(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056355
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム。
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240416BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240416BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163162
(22)【出願日】2022-10-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)展示による公開、最先日:令和4年6月29日、展示会名:自治体・公共week、開催場所:東京ビックサイト東6ホール(東京都江東区有明3丁目11-1) (2)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年6月20日、https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61860870Q2A620C2MM8000/ (3)刊行物による公開、最先日:令和4年6月20日、日本経済新聞社、日本経済新聞、令和4年6月20日付朝刊 (4)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年8月18日、https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63521140X10C22A8TB1000/ (5)刊行物による公開、最先日:令和4年8月18日、日本経済新聞社、日本経済新聞、令和4年8月18日付朝刊 (6)刊行物による公開、最先日:令和3年12月11日、株式会社日経BP、日経Automotive、2022年1月号 (7)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年6月20日、https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/0620_1.pdf (8)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年6月20日、https://www.irric.co.jp/topics/press/2022/0620.php (9)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年6月20日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB142Z60U2A410C2000000/ (10)ウェブサイトによる公開、最先日:令和4年8月17日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF072UE0X00C22A8000000/ (11)集会による公開、最先日:令和4年6月13日、集会名:新居浜地域スマートシティ推進協議会との打合せ、開催場所:ワクリエ新居浜(愛媛県新居浜市新田町1丁目8-56)(他41件) (12)集会による公開、最先日:令和4年5月10日、集会名:住友EXPO2025技術集、開催場所:オンライン会議 (13)配布による公開、最先日:令和4年8月31日、佐川急便株式会社(k_sakurai010@sagawa-exp.co.jp)、(他1件)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (14)ウェブサイトによる公開、最先日:令和3年12月16日、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01878/00004/
(71)【出願人】
【識別番号】518167701
【氏名又は名称】MS&ADインターリスク総研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】蒲池 康浩
【テーマコード(参考)】
5H181
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB03
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181EE02
5H181EE15
5L010AA04
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】事故の履歴がない道路の区間や交差点においても事故の発生リスクを予測できる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の道路データを予測モデルに入力し、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する予測部113と、ユーザが使用する端末装置に、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる出力部114と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、前記事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の前記道路データを前記予測モデルに入力し、前記対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する予測部と、
ユーザが使用する端末装置に、前記1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける前記予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる出力部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記学習により得られた前記道路データを説明変数とし前記事故履歴データを目的変数とする前記予測モデルの回帰に基づいて、前記対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記入力データは、前記道路の少なくとも一部を含むエリアにおける単位領域あたりの人口を示す人流データをさらに含み、
前記予測部は、前記対象道路の前記人流データを前記予測モデルに入力して、前記対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記事故履歴データは、事故が発生した発生時間帯を含み、
前記予測モデルは、前記発生時間帯それぞれに対応する複数の発生時間帯別モデルを含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記複数の発生時間帯別モデルのそれぞれを用いて、発生時間帯別の前記リスクを予測し、
前記出力部は、前記端末装置からの前記ユーザの要求に応じて、前記発生時間帯別に前記リスク情報を出力させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記事故履歴データは、事故の1以上の当事者それぞれの年齢層を含み、
前記予測モデルは、前記当事者の年齢層それぞれに対応する複数の年齢層別モデルを含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記予測部は、前記複数の年齢層別モデルのそれぞれを用いて、前記年齢層別の前記リスクを予測し、
前記出力部は、前記端末装置からの前記ユーザの要求に応じて、前記年齢層別に前記リスク情報を出力させる、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記事故履歴データは、事故が車両対人によるものか、車両対車両によるものか、または車両単独によるものかのいずれかを示す事故類型を含み、
前記予測モデルは、前記事故類型それぞれに対応する複数の事故類型別モデルを含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記予測部は、前記複数の事故類型別モデルのそれぞれを用いて、前記事故類型別の前記リスクを予測し、
前記出力部は、前記端末装置からの前記ユーザの要求に応じて、前記事故類型別に前記リスク情報を出力させる、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記入力データは、道路を走行する車両に対して検知された危険運転の位置及び危険運転の種類を示す危険運転データをさらに含み、
前記予測部は、前記対象道路の前記危険運転データを前記予測モデルに入力して、前記対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが、
道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、前記事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の前記道路データを前記予測モデルに入力し、前記対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測し、
ユーザが使用する端末装置に、前記1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける前記予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる、
情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、前記事故履歴データのある道路に限定されない 対象道路の前記道路データを前記予測モデルに入力し、前記対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する予測機能と、
ユーザが使用する端末装置に、前記1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける前記予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる出力機能と、を実現させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の区間や交差点における事故のリスクを予測する技術が知られている。例えば、特許文献1には、道路の区間に関する道路区間データと当該区間の事故の履歴に関するデータとに基づいて、当該区間の事故のリスクを評価する情報処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、新設された道路等における事故が未だに発生していない区間や交差点、また、長い間事故が発生していない区間や交差点においても事故のリスクを把握したいというニーズがある。しかしながら、特許文献1の技術では、予測対象の道路の区間において事故の履歴が必要であるため、事故が発生していない区間や交差点においては、事故のリスクを予測させることができないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、事故の履歴がない道路の区間や交差点においても事故の発生リスクを予測できる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の道路データを予測モデルに入力し、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する予測部と、ユーザが使用する端末装置に、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる出力部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の道路データを予測モデルに入力し、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測し、ユーザが使用する端末装置に、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとする学習データにより学習された予測モデルを用いて、事故履歴データのある道路に限定されない 対象道路の道路データを予測モデルに入力し、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する予測機能と、ユーザが使用する端末装置に、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる出力機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、事故の履歴がない道路の区間や交差点においても事故の発生リスクを予測できる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る予測システムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る予測システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る予測システムのデータ構成の例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る予測システムの画面例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る予測システムの画面例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る予測システムの画面例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る予測システムの画面例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る予測システムの画面例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る予測システムの画面例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る予測システムの動作例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
<1.システム構成>
【0013】
図1を参照して、本実施形態に係る予測システム1のシステム構成例を説明する。
【0014】
予測システム1は、機械学習・深層学習の技術を用いて、道路の区間(リンク)や交差点(ノード)における事故のリスクを予測し、予測の結果を可視化するサービス(以下、「事故リスク予測サービス」ともいう)を提供するためのシステムである。
図1に示すように、予測システム1は、事故リスク予測サービスを提供する者が使用するサーバ装置100と、ユーザが使用する端末装置200と、を含む。サーバ装置100と端末装置200とは、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。また、サーバ装置100は、予測システム1とは異なるサードパーティシステム等の装置(以下、「外部装置」ともいう)とネットワークNを介して互いに通信可能に接続されていてもよい。
【0015】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network、IEEE802.11に準拠する通信(いわゆるWi-Fi(登録商標))を含む)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電力線通信ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0016】
サーバ装置100は、事故リスク予測サービスを提供するための情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラム(以下、「サーバプログラム」ともいう)を実行することにより、ユーザからの各種要求に応じて、予測した道路の区間や交差点における事故が発生するリスク(以下、「事故リスク」又は「事故のリスク」ともいう)に関する情報を提供するサーバ機能を実現する。サーバ装置100は、例えば、Webサーバとして、ユーザに対して、事故リスク予測サービスを提供するためのWebサイト(以下、「事故リスク予測サイト」ともいう)を提供してもよい。また、事故リスクは、例えば、事故が発生する確率(以下、「発生確率」ともいう)であってもよい。事故リスクの値(以下、「リスク値」ともいう)は、例えば、0.0~1.0の間の数値で示してもよいし、0~100(単位「%」)にスケーリングしてもよい。
【0017】
端末装置200は、ユーザが使用する情報処理装置であり、例えば、スマートフォンやラップトップ等の端末である。端末装置200は、所定のプログラム(以下、「ユーザプログラム」ともいう)を実行することにより、サーバ装置100と連携して予測した事故のリスクを画面に出力させるための情報(以下、「出力情報」ともいう)を送受信したり、出力情報に基づいて画面に事故リスクを出力させたり、ユーザからの各種要求の操作入力を受け付けたりする。本実施形態では、ユーザプログラムを汎用のWebブラウザとする例を説明するが、他の例として、予測システム1専用のアプリケーションプログラム(いわゆる、ネイティブアプリ等)であってもよい。ユーザは、例えば、Webブラウザを介して事故リスク予測サイトにアクセスし、事故リスク予測サイトの各画面を端末装置200に出力させてもよい。
【0018】
<2.概要>
【0019】
【0020】
(1)
図2に示すように、予測システム1では、サーバ装置100において、事故関連データを入力データとし、事故履歴データを正解データとする学習データにより、事故リスクを予測するためのモデル(以下、「予測モデル」ともいう)を学習させる。言い換えれば、予測システム1では、事故リスクを目的変数とし、事故関連データを、事故リスクを説明するための説明変数として予測モデルを学習させる。予測モデルは、例えば、対象とする道路の区間(以下、「対象区間」ともいう)の事故リスクを予測する道路区間モデルと、対象とする交差点(以下、「対象交差点」ともいう)の事故リスクを予測する交差点モデルとを含んでもよい。
【0021】
予測モデルは、例えば、(ア)事故類型別モデル、(イ)発生時間帯別モデル、(ウ)年齢層別モデルを含んでもよい。(ア)~(ウ)のモデルそれぞれの詳細については、後述する。
【0022】
事故関連データは、例えば、(ア)道路の構造(言い換えれば、道路の形状)及び/又は道路の属性を含む道路データ、(イ)道路における人流に関する人流データ、(ウ)プローブデータ、(エ)地形を含む地図データ等の少なくともいずれかを含んでもよい。(ア)~(エ)のデータそれぞれの詳細については、後述する。また、事故履歴データは、道路で発生した事故の履歴を示すデータである。事故履歴データの詳細についても後述する。また、ここでいう「道路」は、例えば、2以上の道路が交わる交差点を含むものであってもよい。
【0023】
上記構成によれば、事故リスクが高い地点の道路の構造や属性等の特徴を予測モデルが学習することができる。
【0024】
(2)次に、サーバ装置100は、端末装置200から受け付けたユーザの要求等に応じて、予測の対象とする道路(以下、「対象道路」ともいう)の事故関連データを予測モデルに入力し、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する。なお、対象区間については、例えば、道路ネットワークのリンクを単位長さ(例えば、100m等)ごとに区切って特定してもよい。また、対象道路は、事故履歴データのある道路に限定されない。言い換えると、対象道路は、事故履歴データのない道路であってもよい。事故履歴データのない道路とは、例えば、(a)新設された道路等のこれまで事故の発生していない道路、(b)これまでに事故が発生したことがある道路だが、この発生した事故の履歴が存在しない道路等であってもよい。
【0025】
(3)次に、サーバ装置100は、端末装置200から受け付けたユーザの要求等に応じて、対象道路の1以上の対象区間及び1以上の対象交差点それぞれについて、上記(2)で予測した事故リスクを示すリスク情報をそのリスク値に応じて色分けして端末装置200の画面の地図上に出力させる。
【0026】
上記構成のもと、予測システム1は、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路について、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測することができる。このため、予測システム1は、事故の履歴がない道路の区間や交差点においても事故の発生リスクを予測することができる。
【0027】
例えば、これまで危険な道路の区間や交差点の特定において実際に事故等が発生した区間や交差点が特定されるに過ぎず、事故の対策が事後になりがちであった。上記構成のもと、予測システム1は、実際に事故が発生していない道路の区間や交差点についてもその事故リスクを予測し、事前に事故の対策を講じることを支援することができる。
【0028】
<3.機能構成>
【0029】
図3を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。
図3に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0030】
[制御部]
【0031】
制御部110は、受付部111と、予測部113と、を備える。また、制御部110は、例えば、取得部112、及び/又は出力部114を備えてもよい。
【0032】
[受付部]
【0033】
受付部111は、端末装置200から、ユーザの各種要求を受け付ける。受付部111は、例えば、端末装置200から、特定の領域に対する事故リスクの予測の要求を受け付けてもよい。また、受付部111は、例えば、端末装置200から、
図5~10に示す画面を出力させるための要求を含む各種操作要求を受け付けてもよい。
【0034】
[取得部]
【0035】
取得部112は、外部装置から、事故関連データ及び/又は事故履歴データ等の各種データを取得する。
【0036】
ここで、
図4を参照して、事故関連データ及び事故履歴データのデータ構成の一例について説明する。
【0037】
図4に示すように、事故履歴データは、例えば、警察庁のオープンデータである交通事故統計情報であってもよい。事故履歴データは、例えば、所定期間(例えば、特定の時点からの過去2年間等)に発生した事故ごとの、事故発生日時、発生場所(例えば、緯度、及び経度等)、事故内容(例えば、車対車、又は車対人等)、事故発生場所(例えば、道路、又は交差点等)被害者の年齢帯等を含んでもよい。
【0038】
事故関連データは、例えば、地図データ、人流データ、道路データ、及び/又はプローブデータ等を含んでもよい。
【0039】
地図データは、例えば、国土地理院のオープンデータである土地利用データ、及び/又は地形に関する地形データを含んでもよい。地形データは、例えば、特定のエリアの標高、斜面傾斜、斜面方位等を含んでもよい。具体的には、地形データは、特定のエリアにおける単位領域ごと(例えば、250mメッシュごと)の統計値として、平均標高、最高標高、最低標高、最大傾斜角度、最大傾斜方向、最小傾斜角度、平均傾斜角度等を含んでもよい。地形データは、例えば、標高メッシュデータ等であってもよい。
【0040】
地図データは、例えば、POI(Point of Interest)に関するPOIデータを含んでもよい。POIデータは、例えば、特定の地点が、公官庁・団体・福祉、交通・運輸・倉庫、衣料・薬・保健衛生、不動産・賃貸・展示場、学校・趣味教室・図書館、飲食店、スポーツ・趣味娯楽・レジャー、自動車・オートバイ・自転車・ドライブ、販売・卸等のサービスに関する地点であることを示してもよい。また、POIデータは、例えば、これらの地点について業態ごと(例えば、理容・美容業、食料品・嗜好品、医療機関、コンビニエンスストア等)にまとめて示してもよい。
【0041】
人流データは、国勢調査データ等の統計データであってもよく、例えば、調査年度ごとの、地域毎の総人口、男女別及び/又は年齢別人口、世帯数等を含んでもよい。他の例として、人流データは、単位期間ごと(例えば、1時間ごと等)の、単位領域(例えば、500mメッシュ等)あたりのモバイル端末のGPSのログデータであってもよい。
【0042】
道路データは、デジタル道路地図であってもよく、例えば、道路の構造及び/又は道路の属性を含んでもよい。道路の構造は、例えば、交差点、交差点付近、一般単路、踏切、トンネル、橋、信号機有り/無し、右カーブ、左カーブ、直線等であってもよい。また、道路の属性は、例えば、道路表示種別、道路経路種別、道路管理者、道路幅員区分、バイパスフラグ(例えば、道路区間がバイパスであることを示す)、自動車専用道路フラグ(例えば、道路が自動車専用道路であることを示す)、通行禁止種別コード(例えば、道路区間の通行禁止の状態を示す)、一方通行種別コード(例えば、道路区間の一方通行の状態を示す)、車線数、ゾーン30エリア(例えば、道路区間がゾーン30エリアに含まれることを示す)、一時停止位置(例えば、一時停止が必要な位置を含むことを示す)、速度制限を示す速度規制情報等を含んでもよい。
【0043】
プローブデータは、車両に設置されたセンサ装置等から得られるデータであり、例えば、カーナビデータ及び/又はドライブレコーダデータ等である。プローブデータは、例えば、車両が特定の地点を通過した際の、通過時刻、緯度、経度、高度、通過速度、GPS精度、温度、気圧、及び/又は電波強度等を含んでもよい。プローブデータは、例えば、後述する危険運転データを含んでもよい。
【0044】
事故関連データは、例えば、気象情報、道路の死角を示す死角情報、道路の渋滞状況を示す渋滞情報、道路区間や交差点の路面状態を示す路面状態情報、及び/又は道路の通行規制を示す通行規制情報等を含んでもよい。
【0045】
[予測部]
【0046】
図3に戻って説明を続ける。予測部113は、学習データ(教師データ)により学習された予測モデルを用いて、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の道路データを予測モデルに入力し、この対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する。予測部113が事故のリスクを予測するタイミングは、例えば、
図5~10で示す事故リスク予測サイトの画面を出力する際に都度予測してもよいし、これらの画面の出力とは別に予め予測してもよい。後者においては、例えば、予測部113は予測の結果を示すリスク情報を記憶部130に記憶させておいて、出力部114が、記憶部130を参照して、リスク情報に基づいて、事故リスク予測サイトの画面を出力させてもよい。
【0047】
学習データは、例えば、道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを入力データとし、道路で発生した事故の履歴を示す事故履歴データを正解データとしてもよい。
【0048】
学習データの入力データ(以下、単に「入力データ」ともいう)は、例えば、人流データを含んでもよい。人流データは、例えば、道路の少なくとも一部を含むエリアにおける単位領域あたりの人口を示すデータである。
【0049】
予測部113は、例えば、学習により得られた道路データを説明変数とし事故履歴データを目的変数とする予測モデルの回帰に基づいて、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測してよい。このような構成によれば、道路の構造及び/又は道路の属性を含む道路データを用いて。事故が発生していない道路においても事故リスクを予測することができる。このため、例えば、構造及び/又は属性が類似する道路の事故の履歴により事故の履歴がない道路の事故リスクを予測することができる。
【0050】
入力データは、例えば、人流データを含んでもよい。予測部113は、例えば、対象道路の人流データを予測モデルに入力して、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測してもよい。このような構成によれば、予測部113は、対象区間や対象交差点における人の流れや動きをふまえて事故リスクを予測することができる。
【0051】
事故履歴データは、例えば、事故が発生した発生時間帯を含んでもよい。この発生時間帯は、例えば、朝の時間帯(例えば、7時~10時までの間(24時間制の表記とする。以下同じ))、昼の時間帯(例えば、10時~16時の間)、夕方の時間帯(例えば、16時~20時の間)、夜の時間帯(例えば、20時~7時までの間)と事故が発生した時間を時間帯で分類するものであってもよい。この場合、予測モデルは、例えば、発生時間帯それぞれに対応する複数の発生時間帯別モデルを含んでもよい。具体的には、予測モデルは、朝の時間帯の事故リスクを予測するモデル、昼の時間帯の事故リスクを予測するモデル、夕方の時間帯の事故リスクを予測するモデル、及び/又は夜の時間帯の事故リスクを予測するモデルを含んでもよい。また、予測モデルは、対象区間か対象交差点かでさらに分かれてもよい。例えば、発生時間帯を朝の時間帯とする場合、予測モデルは、朝の時間帯の対象区間における事故リスクを予測するモデルと、朝の時間帯の対象交差点における事故リスクを予測するモデルと、を含んでもよい。
【0052】
予測部113は、例えば、複数の発生時間帯別モデルのそれぞれを用いて、発生時間帯別の事故リスクを予測してもよい。また、予測部113は、例えば、複数の発生時間帯別モデルのそれぞれが予測した事故リスクのリスク値の統計値(例えば、合計値、平均値、中央値、又は最頻値等。以下同じ)を算出してもよい。対象区間や対象交差点において時間帯別に事故の発生の傾向が異なることが考えられる。具体的には、対象区間や対象交差点それぞれにおいて、朝の時間帯は事故の発生が多く、逆に昼の時間は事故の発生が少ない等の傾向がありうることが考えられる。このような構成によれば、対象区間や対象交差点における時間帯別の傾向をふまえて事故リスクを予測することができる。
【0053】
事故履歴データは、例えば、事故の1以上の当事者それぞれの年齢層を含んでもよい。年齢層は、例えば、若年層(例えば、20歳未満)、成年(20歳~70歳未満)、高齢者(70歳以上)と当事者の年齢を分類するものであってもよい。この場合、予測モデルは、この当事者の年齢層それぞれに対応する複数の年齢層別モデルを含んでもよい。具体的には、予測モデルは、若年層の事故リスクを予測するモデル、成年の事故リスクを予測するモデル、及び/又は高齢者の事故リスクを予測するモデルを含んでもよい。また、予測モデルは、上記の発生時間帯別の予測と同様に、対象区間か対象交差点かでさらに分かれてもよい。
【0054】
予測部113は、例えば、上記の複数の年齢層別モデルのそれぞれを用いて、年齢層別の事故リスクを予測してもよい。また、予測部113は、例えば、複数の年齢層別モデルのそれぞれが予測した事故リスクのリスク値の統計値を算出してもよい。例えば、対象区間や対象交差点において年齢層別に事故の発生の傾向が異なることが考えられる。具体的には、対象区間や対象交差点それぞれにおいて、若年層の事故の発生が多く、逆に高齢者の事故の発生が少ない等の傾向がありうることが考えられる。このような構成によれば、対象区間や対象交差点における年齢層別の傾向をふまえて事故リスクを予測することができる。
【0055】
上記の当事者の年齢層別に予測する予想モデルは、例えば、1以上の当事者それぞれが通行人か、車両を運転していた運転者かによってさらに分かれてもよい。具体的には、高齢者の通行人と成年の運転者の事故リスクを予測する場合、予測モデルは、通行人である高齢者の事故リスクを予測するモデルと、運転者である成年の事故リスクを予測するモデルとを含んでもよい。
【0056】
事故履歴データは、例えば、事故類型を含んでもよい。事故類型は、例えば、事故が車両対人によるものか、車両対車両によるものか、または車両単独によるものかのいずれかを示すものである。この場合、予測モデルは、事故類型それぞれに対応する複数の事故類型別モデルを含んでもよい。具体的には、予測モデルは、車両対人による事故のリスクを予測するモデル、車両対車両による事故のリスクを予測するモデル、及び/又は車両単独による事故のリスクを予測するモデルを含んでもよい。また、予測モデルは、上記の発生時間帯別の予測と同様に、対象区間か対象交差点かでさらに分かれてもよい。
【0057】
予測部113は、例えば、上記の複数の事故類型別モデルのそれぞれを用いて、事故類型別の事故リスクを予測してもよい。また、予測部113は、例えば、複数の事故類型別モデルのそれぞれが予測した事故リスクのリスク値の統計値を算出してもよい。例えば、対象区間や対象交差点において事故類型別に事故の発生の傾向が異なることが考えられる。具体的には、対象区間や対象交差点それぞれにおいて、車両対車両の事故の発生が多く、逆に車両対人の事故の発生が少ない等の傾向がありうることが考えられる。このような構成によれば、対象区間や対象交差点における事故類型別の傾向をふまえて事故リスクを予測することができる。
【0058】
入力データは、例えば、危険運転データを含んでもよい。危険運転データは、車両の危険な運転(以下、「危険運転」ともいう)に関するデータであり、例えば、道路を走行する車両に対して検知された危険運転の位置及び危険運転の種類を示す。この場合、予測部113は、例えば、対象道路の危険運転データを予測モデルに入力して、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測してもよい。危険運転の種類は、例えば、急加速、急減速、急ハンドル(左右)、ふらつき、前方衝突警告、車線逸脱警告(左右)、及び/又は発進遅れ警告等を含んでもよい。
【0059】
例えば、対象道路において危険運転の種類によって事故の発生の傾向が異なることが考えられる。具体的には、対象区間や対象交差点それぞれにおいて、急加速がより多く検知された対象区間においては事故の発生が多い等の傾向がありうることが考えられる。上記構成によれば、対象区間や対象交差点における危険運転の種類の傾向をふまえて事故リスクを予測することができる。
【0060】
[学習部]
【0061】
予測部113は、例えば、学習部113aを含んでもよい。学習部113aは、学習データを用いて予測モデルを学習させる。予測モデルは、例えば、機械学習又は深層学習の手法により学習されたモデルである。予測モデルは、例えば、勾配ブースティング決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン及びニューラルネットワーク等の少なくともいずれかであってもよい。言い換えれば、予測モデルは、これらのモデルのいずれか1つであってもよいし、これらのモデルのいずれか2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0062】
[出力部]
【0063】
出力部114は、端末装置200に、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる。出力部114は、例えば、リスク情報を含む出力情報であって、
図5~10で示す画面を出力させるための出力情報を生成する。出力部114は、この生成した出力情報を端末装置200に送信して、端末装置200にこれらの画面を出力させる。
【0064】
上記構成によれば、出力部114は、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路について、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故リスクの予測を可視化することができる。したがって、事故の履歴がない道路の区間や交差点においてもユーザは事故リスクを視認することができるため、ユーザが事前の事故対策を講じるための支援をすることができる。
【0065】
出力部114は、例えば、端末装置200からのユーザの要求に応じて、複数の発生時間帯別モデルのそれぞれが予測した発生時間帯別の事故リスクに基づいて、発生時間帯別にリスク情報を出力させてもよい。このような構成によれば、発生時間帯別の事故リスクを可視化することができる。このため、対象区間や対象交差点において、どの時間帯の事故リスクが高いか、また、事故リスクが低いか等を視認しやすくすることができ、時間帯別の事故リスクの傾向についてユーザに把握させることができる。
【0066】
出力部114は、例えば、端末装置200からのユーザの要求に応じて、複数の年齢層別モデルのそれぞれが予測した年齢層別の事故リスクに基づいて、年齢層別にリスク情報を出力させてもよい。このような構成によれば、年齢層別の事故リスクを可視化することができる。このため、対象区間や対象交差点において、どの年齢層の事故リスクが高いか、また、事故リスクが低いか等を視認しやすくすることができ、年齢層別の事故リスクの傾向についてユーザに把握させることができる。
【0067】
出力部114は、例えば、端末装置200からのユーザの要求に応じて、複数の事故類型別モデルのそれぞれが予測した事故類型別の事故リスクに基づいて、事故類型別にリスク情報を出力させてもよい。このような構成によれば、事故類型別の事故リスクを可視化することができる。このため、対象区間や対象交差点において、どの事故類型の事故リスクが高いか、また、事故リスクが低いか等を視認しやすくすることができ、事故類型別の事故リスクの傾向についてユーザに把握させることができる。
【0068】
[通信部]
【0069】
通信部120は、ネットワークNを介して、出力情報を含む各種情報を端末装置200等と送受信したり、事故履歴データや事故関連データを含む各種データを外部装置と送受信したりする。
【0070】
[記憶部]
【0071】
記憶部130は、予測モデルや学習データ、リスク情報、出力情報等を記憶する。記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0072】
記憶部130は、例えば、モデル記憶部131を備えてもよい。モデル記憶部131は、予測モデルを記憶する。また、記憶部130は、例えば、学習データ記憶部132を備えてもよい。学習データ記憶部132は、学習データを記憶する。
【0073】
<4.画面例>
【0074】
図5~10を参照して、予測システム1の画面例を説明する。
図5~10は、予測システム1の事故リスク予測サイトで出力される画面又は画面の一部の例を示した図である。
【0075】
図5は、事故リスク予測サイトのトップ画面の一例を示す図である。
図5に示すように、トップ画面A1は、事故履歴選択エリアa11と、表示データ選択エリアa12と、マップ表示エリアa13と、リスク統計値出力エリアa14と、を含む。
【0076】
事故履歴選択エリアa11は、表示データ選択エリアa12で「事故履歴データ」が選択された際に、マップ表示エリアa13に出力させる事故履歴(
図5では、「事故実績」と表記)を選択するためのエリアである。事故履歴選択エリアa11は、例えば、時間帯別(
図5では、「時間」と表記)、年齢層別(
図5では、「年齢」と表記)、事故類型別(
図5では、「事故タイプ」と表記)、事故程度別に、出力させる事故履歴を選択することができる(言い換えれば、フィルタリングすることができる)。出力部114は、事故履歴選択エリアa11でユーザに選択された内容と事故履歴データに基づいて、マップ表示エリアa13のマップに事故履歴を出力させることができる。
【0077】
表示データ選択エリアa12は、マップ表示エリアa13に出力させるデータを選択するためのエリアである。表示データ選択エリアa12は、例えば、(ア)対象区間の事故リスク(
図5では、「道路事故予測」と表記)、(イ)対象交差点の事故リスク(
図5では、「道路事故予測」と表記)、(ウ)事故履歴データ(
図5では、「事故実績」と表記)、(エ)スクールゾーンにおける対象区間及び対象交差点の事故リスク(
図5では、「スクールゾーン」と表記)、(オ)人流データ(
図5では、「人口・人流」と表記)の少なくともいずれかのデータを選択し、マップ表示エリアa13のマップ上に出力させることができる。出力部114は、例えば、表示データ選択エリアa12でユーザに選択された内容と予測部113による予測の結果とに基づいて、マップ表示エリアa13のマップに該当する事故リスクを示すリスク情報を出力させることができる。
【0078】
マップ表示エリアa13は、ユーザから指定された指定領域(本例では、「〇〇県」の周辺エリアとする)のマップを出力するエリアである。出力部114は、マップ表示エリアa13において、対象区間及び対象交差点それぞれにおける事故リスクのリスク情報として、それぞれのリスク値(0.0~1.0)に応じて色分けされた線分(対象区間)やドット(対象交差点)をマップ上に重畳させて出力させる。マップ表示エリアa13は、この色分けの凡例をマップ上の左上に出力させてもよい(本例では、対象区間の事故リスクを「道路事故リスク」と表記し、対象交差点の事故リスクを「交差点事故リスク」と表記する)。
【0079】
リスク平均値出力エリアa14は、指定エリア内の1以上の対象区間及び1以上の対象交差点すべての事故リスクのリスク値の統計値(本例では、平均値)を出力するエリアである。
【0080】
図6は、表示データ選択エリアa12で「(ア)対象区間の事故リスク」が選択された際に出力されるマップ表示エリアa13bである。マップ表示エリアa13aは、対象区間の事故リスクを予測する予測モデルを用いて予測した事故リスクのリスク情報を出力してもよい。マップ表示エリアa13bのマップ上では、対象区間の事故リスクが、そのリスク値の大小に応じた白黒の濃淡(リスク値が小さいほど色が淡く、他方リスク値が大きいほど色が濃くなる)で色分けされた線分として出力される。
【0081】
図7は、表示データ選択エリアa12で「対象交差点の事故リスク」が選択された際に出力されるマップ表示エリアa13aである。マップ表示エリアa13aは、対象交差点の事故リスクを予測する予測モデルを用いて予測した事故リスクのリスク情報を出力させてもよい。マップ表示エリアa13aのマップ上では、
図6の対象交差点と同様に、対象交差点の事故リスクが、そのリスク値の大小に応じた濃淡で色分けされたドットとして出力される。
【0082】
図8は、トップ画面A1から出力可能な表示データ選択ダイアログa12aである。表示データ選択ダイアログa12aは、
図6の表示データ選択エリアa12と同様にマップ表示エリアa13に出力させるデータを選択させるための画面である。表示データ選択ダイアログa12aは、事故類型別、時間帯別、年齢層別に、マップ上に出力させる事故リスクを選択することができる。例えば、表示データ選択ダイアログa12aにおいて出力させる事故リスクの事故類型、時間帯、及び/又は年齢層をユーザが選択してOKボタンを押下すると、出力部114は、選択された事故類型、時間帯、及び/又は年齢層に該当する事故リスクのリスク情報をマップ表示エリアa13のマップ上に出力させる。
【0083】
図9は、対象区間における年齢層別の事故リスクを出力したマップ表示エリアa13のマップの一部を切り出した例である。
図9(a)は、全ての年齢層(以下、「全事故」ともいう)の事故リスクを出力した例である。
図9(b)は、若年層の事故リスクを出力した例である。
図9(c)は、高齢者の事故リスクを出力した例である。
【0084】
図9(a)~(c)における破線で囲んだエリアにおいて、
図9(a)における全事故の出力と比較して、
図9(b)における若年層の出力では色が淡い区間、すなわちリスク値が小さい区間が存在する。すなわちこの区間について、ユーザは、通行人である子供が被害者となる事故のリスクが低い、子供にとって比較的安全な区間であることを確認することができる。また、この破線で囲んだエリアにおいて、
図9(a)における全事故の出力と比較して、
図9(b)における高齢者の出力では色が淡い区間、すなわちリスク値が小さい区間が存在する。すなわちこの区間について、ユーザは、通行人である高齢者が被害者となる事故のリスクが低い、高齢者にとって比較的安全な区間であることを確認することができる。
【0085】
図10は、対象区間における時間帯別の事故リスクを出力したマップ表示エリアa13のマップの一部を切り出した例である。
図10(a)は、全ての時間帯(以下、「全事故」ともいう)の事故リスクを出力した例である。
図10(b)は、朝の時間帯の事故リスクを出力した例である。
図10(c)は、夕方の時間帯の事故リスクを出力した例である。
【0086】
図10(a)~(c)における破線で囲んだエリアにおいて、
図10(a)における全事故の出力と比較して、
図10(b)における朝の時間帯の出力では色が濃い区間、すなわちリスク値が大きい区間が存在する。すなわちこの区間について、ユーザは、朝の時間帯において事故のリスクが高い、比較的危険な区間であることを確認することができる。また、この破線で囲んだエリアにおいて、
図10(a)における全事故の出力と比較して、
図10(c)における夕方の時間帯の出力では色が濃い区間が存在する。すなわちこの区間について、ユーザは、夕方の時間帯において事故のリスクが低い、比較的危険な区間であることを確認することができる。
【0087】
<5.動作例>
【0088】
図11を参照して、本実施形態に係る予測システム1の動作例を説明する。
図11(a)は、予測モデルの学習の際の処理の流れを示すフロー図である。
図11(b)は、学習された予測モデルにより事故リスクを予測し出力させる際の処理の流れを示すフロー図である。なお、以下に示すフロー図の処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0089】
図11(a)に示すように、サーバ装置100の学習部113aは、学習データ記憶部132に記憶されている学習データを用いて予測モデルを学習させる(S10)。学習部113aは、学習させた予測モデルをモデル記憶部131に記憶させる(S11)。
【0090】
図9(b)に示すように、サーバ装置100の受付部111は、端末装置200から、トップ画面A1の出力の要求を受け付ける(S20)。予測部113は、上記学習された予測モデルを用いて、事故履歴データのある道路に限定されない対象道路の事故関連データを予測モデルに入力し、対象道路の1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける事故のリスクを予測する(S21)。端末装置200に、1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を出力させる(S22)。
【0091】
<6.ハードウェア構成>
【0092】
図12を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0093】
図12に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811と、表示装置813とを含む。
【0094】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラム(例えば、サーバプログラム)をプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0095】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0096】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種モデルや各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、学習データ等を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0097】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0098】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0099】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0100】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0101】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、上記に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0102】
[変形例]
【0103】
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0104】
[変形例1]
【0105】
上記実施形態に係るサーバ装置100における各構成の少なくとも一部は、端末装置200が備えていてもよい。例えば、サーバ装置100における制御部110の受付部111と出力部114の機能を端末装置200に実装させてもよい。具体的には、端末装置200は、例えば、予測システム1専用のアプリケーションプログラム(以下、「予測アプリ」ともいう)をインストールしてこの予測アプリを実行することで、これらの構成を実現させてもよい。端末装置200は、サーバ装置100からリスク情報を取得して自装置の記憶部に予め記憶しておき、予測アプリは、この記憶部を参照して、リスク情報に基づいて、ユーザの要求に応じて事故リスク予測サイトと同様の画面を出力させてもよい。
【0106】
[変形例2]
【0107】
上記実施形態では、予測モデルを記憶する場所としてモデル記憶部131をサーバ装置100の記憶部130に備える例を説明したが、予測モデルが記憶される場所はこれに限定されない。予測モデルは、例えば、外部装置の記憶部に記憶されていてもよい。サーバ装置100の予測部113は、例えば、この外部装置が提供するAPIであって予測モデルの機能を利用するためのAPIに対して、予測モデルを用いて事故リスクを予測するよう指示してもよい。予測部113は、この指示に対する応答として、この外部装置から、取得部112を通じて、予測の結果として1以上の対象区間及び/又は1以上の対象交差点それぞれにおける予測されたリスクを示すリスク情報を取得してもよい。
【0108】
[変形例3]
【0109】
上記実施形態では、サーバ装置100の制御部110が予測モデルを学習させる学習部113aを備える例を説明したが、本発明に係る学習部はこれに限定されない。本発明に係る学習部は、例えば、予測モデルを用いて事故リスクを予測する予測部を備える装置とは異なる装置が備えてもよい。この異なる装置は、例えば、サードパーティシステムにおける外部装置であってもよい。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える取得部112は、学習された予測モデルを外部装置から取得して、この取得した予測モデルをモデル記憶部131に記憶させてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…予測システム、100…サーバ装置、110…制御部、111…受付部、112…取得部、113…予測部、113a…学習部、114…出力部、120…通信部、130…記憶部、200…端末装置、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。