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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056379
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】操船管理装置及び操船管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 3/00 20060101AFI20240416BHJP
   G08B 21/06 20060101ALI20240416BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G08G3/00 A
G08B21/06
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163204
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】野上 保奈美
(72)【発明者】
【氏名】山田 弥知
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA52
5C086BA23
5C086CA28
5C086DA01
5C086FA02
5C086FA20
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA32
5C087AA51
5C087BB74
5C087DD16
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG84
5H181AA25
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB17
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】操船者の意識の状態に応じてサポートを行えるようにした操船管理装置及び操船管理方法を提供する。
【解決手段】船舶において操船する操船者の操船に対する意識の高さを表す度合いに基づいて、前記船舶の操船権を、前記船側から陸側管理装置に委譲するか否かを判定する判定部と、前記操船権を委譲すると判定された場合に、陸側管理装置に前記操船権を委譲する操船権管理部とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶において操船する操船者の操船に対する意識の高さを表す度合いに基づいて、前記船舶の操船権を、船側から陸側管理装置に委譲するか否かを判定する判定部と、
前記操船権を委譲すると判定された場合に、前記陸側管理装置に前記操船権を委譲する操船権管理部と
を有する操船管理装置。
【請求項2】
前記操船者が居眠りをしているか否かの状態を検知する居眠り検知部を有し、
前記判定部は、前記居眠り検知部によって居眠りが検知された結果に応じた、意識の高さを表す度合いに基づいて、前記操船権を委譲するか否かを判定する請求項1に記載の操船管理装置。
【請求項3】
前記操船者の体調の異常を検知する体調異常検知部を有し、
前記判定部は、前記居眠り検知部が居眠りを検知した場合に、前記体調異常検知部によって検知された結果に応じた、意識の高さを表す度合いに基づいて、前記操船権を委譲するか否かを判定する請求項2に記載の操船管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記居眠り検知部が居眠りを検知した場合に、他船の全てについて自船に最接近するまでの時間が、基準時間以上であるかに応じて、前記操船権を委譲するか否かを判定する請求項2に記載の操船管理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記最接近するまでの時間が基準時間以上である場合に、前記船舶の進行方向における水深に応じて、前記操船権を委譲するか否かを判定する請求項4に記載の操船管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、航海当直警報システムの警報の段階に応じて、前記操船権を委譲するか否かを判定する請求項1に記載の操船管理装置。
【請求項7】
前記操船権の委譲の許可を表示画面により設定可能とした請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の操船管理装置。
【請求項8】
前記操船権の返却要求を表示画面により設定可能とした請求項7に記載の操船管理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の操船管理装置を含んで構成される操船管理システム。
【請求項10】
船舶において操船する操船者の操船に対する意識の高さを表す度合いに基づいて、前記船舶の操船権を、船側から陸側管理装置に委譲するか否かを判定し、
前記操船権を委譲すると判定された場合に、前記陸側管理装置に前記操船権を委譲する
操船管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操船管理装置及び操船管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ技術や通信技術の発展により、遠隔操船や自動運航の技術が開発されてきている。また、近年、船員の労働環境の改善のため、ブリッジ(船橋)に椅子を導入して、操船者が椅子に座って操船を行うことができるように変わりつつある。しかしながら、操船者が椅子に座って操船を行えるようになると、操船者の負担は低減されるが、操船者が居眠りをしてしまう可能性がある。なお、現状では、ブリッジに搭乗した操船者を監視して、船舶での航行安全を図るシステムとしては、航海当直警報システム(BNWAS:Bridge Navigational Watch Alarm System)が導入されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-197979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BNWASは、一定時間内にリセット操作が行われたかを監視することで、操船者を監視するものであるが、BNWASだけでは、操船者の居眠りを回避させることは難しい。また、船舶の遠隔操船技術が開発されていることから、操船者が居眠りをしたり、体調を崩したりしているようなときには、船舶内だけでなく、地上の管理センターでも、操船者のサポートを行えるようにすることが考えられる。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、操船者の意識の状態に対してサポートを行えるようにした操船管理装置及び操船管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の一態様に係る操船管理装置は、船舶において操船する操船者の船舶の操船に対する意識の高さを表す度合いに基づいて、前記船舶の操船権を、船側から陸側管理装置に委譲するか否かを判定する判定部と、前記船舶の操船権を委譲すると判定された場合に、前記陸側管理装置先に前記操船権を委譲する操船権管理部とを有する。
【0007】
本発明の一態様に係る操船管理方法は、船舶において操船する操船者の船舶の操船に対する意識の高さを表す度合いに基づいて、前記船舶の操船権を、船側から陸側管理装置に委譲するか否かを判定し、前記操船権を委譲すると判定された場合に、前記陸側管理装置に前記操船権を委譲する操船管理方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操船者の居眠りや体調異常等の意識の低下があったときに、陸側からのサポートを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る操船管理システムの概要を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る操船管理システムでの判定処理を説明するためのブロック図である。
図3A】操船権を管理する際の船側の表示画面の一例を示す図である。
図3B】操船権を管理する際の船側の表示画面の一例を示す図である。
図3C】操船権を管理する際の船側の表示画面の一例を示す図である。
図3D】操船権を管理する際の船側の表示画面の一例を示す図である。
図4A】操船権を管理する際の陸側の表示画面の一例を示す図である。
図4B】操船権を管理する際の陸側の表示画面の一例を示す図である。
図4C】操船権を管理する際の陸側の表示画面の一例を示す図である。
図4D】操船権を管理する際の陸側の表示画面の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る操船管理システムでの処理についてフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る操船管理システムでの処理についてフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<1.システムの概要>
図1は、本発明の実施形態に係る操船管理システムの概要を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る操船管理システム1は、船側装置10と、クラウドシステム20と、陸側管理装置30とを有する。
【0011】
船側装置10は、船舶に積み込まれた装置である。船側装置10としては、航海情報記録装置111、電子海図システム112、BNWAS(Bridge Navigational Watch Alarm System:航海当直警報システム)113、AIS(Automatic Identification System:自動船舶識別装置)114、通信装置117、端末装置120、椅子140、カメラ150、計算サーバ160を含んでいる。
【0012】
航海情報記録装置111は、船舶の各部に設けられた各種センサから出力される、センサ情報を収集する。センサ情報としては、水深、舵角、エンジンモーション、レーダー、気象、船位、速力、方位、他の船舶の情報等を含んでいる。
【0013】
航海情報記録装置111は、各種のセンサの情報をログとして記録する。また、航海情報記録装置111は、カメラ150から得られる画像データや、BNWAS113の警報情報を記録する。
【0014】
電子海図システム112は、船位、方向、速力、周囲の地形や水深の情報、他の船舶の情報等を提供する。電子海図システム112は、電子海図情報表示装置(ECDIS:Electronic Chart Display and Information System)を用いてもよい。
【0015】
BNWAS113は、ブリッジに搭乗した操船者130を監視するシステムである。BNWAS113は、第一次船橋警報、第二次遠隔可聴警報、及び第三次遠隔可聴警報を発生する。第一次船橋警報は、可視表示開始から15秒経過までにリセット操作が行われないと、ブリッジで可聴警報を出力する。第二次遠隔可聴警報は、第一次船橋警報でリセット操作が行われないまま15秒が経過すると、バックオフィサー又は船長室のような、ブリッジとは異なる遠隔地において可聴警報を出力する。第三次遠隔可聴警報は、第二次遠隔可聴警報からリセット操作が行われないまま90秒(0秒、90秒から180秒に変更可能)が経過すると、ブリッジとは異なる場所であって他の船員がいる船内における遠隔地で可聴警報を出力する。
【0016】
AIS114は、船舶の識別符号、種類、位置、針路、速力、航行状態及びその他の安全に関する情報を送受信し、船舶局相互間及び船舶局と陸上局の航行援助施設等との間で情報の送受信を行う。
【0017】
通信装置117は、クラウドシステム20とのデータ通信を行う。通信装置117としては、移動通信網や衛星通信が用いられる。
【0018】
端末装置120は例えばPC(Personal Computer)であり、表示部121と入力部122を備えている。
【0019】
椅子140は、操船者130が着席して操船を行う椅子である。椅子140には、振動部141が設けられる。振動部141は、例えば大小2段階に振動の大きさを設定できる。
【0020】
カメラ150は、操船者130の状態を撮像する。カメラ150は、操船者130が椅子140に座ったとき、操船者130の顔や全体像が撮影できる位置に、例えばブリッジの天井から設置される。また、カメラ150は、警報音を発するスピーカ151を内蔵している。スピーカ151からの警報音は、例えば大小2段階の異なる大きさのいずれかに設定できる。
【0021】
計算サーバ160は、各種の演算処理を行う。本実施形態では、計算サーバ160は、カメラ150によって撮像された操船者130の撮像画像から、居眠り状態や体調を崩した状態にあるかを判定する処理を行っている。このことについては、後に説明する。
【0022】
船側装置10としては、この他に、各種制御盤、エンジンの制御機構、操舵機構、各種のレーダー、気象観測装置等、各種の装置があるが、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0023】
クラウドシステム20は、船側装置10や陸側管理装置30から送られてきた各種の情報を蓄積する記憶部210を有している。そして、クラウドシステム20は、船側装置10や陸側管理装置30に、各種の情報を提供する。
【0024】
陸側管理装置30は、端末装置310と通信装置320を含んで構成される。端末装置310はPCであり、表示部311と操作部312を備えている。通信装置320は、クラウドシステム20と通信を行う。陸側管理装置30は、クラウドシステム20を介して、船側装置10からの情報を取得することができる。これにより、船舶の状態をモニタできる。また、陸側管理装置30は、クラウドシステム20を介して、船舶を遠隔操船することができる。
【0025】
<2.操船権の委譲について>
上述のように、本実施形態では、操船者130は椅子140に着席して操船を行う。そして、操船者130の状態を撮像するカメラ150が設けられており、カメラ150の撮像画像から、居眠り検知や体調異常の検知が行われる。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る操船管理システムでの判定処理を説明するためのブロック図である。図2に示すように、船側の端末装置120及び陸側管理装置30の端末装置310は、操船権を管理するためのプログラムを実行する操船権管理部125及び135を備える。また、計算サーバ160は、判定エンジン161を備える。判定エンジン161は、船舶において操船する操船者の操船に対する意識の高さを表す度合いに基づいて、船舶の操船権を、前記船側から陸側管理装置に委譲するかを判定する。判定エンジン161は、居眠り検知部162と体調異常検知部163とをする。
【0027】
居眠り検知を行う際には、カメラ150によって撮像された撮像画像がカメラ150から計算サーバ160に出力される。計算サーバ160は、高速演算処理が可能である。居眠り検知部162は、カメラ150で撮像された操船者130の撮像画像から、AI(Artificial Intelligence)処理により、居眠り状態にあるか否かを判定する。すなわち、居眠り検知部162は、カメラ150によって得られた操船者130の画像に基づいて、目が開いているか、瞬きをしているか等の状況を検知する。居眠り状態である場合には、意識の高さが低い度合いであると判定し、居眠りをしていない状態である場合には、意識の高さが高い度合いであると判定する。居眠りをし始めた段階である状態である場合には、意識の高さがやや低い度合いであると判定する。
【0028】
同様に、体調異常検知部163は、カメラ150で撮像された操船者130の撮像画像から、AI処理により、体調を崩している状態にあるかを判定する。すなわち、体調異常検知部163は、カメラ150によって得られた操船者130の画像に基づいて、苦しそうな表情であるか、床に倒れてしまっているか等の状況を検知出する。床に倒れている状態である場合には、意識の高さが最も低い度合いであると判定し、苦しそうな表情である状態である場合には、意識の高さがやや低い度合いであると判定し、周囲を確認したり正面をみたりしている場合には、意識の高さが高い度合いであると判定する。意識の高さについては、意識が高いほど、操船する意思があり、意識が低いほど、操船する意思が低い。
【0029】
船側装置10の端末装置120や陸側管理装置30の端末装置310は、判定エンジン161により判定された操船者130の船舶の操船に対する意識の高さを表す度合と、航海情報記録装置111に蓄積されている各種の情報に基づいて、船舶の操船権を、船舶と陸側管理装置30とのいずれに委譲するかを判定する。
【0030】
すなわち、操船者130が居眠り状態になったときには、何らかの対処が必要である。このとき、自船の周囲に他船が存在せず、水深が十分に深い場合には、事故になる危険性が低めであるため、操船者130に対して警報を出すことにより、操船者130が覚醒することを期待できる。しかしながら、自船の周囲に他船が存在する場合、水深が十分ではない場合、あるいは、操船者130が体調を崩しているような場合には、事故を回避するために、操船権を陸側管理装置30に委譲して、遠隔操船をすることが望まれる。また、自船の周囲に他船があったり、水深が十分でなかったりするような場合、あるいは、操船者130が体調を崩しており、事故になる危険性が高いときには、事故になる危険性が低いときに比べて、強い警報を出力させ、緊急事態であることを強く知らせる。
【0031】
<3.操船権の管理について>
操船権の管理は、船側の端末装置120及び陸側管理装置30の端末装置310で行うことができる。図3Aから図3Dは、操船権を管理する際の船側の表示画面の一例を示す図である。
【0032】
図3Aから図3Dに示すように、船側の端末装置120の表示部121には、船側に操船権があるかを指示するトグルスイッチ表示SW1と、陸側管理装置30への操船権の委譲許可を設定するトグルスイッチ表示SW2と、操船権の返却依頼を設定するトグルスイッチ表示SW3が表示される。なお、図3Aから図3Dでは、トグルスイッチ表示SW2は黒塗りとなっている。この黒塗りのトグルスイッチ表示は、操作できる状態であることを示している。
【0033】
図3Aにおいて表示画面G1の状態では、トグルスイッチ表示SW1が「YES」側、トグルスイッチ表示SW2が「YES」側、トグルスイッチ表示SW3が「NO」側に設定されている。このときには、操船権は船側にある。また、船側装置10への操船権の返却依頼は行われていない。トグルスイッチ表示SW2は、変更可能であり、トグルスイッチ表示SW2を「NO」側に変更させると、陸側管理装置30への操船権の委譲は不許可となる。
【0034】
図3Bにおいて表示画面G2は、居眠りや体調異常が検知されたときの表示部121の画面を示す。操船者130の居眠りや体調異常が検知されると、「居眠り/異常検知」の文字表示TX1が表示部121に表示される。表示画面G2に示すように、トグルスイッチ表示SW2が「YES」側に設定されていると、居眠りや体調異常の検知により、操船権は陸側管理装置30に委譲できる。ここでは、居眠りや体調異常の検知により、操船権が陸側管理装置30に移っている。このため、船側に操船権があるかを指示するトグルスイッチ表示SW1が「NO」側になっている。また、表示部121の表示画面の下部には、「陸で遠隔操船中」の文字表示TX2が表示される。文字表示TX1と文字表示TX2が表示されていることから、居眠りまたは体調の異常が検知され、陸側管理装置に操船権が委譲されていることを把握することができるようになっている。
【0035】
図3Cにおいて表示画面G3は、操船者130の居眠りや体調異常が解消され、正常状態に戻ったときの表示部121の画面を示す。正常状態に戻ると、「正常状態検知」の文字表示TX3が表示部121に表示される。正常状態に戻ったときには、操船権を船側に戻すことができる。ここで、トグルスイッチ表示SW3を「YES」側に設定すると、船側から陸側管理装置30に、操船権の返却依頼が送られる。トグルスイッチ表示SW3が「YES」側に設定される前の段階においては、表示部121の表示画面の下部において、「陸で遠隔操船中」の文字表示TX2が表示される。これにより、この段階においては、操船権が陸側管理装置にあることを把握することができるようになっている。
【0036】
図3Dにおいて表示画面G4は、船側から陸側管理装置30に、操船権の返却依頼を送っているときの表示部121の画面を示す。操船権の返却依頼を送っているときには、「操船権返却依頼中」の文字表示TX4が表示部121に表示されるとともに、「陸で遠隔操船中」の文字表示TX2が表示部121に表示される。そして、陸側管理装置30の端末装置310の表示部311に表示されるトグルスイッチ表示SW11を「NO」側に設定すると(図4の画面G14参照)、船側に操船権が戻る。操船権が船側に戻ると、表示部121の表示は、表示画面G1に示すような表示に戻る。
【0037】
図4Aから図4Dは、操船権を管理する際の陸側管理装置30の表示画面の一例を示す図である。
正常状態には、操船権は船側にある。図4Aから図4Dに示すように、陸側の端末装置310の表示部311には、陸側管理装置30に操船権があるかを指示するトグルスイッチ表示SW11が表示される。
図4Aにおいて表示画面G11で示すように、通常時には、トグルスイッチ表示SW11が「NO」側に設定されており、操船権が船側にあることが示される。
【0038】
図4Bにおいて表示画面G12は、操船者130の居眠りや体調異常が検知されたときの表示部311の画面を示す。居眠りや体調異常が検知されると、「居眠り/異常検知」の文字表示TX11が表示部311に表示される。操船者130の居眠りや体調異常が検知されたときには、操船権を陸側管理装置30に委譲できる。表示画面G12の状態では、操船権が陸側管理装置30に移っていることから、陸側管理装置30に操船権があるかを指示するトグルスイッチ表示SW11が「YES」側に変更できる。
【0039】
図4Cにおいて表示画面G13で示すように、トグルスイッチ表示SW11を「YES」側に変更することで、操船権が陸側管理装置30に移る。これに伴い、「居眠り/異常検知」の文字表示TX11とともに、「陸で遠隔操船中」の文字表示TX12が表示部311に表示される。また、「陸で遠隔操船中」の文字表示TX12が表示部311に表示される。
【0040】
図4Dにおいて表示画面G14は、正常状態に戻ったときの表示部311の画面を示す。正常状態に戻ると、「正常状態検知」の文字表示TX13が表示部311に表示される。また、このとき、陸側管理装置30で操船が続けられている段階であれば、「陸で遠隔操船中」の文字表示TX12が表示される。
【0041】
正常状態に戻ったときには、操船権を船側に戻すことができる。ここで、トグルスイッチ表示SW11を「NO」側に設定すると、船側に操船権が戻る。船側に操船権が戻ると、表示画面G11に戻る。
【0042】
<4.フローチャート>
次に、本発明の実施形態に係る操船管理システム1での処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0043】
<4-1.操船者の状態検知処理>
図5及び図6は、本発明の実施形態に係る操船管理システム1での処理についてフローチャートである。まず、図5を用いて操船権を委譲するかの判定処理について説明する。
【0044】
(ステップS1)航海情報記録装置111は、各種センサデータ等を収集し、収集した各種センサデータを航海情報記録装置111に記憶した後、通信装置117、クラウドシステム20を介して陸側管理装置30に送信する。
【0045】
(ステップS2)船側の計算サーバ160は、カメラ150から得られる操船者130の撮像画像を解析して、操船者130が居眠り状態であるか否かを判定する。計算サーバ160は、居眠りが検知されたら(ステップS2:Yes)、処理をステップS3に進め、居眠りが検知されなければ(ステップS2:No)、処理をステップS9に進める。
【0046】
(ステップS3)船側の端末装置120は、他船の全てについて自船に最接近するまでの時間が、基準時間以上であるか否かを判定する。例えば、船側の端末装置120は、他船に関する情報を取得することで存在が認識された他船が全てTCPA30分以上であるかを判定する。ここで、TCPA(Time to Closest Point of Approach)は、物標の速度、針路から、自船に最接近するまでの時間を示す。基準時間は任意に決めることができるが、この例では、30分である場合について説明する。端末装置120は、他船に関する情報を取得することで存在が認識された他船が全てTCPA30分以上である場合には(ステップS3:Yes)、処理をステップS4に処理を進め、TCPA30分以上でない場合(TCPA30分未満の他船がある場合)には(ステップS3:No)、処理をステップS11に進める。
【0047】
(ステップS4)船側の端末装置120は、電子海図システム112から、進行方向の水深が20m以上であるかを判定する。端末装置120は、進行方向の水深が20m以上なら(ステップS4:Yes)、処理をステップS5に進め、水深が20m以上でなければ(ステップS4:No)、処理をステップS11に進める。なお、進行方向の水深は、インターネット上のAPI(Application Programming Interface)で取得してもよい。
【0048】
(ステップS5)船側の端末装置120は、BNWAS113から、航海当直警報システムの警報段階が第二次又は第三次遠隔可聴警報状態かどうかを判定する。端末装置120は、第二次又は第三次遠隔可聴警報状態でないなら(ステップS5:Yes)、処理をステップS6に進め、第二次又は第三次遠隔可聴警報状態なら(ステップS5:No)、処理をステップS11に進める。
【0049】
(ステップS6)船側の端末装置120は、椅子140の振動部141を第1段階の大きさ(小振動)で振動させ、カメラ150のスピーカ151から第1段階の大きさ(小音量)で警報音を出力させて、処理をステップS7に進める。
【0050】
(ステップS7)船側の端末装置120は、居眠り解除の検知を受けたかを判定する。端末装置120は、居眠り解除の検知を受けたら(ステップS7:Yes)、処理をステップS8に進め、居眠り解除の検知を受けなければ(ステップS7:No)、処理をステップS11に進める。
【0051】
(ステップS8)船側の端末装置120は、ステップS1からステップS8のループよる居眠りの検知が10分以内に3回未満あったかを判定する。端末装置120は、10分以内に3回未満の検知であると判定した場合には(ステップS8:Yes)、処理をステップS1に戻し、10分以内に3回以上の検知がある場合には(ステップS8:No)、処理をステップS11に進める。
【0052】
(ステップS9)ステップS2で居眠りが検知されない場合には(ステップS2:No)、計算サーバ160は、カメラ150から得られる操船者130の撮像画像を解析して、操船者130の体調に異常があるか否かを判定する。端末装置120は、操船者130の体調に異常があると判定すると(ステップS9:Yes)、処理をステップS11に進め、体調に異常がないと判定すると(ステップS9:No)、処理をステップS10に進める。
【0053】
(ステップS10)船側の端末装置120は、BNWAS113から、航海当直警報システムの警報段階が第二次又は第三次遠隔可聴警報以上の状態かどうかを判定する。端末装置120は、第二次又は第三次遠隔可聴警報以上の状態なら(ステップS10:Yes)、処理をステップS11に進め、第二次又は第三次遠隔可聴警報以上でなければ(ステップS10:No)、処理をステップS1に戻す。
【0054】
(ステップS11)船側の端末装置120は、第三次遠隔可聴警報状態かどうかを判定する。端末装置120は、第三次遠隔可聴警報状態であると判定すると(ステップS11:Yes)、処理をステップS12に進め、第三次遠隔可聴警報状態ではないと判定すると(ステップS11:No)、処理をステップS13に進める。
【0055】
(ステップS12)船側の端末装置120は、第三次遠隔可聴警報を行うとともに、椅子140の振動部141を第2段階の大きさ(大振動)で振動させ、カメラ150のスピーカ151から、第2段階の大きさ(大音量)で警報音を出力させて、処理をステップS14に進める。
【0056】
(ステップS13)船側の端末装置120は、第二次遠隔可聴警報を行うとともに、椅子140の振動部141を第2段階の大きさ(大振動)で振動させ、カメラ150のスピーカ151から第2段階の大きさ(大音量)で警報音を出力させて、処理をステップS14に進める。
【0057】
(ステップS14)船側の端末装置120は、操船者130に異常が検知されたことを、通信装置117、クラウドシステム20を介して陸側管理装置30に送信して、処理をステップS15に進める。
【0058】
(ステップS15)船側の端末装置120は、陸側に船舶をサポートする陸側管理装置30があるかどうかを判定し、陸側に船舶をサポートする陸側管理装置30があれば(ステップS15:Yes)、処理を操船権委譲処理(図6のステップS21)に進め、船舶をサポートする陸側管理装置30がなければ(ステップS15:No)、処理をステップS1に戻す。
【0059】
<4-2.操船権の委譲処理>
上述のように、操船者130の居眠りや体調異常が検知されると、ステップS14で、船側の端末装置120から陸側管理装置30にその検知情報が送られ、陸側に遠隔操船可能なシステムがあれば、操船権の委譲処理に入る。図6を用いて操船権の委譲処理について説明する。
【0060】
(ステップS21)陸側管理装置30の端末装置310は、船側装置10が有している操船権を陸側から取るかを判定する。端末装置310は、陸側から操船権を取らない場合には(ステップS21:No)、処理をステップS1に戻し、船側装置10が有している操船権を陸側から取る場合には(ステップS21:Yes)、処理をステップS22に進める。なお、船側と連絡を取って、船側が操船できるかを聞くようにしてもよい。
【0061】
(ステップS22)船側の端末装置120は、陸側管理装置30に対して操船許可が与えられているかを判定する。すなわち、図3Aの表示画面G1に示したように、操船許可を与えるか否かについては、船側の端末装置120における、トグルスイッチ表示SW2の操作により設定される。端末装置310は、陸側管理装置30に操船許可があれば(ステップS22:Yes)、処理をステップS23に進め、操船許可がなければ(ステップS22:No)、処理をステップS1に戻す。
【0062】
(ステップS23)陸側管理装置30の端末装置310は、航海情報記録装置111から送られてくるセンサ情報を用いて、遠隔で船舶の操船を行い、処理をステップS24に進める。
【0063】
(ステップS24)船側の端末装置120は、BNWAS113から、居眠り解除通知又は第一次船橋可聴警報があったかを判定する。端末装置120は、居眠り解除通知又は第一次船橋可聴警報があれば(ステップS24:Yes)、処理をステップS25に進め、居眠り解除通知又は第一次船橋可聴警報がなければ(ステップS24:No)、ステップS23に処理を戻し、遠隔での操船を継続する。
【0064】
(ステップS25)船側の端末装置120は、操船権を船側に戻すような操船権返却依頼を行ったか否かを判定する。すなわち、図3Cの表示画面G3に示したように、操船権の返却依頼は、船側の端末装置120における、トグルスイッチ表示SW3に対する操作により設定される。船側の端末装置120においてトグルスイッチ表示SW3が「NO」から「YES」に操作されることで、操船権返却依頼が設定されると、操船権を船側装置10に戻す申請が、船側の端末装置120から陸側管理装置30の端末装置310に対して送信される。陸側管理装置30は、操船権を船側に戻す申請を受信した場合には(ステップS25:Yes)、処理をステップS26に進め、操船権を船側に戻す申請を受信していなければ(ステップS25:No)、処理をステップS23に戻し、遠隔での操船を継続する。
【0065】
(ステップS26)陸側管理装置30の端末装置310は、遠隔操船を解除するかを判定する。図4Dにおける表示画面G14で示したように、操船権の解除は、陸側の端末装置310における、トグルスイッチ表示SW11に対する操作により設定できる。陸側の端末装置310においてトグルスイッチ表示SW11が「YES」から「NO」に操作されることで、遠隔操船を解除する操作が行われた場合には(ステップS26:Yes)、処理をステップS27に進め、遠隔操船を解除しない場合(遠隔操船を解除する操作が行われていない場合)には(ステップS26:No)、処理をステップS23に戻し、遠隔での操船を継続する。
【0066】
(ステップS27)船側の端末装置120は、船側装置10に対して操船権を戻して、処理をステップS1に戻す。
【0067】
<5.各状態での処理>
次に、図5及び図6のフローチャートを参照しながら、操船者の各状態での処理について説明する。
【0068】
<5-1.正常状態での処理>
正常状態では、船側に操船権がある。図5におけるステップS1で、航海情報記録装置111は、各種センサデータ等を収集し、収集した各種センサデータ等をクラウドシステム20を介して陸側管理装置30に送信する(ステップS1)。そして、正常状態では、ステップS2において、操船者130が居眠り状態ではないと判定され(ステップS2:No)、ステップS9において、体調異常ではないと判定され(ステップS9:No)、ステップS10において第二又は第三次遠隔可聴警報以上ではないと判定される(ステップS10:No)。したがって、ステップS1、ステップS2、ステップS9、ステップS10、ステップS1のループが繰り返され、船側での操船が続けられる。
【0069】
<5-2.操船者が居眠りをしている場合の処理>
<5-2-1.操船権の委譲を伴わない場合>
操船者130が居眠りをしても、以下のような条件の場合には、直ちに事故になる危険性は少ない。
(1)他船に関する情報を取得することで存在が認識された他船がTCPA30分以上である。
(2)進路方向の水深が20m以上である。
(3)第二次又は第三次遠隔可聴警報以上ではない。
【0070】
すなわち、TCPA30分以内に他船がない場合には、船の衝突の可能性は低い。水深が20m以上ある場合には、座礁の可能性は低い。第二次又は第三次遠隔可聴警報状態でなければ、BNWASでの警報は、第一次船橋警報以下であり、操船者130の意識はそれほど下がっていないと考えられる。(1)から(3)の条件が満足しているか否かは、ステップS3からステップS5の処理を実行することによって判定される。そして、ステップS3からステップS5の条件を満足していれば(ステップS3からステップS5がいずれもYesの場合)、ステップS6の処理を実行することによって警報が行われる。このときの警報は、椅子140の振動部141の振動が第1段階の大きさ(小振動)であり、カメラ150のスピーカ151から警報音が第1段階の大きさ(小音量)である。ここで、操船者130が居眠りに気付き、居眠り解除の操作を行った場合には、ステップS7において、居眠り解除が検知される。
【0071】
ここで、操船者130の意識が上がらず、居眠り状態が解除されなければ、ステップS2において、再び居眠り状態であることが検知されることで、ステップS1からステップS8の処理が繰り返される。そして、居眠りなしの状態から居眠りありを検知した時点から10分が経過するまでの間の検知回数が3回に到達した場合には、ステップS11に処理が移される。
【0072】
以上のように、操船者130が居眠りをした場合でも、上述の(1)から(3)の条件を満たしている場合には、ステップS6で、小振動及び小音量の警報が出力された後、操船者130の意識が戻った場合には、操船権の委譲は行われず、正常状態の処理に戻される。また、操船者130の意識が上がらず、居眠り状態が解除されなければ、ステップS2で再び居眠り状態が検知され、ステップS1からステップS8の処理が繰り返される。そして、居眠りなしの状態から居眠りありを検知した時点から10分が経過するまでの間に3回以上、ステップS1からステップS8の処理が繰り返されると、ステップS11に処理が移される。
【0073】
<5-2-2.操船権の委譲を行う場合>
操船者130が居眠りをしたときに、上述の(1)から(3)の条件を満たしていない場合には、安全を確保するために、陸側管理装置30に操船権を委譲する処理に入る。また、ステップS6において警報を出力しても、操船者130の意識が上がらず、居眠り状態が解除されなければ、陸側管理装置30に操船権を委譲する処理に入る。
【0074】
すなわち、ステップS2で操船者130の居眠りが検知されると、ステップS3からステップS5で、上述の(1)から(3)の条件に該当するか否かが判定され、ステップS3からステップS5の条件を満足しない場合(少なくともいずれかのステップにおいてNOの場合)には、ステップS11に処理が移る。また、上述の(1)から(3)の条件を満足している場合でも、ステップS7において居眠りの解除を検知することができなかった場合には、ステップS11に処理を移す。また、上述の(1)から(3)の条件を満足し、ステップS7において居眠りの解除を検知した場合であっても、ステップS1からステップS8の処理が、居眠りなしの状態から居眠りありを検知してから10分が経過するまでの間に3回以上繰り返される場合には、ステップS11に処理が移る。
【0075】
ステップS11では、第三次遠隔可聴警報であるか否かが判定され、第三次遠隔可聴警報状態なら(ステップS11:Yes)、第三次遠隔可聴警報とともに、椅子140の振動部141が第2段階(大振動)で振動し、カメラ150のスピーカ151から第2段階(大音量)で警報が出力される(ステップS12)。また、ステップS11で、第三次遠隔可聴警報状態でなければ(ステップS11:No)、第二次遠隔可聴警報とともに、椅子140の振動部141が第2段階(大振動)で振動し、カメラ150のスピーカ151から第2段階(大音量)で警報が出力される(ステップS13)。このように、ステップS12及びステップS13の警報では、ステップS6での警報より、椅子140の振動部141が大きく振動し、カメラ150のスピーカ151から出力される警報音が大音量となり、緊急性が高いことが知らされる。そして、ステップS14で、陸側管理装置30に検知信号が送信され(ステップS14)、陸側に遠隔操船が可能なシステム(陸側管理装置30)があれば(ステップS15:Yes)、ステップS21から、操船権を陸側管理装置30に委譲する処理が開始される。
【0076】
操船権を陸側管理装置30に委譲する処理では、図6におけるステップS21で陸側管理装置30が操船権を取るか否かが判定され、陸側管理装置30が操船権を取る場合には(ステップS21:Yes)、ステップS22で陸側に操船許可があるかが判定され、操船許可がある場合には(ステップS22:Yes)、遠隔で船舶の操船が行われる(ステップS23)。
【0077】
以上のように、操船者130が居眠りをしたときに、上述の(1)から(3)の条件を満たしていない場合、又は上述の(1)から(3)の条件を満足している場合でも、ステップS1からステップS8の処理が10分以内に3回以上繰り返される場合には、ステップS11に処理が移され、ステップS11からステップS15の処理により、大振動及び大音量の警報が出力された後、操船権を陸側管理装置30に委譲する処理に移行される。
【0078】
<5-3.操船者が体調を崩した場合>
操船者130が体調を崩したときには、ステップS9で、体調異常と判定され(ステップS9:Yes)、ステップS11に処理が進められる。また、ステップS9で体調異常と判定されない場合にも(ステップS9:No)、ステップS10で、第二次又は第三次遠隔可聴警報以上である場合には、ステップS11に処理が進められる。ステップS11以降の処理は、前述と同様である。
【0079】
以上のように、操船者130が体調を崩した場合、又は第二次又は第三次遠隔可聴警報以上である場合には、ステップS11に処理が移される。そして、前述と同様に、ステップS11からステップS15の処理により、大振動及び大音量の警報が出力された後、操船権を陸側管理装置30に委譲する処理が開始される。
【0080】
なお、上述の実施形態では、居眠り検知や体調異常の検知を計算サーバ160で行っているが、端末装置120、カメラ150のいずれかで行っても良い。また、通信装置117を介してクラウドシステム20と通信を行い、クラウドシステム20またはクラウドシステム20に接続される外部のサーバで居眠り検知や体調検知を行っても良い。
【0081】
また、上述の実施形態では、カメラ150の撮像画像を基に、居眠り検知や体調異常の検知を行っているが、生体センサをカメラ150の近傍に設け、操船者130の心拍、血圧、体温等の生体情報を測定し、測定された生体情報を用いて、居眠り検知や体調異常の検知を行うようにしても良い。
【0082】
上述した実施形態における操船管理システム1の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0083】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10…船側装置、20…クラウドシステム、30…陸側管理装置、120…端末装置、140…椅子、141…振動部、150…カメラ、160…計算サーバ、161…判定エンジン、162居眠り検知部、163…体調異常検知部310…端末装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6