IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図1
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図2
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図3
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図4
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図5
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図6
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図7
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図8
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図9
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図10
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図11
  • 特開-位置決め装置およびビス打ちロボット 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056459
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】位置決め装置およびビス打ちロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163340
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森 潤一
(72)【発明者】
【氏名】松戸 正士
(72)【発明者】
【氏名】權 純洙
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS21
3C707CS08
3C707CT04
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707HS27
3C707KT01
3C707KT04
3C707KV04
3C707NS09
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】壁面に配置されたボードに予め打ち込まれた仮止めビスを避けてボードにビスを打ち込むためのビス打ち位置を決定する位置決め装置を提供すること。
【解決手段】位置決め装置は、ボードの第1の面側から第1の面と反対の第2の面側に配置された下地材を検出する第1のセンサと、ボードの第1の面内に打ち込まれた仮止めビスを検出する第2のセンサと、下地材が検出され、かつ、仮止めビスが検出されないボードの第1の面上の位置を算出する制御部と、を含む。制御部は、第1のセンサが検出した下地材の少なくとも一端に基づき、位置を算出してもよい。第1のセンサおよび第2のセンサの各々は、近接センサであってもよい。第1のセンサの検出距離は、第2のセンサの検出距離よりも大きくてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードの第1の面側から前記第1の面と反対の第2の面側に配置された下地材を検出する第1のセンサと、
前記ボードの前記第1の面内に打ち込まれた仮止めビスを検出する第2のセンサと、
前記下地材が検出され、かつ、前記仮止めビスが検出されない前記ボードの前記第1の面上の位置を算出する制御部と、を含む、位置決め装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のセンサが検出した下地材の少なくとも一端に基づき、前記位置を算出する、請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサの各々は、近接センサである、請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記第1のセンサの検出距離は、前記第2のセンサの検出距離よりも大きい、請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項5】
壁面に配置されたボードの第1の面にビスを打ち込むビス打ちロボットであって、
支持本体と、
前記支持本体と接続され、床面に対して略垂直なZ方向に前記ビス打ちユニットを昇降させる昇降装置と、を含み、
前記ビス打ちユニットは、
前記ボードの前記第1の面と反対の第2の面側の下地材を検出する第1のセンサと、
前記ボードの前記第1の面内に予め打たれた仮止めビスを検出する第2のセンサと、
前記ボードの前記第1の面に前記ビスを打ち出すビス打ち装置と、
前記ボードを吸着可能な吸着装置と、を含む、ビス打ちロボット。
【請求項6】
前記ビス打ちユニットは、さらに、前記昇降装置と接続される第1のアクチュエータを含み、
前記第1のアクチュエータは、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、前記ビス打ち装置、および前記吸着装置をX方向に移動させる、請求項5に記載のビス打ちロボット。
【請求項7】
前記ビス打ちユニットは、さらに、前記第1のアクチュエータと独立して駆動可能な第2のアクチュエータを含み、
前記第2のアクチュエータは、前記第1のセンサを前記X方向に移動させる、請求項6に記載のビス打ちロボット。
【請求項8】
前記ビス打ちユニットは、さらに、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータと独立して駆動可能な第3のアクチュエータを含み、
前記第3のアクチュエータは、前記ビス打ち装置を前記X方向に移動させる、請求項7に記載のビス打ちロボット。
【請求項9】
前記ビス打ちユニットは、さらに、前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、および前記第3のアクチュエータと独立して駆動可能な第4のアクチュエータを含み、
前記第4のアクチュエータは、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、および前記ビス打ち装置を前記X方向および前記Z方向と交差するY方向に移動させる、請求項8に記載のビス打ちロボット。
【請求項10】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、近接センサである、請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載のビス打ちロボット。
【請求項11】
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは、検出方式が異なる前記近接センサである、請求項10に記載のビス打ちロボット。
【請求項12】
さらに、前記支持本体の下方にホイールを含む、請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載のビス打ちロボット。
【請求項13】
前記ホイールは、前後左右に移動可能である、請求項12に記載のビス打ちロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、壁面に配置されたボードにビスを打ち込むためのビス打ち位置を決定する位置決め装置に関する。また、本発明の一実施形態は、壁面に配置されたボードにビスを打ち込むビス打ちロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装工事においては、鉄骨などの下地材で構成される壁面に、壁材として石膏ボードを貼り付ける作業が行われる場合がある。近年、このような内装工事においても自動化が進められている。例えば、特許文献1には、壁面に石膏ボードを貼り付けて、ビスを打ち込むことができる自動化されたボード貼り付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたボード貼り付け装置は、ビス打ち機および多軸制御のロボットアームを有する。ロボットアームは、壁面に貼り付けるボードを把持するロボットハンドを駆動する。しかしながら、多軸制御のロボットアームを有するボード貼り付け装置は装置自体が大きくなるため、作業現場に十分な広さを必要とする。そのため、マンションまたは事務所ビルの部屋などの狭スペースにおける内装工事において、特許文献1に記載されたボード貼り付け装置を導入することは困難である。また、狭スペースにおける内装工事においては、一部の作業が自動化されることにより作業効率が向上する場合もある。例えば、ボードの貼り付け作業では、作業者が数本の仮止めビスを用いてボードを壁面に固定するだけでよく、ビス打ちの回数を減らすことができる。ビス打ちの回数が減るため、作業者の高所におけるビス打ち作業の時間を短縮することができる。また、作業者によるビス打ちの場合、位置のばらつきが発生し、さらに下地材に対して正しい位置にビスを打つにはマーキング等の作業が必要となる。そのため、狭スペースに導入可能な自動化されたビス打ち装置があると、作業者の負担を軽減し、内装工事における作業効率の向上を図ることができる。但し、この場合、仮止めビス上にビス打ちを行うと、ビス打ち装置を破損することがある。たとえ、仮止めビス付近にビス打ちを行うことができても、大型の建設現場では大量の資材が無駄になる。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、壁面に配置されたボードに予め打ち込まれた仮止めビスを避けてボードにビスを打ち込むためのビス打ち位置を決定する位置決め装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、仮止めビスを有効利用してボードにビスを打ち込むことができるビス打ちロボット提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、壁面に配置されたボードに予め打ち込まれた仮止めビスを避けてボードビスを打ち込むビス打ちロボットを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る位置決め装置は、ボードの第1の面側から第1の面と反対の第2の面側に配置された下地材を検出する第1のセンサと、ボードの第1の面内に打ち込まれた仮止めビスを検出する第2のセンサと、下地材が検出され、かつ、仮止めビスが検出されないボードの第1の面上の位置を算出する制御部と、を含む。
【0007】
制御部は、第1のセンサが検出した下地材の少なくとも一端に基づき、位置を算出してもよい。
【0008】
第1のセンサおよび第2のセンサの各々は、近接センサであってもよい。第1のセンサの検出距離は、第2のセンサの検出距離よりも大きくてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットは、壁面に配置されたボードの第1の面にビスを打ち込むビス打ちロボットであって、支持本体と、支持本体と接続され、床面に対して略垂直なZ方向にビス打ちユニットを昇降させる昇降装置と、を含み、ビス打ちユニットは、ボードの第1の面と反対の第2の面側の下地材を検出する第1のセンサと、ボードの第1の面内に予め打たれた仮打ちビスを検出する第2のセンサと、ボードの第1の面にビスを打つビス打ち装置と、ボードに吸着可能な吸着装置と、を含む。
【0010】
ビス打ちユニットは、さらに、昇降装置と接続される第1のアクチュエータを含み、第1のアクチュエータは、第1のセンサ、第2のセンサ、ビス打ち装置、および吸着装置をX方向に移動させてもよい。
【0011】
ビス打ちユニットは、さらに、第1のアクチュエータと独立して駆動可能な第2のアクチュエータを含み、第2のアクチュエータは、第1のセンサをX方向に移動させてもよい。
【0012】
ビス打ちユニットは、さらに、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと独立して駆動可能な第3のアクチュエータを含み、第3のアクチュエータは、ビス打ち装置をX方向に移動させてもよい。
【0013】
ビス打ちユニットは、第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、および第3のアクチュエータと独立して駆動可能な第4のアクチュエータを含み、第4のアクチュエータは、第1のセンサ、第2のセンサ、およびビス打ち装置をX方向およびZ方向と交差するY方向に移動させてもよい。
【0014】
第1のセンサおよび第2のセンサは、近接センサであってもよい。第1のセンサと第2のセンサとは、検出方式が異なる近接センサであってもよい。
【0015】
ビス打ちロボットは、さらに、支持本体の下方にホイールを含んでいてもよい。ホイールは、前後左右に移動可能であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態に係る位置決め装置は、壁面に配置されたボードの背面側の下地材およびボードに予め打ち込まれた仮止めビスを検出し、仮止めビスを避けながらビスを打ち込むビス打ち位置を決定することができる。そのため、作業者が予めビス打ちの位置をマーキングする必要がなく、作業者がボードを仮固定するときに打ち込んだ仮止めビスを有効に利用することができる。また、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットは小型であり、狭スペースにおける壁面に配置されたボードに自動でビス打ちを行うことができる。また、ビス打ちロボットは高所におけるビス打ちも可能であり、作業者の高所での作業時間を減らすことができる。さらに、ビス打ちロボットは、位置決め装置を含み、ビス打ち位置を決定することができる。したがって、作業者の負担を軽減し、内装工事における作業効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの利用態様を説明する模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの構成を示す模式的な正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの構成を示す模式的な右側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットのビス打ちユニットの構成を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの第1のセンサおよび第2のセンサの検出方法を説明する模式的な平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットのビス打ちユニットに含まれる第1のアクチュエータ~第3のアクチュエータの駆動を説明する模式的な右側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットのビス打ちユニットに含まれる第4のアクチュエータの駆動を説明する模式的な正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの制御装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの制御方法を説明するフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの制御方法を説明する模式図である。
図11】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの制御方法を説明する模式図である。
図12】本発明の一実施形態に係るビス打ちロボットの制御方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0019】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。
【0020】
本明細書において、説明の便宜上、「床面」、「天井面」、および「壁面」という語句を用いて説明する。「床面」はビス打ちロボットが設置される面であり、「天井面」は「床面」の反対に位置する面であり、および「壁面」は「床面」と「天井面」とを接続する面である。
【0021】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0022】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これらの複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、1つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0023】
<第1実施形態>
図1図8を参照して、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10について説明する。
【0024】
[1.ビス打ちロボット10の利用態様]
図1は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の利用態様を説明する模式的な平面図である。
【0025】
図1には、ビス打ちロボット10を利用して、建築物の内装工事が行われる壁面が示されている。以下では、床面および壁面が、それぞれ、XY面およびYZ面に形成されているものとして説明する。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交(略90°で交差している場合も含む。)し、Z方向は、床面に対して略垂直な方向(鉛直方向)である。また、以下では、ビス打ちロボット10の動作に合わせて、X方向、Y方向、およびZ方向を、それぞれ、前後方向、左右方向、および上下方向という場合がある。
【0026】
壁面には、予め、作業者によってボード1000がZ方向に延在する下地材1100に貼り付けられている。作業者によるボード1000の貼り付けは、ボード1000の位置が固定されればよい。そのため、作業者は、ボード1000が下地材1100と接する位置において、ボード1000に数本のビスを打ち込み、ボード1000と下地材1100とを固定する。作業者によって打ち込まれるビスは、ボード1000と下地材1100とを仮固定するためのものである。そのため、以下では、予め、作業者によって打ち込まれたビスを、仮止めビス1200として説明する(図1中の領域A参照)。
【0027】
ボード1000は、例えば、建築物の内装工事において用いられる石膏ボードなどの板状部材である。下地材1100は、例えば、建築物の天井または壁の下地として用いられる軽量鉄骨(Light Gauge Steel:LGS)などである。ボード1000および下地材1100には、いくつかの規格値が存在する。具体的には、ボード1000の規格値の一例としては、長さlが1820mmであり、幅wが606mmまたは910mmであり、および厚さtが12.5mmまたは21.0mmである。下地材1100の規格値は、断面長(以下、単に「長さ」という。)lおよび断面幅(以下、単に「幅」という。)wは、それぞれ、100mmおよび40mmである。なお、下地材1100の材質は、限定はされず、導体および誘電体などであればより好ましい。
【0028】
建築物の壁面は、1枚のボード1000の面積(l×w)よりも大きい場合が多い。そのため、壁面には、複数のボード1000が貼り付けられる。したがって、作業者は、予め、仮止めビス1200を用いて、複数のボード1000を壁面に貼り付けておく。なお、1枚のボード1000に打ち込まれる仮止めビス1200の数は特に限定されない。また、1枚のボード1000に打ち込まれる仮止めビス1200の位置も特に限定されない。詳細は後述するが、ビス打ちロボット10は、仮止めビス1200を検出することができるため、仮止めビス1200を避けてボード1000にビスを打ち込むことができる。
【0029】
仮止めビス1200を用いたボード1000の貼り付け作業が完了した後、ボード1000を下地材1100に本固定するために、ビス打ちロボット10を用いて、ボード1000にビスを打ち込む。詳細は後述するが、ビス打ちロボット10は、Y方向に移動しながら下地材1100を検出し、その後、ビス打ちユニットをZ方向(下地材1100の延在方向)に昇降させながら、下地材1100の延在方向に配置された複数のボード1000に亘って連続してビスを打ち込むことができる。
【0030】
なお、図1には、壁に設けられた腰壁1300が図示されているが、ビス打ちロボット10は、腰壁1300の有無に依らず、利用することが可能である。
【0031】
[2.ビス打ちロボット10の構成]
図2および図3は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の構成を示す模式的な正面図および右側面図である。
【0032】
図2および図3に示すように、ビス打ちロボット10は、支持本体100、昇降装置200、ビス打ちユニット300、4つのホイール400、および制御装置500を含む。支持本体100の上側には昇降装置200が配置されている。昇降装置200は、支持本体100と接続され、支持本体100は、昇降装置200を支持している。また、支持本体100の上側には制御装置500も配置されている。支持本体100の下側には、4つのホイール400が回転可能に接続されている。ビス打ちロボット10は、ホイール駆動部(図示せず)が4つのホイール400を駆動することにより、床面上を移動することができる。すなわち、ビス打ちロボット10は、前後方向(X方向)および左右方向(Y方向)に自在に移動することができる。
【0033】
支持本体100は、複数の棒状部材が組み合わされて構成されていてもよく、板状部材が用いられて構成されていてもよい。支持本体100の形状は特に限定されないが、支持本体100の上側には、ビス打ちユニット300が収容されるための空間が設けられている。なお、支持本体100およびホイール400が組み合わされた構成を台車という場合がある。
【0034】
昇降装置200は、上下方向(Z方向)にビス打ちユニット300を昇降させることができる。昇降装置200は、複数のマスト201およびモータ202を含む。複数のマストの1つは、ビス打ちユニット300と接続されている。また、複数のマスト201は、隣接する2つのマストの一方に対し、他方が上昇または下降することができるように連結されている。すなわち、昇降装置200は、モータ202により、複数のマスト201を順次上昇させ、または下降させることができる多段式リフトである。但し、昇降装置200の構成はこれに限られない。ビス打ちロボット10において、昇降装置200は、ビス打ちユニット300を昇降させることができる構成であればよい。例えば、昇降装置200は、ビス打ちユニット300が接続されたアームを上下方向に伸縮させることによって、ビス打ちユニット300を昇降させる構成であってもよい。
【0035】
ホイール400は、例えば、メカナムホイール(登録商標)またはオムニホイール(登録商標)である。ホイール400がメカナムホイールである場合、4つのメカナムホイールの回転方向を調整することにより、ビス打ちロボット10は、前後方向(X方向)および左右方向(Y方向)だけでなく、斜め方向への移動も可能である。なお、ホイール400の構成はこれに限られない。ビス打ちロボット10は、床面上を移動可能な構成を含んでいればよく、ホイール400の代わりにクローラが含まれていてもよい。
【0036】
[3.ビス打ちユニット300の構成]
図2および図3とともに、図4を参照して、ビス打ちユニット300の構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10のビス打ちユニット300の構成を示す模式図である。具体的には、図4(A)、図4(B)、および図4(C)は、それぞれ、ビス打ちユニット300の模式的な正面図、右側面図、および左側面図である。なお、図4では、説明の便宜上、後述する吸着装置340および電源装置370の図示が省略されている。
【0037】
図2および図3に示すように、ビス打ちユニット300は、第1のセンサ310、第2のセンサ320、ビス打ち装置330、吸着装置340、第1のアクチュエータ350-1、第2のアクチュエータ350-2、第3のアクチュエータ350-3、第4のアクチュエータ350-4、ユニット支持本体360、および電源装置370を含む。
【0038】
[3-1.ビス打ち装置330の構成]
ビス打ち装置330は、壁面に配置されたボード1000を下地材1100に固定するためのビスを、射出口330aから打ち出す。ビス打ち装置330におけるビスの打ち出しは、電動式であっても、エアー式であってもよい。但し、電動式のビス打ち装置330は、エアーコンプレッサを必要としないため、ビス打ちロボット10を小型化できる点において好ましい。
【0039】
[3-2.第1のセンサ310および第2のセンサ320の構成]
第1のセンサ310は、壁面に配置されたボード1000の背面側の下地材1100を検出する。ビス打ち装置330から打ち出されるビスは、ボード1000と下地材1100とを固定する。そのため、ビスが打ち込まれる位置は、下地材1100と重畳している必要があるため、第1のセンサ310により下地材1100を検出する。
【0040】
第2のセンサ320は、壁面に配置されたボード1000に予め打ち込まれた仮止めビス1200を検出する。ビス打ちロボット10を利用する場合、予め作業者によってボード1000の前面側からボード1000に仮止めビス1200が打ち込まれている。仮止めビス1200が存在する位置には、あらためてビスを打ち込む必要がないため、第2のセンサ320により仮止めビス1200を検出する。
【0041】
第1のセンサ310および第2のセンサ320は、例えば、近接センサである。近接センサの検出方式は、電界を利用した静電容量方式であってもよく、または磁界を利用した磁気方式もしくは高周波発信方式であってもよい。第1のセンサ310と第2のセンサ320とは、検出方式が同じ近接センサであってもよく、検出方式が異なる近接センサであってもよい。
【0042】
また、第2のセンサ320は、カメラであってもよく、画像処理により、仮止めビス1200を検出してもよい。
【0043】
なお、以下では、ボード1000の前面および背面を、それぞれ、第1の面および第2の面という場合がある。
【0044】
ここで、図5を参照して、第1のセンサ310による下地材1100の検出方法および第2のセンサ320による仮止めビス1200の検出方法について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の第1のセンサ310および第2のセンサ320の検出方法を説明する模式的な平面図である。図5に示す第1のセンサ310および第2のセンサ320は、近接センサである。
【0045】
図5(A)には、第1のセンサ310、ボード1000、および下地材1100が図示されている。ビス打ちロボット10は、ボード1000の第1の面1001側に位置しており、第1のセンサ310は、ボード1000の第1の面1001に面している。下地材1100は、ボード1000の第2の面1002側に配置されている。隣接する2つの下地材1100間のピッチpの規格値は、303mmまたは455mmであるが、ピッチpはこれらに限られない。ビス打ちロボット10は、下地材1100を検出することができるため、当該規格値と異なるボード1000および下地材1100に対しても適用することができる。
【0046】
第1のセンサ310は、ボード1000の第1の面1001側から第2の面1002側に配置された下地材1100を検出する。そのため、第1のセンサ310の検出距離dは、ボードの厚さtよりも大きい。第1のセンサ310の検出距離dは、ボード1000の厚さtにも依るが、例えば、3mm以上25mm以下である。
【0047】
第1のセンサ310をY方向(左右方向)に移動させ、ボード1000の第2の面1002側に下地材1100が存在すると、第1のセンサ310の第1の検出信号が変化し、下地材1100を検出することができる。より具体的には、第1のセンサ310では、Y方向における下地材1100の一端から他端までの幅wと対応するように第1の検出信号が変化する。そのため、第1のセンサ310は、Y方向における下地材1100の両端を検出することができる。
【0048】
図5(B)には、第2のセンサ320、ボード1000、下地材1100、および仮止めビス1200が図示されている。ビス打ちロボット10は、ボード1000の第1の面1001側に位置しており、第2のセンサ320は、ボード1000の第1の面1001に面している。仮止めビス1200は、ボード1000の第1の面1001側から打ち込まれており、仮止めビス1200の一部(例えば、頭部)は、ボード1000の第1の面1001内に露出されている。
【0049】
第2のセンサ320は、ボード1000の第1の面1001内の仮止めビス1200を検出するが、第2のセンサ320は、下地材1100を検出しないようにする必要がある。そのため、第2のセンサ320の検出距離dは、ボード1000の厚さtよりも小さいことが好ましい。但し、第2のセンサ320は、第1の面1001から所定の距離だけ離して使用することもできる。その場合、第2のセンサ320の検出距離dは、ボード1000の厚さtよりも大きくてもよい。いずれにせよ、第2のセンサ320が下地材1100を検出しないようにするためには、第2のセンサ320の検出距離dは、第1のセンサ310の検出距離dよりも小さいことが好ましい。
【0050】
第2のセンサ320をY方向(左右方向)に移動させ、ボード1000の第1の面1001内に仮止めビス1200が存在すると、第2のセンサ320の第2の検出信号が変化し、仮止めビス1200を検出することができる。
【0051】
なお、第1のセンサ310の検出距離d内に仮止めビス1200が存在する場合がある。しかしながら、仮止めビス1200は、必ず下地材1100と重畳しているため、第1のセンサ310による下地材1100の検出において、仮止めビス1200の存在を考慮する必要はない。
【0052】
続いて、再び図2図4を参照し、ビス打ちユニット300における第1のセンサ310および第2のセンサ320の配置について説明する。
【0053】
第1のセンサ310は、正面視(YZ面)において、ビス打ち装置330の射出口330aの中心を通り、Z方向に平行な線上に位置していることが好ましい(図2図4(A)参照)。また、第1のセンサ310は、正面視(YZ面)および側面視(ZX面)において、ビス打ち装置330の上方に位置していることが好ましい(図3図4(C)参照)。なお、第1のセンサ310は、必ずしもビス打ち装置330の射出口330aの近傍になくてもよい。下地材1100は、Z方向に延在しているため、第1のセンサ310によって下地材1100が検出されれば、第1のセンサ310の下方に位置するビス打ち装置330の射出口330aは下地材1100と重畳することになり、ビス打ち装置330は、ボード1000が下地材1100と重畳している位置でビスを打ち出すことができる。
【0054】
ビス打ち装置330がビスを打ち出す位置は、第2のセンサ320によって仮止めビス1200が検出されない位置である。そのため、第2のセンサ320は、ビスを打ち込むときのビス打ち装置330の射出口の位置の近傍に配置されていることが好ましい。例えば、正面視(YZ面)において、第2のセンサ320は、ビス打ち装置330の射出口330aの中心を通り、Y方向に平行な線上に位置していることが好ましい(図2図4(A)参照)。詳細は後述するが、第2のセンサ320は、Y方向に移動することができる。そのため、Y方向における第2のセンサ320とビス打ち装置330の射出口330aとの間の距離(オフセット距離)に基づき、ビス打ち装置330の射出口330aと対応する位置に第2のセンサ320を移動させ、ビス打ち装置330がビスを打ち出す位置において仮止めビス1200を検出することができる。
【0055】
また、第2のセンサ320は、側面視(ZX面)において、X方向にビス打ち装置330の射出口330aよりも突出するように位置していてもよい(図4(B)、図4(C)参照)。詳細は後述するが、ビス打ち装置330は、第2のセンサ320と独立してX方向に移動することができる。そのため、ビス打ち装置330は、第2のセンサ320が仮止めビス1200の有無を検出した後で、X方向に移動し、ビスを打ち出すことができる。
【0056】
また、詳細は後述するが、第1のセンサ310は、第2のセンサ320と独立してX方向に移動することができる。そのため、側面視(ZX面)において、第1のセンサ310と第2のセンサとの位置関係(例えば、距離または方向など)が予め設定値として取得されていればよく、位置関係は特に限定されない。なお、詳細は後述するが、第2のセンサ320は、吸着装置340と同時にX方向に移動することができる。そのため、第2のセンサ320は、吸着装置340がX方向に移動して停止したときに、ボード1000の第1の面1001の近傍に位置するように配置されていることが好ましい。
【0057】
[3-3.吸着装置340の構成]
吸着装置340は、吸着パッド341およびアーム342を含む。吸着パッド341は、アーム342の一端に接続されている。また、アーム342は、第1の接続プレート381と接続されている。吸着パッド341は、ボード1000に押し付けられると、ボード1000と吸着パッド341との間の空気が抜かれ、これにより、吸着パッド341はボード1000を吸着する。すなわち、吸着装置340は、ボード1000を吸着することができる。吸着パッド341がボード1000から離れると、ボード1000と吸着パッド341との間に空気が入り込み、これにより、吸着パッド341はボード1000の吸着を解除することができる。
【0058】
なお、吸着装置340の構成は、これに限られない。アーム342はX方向に伸縮する構成を含んでいてもよい。この場合、アーム342の伸縮する構成を用いて、吸着パッド341をボードに押し付けることができる。また、吸着装置340は、真空ポンプを含んでいてもよい。真空ポンプは、ボードと吸着パッド341との間の空気を排出し、またはボードと吸着パッド341との間に空気を送り込むことができる。真空ポンプを用いることにより、吸着パッド341の吸着力を増加させることができる。
【0059】
ビス打ち装置330によってボード1000にビスを打ち込むとき、反動によってビス打ち装置330が後退してしまうと、ビスがボード1000に完全に打ち込まれないことがある。特に、ビス打ちユニット300が上昇し、支持本体100から離れるほど、その影響が顕著に現れる。そのため、ビス打ちロボット10では、ビス打ち装置330がビスを打ち出すときに、吸着装置340がボードを吸着し、ボードとビス打ち装置330との距離を一定に保持するようにする。これにより、ビス打ち装置330がビスを打ち出すときに、反動によってビス打ち装置330が後退することなく、ボード1000にビスを完全に打ち込むことができる。
【0060】
[3-4.ユニット支持本体360の構成]
ユニット支持本体360は、昇降装置200に接続される第1の支持フレーム361および第1のアクチュエータ350-1を支持する第2の支持フレーム362を含む。ユニット支持本体360は、ビス打ちユニット300に含まれる他の構成要素の全てを支持している。第1の支持フレーム361は昇降装置200のマスト201に接続されており、マスト201の昇降により、ビス打ちユニット300がZ方向に昇降する。第2の支持フレーム362は、第1の支持フレーム361からX方向に突出するように、第1の支持フレーム361と接続されている。第2の支持フレーム362は、離間された2つのフレーム部材であってもよく、コの字状部材であってもよい。第1のアクチュエータ350-1は第2の支持フレーム362の内側に配置され、第2の支持フレーム362によって支持されている。
【0061】
[3-5.電源装置370の構成]
電源装置370は、第1のセンサ310、第2のセンサ320、ビス打ち装置330、および第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4に電力を供給する。
【0062】
[3-6.第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4の構成]
第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4は、互いに独立して駆動することができる。なお、第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4の駆動部(例えば、モータなど)は、第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4内に設けられていてもよく、電源装置370内に設けられていてもよい。
【0063】
ここで、図6および図7を参照して、第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4の駆動について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10のビス打ちユニット300に含まれる第1のアクチュエータ350-1~第3のアクチュエータ350-3の駆動を説明する模式的な右側面図である。具体的には、図6(A)、図6(B)、および図6(C)は、それぞれ、第1のアクチュエータ350-1、第2のアクチュエータ350-2、および第3のアクチュエータ350-3の駆動を説明する右側面図である。図7は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10のビス打ちユニット300に含まれる第4のアクチュエータ350-4の駆動を説明する模式的な正面図である。なお、説明の便宜上、図6(C)では、吸着装置340の図示が省略され、図7(A)および図7(B)では、吸着装置340が点線で示されている。
【0064】
[3-6-1.第1のアクチュエータ350-1]
第1のアクチュエータ350-1は、X方向に延在するガイドレールおよびガイドレールに沿って移動可能なスライダを含む。すなわち、第1のアクチュエータ350-1は、スライダ型のアクチュエータである。第1のアクチュエータ350-1のスライダには、第1の接続プレート381が接続されている。換言すると、第1のアクチュエータ350-1には、第1の接続プレート381がX方向に移動可能に接続されている。そのため、第1のアクチュエータ350-1の駆動により、第1の接続プレート381は、X方向に移動することができる(図6(A)参照)。
【0065】
第1の接続プレート381には、第4のアクチュエータ350-4および吸着装置340のアーム342が接続されている。そのため、第1の接続プレート381のX方向の移動に合わせて、第4のアクチュエータ350-4および吸着装置340もX方向に移動する。
【0066】
[3-6-2.第2のアクチュエータ350-2]
第2のアクチュエータ350-2は、X方向に延在するロッドおよびロッドの一端が挿入されたシリンダチューブを含む。第2のアクチュエータ350-2では、ロッドの一端がシリンダチューブ内でX方向に移動することにより、ロッドの他端もX方向に移動することができる。すなわち、第2のアクチュエータ350-2は、シリンダ型のアクチュエータである。第2のアクチュエータのロッドの他端には、第1のセンサ310が接続されている。換言すると、第2のアクチュエータ350-2には、第1のセンサ310がX方向に移動可能に接続されている。そのため、第2のアクチュエータ350-2の駆動により、第1のセンサ310が、X方向に移動することができる(図6(B)参照)。
【0067】
また、第2のアクチュエータ350-2は、接続部材391を介して、第2の接続プレート382に接続され、固定されている。
【0068】
[3-6-3.第3のアクチュエータ350-3]
第3のアクチュエータ350-3は、X方向に沿って移動可能なスライダを含む、スライダ型のアクチュエータである。第3のアクチュエータ350-3のスライダには、ビス打ち装置330が接続されている。換言すると、第3のアクチュエータ350-3には、ビス打ち装置330がX方向に移動可能に接続されている。そのため、第3のアクチュエータ350-3の駆動により、ビス打ち装置330は、X方向に移動することができる(図6(C)参照)。
【0069】
また、第3のアクチュエータは、第2の接続プレート382に接続され、固定されている。
【0070】
[3-6―4.第4のアクチュエータ350-4]
第4のアクチュエータ350-4は、Y方向に沿って移動可能なスライダを含む、スライダ型のアクチュエータである。第4のアクチュエータ350-4のスライダには、第2の接続プレート382が接続されている(図7(A)参照)。換言すると、第4のアクチュエータ350-4には、第2の接続プレート382がY方向に移動可能に接続されている。そのため、第4のアクチュエータ350-4の駆動により、第2の接続プレート382は、Y方向に移動することができる(図7(B)参照)。
【0071】
第2の接続プレート382には、上述したように、接続部材391を介して第1のセンサ310が接続され、および第3のアクチュエータ350-3を介してビス打ち装置330が接続されている。また、第2の接続プレート382には、接続部材392を介して第2のセンサが接続されている。そのため、第2の接続プレートのY方向の移動に合わせて、第1のセンサ310、第2のセンサ320、およびビス打ち装置330もY方向に移動する。
【0072】
以上、第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4の駆動をまとめると次のとおりである。第1のアクチュエータ350-1の駆動により、第1のセンサ310、第2のセンサ320、ビス打ち装置330、および吸着装置340がX方向(前後方向)に同時に移動する。第2のアクチュエータ350-2の駆動により、第1のセンサ310がX方向(前後方向)に移動する。第3のアクチュエータ350-3の駆動により、ビス打ち装置330がX方向(前後方向)に移動する。第4のアクチュエータ350-4の駆動により、第1のセンサ310、第2のセンサ320、およびビス打ち装置330がY方向に同時に移動する。
【0073】
なお、第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4は、上述した構成に限られない。第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4は、第1のセンサ310、第2のセンサ320、ビス打ち装置330、および吸着装置340を上述のように移動させるように駆動することができる構成であればよい。また、第1のアクチュエータ350-1~第4のアクチュエータ350-4への接続は、直接的な接続であってもよく、接続金具などの接続部材を介した間接的な接続であってもよい。
【0074】
[4.制御装置500の構成]
図8を参照して、制御装置500の構成の詳細について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の制御装置500の構成を示すブロック図である。
【0075】
図8に示すように、制御装置500は、制御部510および記憶部520を含む、いわゆるコンピュータである。制御装置500は、コンピュータ上でプログラムを実行することにより機能する。制御装置500は、例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit:MPU)、画像処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)などの制御部510を含む。また、制御装置500は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などの記憶部520を含む。プログラムは、記憶部520に格納されていてもよい。
【0076】
制御部510は、昇降装置200のモータ202、ビス打ちユニット300の第1のセンサ310、第2のセンサ320、ビス打ち装置330、第1のアクチュエータ350-1、第2のアクチュエータ350-2、第3のアクチュエータ350-3、および第4のアクチュエータ350-4、ならびにホイール400を駆動するホイール駆動部401と通信可能に接続されている。そのため、制御部510は、通信接続により、昇降装置200、ビス打ちユニット300、およびホイール400を制御することができる。
【0077】
記憶部520は、ビス打ちロボット10の自動制御に必要な設定データ521を格納しておくことができる。設定データ521は、予めユーザによって登録される。設定データ521は、例えば、ボード1000の厚さt、下地材1100間のピッチp、第1のセンサ310の検出距離d、第2のセンサ320の検出距離d、および第2のセンサ320とビス打ち装置330の射出口330aと間のオフセット距離などを含む。ボード1000の厚さtに応じて検出距離dおよび検出距離dを変更することにより、あらゆるボードまたは下地材に対してビス打ちロボット10を用いることができる。また、設定データ521には、Z方向におけるビス間ピッチpが含まれる。ビス打ちロボット10は、Z方向にビス打ちユニット300をビス間ピッチpずつ移動させながら、連続してボード1000にビスを打ち込むことができる。さらに、設定データ521には、1枚のボード1000の大きさ(Y方向の長さ×Z方向の長さ)および壁面に配置されているボード1000の枚数(Y方向に配置された枚数×Z方向に配置された枚数)などが含まれていてもよい。
【0078】
制御部510は、ビス打ちユニット300の位置データ(座標および距離などを含む。)および設定データ521に基づき、各構成の制御に必要なデータを演算することができる。また、制御部510は、第1のセンサ310による下地材1100の検出および第2のセンサ320による仮止めビス1200の不検出に基づき、ビス打ち装置330がボード1000にビスを打ち込むビス打ち位置を算出することができる。例えば、制御部510は、下地材1100が検出された位置(より具体的には、Y方向における下地材1100の一端の位置)から下地材1100の幅wの1/2だけY方向に移動した位置をビス打ち位置と算出することができる。あるいは、制御部510は、下地材1100の両端の位置の中心の位置をビス打ち位置と算出することができる。したがって、ビス打ちロボット10は、第1のセンサ310、第2のセンサ320、および制御部510を含む位置決め装置を備える。
【0079】
以上説明したように、ビス打ちロボット10は、第1のセンサ310および第2のセンサ320によって下地材1100および仮止めビス1200の有無を検出し、これらに基づき自動でビス打ち位置を決定することができる。そのため、作業者が予めビス打ち位置をマーキングする必要がなく、作業者がボードを仮固定するときに打ち込んだ仮止めビスを有効に利用することができる。また、ビス打ちロボット10は、ビス打ちユニット300を上昇させながら壁面に配置された複数のボード1000に連続してビスを打ち込むことができるとともに、高所におけるビス打ちも可能である。さらに、ビス打ちロボット10は、ビス打ちユニット300の移動方向が一方向であるため小型化が可能であり、狭スペースにおいて壁面に配置されたボード1000に自動でビス打ちを行うことができる。したがって、作業者の負担を軽減し、内装工事における作業効率を向上することができる。
【0080】
<第2実施形態>
図9図12を参照して、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の制御方法について説明する。具体的には、以下では、Z方向への連続したビス打ち処理を実行するビス打ちロボット10の制御方法について説明する。
【0081】
図9は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の制御方法を説明するフローチャートである。図10図12は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の制御方法を説明する模式図である。
【0082】
図9に示すフローチャートは、ステップS100~ステップS250を含む。以下では、適宜、図6図7、および図10図12を参照しながら、ステップS100~ステップS250を順に説明する。
【0083】
ステップS100~ステップS140は、壁面の下端において下地材1100を検出するためのステップである。ビス打ちロボット10は、第1のセンサ310が壁面の下端に配置されたボード1000の第1の面1001に面するように設置されている。
【0084】
ステップS100では、第2のアクチュエータ350-2を駆動し、第1のセンサ310がボード1000に近接するように、第1のセンサ310をX方向に移動させる(図10参照)。その後、第1のセンサ310をオン状態とする。これにより、第1のセンサ310から制御部510に第1の検出信号が送信され、下地材1100の検出が可能となる。
【0085】
ステップS110では、4つのホイール400を制御してビス打ちロボット10をY方向に移動させる(図11参照)。ビス打ちロボット10のY方向への移動に合わせて、第1のセンサ310もY方向に移動する。これにより、Y方向における下地材1100の検出が可能となる。
【0086】
ステップS120では、制御部510が、第1の検出信号に基づき、下地材1100が検出されたか否かを判定する。下地材1100が検出されたとき(ステップS120:YES)、ステップS130が実行される。下地材1100が検出されないとき(ステップS120:NO)、ステップS110が再度実行される。
【0087】
ステップS130では、下地材1100が検出された位置(より具体的には、Y方向における下地材1100の一端の位置)から下地材1100の幅wの1/2だけY方向に移動した位置でビス打ちロボット10を停止させる。これにより、ビス打ち装置330の射出口330aの位置を、下地材1100の幅の中央近傍の位置に合わせることができる。すなわち、ステップS130により、ビス打ち位置が決定される。
【0088】
なお、ステップS120~ステップS130では、Y方向における下地材1100の両端の位置を検出してもよい。この場合、検出された両端の中心の位置をビス打ち位置と決定することができる。
【0089】
ステップS140では、第2のアクチュエータ350-2を駆動し、ボード1000から離れるように第1のセンサ310をX方向に移動させる。これにより、吸着パッド341よりも前方に突出していた第1のセンサ310は、吸着パッド341よりも後方の原点位置まで戻る。その後、第1のセンサ310をオフ状態とする。
【0090】
ステップS150~ステップS190は、ビス打ち位置にビスを打ち込むためのステップである。
【0091】
ステップS150では、第1のアクチュエータ350-1を駆動し、第1の接続プレート381をX方向に移動させる(図6(A)参照)。これにより、第1の接続プレート381に接続された吸着装置340がX方向に移動し、吸着パッド341がボード1000に押し付けられ、吸着装置340がボード1000を吸着する。なお、このとき、第1の接続プレート381に接続された第2のセンサ320もX方向に移動し、第2のセンサ320がボード1000と近接する。
【0092】
ステップS160では、第4のアクチュエータ350-4を駆動し、第2の接続プレート382をY方向にオフセット距離だけ移動させる。このとき、第2のセンサ320をオン状態とする。これにより、第2のセンサ320から制御部510に第2の検出信号が送信され、ボード1000の第1の面1001内の仮止めビス1200の検出が可能となる。第2のセンサ320は、ステップS130で決定されたビス打ち位置からY方向にオフセット距離だけずれた位置にある。そのため、第2のセンサ320をY方向に移動させて、ビス打ち位置における仮止めビス1200の有無を検出する。なお、第2のセンサ320による仮止めビス1200の有無の検出後、第4のアクチュエータ350-4を駆動し、第2の接続プレート382をオフセット距離移動前の元の位置に戻す。また、第2のセンサ320をオフ状態とする。
【0093】
ステップS170では、制御部510が、第2の検出信号に基づき、仮止めビス1200が検出されたか否かを判定する。仮止めビス1200が検出されないとき(ステップS170:NO)、ステップS180が実行される。仮止めビス1200が検出されたとき(ステップS170:YES)、ステップS200が実行される。
【0094】
ステップS180では、第3のアクチュエータ350-3を駆動し、ビス打ち装置330の射出口330aがボード1000の第1の面上のビス打ち位置に接触するように、ビス打ち装置330をX方向に移動させる(図6(C)参照)。次に、ビス打ち装置330が、ボード1000の第1の面1001上のビス打ち位置にビスを打ち出す。その後、第3のアクチュエータ350-3を駆動し、原点位置に戻るようにビス打ち装置330をX方向に移動させる。
【0095】
ステップS190では、第1のアクチュエータ350-1を駆動し、第1の接続プレート381をX方向に移動させる。これにより、第1の接続プレート381に接続された吸着装置340がX方向に移動し、吸着パッド341がボード1000から離れ、吸着装置340によるボード1000の吸着が解除される。なお、このとき、第1のセンサ310、第2のセンサ320、およびビス打ち装置330もX方向に移動するため、ビス打ちユニット300は原点位置に戻る。
【0096】
ステップS200~ステップS240は、Z方向に連続してビスの打ち込みを実行するためのステップである。
【0097】
ステップS200では、制御部510が、ビス打ちの積算回数が設定回数と一致するか否かを判定する。具体的には、制御部510は、ステップS180で実行されたビス打ちの回数を積算し、Z方向におけるボード1000の長さlまたは幅wおよびビス間ピッチp、ならびにボードの枚数Nに基づいて算出されたビス打ちの設定回数(l×N/pまたはw×N/p)とビス打ちの積算回数とが一致するか否かを判定する。設定回数が積算回数と一致しないとき(ステップS200:NO)、さらにZ方向に連続してビスの打ち込みを実行するため、ステップS210が実行される。設定回数が積算回数と一致するとき(ステップS200:YES)、Z方向におけるボードの最上端にまでビスが打ち込まれたと判定され、ステップS250が実行される。
【0098】
なお、ステップS200での判定処理は、上述したものに限られない。例えば、ビス打ちユニット300の次の上昇値を加えた積算上昇量を算出し、積算上昇量が設定値(例えば、Z方向におけるボードの枚数N×ボードの長さlまたは幅w)を超えるか否かを判定する。積算上昇量が設定値を超えないとき(ステップS200:NO)、さらにZ方向に連続してビスの打ち込みを実行するため、ステップS210が実行される。積算上昇量が設定値を超えるとき(ステップS200:YES)、Z方向におけるボード1000の最上端にまでビスが打ち込まれたと判定され、ステップS250が実行される。
【0099】
ステップS210では、昇降装置200を駆動し、ビス打ちユニット300をビス間ピッチpだけZ方向に上昇させる(図12参照)。
【0100】
ステップS220では、第2のアクチュエータ350-2を駆動し、第1のセンサ310がボード1000に近接するように、第1のセンサ310をX方向に移動させる(図6(B)参照)。その後、第1のセンサ310をオン状態とする。これにより、第1のセンサ310から制御部510に検出信号が送信され、下地材1100の検出が可能となる。
【0101】
ステップS230では、第4のアクチュエータ350-4を駆動し、第1のセンサ310をY方向に移動させ(図7(B)参照)、下地材1100を検出する。また、制御部510は、下地材1100の検出の有無、検出位置、または幅などに基づき、ビス打ち位置を補正する。
【0102】
ステップS240では、第2のアクチュエータ350-2を駆動し、ボード1000から離れるように第1のセンサ310をX方向に移動させる。これにより、吸着パッド341よりも前方に突出していた第1のセンサ310は、吸着パッド341よりも後方の原点位置まで戻る。その後、第1のセンサ310をオフ状態とする。
【0103】
なお、ステップS220~ステップS240は、ビス打ち位置の補正のためのステップである。下地材1100の延在方向とビス打ちユニット300の昇降方向が完全に一致していないと、ビス打ちユニット300がZ方向に上昇していくにつれて、ビス打ち位置が下地材1100と重畳しない位置にずれている場合がある。そのため、ステップS220~ステップS240において、Y方向における下地材1100の検出を行い、ビス打ち位置を補正する。ステップS220~ステップS240は、ビス打ちユニットの上昇ごとに実行されてもよく、所定の上昇回数ごとに実行されてもよい。また、ステップS220~ステップS240は、実行されなくてもよい。
【0104】
ステップS240の実行後は、ステップS150が実行される。ステップS150~ステップS240を繰り返すことにより、下地材1100の延在方向(Z方向)に沿って連続して複数のボード1000にビスを打ち込むことができる。
【0105】
ステップS250では、昇降装置200を駆動し、壁面の下方に配置されたボード1000の最下端までビス打ちユニット300を下降させる。
【0106】
ステップS250の実行により、Z方向への連続したビス打ち処理が終了する。
【0107】
上述したステップS100~ステップS250を繰り返すことにより、壁面に配置された複数のボード1000の全面にビスを打ち込むことができる。この後、ビス打ちロボット10を別の壁面と対向するように移動させ、ステップS100~ステップS250を繰り返してもよい。
【0108】
以上説明したように、ビス打ちロボット10は、第1のセンサ310および第2のセンサ320によって下地材1100および仮止めビス1200の有無を検出し、これらに基づき自動でビス打ち位置を決定することができる。そのため、作業者が予めビス打ち位置をマーキングする必要がない。また、ビス打ちロボット10は、ビス打ちユニット300を上昇させながら壁面に配置された複数のボード1000に連続してビスを打ち込むことができるとともに、高所におけるビス打ちも可能である。さらに、ビス打ちロボット10は、ビス打ちユニット300の移動方向が一方向であるため小型化が可能であり、狭スペースにおいて壁面に配置されたボード1000に自動でビス打ちを行うことができる。したがって、作業者の負担を軽減し、内装工事における作業効率を向上することができる。
【0109】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0110】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0111】
10:ビス打ちロボット、 100:支持本体、 200:昇降装置、 201:マスト、 202:モータ、 300:ビス打ちユニット、 310:第1のセンサ、 320:第2のセンサ、 330:ビス打ち装置、 330a:射出口、 340:吸着装置、 341:吸着パッド、 342:アーム、 350-1:第1のアクチュエータ、 350-2:第2のアクチュエータ、 350-3:第3のアクチュエータ、 350-4:第4のアクチュエータ、 360:ユニット支持本体、 361:第1の支持フレーム、 362:第2の支持フレーム、 370:電源装置、 381:第1の接続プレート、 382:第2の接続プレート、 391、392:接続部材、 400:ホイール、 401:ホイール駆動部、 500:制御装置、 510:制御部、 520:記憶部、 521:設定データ、 1000:ボード、 1001:第1の面、 1002:第2の面、 1100:下地材、 1200:仮止めビス、 1300:腰壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12