば、モノマー単位全量基準で99質量%以下であってよい。塩化ビニリデン単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定することができる。
【0019】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、40000以上、60000以上、又は80000以上であってよく、180000以下、160000以下、又は140000以下であってよく、40000~180000、60000~160000、又は80000~140000であってよい。ポリ塩化ビニリデン系樹脂のMwは、GPC法により、分子量既知のポリスチレンを標準物質として測定することができる。
【0020】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂のMwの測定に用いるGPC法の条件は、以下のとおりである。測定装置としてウォーターズ社製ゲルクロマトグラフAllianceGPC2000型を使用する。ポリ塩化ビニリデン系樹脂を0.5質量%となるようにテトラヒドロフランに溶解させたものを、試料として用いる。
カラム:東ソー株式会社製TSKgel GMHHR-H(S)HT 30cm×2、TSKgel GMH6-HTL 30cm×2
移動相:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計
流速:1.0mL/分
カラム温度:20℃
注入量:500μL
【0021】
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン系樹脂であってよい。ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、又はエチレン等をモノマー単位とする共重合体であってよい。具体的には、ポリエチレン系樹脂は、エチレンと、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン等の炭素数3~10のα-オレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル、共役ジエン、非共役ジエン等の不飽和化合物などから選ばれる一種又は二種以上のモノマーとの共重合体であってよい。ポリエチレン系樹脂におけるエチレン単位の含有量は、モノマー単位全量基準で50質量%以上であってよい。
【0022】
熱可塑性樹脂の含有量は、生産性に優れる観点から、ラップフィルムの全量基準で、60質量%以上、70質量%以上、又は73質量%以上であってよく、また、90質量%以下、85質量%以下又は80質量%以下であってよい。
【0023】
(銀及び銅を含む抗ウィルス剤)
銀及び銅を含む抗ウィルス剤(以下「銀及び銅系抗ウィルス剤」ともいう)には、抗ウィルス性を有する、銀及び銅を含む抗菌剤も包含される。銀及び銅系抗ウィルス剤は、銀及び銅以外の金属を更に含んでよく、含まなくてもよい。
【0024】
銀及び銅系抗ウィルス剤は、金属銀、銀イオン又は銀化合物と、金属銅、銅イオン又は銅化合物とを含有する抗ウィルス剤である。銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば、無機化合物等の担体に、金属銀、銀イオン及び銀化合物(例えば銀錯塩)からなる群より選択される少なくとも一種と、金属銅、銅イオン及び銅化合物(例えば銅錯塩)からなる群より選択される少なくとも一種とを担持させた抗ウィルス剤であってよい。銀及び銅系抗ウィルス剤は、多孔質構造を有する担体(例えば無機化合物)に、金属銀、銀イオン又は銀化合物(例えば銀錯塩)と、金属銅、銅イオン又は銅化合物(例えば銅錯塩)とを担持させた抗ウィルス剤であってよい。このような銀及び銅系抗ウィルス剤としては、例えば、ゼオライト-銀及び銅系抗ウィルス剤、ガラス-銀及び銅系抗ウィルス剤、リン酸カルシウム-銀及び銅系抗ウィルス剤、リン酸ジルコニウム-銀及び銅系抗ウィルス剤及びケイ酸塩-銀及び銅系抗ウィルス剤が挙げられる。
【0025】
ゼオライト-銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば、A型合成ゼオライトの水懸濁液に硝酸銀水溶液及び硝酸銅水溶液を加え、イオン交換反応により結晶構造中のNaの位置に銀イオン及び銅イオンを一定量置換し、乾燥した後に焼成することにより得られる。ゼオライト-銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば株式会社シナネンゼオミック製の「ゼオミック AC10D」として入手可能である。
【0026】
ガラス-銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば、ケイ酸塩ガラスに、銀及び銅を担持させることにより得られる。
【0027】
リン酸カルシウム-銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸カルシウム等の水系懸濁液と硝酸銀溶液及び硝酸銅水溶液とを混合し、金属銀又は銀イオンと金属銅又は銅イオンとをリン酸カルシウムに担持させることにより得られる。
【0028】
リン酸ジルコニウム-銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば、水熱合成により得られた結晶リン酸リチウムジルコニウム中のリチウムを酸処理によりプロトンに置換し、プロトンを銀イオン及び銅イオンに更に置換した後、乾燥して焼成することにより得られる。
【0029】
ケイ酸塩-銀及び銅系抗ウィルス剤は、例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムに銀イオン及び銅イオンを担持させた後、乾燥及び焼成することにより得られる。
【0030】
銀及び銅系抗ウィルス剤は、粒子状であってよい。粒子状の銀及び銅系抗ウィルス剤の平均粒径は、例えば、0.1μm以上、0.2μm以上、又は0.5μm以上であってよく、2μm以下、1.5μm以下、又は1.2μmであってよい。
【0031】
銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量は、ラップフィルムの全量基準で、0.25質量%以上0.95質量%以下である。銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量が0.25質量%以上であることで、優れた抗ウィルス性が得られる。銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量が0.95質量%以下であることで、フィルム粘着力、製膜性及び透明性が向上する。従来の知見によれば、抗ウィルス効果を有する添加剤の量が多ければ多いほど抗ウィルス性が向上することが予想されたが、本発明者らは、銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量が0.95質量%を超えると、かえって抗ウィルス性(特にインフルエンザA型ウィルスに対する抗ウィルス性)が悪化し、当該含有量が0.95質量%以下であることで、インフルエンザA型ウィルス及びネコカリシウィルスの両方に対して優れた抗ウィルス性が得られるということを発見した。また、銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量が0.95質量%以下であれば、分散剤を使用しなくても、フィルム中で当該抗ウィルス剤が均一に分散することができるので、コストを削減することもできる。ただし、本実施形態において、分散剤の使用が禁じられるわけではない。
【0032】
抗ウィルス性が更に向上する観点から、銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量は、ラップフィルムの全量基準で、0.3質量%以上、0.35質量%以上、0.4質量%以上、0.45質量%以上又は0.5質量%以上であってよい。優れた抗ウィルス性と、フィルム粘着力、製膜性及び透明性の向上とが更に両立しやすくなる観点から、銀及び銅系抗ウィルス剤の含有量は、ラップフィルムの全量基準で、0.9質量%以下、0.85質量%以下、0.8質量%以下、0.75質量%以下又は0.7質量%以下であってよい。
【0033】
(可塑剤)
ラップフィルムは、可塑剤を更に含有してよい。可塑剤は、例えば、アジピン酸エステル、エポキシ化植物油等であってよい。
【0034】
アジピン酸エステルは、例えば、アジピン酸と、炭素数6~10の直鎖又は分岐の脂肪族アルコールとのジエステル(アジピン酸ジエステル)であってよい。アジピン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等であってよい。
【0035】
エポキシ化植物油は、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化コーン油、エポキシ化菜種油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化パーム油、エポキシ化綿実油、エポキシ化オリーブ油等であってよい。
【0036】
可塑剤の含有量は、ラップフィルム全量基準で、例えば、10質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってよく、30質量%以下、27質量%以下又は25質量%以下であってよい。可塑剤の含有量がこれらの範囲にあると、ラップフィルムの可塑性が適度に向上するため、銀及び銅系抗ウィルス剤等がラップフィルム中に均一に取り込まれやすくなり、優れた製膜性が得られる。また、可塑剤の含有量が上記の範囲にあると、銀及び銅系抗ウィルス剤がラップフィルムの表面に露出しにくくなって凹凸が形成されにくくなるため、良好な粘着力を得ることができる。
【0037】
(グリセリン系防曇剤)
ラップフィルムは、グリセリン系防曇剤を更に含有してよい。グリセリン系防曇剤は、優れた透明性を得る観点から、グリセリン及び炭素数8~22の脂肪酸に由来するエステル構造を有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含んでよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が8~22であると、ラップフィルムの抗ウィルス性が更に向上する。脂肪酸の炭素数は、10以上又は12以上であってもよく、20以下又は18以下であってもよい。
【0038】
脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であってよい。飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸が挙げられる。不飽和脂肪酸としては、例えば、ミリストレイン酸、パルミトイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エイコセン酸等のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ピノレン酸等のトリ不飽和脂肪酸;及びアラキドン酸等のテトラ不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0039】
グリセリン系防曇剤は、優れた透明性を得る観点から、下記式(1)で表されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含んでよい。
【化1】
式(1)中、Rは、炭素数7~21の1価の脂肪族炭化水素基を示し、nは1~4の数を示す。
【0040】
グリセリン系防曇剤が式(1)で表されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含むと、ラップフィルムの抗ウィルス性が更に向上する。脂肪族炭化水素基は、上述の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基である。脂肪族炭化水素基の炭素数は、9以上又は11以上であってもよく、19以下又は17以下であってもよい。Rは、炭素数7~13の飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素数8~21の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。
【0041】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンモノカプリレート、ジグリセリンモノカプレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリスチレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノリノレート、ジグリセリンモノエルケート等のジグリセリン脂肪酸エステル;トリグリセリンモノカプリレート、トリグリセリンモノカプレート、トリグリセリンモノラウレート、トリグリセリンモノミリスチレート、トリグリセリンモノオレート、トリグリセリンモノリノレート、トリグリセリンモノエルケート等のトリグリセリン脂肪酸エステル;テトラグリセリンモノカプリレート、テトラグリセリンモノカプレート、テトラグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノミリスチレート、テトラグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノリノレート、テトラグリセリンモノエルケート等のテトラグリセリン脂肪酸エステル;ペンタグリセリンモノカプリレート、ペンタグリセリンモノカプレート、ペンタグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリンモノミリスチレート、ペンタグリセリンモノオレート、ペンタグリセリンモノリノレート、ペンタグリセリンモノエルケート等のペンタグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0042】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ラップフィルムの抗ウィルス性をより向上する観点から、ジグリセリンモノラウレート、トリグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノラウレート、及びペンタグリセリンモノラウレートから選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0043】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、ラップフィルムの抗ウィルス性をより向上する観点から、ラップフィルムの全量基準で、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよく、ラップフィルムの透明性をより向上する観点から、2.0質量%以下、1.5質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。
【0044】
グリセリン系防曇剤は、モノグリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルを更に含んでもよい。モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、及びモノグリセリンリノレートが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンラウレート及びソルビタンステアレートが挙げられる。
【0045】
グリセリン系防曇剤の総量は、ラップフィルムの粘着性の観点から、ラップフィルムの全量基準で、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、ラップフィルムの寸法安定性及び引出性の観点から、2.5質量%以下、2.0質量%以下、又は1.5質量%以下であってよい。
【0046】
(安定剤)
ラップフィルムは、安定剤(熱安定剤又は光安定剤)を更に含有してよい。安定剤は、例えば、Ca/Zn系安定剤であってよい。Ca/Zn安定剤は、カルシウムの脂肪酸塩と亜鉛の脂肪酸塩との混合物である。当該脂肪酸としては、例えば、ベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、及びリシノール酸が挙げられる。
【0047】
安定剤の含有量は、ラップフィルム全量基準で、例えば、0.1質量%以上又は0.5質量%以上であってよく、5質量%以下又は3質量%以下であってよい。
【0048】
(その他の成分)
ラップフィルムは、グリセリン系防曇剤、可塑剤及び安定剤(熱安定剤又は光安定剤)以外のその他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、着色剤、滑剤、充填剤、プレートアウト防止剤、抗酸化剤、離型剤、粘度低下剤、界面活性剤、蛍光剤、表面処理剤、架橋剤、加工助剤、粘着剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤が挙げられる。ラップフィルムがその他の成分を含有する場合、その他の成分の含有量(合計の含有量)は、ラップフィルム全量基準で、例えば、1質量%以上であってよく、30質量%以下であってよい。
【0049】
着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン(銅フタロシアニンブルー)、ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)等の青色着色剤、キナクリドンレッド等の赤色着色剤、o-ニトロアニリンとアセトアセトアニリドとの混合物、4-クロロ-2-ニトロアニリンとアセトアセトアニリドとの混合物等の黄色着色剤、α-ニトロソ-β-ナフトール鉄錯体等の緑色着色剤、及びキナクリドンバイオレット等の紫色着色剤が挙げられる。着色剤は、これらの着色剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
【0050】
ラップフィルムは、熱可塑性樹脂と、銀及び銅系抗ウィルス剤と、を含有する層の一層のみからなっていてもよく、複数の層からなっていてもよい。ラップフィルムが複数の層からなる場合、熱可塑性樹脂並びに銀及び銅系抗ウィルス剤のそれぞれは、いずれの層に含まれていてもよく、互いに同一の層に含まれていてもよく、互いに異なる層に含まれていてもよい。
【0051】
ラップフィルムが複数の層からなる場合、ラップフィルムは、例えば、第1の表面層と中間層と第2の表面層とをこの順に備えていてよい。この場合、例えば、第1及び第2の表面層は熱可塑性樹脂、銀及び銅系抗ウィルス剤並びに必要に応じて添加されるその他の成分を含有し、中間層は熱可塑性樹脂及び必要に応じて添加されるその他の成分を含有していてよい。ラップフィルムは、例えば、各層間の接着性を向上させるために、酸変性ポリオレフィン樹脂等を含有する接着層を更に備えていてもよく、ラップフィルムの耐熱性を向上させるために、ポリアミド系樹脂を含有する耐熱層を更に備えていてもよい。
【0052】
ラップフィルムの厚さは、作業性と強度の観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、更に好ましくは8μm以下であってよく、また、食品を外気から効率良く遮断する観点から、好ましくは4μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは6μm以上であってよい。
【0053】
ラップフィルムの全光線透過率は、視認性に優れる観点から、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上であり、例えば90%以下であってよい。全光線透過率は、JIS K7361-1に準じて入射光量及び全透過光量を測定し、全光線透過率=(全透過光量)/(入射光量)×100として算出できる。
【0054】
ラップフィルムは、例えば次のようにして製造することができる。まず、熱可塑性樹脂並びに銀及び銅系抗ウィルス剤と、必要に応じて上述の着色剤及びその他の成分とを、V型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機により混合する。次に、得られた混合物を、必要に応じてミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダ等の混練機により混練して組成物を得る。さらに、得られた組成物を例えば押出成形してラップフィルムが得られる。より具体的には、上記組成物を押出機のホッパーに供給し、インフレーション法、Tダイ法等を用いることで、目的とするラップフィルムが得られる。
【0055】
ラップフィルムが複数の層からなる場合、ラップフィルムは、各層の構成原料を、それぞれ別々の押出機に投入して溶融押出し、インフレーション法、Tダイ法等により各層を共押出して積層することにより得られる。この際、Tダイより押出した溶融物をそのまま、キャスティングロール等で急冷しながら引き取るようにしてラップフィルムを形成することが好ましい。
【0056】
このようにして得られたラップフィルムに対して、熱収縮率、自然収縮率等の軽減;幅収縮の発生の抑制;などの目的に応じて、加熱ロール間での縦延伸、各種の熱固定、エージング等の熱処理を行ってもよく、防曇性、帯電防止性、粘着性等を向上させる目的で、コロナ処理;熟成処理;印刷、コーティング等の表面処理;表面加工;などを行ってもよい。
【0057】
[ラップフィルム収容体]
ラップフィルムは、例えば、長尺上に成形されて巻き取られた後に、20m、50m等の所望の長さごとに更に巻き替えられ(巻回され)、箱体に詰められることで製品とされる。すなわち、本実施形態におけるラップフィルムは、巻芯に巻回されたラップフィルムの形態であってもよく、箱体に収容されたラップフィルムの形態であってもよい。
【0058】
図1は、一実施形態に係るラップフィルム収容体を示す斜視図である。
図1に示すように、一実施形態に係るラップフィルム収容体1は、ラップフィルム2と、ラップフィルムが巻回された巻芯3と、ラップフィルム2及び巻芯3を収容する箱体4とを備えている。箱体4には、ラップフィルム2を切断するための刃部5が設けられていてよい。巻芯3及び箱体4の材質は、特に限定されない。ラップフィルムの色を外部から認識し易い観点から、箱体4の少なくとも一部は、好ましくは透明であるか、箱としての機能を損なわない程度に穴が開いており、外部から内部を視認可能になっている。
【0059】
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、ロールの形で供給されうるものをいい(必要であれば、日本工業規格JIS K6900を参照できる)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本実施形態において文言上両者を区別する必要がないので、本明細書においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。また、「フィルム」は、上記の定義のうちでも特にラップフィルムを含む概念である。
【実施例0060】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0061】
(1)樹脂組成物の調製
以下の材料を表1に示す配合量(質量%)でスーパーミキサーに投入した後、攪拌しながら材料温度を常温から130℃まで昇温し、混合して実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。
熱可塑性樹脂:ポリ塩化ビニル系樹脂
銀及び銅系抗ウィルス剤:ゼオライト‐銀及び銅系抗菌・抗ウィルス剤(株式会社シナネンゼオミック製、「ゼオミック AC10D」)
銀含有添加剤:リン酸ジルコニウム‐銀系抗菌剤(東亞合成株式会社製、「ノバロン AG300」)
可塑剤1:アジピン酸ジイソノニル
可塑剤2:エポキシ化大豆油
グリセリン系防曇剤1:グリセリンモノオレエート(理研ビタミン株式会社製、「XO-100」)
グリセリン系防曇剤2:ジグリセリンモノラウレート(理研ビタミン株式会社製、「ポエム DL-100)
安定剤:Ca/Zn系安定剤
【0062】
(2)ラップフィルムの作製
70℃まで冷却させた樹脂組成物を、Tダイ(幅350mm、ギャップ0.4mm)を装着した直径40mm単軸押出機(L/D=20)にて、樹脂組成物の温度が200℃となる状態で押出し、厚み8.0μmのラップフィルムを作製した。
【0063】
(3)評価
各実施例及び比較例における樹脂組成物及びラップフィルムの評価結果を表1に示す。
【0064】
(対フィルム粘着力)
対フィルム粘着性はストログラフ(東洋精機製作所、E3-L)を用いて評価した。縦18cm、横25cmのステンレス板にフィルムをシワなく広げローラーで加重をかけた後、ステンレス板に沿ってフィルムを貼り付けた。ステンレス板に沿って切り出したフィルムの上にもう一枚のフィルムをステンレス板に沿って切り取り、上記と同様にローラーで加重をかけることでフィルムと同士を貼り付けた。フィルム同士を貼り付けたサンプルをストログラフに取り付け、温度23±2℃、湿度55±15%の室内環境下で500mm/min、180度の角度で剥離させることによりフィルム粘着性測定を行った。上記の測定を3回繰り返し、平均値を実測値とした。
A:対フィルムの粘着力が6.0cN以上あった。
B:対フィルムの粘着力が6.0cN未満であった。
【0065】
(製膜性)
Tダイ押出機にて、上述した樹脂組成物を温度200℃で押出してラップフィルムの成形を行い、得られたラップフィルムの外観を観察することで製膜性を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
A:ほぼ均一の厚みのラップフィルムが得られ、24時間の押出でヤケが発生しなかった。
B:ラップフィルムの厚みにわずかにむらが見られ、24時間の押出でヤケが発生した。
【0066】
(透明性)
透明性は、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH 5000)を用いて、ラップフィルムのヘーズ(曇度)を測定することで評価した。NDH-5000用標準板(曇度11.35、H51-28491)を使用して標準校正を行った後、曇り度冶具にラップフィルムをシワ無く取り付けて、ヘーズの測定を行った。ラップフィルムの測定場所を変えて、同じ測定を3回行い、ヘーズの平均値を算出した。
A:ラップフィルムのヘーズの平均値が4.0以下であった。
B:ラップフィルムのヘーズの平均値が4.0超であった。
【0067】
(インフルエンザA型ウィルスに対する抗ウィルス性)
抗ウィルス性は、インフルエンザA型ウィルスを用い、ISO 21702に準拠して評価した。ラップフィルムのウィルス感染価を測定することで、抗ウィルス活性値を算出した。
A:ラップフィルムの抗ウィルス活性値が2.0以上であった。
B:ラップフィルムの抗ウィルス活性値が2.0未満であった。
【0068】
(ネコカリシウィルスに対する抗ウィルス性)
抗ウィルス性は、ネコカリシウィルスを用い、ISO 21702に準拠して評価した。ラップフィルムのウィルス感染価を測定することで、抗ウィルス活性値を算出した。
A:ラップフィルムの抗ウィルス活性値が2.0以上であった。
B:ラップフィルムの抗ウィルス活性値が2.0未満であった。
【0069】
下表に示すとおり、実施例1及び実施例2のフィルムでは、インフルエンザA型ウィルス及びネコカリシウィルスに対する抗ウィルス性がいずれもAであり、抗ウィルス性に優れていた。一方で比較例1~3のフィルムでは、インフルエンザA型ウィルス及びネコカリシウィルスの少なくとも一方に対する抗ウィルス性がBであり、良好な抗ウィルス性が得られなかった。
【0070】