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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056362
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】レシプロ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240416BHJP
   F04B 39/10 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F04B39/00 C
F04B39/10 Z
F04B39/10 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163181
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 善彰
(72)【発明者】
【氏名】野口 章浩
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 俊介
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC03
3H003CB02
3H003CC05
3H003CD03
3H003CE05
(57)【要約】
【課題】吸入弁及び吐出弁に負荷を掛けることなく液圧縮による過大な圧力上昇を回避することができるレシプロ圧縮機を提供する。
【解決手段】吸入弁124及び吐出弁123が設けられたシリンダ120と、シリンダ120内で往復動し、シリンダ120とともに冷媒が圧縮される圧縮室A1を画定しているピストン131と、吸入弁124を介して圧縮室A1と接続され、圧縮室A1に吸入される冷媒が取り込まれる吸入室A3と、シリンダ120に設けられ、圧縮室A1と吸入室A3とを接続し、圧縮室A1の圧力が所定値以上となった場合に開状態となるリリーフバルブ125と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入弁及び吐出弁が設けられたシリンダと、
前記シリンダ内で往復動し、前記シリンダとともに冷媒が圧縮される圧縮室を画定しているピストンと、
前記吸入弁を介して前記圧縮室と接続され、前記圧縮室に吸入される冷媒が取り込まれる吸入室と、
前記シリンダに設けられ、前記圧縮室と前記吸入室とを接続し、前記圧縮室の圧力が所定値以上となった場合に開状態となるリリーフバルブと、
を備えている
レシプロ圧縮機。
【請求項2】
前記吐出弁を介して前記圧縮室と接続され、前記圧縮室で圧縮された冷媒が吐出される吐出室と、
前記吸入室と前記吐出室とを接続し、任意に開閉可能とされているアンロードバルブと、
を備えている
請求項1に記載のレシプロ圧縮機。
【請求項3】
前記リリーフバルブは、前記アンロードバルブを介して接続された前記吸入室及び前記吐出室に接続された前記圧縮室を画定している前記シリンダに設けられている
請求項2に記載のレシプロ圧縮機。
【請求項4】
前記シリンダ及び前記ピストンを有する対の数は複数とされ、
複数ある前記圧縮室のうち少なくとも1つの前記圧縮室を所定圧縮室としたとき、
前記アンロードバルブは、前記吸入室と前記所定圧縮室と接続された前記吐出室とを接続し、
前記リリーフバルブは、前記所定圧縮室を画定している前記シリンダにのみ設けられている
請求項2に記載のレシプロ圧縮機。
【請求項5】
前記ピストンの上死点位置と下死点位置との中間を中間位置としたとき、
前記リリーフバルブは、前記中間位置よりも前記上死点位置側に設けられている
請求項1から4のいずれかに記載のレシプロ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レシプロ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒を圧縮するレシプロ圧縮機では、液バックや寝込み起動時における液圧縮によって圧縮室で過大な圧力上昇が発生することで、例えば、シリンダ、吸入弁、吐出弁、ピストン、クランクシャフト等の部品に高い負荷が掛かりそれらの部品が損傷するおそれがある。
【0003】
ここで、例えば特許文献1には、シリンダヘッドにリリーフバルブを設け、吐出室の圧力が上昇したときに外部に液冷媒を排出することで圧力上昇を防止する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62-180681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにシリンダヘッドにリリーフバルブを設けておき吐出室から液冷媒を排出する構成では、液圧縮によってシリンダ内の圧縮室の圧力が上昇し始めたときに、その圧縮室に設けられている吸入弁や吐出弁に不可避的に負荷が掛かる可能性がある。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、吸入弁及び吐出弁に負荷を掛けることなく液圧縮による過大な圧力上昇を回避することができるレシプロ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のレシプロ圧縮機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係るレシプロ圧縮機は、吸入弁及び吐出弁が設けられたシリンダと、前記シリンダ内で往復動し、前記シリンダとともに冷媒が圧縮される圧縮室を画定しているピストンと、前記吸入弁を介して前記圧縮室と接続され、前記圧縮室に吸入される冷媒が取り込まれる吸入室と、前記シリンダに設けられ、前記圧縮室と前記吸入室とを接続し、前記圧縮室の圧力が所定値以上となった場合に開状態となるリリーフバルブと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、吸入弁及び吐出弁に負荷を掛けることなく液圧縮による過大な圧力上昇を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一態様に係るレシプロ圧縮機の構造概念を表す断面図である(アンロードバルブが閉状態)。
図2】本開示の一態様に係るレシプロ圧縮機の構造概念図を表す平面図である。
図3】本開示の一態様に係るレシプロ圧縮機の構造概念を表す断面図である(アンロードバルブが開状態)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係るレシプロ圧縮機について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[圧縮機の概要について]
レシプロ圧縮機100(以下、単に「圧縮機100」という。)は、外部から導かれたガス冷媒を圧縮して外部に供給する機器である。
以下、圧縮機100の構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、圧縮機100は、圧縮機構としてのシリンダ120及びピストン131、コネクティングロッド133を介してピストン131と接続されたクランクシャフト140並びにそれらを収容するケーシング111を備えている。
【0013】
シリンダ120は、ピストン131を内部に収容する部品であって、スリーブ121及びバルブプレート122を有している。
【0014】
スリーブ121は、軸線Cに沿って延在している筒状の部材である。
図1において下部に位置するスリーブ121の一方の開口は開放されており、ピストン131やピストン131と接続されたコネクティングロッド133が入り込むように構成されている。これに対して、図1において上部に位置するスリーブ121の他方の開口には、バルブプレート122が設けられている。
【0015】
バルブプレート122には、吐出弁123及び吸入弁124が設けられている。
吐出弁123及び吸入弁124の機能については後述する。
【0016】
ピストン131は、シリンダ120内に収容された部品であり、シリンダ120とともに密閉空間とされた圧縮室A1を画定している。詳細には、ピストン131は、スリーブ121の内周面並びに吐出弁123及び吸入弁124を含むバルブプレート122とともに圧縮室A1を画定している。
ピストン131は、クランクシャフト140と接続されたコネクティングロッド133と接続されており、シリンダ120内で軸線Cに沿って往復動するように構成されている。これによって、圧縮室A1の容積が変化することになる。
【0017】
クランクシャフト140は、電動モータ等の駆動部(図示せず)によって回転駆動される部品であり、メインシャフト141及びクランクピン142を有している。
図1及び図2に示すように、メインシャフト141は、駆動部(図示せず)と接続され、回転軸線X1を中心に回転する軸体である。なお、回転軸線X1は、図1の手前から奥に向かう方向(奥から手前に向かう方向)に延在している。
図1に示すように、クランクピン142は、メインシャフト141と接続され、回転軸線X1に対して偏した偏心軸線X2を有する軸体である。クランクピン142は、メインシャフト141が回転軸線X1を中心に回転することで、回転軸線X1の周りを公転する。
【0018】
コネクティングロッド133は、クランクシャフト140とピストン131とを接続する棒状の部品であって、一端がクランクピン142に対して回転自在に接続され、他端がピストンピン132を介してピストン131に対して回転自在に接続されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、圧縮機100において、シリンダ120、ピストン131及びコネクティングロッド133からなるセットの数は、複数とされている。図1にはV型に配置された2つのセットが描画されているが、回転軸線X1において当該2つのセットと重なるように更に2つのセットが配置されている(図2参照)。すなわち、圧縮機100は、V型の4気筒タイプとされている。
なお、圧縮機100のタイプはこれに限定されることはなく、適宜変更できることは言うまでもない。
【0020】
以上のように構成された各部品は、ケーシング111に収容されている。
【0021】
このとき、各バルブプレート122及びケーシング111によって複数の吐出室A2が画定されている。例えば、図2において右側に配置された2つのシリンダ120に対応した各バルブプレート122及びケーシング111によって1つの吐出室A2が画定され、図2において左側に配置された2つのシリンダ120に対応した各バルブプレート122及びケーシング111によって1つの吐出室A2が画定されている。
また、図1に示すように、各バルブプレート122、各スリーブ121及びケーシング111によって共通の吸入室A3が形成されている。
また、ケーシング111の下部には、冷媒を含む潤滑油が貯留される部分(容器部)が形成されている。なお、潤滑油が貯留される当該容器部は、吸入室A3を画定しているケーシング111の下部に形成された排出孔115を介して吸入室A3と連通している。
【0022】
シリンダ120及びピストン131によって画定された圧縮室A1は、吐出弁123を介して吐出室A2と接続されており、吸入弁124を介して吸入室A3と接続されている。
なお、ここでいう「接続」とは、2つの空間が常に連通していること意味するのではなく、後述する各工程に応じて連通された状態と遮断された状態とが切り替わることを意味する。
【0023】
各吐出室A2には吐出管113が接続されている。各吐出管113は最終的に1本にまとめられており、高圧の冷媒(圧縮後の冷媒)を各吐出室A2から他の機器に供給できるように構成されている。
吸入室A3には1本の吸入管114が接続されている。吸入管114は、低圧の冷媒(圧縮前の冷媒)を更に他の機器から吸入室A3に供給できるように構成されている。
【0024】
以上のように構成された圧縮機100は、次のように作動する。
すなわち、メインシャフト141が回転軸線X1を中心に回転することで、クランクピン142が回転軸線X1の周りを公転する。
すると、コネクティングロッド133を介してクランクピン142と接続されたピストン131がシリンダ120内を往復動する。
ピストン131の往復動に伴って、圧縮室A1の容積が変化する。具体的には、圧縮室A1の容積が大きくなったり小さくなったりする。
圧縮室A1の容積が大きくなるとき、吸入弁124を介して吸入室A3から圧縮室A1に冷媒が吸入される(吸入工程)。その後、圧縮室A1の容積が小さくなるとき、吸入された冷媒が圧縮室A1で圧縮され(圧縮工程)、圧縮された冷媒が吐出弁123を介して圧縮室A1から吐出室A2吐出される。これらの工程を繰り返すことで、圧縮された冷媒を連続的に供給することができる。
【0025】
[リリーフバルブについて]
本実施形態に係る圧縮機100は、リリーフバルブ125を備えている。
リリーフバルブ125は、シリンダ120のスリーブ121に設けられている。
リリーフバルブ125は、圧縮室A1と吸入室A3とを接続する弁であり、圧縮室A1の圧力が所定値以上となった場合に開状態となることで圧縮室A1にある液冷媒を吸入室A3に排出するように構成されている。
なお、ここでいう「接続」とは、2つの空間が常に連通していることを意味するのではない。
【0026】
これによって、液冷媒が圧縮室A1に流入した際に、圧縮工程で圧縮室A1の圧力が過大になる前に液冷媒を吸入室A3に排出することができる。すなわち、圧縮室A1における液圧縮を回避できることになる。
なお、吸入室A3に排出された液冷媒は、排出孔115を介してケーシング111の容器部に落ちて貯留される。
【0027】
ここで、ピストン131の上死点位置Ptと下死点位置Pbとの中間を中間位置Pmとしたとき、リリーフバルブ125は、中間位置Pmよりも上死点位置Pt側の位置(言い換えれば、吐出弁123及び吸入弁124側の位置)に対応したスリーブ121の部分に設けられることが好ましい。
これによって、圧縮工程の中で比較的に圧力が高い位置で液冷媒を排出することができる。
【0028】
[アンロードバルブについて]
本実施形態に係る圧縮機100は、容量調整機構としてのアンロードバルブ151を備えている。
【0029】
図1及び図3に示すように、アンロードバルブ151は、吐出室A2と吸入室A3との間を接続する弁であり、吐出室A2と吸入室A3とが連通された状態と遮断された状態とを任意に切り替えることができる。
なお、ここでいう「接続」とは、2つの空間が常に連通していることを意味するのではない。
【0030】
図3に示すように、アンロードバルブ151が開状態となり吐出室A2と吸入室A3とが連通すると、圧縮室A1で圧縮された冷媒は、吐出室A2に吐出された後に低圧の吸入室A3に導かれる。すなわち、アンロードバルブ151が開状態となった場合、アンロードバルブ151と関連付けられた圧縮機構(シリンダ120及びピストン131)は、圧縮された冷媒が外部に供給されないことになる(アンロード)。
一方で、図1に示すように、アンロードバルブ151が閉状態となり吐出室A2と吸入室A3とが遮断されると、圧縮室A1で圧縮された冷媒は、吐出室A2に吐出された後に吐出管113を介して外部に供給される。すなわち、アンロードバルブ151が閉状態となった場合、アンロードバルブ151と関連付けられた圧縮機構は、通常通りに機能することになる。なお、当然ながら、アンロードバルブ151と関連付けられていない圧縮機構は、圧縮機100が運転されている限り、常に機能することになる。
【0031】
アンロードバルブ151は、全てではない少なくとも1つの吐出室A2と関連付けられている。図1及び図2においては、右に描画された吐出室A2のみと関連付けられている。以下、アンロードバルブ151と関連付けられた吐出室A2を吐出室A2’と表記することもある。
これによって、全ての圧縮機構が機能するフルロードの状態と一部の圧縮機構のみが機能する(言い換えれば、一部の圧縮機構が実質的に機能しない)アンロードの状態とを、アンロードバルブ151の制御によって切り替えることができるようになる。
【0032】
また、この吐出室A2’と接続された圧縮室A1を圧縮室A1’(所定圧縮室)としたとき、リリーフバルブ125は、圧縮室A1’を画定しているシリンダ120のスリーブ121にのみ設けられてもよい。
その理由は次の通りである。すなわち、アンロード時には、吸入室A3と吐出室A2’とがアンロードバルブ151を介して連通されるので、圧縮室A1に液冷媒が入り込んでいる場合、吸入室A3、圧縮室A1’及び吐出室A2’の間で液冷媒が循環する可能性がある。このとき、少なくとも圧縮室A1’を画定しているスリーブ121にリリーフバルブ125を設けておくことで、効率的かつ効果的に液冷媒を排出することができるからである。
【0033】
なお、図3に示すように、アンロードバルブ151と関連付けられていない吐出室A2からアンロードバルブ151と関連付けられた吐出室A2’に冷媒が流れ込まないように、吐出管113には逆止弁113aが設けられている。
【0034】
以上の通り説明したアンロードバルブ151の開閉は、例えば、切替バルブ152によって行われる。
切替バルブ152は三方弁であり、バルブ接続管152aを介してアンロードバルブ151の背面領域と接続され、吐出室接続管152bを介してアンロードバルブ151を関連付けられていない吐出室A2と接続され、吸入室接続管152cを介して吸入室A3と接続されている。
切替バルブ152は、吐出室接続管152bとバルブ接続管152aとを接続して高圧の吐出室A2とアンロードバルブ151の背面領域とを連通するか、吸入室接続管152cとバルブ接続管152aとを接続して低圧の吸入室A3とアンロードバルブ151の背面領域とを連通するかを切り替えることができる。
図1に示すように、吐出室A2とアンロードバルブ151の背面領域とを連通した場合、高圧の冷媒がアンロードバルブ151の背面領域に流れ込むことでアンロードバルブ151が閉状態となる。一方で、図3に示すように、吸入室A3とアンロードバルブ151の背面領域とを連通した場合、冷媒がアンロードバルブ151の背面領域から低圧の吸入室A3に流れ込むことでアンロードバルブ151が開状態となる。
【0035】
なお、アンロードバルブ151を開閉することができるのであれば、切替バルブ152以外の手段を採用してもよい。
【0036】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
液冷媒が圧縮室A1に流入した際に、圧縮工程で圧縮室A1の圧力が過大になる前にリリーフバルブ125を介して液冷媒を圧縮室A1から吸入室A3に排出して、液圧縮を回避することができる。
これによって、圧縮室A1の過大な圧力上昇に起因した負荷による圧縮機100の破損(例えば、シリンダ120、吸入弁124、吐出弁123、ピストン131、クランクシャフト140等の部品の損傷)を防止することができる。
特に、本実施形態では、リリーフバルブ125がシリンダ120のスリーブ121に設けられ、リリーフバルブ125を介して圧縮室A1と吸入室A3とが接続されているので、吸入弁124及び吐出弁123に負荷を掛けることなく液圧縮による過大な圧力上昇を回避することができる。
【0037】
また、アンロードバルブ151を備えている場合、アンロードバルブ151を開状態として吸入室A3と吐出室A2とを連通することで、圧縮された冷媒が外部に供給されない状態(アンロード)を任意に設定することができる。
【0038】
また、アンロード時には、吸入室A3と吐出室A2とがアンロードバルブ151を介して連通されるが、圧縮室A1に液冷媒が入り込んでいる場合、吸入室A3、圧縮室A1及び吐出室A2の間で液冷媒が循環する可能性がある。そこで、そのような圧縮室A1と接続されたリリーフバルブ125を設けておくことで、液冷媒を効率的に排出することができる。
【0039】
また、アンロードの対象となる特定の圧縮室A1’を画定しているシリンダ120にのみリリーフバルブ125を設けておくことで、液冷媒を効率的かつ効果的に排出することができる。
【0040】
また、リリーフバルブ125を中間位置Pmよりも上死点位置Pt側の位置に対応したスリーブ121の部分に設けることで、圧縮工程の中で比較的に圧力が高い位置で液冷媒を排出することとして、圧縮工程の中で比較的に圧力が低い位置では液冷媒を排出しないこととすることができる。
【0041】
以上の通り説明した一実施形態に係るバランスウェイト及びそれを備えた圧縮機は、例えば、以下のように把握される。
すなわち、本開示の第1態様に係るレシプロ圧縮機(100)は、吸入弁(124)及び吐出弁(123)が設けられたシリンダ(120,121)と、前記シリンダ内で往復動し、前記シリンダとともに冷媒が圧縮される圧縮室(A1)を画定しているピストン(131)と、前記吸入弁を介して前記圧縮室と接続され、前記圧縮室に吸入される冷媒が取り込まれる吸入室(A3)と、前記シリンダに設けられ、前記圧縮室と前記吸入室とを接続し、前記圧縮室の圧力が所定値以上となった場合に開状態となるリリーフバルブ(125)と、を備えている。
【0042】
本態様に係るレシプロ圧縮機によれば、吸入弁及び吐出弁が設けられたシリンダと、シリンダ内で往復動し、シリンダとともに冷媒が圧縮される圧縮室を画定しているピストンと、吸入弁を介して圧縮室と接続され、圧縮室に吸入される冷媒が取り込まれる吸入室と、シリンダに設けられ、圧縮室と吸入室とを接続し、圧縮室の圧力が所定値以上となった場合に開状態となるリリーフバルブと、を備えているので、液冷媒が圧縮室に流入した際に、圧縮工程で圧縮室の圧力が過大になる前にリリーフバルブを介して液冷媒を圧縮室から吸入室に排出して、液圧縮を回避することができる。これによって、圧縮室の過大な圧力上昇に起因した負荷による圧縮機の破損(例えば、シリンダ、吸入弁、吐出弁、ピストン、クランクシャフト等の部品の損傷)を防止することができる。特に、本態様では、リリーフバルブがシリンダに設けられ、リリーフバルブを介して圧縮室と吸入室とが接続されているので、吸入弁及び吐出弁に負荷を掛けることなく液圧縮による過大な圧力上昇を回避することができる。
【0043】
また、本開示の第2態様に係るレシプロ圧縮機は、第1態様において、前記吐出弁を介して前記圧縮室と接続され、前記圧縮室で圧縮された冷媒が吐出される吐出室(A2)と、前記吸入室と前記吐出室とを接続し、任意に開閉可能とされているアンロードバルブ(151)と、を備えている。
【0044】
本態様に係るレシプロ圧縮機によれば、吐出弁を介して圧縮室と接続され、圧縮室で圧縮された冷媒が吐出される吐出室と、吸入室と吐出室とを接続し、任意に開閉可能とされているアンロードバルブと、を備えているので、アンロードバルブを開状態として吸入室と吐出室とを連通することで、圧縮された冷媒が外部に供給されない状態(アンロード)を任意に設定することができる。
【0045】
また、本開示の第3態様に係るレシプロ圧縮機は、第1態様又は第2態様において、前記リリーフバルブは、前記アンロードバルブを介して接続された前記吸入室及び前記吐出室に接続された前記圧縮室を画定している前記シリンダに設けられている。
【0046】
本態様に係るレシプロ圧縮機によれば、リリーフバルブは、アンロードバルブを介して接続された吸入室及び吐出室に接続された圧縮室を画定しているシリンダに設けられている。
アンロード時には、吸入室と吐出室とがアンロードバルブを介して連通されるが、圧縮室に液冷媒が入り込んでいる場合、吸入室、圧縮室及び吐出室の間で液冷媒が循環する可能性がある。そこで、そのような圧縮室と接続されたリリーフバルブを設けておくことで、液冷媒を効率的に排出することができる。
【0047】
また、本開示の第4態様に係るレシプロ圧縮機は、第1態様又は第2態様において、前記シリンダ及び前記ピストンを有する対の数は複数とされ、複数ある前記圧縮室のうち少なくとも1つの前記圧縮室を所定圧縮室(A1’)としたとき、前記アンロードバルブは、前記吸入室と前記所定圧縮室と接続された前記吐出室(A2’)とを接続し、前記リリーフバルブは、前記所定圧縮室を画定している前記シリンダにのみ設けられている。
【0048】
本態様に係るレシプロ圧縮機によれば、シリンダ及びピストンからなる対の数は複数とされ、複数ある圧縮室のうち少なくとも1つの圧縮室を所定圧縮室としたとき、アンロードバルブは、吸入室と所定圧縮室と接続された吐出室とを接続し、リリーフバルブは、所定圧縮室を画定しているシリンダにのみ設けられている。
アンロード時には、吸入室と吐出室とがアンロードバルブを介して連通されるが、圧縮室に液冷媒が入り込んでいる場合、吸入室、圧縮室及び吐出室の間で液冷媒が循環する可能性がある。そこで、アンロードの対象となる特定の圧縮室を画定しているシリンダにのみリリーフバルブを設けておくことで、液冷媒を効率的かつ効果的に排出することができる。
【0049】
また、本開示の第5態様に係るレシプロ圧縮機は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記ピストンの上死点位置(Pt)と下死点位置(Pb)との中間を中間位置(Pm)としたとき、前記リリーフバルブは、前記中間位置よりも前記上死点位置側に設けられている。
【0050】
本態様に係るレシプロ圧縮機によれば、ピストンの上死点位置と下死点位置との中間を中間位置としたとき、リリーフバルブは、中間位置よりも上死点位置側に設けられているので、圧縮工程の中で比較的に圧力が高い位置で液冷媒を排出することとして、圧縮工程の中で比較的に圧力が低い位置では液冷媒を排出しないこととすることができる。
【符号の説明】
【0051】
100 レシプロ圧縮機
111 ケーシング
113 吐出管
113a 逆止弁
114 吸入管
115 排出孔
120 シリンダ
121 スリーブ
122 バルブプレート
123 吐出弁
124 吸入弁
125 リリーフバルブ
131 ピストン
132 ピストンピン
133 コネクティングロッド
140 クランクシャフト
141 メインシャフト
142 クランクピン
151 アンロードバルブ
152 切替バルブ
152a バルブ接続管
152b 吐出室接続管
152c 吸入室接続管
A1,A1’ 圧縮室
A2,A2’ 吐出室
A3 吸入室
Pb 下死点位置
Pm 中間位置
Pt 上死点位置
X1 回転軸線
X2 偏心軸線
C 軸線
図1
図2
図3