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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056465
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】燃焼システム及び燃焼方法
(51)【国際特許分類】
   F23K 3/00 20060101AFI20240416BHJP
   F23G 5/50 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
F23K3/00
F23G5/50 Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163358
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000136804
【氏名又は名称】株式会社プランテック
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 良二
(72)【発明者】
【氏名】増田 倹吾
(72)【発明者】
【氏名】尾方 優士
【テーマコード(参考)】
3K062
【Fターム(参考)】
3K062AA16
3K062AB01
3K062AC01
3K062BA01
3K062CB01
3K062DA35
3K062DA36
3K062DB01
(57)【要約】
【課題】投入される固形燃料の発熱量にばらつきがあったとしても、固形燃料の投入熱量を所定範囲に納めることが可能な燃焼システム及び燃焼方法を提供する。
【解決手段】本発明の燃焼システムは、固形燃料を断続的に移送するコンベヤ式の供給装置、供給装置で移送された固形燃料を一時的に保持するとともに燃焼室に断続的に投入する投入装置、供給装置の所定位置に設置された赤外線式水分計、赤外線式水分計で検知された水分量に基づいて供給装置による移送量を制御する制御装置、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の固形燃料を断続的に移送するコンベヤ式の供給装置、
前記供給装置で移送された前記所定量の固形燃料を一時的に保持するとともに燃焼室に断続的に投入する投入装置、
前記供給装置の所定位置に設置された赤外線式水分計、
前記赤外線式水分計で検知された水分量に基づいて前記供給装置による移送量を制御する制御装置、
を備えることを特徴とする燃焼システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記赤外線式水分計で検知された水分量に基づき前記固形燃料の発熱量を推定するとともに、推定された発熱量に基づき、一回に前記燃焼室に投入される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう前記供給装置による移送量の制御を行う、
請求項1に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記供給装置の稼働時間又は移送速度を制御することで、前記燃焼室に一回に供給される前記固形燃料の供給量の制御を行う、
請求項2に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記供給装置及び/又は前記投入装置の重量を連続計測する計量装置をさらに備え、
前記赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を、前記計量装置で計測される前記供給装置及び/又は前記投入装置における重量の減少量から制御する、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項5】
前記供給装置からの前記固形燃料の排出状況を監視する監視手段をさらに備え、
前記赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を前記排出状況から計算される固形燃料容積によって制御する、
請求項3に記載の燃焼システム。
【請求項6】
投入される固形燃料の熱量を所定範囲とするために前記供給装置及び/又は前記投入装置で実測した供給量と水分量に応じて、次の供給までのインターバルを制御する、
請求項2に記載の燃焼システム。
【請求項7】
前記燃焼室として、各種形式の焼却炉又はガス化炉のいずれかを備える、
請求項1~6のいずれかに記載の燃焼システム。
【請求項8】
コンベヤ式の供給装置を用いて固形燃料を断続的に移送するステップ、
前記移送された固形燃料を燃焼室に断続的に投入するステップ、
前記供給装置の所定位置における前記固形燃料の水分量を検知するステップ、
前記検知された水分量に基づいて前記供給装置による移送量を制御するステップ、
を備える燃焼方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料を燃焼する燃焼システム及び燃焼方法に関し、特に、固形燃料を燃焼する際に発生する熱量を安定させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固形燃料を断続的に燃焼室に投入して燃焼する形式の燃焼システムにおいて、固形燃料を安定して燃焼するために、その固形燃料に応じた種々の取り組みがなされている。例えば固形燃料の一つとして廃棄物を取り上げた場合、廃棄物を安定して焼却処理するためには、廃棄物焼却に伴い発生するダイオキシン類等の有害な燃焼生成物の発生を抑制し、廃熱ボイラの蒸発量を安定させ発電量を安定化させることが必要となる。ところが、廃棄物をはじめとする固形燃料に含まれる成分、特に低位発熱量と相関の大きい水分は均一ではなく、一度に投入される固形燃料のうち、場所によって水分割合が異なるため、その発熱量も場所によってばらつきがある。そのため、単に燃焼室に順次投入して燃焼させるだけでは、投入される燃料の熱量が一定にはならず燃焼は安定しない。そこで、燃焼室に投入される固形燃料の熱量が一定となるよう、数々の取り組みがなされている。
【0003】
例えば非特許文献1には、ごみピット内に貯留された廃棄物をごみクレーンにより攪拌する方法として、赤外線カメラを用いてごみピット内の区画ごとに廃棄物の水分を推定し、推定された水分が略均一になるよう廃棄物の攪拌を行うものが開示されている(非特許文献1)。
【0004】
また、特許文献1~特許文献2及び非特許文献2には、ごみピットの画像を処理することにより、ごみピット内の区画ごとの性状を把握し、性状が略均一になるよう廃棄物の攪拌を行うものが開示されている(特許文献1~2、非特許文献2)。
【0005】
また、非特許文献3には、廃棄物の嵩比重と発熱量に相関関係があることを見出し、ごみクレーンで把持した廃棄物の重量から嵩比重を計算し、嵩比重から発熱量を推定するものである。そして、焼却炉に投入される廃棄物の量が一定となるよう廃棄物の供給量を制御する技術が開示されている(非特許文献3)。
【0006】
さらに、特許文献3には、ごみ供給装置からの廃棄物の落下状態を監視して、監視状況に応じてごみ供給装置を制御する技術が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】岩▲崎▼卓也、外4名「ごみ水分カメラによるごみ質指標検出技術」、第41回全国都市清掃研究・事例発表会(2020年1月)
【非特許文献2】梅澤俊之、外2名「ディープラーニングを活用したごみの性状把握」、第29回廃棄物資源循環学会研究発表会(2018年12月)
【非特許文献3】角田芳忠、外5名「ストーカ式ごみ焼却炉におけるごみ供給量安定化システムの開発研究」、廃棄物学会論文誌Vol.14,No.4,pp.210-218(2003年)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭64-49815号公報
【特許文献2】特開2015-143139号公報
【特許文献3】特開2019-39587号公報
【0009】
非特許文献1に記載された発明は、赤外線式水分計を用いてごみピットに貯留される廃棄物の水分を区画ごとに推定し、推定された水分が均一になるようごみクレーンを用いて攪拌を行うものである。ところで、赤外線式水分計は、あくまで表面水分を計測するものであり、そのような表面水分を、ごみピット内に高く積み上げられたごみの代表値として用いるのには無理がある。また、ごみピット内をごみクレーンで攪拌することで、ある程度の水分の均質化は図れるものの、ごみピットは広大な面積及び深さを有するものであり、ごみクレーンでの攪拌のみで投入熱量を一定にできる程度に均一に攪拌するのには無理がある。
【0010】
また、特許文献1~特許文献2及び非特許文献2に記載された発明は、ごみピットの画像を用いて区画ごとの廃棄物の性状を把握し、性状が略均一になるよう攪拌を行うものであるが、非特許文献1に開示された発明同様、広大なごみピットをごみクレーンによって攪拌するだけでは、投入熱量を一定にすることはできない。
【0011】
また、非特許文献3に記載された発明は、ごみクレーンで把持した廃棄物の重量から、ごみホッパに投入される廃棄物の発熱量を推定するものであるが、推定される発熱量は焼却炉に一度に投入される量と比べはるかに多い量のごみクレーンで把持した廃棄物の発熱量の平均値であって、把持された廃棄物の性状は均一ではないため、ごみホッパから焼却炉に投入される廃棄物の発熱量は変動し、投入熱量を一定にすることができない。
【0012】
また、特許文献3に記載された発明は、ごみ供給装置からの廃棄物の落下状態に応じて、ごみ供給装置を制御するものであるが、投入熱量を一定にするものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、投入される固形燃料の発熱量にばらつきがあったとしても、固形燃料の投入熱量を所定範囲に納めることが可能な燃焼システム及び燃焼方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0015】
第1の特徴に係る発明は、所定量の固形燃料を断続的に移送するコンベヤ式の供給装置、供給装置で移送された所定量の固形燃料を一時的に保持するとともに燃焼室に断続的に投入する投入装置、供給装置の所定位置に設置された赤外線式水分計、赤外線式水分計で計測された水分量に基づいて供給装置による移送量を制御する制御装置、を備える燃焼システムである。
【0016】
第1の特徴に係る発明によれば、赤外線水分計で検知された水分量に基づいて供給装置による所定の移送量を制御するため、燃焼室に一度に投入される固形燃料の熱量を調整し、燃焼を安定化させることができる。
【0017】
特に、コンベヤ式の供給装置の所定位置において水分量を計測するため、赤外線式水分計による表面的な水分検知であっても、所定位置の厚さ全体の水分を代表して計測することができ、正確な水分検知に基づく制御を実施することができる。
【0018】
しかも、供給装置は所定量を断続的に移送するものであり、投入装置は供給装置から供給される所定量に調整された固形燃料を一時的に保持するとともに燃焼室に投入するものであるから、熱量を均一に調整された固形燃料を一度に燃焼室に投入することができ、安定した燃焼を実現することができる。
【0019】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、制御装置は、赤外線式水分計で検知された水分量に基づき固形燃料の発熱量を推定するとともに、推定された発熱量に基づき、一回に燃焼室に投入される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう供給装置による移送量の制御を行う。
【0020】
第2の特徴に係る発明によれば、固形燃料中の水分は発熱量と相関関係にあることから、供給装置における所定位置の水分量から、当該位置における固形燃焼の発熱量を推定することができる。また、推定された発熱量に基づき、一回に燃焼室に投入される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう供給装置による断続的な移送を制御することにより、一度に燃焼室に投入される固形燃料の熱量を安定させ、燃焼をより安定させることができる。
【0021】
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、供給装置の稼働時間又は移送速度を制御することで、燃焼室に一回に供給される固形燃料の供給量の制御を行う。
【0022】
第3の特徴に係る発明によれば、供給装置の稼働時間又は移送速度を制御することで供給量の制御を行うため、投入装置に一時的に保持される固形燃料の熱量を、供給装置における稼働時間又は移送速度の制御によって所定範囲に調整することができる。
【0023】
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、供給装置及び/又は投入装置の重量を連続計測する計量装置をさらに備え、赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を、計量装置で計測される供給装置及び/又は投入装置における重量の減少量から制御する。
【0024】
第4の特徴に係る発明によれば、移送される固形燃料の重量を連続計測し、赤外線水分計で計測された水分量と合わせて供給装置及び/又は投入装置における重量の減少量を制御することで、投入熱量の変動を小さくすることができる。
【0025】
第5の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、供給装置からの固形燃料の排出状況を監視する監視手段をさらに備え、赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を排出状況から計算される固形燃料容積によって制御する。
【0026】
第5の特徴に係る発明によれば、赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を、供給装置からの固形燃料の排出状況から計算された固形燃料の排出容積を用いて制御することで、投入熱量の変動を小さくすることができる。
【0027】
第6の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、投入される固形燃料の熱量を所定範囲とするために供給装置及び/又は投入装置で実測した供給量と水分量に応じて、次の供給までのインターバルを制御する。
【0028】
第6の特徴に係る発明によれば、次の供給までのインターバルを制御して固形燃料の熱量を所定範囲とすることで、移送速度又は稼働時間に加えて稼働インターバルを加味した精度の高い制御を行うことができる。
【0029】
第7の特徴に係る発明は、第1~第6のいずれかの特徴に係る発明であって、燃焼室として、各種形式の焼却炉又はガス化炉のいずれかを備える、
【0030】
第7の特徴に係る発明によれば、固形燃料や燃焼室の種類によらず、燃焼室における安定燃焼を実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、投入される固形燃料の発熱量にばらつきがあったとしても、固形燃料の投入熱量を所定範囲に納めることが可能な燃焼システム及び燃焼方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施形態1に係る燃焼システムの全体構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態1に係る燃焼システムの燃焼方法を示すフロー図である。
図3図3は、実施形態2に係る燃焼システムを示す模式図である。
図4図4は、実施形態3に係る燃焼システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0034】
[実施形態1に係る燃焼システムの全体構成]
図1を用いて、実施形態1に係る燃焼システム1の全体構成を説明する。
【0035】
図1は、実施形態1に係る燃焼システム1の全体構成を示したものであり、燃焼システム1は、固形燃料を燃焼する燃焼装置100と、供給装置200と、投入装置300と、廃熱ボイラ400と、図示しない制御装置によって構成される。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の燃焼装置100は、固形燃料として不定形の一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物を燃焼するものであり、後述する投入装置300から投入される廃棄物を、図示しない酸化剤供給手段から供給される酸化剤を用いて燃焼する。なお、燃焼する固形燃料は廃棄物に限ったものではなく、バイオマスや化石燃料など、コンベヤ式の供給装置及び投入装置を用いて断続的に燃焼室に供給可能な形態のものであれば、どのような種類のものでも構わない。
【0037】
供給装置200は、廃棄物を一時的に貯留するごみピットからごみクレーンによって供給された廃棄物を、後述する投入装置300に定量的かつ断続的に供給するためのものであり、コンベヤ式の給じん装置によって構成される。供給装置200は、駆動源であるモータを制御して移送速度及び供給の開始及び停止を制御することで、廃棄物の移送量を制御することができる。
【0038】
投入装置300は、供給装置200によって供給された廃棄物を一時的に保持するとともに断続的に燃焼装置100に投入するものであり、廃棄物を一時的に保持するシュート310、及び、断続的に投入する二重ダンパ320によって構成される。二重ダンパ320は上段ダンパと下段ダンパの開閉のタイミングを切り替えることにより、燃焼室100内の気密を保持しつつ、廃棄物をシュート310内に一時的に保持することができる。
【0039】
廃熱ボイラ400は、燃焼装置100から排出された燃焼排ガスの熱を用いて蒸気を発生させるものであり、図示しないエコノマイザ、蒸発器、蒸気ドラム、過熱器などによって構成される。なお、廃熱ボイラで発生した蒸気は図示しない蒸気だめを介して発電用の蒸気タービンに供給される。
【0040】
このような構造であるから、ごみピットに貯留された廃棄物は、ごみクレーンを用いてコンベヤ式の供給装置200に供給され、コンベヤ式の供給装置200によって断続的に投入装置300に供給される。投入装置300に投入された廃棄物は、二重ダンパ320によって断続的に所定量が燃焼室100に投入され、燃焼室100において酸化剤を用いて燃焼させられる。廃棄物を燃焼した際に発生した燃焼排ガスからは、その熱が廃熱ボイラ400によって回収され、廃熱ボイラ400で発生した蒸気が蒸気タービンを回転させ、蒸気タービンに接続された発電機を用いて電力を発生せしめる。
【0041】
図示しない制御装置は、燃焼室100の温度、廃熱ボイラ400で発生する蒸気量、燃焼排ガス流量などに応じて、供給装置200による固形燃料の供給量、投入装置300による投入のタイミング、燃焼室100に供給する酸化剤の供給量などを制御する。
【0042】
[実施形態1に係る燃焼システムの燃焼方法]
次に、図2を用いて、実施形態1に係る燃焼システム1を用いた燃焼方法について説明する。
【0043】
〔ステップS100:固形燃料の移送開始〕
まず、供給装置200は投入装置300に対して固形燃料の移送を開始する(ステップS100)。このとき、図示しない制御装置によって、供給装置200による固形燃料の移送速度は所定の速度に調整されて移送を行う。
【0044】
〔ステップS110:水分の計測〕
ステップS100において投入装置300に向けて移送される固形燃料は、供給装置200の先端近傍、すなわち供給装置200の出口近傍において、赤外線式水分計500を用いて水分量を計測される(ステップS110)。このとき、コンベヤ式の供給装置200を用いているため、移送される固形燃料の厚みが薄い状態を維持されたまま投入装置300に投入される。固形燃料の厚みが薄いため、赤外線式水分計500で計測される水分は、表面水分ではあるものの、厚み全体の水分を代表するものとして考えることができる。また、ステップS110において、固形燃料の水分を供給装置200の出口近傍において連続的に計測するため、投入装置300に順次投入される直前の固形燃料の水分を連続的に計測することができる。
【0045】
〔ステップS120:発熱量の推定〕
ステップS110において、投入装置300直前における水分量を計測されると、計測された水分量に基づいて固形燃料の発熱量が推定される(ステップS120)。発熱量の推定は、予め定められた水分と発熱量の対応表や、施設ごとに蓄積されたデータベースを用いて行われる。
【0046】
一般に、廃棄物をはじめとする固形燃料において、含有される水分量と発熱量とはおおまかな相関関係を有する。特に一般廃棄物の場合、廃棄物中の水分、可燃分及び灰分の比率には地域による傾向が存在するため、焼却処理施設ごとに特有の相関関係を有する。そのため、各施設において水分量と発熱量の関係に関するデータを蓄積することで、計測された水分から発熱量を精度よく推定することができる。
【0047】
〔ステップS130:移送量の制御〕
また、ステップS120で発熱量を推定された固形燃料は、供給装置200における移送量が制御される(ステップS130)。
【0048】
すなわち、ステップS110で計測された水分は、コンベヤ式の供給装置200で固形燃料を供給する場合、固形燃料の層厚は薄いため、測定位置におけるその厚さ分の固形燃料の水分を代表していると言える。そして、そのような水分に基づいてステップS120で発熱量を推定することにより、投入装置300に投入される固形燃料の発熱量が正確に推定される。発熱量は単位質量当たりの熱量を意味するため、供給装置200から投入装置300に移送される固形燃料の移送量つまり重量を制御することにより、投入装置300に保持される固形燃料の熱量を制御することができる。
【0049】
このとき、供給装置200から投入装置300に移送される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう、移送量を制御する。移送量の制御は、供給装置200の移送速度を調整して稼働時間を一定とするか、供給装置200の移送速度を一定として稼働時間を調整することによって行われる。このようにすることで、投入装置300に一度に移送される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう調整することができる。
【0050】
〔ステップS140:燃焼室への投入〕
ステップS130において熱量が所定範囲となるよう調整された状態で投入装置300に移送された固形燃料は、投入装置300から断続的に燃焼室100に投入され(ステップS140)、図示しない酸化剤供給装置によって供給される酸化剤を用いて燃焼される。
【0051】
例えば、図1に示すように投入装置300としてシュート310及び二重ダンパ320を使用する場合、上段ダンパを閉じた状態で供給装置200から移送量が制御された状態で移送される固形燃料を受け入れ、シュート310に一時的に保持する。このときシュート310に保持されている固形燃料の熱量は、ステップS110~ステップS130の処理によって所定範囲に調整されている。シュート310に保持された固形燃料は、所定のタイミングで上段ダンパ及び下段ダンパを順次開くことにより、燃焼室100に投入される。このとき、シュート310に保持された固形燃料の熱量は所定範囲となるよう調整されているため、下段ダンパを開くことで投入装置300から燃焼室100に投入される固形燃料の熱量もまた、所定範囲となるよう調整されたものである。
【0052】
このようにすることで、燃焼室100に一度に投入される固形燃料の熱量を所定範囲となるよう調整することができる。
【0053】
<変形例1>
変形例1に係る燃焼システム1は、図1に示すように、供給装置200出口に設けられた、固形燃料の投入装置300への落下状態を監視する監視カメラ600を用い、より精度の高い制御を行う。
【0054】
つまり、供給装置200出口における固形燃料の投入装置300への落下状態を監視することで、投入装置300に落下する固形燃料の容積を計算することができる。燃焼室100に投入すべき固形燃料の必要投入量は赤外線式水分計500での計測結果から得られているため、落下状態から計算された固形燃料の容積を用いて必要とされる投入量を制御する。
【0055】
このように、赤外線式水分計で計測した水分量と、監視カメラで撮像された落下状態とを併せて投入量を制御することで、さらに投入熱量の変動を小さくすることができる。
【0056】
<変形例2>
変形例2に係る燃焼システム1は、供給装置200又は投入装置300から排出された固形燃料の量、及び、赤外線式水分計500で計測された水分量に応じて、供給装置200及び/又は投入装置300の稼働インターバルを制御する。
【0057】
つまり、燃焼室100に投入すべき固形燃料の必要投入量は赤外線式水分計500での計測結果から得られており、得られた必要投入量に応じて、供給装置200の移送速度又は稼働時間を制御するが、併せて、次の供給までのインターバルを制御することで、さらに投入熱量の変動を小さくすることができる。
【0058】
[実施形態2に係る燃焼システム]
次に、図3を用いて、実施形態2に係る燃焼システム2について説明する。なお、実施形態1と共通する箇所については説明を省略し、実施形態1と異なる箇所についてのみ説明する。
【0059】
実施形態2に係る燃焼システム2においては、コンベヤ式の供給装置200が上流側供給装置210と下流側供給装置220の二段に分けて設置されており、上流側供給装置210の先端近傍に赤外線式水分計が設置され、下流側供給装置220には、本発明における計量装置として機能するロードセル700が設けられており、移送する固形燃料の重量を連続的に計量することが可能となっている。
【0060】
下流側供給装置220に設けられたロードセル700を用いて、下流側供給装置220で移送される固形燃料の重量を連続的に計量することにより、投入装置300に供給される固形燃料の重量を、ロードセル700における重量の減少量から決定することができる。
【0061】
このことにより、単に供給装置200の稼働時間や移送速度を制御するよりも、精度よく投入熱量を所定範囲に調整することができる。
【0062】
つまり、重量を直接計測することなく、供給装置200における稼働時間や移送速度によって固形燃料の位相量を決定する場合、供給装置200が移送する固形燃料の厚みや密度が一定であると仮定して重量を計算することになる。そのため、固形燃料の厚みや密度が一定ではない場合には、コンベヤの稼働時間や移送速度から計算された重量と、実際の重量との間に多少の差が生じることとなる。
【0063】
実施形態2においては、下流側供給装置220に設けられたロードセル700を用いて、投入装置300に供給される固形燃料の重量を直接計測することができる。そのため、上流側供給装置210の先端近傍で計測された水分を有する固形燃料が、どのくらい下流側供給装置220に供給されたか把握することができるため、コンベヤの稼働時間や移送速度から重量を計算するよりも、精度よく投入熱量を調整することができる。
【0064】
[実施形態3に係る燃焼システム]
次に、図4を用いて、実施形態3に係る燃焼システム3について説明する。なお、実施形態1及び2と共通する箇所については説明を省略し、実施形態1及び2と異なる箇所についてのみ説明する。
【0065】
実施形態3に係る燃焼システム3においては、実施形態2と同様に、固形燃料の重量を計測するものであるが、計量装置として機能するロードセル700が、投入装置300に設置されている点が、実施形態2と異なる点である。つまり、実施形態3においては、投入装置300に設けられたロードセル700によって、投入装置300に貯留される固形燃料の重量を連続的に計測することができる。
【0066】
投入装置300に設けられたロードセル700を用いて、投入装置300に保持される固形燃料の重量を連続的に計量することにより、投入装置300から燃焼室100に投入される固形燃料の重量を、ロードセル700における重量の減少量から決定することができる。
【0067】
このことにより、単に供給装置200の稼働時間や移送速度を制御するよりも、精度よく投入熱量を所定範囲に調整することができる。
【0068】
つまり、実施形態3においては、投入装置300に設けられたロードセル700を用いて、燃焼室100に投入される固形燃料の重量を直接計測することができる。そのため、供給装置200の先端近傍で計測された水分を有する固形燃料が、どのくらい投入装置300に移送されたか把握することができるため、コンベヤの稼働時間や移送速度から重量を計算するよりも、精度よく投入熱量を調整することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0070】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
この発明の燃焼システム及び燃焼方法は、家庭ごみ、産業廃棄物、下水汚泥等、種々の廃棄物の焼却処理を行うごみ焼却設備に適用することができる。また、本発明の技術は、廃棄物を焼却処理するごみ焼却設備のみならず、バイオマスを含む各種固形燃料を燃焼する燃焼装置やガス化炉に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1、2、3 燃焼システム
100 燃焼装置
200 供給装置
210 上流側供給装置
220 下流側供給装置
300 投入装置
310 シュート
320 二重ダンパ
400 廃熱ボイラ
500 赤外線式水分計
600 監視カメラ
700 ロードセル(計量装置)


図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の固形燃料の移送の開始及び停止を制御して断続的に移送するコンベヤ式の供給装置、
前記供給装置で移送された前記所定量の固形燃料を一時的に保持するとともに燃焼室に断続的に投入する投入装置、
前記供給装置の所定位置に設置された赤外線式水分計、
前記赤外線式水分計で検知された水分量に基づいて前記供給装置によって前記投入装置に一度に移送される移送量を制御する制御装置、
を備え
前記制御装置は、前記赤外線式水分計で検知された水分量に基づき前記固形燃料の発熱量を推定するとともに、推定された発熱量に基づき、前記供給装置の稼働時間又は移送速度を制御することで、一回に前記燃焼室に投入される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう前記供給装置による移送量の制御を行う、
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項2】
前記供給装置及び/又は前記投入装置の重量を連続計測する計量装置をさらに備え、
前記赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を、前記計量装置で計測される前記供給装置及び/又は前記投入装置における重量の減少量から制御する、
請求項に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記供給装置からの前記固形燃料の排出状況を監視する監視手段をさらに備え、
前記赤外線式水分計で計測された水分量から計算される必要投入量を前記排出状況から計算される固形燃料容積によって制御する、
請求項に記載の燃焼システム。
【請求項4】
コンベヤ式の供給装置における移送の開始及び停止を制御して所定量の固形燃料を断続的に移送するステップ、
前記移送された固形燃料を一時的に保持するともに燃焼室に断続的に投入するステップ、
前記供給装置の所定位置における前記固形燃料の水分量を検知するステップ、
前記検知された水分量に基づいて前記供給装置によって一度に移送される移送量を制御するステップ、
を備え、
前記制御するステップは、前記検知された水分量に基づき前記固形燃料の発熱量を推定するとともに、推定された発熱量に基づき、前記供給装置の稼働時間又は移送速度を制御することで、一回に前記燃焼室に投入される固形燃料の熱量が所定範囲となるよう前記供給装置による移送量の制御を行う、
ことを特徴とする燃焼方法。