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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056349
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】運動支援装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/16 20060101AFI20240416BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240416BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A63B23/16
G06F3/01 510
A63B24/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163151
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】519259559
【氏名又は名称】医療法人社団のう救会
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】郭 水泳
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 直人
(72)【発明者】
【氏名】宿久 創
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA27
5E555AA76
5E555BA02
5E555BA38
5E555BA86
5E555BB02
5E555BB38
5E555BC08
5E555BE08
5E555BE17
5E555CA42
5E555CB66
5E555CC22
5E555DA08
5E555DB32
5E555DC19
5E555DC84
5E555DD06
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】リハビリ効果の向上を期待することができる運動支援装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】身体を撮影する撮影部10と、撮影部10によって撮影された撮影画像に基づいて、身体を表す3次元画像を生成し、その身体を表す3次元画像を表示させる制御部13とを備え、制御部13が、身体の動きに追随させて3次元画像を動かして表示させるとともに、追随させて表示させる過程において、身体の動きとは異なる動きで3次元画像を動かして表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の動きを検出する検出部と、
前記検出部によって検出された身体の動きに基づいて、前記身体を表す3次元画像を生成し、前記身体を表す3次元画像を表示させる制御部とを備え、
前記制御部が、前記身体の動きに追随させて前記3次元画像を動かして表示させるとともに、前記追随させて表示させる過程において、前記身体の動きとは異なる動きで前記3次元画像を動かして表示させる運動支援装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記身体の動きよりも前記3次元画像の動きを進めて表示させる請求項1記載の運動支援装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記身体の動きよりも前記3次元画像の動きを遅らせて表示させる請求項1記載の運動支援装置。
【請求項4】
前記検出部が、検出対象として手を検出し、
前記制御部が、前記手によって把持される把持対象物を前記手の3次元画像とともに表示させる請求項1から3いずれか1項記載の運動支援装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記把持対象物の初期位置と前記把持対象物を移動させた後の目標位置とを設定可能である請求項4記載の運動支援装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記初期位置と前記目標位置を設定可能な画面を、前記3次元画像と同じ表示空間に表示させる請求項5記載の運動支援装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記把持対象物の変更を受け付ける請求項4記載の運動支援装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記把持対象物の変更を受け付ける画面を、前記3次元画像と同じ表示空間に表示させる請求項7記載の運動支援装置。
【請求項9】
前記制御部が、仮想現実空間内に前記3次元画像を表示させる請求項1記載の運動支援装置。
【請求項10】
前記検出部が、前記身体を撮影することによって前記身体の動きを検出する請求項1記載の運動支援装置。
【請求項11】
身体の動きを検出するステップと、
前記検出した身体の動きに基づいて、前記身体を表す3次元画像を生成するステップと、
前記3次元画像を表示させるステップとをコンピュータに実行させる運動支援プログラムであって、
前記3次元画像を表示させるステップにおいて、前記身体の動きに追随させて前記3次元画像を動かして表示させるとともに、前記追随させて表示させる過程において、前記身体の動きとは異なる動きで前記3次元画像を動かして表示させる運動支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手など身体の一部が麻痺している患者の運動を支援するための運動支援装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手など身体の一部が麻痺している患者に対して、いわゆるヘッドマウントディスプレイを装着させ、そのヘッドマウントディスプレイに所定の3次元画像を表示させることによって、患者のリハビリを行う方法が提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1および特許文献2には、予め準備された手の運動モデルの画像をヘッドマウントディスプレイにAR(Augmented Reality)表示させることが提案されている。
【0004】
そして、特許文献1および特許文献2では、ヘッドマウントディスプレイの装着者の手に運動モデルの画像を重ね合わせて装着者に視認させることによって、運動モデルの画像が自分の手であると錯覚させ、協調運動訓練を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-12264号公報
【特許文献2】特開2017-18519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の方法では、手の運動モデルの動きは、実際の手の動きとは連動しておらず、障害のある手の上で、実際の手の動きとは無関係に動く(運動する)だけなので、運動モデルの画像が自分の手であると錯覚し難く、リハビリ効果が薄い。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、リハビリ効果の向上を期待することができる運動支援装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の運動支援装置は、身体の動きを検出する検出部と、検出部によって検出された身体の動きに基づいて、身体を表す3次元画像を生成し、身体を表す3次元画像を表示させる制御部とを備え、制御部が、身体の動きに追随させて3次元画像を動かして表示させるとともに、追随させて表示させる過程において、身体の動きとは異なる動きで3次元画像を動かして表示させる。
【0009】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、身体の動きよりも3次元画像の動きを進めて表示させることができる。
【0010】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、身体の動きよりも3次元画像の動きを遅らせて表示させることができる。
【0011】
また、本発明の運動支援装置において、検出部は、検出対象として手を検出し、制御部は、手によって把持される把持対象物を手の3次元画像とともに表示させることができる。
【0012】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、把持対象物の初期位置と把持対象物を移動させた後の目標位置とを設定可能とすることができる。
【0013】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、初期位置と目標位置を設定可能な画面を、3次元画像と同じ表示空間に表示させることができる。
【0014】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、把持対象物の変更を受け付けることができる。
【0015】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、把持対象物の変更を受け付ける画面を、3次元画像と同じ表示空間に表示させることができる。
【0016】
また、本発明の運動支援装置において、制御部は、仮想現実空間内に3次元画像を表示させることができる。
【0017】
また、本発明の運動支援装置において、検出部は、身体を撮影することによって身体の動きを検出することができる。
【0018】
本発明の運動支援プログラムは、身体の動きを検出するステップと、検出した身体の動きに基づいて、身体を表す3次元画像を生成するステップと、3次元画像を表示させるステップとをコンピュータに実行させる運動支援プログラムであって、3次元画像を表示させるステップにおいて、身体の動きに追随させて3次元画像を動かして表示させるとともに、追随させて表示させる過程において、身体の動きとは異なる動きで3次元画像を動かして表示させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の運動支援装置によれば、身体の動きに追随させて3次元画像を動かして表示させるとともに、追随させて表示させる過程において、身体の動きとは異なる動きで3次元画像を動かして表示させるようにしたので、リハビリ効果の向上を期待することができる。なお、本発明における3次元画像の動かし方については、後で詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の運動支援装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図
図2】アシスト設定画面の一例を示す図
図3】アシスト動作開始時に表示される3次元画像の一例を示す図
図4】把持対象物選択画面の一例を示す図
図5】把持対象物位置設定画面の一例を示す図
図6】移動途中の手の3次元画像および把持対象物の表示例を示す図
図7】実際の手の動きよりも手の3次元画像の動きを進めて表示させる場合の演算処理の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の運動支援装置の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態の運動支援装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態の運動支援装置1は、いわゆるスタンドアローン型のVR(Virtual Reality)ゴーグル装置(以下、単にVRゴーグルという)を用いた装置であり、身体(たとえば手)を撮影した撮影画像に基づいて、その身体の3次元画像を生成して仮想現実空間に表示させるとともに、その3次元画像を身体の実際の動きに追随させて動かして表示させる。そして、身体の実際の動きに追随させて3次元画像を動かして表示する過程において、実際の身体の動きとは異なる動きで表示させる装置である。
【0023】
本実施形態の運動支援装置1は、図1に示すように、撮影部10と、表示部11と、コントローラ部12と、制御部13とを備えている。
【0024】
撮影部10は、たとえばゴーグルの前面に設けられ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサや光学系などを備えている。なお、本実施形態においては、撮影部10が、本発明の検出部に相当する。
【0025】
表示部11は、VRゴーグルの内側(装着者側)に設けられ、立体視される右目用画像と左目用画像を表示させるものであり、液晶ディスプレイやピント調整機能を有する光学系などを備えている。
【0026】
コントローラ部12は、たとえば加速度センサなどを有し、ユーザが、コントローラ部12を動かすことによって、所定の操作指示を受け付ける。
【0027】
なお、撮影部10、表示部11およびコントローラ部12の構成としては、既に公知なVRゴーグルの構成を採用することができ、上記の構成に限定されるものではない。
【0028】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、半導体メモリ、ハードディスクおよび通信I/Fなどを備え、VRゴーグル全体を制御する。特に、本実施形態の制御部13は、撮影部10によって撮影された身体の撮影画像に基づいて、身体を表す3次元画像を生成するとともに、その身体を表す3次元画像を表示部11に表示させる。そして、本実施形態の制御部13は、身体の動きに追随させて3次元画像を動かして表示させるとともに、その追随させて表示させる過程において、実際の身体の動きとは異なる動きで3次元画像を動かして表示させる。制御部13による身体の3次元画像の表示方法については、後で詳述する。
【0029】
制御部13の半導体メモリまたはハードディスクには、本発明の運動支援プログラムの一実施形態がインストールされている。制御部13が備えるCPUによって上記運動支援プログラムが実行されることによって、上記各部の機能が実現される。なお、本実施形態においては、上記各部の機能を、運動支援プログラムによって実現するようにしたが、これに限らず、一部または全部の機能をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他の電気回路などのハードウェアから構成するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態の運動支援装置1の処理について、図面を参照しながら説明する。まず、本実施形態の運動支援装置1の基本的な処理の流れについて説明する。なお、ここでは身体の手の運動支援を行う場合について説明する。
【0031】
まず、運動支援装置1を起動し、コントローラ部12を用いて所定の操作を行うことによって、制御部13は、図2に示すアシスト設定画面を表示する。アシスト設定画面においては、アシスト対象(運動支援対象)が「右手」であるのか、「左手」であるのかを選択するアシスト対象選択欄S1およびアシスト強度を設定するアシスト強度設定欄S2が表示され、それぞれ設定される。これらの設定入力は、コントローラ部12を操作することによって行われるが、コントローラ部12は、たとえばVRゴーグルの装着者とは異なる運動支援者(たとえば理学療法士など)によって操作される。
【0032】
また、図2に示すアシスト設定画面には、測定ボタンMおよびアシストボタンAが表示される。コントローラ部12を用いて測定ボタンMが選択されると、現在の手の位置の測定が開始され、その後、アシストボタンAが選択されると、運動支援装置1によるアシスト動作が開始される。現在の手の位置の測定については、VRゴーグルの撮影部10によってアシスト対象の手を撮影することによって行われる。
【0033】
図3は、アシスト動作開始時において、VRゴーグルの表示部11によって表示される3次元画像の一例を示す図である。図3に示す3次元画像が、VRゴーグルの装着者によって立体視される。
【0034】
図3に示すように、制御部13は、撮影部10によって撮影された手の撮影画像に基づいて、手の3次元画像Hを生成し、仮想現実空間内に表示させる。仮想現実空間には予め記憶された背景の3次元画像が表示される。
【0035】
そして、制御部13は、把持対象物の3次元画像OB(以下、単に把持対象物OBという)を生成し、仮想現実空間内において、手の3次元画像Hとともに表示させる。把持対象物OBは、VRゴーグルの装着者の手の運動を支援するために用いられるものであり、予め設定された形状および大きさで表示される。
【0036】
図3に示す例では、球体の把持対象物OBが表示されているが、これに限らず、変更が可能である。たとえば、制御部13が、コントローラ部12の操作に応じて図4に示すような把持対象物選択画面を表示させる。把持対象物選択画面においては、図4に示すように、種々の把持対象物とその大きさを5段階で選択可能である。これにより、リハビリの目的などに応じて種々の把持対象物を容易に選択することができる。
【0037】
また、把持対象物OBは、後述する運動支援の過程において、仮想現実空間内における所定の開始位置から終了位置まで装着者によって移動させられるものであるが、アシスト動作開始時は、開始位置に表示される。把持対象物OBの仮想現実空間内における開始位置および終了位置は任意に予め設定される。たとえば、制御部13が、コントローラ部12の操作に応じて図5に示すような把持対象物位置設定画面を表示させる。図5に示すように、把持対象物位置設定画面においては、把持対象物OBの開始位置(初期位置)および終了位置(目標位置)の仮想現実空間内の座標系における縦、横および高さが設定入力可能に表示される。そして、たとえば運動支援者が、コントローラ部12を用いて、各座標を設定入力する。これにより、リハビリの目的などに応じて種々の開始位置および終了位置を容易に設定することができる。
【0038】
そして、図3に示すように装着者の手の3次元画像Hと把持対象物OBが表示されている状態において、運動支援者が、装着者に対して把持対象物OBを握って、開始位置から終了位置まで移動させるように促す。
【0039】
装着者は、運動支援者の指導に応じて実際に手を動かし、仮想現実空間内に表示された把持対象物OBを握って開始位置から終了位置まで移動させる。制御部13は、撮影部10によって撮影される手の撮影画像に基づいて、装着者の実際の手の動きに追随して手の3次元画像Hを順次生成して表示させる。また、制御部13は、手の3次元画像Hが把持対象物OBを握った後は、手の3次元画像Hの仮想現実空間内における移動に応じて、把持対象物OBも移動させる。図6は、移動途中の手の3次元画像Hおよび把持対象物OBの表示例を示す図である。図6に示すように、把持対象物OBの移動先である終了位置(目標位置)が、円のマークSMで3次元表示され、装着者は、円のマークSMの内側に把持対象物OBが配置されるように、手を動かしていく。そして、制御部13は、図6に示す円のマークSM内に把持対象物OBが置かれた時点で、運動支援処理を終了する。
【0040】
運動支援処理を終了した際、制御部13は、目標を達成したことを祝う「Congratulations!」などのメッセージを表示させたり、花火の画像などを表示させるようにしてもよい。
【0041】
ここで、上述したように仮想現実空間内において、装着者が、実際に手を動かして把持対象物OBを握る際、本実施形態では、より高いリハビリ効果を得るため、実際の手の動きと手の3次元画像Hの動きとを異なる動きとする。
【0042】
具体的には、制御部13は、装着者の実際の手の指は、把持対象物OBを掴んでいない状態(把持対象物OBの位置まで到達していない状態)であるが、手の3次元画像Hについては、実際の手の指の動きよりも進めて表示させ、把持対象物OBを掴んでいる状態で表示させる。このように、実際の装着者の手の動きよりも、手の3次元画像Hの動きを進めて表示させることによって、装着者の脳は、手の指が把持対象物OBを掴む位置まで動いたと錯覚する。この脳の錯覚効果により、手の麻痺などに対して高いリハビリ効果を期待できる。
【0043】
ここで、上述したように実際の装着者の手の動きよりも、手の3次元画像Hの動きを進めて表示させる方法について、具体的に説明する。
【0044】
制御部13は、手の3次元画像Hを動かして表示する際、手の撮影画像に基づいて、指の関節を検出し、その関節で自然な方向および角度に曲がるように3次元画像Hを生成する。関節としては、親指の第1関節および第2関節、並びに人差し指、中指、薬指および小指の第1関節、第2関節および第3関節を検出する。
【0045】
そして、上述したように実際の装着者の手の動きよりも、手の3次元画像Hの動きを進めて表示させる場合、実際の指の関節が自然な状態(力を入れて曲げていない状態)のときの指の位置と関節を意図的に曲げたときの現在の指の位置とに基づいて、3次元画像Hの指の位置を算出する。具体的には、図7に示すように自然な状態のときの実際の指の位置P1と指を意図的に曲げたときの現在の位置P2とが成す角をθとすると、指の3次元画像Hの位置を示すθ’を下式に基づいて算出する。
θ’=θ×k
【0046】
kは、任意の係数であって、予め設定される値である。kは、上述した関節毎に異なる値に設定してもよい。また、kは、図2に示すアシスト設定画面において設定されるアシスト強度の数値に応じて大きさを変更するようにしてもよい。
【0047】
また、上記説明では、実際の装着者の手の動きよりも、手の3次元画像Hの動きを進めて表示させる場合について説明したが、逆に、実際の装着者の手の動きよりも、手の3次元画像Hの動きを遅らせて表示させるようにしてもよい。この場合、制御部13は、装着者の実際の手の指は、把持対象物OBを掴む位置まで動いているが、手の3次元画像Hについては、実際の手の指の動きよりも遅らせて表示させ、把持対象物OBをまだ掴んでいない状態で表示させる。このように、実際の装着者の手の動きよりも、手の3次元画像Hの動きを遅らせて表示させることによって、装着者は、把持対象物OBを掴むために、手の指をより強い力で動かそうとするので、高いリハビリ効果を期待できる。
【0048】
また、上記実施形態では、身体の手を撮影し、手の3次元画像Hを仮想現実空間内に表示させて運動支援を行う例について説明したが、撮影対象は手に限らず、脚など身体のその他の部位でもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、図2に示すアシスト設定画面、図4に示す把持対象物選択画面および図5に示す把持対象物位置設定画面において、コントローラ部12を用いて設定入力するようにしたが、これに限らず、たとえばVRゴーグルに、装着者の視線を検出する視線検出部を設け、その視線検出部によって検出された視線に基づいて、設定入力するようにしてもよい。
【0050】
たとえば図2に示すアシスト設定画面においては、視線が向く方向によって「右手」または「左手」を選択可能としたり、視線が向く方向によって測定ボタンMやアシストボタンAを選択可能としたりしてもよい。
【0051】
また、図4に示す把持対象物選択画面においては、視線が向く方向によって把持対象物OBの種類および大きさを選択可能としてもよい。また、図5に示す把持対象物位置設定画面においては、視線が向く方向によって「開始(縦)」、「開始(横)」、「開始(高さ)」、「終了(縦)」、「終了(横)」または「終了(高さ)」を選択可能とし、視線が同じ位置に留まる時間に応じて、各座標値を増加させて設定可能としてもよい。
【0052】
また、仮想現実空間内の所定の位置に視線が向いた際に、アシスト設定画面、把持対象物選択画面および把持対象物位置設定画面などのような設定画面を表示させるようにしてもよい。
【0053】
なお、視線検出部としては、たとえば装着者の眼を撮影する赤外線カメラを用いることができる。そして、制御部13は、たとえば眼の目頭を検出して基準点とし、虹彩を動点として、これらの位置関係から視線の向きを検出する。または、角膜反射を基準点とし、瞳孔を動点として、これらの位置関係から視線の向きを検出するようにしてもよい。視線検出の方法としては、既に公知な技術を採用することができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、VRゴーグルの撮影部10によって手を撮影することによって手の動きを検出するようにしたが、これに限らず、たとえば装着者の手(指)に加速度センサなどを設け、その加速度センサの検出結果に基づいて、装着者の手の動きを検出するようにしてもよい。この場合、手の各関節の動きが分かるように加速度センサを関節毎に設けることが好ましい。
【0055】
また、運動支援装置1を用いてリハビリを行った履歴を制御部13に保存しておき、必要に応じて読み出して表示するようにしてもよい。リハビリ履歴としては、たとえばリハビリを行った装着者を特定する情報、リハビリを行った日付、リハビリを行った結果(把持対象物OBを開始位置から終了位置まで移動させることができたか否か)、実際に指をどこまで(自然な位置から何度まで)動かすことができたかなどの運動結果の情報を保存するようにすればよい。
【0056】
また、制御部13が、装着者が、把持対象物OBを開始位置から終了位置まで移動させることができた場合には、その装着者に対してポイントを付与し、装着者毎(患者毎)のポイントを記憶して管理するようにしてもよい。そして、そのポイントを景品と交換したり、病院内での買い物に使用できるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、把持対象物OBおよび手の3次元画像HをVR表示するようにしたが、これに限らず、AR表示し、実際の手と手の3次元画像Hとを重ねて表示させるようにしてもよい。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
1 運動支援装置
10 撮影部
11 表示部
12 コントローラ部
13 制御部
A アシストボタン
H 手の3次元画像
M 測定ボタン
OB 把持対象物
S1 アシスト対象選択欄
S2 アシスト強度設定欄
SM 円のマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の動きを検出する検出部と、
前記検出部によって検出された身体の動きに基づいて、前記身体を表す3次元画像を生成し、前記身体を表す3次元画像を表示させる制御部とを備え、
前記制御部が、前記身体の動きに追随させて前記3次元画像を動かして表示させるとともに、前記追随させて表示させる過程において、前記身体の動きよりも前記3次元画像の動きを進めて表示させ、前記身体が第1の位置に到達した時に、該第1の位置よりも予め設定された動き量だけ進んだ第2の位置を算出し、該第2の位置に前記3次元画像を表示させる運動支援装置。
【請求項2】
身体の動きを検出する検出部と、
前記検出部によって検出された身体の動きに基づいて、前記身体を表す3次元画像を生成し、前記身体を表す3次元画像を表示させる制御部とを備え、
前記制御部が、前記身体の動きに追随させて前記3次元画像を動かして表示させるとともに、前記追随させて表示させる過程において、前記身体の動きよりも前記3次元画像の動きを遅らせて表示させ、前記身体が第1の位置に到達した時に、該第1の位置よりも予め設定された動き量だけ遅れた第2の位置を算出し、該第2の位置に前記3次元画像を表示させる運動支援装置。
【請求項3】
前記検出部が、検出対象として手を検出し、
前記制御部が、前記手によって把持される把持対象物を前記手の3次元画像とともに表示させ、前記手が前記把持対象物を掴んでいない前記第1の位置に到達した時に、前記手の3次元画像を前記第2の位置に表示させることによって、前記把持対象物を掴んでいる状態で表示させる請求項1記載の運動支援装置。
【請求項4】
前記検出部が、検出対象として手を検出し、
前記制御部が、前記手によって把持される把持対象物を前記手の3次元画像とともに表示させ、前記手が前記把持対象物を掴んでいる前記第1の位置に到達した時に、前記手の3次元画像を前記第2の位置に表示させることによって、前記把持対象物をまだ掴んでいない状態で表示させる請求項2記載の運動支援装置。
【請求項5】
前記検出部が、前記手の指の関節を検出し、
前記制御部が、前記検出した関節で自然な方向および角度で曲がるように前記手の3次元画像を生成する請求項3または4記載の運動支援装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記手の指の関節毎に前記動き量に応じた曲げる角度を算出し、該算出した角度に基づいて前記手の3次元画像を生成する請求項5記載の運動支援装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記手の指の関節毎に異なる前記角度を算出する請求項6記載の運動支援装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記把持対象物の初期位置と前記把持対象物を移動させた後の目標位置とを設定可能である請求項3または4記載の運動支援装置。
【請求項9】
前記制御部が、前記初期位置と前記目標位置を設定可能な画面を、前記3次元画像と同じ表示空間に表示させる請求項8記載の運動支援装置。
【請求項10】
前記制御部が、前記把持対象物の変更を受け付ける請求項3または4記載の運動支援装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記把持対象物の変更を受け付ける画面を、前記3次元画像と同じ表示空間に表示させる請求項10記載の運動支援装置。
【請求項12】
前記制御部が、仮想現実空間内に前記3次元画像を表示させる請求項1記載の運動支援装置。
【請求項13】
前記検出部が、前記身体を撮影することによって前記身体の動きを検出する請求項1記載の運動支援装置。
【請求項14】
身体の動きを検出するステップと、
前記検出した身体の動きに基づいて、前記身体を表す3次元画像を生成するステップと、
前記3次元画像を表示させるステップとをコンピュータに実行させる運動支援プログラムであって、
前記3次元画像を表示させるステップにおいて、前記身体の動きに追随させて前記3次元画像を動かして表示させるとともに、前記追随させて表示させる過程において、前記身体の動きよりも前記3次元画像の動きを進めて表示させ、前記身体が第1の位置に到達した時に、該第1の位置よりも予め設定された動き量だけ進んだ第2の位置を算出し、該第2の位置に前記3次元画像を表示させる運動支援プログラム。
【請求項15】
身体の動きを検出するステップと、
前記検出した身体の動きに基づいて、前記身体を表す3次元画像を生成するステップと、
前記3次元画像を表示させるステップとをコンピュータに実行させる運動支援プログラムであって、
前記3次元画像を表示させるステップにおいて、前記身体の動きに追随させて前記3次元画像を動かして表示させるとともに、前記追随させて表示させる過程において、前記身体の動きよりも前記3次元画像の動きを遅らせて表示させ、前記身体が第1の位置に到達した時に、該第1の位置よりも予め設定された動き量だけ遅れた第2の位置を算出し、該第2の位置に前記3次元画像を表示させる運動支援プログラム。