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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056467
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】硬貨処理装置及び自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20240416BHJP
【FI】
G07D11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163360
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】大山 円
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141BA08
3E141GA04
3E141GB03
3E141HA06
3E141HA09
3E141JA14
3E141LA23
(57)【要約】
【課題】異物を適切に除去する。
【解決手段】硬貨処理装置10は、上下方向に硬貨CNを搬送させる前搬送路42Fと、上下方向と交差する前後方向に硬貨CNを搬送させる下搬送路42Lと、前搬送路42Fと下搬送路42Lとの間に形成され、硬貨CNの搬送方向が上下方向と前後方向とで切り替わるように搬送させる湾曲搬送路42Cとを含む搬送路42と、搬送路42において硬貨CNを搬送するピンベルト37とを設け、湾曲搬送路42Cは、硬貨CNの周側面と当接しながら該硬貨CNの搬送方向を上下方向と前後方向とで切り替えるように案内する湾曲搬送部外周ガイド46oと、硬貨CNの一面側と当接する湾曲搬送部盤面ガイド面46BSに形成され、湾曲搬送部外周ガイド46oへ向かって落下する異物を入り込ませる異物除去孔50とを有する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に硬貨を搬送させる第1搬送路と、前記上下方向と交差する交差方向に前記硬貨を搬送させる第2搬送路と、前記第1搬送路と前記第2搬送路との間に形成され、前記硬貨の搬送方向が前記上下方向と前記交差方向とで切り替わるように搬送させる湾曲状搬送路とを含む硬貨搬送部と、
前記硬貨搬送部において前記硬貨を搬送する搬送手段と
を有し、
前記湾曲状搬送路は、
前記硬貨の周側面と当接しながら該硬貨の搬送方向を前記上下方向と前記交差方向とで切り替えるように案内する外周ガイド部と、
前記硬貨の一面側と当接する搬送面に形成され、前記外周ガイド部へ向かって落下する異物を入り込ませる異物除去孔と
を備えることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記第1搬送路は、
該第1搬送路における前記第2搬送路側に設けられ、該第1搬送路における前記硬貨の搬送方向と交差する幅方向への前記硬貨の移動を規制する第1搬送路ガイド部面が形成された第1搬送路ガイド部を有し、
前記異物除去孔は、
前記外周ガイド部に沿った長孔形状であって、前記第2搬送路側の端部が前記第1搬送路ガイド部面よりも前記第2搬送路側まで延伸して設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記外周ガイド部は、
前記硬貨の周側面と当接する当接面が水平方向に対して傾斜して設けられ、
前記異物除去孔は、
前記当接面の傾斜方向に沿って窪んだ形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記異物除去孔は、
外周側の端部が前記当接面の延長線上に位置している
ことを特徴とする請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記搬送面は、
鉛直方向に対して傾斜して設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記外周ガイド部は、
前記硬貨の周側面と当接する当接面が水平方向に対して傾斜して設けられ、
前記異物除去孔は、
少なくとも前記外周ガイド部側が前記当接面の傾斜方向よりも鉛直方向に傾斜するように窪んだ形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記硬貨搬送部に対し着脱可能であり、前記異物除去孔から落下した前記異物を収納する異物収納部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記湾曲状搬送路は、前記異物除去孔を延在方向に分割する分割部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記湾曲状搬送路は、前記外周ガイド部に沿って複数の前記異物除去孔を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記外周ガイド部は、
前記上下方向である下方向に搬送される前記硬貨の周側面と当接しながら該硬貨を前記交差方向である水平方向へ案内する
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
前記硬貨を認識する認識搬送部をさらに有し、
前記第1搬送路は、前記認識搬送部と接続され、前記認識搬送部から搬送された前記硬貨を前記湾曲状搬送路へ向けて下方向に搬送させ、
前記第2搬送路は、前記湾曲状搬送路から搬送された前記硬貨を前記水平方向に搬送させる
請求項10に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
前記外周ガイド部は、
前記交差方向である水平方向に搬送される前記硬貨の周側面と当接しながら該硬貨を前記上下方向である上方向へ案内する
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の硬貨処理装置。
【請求項13】
使用者の操作を受け付ける操作部と、
上下方向に硬貨を搬送させる第1搬送路と、前記上下方向と交差する交差方向に前記硬貨を搬送させる第2搬送路と、前記第1搬送路と前記第2搬送路との間に形成され、前記硬貨の搬送方向が前記上下方向と前記交差方向とで切り替わるように搬送させる湾曲状搬送路とを含む硬貨搬送部と、
前記硬貨搬送部において前記硬貨を搬送する搬送手段と
を有し、
前記湾曲状搬送路は、
前記硬貨の周側面と当接しながら該硬貨の搬送方向を前記上下方向と前記交差方向とで切り替えるように案内する外周ガイド部と、
前記硬貨の一面側と当接する搬送面に形成され、前記外周ガイド部へ向かって落下する異物を入り込ませる異物除去孔と
を備えることを特徴とする自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬貨処理装置及び自動取引装置に関し、例えば顧客に紙幣や硬貨を投入させて所望の取引を行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関やスーパー等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客又は店員に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客又は店員へ現金を出金するものが広く普及している。
【0003】
この現金自動預払機等としては、例えば硬貨に関する処理を行う硬貨処理装置を内部に有するものがある。硬貨処理装置は、例えば顧客又は店員との間で硬貨の授受を行う入出金部、硬貨を集積すると共に集積した硬貨を1枚ずつに分離して繰り出す集積分離部、硬貨を搬送する搬送部、硬貨の金種や真偽等を識別する識別部(認識部とも呼ぶ)、及び金種毎に硬貨を収納する収納部等を有している。
【0004】
このうち搬送部としては、収納部の前側下部、下側、後側及び上側をそれぞれ前搬送部、下搬送部、後搬送部及び上搬送部により取り囲み、硬貨を搬送する経路である環状の搬送経路を形成し、硬貨を前搬送部により下方向へ搬送してから下搬送部により後方向へ搬送し、その後、後搬送部により上方向へ搬送してから上搬送部により前方向へ搬送するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-86583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような硬貨処理装置においては、硬貨と共に硬貨処理装置に投入された紙片や糸屑、又は搬送される硬貨自身から発生する硬貨粉等からなる異物が搬送部に侵入した場合、硬貨詰まりや硬貨処理装置の誤作動を誘発してしまう可能性がある。特に、この硬貨処理装置においては、上下方向に沿う前搬送部と前後方向に沿う下搬送部との接続箇所と、上下方向に沿う後搬送部と前後方向に沿う下搬送部との接続箇所とにおいて、異物が集中的に堆積されやすい。このため硬貨処理装置においては、搬送部に混入した異物を適切に除去することが望まれている。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、異物を適切に除去し得る硬貨処理装置及び自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の硬貨処理装置においては、上下方向に硬貨を搬送させる第1搬送路と、上下方向と交差する交差方向に硬貨を搬送させる第2搬送路と、第1搬送路と第2搬送路との間に形成され、硬貨の搬送方向が上下方向と交差方向とで切り替わるように搬送させる湾曲状搬送路とを含む硬貨搬送部と、硬貨搬送部において硬貨を搬送する搬送手段とを設け、湾曲状搬送路は、硬貨の周側面と当接しながら該硬貨の搬送方向を上下方向と交差方向とで切り替えるように案内する外周ガイド部と、硬貨の一面側と当接する搬送面に形成され、外周ガイド部へ向かって落下する異物を入り込ませる異物除去孔を有するようにした。
【0009】
また本発明の自動取引装置においては、使用者の操作を受け付ける操作部と、上下方向に硬貨を搬送させる第1搬送路と、上下方向と交差する交差方向に硬貨を搬送させる第2搬送路と、第1搬送路と第2搬送路との間に形成され、硬貨の搬送方向が上下方向と交差方向とで切り替わるように搬送させる湾曲状搬送路とを含む硬貨搬送部と、硬貨搬送部において硬貨を搬送する搬送手段とを設け、湾曲状搬送路は、硬貨の周側面と当接しながら該硬貨の搬送方向を上下方向と交差方向とで切り替えるように案内する外周ガイド部と、硬貨の一面側と当接する搬送面に形成され、外周ガイド部へ向かって落下する異物を入り込ませる異物除去孔を有するようにした。
【0010】
本発明は、第1搬送路から外周ガイド部へ向かって落下する異物を異物除去孔に入り込ませ除去することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1搬送路から外周ガイド部へ向かって落下する異物を異物除去孔に入り込ませ除去することができ、かくして異物を適切に除去し得る硬貨処理装置及び自動取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】現金自動預払機の外観構成を示す斜視図である。
図2】硬貨処理装置の内部構成を示す右側面図である。
図3】第1乃至第3の実施の形態による前ピンベルト搬送部、湾曲搬送部、下ピンベルト搬送部及び異物除去孔の構成を示す右側面図である。
図4】第1の実施の形態による湾曲搬送部及び異物除去孔の構成を示し、図3におけるA-A矢視断面図である。
図5】第1の実施の形態において異物が異物収納部に落下する様子を示す右側面図である。
図6】第1の実施の形態において異物が異物収納部に落下する様子を示し、図5におけるA-A矢視断面図である。
図7】第2の実施の形態による湾曲搬送部及び異物除去孔の構成を示し、図3におけるA-A矢視断面図である。
図8】第3の実施の形態による湾曲搬送部及び異物除去孔の構成を示し、図3におけるA-A矢視断面図である。
図9】第4の実施の形態による前ピンベルト搬送部、湾曲搬送部、下ピンベルト搬送部及び異物除去孔の構成を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、自動取引装置としての現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客、行員や保守員等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
【0015】
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、通帳入出口4、カード入出口5、硬貨入出金口6、紙幣入出金口7及び操作表示部8等が設けられており、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。
【0016】
通帳入出口4は、通帳が挿入又は排出される部分である。通帳入出口4の奥側には、通帳の裏表紙等に設けられた磁気記録部から磁気情報を読み取り、また該通帳に取引の内容を記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。カード入出口5は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口5の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0017】
硬貨入出金口6は、使用者によって入金される硬貨が投入されると共に、使用者へ出金する硬貨が排出される部分である。紙幣入出金口7は、使用者によって入金される紙幣が投入されると共に、使用者へ出金する紙幣が排出される部分である。この硬貨入出金口6及び紙幣入出金口7は、それぞれシャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。操作部としての操作表示部8は、取引に際して操作画面や取引内容等を表示する液晶表示パネルと、使用者の入力操作を検知するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルである。
【0018】
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0019】
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9、取引対象である硬貨に関する種々の処理を行う硬貨処理装置10、及び紙幣に関する種々の処理を行う紙幣処理装置(図示せず)等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0020】
硬貨処理装置10は、全体として直方体に類似した形状に構成されており、図示しないスライドレールを介して筐体2に取り付けられている。また筐体2の前面側又は後面側には、開閉可能な扉(図示せず)が設けられている。このため現金自動預払機1は、保守作業等が行われる場合、筐体2の前面側又は後面側の扉を開放した上で、硬貨処理装置10を前方又は後方へスライドさせることにより、該硬貨処理装置10を該筐体2の外部に位置させ、また該筐体2の内部に収納させる。
【0021】
[1-2.硬貨処理装置の構成]
図2に示すように硬貨処理装置10は、硬貨処理装置筐体11の内部に、硬貨に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この硬貨は、例えば銅及びニッケルの合金やアルミニウム等、十分な強度を有する非磁性体の材料でなり、薄い板状に形成されている。因みに硬貨処理装置10では、直径や厚さが異なる複数種類の硬貨を取り扱うことが想定されている。以下では、硬貨処理装置10において取り扱われる中で最も直径が大きい硬貨を最大径硬貨と呼び、最も直径が小さい硬貨を最小径硬貨と呼ぶ。また以下では、硬貨処理装置10において取り扱われる中で最も厚さが厚い硬貨を最厚硬貨と呼び、最も厚さが薄い硬貨を最薄硬貨と呼ぶ。日本国内に設置される硬貨処理装置10においては、最大径硬貨及び最厚硬貨は500円硬貨であり、最小径硬貨は1円硬貨であり、最薄硬貨は1円硬貨、5円硬貨及び10円硬貨である。因みに1円硬貨、5円硬貨及び10円硬貨の厚さは約1.5[mm]となっている。
【0022】
硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的上側ないし中央付近に、入出金部13、シュート部14、上分離部15、認識搬送部16、受渡部17、ピンベルト搬送部18、6個のスタッカ部21、出金搬送部22及び一時保留部23が設けられている。また硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的下側に、硬貨制御部12、補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25、第2補充リジェクト庫26、リジェクト庫27、取忘取込庫28及び下分離部29が設けられている。
【0023】
硬貨制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行い、硬貨処理装置10を統括制御する。また硬貨制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0024】
入出金部13は、使用者との間で硬貨を受け渡すことにより、該使用者に硬貨を入金させ、又は該使用者に硬貨を出金する。該入出金部13は、上側に開口部を有し硬貨を収容する収容器13A、該開口部を開閉するシャッタ13B等、及び収容器13A内における硬貨の有無等を検知するセンサ(図示せず)を有している。
【0025】
入出金部13は、シャッタ13Bを開放した状態で使用者により硬貨が収容器13Aに投入されると、該シャッタ13Bを閉塞し、硬貨を収容器13A内からシュート部14に引き渡して該シュート部14内を下降させ、上分離部15内に到達させる。また入出金部13は、シャッタ13Bを閉塞した状態で、後述するピンベルト搬送部18から硬貨が搬送されてくると、該硬貨を収容器13A内に収容した後、シャッタ13Bを開放して使用者に受け取らせる。
【0026】
上分離部15は、下側の比較的大きい容積を占める部分である集積分離部15Aと、該集積分離部15Aから上方に突出するように形成された分離搬送部15Bとにより構成されている。この上分離部15は、集積分離部15Aに硬貨を集積すると共に、この硬貨を1枚ずつに分離して分離搬送部15Bにより上方向へ搬送し、さらに搬送路に沿って後方向へ搬送して認識搬送部16に引き渡す。
【0027】
認識搬送部16は、シュート部14の右側に位置しており、硬貨を搬送しながら撮像し、得られた画像信号を基に該硬貨の金種や真偽、或いは損傷の程度等を基に該硬貨が取扱可能であるか否かを判定する。そのうえで認識搬送部16は、得られた判定結果を該硬貨の認識結果として硬貨制御部12に通知すると共に、該硬貨を受渡部17に引き渡す。受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。
【0028】
ピンベルト搬送部18は、スタッカ部21の前側下部、下側、後側及び上側をそれぞれ前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18L、後ピンベルト搬送部18R及び上ピンベルト搬送部18Uにより取り囲み、硬貨を搬送する経路である搬送経路を形成している。
【0029】
前ピンベルト搬送部18Fと下ピンベルト搬送部18Lとの間には、湾曲搬送部34C1が設けられている。湾曲搬送部34C1は、前ピンベルト搬送部18Fによって下方向へ搬送された硬貨の進行方向を後方向へ切り替え、下ピンベルト搬送部18Lへ搬送する。下ピンベルト搬送部18Lと後ピンベルト搬送部18Rとの間には、湾曲搬送部34C2が設けられている。湾曲搬送部34C2は、下ピンベルト搬送部18Lによって後方向へ搬送された硬貨の進行方向を上方向へ切り替え、後ピンベルト搬送部18Rへ搬送する。後ピンベルト搬送部18Rと上ピンベルト搬送部18Uとの間には、湾曲搬送部34C3が設けられている。湾曲搬送部34C3は、後ピンベルト搬送部18Rによって上方向へ搬送された硬貨の進行方向を前方向へ切り替え、上ピンベルト搬送部18Uへ搬送する。以下では、湾曲搬送部34C1、34C2及び34C3をまとめて湾曲搬送部34Cとも呼ぶ。
【0030】
ピンベルト搬送部18は、硬貨の盤面と当接し搬送経路に沿って進行するよう案内する搬送ガイド36(図3)と、概ね該搬送経路に沿って走行するピンベルト37(図3)とにより構成されている。このピンベルト37には、硬貨の末尾側と当接し、搬送方向へ押動するためのピン38(図3)が設けられている。ピンベルト搬送部18は、ピンベルト37を走行させることにより、受渡部17から受け取った硬貨を搬送経路に沿って搬送し、入出金部13の収容器13A内へ放出する。なお搬送ガイド36には、ピン38を入り込ませる溝(図示せず)が搬送方向に沿って形成されている。
【0031】
またピンベルト搬送部18には、スタッカ部21の前側下部及び下側に配置された部分における複数箇所に、硬貨の搬送経路を分岐させる分岐部19がそれぞれ設けられている。各分岐部19の左側には、硬貨を案内する案内部30がそれぞれ設けられている。
【0032】
各分岐部19は、それぞれ回動可能な案内板及びアクチュエータ等(何れも図示せず)を有しており、硬貨制御部12の制御に基づいて案内板を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、或いは各案内部30へ分岐させるかを切り替える。各案内部30は、それぞれ補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25若しくは第2補充リジェクト庫26、一時保留部23又はリジェクト庫27若しくは取忘取込庫28等へ硬貨を進行させる。
【0033】
さらにピンベルト搬送部18には、6個のスタッカ部21のそれぞれ上側となる6箇所に、スタッカ分岐部20が設けられている。各スタッカ分岐部20の左側には、硬貨をスタッカ部21へ案内する案内部31が設けられている。各スタッカ分岐部20は、各分岐部19と同様に構成されており、硬貨制御部12の制御に基づいて案内板を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、或いは各スタッカ部21へ分岐させるかを切り替える。
【0034】
スタッカ部21は、それぞれ所定の金種の硬貨と対応付けられており、上側に設けられた案内部31と、該案内部31の下側において硬貨を上下方向に沿って積み重ねるように集積する集積部32と、該集積部32の下側から硬貨を繰り出す繰出部33とを有している。このスタッカ部21は、ピンベルト搬送部18により搬送された硬貨をスタッカ分岐部20から受け取ると、該硬貨を案内部31により集積部32へ案内して集積させる。またスタッカ部21は、硬貨制御部12の制御に基づき、集積部32に集積している硬貨を繰出部33により1枚ずつ繰り出し、下方の出金搬送部22又は一時保留部23へ落下させる。
【0035】
出金搬送部22は、ピンベルト搬送部18の右側に位置しており、上側及び前側が開放された中空の直方体のように構成され、内部に硬貨を収容し得る空間を形成している。また出金搬送部22は、底部にベルトやプーリ等でなるベルト搬送機構が組み込まれており、スタッカ部21から繰り出された硬貨をベルト上に載置若しくは集積する。この出金搬送部22は、ベルトの上に硬貨が載置若しくは集積された状態で、該ベルトの上側部分を前方へ向けて走行させることにより、該硬貨を前側の一時保留部23へ落下させる。
【0036】
一時保留部23は、出金搬送部22の後端を下げると共に前端を持ち上げ、さらに左右の側板を三角形状としたような構成となっており、その内部に硬貨を収容する空間を形成すると共に、底部にベルト搬送機構が組み込まれている。このため一時保留部23は、スタッカ部21から繰り出された硬貨や出金搬送部22から搬送されてきた硬貨を、内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。また一時保留部23は、ベルトの上に硬貨が載置若しくは集積された状態で、該ベルトの上側部分を前斜め上方へ向けて走行させることにより、該硬貨を前側の上分離部15へ繰り出し、その内部へ落下させる。
【0037】
補充回収庫24は、内部に硬貨を集積する集積部や、該集積部に集積されている硬貨を搬送する搬送機構等を有している。この補充回収庫24は、案内部30により案内されてきた硬貨を集積し、また内部に集積している硬貨を前方へ繰り出して下分離部29に引き渡す。第1補充リジェクト庫25及び第2補充リジェクト庫26は、それぞれ内部に硬貨を集積する空間を有しており、案内部30により案内されてきた硬貨を集積する。リジェクト庫27及び取忘取込庫28は、それぞれ内部に硬貨を集積する空間を有しており、案内部30により案内されてきた硬貨をそれぞれ集積する。
【0038】
下分離部29は、補充回収庫24の後側に隣接する位置に配置されている。この下分離部29は、上分離部15と類似した構成となっているものの、硬貨処理装置筐体11に対する取付方向が、該上分離部15とは相違している。この下分離部29は、集積分離部15A及び分離搬送部15Bとそれぞれ対応する集積分離部29A及び分離搬送部29Bにより構成されている。下分離部29は、補充回収庫24から硬貨を受け取って内部に集積し、また集積されている硬貨を1枚ずつに分離して1枚ずつ上方へ搬送し、一時保留部23内へ放出する。
【0039】
[1-3.各種処理における硬貨の搬送]
次に、硬貨処理装置10において硬貨の搬送を伴う種々の処理、すなわち入金処理及び出金処理等における硬貨の搬送や集積等について説明する。ここでは、現金自動預払機1と使用者との間で入金取引及び出金取引を行う場合における硬貨処理装置10での各処理についてそれぞれ説明する。
【0040】
現金自動預払機1(図1)において使用者との間で入金取引が行われる場合、硬貨処理装置10は、前段の入金計数処理により、使用者に入金された硬貨の金種等を認識しながら枚数を計数し、これに続く後段の入金収納処理により、各硬貨を適切な収納箇所へ搬送して収納する。具体的に硬貨処理装置10は、前段の入金計数処理において、使用者に入出金部13に硬貨を投入させると、シュート部14、上分離部15、認識搬送部16、受渡部17及びピンベルト搬送部18を順次介して一時保留部23に収容する。
【0041】
このとき硬貨処理装置10は、認識搬送部16による各硬貨の認識結果を基に入金額を集計して操作表示部8(図1)に表示し、使用者に入金取引を継続するか、又は中止するかを選択させる。硬貨処理装置10は、使用者により継続が選択されると、後段の入金収納処理を行う一方、中止が選択されると、入金取引を中止し、後述する出金処理の場合と同様に硬貨を入出金部13へ搬送して返却する。
【0042】
硬貨処理装置10は、後段の入金収納処理において、硬貨を一時保留部23から上分離部15、認識搬送部16、受渡部17、ピンベルト搬送部18及びスタッカ分岐部20を順次介してスタッカ部21へ搬送して集積する。このとき硬貨処理装置10は、認識搬送部16による各硬貨の認識結果を基に、該硬貨の金種に応じたスタッカ部21へ搬送する。
【0043】
また、現金自動預払機1(図1)において使用者との間で出金取引が行われる場合、硬貨処理装置10は、出金処理により、使用者に指示された金額の硬貨を入出金部13へ搬送して出金する。具体的に硬貨処理装置10は、操作表示部8(図1)を介して使用者から出金取引を開始する旨や出金額の操作入力を受け付けると、出金処理を開始し、出金額に応じた硬貨の金種及び枚数を各スタッカ部21から繰り出し、出金搬送部22を介して一時保留部23内に集積する。続いて硬貨処理装置10は、一時保留部23、上分離部15、認識搬送部16、受渡部17及びピンベルト搬送部18を順次経由して硬貨を入出金部13へ搬送して収容し、使用者に受け取らせる。
【0044】
因みに硬貨処理装置10は、入金処理及び出金処理の他、補充回収庫24からスタッカ部21へ硬貨を補充する補充処理や、該スタッカ部21から補充回収庫24へ硬貨を回収する回収処理等も行い得るようになっている。
【0045】
[1-4.前ピンベルト搬送部の構成]
図3及び図4に示すように、前ピンベルト搬送部18Fは、大きく分けて前搬送部搬送ガイド36F及びピンベルト37により構成されている。前搬送部搬送ガイド36Fは、搬送ガイド36の一部分であり、前搬送部盤面ガイド40B、前搬送部前側ガイド40F及び前搬送部後側ガイド40Rにより構成されており、下方向に向かって硬貨CNを搬送させる前搬送路42Fを形成している。
【0046】
前搬送部盤面ガイド40Bは、上下方向に長く前後方向にやや短く左右方向に薄い板状に形成されており、その平坦な右側面である前搬送部盤面ガイド面40BSが、鉛直方向に対し上側をやや左方向へ傾けたような右下がりの傾斜面となっている。この前搬送部盤面ガイド40Bは、搬送される硬貨CNの盤面に前搬送部盤面ガイド面40BSを当接させる。
【0047】
前搬送部盤面ガイド40Bの前側には、前搬送部盤面ガイド40Bの上端部から下端部までに亘って前搬送部前側ガイド40Fが設けられている。前搬送部前側ガイド40Fは、前搬送部盤面ガイド面40BSよりも右方向へ突出しており、その平坦で上下方向に沿う内側面(前搬送部盤面ガイド面40BS側の後面)である前搬送部前側ガイド面40FSにより硬貨CNの前方向への移動を規制する。
【0048】
前搬送部盤面ガイド40Bの後側(すなわち下ピンベルト搬送部18L側)には、前搬送部盤面ガイド40Bの上端部から下端部までに亘って前搬送部後側ガイド40Rが設けられている。第1搬送路ガイド部としての前搬送部後側ガイド40Rは、前搬送部盤面ガイド面40BSよりも右方向へ突出しており、その平坦で上下方向に沿う内側面(前搬送部盤面ガイド面40BS側の前面)である第1搬送路ガイド部面としての前搬送部後側ガイド面40RSにより硬貨CNの後方向への移動を規制する。
【0049】
このように前搬送部搬送ガイド36Fは、前搬送部前側ガイド40F及び前搬送部後側ガイド40Rにより硬貨CNの前後方向への移動範囲を規制する。これにより前搬送部搬送ガイド36Fは、前ピンベルト搬送部18Fにおいて、上下方向に沿って硬貨CNを案内することができる。具体的に、前ピンベルト搬送部18Fにおける硬貨CNの移動経路は、右側面視においては鉛直方向に沿う下方向であり、正面視においては上方から下方に向かうに連れて鉛直方向に対し右方へ向かう下方向である。以下では、前ピンベルト搬送部18Fにおいては、硬貨CNの搬送方向(上下方向)と交差する前後方向を、幅方向とも呼ぶ。
【0050】
[1-5.下ピンベルト搬送部の構成]
下ピンベルト搬送部18Lは、大きく分けて下搬送部搬送ガイド36L及びピンベルト37により構成されている。下搬送部搬送ガイド36Lは、搬送ガイド36の一部分であり、下搬送部盤面ガイド44B、下搬送部上側ガイド44U及び下搬送部下側ガイド44Lにより構成されており、後方向に向かって硬貨CNを搬送させる下搬送路42Lを形成している。
【0051】
下搬送部盤面ガイド44Bは、前後方向に長く上下方向に短く左右方向に薄い板状に形成されており、その平坦な右側面である下搬送部盤面ガイド面44BSが、前搬送部盤面ガイド面40BSと同一の傾斜角度で鉛直方向に対し上側をやや左方向へ傾けたような右下がりの傾斜面となっている。この下搬送部盤面ガイド44Bは、搬送される硬貨CNの盤面に下搬送部盤面ガイド面44BSを当接させる。
【0052】
下搬送部盤面ガイド44Bの上側には、下搬送部盤面ガイド44Bの前端部から後端部までに亘って下搬送部上側ガイド44Uが設けられている。下搬送部上側ガイド44Uの前端部は、前搬送部後側ガイド40Rの下端部と接続されている。下搬送部上側ガイド44Uは、下搬送部盤面ガイド面44BSよりも右方向へ突出しており、その平坦で前後方向に沿う内側面(下搬送部盤面ガイド面44BS側の下面)である下搬送部上側ガイド面44USにより硬貨CNの上方向への移動を規制する。また下搬送部上側ガイド面44USは、下搬送部盤面ガイド面44BSと直角になるように水平方向に対し左側をやや下方向へ傾けたような左下がりの傾斜面となっている。
【0053】
下搬送部盤面ガイド44Bの下側には、下搬送部盤面ガイド44Bの前端部から後端部までに亘って下搬送部下側ガイド44Lが設けられている。下搬送部下側ガイド44Lは、下搬送部盤面ガイド面44BSよりも右方向へ突出しており、その平坦で前後方向に沿う内側面(下搬送部盤面ガイド面44BS側の上面)である下搬送部下側ガイド面44LSにより硬貨CNの下方向への移動を規制する。また下搬送部下側ガイド面44LSは、下搬送部盤面ガイド面44BSと直角になるように下搬送部上側ガイド面44USと同一の傾斜角度で水平方向に対し左側をやや下方向へ傾けたような左下がりの傾斜面となっている。
【0054】
このように下搬送部搬送ガイド36Lは、下搬送部上側ガイド44U及び下搬送部下側ガイド44Lにより硬貨CNの上下方向への移動範囲を規制する。これにより下搬送部搬送ガイド36Lは、下ピンベルト搬送部18Lにおいて、前後方向に沿って硬貨CNを案内することができる。
【0055】
[1-6.湾曲搬送部の構成]
湾曲搬送部34C1は、大きく分けて湾曲搬送部搬送ガイド36C及びピンベルト37により構成されている。湾曲搬送部搬送ガイド36Cは、搬送ガイド36の一部分であり、湾曲搬送部盤面ガイド46B及び湾曲搬送部外周ガイド46oにより構成されており、前搬送路42Fにおいて下方向へ向かって来た硬貨CNの搬送方向を後方向へ切り替えて後方向に向かって硬貨CNを搬送させる湾曲搬送路42Cを形成している。以下では、前搬送路42F、下搬送路42L及び湾曲搬送路42Cをまとめて搬送路42とも呼ぶ。
【0056】
湾曲搬送部盤面ガイド46Bは、右側面視で四分円形状であり左右方向に薄い板状に形成されており、その平坦な右側面である湾曲搬送部盤面ガイド面46BSが、前搬送部盤面ガイド面40BS及び下搬送部盤面ガイド面44BSと同一の傾斜角度で鉛直方向に対し上側をやや左方向へ傾けたような左下がりの傾斜面となっている。この湾曲搬送部盤面ガイド46Bは、搬送される硬貨CNの盤面に湾曲搬送部盤面ガイド面46BSを当接させる。
【0057】
湾曲搬送部盤面ガイド46Bの前下側(すなわち外周側)には、湾曲搬送部盤面ガイド46Bの前側における上端部から下端部までに亘って湾曲搬送部外周ガイド46oが設けられている。湾曲搬送部外周ガイド46oは、上端部が前搬送部前側ガイド40Fの下端部と、下端部が下搬送部下側ガイド44Lの前端部とそれぞれ接続されている。このため湾曲搬送部外周ガイド46oは、湾曲搬送部外周ガイド面46oS(後述する)の上端部が前搬送部前側ガイド面40FSと連続しており、湾曲搬送部外周ガイド面46oS(後述する)の下端部が下搬送部下側ガイド面44LSと連続している。湾曲搬送部外周ガイド46oは、湾曲搬送部盤面ガイド面46BSよりも右方向へ突出しており、四分円の外周における円弧形状(湾曲形状)に沿う内側面(湾曲搬送部盤面ガイド面46BS側の後上面)である当接面としての湾曲搬送部外周ガイド面46oSにより硬貨CNの前方向及び下方向への移動を規制する。また湾曲搬送部外周ガイド面46oSは、湾曲搬送部盤面ガイド面46BSと直角になるように下端部が水平方向に対し左側をやや下方向へ傾けたような左下がりの傾斜面となっている。
【0058】
このように湾曲搬送部搬送ガイド36Cは、湾曲搬送部外周ガイド46oにより硬貨CNの前方向及び下方向への移動範囲を規制する。これにより湾曲搬送部搬送ガイド36Cは、湾曲搬送部34C1において、前搬送路42Fにおいて下方向へ向かって来た硬貨CNの搬送方向を、湾曲搬送部外周ガイド面46oSを硬貨CNの周側面に当接させつつ後方向へ切り替えて後方向に向かって硬貨CNを案内することができる。
【0059】
[1-7.アッパガイドの構成]
前ピンベルト搬送部18F、湾曲搬送部34C1及び下ピンベルト搬送部18Lには、それぞれ前搬送部盤面ガイド40B、湾曲搬送部盤面ガイド46B及び下搬送部盤面ガイド44Bの右側に、アッパガイド48(図4)が設けられている。アッパガイド48は、前搬送部盤面ガイド40B、湾曲搬送部盤面ガイド46B及び下搬送部盤面ガイド44Bを右側から覆うように薄い板状に形成されており、その平坦な左側面であるアッパガイド面48Sが、前搬送部盤面ガイド面40BS、下搬送部盤面ガイド面44BS及び湾曲搬送部盤面ガイド面46BSと平行となるように、鉛直方向に対し上側をやや左方向へ傾けたような右下がりの傾斜面となっている。アッパガイド面48Sと、前搬送部盤面ガイド面40BS、下搬送部盤面ガイド面44BS及び湾曲搬送部盤面ガイド面46BSとの間隔は、約2.5[mm]となっている。アッパガイド48は、アッパガイド面48Sにより、硬貨CNの右方向への移動を規制する。なお、このアッパガイド48は、前ピンベルト搬送部18F、湾曲搬送部34C1及び下ピンベルト搬送部18Lのみならず、ピンベルト搬送部18全体に設けられている。
【0060】
[1-8.異物除去孔の構成]
湾曲搬送部盤面ガイド46Bの外周縁と、下搬送部盤面ガイド44Bの下端部の一部分とには、湾曲搬送部外周ガイド46oへ向かって落下する異物FM(図5)を入り込ませる異物除去孔50が形成されている。異物除去孔50は、湾曲搬送部盤面ガイド46Bの右側面(湾曲搬送部盤面ガイド面46BS)から左側面まで貫通しており、湾曲搬送部盤面ガイド46Bの右側と左側とを連通させている。また異物除去孔50は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSにおける水平方向に対し左下がりに傾斜した傾斜方向に沿って湾曲搬送部盤面ガイド面46BS及び下搬送部盤面ガイド面44BSから左下方向へ窪んだ形状である。
【0061】
この異物除去孔50は、湾曲搬送部外周ガイド46oに沿った長孔形状(すなわち環状扇形(アーチ形状))であり、湾曲搬送部盤面ガイド46Bにおける外周部に形成されている。具体的に、異物除去孔50は、前下側に位置する湾曲形状の外周側の端部である孔部外周側端部50oが湾曲搬送部外周ガイド面46oSと面一の位置に配置されており、右側面視で湾曲搬送部外周ガイド面46oSと同一形状となっている。すなわち異物除去孔50は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSの延長線上に孔部外周側端部50oが位置している。さらに異物除去孔50は、上端部の孔部上端部50uが、孔部外周側端部50oの上端部に対し直交し水平方向に沿う直線形状であり、前搬送部盤面ガイド40Bと湾曲搬送部盤面ガイド46Bとの接続箇所近傍に位置している。
【0062】
さらに異物除去孔50は、後端部の孔部後端部50rが、孔部外周側端部50oの後端部に対し直交し鉛直方向に沿う直線形状であり、湾曲搬送部盤面ガイド46Bと下搬送部盤面ガイド44Bとの接続箇所よりも後側(下ピンベルト搬送部18L側)に位置している。具体的に異物除去孔50は、前搬送部後側ガイド面40RSに沿う仮想線L1を図3に示すように、下搬送路42L側(後側)の端部が、前搬送部後側ガイド40Rの仮想線L1、すなわち前搬送部後側ガイド面40RSよりも下搬送路42L側(後側)まで延伸して設けられている。
【0063】
この異物除去孔50は、孔部外周側端部50oと、異物除去孔50の後上側に位置する湾曲形状の内周側の端部である孔部内周側端部50iとの間隔が、孔部上端部50uから孔部後端部50rまでに亘って約2.5[mm]で一定となっている。このため異物除去孔50は、孔部内周側端部50iが右側面視で孔部外周側端部50oとほぼ相似形状の湾曲形状となっている。
【0064】
このような異物除去孔50は、硬貨処理装置10において取り扱われる硬貨CNのうち最も直径が小さい硬貨CNが搬送路42においていかなる姿勢となっていたとしても、入り込まないような配置、形状及び寸法に設定されている。このため硬貨処理装置10は、異物除去孔50の上において正常に硬貨CNを通過させ、硬貨CNの搬送に悪影響が出ないようにしている。
【0065】
かかる構成において、図5及び図6に示すように、認識搬送部16(図2)からピンベルト搬送部18の前ピンベルト搬送部18Fに硬貨CNと共に異物FMが侵入した場合、前搬送路42Fは上下方向に沿っているため、該異物FMは、前搬送路42Fに沿って湾曲搬送部34C1に向かって自重により自由落下し、異物除去孔50に入り込む。またこのとき異物FMは、搬送される硬貨CNに当接された場合、該硬貨CNによって異物除去孔50に押し込まれる。一方、硬貨CNは、異物除去孔50に入り込むことなく通過し、下ピンベルト搬送部18Lへ搬送される。
【0066】
[1-9.異物収納部の構成]
湾曲搬送部盤面ガイド46Bの左側には、異物収納部52が設けられている。異物収納部52は、右側面において異物除去孔50と同一形状の開口部が形成されていると共に該開口部以外が閉鎖された収納空間を形成している。この異物収納部52は、右端部が異物除去孔50内に隙間なく入り込んでおり、異物除去孔50を介し落下してきた異物FMを収納空間に収納する。異物収納部52における開口部から左下側の底部までの深さは、想定される異物FMを収納可能な寸法となっている。
【0067】
[1-10.効果等]
以上の構成において硬貨処理装置10は、湾曲搬送部34C1における湾曲搬送部盤面ガイド46Bの外周側端部に異物除去孔50を設けるようにした。このため硬貨処理装置10は、認識搬送部16からピンベルト搬送部18の前ピンベルト搬送部18Fに硬貨CNと共に異物FMが侵入した場合、前搬送路42Fに沿って湾曲搬送部34C1に向かって自重により異物FMを自由落下させ、異物除去孔50に入り込ませて異物収納部52に収納することができる。
【0068】
また硬貨処理装置10は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSを左下がりの傾斜面とすると共に、異物除去孔50の孔部外周側端部50oを湾曲搬送部外周ガイド面46oSの延長線上に沿って延ばすようにした。このため硬貨処理装置10は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSへ落下してくる異物FMを、湾曲搬送部外周ガイド面46oS上を滑らせつつ異物除去孔50側へ誘導し異物除去孔50へ入り込ませることができる。
【0069】
また硬貨処理装置10は、前ピンベルト搬送部18Fと下ピンベルト搬送部18Lとの間に配置された湾曲搬送部34C1に異物除去孔50を配置するようにした。このため硬貨処理装置10は、ピンベルト搬送部18における硬貨CNの搬送経路の上流側において異物FMを除去し、硬貨CNの搬送経路における、下ピンベルト搬送部18Lを含む下ピンベルト搬送部18L以降への異物FMの侵入を防止できる。これにより硬貨処理装置10は、ピンベルト搬送部18における分岐部19等に設けられた光学センサを通過する前の硬貨CNの搬送経路の上流箇所で効率的に異物FMを除去することができ、異物除去孔50よりも下流側への異物FMの拡散を防止し、硬貨詰まりや誤動作の不具合を防止できる。
【0070】
ここで、水平方向に沿う搬送ガイド面に盤面を載せた状態で硬貨を搬送する搬送部を有する硬貨処理装置において、搬送部の屈曲部の外周縁における搬送ガイド面に異物除去孔を設けることも考えられる。しかしながらそのような硬貨処理装置の場合、搬送部に侵入した異物は、搬送される硬貨に押し出される等、硬貨に付着した状態にならないと、移動することができずその場に留まってしまい異物除去孔に落下しなくなってしまう。またそのような硬貨処理装置の場合、搬送ガイド面から硬貨が落下してしまわないようにするために、異物除去孔は搬送ガイド面の全幅に亘って形成せずに、屈曲部の外周側の一部分にのみ異物除去孔を形成することとなるため、異物が屈曲部の内周側を搬送されると、異物除去孔が形成されていない位置を通過して異物除去孔に落下しなくなってしまう場合がある。
【0071】
これに対し硬貨処理装置10は、下方向に硬貨CNを搬送する前ピンベルト搬送部18Fと、後方向に硬貨CNを搬送する下ピンベルト搬送部18Lとの間に設けられ、硬貨CNの搬送方向を下方向から後方向へ切り替えて搬送する湾曲搬送部34C1に、異物除去孔50を配置するようにした。このため硬貨処理装置10は、硬貨CNの搬送に頼ることなく、異物FM自身に重力で前搬送路42Fを滑り降りていかせ、異物除去孔50に到達させることができる。
【0072】
また硬貨処理装置10は、異物除去孔50の下搬送路42L側(後側)の端部である孔部後端部50rを前搬送部後側ガイド面40RSよりも下搬送路42L側(後側)まで延伸して設けるようにした。このため硬貨処理装置10は、異物FMが前搬送路42Fにおける最も下搬送路42L側(後側)の位置である前搬送部後側ガイド面40RSに沿って落下した場合であっても、該異物FMを異物除去孔50に入り込ませることができる。
【0073】
さらに硬貨処理装置10は、異物除去孔50の前側の端部を前搬送部前側ガイド面40FSと前後方向に同一の位置に配置するようにした。このため硬貨処理装置10は、異物FMが前搬送路42Fにおける最も前側の位置である前搬送部前側ガイド面40FSに沿って落下した場合であっても、該異物FMを異物除去孔50に入り込ませることができる。
【0074】
このように硬貨処理装置10は、異物FMが前搬送路42Fにおける前後方向のいかなる位置を落下したとしても、該異物FMを異物除去孔50に入り込ませることができる。
【0075】
また、湾曲搬送部34C1を通過する硬貨CNは、重力により、必ず湾曲搬送部外周ガイド面46oSに当接しつつ該湾曲搬送部外周ガイド面46oSに沿って通過する。硬貨処理装置10では、この湾曲搬送部外周ガイド46oと隣接するように湾曲搬送部外周ガイド面46oSに沿って異物除去孔50を形成するようにした。このため硬貨処理装置10は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSに沿って通過する硬貨CNによって、異物FMを異物除去孔50に押し込ませることができる。
【0076】
さらに硬貨処理装置10は、異物除去孔50における孔部外周側端部50oを湾曲搬送部外周ガイド面46oSと面一の位置に配置するようにした。このため硬貨処理装置10は、異物除去孔50における孔部外周側端部50oを湾曲搬送部外周ガイド面46oSよりも上側に配置する場合と比較して、湾曲搬送部外周ガイド面46oSに落下した異物FMを孔部外周側端部50oを介してそのまま異物除去孔50へ入り込ませることができる。これにより硬貨処理装置10は、異物FMが異物除去孔50と湾曲搬送部外周ガイド面46oSとの間に溜まってしまい異物除去孔50へ入り込みにくくなってしまうことを防止することができる。
【0077】
以上の構成によれば、現金自動預払機1の硬貨処理装置10は、上下方向に硬貨CNを搬送させる第1搬送路としての前搬送路42Fと、上下方向と交差する交差方向としての前後方向に硬貨CNを搬送させる第2搬送路としての下搬送路42Lと、前搬送路42Fと下搬送路42Lとの間に形成され、硬貨CNの搬送方向が上下方向と前後方向とで切り替わるように搬送させる湾曲状搬送路としての湾曲搬送路42Cとを含む搬送路42と、搬送路42において硬貨CNを搬送するピンベルト37とを設け、湾曲搬送路42Cは、硬貨CNの周側面と当接しながら該硬貨CNの搬送方向を上下方向と前後方向とで切り替えるように案内する外周ガイド部としての湾曲搬送部外周ガイド46oと、硬貨CNの一面側と当接する搬送面としての湾曲搬送部盤面ガイド面46BSに形成され、湾曲搬送部外周ガイド46oへ向かって落下する異物FMを入り込ませる異物除去孔50とを有するようにした。
【0078】
これにより硬貨処理装置10は、前搬送路42Fから湾曲搬送部外周ガイド46oへ向かって落下する異物FMを異物除去孔50に入り込ませ除去することができる。
【0079】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.現金自動預払機及び硬貨処理装置の構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、硬貨処理装置10に代わる硬貨処理装置110が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0080】
図2及び図3に示すように、第2の実施の形態による硬貨処理装置110は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と比較して、湾曲搬送部34C1に代わる湾曲搬送部134C1が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0081】
[2-2.湾曲搬送部の構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した図7に示すように、第2の実施の形態による湾曲搬送部134C1は、第1の実施の形態による湾曲搬送部34C1と比較して、異物除去孔50に代わる異物除去孔150と、異物収納部52に代わる異物収納部152とが設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0082】
異物除去孔150は、湾曲搬送部外周ガイド46o側の端部である孔部外周側端部50oにおいて、水平方向に対する湾曲搬送部外周ガイド面46oSの傾斜角度よりも鉛直方向に近づくように左下がりに傾斜する誘込部54が形成されている。異物収納部152は、異物収納部52と比較して、異物除去孔150における誘込部54の傾斜角度に合わせて、湾曲搬送部盤面ガイド46B側(右側)の端部における湾曲搬送部外周ガイド46o側の端部が傾斜している。
【0083】
このため硬貨処理装置110は、硬貨処理装置10と比較して、異物除去孔150の湾曲搬送部外周ガイド46o側の端部の角度を鉛直方向に近づけることができると共に、異物除去孔150を湾曲搬送部外周ガイド46oにまで拡大することができる。これにより硬貨処理装置110は、異物FMを異物除去孔150により一層入り込ませやすくすることができる。
【0084】
その他、第2の実施の形態による硬貨処理装置110は、第1の実施の形態による硬貨処理装置110と同様の作用効果を奏し得る。
【0085】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.現金自動預払機及び硬貨処理装置の構成]
図1に示すように、第3の実施の形態による現金自動預払機201は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比較して、硬貨処理装置110に代わる硬貨処理装置210が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0086】
図7と対応する部材に同一符号を付した図8に示すように、第3の実施の形態による硬貨処理装置210は、第2の実施の形態による硬貨処理装置110と比較して、異物収納部152に代わる異物収納部252が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0087】
[3-2.異物収納部の構成]
第3の実施の形態による異物収納部252は、第2の実施の形態による異物収納部152と比較して、同一の形状であると共に、搬送ガイド36、より具体的には湾曲搬送部盤面ガイド46Bに対し着脱可能に構成されている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0088】
このため硬貨処理装置210は、作業員に対し異物収納部252を湾曲搬送部盤面ガイド46Bから取り外させることにより、異物収納部252から異物FMを除去させやすることができる。
【0089】
その他、第3の実施の形態による硬貨処理装置210は、第2の実施の形態による硬貨処理装置110と同様の作用効果を奏し得る。
【0090】
[4.第4の実施の形態]
[4-1.現金自動預払機及び硬貨処理装置の構成]
図1に示すように、第4の実施の形態による現金自動預払機301は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、硬貨処理装置10に代わる硬貨処理装置310が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0091】
図2に示すように、第4の実施の形態による硬貨処理装置310は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と比較して、湾曲搬送部34C1に代わる湾曲搬送部334C1が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0092】
[4-2.湾曲搬送部の構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した図9に示すように、第4の実施の形態による湾曲搬送部334C1は、第1の実施の形態による湾曲搬送部34C1と比較して、異物除去孔50に代わる異物除去孔350が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0093】
異物除去孔350は、異物除去孔50(図3)と比較して、該異物除去孔350における前後方向の中央部にリブ56が追加されている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。分割部としてのリブ56は、細い棒形状であり、異物除去孔350における湾曲搬送部盤面ガイド面46BS側(右側)の端部において、右側面が湾曲搬送部盤面ガイド面46BSと面一になるように、孔部内周側端部50iから孔部外周側端部50oまで形成されている。このため異物除去孔350は、前側の第1異物除去孔50Aと後側の第2異物除去孔50Bとに分割されているとも言える。換言すれば異物除去孔350は、該異物除去孔350が延在する延在方向に2分割されているとも言える。第1異物除去孔50Aと第2異物除去孔50Bとは、共に異物収納部52と接続されている。
【0094】
このような異物除去孔350は、湾曲搬送部盤面ガイド46Bに対し第1異物除去孔50Aと第2異物除去孔50Bとがそれぞれ穴を空けられることにより形成されても良く、又は、1つの穴である異物除去孔350に対し、後付けでリブ56が取り付けられることにより形成されても良い。
【0095】
このため硬貨処理装置310は、硬貨CNが誤って異物除去孔350に入り込んでしまうことをより一層防止できる。
【0096】
その他、第4の実施の形態による硬貨処理装置310は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と同様の作用効果を奏し得る。
【0097】
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、異物除去孔50における孔部内周側端部50iを孔部外周側端部50oとほぼ相似形状の湾曲形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、硬貨CNが異物除去孔50に落下しなければ、異物除去孔50における異物除去孔50における孔部内周側端部50iを直線形状等、他の種々の形状とし、孔部外周側端部50oとほぼ相似形状の湾曲形状としなくても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0098】
また上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、異物除去孔50における孔部外周側端部50oからの高さを孔部上端部50uから孔部後端部50rまでに亘って一定とする場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、硬貨CNが異物除去孔50に落下しなければ、異物除去孔50における孔部外周側端部50oからの高さを孔部上端部50uから孔部後端部50rまでに亘って一定としなくても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0099】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、異物除去孔50を湾曲搬送部盤面ガイド46B及び下搬送部盤面ガイド44Bに設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、異物除去孔50を湾曲搬送部盤面ガイド46B及び下搬送部盤面ガイド44Bと共に、湾曲搬送部外周ガイド46o又は下搬送部下側ガイド44Lの少なくとも何れか一方にも設けても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0100】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、異物除去孔50を、下搬送路42L側(後側)の端部を前搬送部後側ガイド40Rの前搬送部後側ガイド面40RSよりも下搬送路42L側(後側)まで延伸させるように設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、異物除去孔50を、下搬送路42L側(後側)の端部を前搬送部後側ガイド40Rの前搬送部後側ガイド面40RSよりも前搬送路42F側(前側)まで延伸させる程度に留めても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0101】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSを四分円の外周に沿う円弧形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、湾曲搬送部外周ガイド面46oSを、例えば、右側面視で直線状の平坦面が複数個組み合わされた屈曲状の搬送路としても良く、全体として湾曲状の搬送路とすれば良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0102】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、異物収納部52を、右側面以外が閉鎖された収納空間を形成する構成とする場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、異物収納部52の例えば左端部を、異物FMを収納して回収するための異物回収部と接続し、異物除去孔50を介し落下してきた異物FMを該異物回収部に収納しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0103】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、湾曲搬送部34C1に異物除去孔50及び異物収納部52を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、湾曲搬送部34C1と共に、又は、湾曲搬送部34C1に代えて、湾曲搬送部34C2に異物除去孔50及び異物収納部52を設けても良い。その場合、湾曲搬送部34C2における異物除去孔50及び異物収納部52は、湾曲搬送部34C1における異物除去孔50及び異物収納部52と前後対称のような構成とすれば良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0104】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置10は、ピンベルト37により硬貨CNを搬送する場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置10は、例えばローラ等、他の種々の搬送手段により硬貨CNを搬送しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0105】
さらに上述した第3の実施の形態において硬貨処理装置210は、異物収納部252(図8)を、第2の実施の形態による異物収納部152(図7)と同一の形状とした上で、湾曲搬送部盤面ガイド46Bに対し着脱可能とする場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置210は、異物収納部252(図8)を、第1の実施の形態による異物収納部52(図4)と同一の形状とした上で、湾曲搬送部盤面ガイド46Bに対し着脱可能としても良い。
【0106】
さらに上述した第4の実施の形態において硬貨処理装置310は、1本のリブ56を形成し異物除去孔350を延在方向に2分割する場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置310は、2本の以上の任意の本数のリブ56を形成し異物除去孔350を延在方向に種々の個数に分割しても良い。
【0107】
さらに上述した第4の実施の形態において硬貨処理装置310は、第1異物除去孔50Aと第2異物除去孔50Bとを共に異物収納部52と接続する場合について述べた。本発明はこれに限らず硬貨処理装置310は、異物収納部52に加えて該異物収納部52とは独立した収納空間を有する第2の異物収納部を設け、第1異物除去孔50Aを異物収納部52と接続し、第2異物除去孔50Bを第2の異物収納部と接続しても良い。
【0108】
さらに上述した実施の形態においては、自動取引装置としての現金自動預払機1、101、201又は301に組み込まれる硬貨処理装置10、110、210又は310に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば自動券売機等のように顧客との間で硬貨に関する取引を行う種々の装置や、金融機関の職員や小売店の店員等が現金を管理するために使用する現金管理装置や、釣り銭を出金する釣り銭機等に本発明を適用しても良い。
【0109】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0110】
さらに上述した実施の形態においては、硬貨搬送部としての搬送路42と、搬送手段としてのピンベルト37とによって、硬貨処理装置としての硬貨処理装置10を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる硬貨搬送部と、搬送手段とによって、硬貨処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、例えば顧客又は店員との間で硬貨に関する取引処理を行う現金自動預払機等で利用できる。
【符号の説明】
【0112】
1、101、201、301……現金自動預払機、2……筐体、3……応対部、4……通帳入出口、5……カード入出口、6……硬貨入出金口、7……紙幣入出金口、8……操作表示部、9……主制御部、10、110、210、310……硬貨処理装置、11……硬貨処理装置筐体、12……硬貨制御部、13……入出金部、13A……収容器、13B……シャッタ、14……シュート部、15……上分離部、15A……集積分離部、15B……分離搬送部、16……認識搬送部、17……受渡部、18……ピンベルト搬送部、18F……前ピンベルト搬送部、18L……下ピンベルト搬送部、18R……後ピンベルト搬送部、18U……上ピンベルト搬送部、19……分岐部、20……スタッカ分岐部、21……スタッカ部、22……出金搬送部、23……一時保留部、24……補充回収庫、25……第1補充リジェクト庫、26……第2補充リジェクト庫、27……リジェクト庫、28……取忘取込庫、29……下分離部、29A……集積分離部、29B……分離搬送部、30、31……案内部、32……集積部、33……繰出部、34C1、34C2、34C3、134C1、334C1……湾曲搬送部、36……搬送ガイド、36F……前搬送部搬送ガイド、36L……下搬送部搬送ガイド、36C……湾曲搬送部搬送ガイド、37……ピンベルト、38……ピン、40B……前搬送部盤面ガイド、40F……前搬送部前側ガイド、40R……前搬送部後側ガイド、40BS……前搬送部盤面ガイド面、40FS……前搬送部前側ガイド面、40RS……前搬送部後側ガイド面、42……搬送路、42F……前搬送路、42L……下搬送路、42C……湾曲搬送路、44B……下搬送部盤面ガイド、44U……下搬送部上側ガイド、44L……下搬送部下側ガイド、44US……下搬送部上側ガイド面、44BS……下搬送部盤面ガイド面、44LS……下搬送部下側ガイド面、46B……湾曲搬送部盤面ガイド、46o……湾曲搬送部外周ガイド、46BS……湾曲搬送部盤面ガイド面、46oS……湾曲搬送部外周ガイド面、48……アッパガイド、48S……アッパガイド面、50、150、350……異物除去孔、50i……孔部内周側端部、50o……孔部外周側端部、50u……孔部上端部、50r……孔部後端部、52、152、252……異物収納部、54……誘込部、56……リブ、50A……第1異物除去孔、50B……第2異物除去孔、CN……硬貨、FM……異物。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9