(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056435
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】フィルム挿入装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/22 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B65B61/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163301
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA11
3E056BA11
3E056CA08
3E056DA01
3E056EA05
3E056FB01
3E056FE03
(57)【要約】
【課題】クッション材としてのフィルムを容器に供給するときに、第1プッシャとフィルムの間に位置ずれが生じることなく、フィルムを確実に容器内に挿入することができるフィルム挿入装置を提供する。
【解決手段】円筒状ホルダ30には、両端に開口部31、32を有する収容空間33が形成される。グリッパ12は円筒状ホルダ30の一方の開口部31に近接したフィルム供給位置にフィルム切断片Pを供給する。第1プッシャ26は一方の開口部31から挿入され、収容空間33内にフィルム切断片Pを挿入する。第2プッシャ27は円筒状ホルダ30の他方の開口部32から挿入され、フィルム切断片Pを収容空間33から押し出して、一方の開口部31に対向させて配置された容器Cに供給する。第1プッシャ26は、フィルム切断片Pに係合する係合突起21が先端部に形成されるとともに、後端部から先端部にかけて徐々に細くなる先細り形状を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口部を有する収容空間が形成されたホルダと、
前記ホルダの一方の開口部に近接したフィルム供給位置にフィルムを供給するフィルム供給手段と、
前記一方の開口部から挿入され、前記収容空間内に前記フィルムを挿入する第1プッシャと、
前記ホルダの他方の開口部から挿入され、前記フィルムを前記収容空間から押し出す第2プッシャとを備え、
第1プッシャによって前記収容空間内に挿入されたフィルムを前記第2プッシャによって当該収容空間から押し出すことにより、前記一方の開口部に対向させて配置された容器内に挿入するフィルム挿入装置において、
前記第1プッシャは、前記フィルムに係合する係合突起が先端部に形成されるとともに、後端部から前記先端部にかけて徐々に細くなる先細り形状を有することを特徴とするフィルム挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の固形物が充填された容器の上部にフィルム等のクッション材を挿入するフィルム挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のフィルム挿入装置として特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、予め筒状に成形された合成樹脂のフィルムを幅方向に二つ折りにすることにより4枚重ねの状態にして切断し、クッション材として容器に挿入するように構成されている。挿入動作では、フィルム切断片が第1プッシャにより下方から突き上げられて円筒状ホルダ内に押し込まれた後、円筒状ホルダの下方に容器が配置され、第2プッシャが円筒状ホルダの上方から下降してフィルム切断片が容器内に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来装置では、第1プッシャでフィルム(またはフィルム切断片)を円筒状ホルダ内に押し込む際に、フィルム(またはフィルム切断片)が第1プッシャに対して滑って位置ずれが生じ、円筒状ホルダ内に適切に挿入されないことがある。
【0005】
本発明は、クッション材としてのフィルムを容器に供給するときに、第1プッシャとフィルムの間に位置ずれが生じることなく、フィルムを確実に容器内に挿入することができるフィルム挿入装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、両端に開口部を有する収容空間が形成されたホルダと、ホルダの一方の開口部に近接したフィルム供給位置にフィルムを供給するフィルム供給手段と、一方の開口部から挿入され、収容空間内にフィルムを挿入する第1プッシャと、ホルダの他方の開口部から挿入され、フィルムを収容空間から押し出す第2プッシャとを備え、第1プッシャによって収容空間内に挿入されたフィルムを第2プッシャによって収容空間から押し出すことにより、一方の開口部に対向させて配置された容器内に挿入するフィルム挿入装置において、第1プッシャは、フィルムに係合する係合突起が先端部に形成されるとともに、後端部から先端部にかけて徐々に細くなる先細り形状を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クッション材としてのフィルムを容器に供給するときに、第1プッシャとフィルムの間に滑りが生じることなく、フィルムを確実に容器内に挿入することができるフィルム挿入装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態であるフィルム挿入装置と、その周辺に設けられた機器の配置を示す平面図である。
【
図2】フィルム挿入装置を
図1のA-A線に沿って見た側面図である。
【
図3】フィルム挿入装置が
図1のC-D区間にあるときの状態を示す側面図である。
【
図4】第1プッシャと第2プッシャが取付けブラケットに取付けられた状態を示す平面図である。
【
図5】第1プッシャが円筒状ホルダに挿入された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示実施形態を参照して本発明を説明する。
図1は本発明の一実施形態であるフィルム挿入装置20と、その周辺に設けられた機器を示している。フィルム供給装置10は、筒状に成形されたフィルムを押しつぶして2枚重ねの状態にされたものを、さらに幅方向に二つ折りにして4枚重ねに折り畳んで排出する。折り畳まれたフィルムFは切断装置(図示せず)によって所定長さのフィルム切断片Pに切断され、供給ディスク11のグリッパ(フィルム供給手段)12に受け渡される。供給ディスク11は図において反時計回りに回転し、フィルム切断片Pはグリッパ12からフィルム挿入装置20に供給される。
【0010】
一方容器は搬送コンベヤ13により、
図1において右方向へ搬送され、入口スターホイール14を介してフィルム挿入装置20に供給される。フィルム挿入装置20は供給ディスク11と同期して、
図1において時計周りに連続的に回転する。フィルム切断片Pはグリッパ12により、供給ディスク11の中心側の部分が挟持され、フィルム切断片Pの幅方向の約2分の1の部分はグリッパ12から外方にはみ出している。フィルム切断片Pはグリッパ12がフィルム挿入装置20に接近した位置において、フィルム挿入装置20に設けられた円筒状ホルダ30(
図2)に供給される。その後、フィルム切断片Pは円筒状ホルダ30から押し出されて容器内へ挿入され、フィルム切断片Pが充填された容器は出口スターホイール15を介して搬送コンベヤ13に受け渡され、次の工程へ搬送される。
【0011】
図2を参照してフィルム挿入装置20の構成を説明する。フィルム挿入装置20の上側本体22は中心軸Q(
図1)の周りに回転自在であり、上側本体22の周縁には所定間隔毎に昇降回転軸23が設けられる。昇降回転軸23は上側本体22を貫通して上下方向に延び、その上端に連結された駆動機構24により、昇降駆動されるとともに軸心周りに回転自在である。昇降回転軸23の下端には板状の取付けブラケット25が設けられ、取付けブラケット25には第1プッシャ26と第2プッシャ27が取付けられる。これらのプッシャ26、27は取付けブラケット25から垂直下方へ延び、その下方に設けられた円筒状ホルダ30内に挿入可能である。
【0012】
円筒状ホルダ30は、両端に開口部31、32を有する円柱状の収容空間33が形成され、その中央部分がホルダ回転機構34の回転軸35の先端に固定される。ホルダ回転機構34は上側本体22と一体的に中心軸Qの周りに回転移動する。回転軸35は水平方向に延びて軸心周りに180°回転可能であり、円筒状ホルダ30は開口部31、32が上下端を向く状態で固定される。
【0013】
円筒状ホルダ30の下方には容器Cを把持するための容器グリッパ40が設けられる。容器グリッパ40はびん台昇降機構41の昇降軸42に設けられ、昇降軸42には容器Cが載置されるびん台43が固定される。びん台43はびん台昇降機構41に駆動され、待機位置と、これよりも相対的に高い上昇位置との間で昇降自在である。びん台昇降機構41は、上側本体22と一体的に設けられた下側本体28の上面に固定され、円筒状ホルダ30、第1および第2プッシャ26、27と共に中心軸Qの周りに回転移動する。
【0014】
第1プッシャ26と第2プッシャ27は平行に延び、円筒状ホルダ30の収容空間33と略同じ軸方向長さを有する。第1プッシャ26は先端部に、フィルム切断片(フィルム)Pに係合する係合突起21が形成され、また後端部から先端部にかけて徐々に細くなる先細り形状を有する。第1プッシャ26が収容空間33に挿入されて、先端部が収容空間33の下端に位置した状態において、後端部は収容空間33の上端に位置し、また収容空間33の内壁面との間には、フィルム切断片Pが入り込む間隙が形成される。第2プッシャ27は、下半部に形成された円柱状の押込み部29を有し、押込み部29は収容空間33から突出して、容器の口部に挿入可能である(
図3参照)。
【0015】
第1プッシャ26と第2プッシャ27は駆動機構24の作用により一体的に昇降し、下降位置において、これらのプッシャ26、27の一方が円筒状ホルダ30の収容空間33内に挿入される。すなわち
図2において実線で示されるように、第1および第2プッシャ26、27は非作動時、相対的に上昇して待機位置に定められるが、円筒状ホルダ30の一方の開口部31に近接したフィルム供給位置に、グリッパ12に挟持されたフィルム切断片Pが供給されると、破線で示される第1下降位置まで下降し、第1プッシャ26が一方の開口部31から収容空間33内に挿入され、フィルム切断片Pを収容空間33内に挿入する(
図5参照)。
【0016】
フィルム切断片Pが収容空間33内に挿入された後、
図3に示されるように、円筒状ホルダ30は上下反転して他方の開口部32が上側に定められるとともに、びん台43が上昇して上昇位置に定められ、容器Cが収容空間33の一方の開口部31に対向させて配置される。この状態において、第1プッシャ26と第2プッシャ27は、第1下降位置よりも下方にある第2下降位置まで下降する。これにより、第2プッシャ27が円筒状ホルダ30の他方の開口部32から挿入され、一方の開口部31から突出してフィルム切断片Pを収容空間33から押し出し、容器C内に供給する。
【0017】
図4は、取付けブラケット25に対する第1および第2プッシャ26、27の取付け構造を示している。昇降回転軸23と取付けブラケット25は、駆動機構24(
図2、3)により軸心に沿って昇降し、また軸心周りに回転自在である。第1および第2プッシャ26、27は昇降回転軸23の軸心から等距離の位置に取付けられ、昇降回転軸23の軸心周りの回転位置に応じて、第1および第2プッシャ26、27の一方が円筒状ホルダ30の収容空間33に挿入可能になる。
【0018】
図5は第1プッシャ26が第1下降位置にあり、収容空間33に対して第1開口部31から挿入された状態を示している。収容空間33の内壁面は全体的に円筒状であるが、第1開口部31には収容空間33の直径よりも大径の円形の窪みが成形され、第2開口部32は円筒状ホルダ30の端面から収容空間33へ向けて徐々に小径になる接頭円錐形状に成形されている。第1プッシャ26は全体的にテーパー形状を有し、第1プッシャ26の外周面と収容空間33の内壁面の間にはフィルム切断片Pが入り込むのに十分な大きさの隙間が形成される。第1プッシャ26の下端は収容空間33の下端すなわち第2開口部32に位置し、フィルム切断片Pの全体が収容空間33に収容されている。
【0019】
次に本実施形態の作用を説明する。フィルム切断片Pは、その幅方向の約2分の1がグリッパ12からはみ出た状態で、フィルム供給位置すなわち円筒状ホルダ30の一方の開口部31に近接した位置に供給される(
図2)。フィルム供給位置の上方には第1プッシャ26が既に位置しており、フィルム切断片Pの供給とともに下降して係合突起21がフィルム切断片Pに係合する。この係合動作に合わせてグリッパ12が開放するとともに第1プッシャ26が継続して下降し、フィルム切断片Pは第1プッシャ26に押圧されて円筒状ホルダ30の一方の開口部31から収容空間33内に入り込む。このときびん台43は待機位置にあり、容器Cは円筒状ホルダ30から離間している。
【0020】
その後、円筒状ホルダ30が
図1のB位置へ回転移動するまでの間に、第1プッシャ26は第1下降位置まで下降し、これによりフィルム切断片Pは収容空間33内に完全に挿入される(
図5)。そして第1プッシャ26は上昇して収容空間33から引き抜かれ、円筒状ホルダ30がB位置へ到達したときには収容空間33の外方へ退避している。そして円筒状ホルダ30は、
図1のB位置からC位置へ回転移動する間に、回転軸35の軸心周りに180°反転して第2開口部32が上側に定められ、また第2プッシャ27が第2開口部32の上方に定められる。
【0021】
次いで、円筒状ホルダ30が
図1のC位置からD位置へ回転移動する間に、びん台昇降機構41によりびん台43が上昇位置に移動して容器Cが円筒状ホルダ30の第1開口部31に当接し、この動作に応じて第2プッシャ27が第2下降位置まで下降し、フィルム切断片Pは第2プッシャ27により収容空間33から押し出され、容器C内に供給される(
図3)。その後、フィルム挿入装置20が
図1のD位置を過ぎると、第2プッシャ27が上昇して円筒状ホルダ30から外方へ退避するとともに、容器Cは下降して待機位置(
図2)へ復帰する。また円筒状ホルダ30は回転軸35の軸心周りに180°反転して第1開口部31が上側に定められ、第1プッシャ26が円筒状ホルダ30の真上に定められる。
【0022】
以上のように本実施形態では、フィルム供給位置にあるフィルム切断片Pを円筒状ホルダ30の収容空間33内に挿入するとき、第1プッシャ26の係合突起21がフィルム切断片Pに係合するので、フィルム切断片Pに外力が作用してもフィルム切断片Pは収容空間33に垂直な方向にずれるおそれがない。したがってフィルム切断片Pは確実に収容空間33内に挿入される。また第1プッシャ26が先細り形状を有しているので、フィルム切断片Pの挿入動作の後、第1プッシャ26が上昇して収容空間33の外方へ退避する動作において、第1プッシャ26は収容空間33内のフィルム切断片Pからスムーズに離間し、フィルム切断片Pを上方へ連れ戻すことはない。
【0023】
なお上記実施形態では、円筒状ホルダ30がホルダ回転機構34によって開口部31、32の上下位置が反転するように構成されているが、本発明はこれには限定されず、円筒状ホルダ30が反転しない装置にも適用できる。また、第1プッシャ26は後端部から先端部にかけて全体的に先細り形状に成形されているが、ここでいう後端部とは、第1プッシャ26の全体が収容空間33内に位置する状態において、収容空間33の上端部に近接した部位をいい、収容空間33から突出した部位は含まれない。
【0024】
また、第1プッシャ26と第2プッシャ27を昇降および回転させる駆動機構24は公知の種々の機構、すなわちカム機構、モータ等を採用することができる。ホルダ回転機構34も同様に、カム機構あるいはモータを用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
12 グリッパ(フィルム供給手段)
21 係合突起
26 第1プッシャ
27 第2プッシャ
30 ホルダ
31 一方の開口部
32 他方の開口部
33 収容空間
C 容器
P フィルム切断片(フィルム)