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特開2024-56403制御パケット送信システム、制御パケット送信方法、及び制御パケット送信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056403
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】制御パケット送信システム、制御パケット送信方法、及び制御パケット送信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20240416BHJP
   H04L 45/24 20220101ALI20240416BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240416BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
H04W24/04
H04L45/24
H04W72/04 111
H04W76/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163256
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】川崎 耀
(72)【発明者】
【氏名】伊深 和雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 誉
(72)【発明者】
【氏名】松村 武
【テーマコード(参考)】
5K030
5K067
【Fターム(参考)】
5K030GA03
5K030HC09
5K030JL01
5K067AA02
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
(57)【要約】
【課題】MP-TCPにより通信の信頼性を確保しつつ、スループットの改善を図ることができる制御パケット送信システム、制御パケット送信方法、及び制御パケット送信プログラムを提供する。
【解決手段】制御パケット送信システム100は、MP-TCPを用いて無線通信するクライアントサーバシステムを構成する要求側装置1と応答側装置2との間で、複数の無線通信パス3を介して制御パケットを相互に送信する。応答側装置2に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、応答側装置2に対して送信する要求側装置1と、要求側装置1において送信された第1要求パケットを最初に受信したとき、第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、要求側装置1に対して送信する応答側装置2と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信パスを介して無線通信する、MP-TCP(Multi Path - Transmission Control Protocol)を用いたクライアントサーバシステムを構成する、制御を要求する要求側装置と、要求側装置からの制御の要求に応答する応答側装置との間で、制御情報を格納する制御パケットを相互に送信する制御パケット送信システムであって、
制御パケットのうち応答側装置に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信する要求側装置と、
前記要求側装置において送信された前記第1要求パケットを最初に受信したとき、前記制御パケットのうち前記第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、前記要求側装置に対して送信する前記応答側装置と、
を備えること
を特徴とする制御パケット送信システム。
【請求項2】
前記要求側装置は、前記制御パケットのうち前記応答側装置に対する接続または切断の要求を示す複数の前記第1要求パケットを、少なくとも2以上の前記無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信し、
前記応答側装置は、前記要求側装置において送信された前記第1要求パケットを最初に受信したとき、複数の前記第1応答パケットを、当該少なくとも2以上の前記無線通信パスのうち少なくとも何れかを介して、前記要求側装置に対して送信し、
当該少なくとも2以上の前記無線通信パスは、前記要求側装置が、前記応答側装置において送信された前記第1応答パケットを最初に受信したとき、接続または切断が確立すること
を特徴とする請求項1に記載の制御パケット送信システム。
【請求項3】
前記応答側装置が最初に受信した前記第1要求パケットの送信に用いられる前記無線通信パスと、前記要求側装置が最初に受信した前記第1応答パケットの送信に用いられる前記無線通信パスとは、異なる通信規格に準拠した無線通信であること
を特徴とする請求項1に記載の制御パケット送信システム。
【請求項4】
前記要求側装置は、前記第2パケット通信ステップで送信された複数の前記第1応答パケットを最初に受信する前に、前記応答側装置に対する前記第1要求パケットの送信を複数回実行すること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の制御パケット送信システム。
【請求項5】
無線通信パスを介して無線通信する、MP-TCPを用いたクライアントサーバシステムを構成する、制御を要求する要求側装置と、要求側装置からの制御の要求に応答する応答側装置との間で、制御情報を格納する制御パケットを相互に送信する制御パケット送信方法であって、
制御パケットのうち応答側装置に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信する第1パケット通信ステップと、
前記第1パケット通信ステップにおいて送信された前記第1要求パケットを、前記応答側装置が最初に受信したとき、前記制御パケットのうち前記第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、前記要求側装置に対して送信する第2パケット通信ステップと、
をコンピュータが実行すること
を特徴とする制御パケット送信方法。
【請求項6】
無線通信パスを介して無線通信する、MP-TCPを用いたクライアントサーバシステムを構成する、制御を要求する要求側装置と、要求側装置からの制御の要求に応答する応答側装置との間で、制御情報を格納する制御パケットを相互に送信するための制御パケット送信プログラムであって、
制御パケットのうち応答側装置に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信する第1パケット通信ステップと、
前記第1パケット通信ステップにおいて送信された前記第1要求パケットを、前記応答側装置が最初に受信したとき、前記制御パケットのうち前記第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、前記要求側装置に対して送信する第2パケット通信ステップと、
をコンピュータに実行させること
を特徴とする制御パケット送信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御パケット送信システム、制御パケット送信方法、及び制御パケット送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信頼性の高い通信を実現するために使用されるプロトコルとして、TCP(Transmission Control Protocol)を利用する場合が多い。しかしながら、TCPは一度に一つの通信回線しか利用することができないという問題点があり、通信速度や通信の信頼性が通信回線の性能に依存しやすくなるという問題点があった。
【0003】
そこで、非特許文献1に開示される、MP-TCP(Multi Path - Transmission Control Protocol)という手法が提案されている。MP-TCPは、複数のネットワークインタフェースによる通信リンクを使用してデータ伝送を行うトランスポート層技術であり、データセンターなどの有線環境の他、近年では無線環境でも有効性が報告されており、既にiOSでサポートされるなど、注目が高まっている。例えばスマートフォンなどの移動通信デバイスは、複数のネットワークインタフェース(例えばWiFi(Wireless Fidelity)(登録商標)とセルラー等)を具備することが一般的になっており、今後さらにBeyond5Gシステムに対するインターフェースが追加されることが予想される。このことから、MP-TCPが通信分野(特に移動体通信)で果たすべき役割はますます大きくなると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TCP Extensions for Multipath Operation with Multiple Addresses, IETF, RFC 8684.(https://www.rfc-editor.org/info/rfc8684)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、MP-TCPでは、無線通信において生じ得るフェージング等の影響により、送信した制御パケットの消失や到着遅延が生じることで、無線通信のスループットや信頼性、遅延性の観点で深刻な性能劣化を及ぼすことが懸念される。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、MP-TCPにより通信の信頼性を確保しつつ、スループットの改善を図ることができる制御パケット送信システム、制御パケット送信方法、及び制御パケット送信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明における制御パケット送信システムによれば、無線通信パスを介して無線通信する、MP-TCPを用いたクライアントサーバシステムを構成する、制御を要求する要求側装置と、要求側装置からの制御の要求に応答する応答側装置との間で、制御情報を格納する制御パケットを相互に送信する制御パケット送信方法であって、制御パケットのうち応答側装置に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信する要求側装置と、前記要求側装置において送信された前記第1要求パケットを最初に受信したとき、前記制御パケットのうち前記第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、前記要求側装置に対して送信する前記応答側装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明における制御パケット送信システムによれば、第1発明において、前記要求側装置は、前記制御パケットのうち前記応答側装置に対する接続または切断の要求を示す複数の前記第1要求パケットを、少なくとも2以上の前記無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信し、前記応答側装置は、前記要求側装置において送信された前記第1要求パケットを最初に受信したとき、複数の前記第1応答パケットを、当該少なくとも2以上の前記無線通信パスのうち少なくとも何れかを介して、前記要求側装置に対して送信し、当該少なくとも2以上の前記無線通信パスは、前記要求側装置が、前記応答側装置において送信された前記第1応答パケットを最初に受信したとき、接続または切断が確立することを特徴とする。
【0009】
第3発明における制御パケット送信システムによれば、第1発明において、前記応答側装置が最初に受信した前記第1要求パケットの送信に用いられる前記無線通信パスと、前記要求側装置が最初に受信した前記第1応答パケットの送信に用いられる前記無線通信パスとは、異なる通信規格に準拠した無線通信であることを特徴とする。
【0010】
第4発明における制御パケット送信システムによれば、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記要求側装置は、前記第2パケット通信ステップで送信された複数の前記第1応答パケットを最初に受信する前に、前記応答側装置に対する前記第1要求パケットの送信を複数回実行することを特徴とする。
【0011】
第5発明における制御パケット送信方法によれば、無線通信パスを介して無線通信する、MP-TCPを用いたクライアントサーバシステムを構成する、制御を要求する要求側装置と、要求側装置からの制御の要求に応答する応答側装置との間で、制御情報を格納する制御パケットを相互に送信する制御パケット送信方法であって、制御パケットのうち応答側装置に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信する第1パケット通信ステップと、前記第1パケット通信ステップにおいて送信された前記第1要求パケットを、前記応答側装置が最初に受信したとき、前記制御パケットのうち前記第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、前記要求側装置に対して送信する第2パケット通信ステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0012】
第6発明における制御パケット送信プログラムによれば、無線通信パスを介して無線通信する、MP-TCPを用いたクライアントサーバシステムを構成する、制御を要求する要求側装置と、要求側装置からの制御の要求に応答する応答側装置との間で、制御情報を格納する制御パケットを相互に送信するための制御パケット送信プログラムであって、制御パケットのうち応答側装置に対する要求を示す複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、前記応答側装置に対して送信する第1パケット通信ステップと、前記第1パケット通信ステップにおいて送信された前記第1要求パケットを、前記応答側装置が最初に受信したとき、前記制御パケットのうち前記第1要求パケットに対する応答を示す複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、前記要求側装置に対して送信する第2パケット通信ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明~第4発明によれば、制御パケット送信システムは、複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、応答側装置に対して送信する要求側装置と、第1要求パケットを最初に受信したとき、複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、要求側装置に対して送信する応答側装置と、を備える。このため、要求側装置に対して第1応答パケットをより早く受信させることができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットの改善を図ることができる。
【0014】
特に、第2発明によれば、要求側装置は、接続または切断の要求を示す複数の第1要求パケットを少なくとも2以上の無線通信パスを介して応答側装置に対して送信し、応答側装置は、第1要求パケットを最初に受信したとき、複数の第1応答パケットを、当該少なくとも2以上の無線通信パスのうち少なくとも何れかを介して要求側装置に対して送信し、当該少なくとも2以上の無線通信パスは、要求側装置が第1応答パケットを最初に受信したとき、接続または切断が確立する。このため、一の無線通信パスを介して送信される制御パケットの送受信に基づき、複数の無線通信パスのコネクションを確立することができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットのさらなる改善を図ることができる。
【0015】
特に、第3発明によれば、応答側装置が最初に受信した第1要求パケットの送信に用いられる無線通信パスと、要求側装置が最初に受信した第1応答パケットの送信に用いられる無線通信パスとは、異なる通信規格に準拠した無線通信である。このため、要求側装置が第1要求パケットを送信してから、要求側装置が第1応答パケットを受信するまでの間で、一時的に有効な無線通信パスを選択することができる。これにより、移動体通信するクライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、より確実にスループットの改善を図ることができる。
【0016】
特に、第4発明によれば、要求側装置は、要求側装置において、第1応答パケットを最初に受信する前に、第1要求パケットの送信を複数回実行する。このため、要求側装置による第1要求パケットの送信が、無線通信パス間の通信品質のゆらぎに起因する影響を受けにくい。これにより、要求側装置に対して第1応答パケットをより早く受信させる確度の向上を図ることができる。
【0017】
第5発明によれば、制御パケット送信方法は、複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、応答側装置に対して送信する第1パケット通信ステップと、第1要求パケットを応答側装置が最初に受信したとき、複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、要求側装置に対して送信する第2パケット通信ステップと、をコンピュータが実行する。このため、要求側装置に対して第1応答パケットをより早く受信させることができる。これにより、通信の信頼性が確保されつつ、スループットの改善を図られたクライアントサーバシステムを提供することができる。
【0018】
第6発明によれば、制御パケット送信プログラムは、複数の第1要求パケットを、少なくとも1以上の無線通信パスを介して、応答側装置に対して送信する第1パケット通信ステップと、第1要求パケットを応答側装置が最初に受信したとき、複数の第1応答パケットを、少なくとも1以上の前記無線通信パスを介して、要求側装置に対して送信する第2パケット通信ステップと、をコンピュータに実行させる。このため、要求側装置に対して第1応答パケットをより早く受信させることができる。これにより、通信の信頼性が確保されつつ、スループットの改善を図られたクライアントサーバシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態における制御パケット送信システムの構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、第1実施形態における制御パケット送信システムが送信する制御パケットの一例を示す模式図である。
図5図5は、第1実施形態における制御パケット送信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、第1実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の第1変形例を示すシーケンス図である。
図8図8は、第1実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の第2変形例を示すシーケンス図である。
図9図9は、第2実施形態における制御パケット送信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の一例を示すシーケンス図である。
図11図11は、第2実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の第1変形例を示すシーケンス図である。
図12図12は、第2実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の第2変形例を示すシーケンス図である。
図13図13は、第3実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な構成の一例を示す模式図である。
図14図14は、第3実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の一例を示すシーケンス図である。
図15図15は、第3実施形態における制御パケット送信システムを構成する各装置の詳細な動作の変形例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態としての制御パケット送信システム、制御パケット送信方法、及び制御パケット制御プログラムの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態:制御パケット送信システム100)
図1図3を参照して、本実施形態における制御パケット送信システム100の一例を説明する。図1は、本実施形態における制御パケット送信システム100の構成の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の構成の一例を示す模式図である。図3は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な構成の一例を示す模式図である。
【0022】
<制御パケット送信システム100>
制御パケット送信システム100は、要求側装置1と、応答側装置2と、要求側装置1と応答側装置2とを通信可能に接続する複数の無線通信パス3と、を備える。制御パケット送信システム100は、MP-TCP(Multi Path - Transmission Control Protocol)を用いて無線通信するクライアントサーバシステムである。ここで、制御パケットとは、当該クライアントサーバシステムを構成する各装置の制御情報を含むパケットを指す。当該クライアントサーバシステムを構成する要求側装置1と応答側装置2とは、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、制御パケットを相互に送信する。なお、当該クライアントサーバシステムは、例えば1以上のクライアントと1のサーバとで構成される。当該クライアントサーバシステムの各装置1、2の接続形態の例としては、バス型、スター型等が挙げられる。ここでは、説明の簡略化のため、要求側装置1と応答側装置2とが1台ずつである場合を例にとり説明をするが、これに限定されるものではなく、何れかの装置1、2が複数台で構成されてもよい。
【0023】
<要求側装置1>
要求側装置1は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、制御パケットを応答側装置2に対して送信する。要求側装置1は、例えばクライアントサーバシステムを構成するクライアント装置であり、生成した制御パケットを、当該システムを構成するサーバに対して送信する。要求側装置1は、例えばラップトップ(ノート)PC又はデスクトップPC等の電子機器が用いられる。
【0024】
要求側装置1は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、要求側装置1から応答側装置2に対する要求を示す複数の制御パケットを生成し、応答側装置2に対して送信する。
【0025】
要求側装置1は、例えばクライアントサーバシステムを構成するサーバ装置でもよく、この場合、生成した制御パケットを、当該システムを構成するクライアント装置に対して送信する。
【0026】
要求側装置1は、例えば図2に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0027】
要求側装置1の各構成の機能は以下のとおりである。CPU101は、要求側装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、データベースや学習対象データ等の各種情報が記憶される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば要求側装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0028】
I/F105は、無線通信パス3を介して、必要に応じて応答側装置2との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、要求側装置1のオペレータ等は、入力部108を介して、各種情報、又は要求側装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報を表示する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式の場合、入力部108と一体に設けられる。
【0029】
要求側装置1は、例えば図3に示すように、第1パケット通信部11を有する。要求側装置1は、例えば第1パケット生成部12と、第1パケット記憶部13と、を有してもよい。各構成11、12、13は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。要求側装置1は、要求側装置1以外の装置で生成された制御パケットを送信してもよく、要求側装置1以外の装置に記憶された制御パケットを送信してもよい。なお、第1パケット通信部11が制御パケットを受信したとき、要求側装置1が制御パケットを受信したものとみなす。
【0030】
<第1パケット通信部11>
第1パケット通信部11は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、制御パケットを応答側装置2に対して送信する。第1パケット通信部11は、例えばメインフローTCP111を有し、メインフローTCP111内に、サブフローTCP112と、サブフローTCP113と、を有する。各サブフローTCP112、113には、各アドレスA1、A2が設定されている。なお、各サブフローTCP112、113の何れかが制御パケットを受信したとき、第1パケット通信部11が制御パケットを受信したものとみなす。
【0031】
サブフローTCP112は、例えば後述の、応答側装置2の第2パケット通信部21が有するサブフローTCP212と、第1無線通信パス3aを介して接続される。第1パケット通信部11は、サブフローTCP112から、第1無線通信パス3aを介してサブフローTCP212に対して制御パケットを送信する。
【0032】
サブフローTCP113は、例えば後述の、応答側装置2の第2パケット通信部21が有するサブフローTCP213と、第2無線通信パス3bを介して接続される。第1パケット通信部11は、サブフローTCP113から、第2無線通信パス3bを介してサブフローTCP213に対して制御パケットを送信する。
【0033】
<第1パケット生成部12>
第1パケット生成部12は、例えば要求側装置1から応答側装置2に対する要求を示す複数の制御パケットを生成する。
【0034】
<第1パケット記憶部13>
第1パケット記憶部13は、例えば第1パケット生成部12が生成した制御パケットを記憶する。第1パケット記憶部13は、各構成11、12により取得又は生成された各種制御パケットを、必要に応じて保存部104に保存する。
【0035】
<応答側装置2>
応答側装置2は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、制御パケットを要求側装置1に対して送信する。応答側装置2は、例えばクライアントサーバシステムを構成するサーバ装置であり、生成した制御パケットを、当該システムを構成するクライアントに対して送信する。応答側装置2は、例えばラップトップ(ノート)PC又はデスクトップPC等の電子機器が用いられる。
【0036】
応答側装置2は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、要求側装置1から応答側装置2に対する要求に対する、応答を示す複数の制御パケットを生成し、要求側装置1に対して送信する。
【0037】
応答側装置2は、例えばクライアントサーバシステムを構成するクライアント装置でもよく、この場合、生成した制御パケットを、当該システムを構成するサーバに対して送信する。
【0038】
応答側装置2は、例えば図2に示す要求側装置1の構成と同様であり、筐体10に対応する図示しない筐体と、CPU101に対応する図示しないCPUと、ROM102に対応する図示しないROMと、RAM103に対応する図示しないRAMと、保存部104に対応する図示しない保存部と、I/F105~107に対応する1以上の図示しないI/Fとを備える。これらの各構成は、内部バス110に対応する図示しない内部バスにより接続される。また、応答側装置2のこれらの各構成の機能については、例えば要求側装置1の対応する各構成と同様の機能を有するものとし、説明を省略する。
【0039】
応答側装置2は、例えば図3に示すように、第2パケット通信部21を有する。応答側装置2は、例えば第2パケット生成部22と、第2パケット記憶部23と、を有してもよい。各構成21、22、23は、応答側装置2内のCPUが、RAMを作業領域として、保存部等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。応答側装置2は、応答側装置2以外の装置で生成された制御パケットを送信してもよく、応答側装置2以外の装置に記憶された制御パケットを送信してもよい。なお、第2パケット通信部21が制御パケットを受信したとき、応答側装置2が制御パケットを受信したものとみなす。
【0040】
<第2パケット通信部21>
第2パケット通信部21は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、制御パケットを要求側装置1に対して送信する。第2パケット通信部21は、例えばメインフローTCP211を有し、メインフローTCP211内に、サブフローTCP212と、サブフローTCP213と、を有する。各サブフローTCP212、213には、各アドレスB1、B2が設定されている。なお、各サブフローTCP212、213の何れかが制御パケットを受信したとき、第2パケット通信部21が制御パケットを受信したものとみなす。
【0041】
サブフローTCP212は、例えば要求側装置1の第1パケット通信部11が有するサブフローTCP112と、第1無線通信パス3aを介して接続される。第2パケット通信部21は、サブフローTCP212から、第1無線通信パス3aを介してサブフローTCP112に対して制御パケットを送信する。
【0042】
サブフローTCP213は、例えば要求側装置1の第1パケット通信部11が有するサブフローTCP113と、第2無線通信パス3bを介して接続される。第2パケット通信部21は、サブフローTCP213から、第2無線通信パス3bを介してサブフローTCP113に対して制御パケットを送信する。
【0043】
<第2パケット生成部22>
第2パケット生成部22は、例えば要求側装置1から応答側装置2への要求に対する、応答を示す複数の制御パケットを生成する。
【0044】
<第2パケット記憶部23>
第2パケット記憶部23は、例えば第2パケット生成部22が生成した制御パケットを記憶する。第2パケット記憶部23は、各構成21、22により取得又は生成された各種制御パケットを、必要に応じて応答側装置2を構成する図示しない保存部に保存する。
【0045】
<無線通信パス3>
無線通信パス3は、要求側装置1と応答側装置2とを、無線通信可能に接続する。本発明はMP-TCPを用いるため、制御パケット送信システム100には、通信可能な複数の無線通信パス3が存在し、無線通信時に、1以上の無線通信パス3が選択される。無線通信パス3の例としては、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wigig(Wireless Gigabit)(登録商標)等の規格に準拠した無線通信が挙げられる。
【0046】
ここで、複数の無線通信パス3とは、例えば上記の無線通信パス3の例のうち異なる無線通信パス3の組み合わせを指す。すなわち、無線通信パス3aと、無線通信パス3bとは、異なる規格に準拠した無線通信であり、例えば通信速度が異なる。制御パケット送信システム100は、制御パケットを送信する時点での、各無線通信パス3a、3bの通信速度や通信品質等に応じて、任意の無線通信パス3を1以上選択してもよい。
【0047】
(第1実施形態:制御パケット送信システム100の動作の一例)
次に、図4図8を参照して、本実施形態における制御パケット送信システム100の動作の一例を説明する。図4は、本実施形態における制御パケット送信システム100が送信する制御パケットの一例を示す模式図である。図5は、本実施形態における制御パケット送信システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図6は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の一例を示すシーケンス図である。図7は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の第1変形例を示すシーケンス図である。図8は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の第2変形例を示すシーケンス図である。
【0048】
制御パケット送信システム100は、例えば各装置内にインストールされた制御パケット送信プログラムを介して実行する。
【0049】
ここで、制御パケット送信システム100において送受信される制御パケットD1は、例えば図4に示すように、要求パケットD11と、応答パケットD12とを含む。
【0050】
<要求パケットD11>
要求パケットD11は、制御パケットD1のうち、要求側装置1から応答側装置2に対する要求を示す制御パケットである。要求パケットD11の例としては、応答側装置2に対する通信接続の要求を示すSYNパケット、応答側装置2に対して受信したデータを速やかにアプリケーション層へ引き渡すことの要求を示すPSHパケット、データの緊急処理の要求を示すURGパケット、応答側装置2に対する通信切断の要求を示すFINパケット、等が挙げられる。
【0051】
なお、要求パケットD11は、要求側装置1から応答側装置2への要求と同様に、応答側装置2から要求側装置1への要求を含んでもよい。ここでは、要求パケットD11のうち、要求側装置1から応答側装置2への要求を示す制御パケットを第1要求パケットD111、応答側装置2から要求側装置1への要求を示す制御パケットを第2要求パケットD112とする場合を例にとり説明をする。
【0052】
なお、要求パケットD11がSYNパケットであるとき、当該要求パケットD11が送信された時点では、各装置1、2の間でコネクションが確立していないものとし、当該要求パケットD11に対する肯定応答がされた時点で、各装置1、2の間でコネクションが確立するものとする。また、要求パケットD11がSYNパケット以外の制御パケット(例えば上記のPSHパケット、URGパケット、FINパケット等)であるとき、各装置1、2の間では、コネクションが既に確立済みであるものとする。
【0053】
<応答パケットD12>
応答パケットD12は、制御パケットD1のうち、要求側装置1から応答側装置2に対する要求への応答を示す制御パケットである。応答パケットD12の例としては、応答側装置2に対する要求への肯定応答を示すACKパケット、応答側装置2に対する要求への否定応答を示すNACKパケット、応答側装置2への接続要求または接続状態に対する一方的な切断の応答を示すRSTパケット、等が挙げられる。
【0054】
なお、応答パケットD12は、応答側装置2から要求側装置1への要求に対する応答内容を含んでもよい。本発明では、応答パケットD12のうち、要求側装置1から応答側装置2への要求に対する応答を示す制御パケットを第1応答パケットD121、応答側装置2から要求側装置1への要求に対する応答を示す制御パケットを第2応答パケットD122とする。
【0055】
制御パケット送信システム100の動作は、例えば図5に示すように、第1パケット通信ステップS11と、第2パケット通信ステップS12と、を含む。第1パケット通信ステップS11の前に、制御パケット送信システム100では、第1パケット生成部12において複数の第1要求パケットD111(D111a、D111b)が生成され、または制御パケット送信システム100の外部で生成された複数の第1要求パケットD111が第1パケット記憶部13に記憶される。
【0056】
<第1パケット通信ステップS11>
時刻T1において、第1パケット通信ステップS11を実施する。第1パケット通信ステップS11において、第1パケット通信部11は、例えば図6に示すように、制御パケットD1のうち、要求側装置1から応答側装置2に対する要求を示す、少なくとも2以上の第1要求パケット(D111a、D111b、…)を、少なくとも2以上の無線通信パス3(3a、3b…)を介して、応答側装置2に対して送信する。この場合、無線通信パス3のパケット通信速度等に起因するリスクを低減することができる。これにより、スループットのさらなる改善を図ることができる。ここでは、説明の簡略化のため、第1要求パケットD111の数を2、無線通信パス3の数を2、として説明する。なお、時刻Tは、昇順(T1、T2、T3、…)に時間の経過を示す。また、例えば時刻T、時刻T3a、T3b、T3cは、それぞれ同様の処理が異なる時刻においてなされることを示すものとし、他の時刻についても同様とする。以下の説明においても同様とする。
【0057】
ここで、複数の第1要求パケットD111(D111a、D111b、…)は、例えば要求側装置1から同時に送信されてもよく、時間差(例えば約1秒間以内)を設けて、複数の第1要求パケットD111(D111a、D111b、…)を時系列的に順次送信してもよく、以下も同様である。ここで、図6の例では、第1無線通信パス3aを介して第1要求パケットD111aを、第2無線通信パス3bを介して第1要求パケットD111bを送信しているが、各無線通信パス3(3a、3b、…)と、各第1要求パケットD111(D111a、D111b、…)と、の組み合わせを自由に入れ替えてもよい。
【0058】
<第2パケット通信ステップS12>
時刻T3において、第2パケット通信ステップS12を実施する。第2パケット通信ステップS12において、第2パケット通信部21は、第1パケット通信部11から送信された第1要求パケットD111を最初に受信したとき、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、第1要求パケットD111に対する応答内容を示す複数の第1応答パケットD121を、要求側装置1に対して送信する。
【0059】
ここで、第1要求パケットD111を最初に受信したときとは、第1パケット通信部11から送信された複数の第1要求パケットD111(D111a、D111b、…)の送信タイミングの先後を問わず、第1パケット通信部11において何れかの第1要求パケットD111が送信された後に、第2パケット通信部21において何れかの第1要求パケットD111を最初に受信したときを指す。図6においては、各第1要求パケットD111a、D111bが時刻T1で第1パケット通信部11から送信された後、第2パケット通信部21において、時刻T2で第1要求パケットD111bを受信した後、時刻T4で第1要求パケットD111aを受信している。この場合、第1要求パケット111bが、最初に受信した第1要求パケットD111である。以下、最初に受信したときとは、上記説明と同様とする。
【0060】
第2パケット通信部21が第1要求パケットD111bを受信したとき、制御パケット送信システム100では、第2パケット生成部22において複数の第2要求パケットD121(D121a、D121b)が生成され、または制御パケット送信システム100の外部で生成された複数の第2要求パケットD121が第2パケット記憶部23に記憶される。
【0061】
時刻T3において、第2パケット通信部21は、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、第1要求パケットD111に対する応答を示す複数の第1応答パケットD121a、D121bを、第1パケット通信部11に対して送信する。この場合、要求側装置1に対して第1応答パケットD121をより早く受信させることができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットの改善を図ることができる。
【0062】
時刻T4において、第2パケット通信部21は、時刻T2において第1要求パケットD111bを最初に受信した後、さらに重複した第1要求パケットD111aを受信したとき、時刻T3における第1応答パケットD121aの送信とは別に、第1応答パケットD121aを送信せずに、重複した第1要求パケットD111aを破棄する。この場合、応答側装置2における応答パケットD12の生成及び送信に要する時間を削減することができる。これにより、スループットのさらなる改善を図ることができる。
【0063】
時刻T5において、サブフローTCP113は第1応答パケットD121bを受信する。時刻T5の後、時刻T6において、サブフローTCP112は第1応答パケットD121aを受信する。
【0064】
上述した各ステップを実施し、本実施形態における制御パケット送信システム100の動作は終了する。なお、制御パケット送信システム100では、例えば上述した各ステップを繰り返し実施してもよい。
【0065】
なお、本実施形態における第1要求パケットD111がSYNパケットである場合、制御パケット送信システム100は、1つの無線通信パス3を介して送信される制御パケットD1の送受信に基づき、複数の無線通信パス3(3a、3b、…)の一方向のコネクションを確立することができる。例えば、第1要求パケットD111と第1応答パケットD121とが、サブフローTCP113とサブフローTCP213とを接続する無線通信パス3bを介して、相互に送信された場合においても、各パケットD111、D121においてサブフローTCP112とサブフローTCP212の情報(例えばアドレスA1、B1)を含めることで、無線通信パス3bに加えて、無線通信パス3aの一方向のコネクションを確立することができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットのさらなる改善を図ることができる。また、この場合、第1要求パケットD111と第1応答パケットD121とについて、どちらの制御パケットD1も複数の無線通信パス3(3a、3b何れも)を介して同時に送信される場合、どちらか一の制御パケットD1のみ一の無線通信パス3(3a、3bの何れか)を介して送信される場合、どちらの制御パケットD1も一の無線通信パス3を介して送信される場合(3a、3bがそれぞれ一度選択される)、何れの場合においても、制御パケットD1の送信に用いられた複数の無線通信パス3(3a、3b)の一方向のコネクションを確立することができる。
【0066】
例えば、[表1]に示すように、第1無線通信パス3aと第2無線通信パス3bとの通信速度を複数のケースで想定する。データ通信準備完了までに必要な時間とは、第1パケット通信ステップS11を開始してから第2パケット通信ステップS12を完了するまでの時間を示す。また、ULは第1パケット通信部11から制御パケットD1を送信して第2パケット通信部12が受信するまでに必要な時間を、DLは第2パケット通信部12から制御パケットD1を送信して第1パケット通信部11が受信するまでに必要な時間を示す。
【0067】
【表1】
【0068】
ケース1~3に示すように、第2通信パス3bが第1通信パス3aに比べて通信速度が速い場合、本発明におけるデータ通信準備完了までに必要な時間は、従来手法に対して大幅に短縮できる。ケース4に示すように、ULについては第1無線通信パス3aの方が、DLについては第2無線通信パス3bの方が高速である場合においても、本発明は、それぞれ高速な法の無線通信パス3を介することができるため、従来手法に対して、データ通信準備完了までに必要な時間を短縮させることができる。なお、ケース5に示すように、第1無線通信パス3aの方が第2無線通信パス3bよりも高速である場合、本発明は、従来手法と同様の時間でデータ通信準備を完了することができる。
【0069】
(第1実施形態:制御パケット送信システム100の動作の変形例)
<第1パケット通信ステップS11>
例えば図7に示すように、第1パケット通信部11から、第2通信パス3bを介して送信された第1要求パケットD111bが、サブフローTCP113からサブフローTCP213に到達する前に損失する場合がある。この場合、第1要求パケットD111aが、最初に受信した第1要求パケットD111となる。第1要求パケットD111aは、第1要求パケットD111bよりも時刻T4と時刻T2の差分だけ遅く受信されるため、第2パケット通信部21が第1パケット通信部11に対して複数の第1応答パケットD121a、D121bを送る時刻T3aは、時刻T3よりも、時刻T4と時刻T2の差分だけ遅くなる。
【0070】
ここで、例えば図8に示すように、時刻T1において第1パケット通信ステップS11を実行した後に、時刻T1bにおいて第1パケット通信ステップS11を再度実行することで、第2パケット通信部21が第1要求パケットD111を最初に受信する時刻を早められる場合がある。すなわち、第1要求パケットD111aは、本来、第1要求パケットD111bよりも時刻T4と時刻T2の差分だけ遅延して受信されるところ、時刻T1と時刻T1bとの差分だけの遅延に留めることができる。具体的には、第1通信パス3aの通信速度が第2通信パス3bの半分であり、時刻T1~T2の間で第1パケット通信ステップS11を一定間隔で3回実施する場合、時刻T4と時刻T2との差分は1×(T2-T1)、時刻T1と時刻T1bとの差分は1/3×(T2-T1)となり、その結果、遅延時間を1/3に留めることができる。なお、第1通信パス3aの通信速度が第2通信パス3bの3/4である場合は、時刻T4と時刻T2との差分は1/4×(T2-T1)、時刻T1と時刻T1bとの差分は1/3×(T2-T1)となり、その結果、遅延時間を1/4に留めることができる。
【0071】
この場合、第1パケット通信部11による第1要求パケットD11の送信が、無線通信パス3間(例えば各無線通信パス3a、3b間)の通信品質のゆらぎに起因する影響を受けにくい。これにより、要求側装置1に対して第1応答パケットD121をより早く受信させる確度の向上を図ることができる。
【0072】
第1パケット通信ステップS11を複数回実施する例については、上記のとおりである。一方で、1回の第1パケット通信ステップS11において、第1パケット通信部11は、少なくとも2以上の第1要求パケットD111(D111a、D111b、…)を、1つの無線通信パス3(例えば各無線通信パス3a、3bの何れか)を介して、時系列的に順次送信することも考えられる。この場合、第1パケット通信部11による第1要求パケットD11の送信が、無線通信パス3の通信品質の時間的なゆらぎに起因する影響を受けにくい。これにより、要求側装置1に対して第1応答パケットD11をより早く受信させる確度の向上を図ることができる。ここで、無線通信パス3の通信品質の時間的なゆらぎの例としては、例えば制御パケット送信システム100の無線通信が移動体通信である場合に発生するフェージング等が含まれ得る。
【0073】
本実施形態によれば、制御パケット送信システム100は、複数の第1要求パケットD111を、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、応答側装置2に対して送信する要求側装置1と、第1要求パケットD111を最初に受信したとき、複数の第1応答パケットD121を、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、要求側装置1に対して送信する応答側装置2と、を備える。このため、要求側装置1に対して第1応答パケットD121をより早く受信させることができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットの改善を図ることができる。
【0074】
本実施形態によれば、要求側装置1は、接続または切断の要求を示す複数の第1要求パケットD111を少なくとも2以上の無線通信パス3を介して応答側装置2に対して送信し、応答側装置2は、第1要求パケットD111を最初に受信したとき、複数の第1応答パケットD121を、当該少なくとも2以上の無線通信パス3のうち少なくとも何れかを介して要求側装置1に対して送信し、当該少なくとも2以上の無線通信パス3は、要求側装置1が第1応答パケットD121を最初に受信したとき、接続または切断が確立する。このため、一の無線通信パス3を介して送信される制御パケットD1の送受信に基づき、複数の無線通信パス3のコネクションを確立することができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットのさらなる改善を図ることができる。
【0075】
本実施形態によれば、要求側装置1は、第1応答パケットD121を最初に受信する前に、第1要求パケットD111の送信を複数回実行する。このため、要求側装置1による第1要求パケットD111の送信が、無線通信パス3間の通信品質のゆらぎに起因する影響を受けにくい。これにより、要求側装置1に対して第1応答パケットD121をより早く受信させる確度の向上を図ることができる。
【0076】
本実施形態によれば、制御パケット送信方法は、複数の第1要求パケットD111を、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、応答側装置2に対して送信する第1パケット通信ステップS11と、第1要求パケットD111を応答側装置2が最初に受信したとき、複数の第1応答パケットD121を、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、要求側装置1に対して送信する第2パケット通信ステップS12と、をコンピュータが実行する。このため、要求側装置1に対して第1応答パケットD121をより早く受信させることができる。これにより、通信の信頼性が確保されつつ、スループットの改善を図られたクライアントサーバシステムを提供することができる。
【0077】
本実施形態によれば、制御パケット送信プログラムは、複数の第1要求パケットD111を、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、応答側装置2に対して送信する第1パケット通信ステップS11と、第1要求パケットD111を応答側装置2が最初に受信したとき、複数の第1応答パケットD121を、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、要求側装置1に対して送信する第2パケット通信ステップS12と、をコンピュータに実行させる。このため、要求側装置1に対して第1応答パケットD121をより早く受信させることができる。これにより、通信の信頼性が確保されつつ、スループットの改善を図られたクライアントサーバシステムを提供することができる。
【0078】
(第2実施形態:制御パケット送信システム100の動作の一例)
次に、図9図12を参照して、本実施形態における制御パケット送信システム100の動作の一例を説明する。図9は、本実施形態における制御パケット送信システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の一例を示すシーケンス図である。図11は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の第1変形例を示すシーケンス図である。図12は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の第2変形例を示すシーケンス図である。本実施形態は、制御パケット送信システム100の動作が第3パケット通信ステップ3を備える点で、第1実施形態とは異なる。なお、上述の内容と同様の構成については、説明を省略する。
【0079】
制御パケット送信システム100の動作は、例えば図9に示すように、第2パケット通信ステップの後に、第3パケット通信ステップS13をさらに含む。
【0080】
<第1パケット通信ステップS11>
時刻T1において、第1パケット通信ステップS11を実施する。第1パケット通信ステップS11において、第1パケット通信部11は、例えば図10に示すように、時刻T1において、制御パケットD1のうち、要求側装置1から応答側装置2に対する接続または切断の要求を示す、少なくとも2以上の第1要求パケット(D111a、D111b、…)を、少なくとも2以上の無線通信パス3(3a、3b…)を介して、応答側装置2に対して送信する。
【0081】
<第2パケット通信ステップS12>
時刻T3において、第2パケット通信ステップS12を実施する。第2パケット通信ステップS12において、第2パケット通信部21は、第1パケット通信部11から送信された第1要求パケットD111を最初に受信したとき、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、制御パケットD1のうち要求側装置1に対する接続または切断の要求を示す複数の第2要求パケットD112を、第1応答パケットD121とともに、要求側装置1に対して送信する。
【0082】
時刻T7において、第1パケット通信部11は、時刻T5において第2要求パケットD112bを要求側装置1が最初に受信した後、さらに重複した第2要求パケットD112aを受信したとき、時刻T6における第2応答パケットD122aの送信とは別に、第1応答パケットD122aを送信せずに、重複した第2要求パケットD112aを破棄する。このため、要求側装置1における応答パケットD12の生成及び送信に要する時間を削減することができる。これにより、スループットのさらなる改善を図ることができる。
【0083】
<第3パケット通信ステップS13>
時刻T6において、第3パケット通信ステップS13を実施する。第3パケット通信ステップS13において、第1パケット通信部21は、第2要求パケットD112を最初に受信したとき、少なくとも1以上の無線通信パス3を介して、最初に受信した第2要求パケットD112への応答を示す複数の第2応答パケットD122を、応答側装置2に対して送信する。この場合、要求側装置1と応答側装置2との間のコネクションの接続または切断をより早く確立することができる。これにより、スループットのさらなる改善を図ることができる。
【0084】
時刻T6において、第1パケット通信部21は、例えば複数の無線通信パス3a、3bを介して、複数の第2応答パケットD122a、D122bを、応答側装置2に対して送信する。
【0085】
時刻T7において、サブフローTCP112は、第1応答パケットD121と第2要求パケットD112とを受信する。時刻T8において、サブフローTCP213は、第1応答パケットD121bを受信する。時刻T8の後、時刻T9において、サブフローTCP212は、第2応答パケットD122aを受信する。
【0086】
なお、本実施形態における第1要求パケットD111と第2要求パケットD112とがSYNパケットである場合、制御パケット送信システム100は、1つの無線通信パス3を介して送信される制御パケットD1の送受信に基づき、複数の無線通信パス3(3a、3b、…)の双方向のコネクションを確立することができる。例えば、上記の第1要求パケットD111と第1応答パケットD121の例に加え、第2要求パケットD112と第2応答パケットD122とが、サブフローTCP113とサブフローTCP213とを接続する無線通信パス3bを介して、相互に送信された場合においても、各パケットD111、D121においてサブフローTCP112とサブフローTCP212の情報(例えばアドレスA1、B1)を含めることで、無線通信パス3bに加えて、無線通信パス3aの双方向のコネクションを確立することができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットのさらなる改善を図ることができる。また、この場合、第1要求パケットD111と第2要求パケットD112と第2応答パケットD122とについて、何れの制御パケットD1も複数の無線通信パス3(3a、3b何れも)を介して同時に送信される場合、何れか一の制御パケットD1のみ複数の無線通信パス3(3a、3b何れも)を介して送信される場合、何れか一の制御パケットD1のみ一の無線通信パス3(3a、3bの何れか)を介して送信される場合、何れの制御パケットD1も一の無線通信パス3を介して送信される場合(3a、3bがそれぞれ少なくとも一度以上選択される)、何れの場合においても、制御パケットD1の送信に用いられた複数の無線通信パス3(3a、3b)の双方向のコネクションを確立することができる。
【0087】
(第2実施形態:制御パケット送信システム100の動作の変形例)
<第1パケット通信ステップS11>
例えば図11に示すように、第2パケット通信部12から、第2通信パス3bを介して送信された第1応答パケットD121bと第2要求パケットD112bとが、サブフローTCP213からサブフローTCP113に到達する前に損失する場合がある。この場合、第1応答パケットD121aと第2要求パケットD112aが、最初に受信した第1応答パケットD121及び第2要求パケットD111となる。第2要求パケットD112aは、第2要求パケットD112bよりも時刻T7と時刻T5の差分だけ遅く受信されるため、第1パケット通信部11が第2パケット通信部21に対して複数の第2応答パケットD122a、D122bを送る時刻T6aは、時刻T6よりも、時刻T7と時刻T5の差分だけ遅くなる。
【0088】
ここで、例えば図12に示すように、時刻T3において第2パケット通信ステップS12を実行した後に、時刻T3bにおいて第2パケット通信ステップS12を再度実行することで、第1パケット通信部11が第2要求パケットD112を最初に受信する時刻を早められる場合がある。すなわち、第2要求パケットD112aは、本来、第2要求パケットD112bよりも時刻T7と時刻T5の差分だけ遅延して受信されるところ、時刻T6と時刻T6bとの差分だけの遅延に留めることができる。具体的には、第1通信パス3aの通信速度が第2通信パス3bの半分であり、時刻T3~T7の間で第1パケット通信ステップS11を一定間隔で3回実施する場合、時刻T7と時刻T5との差分は1×(T7-T3)、時刻T6と時刻T6bとの差分は1/3×(T7-T3)となり、その結果、遅延時間を1/3に留めることができる。なお、第1通信パス3aの通信速度が第2通信パス3bの3/4である場合は、時刻T7と時刻T5との差分は1/4×(T7-T3)、時刻T1と時刻T1bとの差分は1/3×(T7-T3)となり、その結果、遅延時間を1/4に留めることができる。
【0089】
この場合、第2パケット通信部21による第2要求パケットD12の送信が、無線通信パス3の通信品質のゆらぎに起因する影響を受けにくい。これにより、応答側装置2に対して第2応答パケットD122をより早く受信させる確度の向上を図ることができる。
【0090】
本実施形態によれば、要求側装置1は、接続または切断の要求を示す複数の第1要求パケットD111を少なくとも2以上の無線通信パス3を介して応答側装置2に対して送信し、応答側装置2は、応答側装置2に対する接続または切断の要求を示す第1要求パケットD111を最初に受信したとき、当該少なくとも2以上の無線通信パス3のうち少なくとも何れかを介して、複数の第1応答パケットD121と、要求側装置1に対する接続または切断の要求を示す複数の第2要求パケットD112とを、複数の第1応答パケットD121とともに、要求側装置1に対して送信し、要求側装置1は、第2要求パケットD112を最初に受信したとき、当該少なくとも2以上の無線通信パス3のうち少なくとも何れかを介して、最初に受信した第2要求パケットD112への応答を示す複数の第2応答パケットD122を、応答側装置2に対して送信し、当該少なくとも2以上の無線通信パス3は、応答側装置2が第2応答パケットD112を最初に受信したとき、接続または切断が確立する。このため、一の無線通信パス3を介して送信される制御パケットD1の送受信に基づき、複数の無線通信パス3のコネクションを確立することができる。これにより、クライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、スループットのさらなる改善を図ることができる。
【0091】
(第3実施形態:制御パケット送信システム100の一例)
次に、図13を参照して、本実施形態における制御パケット送信システム100の一例を説明する。図13は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な構成の一例を示す模式図である。本実施形態は、制御パケット送信システム100における第1パケット通信部11と第2パケット通信部21とが、さらに第3無線通信パス3cを介して無線通信する点で、第1実施形態とは異なる。なお、上述の内容と同様の構成については、説明を省略する。
【0092】
<第1パケット通信部11>
第1パケット通信部11は、例えば図13に示すように、メインフローTCP110内に、サブフローTCP112と、サブフローTCP113と、サブフローTCP114と、を有する。各サブフローTCP112、113、114には、各アドレスA1、A2、A3が設定されている。なお、各サブフローTCP112、113、114の何れかが制御パケットを受信したとき、第1パケット通信部11が制御パケットを受信したものとみなす。
【0093】
サブフローTCP114は、例えば後述の、応答側装置2の第2パケット通信部21が有するサブフローTCP214と、第3無線通信パス3cを介して接続される。第1パケット通信部11は、サブフローTCP114から、第3無線通信パス3cを介してサブフローTCP214に対して制御パケットを送信する。
【0094】
<第2パケット通信部21>
第2パケット通信部21は、例えばメインフローTCP211内に、サブフローTCP212と、サブフローTCP213と、サブフローTCP214と、を有する。各サブフローTCP212、213、214には、各アドレスB1、B2、B3が設定されている。なお、各サブフローTCP212、213、214の何れかが制御パケットを受信したとき、第2パケット通信部21が制御パケットを受信したものとみなす。
【0095】
サブフローTCP214は、例えば要求側装置1の第1パケット通信部111が有するサブフローTCP114と、第3無線通信パス3cを介して接続される。第2パケット通信部21は、サブフローTCP214から、第2無線通信パス3cを介してサブフローTCP114に対して制御パケットを送信する。
【0096】
(第3実施形態:制御パケット送信システム100の動作の一例)
次に、図14図15を参照して、本実施形態における制御パケット送信システム100の動作の一例を説明する。図14は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の一例を示すシーケンス図である。図15は、本実施形態における制御パケット送信システム100を構成する各装置1、2の詳細な動作の変形例を示すシーケンス図である。
【0097】
第1パケット通信ステップS11の前に、制御パケット送信システム100では、第1パケット生成部12において複数の第1要求パケットD111(D111a、D111b、D111c)が生成され、または制御パケット送信システム100の外部で生成された複数の第1要求パケットD111が第1パケット記憶部13に記憶される。
【0098】
<第1パケット通信ステップS11>
時刻T1において、第1パケット通信ステップS11を実施する。第1パケット通信ステップS11において、第1パケット通信部11は、例えば図14に示すように、制御パケットD1のうち、要求側装置1から応答側装置2に対する要求を示す、少なくとも3以上の第1要求パケット(D111a、D111b、D111c…)を、少なくとも3以上の無線通信パス3(3a、3b、3c…)を介して、応答側装置2に対して送信する。
【0099】
時刻T2において、第2パケット通信部21は、第1パケット通信部11から送信された第1要求パケットD111のうち、第1要求パケットD111cを最初に受信する。このとき、制御パケット送信システム100は、第1パケット通信ステップS11から第2パケット通信ステップS12に移行する。
【0100】
<第2パケット通信ステップS12>
時刻T3において、第2パケット通信ステップS12を実施する。ここで、時刻T3より前に、第3無線通信パス3cが通信圏外となり、第3無線通信パス3cを介した無線通信が不可となる。第2パケット通信ステップS12において、第2パケット通信部21は、第3無線通信パス3cを除く、少なくとも2以上の無線通信パス3(3a、3b…)を介して、第1要求パケットD111に対する応答を示す複数の第1応答パケットD121(D111a、D111b…)を、要求側装置1に対して送信する。
【0101】
その後、第2パケット通信部21は、時刻T4において第1要求パケットD111bを受信し、時刻T5において第1要求パケットD111aを受信する。この場合、第3無線通信パス3cを介することで、第2パケット通信ステップS12を実施するまでの時間を、時刻T4と時刻T2との差分だけ短縮できたといえる。
【0102】
このように、第3無線通信パス3cが近距離高速通信の規格であり、例えば第1無線通信パス3a及び第2無線通信パス3bとは、準拠する通信規格が異なるため、各装置1、2の少なくとも何れかが第3無線通信パス3cの通信圏を出入りする移動体通信となる場合において、第3無線通信パス3cを介して第1制御パケット通信ステップS11を完了し、第2制御パケット通信ステップS12が完了する前に第3無線通信パス3cを介した無線通信が不可となっても、第2パケット通信部21から第1パケット通信部11への応答を完了することができる。この場合、近距離で有効な通信規格の第3無線通信パス3cを介して、制御パケット送信システム100の移動体通信の一部を実施することができる。これにより移動体通信するクライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、より確実にスループットの改善を図ることができる。
【0103】
また、同様の動作により、通信品質が不安定な環境または一時的な状況における第3無線通信パス3cを介して、制御パケット送信システム100の無線通信の一部を実施することができる。これによりクライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、より確実にスループットの改善を図ることができる。
【0104】
(第3実施形態:制御パケット送信システム100の動作の変形例)
<第1パケット通信ステップS11>
時刻T4において、第2パケット通信部21は、第1パケット通信部11から送信された第1要求パケットD111のうち、第1要求パケットD111bを最初に受信する。このとき、制御パケット送信システム100は、第1パケット通信ステップS11から第2パケット通信ステップS12に移行する。
【0105】
<第2パケット通信ステップS12>
時刻T3aにおいて、第2パケット通信ステップS12を実施する。ここで、時刻T3aより前に、第3無線通信パス3cが通信圏外から通信圏内となり、第3無線通信パス3cを介した無線通信が可能となる。第2パケット通信ステップS12において、第2パケット通信部21は、第3無線通信パス3cを含む、少なくとも3以上の無線通信パス3(3a、3b、3c…)を介して、第1要求パケットD111に対する応答を示す複数の第1応答パケットD121(D111a、D111b、D111c…)を、要求側装置1に対して送信する。
【0106】
その後、第1パケット通信部11は、時刻T8において最初の第1応答パケットD121cを受信する。その後、第1パケット通信部11は、時刻T6aにおいて第1応答パケットD121bを受信する。この場合、第3無線通信パス3cを介することで、第2パケット通信ステップS12を完了するまでの時間を、時刻T6aと時刻T8との差分だけ短縮できたといえる。
【0107】
このように、第3無線通信パス3cが近距離高速通信の規格であり、例えば第1無線通信パス3a及び第2無線通信パス3bとは、準拠する通信規格が異なるため、各装置1、2の少なくとも何れかが第3無線通信パス3cの通信圏を出入りする移動体通信となる場合において、第1制御パケット通信ステップS11の完了後に第3無線通信パス3cを介した無線通信が可能となり、第2制御パケット通信ステップS12から新たに第3無線通信パス3cを介した無線通信を実施しても、第2パケット通信部21から第1パケット通信部11への応答を完了することができる。この場合、近距離で有効な通信規格の第3無線通信パス3cを介して、制御パケット送信システム100の移動体通信の一部を実施することができる。これにより移動体通信するクライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、より確実にスループットの改善を図ることができる。
【0108】
また、同様の動作により、通信品質が不安定な環境または一時的な状況における第3無線通信パス3cを介して、制御パケット送信システム100の無線通信の一部を実施することができる。これによりクライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、より確実にスループットの改善を図ることができる。
【0109】
本実施形態によれば、応答側装置2が最初に受信した第1要求パケットD111の送信に用いられる無線通信パス3と、要求側装置1が最初に受信した第1応答パケットD121の送信に用いられる無線通信パス3とは、異なる通信規格に準拠した無線通信である。このため、要求側装置1が第1要求パケットD111を送信してから、要求側装置1が応答パケットD121を受信するまでの間で、一時的に有効な無線通信パス3を選択することができる。これにより、例えば移動体通信するクライアントサーバシステムにおいて、通信の信頼性を確保しつつ、より確実にスループットの改善を図ることができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
100 制御パケット送信システム
1 要求側装置
10 筐体
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 保存部
105 I/F
106 I/F
107 I/F
108 入力部
109 表示部
110 内部バス
11 第1パケット通信部
111 メインフローTCP
112 サブフローTCP
113 サブフローTCP
114 サブフローTCP
12 第1パケット生成部
13 第1パケット記憶部
2 応答側装置
21 第2パケット通信部
121 メインフローTCP
122 サブフローTCP
123 サブフローTCP
124 サブフローTCP
22 第2パケット生成部
23 第2パケット記憶部
3 無線通信パス
A、B アドレス
D1 制御パケット
D11 要求パケット
D111 第1要求パケット
D112 第2要求パケット
D12 応答パケット
D121 第1応答パケット
D122 第2応答パケット
S11 第1パケット通信ステップ
S12 第2パケット通信ステップ
S13 第3パケット通信ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15