(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056439
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H01F17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163307
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】濱地 紀彰
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利典
(72)【発明者】
【氏名】占部 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】及川 康太
(72)【発明者】
【氏名】志賀 悠人
(72)【発明者】
【氏名】數田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 駿也
(72)【発明者】
【氏名】郭 旭冉
(72)【発明者】
【氏名】小林 創
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070CB13
5E070CB17
(57)【要約】
【課題】コイル導体間の接続性の低下を抑制できる積層コイル部品を提供する。
【解決手段】積層コイル部品は、素体内に配置されているコイルを備える。コイルは、複数のコイル導体と、複数のスルーホール導体とを有する。スルーホール導体41,42は、方向D2で並んでいる。複数のスルーホール導体は、コイル導体32,33を電気的に接続する。スルーホール導体41,42のそれぞれは、コイル導体32寄りの端41a,42aと、コイル導体33寄りの端41b,42bとを含む。端41a,42aの幅は、端41b,42bの幅より大きい。スルーホール導体42の端42aと、スルーホール導体の端41bとは、互いに連結されている。スルーホール導体42の端42aの幅は、スルーホール導体41の端41bの幅よりも大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体内に配置されているコイルと、を備え、
前記コイルは、
互いに隣り合う第一コイル導体と第二コイル導体とを含む複数のコイル導体と、
前記第一コイル導体と前記第二コイル導体との間で前記第一コイル導体と前記第二コイル導体とが互いに隣り合う方向で並んでいる第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とを含むと共に、前記第一コイル導体と前記第二コイル導体とを電気的に接続する複数のスルーホール導体と、を有し、
前記第一スルーホール導体及び前記第二スルーホール導体のそれぞれは、
前記第一コイル導体寄りの第一端と、
前記第二コイル導体寄りの第二端と、を含み、
前記第一端の幅は、前記第二端の幅よりも大きく、
前記第二スルーホール導体の前記第一端と、前記第一スルーホール導体の前記第二端とは、互いに連結され、
前記第二スルーホール導体の前記第一端の幅は、前記第一スルーホール導体の前記第二端の幅よりも大きい、
積層コイル部品。
【請求項2】
前記コイルは、前記第一スルーホール導体と前記第二スルーホール導体との間に位置すると共に、前記第一スルーホール導体の前記第二端と前記第二スルーホール導体の前記第一端とに連結されているパッド導体を更に含み、
前記パッド導体の幅は、前記第二スルーホール導体の前記第一端の幅よりも大きい、
請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記パッド導体は、
第一部分と、
前記第一部分より前記コイルの外側に位置すると共に、前記第一部分と隣り合う第二部分と、を含み、
前記第一部分と前記第二部分とが隣り合う方向に直交する方向において、前記第二部分の幅は、前記第一部分の幅より大きい、
請求項2に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記第一端の幅に対する、前記第二端の幅の比は、0.80以上である、
請求項1~3の何れか一項に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
素体と、素体の内部に配置されているコイルとを備えている積層コイル部品が知られている(例えば特許文献1)。コイルは、複数のコイル導体と、スルーホール導体とを有している。スルーホール導体は、複数のコイル導体間に配置されている。複数のコイル導体は、スルーホール導体によって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、コイル導体間の接続性の低下を抑制できる積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る積層コイル部品は、素体と、素体内に配置されているコイルとを備える。コイルは、複数のコイル導体と、複数のスルーホール導体とを有する。複数のコイル導体は、互いに隣り合う第一コイル導体と第二コイル導体とを含む。複数のスルーホール導体は、第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とを含む。第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とは、第一コイル導体と第二コイル導体との間で第一コイル導体と第二コイル導体とが互いに隣り合う方向で並んでいる。複数のスルーホール導体は、第一コイル導体と第二コイル導体とを電気的に接続する。第一スルーホール導体と第二スルーホール導体のそれぞれは、第一コイル導体寄りの第一端と、第二コイル導体寄りの第二端とを含む。第一端の幅は、第二端の幅より大きい。第二スルーホール導体の第一端と、第一スルーホール導体の第二端とは、互いに連結されている。第二スルーホール導体の第一端の幅は、第一スルーホール導体の第二端の幅よりも大きい。
【0006】
上記一つの態様では、第一コイル導体と第二コイル導体とを電気的に接続する第一スルーホール導体及び第二スルーホール導体は、第二スルーホール導体の第一端と第一スルーホール導体の第二端とで、互いに連結されている。第二スルーホール導体の第一端の幅は、第一スルーホール導体の第二端の幅よりも大きい。したがって、第一スルーホール導体の第二端は、第二スルーホール導体の第一端の領域内に位置しやすい。結果として、第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とが位置ずれする場合でも、第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とが互いに連結される領域の大きさは確保され得る。この結果、上記一つの態様は、コイル導体間の接続性の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様は、コイル導体間の接続性の低下を抑制できる積層コイル部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る積層コイル部品の断面の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、コイル導体及びスルーホール導体の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の断面の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るコイル導体、パッド導体及びスルーホール導体の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0010】
図1~
図4を参照して、本実施形態に係る積層コイル部品1の構成を説明する。
図1は本実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
図3は、本実施形態に係る積層コイル部品の断面の構成を示す図である。
図4は、コイル導体及びスルーホール導体の構成を示す分解斜視図である。積層コイル部品1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
【0011】
図1~
図3に示されるように、積層コイル部品1は、素体2、コイル3、一対の外部電極61,62を備えている。
図3に示されるように、コイル3は、素体2内に配置されている。素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状は、たとえば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体形状を含む。
【0012】
図1に示されるように、素体2は、互いに対向している一対の端面2a,2bと、四つの側面2c,2d,2e,2fと、を有している。本実施形態では、一対の端面2a,2bは方向D1で互いに対向し、側面2c,2dは方向D2で互いに対向し、側面2e,2fは方向D3で互いに対向している。一対の端面2a,2b及び四つの側面2c,2d,2e,2fは、素体2の外表面を構成している。四つの側面2c,2d,2e,2fは、それぞれ端面2a及び端面2bと隣り合うと共に、端面2aと端面2bとを接続するように方向D1に沿って延在している。四つの側面2c,2d,2e,2fのうち一側面は、たとえば、図示しない電子機器に積層コイル部品1が実装される際に、電子機器と対向する面である。
【0013】
方向D1は、一対の端面2a,2bに直交している。方向D2は、側面2c,2dに直交している。方向D3は、側面2e,2fに直交している。方向D1は、方向D2及び方向D3に直交している。方向D2と方向D3とは、互いに直交している。
【0014】
図2に示されるように、素体2は、複数の絶縁体層20を有する。素体2は、積層された複数の絶縁体層20によって構成されている。各絶縁体層20は、方向D2で並んでいる。各絶縁体層20は、矩形状を呈している。矩形状は、角が丸められている形状及び角が取られている形状を含む。複数の絶縁体層20は、各絶縁体層20の間の境界が視認され得ない程度に一体化されている。
図2では、複数のスルーホール導体に対応する各絶縁体層20の図示は、省略されている。
図3及び
図4では、各絶縁体層20の図示は、省略されている。
【0015】
各絶縁体層20は、たとえば、磁性材料により構成されている。磁性材料は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含んでいる。各絶縁体層20を構成する磁性材料は、Fe合金を含んでいてもよい。各絶縁体層20は、非磁性材料から構成されていてもよい。非磁性材料は、たとえば、ガラスセラミック材料又は誘電体材料を含んでいる。本実施形態では、各絶縁体層20は、非磁性材料を含むグリーンシートの焼結体から構成されている。
【0016】
コイル3は、複数のコイル導体31,32,33,34,35,36と、複数のスルーホール導体411,421,412,422,413,423,414,424,415,425とを有している。複数のコイル導体31~36は、方向D2で並んでいる。コイル導体31は、各コイル導体31~36のうち最も側面2c寄りに配置されている。コイル導体36は、各コイル導体31~36のうち最も側面2d寄りに配置されている。各コイル導体31~36は、コイル導体31、コイル導体32、コイル導体33、コイル導体34、コイル導体35、コイル導体36の順番で配置されている。
【0017】
図3に示されるように、コイル導体31とコイル導体32とは、方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体32とコイル導体33とは、方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体33とコイル導体34とは、方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体34とコイル導体35とは、方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体35とコイル導体36は、方向D2で互いに隣り合っている。
たとえば、各コイル導体31~36は、以下の関係を有する。
一対のコイル導体31,32からなる組、一対のコイル導体32,33からなる組、一対のコイル導体34,35からなる組、及び、一対のコイル導体35,36からなる組のうち、少なくとも一つが、第一コイル導体と第二コイル導体とからなる。本実施形態では、上述した全ての組が、第一コイル導体と第二コイル導体とからなる。コイル導体31が第一コイル導体を構成する場合、コイル導体32が第二コイル導体を構成する。コイル導体32が第一コイル導体を構成する場合、コイル導体33が第二コイル導体を構成する。コイル導体33が第一コイル導体を構成する場合、コイル導体34が第二コイル導体を構成する。コイル導体34が第一コイル導体を構成する場合、コイル導体35が第二コイル導体を構成する。コイル導体35が第一コイル導体を構成する場合、コイル導体36が第二コイル導体を構成する。
一対の第一コイル導体及び第二コイル導体のうち、第一コイル導体は、第二コイル導体よりも、側面2c寄りのコイル導体である。一対の第一コイル導体及び第二コイル導体のうち、第二コイル導体は、第一コイル導体よりも、側面2d寄りのコイル導体である。
【0018】
各コイル導体31~36は、コイル3での環状の軌道の一部を構成している。各コイル導体31~36は、たとえば、ループの一部が途切れた形状を呈している。各コイル導体31~36は、一方の端部T1及び他方の端部T2を含んでいる。方向D2から見た、各コイル導体31~36の端部T1,T2の幅は、各コイル導体31~36の端部T1,T2以外の部分の幅よりも広い。各コイル導体31~36は、端部T1から端部T2まで環状の軌道に沿ってそれぞれ延在している。コイル導体31の端部T1は、端面2bに露出している引出導体E1を構成する。コイル導体36の端部T2は、端面2aに露出している引出導体E2を構成する。
【0019】
互いに隣り合う一対のコイル導体31,32の間に、複数のスルーホール導体411,421が位置する。本実施形態では、一対のコイル導体31,32の間に、一対のスルーホール導体411,421が位置する。一対のスルーホール導体411,421は、方向D2で並んでいる。スルーホール導体411は、コイル導体31寄りに配置されている。スルーホール導体411は、コイル導体31の端部T2と物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体421は、コイル導体32寄りに配置されている。スルーホール導体421は、コイル導体32の端部T1と物理的かつ電気的に接続されている。本実施形態では、一対のスルーホール導体411,421は、互いに物理的かつ電気的に接続されている。一対のスルーホール導体411,421は、一対のコイル導体31,32を電気的に接続している。
【0020】
互いに隣り合う一対のコイル導体32,33の間に、複数のスルーホール導体412,422が位置する。本実施形態では、一対のコイル導体32,33の間に、一対のスルーホール導体412,422が位置する。一対のスルーホール導体412,422は、方向D2で並んでいる。スルーホール導体412は、コイル導体32寄りに配置されている。スルーホール導体412は、コイル導体32の端部T2と物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体422は、コイル導体33寄りに配置されている。スルーホール導体422は、コイル導体33の端部T1と物理的かつ電気的に接続されている。本実施形態では、一対のスルーホール導体412,422は、互いに物理的かつ電気的に接続されている。一対のスルーホール導体412,422は、一対のコイル導体32,33を電気的に接続している。
【0021】
互いに隣り合う一対のコイル導体33,34の間に、複数のスルーホール導体413,423が位置する。本実施形態では、一対のコイル導体33,34の間に、一対のスルーホール導体413,423が位置する。一対のスルーホール導体413,423は、方向D2で並んでいる。スルーホール導体413は、コイル導体33寄りに配置されている。スルーホール導体413は、コイル導体33の端部T2と物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体423は、コイル導体34寄りに配置されている。スルーホール導体423は、コイル導体34の端部T1と物理的かつ電気的に接続されている。本実施形態では、一対のスルーホール導体413,423は、互いに物理的かつ電気的に接続されている。一対のスルーホール導体413,423は、一対のコイル導体33,34を電気的に接続している。
【0022】
互いに隣り合う一対のコイル導体34,35の間に、複数のスルーホール導体414,424が位置する。本実施形態では、一対のコイル導体34,35の間に、一対のスルーホール導体414,424が位置する。一対のスルーホール導体414,424は、方向D2で並んでいる。スルーホール導体414は、コイル導体34寄りに配置されている。スルーホール導体414は、コイル導体34の端部T2と物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体424は、コイル導体35寄りに配置されている。スルーホール導体424は、コイル導体35の端部T1と物理的かつ電気的に接続されている。本実施形態では、一対のスルーホール導体414,424は、互いに物理的かつ電気的に接続されている。一対のスルーホール導体414,424は、一対のコイル導体34,35を電気的に接続している。
【0023】
互いに隣り合う一対のコイル導体35,36の間に、複数のスルーホール導体415,425が位置する。本実施形態では、一対のコイル導体35,36の間に、一対のスルーホール導体415,425が位置する。スルーホール導体415は、コイル導体35寄りに配置されている。スルーホール導体415は、コイル導体35の端部T2と物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体425は、コイル導体36寄りに配置されている。スルーホール導体425は、コイル導体36の端部T1と物理的かつ電気的に接続されている。本実施形態では、スルーホール導体415,425は、互いに物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体415,425は、コイル導体35,36を電気的に接続している。
【0024】
各スルーホール導体411,412,413,414,415は、スルーホール導体41を構成する。各スルーホール導体421,422,423,424,425は、スルーホール導体42を構成する。
たとえば、各スルーホール導体41,42は、以下の関係を有する。
スルーホール導体41は、一対のスルーホール導体411,421からなる組、一対のスルーホール導体412,422からなる組、一対のスルーホール導体413,423からなる組、一対のスルーホール導体414,424からなる組、及び一対のスルーホール導体415,425からなる組のそれぞれにおいて、第一スルーホール導体を構成する。スルーホール導体42は、一対のスルーホール導体411,421からなる組、一対のスルーホール導体412,422からなる組、一対のスルーホール導体413,423からなる組、一対のスルーホール導体414,424からなる組、及び一対のスルーホール導体415,425からなる組のそれぞれにおいて、第二スルーホール導体を構成する。
【0025】
図4は、スルーホール導体41がスルーホール導体412により構成されると共に、スルーホール導体42がスルーホール導体422により構成される構成を示す。したがって、一対のスルーホール導体41,42は、互いに隣り合う一対のコイル導体32,33の間に位置する。一対のスルーホール導体41,42は、方向D2で並んでいる。スルーホール導体41はコイル導体32寄りに位置し、スルーホール導体42はコイル導体33寄りに位置する。
【0026】
スルーホール導体41は、コイル導体32寄りの端41a、コイル導体33寄りの端41b及び周側面41cを含んでいる。端41aは、端41bよりもコイル導体32寄りに位置する。端41bは、端41aよりもコイル導体33寄りに位置する。周側面41cは、端41aと端41bとを連結している。端41a及び端41bは、方向D2で互いに対向している。
スルーホール導体42は、コイル導体32寄りの端42a、コイル導体33寄りの端42b及び周側面42cを含んでいる。端42aは、端41bよりもコイル導体32寄りに位置する。端42bは、端42aよりもコイル導体33寄りに位置する。周側面42cは、端42aと端42bとを連結している。端42a及び端42bは、方向D2で互いに対向している。
たとえば、各端41a,42aが第一端を構成する場合、各端41b,42bが第二端を構成する。
【0027】
端41a,42aのそれぞれの幅W1は、端41b,42bのそれぞれの幅W2よりも大きい。したがって、各周側面41c,42cは、方向D2に対して傾斜する。各周側面41c,42cは、傾斜面である。
たとえば、方向D2と交差する一の方向から見て、端41aの幅W1は、端41bの幅W2よりも大きい。端41aの幅W1に対する、端41bの幅W2の比は、0.80以上であり、一例として、0.85である。たとえば、方向D2と交差する一の方向から見て、端42aの幅W1は、端42bの幅W2よりも大きい。端42aの幅W1に対する、端42bの幅W2の幅の比は、0.80以上であり、一例として、0.85である。方向D2と交差する一の方向は、方向D1又は方向D3であってもよい。
【0028】
各端41a,41b,42a,42bは、所定の面積を有する領域である。端41a,42aのそれぞれの面積は、端41b,42bのそれぞれの面積よりも大きい。方向D2から見て、端41aは、端41bの全体と重なっている。方向D2から見て、端42aは、端42bの全体と重なっている。本実施形態では、方向D2から見て、端41a,42a及び端41b,42bのそれぞれは、たとえば、円形状を呈する。この場合、各スルーホール導体41,42は、略円錐台形状を呈する。端41a,42a及び端41b,42bのそれぞれは、多角形状を呈してもよい。この場合、各スルーホール導体41,42は、略角錐台形状を呈する。
【0029】
周側面41cは、端41a及び端41bと隣り合う。周側面42cは、端42a及び端42bと隣り合う。周側面41cは、コイル導体32からの距離が増加するにつれて、方向D2と交差する一の方向でのスルーホール導体41の幅が減少するように傾斜している。スルーホール導体41を方向D2に直交する平面で切断したときの断面積は、平面の位置がコイル導体32から離れるにしたがって、減少する。周側面42cは、コイル導体32からの距離が増加するにつれて、方向D2と交差する一の方向でのスルーホール導体42の幅が減少するように傾斜している。スルーホール導体42を方向D2に直交する平面で切断したときの断面積は、平面の位置がコイル導体32から離れるにしたがって、減少する。
【0030】
スルーホール導体42の端42aの幅W1は、スルーホール導体41の端41bの幅W2よりも大きい。たとえば、方向D2と交差する一の方向から見て、端42aの幅W1は、端41bの幅W2よりも大きい。方向D2から見て、端42aの面積は、端41bの面積よりも大きい。方向D2から見て、端42aは、端41bの全体と重なっている。本実施形態では、スルーホール導体42の端42aと、スルーホール導体41の端41bとは、互いに直接的に連結されている。
【0031】
図示は省略するが、各スルーホール導体411,413,414,415は、スルーホール導体412と同じく、
図4に示されたスルーホール導体41と同じ形状を呈する。各スルーホール導体421,423,424,425は、スルーホール導体422と同じく、
図4に示されたスルーホール導体42と同じ形状を呈する。
【0032】
図1及び
図3に示されるように、一対の外部電極61,62は、方向D1での素体2の両端部に配置されている。一対の外部電極61,62は、方向D1において互いに対向するように素体2上に配置されている。一対の外部電極61,62は、方向D1において互いに離れている。
【0033】
外部電極61の端面2a上に位置している部分は、端面2aに露出している引出導体E2を覆っている。引出導体E2と外部電極61とは、互いに電気的に接続されている。引出導体E2によって、コイル3と外部電極61とは、電気的に接続されている。外部電極62の端面2b上に位置している部分は、端面2bに露出している引出導体E1を覆っている。引出導体E1と外部電極62とは、互いに電気的に接続されている。引出導体E1によって、コイル3と外部電極62とは、電気的に接続されている。
【0034】
各コイル導体31~36は、導電性材料により構成されている。導電性材料は、たとえば、Ag、Pd、Cu、Al、又はNiを含んでいてもよい。本実施形態では、各コイル導体31~36は、導電性材料の粉末を含む導電性ペーストの焼結体から構成されている。各スルーホール導体411~425は、導電性材料により構成されている。各スルーホール導体411~425は、たとえば、各コイル導体31~36と同じ材料により構成されていてもよい。各コイル導体31~36及び各スルーホール導体411~425は、めっき導体であってもよい。
各コイル導体31~36及び各スルーホール導体411~425は、対応する各絶縁体層20の欠損部に設けられた導電性材料によって構成される。当該欠損部は、たとえば、レーザ加工によって形成される。レーザ加工によって形成された欠損部の幅は、レーザが照射された面からの距離が増加するにつれて減少する。一対のスルーホール導体41,42は、たとえば、第一グリーンシートを積層する工程、第一グリーンシートに第一欠損部を形成する工程、第一欠損部に導電性ペーストを充填する工程、第一グリーンシートに第二グリーンシートを積層する工程、第二グリーンシートに第二欠損部を形成する工程、及び第二欠損部に導電性ペーストを充填する工程によって形成されてもよい。第一グリーンシート及び第二グリーンシートは、各絶縁体層20に対応する。
各外部電極61,62は、導電性材料により構成されている。各外部電極61,62は、各コイル導体31~36と同じ材料により構成されていてもよい。各外部電極61,62は、めっき導体であってもよい。
【0035】
以上説明したように、積層コイル部品1では、第一コイル導体と第二コイル導体とを電気的に接続する一対のスルーホール導体41,42は、端42aと端41bとで互いに連結されている。端42aの幅W1は、端41bの幅W2よりも大きい。したがって、一対のスルーホール導体41,42では、端41bは、端42aの領域内に位置する。結果として、方向D2と交差する方向での一対のスルーホール導体41,42の位置ずれが生じる場合でも、スルーホール導体41とスルーホール導体42とが互いに連結される領域の大きさは確保され得る。結果として、積層コイル部品1は、コイル導体31~36間の接続性の低下を抑制できる。
【0036】
積層コイル部品1では、一対のスルーホール導体41,42は、互いに物理的かつ電気的に接続されている。スルーホール導体42の端42aと、スルーホール導体41の端41bとは、互いに直接的に連結されている。
方向D2において端42aと端41bとが互いに重なり合う領域は、一対のスルーホール導体41,42が互いに直接的に連結されている領域を構成する。一対のスルーホール導体41,42が互いに直接的に連結される領域の大きさが確保され得るので、積層コイル部品1は、一対のスルーホール導体41,42間の物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制できる。
【0037】
次に、
図5~
図8を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品1Aの構成を説明する。
図5は、変形例に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
図6は、変形例に係る積層コイル部品の断面の構成を示す図である。
図7は、変形例に係るコイル導体、パッド導体及びスルーホール導体の構成を示す分解斜視図である。
図8は、パッド導体の平面図である。積層コイル部品1Aは、概ね、上述した、積層コイル部品1と類似又は同じである。しかしながら、積層コイル部品1Aは、コイルの構成に関して、積層コイル部品1と相違する。以下、積層コイル部品1Aと積層コイル部品1との相違点を主として説明する。
【0038】
スルーホール導体42の端42aと、スルーホール導体41の端41bとは、互いに間接的に連結されていてもよい。積層コイル部品1Aは、コイル3Aを備えている。コイル3Aは、複数のコイル導体31~36と、複数のスルーホール導体411~425とを有している。コイル3Aは、パッド導体5を更に有している。本変形例では、コイル3Aは、複数のパッド導体51,52,53,54,55を有している。各パッド導体51,52,53,54,55は、パッド導体5を構成する。
図5及び
図7に示されるように、パッド導体5は、互いに隣り合う一対のスルーホール導体41,42の間に位置する。パッド導体5は、スルーホール導体41の端41bとスルーホール導体42の端42aとに連結されている。パッド導体5は、スルーホール導体41とスルーホール導体42とを物理的かつ電気的に接続している。スルーホール導体42の端42aと、スルーホール導体41の端41bとは、パッド導体5を介して互いに間接的に連結されている。
【0039】
パッド導体51は、互いに隣り合う一対のスルーホール導体411,421の間に位置する。パッド導体51は、スルーホール導体411の端41bとスルーホール導体421の端42aとに連結されている。パッド導体52は、互いに隣り合う一対のスルーホール導体412,422の間に位置する。パッド導体52は、スルーホール導体412の端41bとスルーホール導体422の端42aとに連結されている。パッド導体53は、互いに隣り合う一対のスルーホール導体413,423の間に位置する。パッド導体53は、スルーホール導体413の端41bとスルーホール導体423の端42aとに連結されている。パッド導体54は、互いに隣り合う一対のスルーホール導体414,424の間に位置する。パッド導体54は、スルーホール導体414の端41bとスルーホール導体424の端42aとに連結されている。パッド導体55は、互いに隣り合う一対のスルーホール導体415,425の間に位置する。パッド導体55は、スルーホール導体415の端41bとスルーホール導体425の端42aとに連結されている。
【0040】
図8に示されるように、方向D2から見て、パッド導体5は、たとえば、T字形状を呈する。パッド導体5は、多角形状又は円形状を呈していてもよい。
図6に示されるように、パッド導体5の幅は、端42aの幅W1よりも大きい。たとえば、方向D2と交差する一の方向から見て、パッド導体5の幅は、端42aの幅W1及び端41bの幅W2よりも大きい。方向D2と交差する一の方向は、方向D1又は方向D3であってもよい。方向D2から見て、パッド導体5は、端41b及び端42aの全体と重なっている。
【0041】
各パッド導体51~55は、導電性材料により構成されている。各パッド導体51~55は、たとえば、各コイル導体31~36と同じ材料により構成されていてもよい。各パッド導体51~55は、めっき導体であってもよい。各パッド導体51~55は、対応する各絶縁体層20の欠損部に設けられた導電性材料によって構成される。
【0042】
図7及び
図8に示されるように、本変形例では、パッド導体5は、部分5a及び部分5bを含む。部分5aは、第一部分を構成する。方向D2から見て、部分5aは、コイル3の内径寄りに位置する。部分5aは、コイル3Aの内側に張り出す部分である。部分5bは、第二部分を構成する。部分5bは、部分5aよりコイル3の外側に位置すると共に、部分5aと方向D3で隣り合っている。方向D2から見て、部分5bは、コイル3の外径寄りに位置する。部分5bは、コイル3Aの外側に張り出す部分である。部分5aと部分5bとは、連続している。
【0043】
本変形例では、部分5bは、方向D1に沿って延在する部分5cを含んでいる。方向D1において、部分5cは、部分5aに対して突出するように延在している。方向D1において、部分5bの幅は、部分5aの幅よりも大きい。部分5bの面積は、部分5aの面積よりも大きい。
【0044】
上述のように、コイル3Aは、パッド導体5を更に含む。パッド導体5は、スルーホール導体41とスルーホール導体42との間に位置すると共に、スルーホール導体41の端41bとスルーホール導体42の端42aとに連結されている。パッド導体5の幅は、スルーホール導体42の端42aの幅W1よりも大きい。
互いに隣り合う一対のスルーホール導体41,42を接続しているパッド導体5は、端41bと端42aとに連結されている。パッド導体5の幅は、スルーホール導体42の端42aの幅W1よりも大きい。したがって、パッド導体5とスルーホール導体42とが位置ずれする場合でも、パッド導体5と端42aとが連結されている領域は、確保され得る。この結果、積層コイル部品1Aは、コイル導体31~36間の接続性の低下をより一層抑制できる。
【0045】
パッド導体5は、スルーホール導体41とスルーホール導体42とを物理的かつ電気的に接続している。
方向D2において、パッド導体5と端42aとが互いに重なり合う領域は、パッド導体5とスルーホール導体42とを直接的に連結している領域を構成する。パッド導体5とスルーホール導体42とを直接的に連結している領域の大きさが確保され得るので、積層コイル部品1Aは、スルーホール導体41,42間の物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制できる。
【0046】
上述のように、パッド導体5は、部分5aと、部分5aと隣り合う部分5bを含む。部分5bは、部分5aよりコイル3Aの外側に位置する。方向D1において、部分5bの幅は、部分5aの幅より大きい。
コイルの内側の面積は、コイルのインダクタンス値に影響する。一般に、コイルの内側の面積が減少すると、コイルのインダクタンス値が低下して、コイルの電気的特性が劣化する。パッド導体5のコイル3Aの内側に張り出す部分が大きい場合には、コイル3Aの内側の面積が狭められるので、結果として、コイル3Aの電気的特性は、劣化する。
コイル3Aを構成するパッド導体5では、コイル3Aの内側に張り出す部分5aは、コイル3Aの外側に張り出す部分5bよりも小さい。したがって、積層コイル部品1Aは、その電気的特性が劣化しがたい。
【0047】
以上、本発明をその実施形態及び変形例に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0048】
第一コイル導体と第二コイル導体との間で並んでいる複数のスルーホール導体の数は、「3」以上であってもよい。たとえば、コイルが図示されないスルーホール導体43を有する場合について説明する。互いに隣り合う一対の第一コイル導体と第二コイル導体との間に、複数のスルーホール導体41,42,43が位置する。スルーホール導体41,42,43は、方向D2で並んでいる。スルーホール導体41は、第一コイル導体寄りに配置されている。スルーホール導体43は、第二コイル導体寄りに配置されている。スルーホール導体42は、スルーホール導体41とスルーホール導体43との間に配置されている。互いに隣り合う一対のスルーホール導体41,42は、第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とを構成する。互いに隣り合う一対のスルーホール導体42,43は、第一スルーホール導体と第二スルーホール導体とを構成する。一対のスルーホール導体41,42の間と、一対のスルーホール導体42,43の間とにそれぞれ各パッド導体5が配置されてもよい。
【0049】
方向D2から見たパッド導体5の形状は、台形状であってもよい。たとえば、パッド導体5は、方向D2から見て、コイル3Aの内径側に上底が配置され、コイル3Aの外径側に下底が配置されている台形状を呈していてもよい。当該下底の長さは、当該上底の長さよりも大きい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A…積層コイル部品、2…素体、3,3A…コイル、31,32,33,34,35,36…コイル導体、41,42,411,412,413,414,415,421,422,423,424,425…スルーホール導体、41a,42a,41b,42b…端、5,51,52,53,54,55…パッド導体、5a,5b,5c…部分、D1,D2,D3…方向、W1,W2…幅。