(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056457
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】回転刃ホルダー
(51)【国際特許分類】
B26D 1/14 20060101AFI20240416BHJP
B26D 7/26 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
B26D1/14 A
B26D7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163337
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000151667
【氏名又は名称】株式会社東伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 哲
(72)【発明者】
【氏名】栗塚 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 祐治
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 崇
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021JA03
3C021JA10
3C027LL05
(57)【要約】
【課題】回転刃の交換を簡便に行うことができる技術を提案する。
【解決手段】スリッター装置にて用いられる回転刃を保持する回転刃ホルダーである。第1部材の挿入部は、回転刃の中央に設けられた貫通孔に挿入可能に構成されている。第2部材は、上記挿入部が挿入可能に構成された環状形状を有し、挿入部を中心として回転可能に構成されている。当接部は、第2部材が所定の回転位置にあるときに第2部材と当接して第2部材が挿入部から取り外されることを抑制する。回転制限部は、第2部材が相対的に本体部に近い第1挿入位置に位置するときには挿入部を中心とした回転を制限せず、第2部材が第1挿入位置よりも相対的に本体部から離れた第2挿入位置にあるときには回転を制限する。付勢部は、第2部材を第1挿入位置から第2挿入位置へ向かって付勢する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリッター装置にて用いられる回転刃を保持する回転刃ホルダーであって、
前記回転刃の中央に設けられた貫通孔に挿入可能に構成された挿入部と、前記挿入部の長さ方向の一端に配置され、前記回転刃が前記一端の側から脱落することを抑制する本体部と、を備える第1部材と、
前記挿入部が挿入可能に構成された環状形状を有し、前記挿入部を中心として回転可能に構成されており、前記挿入部が挿入されているときには前記回転刃が前記挿入部から脱落することを抑制する第2部材と、
前記第1部材に設けられ、前記第2部材が所定の回転位置にあるときに前記第2部材と当接して前記第2部材が前記挿入部から取り外されることを抑制する当接部と、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第2部材が相対的に前記本体部に近い第1挿入位置に位置するときには前記挿入部を中心とした回転を制限せず、前記第2部材が前記第1挿入位置よりも相対的に前記本体部から離れた第2挿入位置にあるときには前記回転を制限する回転制限部と、
前記第2部材を前記第1挿入位置から前記第2挿入位置へ向かって付勢する付勢部と、を備える、回転刃ホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載の回転刃ホルダーであって、
前記回転制限部は、前記第2部材が前記所定の回転位置にあるときに、前記回転を制限する、回転刃ホルダー。
【請求項3】
請求項1に記載の回転刃ホルダーであって、
前記付勢部は、前記挿入部に挿入された前記回転刃を付勢することで、前記回転刃を介して前記第2部材を付勢する、回転刃ホルダー。
【請求項4】
請求項1に記載の回転刃ホルダーであって、
前記回転制限部は、前記第1部材に設けられる第1係止部と、前記第2部材に設けられる第2係止部と、を備え、
前記第2係止部は、前記第2部材が前記第1挿入位置に位置するときには前記第1係止部と係合せず、前記第2挿入位置にあるときには前記第1係止部と係合して前記回転を制限する、回転刃ホルダー。
【請求項5】
請求項4に記載の回転刃ホルダーであって、
前記第1係止部は、前記挿入部から突出する突出片であり、
前記第2係止部は、前記第2部材が前記所定の回転位置にあるときに前記第1係止部に係合するように構成された切り欠きである、回転刃ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スリッター装置にて用いられる円盤状の回転刃を保持する回転刃ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状の箔や紙を一定幅に裁断しつつ巻き取るスリッター装置が知られている。またスリッター装置では、回転刃が保持された回転刃ホルダーを回転軸にて保持する構成が知られている。この構成において、摩耗などにより回転刃を交換するときには、回転刃ホルダーからの回転刃を取り外す作業が必要となる。特許文献1には、ホルダーに設けられた突起部を押圧することでホルダーに対する保持リングの回転が可能になり、それにより保持リングを外して回転刃の交換が可能となる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成において、回転刃を交換するために保持リングをホルダーから外すときには、突起部を押圧する操作と、保持リングの回転操作と、を同時に行う必要がある。つまり、動作方向の異なる2つの部品を同時に操作する必要がある。そのため、回転刃の交換が困難な場合がある。
【0005】
本開示の目的は、回転刃の交換を簡便に行うことができる技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、スリッター装置にて用いられる回転刃を保持する回転刃ホルダーである。この回転刃ホルダーは、第1部材と、第2部材と、当接部と、回転制限部と、付勢部と、を備える。第1部材は、挿入部と、本体部とを備える。挿入部は、回転刃の中央に設けられた貫通孔に挿入可能に構成されている。本体部は、挿入部の長さ方向の一端に配置され、回転刃が上記一端の側から脱落することを抑制する。第2部材は、上記挿入部が挿入可能に構成された環状形状を有し、挿入部を中心として回転可能に構成されており、挿入部が挿入されているときには回転刃が挿入部から脱落することを抑制する。当接部は、第1部材に設けられる。また当接部は、第2部材が所定の回転位置にあるときに第2部材と当接して第2部材が挿入部から取り外されることを抑制する。回転制限部は、第1部材及び第2部材の少なくともいずれか一方に設けられる。また回転制限部は、第2部材が相対的に本体部に近い第1挿入位置に位置するときには挿入部を中心とした回転を制限せず、第2部材が第1挿入位置よりも相対的に本体部から離れた第2挿入位置にあるときには回転を制限する。付勢部は、第2部材を第1挿入位置から第2挿入位置へ向かって付勢する。
【0007】
このように構成された回転刃ホルダーにおいて、第2部材の第1部材への取り付けは、第2部材を押圧して第1挿入位置まで移動させ、続いて第2部材を回転させて所定の回転位置に移動させ、その後、第2部材への押圧を解除して第2挿入位置とすることにより実現可能である。また、第2部材を第1部材から取り外す場合には、上述した操作とは逆に、第2部材を第1挿入位置まで移動させてから所定の回転位置とは異なる位置まで回転させ、押圧を解除することで取り外し可能な状態となる。
【0008】
すなわち、上述した回転刃ホルダーでは、第2部材を操作することによって第2部材の第1部材に対する着脱が実行可能となるため、第2部材の着脱を簡便にすることができる。それにより、上述した回転刃ホルダーでは、回転刃の交換を簡便に実行することができる。
【0009】
上述した回転刃ホルダーにおいて、回転制限部は、第2部材が所定の回転位置にあるときに、上述した第2部材の回転を制限するように構成されていてもよい。このような構成であれば、第2部材の第1部材からの取り外しが抑制される回転位置にあるときに第2部材の回転を制限できるため、第2部材が予期せず第1部材から外れてしまうことを抑制できる。
【0010】
上述した回転刃ホルダーにおいて、付勢部は、挿入部を嵌め込まれた回転刃を付勢することで、回転刃を介して第2部材を付勢するように構成されていてもよい。このような構成であれば、回転刃を第2部材と付勢部とで挟み込み、回転刃をしっかりと固定することができる。
【0011】
上述した回転刃ホルダーにおいて、回転制限部は、第1部材に設けられる第1係止部と、第2部材に設けられる第2係止部と、を備えてもよい。また第2係止部は、第2部材が第1挿入位置に位置するときには第1係止部と係合せず、第2挿入位置にあるときには第1係止部と係合して上述した第2部材の回転を制限するように構成されていてもよい。
【0012】
このような構成であれば、第2部材が第2挿入位置にあるときには回転制限部による回転の制限を受けずに容易に第2部材の回転を実行することができる。そのため、第2部材の第1部材に対する着脱操作を簡便に行うことができる。
【0013】
上述した回転刃ホルダーにおいて、第1係止部は、挿入部から突出する突出片であってもよい。また第2係止部は、第2部材が所定の回転位置にあるときに第1係止部に係合するように構成された切り欠きであってもよい。このような構成であれば、第1係止部と第2係止部の係合を好適に実現でき、第2部材の回転を良好に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aが回転刃を保持した実施形態の回転刃ホルダーを示す斜視図であり、
図1Bが回転刃ホルダーの
図1Aとは異なる視点の斜視図であり、
図1Cが回転刃ホルダーの正面図であり、
図1Dが回転刃ホルダーの右側面図であり、
図1Eが回転刃ホルダーの底面図である。
【
図2】実施形態の回転刃ホルダーの分解斜視図である。
【
図5】
図5Aが
図1CのVA-VA断面図であり、
図5Bが第2部材を本体部に向けて押圧した状態の断面図であり、
図5Cが第2部材を第2回転位置に回転させた状態の断面図である。
【
図6】
図6Aが回転刃ホルダーにおいて第2部材を一点鎖線で示した正面図であり、
図6Bが第2部材を回転させて一点鎖線で示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.回転刃ホルダーの構成]
図1A~1E及び
図2に示す回転刃ホルダー1は、図示しないスリッター装置において用いられる回転刃17を保持する装置である。
図1A~1Eでは、回転刃ホルダー1が回転刃17を保持した状態を示す。回転刃17は、
図2に示されるように、中央に貫通孔が形成された円盤形状である。回転刃17の外周端部が刃として機能する。
【0016】
回転刃ホルダー1は、略円筒状の第1部材11と、いずれも環状かつ円盤状である第2部材13及び付勢部15と、を備える。回転刃ホルダー1は、第1部材11の外周に、第2部材13、付勢部15、及び回転刃17を嵌めることで組み付けられる。回転刃ホルダー1は、組み付けられた状態にて、回転刃17を脱落不能に保持する。
【0017】
第1部材11は、
図2及び
図3A、3Bに示されるように、挿入部21と、本体部23と、を備える。挿入部21及び本体部23は、貫通孔が同軸上に設けられた筒状の部材であって、一体に構成されている。第1部材11の貫通孔には、スリッター装置の図示しない回転軸が挿入可能であり、第1部材11は回転軸に保持される。
【0018】
以下の説明において、挿入部21における本体部23の側の端部を挿入部21の一端と記載し、本体部23とは反対の端部を挿入部21の他端と記載する。また、
図3A、3Bに示す第1部材11の貫通孔の軸を、中心軸Aとする。
【0019】
挿入部21は、
図3Bに示されるように、第1支持部21aと、第2支持部21bと、を有する。第1支持部21aは、挿入部21の一端に配置され本体部23と隣接しており、相対的に外径が大きい。第2支持部21bは、第1支持部21aよりも挿入部21の他端側に配置され、相対的に外径が小さい。挿入部21は回転刃17の中央に設けられた貫通孔に挿入可能であり、回転刃17は第1支持部21aに外嵌される。
【0020】
挿入部21の他端には、3つの当接部25が設けられる。当接部25は、周方向の3か所に互いに離れて設けられている。当接部25は、挿入部21の第2支持部21bの外周側面よりも中心軸Aから離れる方向に突出している。以下の説明において、上述した中心軸Aから離れる方向を外側方向と記載する。
【0021】
また挿入部21の上述した他端のうち、当接部25が設けられていない箇所には、3つの第1係止部27が設けられる。第1係止部27は、挿入部21から外側方向に突出する突出片である。第1係止部27は、ねじ部27aを有しており、このねじ部27aを本体部23に形成されたねじ穴に螺合させることで本体部23に固定される。
【0022】
本体部23は、挿入部21の一端に配置される。本体部23の外径は第1支持部21aよりも大きく、かつ、第2部材13、付勢部15、及び回転刃17の貫通孔の直径よりも大きい。そのため、第2部材13、付勢部15、及び回転刃17が挿入部21に挿入された場合に、それらが挿入部21の一端の側から脱落することが抑制される。
【0023】
第2部材13は、
図4に示されるように、挿入部21が挿入可能に構成された環状形状を有しており、挿入部21が挿入された状態で挿入部21を中心に回転可能に構成されている。第2部材13は、
図1Dに示されるように、挿入部21が挿入されているときには、挿入部21に嵌め込まれた回転刃17が挿入部21の他端から脱落することを抑制する。また第2部材13は、本体部23に支持される付勢部15と回転刃17を挟み込むことによって回転刃17を保持する。
【0024】
図4に示されるように、第2部材13の内周側には、相対的に内側まで広がる第1内周部31と、第1内周部31と比較して内側まで延び出さずに外周側に位置する第2内周部33と、が設けられている。隣接する第1内周部31同士の間には切り欠き35が形成されており、隣接する第2内周部33同士の間には、切り欠き35である第2係止部37が形成されている。隣接する第1内周部31とその間の切り欠き35を含む組み合わせと、隣接する第2内周部33とその間の第2係止部37を含む組み合わせと、が、第2部材13の内周面に交互に3組ずつ配置される。切り欠き35及び第2係止部37は、第1係止部27の外側端部が入り込むことができる形状となっている。
【0025】
付勢部15は、いわゆる皿ばねであり、
図5Aなどに示されるように、第1支持部21aに外嵌される。付勢部15は、回転刃17を本体部23から離れる方向(すなわち、挿入部21の一端から他端に向かう方向)に付勢する。なお、以下の説明においては、本体部23から挿入部21に向かう方向を脱離方向と記載し、挿入部21から本体部23に向かう方向を挿入方向と記載する。付勢部15が上述したように回転刃17を付勢する結果、付勢部15は回転刃17を介して第2部材13を脱離方向に付勢する。
【0026】
[1-2.回転刃ホルダーの操作及び機能]
図5Aに示されるように、第1支持部21aには、挿入方向の先側(すなわち、挿入部21の一端側)から順に付勢部15と回転刃17が収められる。第2部材13が取り付けられていない状態では、付勢部15及び回転刃17は第1部材11に対して自在に着脱できる。なお、付勢部15は着脱不能に第1部材11に固定されていてもよい。
【0027】
第2部材13の第1部材11への取付けは、以下のように行う。
図6Aに示されるように、挿入部21が挿入された第2部材13を、3つの第1係止部27が3つの切り欠き35の間に収まるように配置する。この第2部材13の位置を第1回転位置とする。ここでいう回転位置とは、第2部材13が挿入部21を中心に回転変位した結果としての位置を意味しており、回転位置が変化しても第2部材13の回転軸の位置は変化しない。
【0028】
第2部材13が第1回転位置にあるときに、第2部材13を挿入方向に押圧することで、
図5Bに示されるように、第2部材13が当接部25及び第1係止部27よりも本体部23側の深い位置まで移動する。挿入方向に関する第2部材13の上述した位置を、第1挿入位置とする。
【0029】
第1挿入位置にあるときには、第2部材13は、当接部25や第1係止部27の影響を受けずに、挿入部21を中心として自在に回転させることができる。
第2部材13を第1挿入位置とした後に、続いて、
図6Bのように、第2部材13を3つの第1係止部27が第2係止部37に収まる位置まで回転させる。この位置を第2回転位置とする。この第2回転位置が、所定の回転位置に相当する。
【0030】
第2回転位置にあるとき、第2部材13に対する挿入方向に向かう押圧を停止すると、第2部材13は付勢部15により付勢されて脱離方向に移動する。そして、
図5Cに示されるように、第2係止部37の内部に第1係止部27が入り込むとともに、第1内周部31と当接部25とが当接する。挿入方向に関する第2部材13の上述した位置を、第2挿入位置とする。
【0031】
図5Cに示すように、第2部材13が第2回転位置及び第2挿入位置にあるときは、第2係止部37と第1係止部27との係合によって第2部材13の回転が制限され、また、付勢部15によって係合した状態が維持される。よって、第1内周部31と当接部25が当接した状態が適切に維持され、それにより第2部材13の脱落が防止される。第1係止部27及び第2係止部37が、回転制限部に相当する。
【0032】
以上説明したように、第2部材13を取り付ける工程では、第2部材13を第1回転位置(
図6A)とし、挿入方向に押圧して第1挿入位置(
図5B)まで移動させると、第2部材13の挿入部21を中心とした回転が可能となる。そして第2部材13を第2回転位置(
図6B)とし、押圧を解除すると、付勢部15の付勢力により第2部材13が脱離方向に移動し、第2挿入位置(
図5C)に移動する。その結果、第2部材13の脱落が抑制される。
【0033】
また、第2部材13を第1部材11から取り外すときには、第2部材13を押圧して第1挿入位置とし、その後、第2部材13を回転させて第1回転位置とすることで、当接部25に当接することなく第2部材13を取り外すことができる。
【0034】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)回転刃ホルダー1では、第1部材11に設けられる当接部25が、第2部材13が第2回転位置のときに第2部材13の脱離方向への移動を制限する。また回転制限部を構成する第1係止部27及び第2係止部37が、第2部材13が相対的に本体部23に近い第1挿入位置に位置するときには挿入部21を中心とした回転を制限せず、第2部材13が第2挿入位置にあるときには上述した回転を制限する。また、付勢部15が、第2部材13を第1挿入位置から第2挿入位置へ向かって付勢する。
【0035】
このような構成であるため、第2部材13を第1部材11に取り付けるときには、第2部材13を挿入方向に向かって押圧し、その後に回転させることで、第2部材13を第1部材11に取り付けることができる。また、第2部材13を第1部材11から取り外すときには、第2部材13を挿入方向に押圧してから回転させることで取り外し可能な状態となる。したがって、第2部材13のみを扱う簡便な操作で第2部材13の第1部材11に対する着脱を行うことができる。これにより、回転刃17の交換を容易に実行することができる。
【0036】
(1b)回転刃ホルダー1では、回転制限部を構成する第1係止部27及び第2係止部37は、第2部材13が第2回転位置にあるとき、すなわち第1内周部31と当接部25とが干渉することで第2部材13の脱落が抑制される位置にあるときに、第2部材13の回転を制限するように構成されている。そのため、第2部材13が予期せず第1部材11から外れてしまうことを抑制することができる。
【0037】
(1c)回転刃ホルダー1では、付勢部15は、挿入部21に挿入された回転刃17を付勢し、回転刃17を介して第2部材13を脱離方向に付勢するように構成されている。そのため、回転刃17を第2部材13と付勢部15とで適切に挟みこむことができ、回転刃17を強固に固定することができる。
【0038】
(1d)回転刃ホルダー1では、第2係止部37は、第2部材13が第1挿入位置に位置するときには第1係止部27と係合せず、第2挿入位置にあるときには第1係止部27と係合して挿入部21を中心とした回転を制限するように構成されている。
【0039】
上記のように構成されているため、回転刃ホルダー1は、第2挿入位置にあるときには容易に第2部材13の回転を実行することができる。よって、簡便に第2部材13の着脱を行うことができる。
【0040】
(1e)回転刃ホルダー1では、第1係止部27は、挿入部21から突出する突出片であり、第2係止部37は、第2部材13が第2回転位置にあるときに第1係止部27に係合するように構成された切り欠き35である。そのため、第1係止部27と第2係止部37の係合を好適に実現でき、第2部材13の回転を良好に抑制できる。
【0041】
(1f)回転刃ホルダー1では、第1係止部27は、第1回転位置にあるときに、正面から見て切り欠き35の内部に収まる。そのため、使用者は、切り欠き35が第1係止部27に合うように第2部材13を回転させることで、第2部材13を容易に第1回転位置に合わせることができる。
【0042】
[2.その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0043】
(2a)上記実施形態では、回転制限部を構成する第1係止部27及び第2係止部37が係合することで、第2部材13の回転を抑制する構成を例示した。しかしながら、回転制限部の具体的な構成は特に限定されない。
【0044】
例えば、上記実施形態では、第1部材11及び第2部材13のそれぞれに設けられる構成を例示したが、回転制限部は第1部材11及び第2部材13のいずれか一方にのみ設けられていてもよい。一例として、第1部材11に、第2挿入位置へ移動した第2部材13と当接したときに摩擦力を生じる樹脂部材を設けてもよい。
【0045】
また、第1係止部27及び第2係止部37に代えて、当接部25における第1内周部31と当接する面と、第1内周部31における当接部25と当接する面と、のそれぞれに凹凸形状を設け、それらが係合するように構成されていてもよい。
【0046】
(2b)上記実施形態では、第1係止部27と第2係止部37が係合する第2回転位置に第2部材13が位置する場合に、回転が抑制される構成を例示した。しかしながら、第2回転位置以外の位置であっても回転の抑制が実現される構成であってもよい。例えば、第1係止部27又は第2係止部37を多数設けることで、多くの回転位置で係合するように構成してもよい。
【0047】
(2c)上記実施形態では、付勢部として、皿ばねを用いる構成を例示したが、付勢部は皿ばね以外のばね等の弾性部材を用いてもよい。例えば、第2部材13を脱離方向に付勢する1つ以上の巻きばねを用いてもよい。
【0048】
(2d)上記実施形態では、付勢部15は、回転刃17を介して第2部材13を付勢する構成を例示したが、回転刃17を介さずに、直接的に、あるいは別の部材を介して第2部材13を付勢するように構成されていてもよい。
【0049】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0050】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
スリッター装置にて用いられる回転刃を保持する回転刃ホルダーであって、
前記回転刃の中央に設けられた貫通孔に挿入可能に構成された挿入部と、前記挿入部の長さ方向の一端に配置され、前記回転刃が前記一端の側から脱落することを抑制する本体部と、を備える第1部材と、
前記挿入部が挿入可能に構成された環状形状を有し、前記挿入部を中心として回転可能に構成されており、前記挿入部が挿入されているときには前記回転刃が前記挿入部から脱落することを抑制する第2部材と、
前記第1部材に設けられ、前記第2部材が所定の回転位置にあるときに前記第2部材と当接して前記第2部材が前記挿入部から取り外されることを抑制する当接部と、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第2部材が相対的に前記本体部に近い第1挿入位置に位置するときには前記挿入部を中心とした回転を制限せず、前記第2部材が前記第1挿入位置よりも相対的に前記本体部から離れた第2挿入位置にあるときには前記回転を制限する回転制限部と、
前記第2部材を前記第1挿入位置から前記第2挿入位置へ向かって付勢する付勢部と、を備える、回転刃ホルダー。
[項目2]
項目1に記載の回転刃ホルダーであって、
前記回転制限部は、前記第2部材が前記所定の回転位置にあるときに、前記回転を制限する、回転刃ホルダー。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の回転刃ホルダーであって、
前記付勢部は、前記挿入部に挿入された前記回転刃を付勢することで、前記回転刃を介して前記第2部材を付勢する、回転刃ホルダー。
[項目4]
項目1から項目3のいずれか1項に記載の回転刃ホルダーであって、
前記回転制限部は、前記第1部材に設けられる第1係止部と、前記第2部材に設けられる第2係止部と、を備え、
前記第2係止部は、前記第2部材が前記第1挿入位置に位置するときには前記第1係止部と係合せず、前記第2挿入位置にあるときには前記第1係止部と係合して前記回転を制限する、回転刃ホルダー。
[項目5]
項目1から項目4のいずれか1項に記載の回転刃ホルダーであって、
前記第1係止部は、前記挿入部から突出する突出片であり、
前記第2係止部は、前記第2部材が前記所定の回転位置にあるときに前記第1係止部に係合するように構成された切り欠きである、回転刃ホルダー。
【符号の説明】
【0051】
1…回転刃ホルダー、11…第1部材、13…第2部材、15…付勢部、17…回転刃、21…挿入部、21a…第1支持部、21b…第2支持部、23…本体部、25…当接部、27…第1係止部、27a…ねじ部、31…第1内周部、33…第2内周部、35…切り欠き、37…第2係止部