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特開2024-56478図柄変動表示装置、遊技機、および図柄変動表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056478
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】図柄変動表示装置、遊技機、および図柄変動表示方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A63F5/04 511A
A63F5/04 540
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163377
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴広
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】工藤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】阿形 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】足立 達哉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CC01
2C182CC11
(57)【要約】
【課題】遊技者の興趣をひくことができる図柄変動表示装置を実現する。
【解決手段】図柄変動表示装置(10)は、球体の表面に複数の図柄が記載された、複数の球体リール(20)と、球体リール毎に当該球体リールを駆動する球体駆動装置(30)と、球体駆動装置を制御するリール制御部(50)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体の表面に複数の図柄が記載された、複数の球体リールと、
前記球体リール毎に当該球体リールを回転させる球体駆動装置と、
前記球体駆動装置を制御する制御部と、を備えた、図柄変動表示装置。
【請求項2】
前記球体リールはそれぞれ、
前記球体リールの姿勢を検出する検出部と、
前記姿勢を前記制御部に出力する出力部と、
前記検出部および前記出力部に電力を供給する電源部と、を備える請求項1に記載の図柄変動表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記球体リールの回転停止時における前記図柄である停止図柄を取得し、
前記姿勢の履歴から、前記球体リールの回転方向を判断し、
前記停止図柄に対応した前記回転方向になるように、前記球体駆動装置を駆動させ、
前記停止図柄にて前記球体リールの回転を停止するように、前記球体駆動装置を駆動させる請求項2に記載の図柄変動表示装置。
【請求項4】
前記図柄変動表示装置は、コイルによる送電部を備え、
前記電源部は、コイルによる受電部である、請求項2に記載の図柄変動表示装置。
【請求項5】
前記出力部は、無線タグにおける通信を用いる、請求項2に記載の図柄変動表示装置。
【請求項6】
前記電源部は、バッテリである、請求項2に記載の図柄変動表示装置。
【請求項7】
前記球体駆動装置は、
前記球体リールに第1ローラを接触させて前記球体リールを第1軸中心に回転させる第1駆動部と、
前記球体リールに第2ローラを接触させて前記球体リールを前記第1軸と異なる第2軸中心に回転させる第2駆動部と、を備える請求項1又は2に記載の図柄変動表示装置。
【請求項8】
前記第1ローラは、周方向に沿って半径が一定であり、
前記第2ローラは、周方向に沿ってローラ径が大きい大径部とローラ径が小さい小径部とを有する、請求項7に記載の図柄変動表示装置。
【請求項9】
前記第2駆動部は、前記球体リールに前記第2ローラを接触させない待避部を備える、請求項7に記載の図柄変動表示装置。
【請求項10】
前記第2駆動部は、前記球体リールに前記第2ローラが接触していないことを検出する離間検出部を備える、請求項9に記載の図柄変動表示装置。
【請求項11】
複数の図柄を変動表示する図柄変動表示装置と、
前記図柄変動表示装置の表示内容を決定する遊技機制御部と、を備えた遊技機であって、
前記図柄変動表示装置は、
球体の表面に複数の図柄が記載された、複数の球体リールと、
前記球体リール毎に当該球体リールを駆動する球体駆動装置と、
前記球体駆動装置を制御する制御部と、を備えた、遊技機。
【請求項12】
球体の表面に複数の図柄が記載された複数の球体リールの、回転停止時における前記図柄である、停止図柄を取得するステップと、
前記球体リールの姿勢の履歴から、前記球体リールの回転方向を判断するステップと、
前記停止図柄に対応した前記回転方向になるように、前記球体リールを回転させる球体駆動装置を駆動するステップと、
前記停止図柄にて前記球体リールの回転を停止するように、前記球体駆動装置を駆動するステップと、を含む図柄変動表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一つであるスロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する図柄変動表示装置を備えている。規定の賭数が設定された状態でスタート操作されることにより複数のリールが回転開始し、ストップスイッチが操作されて各リールの回転が停止したときに入賞ライン上に予め定められた図柄組合せが導出され、入賞が発生する(例えば、特許文献1,2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-057551号公報
【特許文献2】特開2019-217401号公報
【特許文献3】特開2019-217032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機の図柄変動装置では、円周部分に複数の図柄が施された円筒状のリールが用いられている。しかしながら、円筒状のリールを機械的に回転させることによって、図柄が変化する演出では、リールの回転方向が一定であることから、単調な演出になる。そのため、遊技者の興趣が少ないという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、遊技者の興趣をひくことができる図柄変動表示装置、遊技機、および図柄変動表示方法、を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る図柄変動表示装置は、球体の表面に複数の図柄が記載された、複数の球体リールと、前記球体リール毎に当該球体リールを回転させる球体駆動装置と、前記球体駆動装置を制御する制御部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、球体駆動装置によって球体リールを複雑に回転させることができる。そのため、遊技者を魅了する図柄変動表示装置を実現することができる。
【0008】
前記球体リールはそれぞれ、前記球体リールの姿勢を検出する検出部と、前記姿勢を前記制御部に出力する出力部と、前記検出部および前記出力部に電力を供給する電源部と、を備えてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、図柄変動表示装置は球体リールの姿勢を検出することができる。そのため、球体リールを任意の姿勢に制御することができ、遊技者を魅了することができる。
【0010】
前記制御部は、前記球体リールの回転停止時における前記図柄である停止図柄を取得し、前記姿勢の履歴から、前記球体リールの回転方向を判断し、前記停止図柄に対応した前記回転方向になるように、前記球体駆動装置を駆動させ、前記停止図柄にて前記球体リールの回転を停止するように、前記球体駆動装置を駆動させてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、球体リールを停止図柄が視認される位置で停止させることができる。
【0012】
前記図柄変動表示装置は、コイルによる送電部を備え、前記電源部は、コイルによる受電部であってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、球体リールは、内部に非接触給電するためのコイルを備え、図柄変動表示装置から非接触にて給電されるため、無限回転することができる。そのため、球体リールの回転が制限されず、遊技者を魅了することができる。
【0014】
前記出力部は、無線タグにおける通信を用いてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、電源部と出力部とを一体で構成することができ、図柄変動表示装置を安価にすることができるようになる。
【0016】
前記電源部は、バッテリであってもよい。
【0017】
前記球体駆動装置は、前記球体リールに第1ローラを接触させて前記球体リールを第1軸中心に回転させる第1駆動部と、前記球体リールに第2ローラを接触させて前記球体リールを前記第1軸と異なる第2軸中心に回転させる第2駆動部と、を備えてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、球体リールは異なる2つの回転軸を中心に回転する機構によって回転するため、2自由度の任意の姿勢を取ることができる。
【0019】
前記第1ローラは、周方向に沿って半径が一定であり、前記第2ローラは、周方向に沿ってローラ径が大きい大径部と、ローラ径が小さい小径部とを有していてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第2ローラはローラ径が大きい大径部と、ローラ径が小さい小径部とを有するローラであるため、球体リールに当接する状態と当接しない状態とがある。そのため、第2ローラの摩擦が大きい場合であっても、第2ローラが当接していない状態とすることで、第2駆動部は第1駆動部のみによる球体リールの回転を妨げることがない。
【0021】
前記第2駆動部は、前記球体リールに前記第2ローラを接触させない待避部を備えてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、第2駆動部は待避部を備えるため、球体リールに第2ローラが当接する状態と当接しない状態とがある。そのため、第2ローラの摩擦が大きい場合であっても、第2ローラが当接していない状態とすることで、第2駆動部は第1駆動部のみによる球体リールの回転を妨げることがない。
【0023】
前記第2駆動部は、前記球体リールに前記第2ローラが接触していないことを検出する離間検出部を備えてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、離間検出部によって、球体リールに第2ローラが接触しているかどうかを検出することができる。
【0025】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る遊技機は、複数の図柄を変動表示する図柄変動表示装置と、前記図柄変動表示装置の表示内容を決定する遊技機制御部と、を備えた遊技機であって、前記図柄変動表示装置は、球体の表面に複数の図柄が記載された、複数の球体リールと、前記球体リール毎に当該球体リールを駆動する球体駆動装置と、前記球体駆動装置を制御する制御部と、を備える。
【0026】
上記の構成によれば、遊技機によって遊技者を魅了することができる。
【0027】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る図柄変動表示方法は、球体の表面に複数の図柄が記載された複数の球体リールの、回転停止時における前記図柄である、停止図柄を取得するステップと、前記球体リールの姿勢の履歴から、前記球体リールの回転方向を判断するステップと、前記停止図柄に対応した前記回転方向になるように、前記球体リールを回転させる球体駆動装置を駆動するステップと、前記停止図柄にて前記球体リールの回転を停止するように、前記球体駆動装置を駆動するステップと、を含む。
【0028】
上記の方法によれば、球体リールを停止図柄が視認される位置で停止させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、遊技者を魅了する遊技機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る遊技機の一例を示す外観図である。
図2】本実施形態に係る遊技機の別の例を示す外観図である。
図3】図柄変動表示装置の外観図である。
図4】遊技機の要部の構成を示すブロック図である。
図5】図柄変動表示装置の分解図である。
図6】球体リールの分解図である。
図7】球体リールの断面図である。
図8】球体駆動装置の外観を示す斜視図である。
図9】異径ローラが球体リールに当接している状態を示す図である。
図10】異径ローラが球体リールと離間している状態を示す図である。
図11】球体リールの外観図である。
図12】図柄の展開図である。
図13】遊技機の動作例を示すフローチャートである。
図14】図柄変動表示装置の動作例を示すフローチャートである。
図15】図柄が読める方向で所定の回転を行っている場合における加速度の変化を表す表である。
図16】図柄が天地反転した状態で図15と同じ回転方向に回転した場合における加速度の変化を表す表である。
図17】柄が90°回転した状態で図15と同じ回転方向に回転した場合における加速度の変化を表す表である。
図18図17と逆方向に図柄が90°回転した状態で図15と同じ回転方向に回転した場合における加速度の変化を表す表である。
図19】斜め回転をしている際における図柄と加速度の変化を表す図である。
図20】球体駆動装置の機構の一例として差動機構を採用した例である。
図21】球体駆動装置の機構の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0032】
§1.適用例
図1は、本実施形態に係る遊技機1の一例を示す外観図である。遊技機1は、図柄変動表示装置10と、第1表示部2と、第2表示部3と、操作部4と、を備えている。
【0033】
遊技者は操作部4を操作し、遊技価値(コインまたはメダルなど)をベットし、遊技を行う。遊技機1は、抽選を行い、図柄変動表示装置10にてその抽選のうちのメイン抽選の結果を表示する。メイン抽選の結果は、遊技機1の種類によって、遊技機1側で決定される構成もあれば、遊技者による操作部4の操作にて変化させることができる構成もある。
【0034】
図柄変動表示装置10で表示した抽選結果が所定の条件を満たすことによって、追加のサブ抽選が行われてもよい。サブ抽選の結果は、例えば第1表示部2に表示される。第2表示部3は、現在の所持している遊技価値の表示などを行う。
【0035】
また、図柄変動表示装置10と、第1表示部2と、第2表示部3と、の配置は図1に限定されず、図2に示す遊技機1Aのような配置をしていてもよい。すなわち、遊技者の正面に設けられた第1表示部2でもってメイン抽選の結果の表示を行い、図柄変動表示装置10でもってサブ抽選の結果の表示を行ってもよい。
【0036】
図3は、図柄変動表示装置10の外観図である。図柄変動表示装置10は、一般的な遊技機における円筒状のリールとは異なる形状をしている。具体的には、球状の球体リール20が、3行3列に並べられている。なお、行数および列数は、それぞれ3に制限されず任意の自然数であればよい。球体リール20の外面には、複数の図柄が施されている。
【0037】
球体リール20は、複数のローラを備えた球体駆動装置30(図8参照)によって少なくとも2自由度で回転する。また、球体リール20は、本体部40で保持されるため、球体駆動装置30による回転に伴い、意図しない位置ずれや脱落などは生じない。
【0038】
球体駆動装置30によって、球体リール20は360°自由自在に回転することができるため、複雑な回転を機械的に実現し、任意の図柄を遊技者に提示することができる。そのため、遊技機1は、遊技者を魅了することができる。
【0039】
§2.構成例
(遊技機1の構成)
図4は、遊技機1の要部の構成を示すブロック図である。
【0040】
第1表示部2は、メインまたはサブの抽選結果を表示するディスプレイである。第1表示部2はディスプレイに限定されず、従来の回転リールであってもよい。第2表示部3は、現在の遊技価値の表示、および現在の遊技の状態を表示する。
【0041】
操作部4は、ベットボタンおよび回転スタートボタンを備える。また、操作部4は回転停止ボタンを備えてもよい。
【0042】
遊技機制御部5は、遊技機1の各部を統括的に制御する。具体的には、遊技機制御部5は、操作部4の入力を受けて、抽選を行い、抽選結果を図柄変動表示装置10のリール制御部(制御部)50に出力する。合わせて、遊技機制御部5は、第1表示部2および第2表示部3に遊技に関連した情報および別の抽選結果等を表示する。
【0043】
(図柄変動表示装置10の構成)
図5は、図柄変動表示装置10の分解図である。図柄変動表示装置10は、複数の球体リール20と、複数の球体駆動装置30と、本体部40と、リール制御部50(図4参照)とを備える。
【0044】
球体リール20は、球状のリールであり、球体の外面(表面)に6個の図柄が正六面体状に施されている。なお、図柄の施し方は正六面体に制限されず、任意の正多角形であればよい。
【0045】
図6は、球体リール20の分解図である。図7は、球体リール20の断面図である。球体リール20は、ケーシング21と、蓋22と、検出部23と、出力部24と、電源部25と、を備える。
【0046】
ケーシング21は、球体リール20に施される6面の図柄のうち5面が施され、一部に開口がある球体状のケースであり、内部に空洞を有する。
【0047】
蓋22は、球体リール20に施される6面の図柄のうち、ケーシング21に施されなかった最後の1面が施され、球体状の一部を切り取った形状をしている。
【0048】
また、蓋22とケーシング21の開口部には、勘合するようにネジが切られている。蓋22には、検出部23、出力部24、および電源部25を固定できるようになっている。そのため、蓋22に対して、これらの部材を固定した上で、蓋22をケーシング21にねじ込むことで、球体リール20を組み立てる。
【0049】
検出部23は、球体リール20の姿勢を検出するセンサであり、例えば、3軸加速度センサ、6軸ジャイロセンサである。検出部23で検出した姿勢は、出力部24に出力される。なお、本明細書では、検出部23は3軸加速度センサの前提で記載する。
【0050】
出力部24は、検出部23で検出した姿勢を、リール制御部50の入力部51に出力する。出力部24は、任意の通信規格を用いて無線通信をすればよい。
【0051】
電源部25は、検出部23および出力部24に電源を供給する。電源部25としては、非接触給電のコイル(受電部)であってもよいし、バッテリであってもよい。
【0052】
また、電源部25と出力部24とが、共通のコイルを用いたRFID(Radio Frequency Identifier)などの無線タグを用いたものでもよい。つまり、出力部24は、RFIDにおける通信で出力することになる。さらに、検出部23、出力部24、および電源部25は、ケーシング21の空洞に収まる。
【0053】
図8は、球体駆動装置30の外観を示す斜視図である。球体駆動装置30は、球体リール20ごとに設けられており、球体リール20を駆動する。球体駆動装置30は、第1駆動部31と、第2駆動部32と、によって構成される。第1駆動部31および第2駆動部32は、それぞれモータと複数の歯車とローラとを有する。モータはどちらも可逆回転可能な双方向モータである。第1駆動部31の第1ローラの回転平面は、球体リール20の中心を通る鉛直平面であり、第2駆動部32の第2ローラの回転平面は、球体リール20の中心を通る水平平面である。
【0054】
第1駆動部31は、第1ローラとして、鉛直平面で回転する円ローラ33を有する。球体リール20は円ローラ33によって、縦方向に回転させられる。円ローラ33は、周方向に沿って半径が一定で、回転軸と直交する方向に切った断面が円形状をなす。そのため、円ローラ33は、周方向全域が球体リール20と接触する接触領域であり、球体リール20に常に当接する。つまり、円ローラ33の角度によらず、円ローラ33は球体リール20に対して摩擦によって動力を伝達することができる。
【0055】
第2駆動部32は、第2ローラとして、水平平面で回転する異径ローラ34を有する。球体リール20は異径ローラ34によって、横方向に回転させられる。異径ローラ34は、周方向に沿ってローラ径が大きい大径部と、ローラ径が小さい小径部とを有するローラである。つまり、周方向に表面の一部が切り欠かれたような回転軸からの距離(半径)が短い部分を有しており、この部分が球体リール20に当接しない非当接領域となる。そのため、異径ローラ34は、球体リール20に間欠的に当接する。
【0056】
図9は、異径ローラ34が球体リール20に当接している状態を示す図である。図10は、異径ローラ34が球体リール20に当接していない状態を示す図である。図9のように、異径ローラ34が球体リール20に当接している状態で、異径ローラ34は球体リール20に対して摩擦によって動力を伝達することができる。対して、図10のように、異径ローラ34が球体リール20に当接していない状態では、異径ローラ34は球体リール20に対して摩擦によって動力を伝達することができない。
【0057】
このように異径ローラ34は、球体リール20に当接できないローラ径部分があり、この部分を待避部と称する。待避部があることによって、第2駆動部32の異径ローラ34が球体リール20に当接しない状態を作り出すことができる。これにより、不要な摩擦が無い状態で第1駆動部31にて球体リール20を回転させることができる。また、摩擦によるローラ表面又は球体リール20の表面の摩耗を防止できる。
【0058】
また、本実施形態に示すように、第2駆動部32には、ホームポジションセンサ35(離間検出部)が含まれていてもよい。ホームポジションセンサ35は、異径ローラ34と一体に回転する検出片を読み取り、検出片を読み取っている期間、信号を出力するセンサであり、異径ローラ34が一回転する度に1パルス発生させる。そのため、ホームポジションセンサ35を用いることによって、リール制御部50は、異径ローラ34の原点位置、およびその点からの変化を利用して求められる異径ローラ34の回転角を検出することができる。そのため、ホームポジションセンサ35にて、球体リール20に第2ローラ(この場合は異径ローラ34)が接触していないことを検出することができる。
【0059】
第1駆動部31における円ローラ33の回転中心軸は第1軸であり、第2駆動部32における異径ローラ34の回転中心軸は第1軸と異なる第2軸である。第1軸と第2軸が異なる軸であるために2自由度で球体リール20を回転させることができる。第1駆動部31および第2駆動部32は、円ローラ33、異径ローラ34を、双方向に回転することができる。
【0060】
図5に示すように、本体部40は、カバー部41と、ベース部42と、ガイド部材43と、ブラケット44とを備える。
【0061】
カバー部41は、遊技者が見る図柄変動表示装置10の装飾用の枠体および表面を覆う透明板を含む。
【0062】
ベース部42は、背面側より複数のガイド部材43が取り付けられるパネル45を備える筐体である。パネル45には、内側に球体リール20を収容したガイド部材43が、3行3列で合計9個取り付けられる。パネル45におけるガイド部材43の取り付け位置には、それぞれ開口部45aが備わっており、当該開口部45aから球体リール20の図柄を確認できるようになっている。開口部45aの直径は、球体リール20の直径よりも小さく設計されており、開口部45aから球体リール20が抜け落ちないようになっている。
【0063】
ガイド部材43は、球体リール20ごとに1個設けられ、球体リール20が収容される空洞を有する、有底円筒状の部材である。ベース部42とガイド部材43との間に、球体リール20を収容する。球体リール20が滑らかに摺動できるように、球体とガイド部材43との間には、適切なクリアランスが設けられる。また、ガイド部材43には、円ローラ33および異径ローラ34が球体リール20に当接するための開口部が設けられている。なお、本実施形態では、球体リール20を個々に収容するガイド部材43を設けたが、複数の球体リール20を回転自在に収容する複数の収容部が1つの部材に組み込まれた形であってもよい。
【0064】
ブラケット44は、球体駆動装置30を本体部40に固定するための部材であり、球体リール20の1行毎に1枚あり、合計で3枚配置されている。
【0065】
図4に示すように、リール制御部50は、入力部51と、停止制御部52と、送電部53と、を備え、球体リール20から取得した情報に基づき、球体駆動装置30を制御する。入力部51は、出力部24が出力した加速度を取得し、球体リール20の制御に用いる。入力部51は、停止制御部52に加速度を出力する。停止制御部52は、第1駆動部31の円ローラ33および第2駆動部32の異径ローラ34それぞれの回転量を計算し、制御する。なお、停止制御部52は、後述する回転方向の判別および停止した際の図柄の判断(停止姿勢)をも行う。送電部53は、電源部25に非接触給電するコイルである。なお、電源部25がバッテリであってもよく、この場合は送電部53がなくてもよい。
【0066】
リール制御部50は、球体リール20の回転停止時における図柄である停止図柄を取得し、姿勢の履歴から、球体リール20の回転方向を判断し、停止図柄に対応した回転方向になるように、球体駆動装置30を駆動させ、停止図柄にて球体リール20の回転を停止するように、球体駆動装置30を駆動する。リール制御部50は、このような制御を、複数の球体リール20ごとに行う。
【0067】
(球体リール20の図柄)
図11は、球体リール20の外観図である。図12は、球体リール20を正六面体としてみた場合における、図柄の展開図である。球体リール20の図柄は正六面体状に施されている。そのため、球体リール20の図柄は展開することができる。本実施形態では、図柄としては、「スイカ」(符号61)、「プラム」(符号62)、「チェリー」(符号63)、「セブン」(符号64)、「ベル」(符号65)、および「クローバ」(符号66)がある。図柄としてはこれらに限定されず、任意の図柄であってもよい。
【0068】
図11および図12にはそれぞれの図柄に対して、検出部23によって検出される加速度の軸の割り付け方も記載されている。当該加速度の軸は、球体リール20の回転とともに一緒に回転することになる。
【0069】
§3.動作例
(遊技機1の動作例)
図13は、遊技機1の動作例を示すフローチャートである。
【0070】
操作部4は遊技者による回転開始の入力を検出したか否かを判定する(S11)。操作部4に対する回転開始の入力がなかった場合、S11を繰り返す。
【0071】
操作部4に対する回転開始の入力があった場合、遊技機制御部5は、停止図柄を決定する(S12)。
【0072】
遊技機制御部5は、リール制御部50に対して停止図柄を送信し、リール制御部50は停止図柄を受信する(S13)。
【0073】
リール制御部50は、受信した停止図柄の情報を踏まえて、図柄変動表示装置10によって演出を行う(S14)。図柄変動表示装置10における演出の詳細は後述する。
【0074】
停止制御部52による球体リール20の回転停止後、リール制御部50は遊技機制御部5に対して停止完了信号を送信する(S15)。
【0075】
遊技機制御部5は、入力された停止完了信号でもって、第1表示部2および第2表示部3の表示を更新する(S16)。この際、追加の抽選(サブ抽選)を行っても構わない。
【0076】
(図柄変動表示装置10の動作例)
図14は、図柄変動表示装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0077】
リール制御部50は、回転開始を入力することによって、球体駆動装置30を駆動させる。具体的には、リール制御部50は第1駆動部31および第2駆動部32に対してランダムな回転指令を出力する(S21)。
【0078】
検出部23は加速度を計測し、出力部24は当該加速度を入力部51に対して出力する(S22)。この処理は、球体リール20の回転の有無に関わらず常時行っていてもよい。
【0079】
リール制御部50は所定の時間が経過したか否かを判断する(S23)。所定の時間が経過していない場合、S21に処理を戻す。
【0080】
所定の時間が経過していた場合、リール制御部50は第1駆動部31を常時回転させ、第2駆動部32を所定の条件を満たす際に回転させる(S24)。ここで所定の条件は、例えば、X軸を回転軸とする場合であれば、加速度のX成分axが0近傍(-α<ax<α)であるときに第2駆動部32を回転させる。なお、このときの条件は、Y軸を回転軸とする場合であれば、Y成分ayが0近傍の時に第2駆動部32を回転させ、Z軸を回転軸とする場合であれば、Z成分azが0近傍の時に第2駆動部32を回転させる。ここでαは角度ズレの許容範囲を示す閾値であり、この閾値以内(許容範囲以内)の絶対値に制御する。
【0081】
停止制御部52は、加速度の変化から、所望の回転方向で球体リール20が回転しているか否かを判断する(S25)。所望の回転方向で回転していない場合、S24に処理を戻し、所望の回転方向で回転するように調整する。
【0082】
ここで、所望の回転方向とは、後述するように停止図柄が図柄を識別できる向きで停止できる回転方向であり、X/Y/Z軸のいずれかを回転中心軸として回転する回転方向である。当該回転方向は、後述する方法によって、所定の加速度パターンからどのような回転方向かを判断している。現在の回転方向が、停止図柄に適合した回転方向になるまでS24の処理を繰り返す。
【0083】
回転方向が決定することによって、回転中心軸と、その回転中心軸に対する正転・逆転とが決まり、回転が停止した際に停止図柄が読める姿勢で停止するかが決定する。
【0084】
所望の回転方向で回転していた場合、停止制御部52は、第1駆動部31は入力した停止図柄で停止するように回転を停止していき、第2駆動部32は、異径ローラ34が球体リール20に当接しないホームポジションに待避するように制御する(S26)。
【0085】
停止制御部52は入力した停止図柄(停止姿勢)で停止できたかを判断する(S27)。入力した停止図柄で停止できなかった場合、S26に処理を戻し、第1駆動部31によって入力した停止図柄で停止するように調整する。入力した停止図柄で停止できた場合、リール制御部50は、演出を終了する。リール制御部50は、遊技機制御部5に対して、停止完了信号を送信する。
【0086】
(図柄の向きの判断)
S21において、第1駆動部31および第2駆動部32はランダム回転をする。そのため、球体リール20がとる姿勢は様々であり、例えば図柄が180°回転し天地反転した表示になることなどもある。その結果、回転が停止した際に、図柄が適正な向きで表示されないことが起こり得る。そのため、遊技者が戸惑うことがある。
【0087】
そこで、S24における処理において、図柄が正常に読める向きで停止できるように調整する処理を行っている。具体的には、加速度の変化を監視し、所定のパターンで加速度が変化していく、所望の回転方向か否かを判断している。
【0088】
図15は、図柄が読める方向で所定の回転を行っている場合における加速度の変化を表す表である。この場合、「スイカ」→「プラム」→「チェリー」→「セブン」→「スイカ」の順で回転することになる。この際、加速度の組み合わせ(ax、ay、az)は、(0、0、-1G±α)→(0、1G±α、0)→(0、0、1G±α)→(0、-1G±α、0)→(0、0、-1G±α)のように変化する。以降、加速度の表示に関しては、ベクトルの長さが1G±αとなる単位ベクトルで表すものとする。つまり、上記の場合は、(0、0、-1)→(0、1、0)→(0、0、1)→(0、-1、0)→(0、0、-1)と記載する。
【0089】
図16は、図柄が天地反転した状態で図15と同じ回転方向に回転した場合における加速度の変化を表す表である。この場合、天地反転した状態で「スイカ」→「セブン」→「チェリー」→「プラム」→「スイカ」の順で回転することになる。この際、加速度の組み合わせ(ax、ay、az)は、(0、0、1)→(0、1、0)→(0、0、-1)→(0、-1、0)→(0、0、1)のように変化する。したがって、図15図16では加速度の変化が異なるため、回転方向の違いを検出することができる。
【0090】
また、図17は図柄が90°回転した状態で図15と同じ回転方向に回転した場合における加速度の変化を表す表である。この場合、「スイカ」→「ベル」→「チェリー」→「クローバ」→「スイカ」の順で回転することになる。この際、加速度の組み合わせ(ax、ay、az)は、(1、0、0)→(0、1、0)→(-1、0、0)→(0、-1、0)→(1、0、0)のように変化する。したがって、図15図17では加速度の変化が異なるため、回転方向の違いを検出することができる。
【0091】
さらに、図18図17と逆方向に図柄が90°回転した状態で図15と同じ回転方向に回転した場合における加速度の変化を表す表である。「スイカ」→「クローバ」→「チェリー」→「ベル」→「スイカ」の順で回転することになる。この際、加速度の組み合わせ(ax、ay、az)は、(-1、0、0)→(0、1、0)→(1、0、0)→(0、-1、0)→(-1、0、0)のように変化する。したがって、図15図18では加速度の変化が異なるため、回転方向の違いを検出することができる。
【0092】
なお、この処理は図柄の向きを合わせる処理でもあるが、球体リール20の回転方向を検出する処理でもある。
【0093】
(停止図柄の判断)
S27において、停止制御部52は、入力した停止図柄で停止できているか否かを判断している。入力した停止図柄で停止するためには、球体リール20の回転方向(図柄の向き)と停止した際の加速度とが所定の条件を満たすことが必要である。
【0094】
「スイカ」の場合は、加速度が(0、0、-1)→(0、1、0)→(0、0、1)→(0、-1、0)→(0、0、-1)と変化している際に、(ax、ay、az)=(0、0、-1)で停止することが必要である。
【0095】
「プラム」の場合は、加速度が(0、0、-1)→(0、1、0)→(0、0、1)→(0、-1、0)→(0、0、-1)と変化している際に、(ax、ay、az)=(0、1、0)で停止することが必要である。
【0096】
「チェリー」の場合は、加速度が(0、0、-1)→(0、1、0)→(0、0、1)→(0、-1、0)→(0、0、-1)と変化している際に、(ax、ay、az)=(0、0、1)で停止することが必要である。
【0097】
「セブン」の場合は、加速度が(0、0、-1)→(0、1、0)→(0、0、1)→(0、-1、0)→(0、0、-1)と変化している際に、(ax、ay、az)=(0、-1、0)で停止することが必要である。
【0098】
「ベル」の場合は、加速度が(1、0、0)→(0、1、0)→(-1、0、0)→(0、-1、0)→(1、0、0)と変化している際に、(ax、ay、az)=(0、1、0)で停止することが必要である。
【0099】
「クローバ」の場合は、加速度が(1、0、0)→(0、1、0)→(-1、0、0)→(0、-1、0)→(1、0、0)と変化している際に、(ax、ay、az)=(0、-1、0)で停止することが必要である。
【0100】
(横回転のみの禁止)
以上のように、停止図柄の判断のためには、回転方向の判断が必要になる。つまり、第1駆動部31による縦回転が常に必要であり、第2駆動部32による横回転が入ってはいけない。例えば、加速度が(0、-1、0)の場合、図柄の向きが正しい向きでないものも含めて、「セブン」、「ベル」、「プラム」、および「クローバ」をとることができる。つまり、第2駆動部32による横回転だけの場合は、図柄およびその向きを一意に特定することができない。
【0101】
第1駆動部31によって球体リール20が縦回転することによって、加速度の変化にパターン性が生じる。そのため、正しい回転パターンで回転しているか否かを判断することができるようになる。この際の加速度パターンが正しい回転パターンに入っていない際も、第1駆動部31が回転している際に、第2駆動部32による横回転を加えることによって、正しい回転パターンに変化させることができるようになる。
【0102】
§4.作用・効果
球体駆動装置30によって、球体リール20を複雑に回転させることができるため、遊技者を魅了することができる。また、検出部23によって球体リールの姿勢を検出し、停止制御部52によって停止姿勢を制御することができるため、停止した際の図柄を制御することができる。
【0103】
球体リール20は、非接触給電によって電力を供給され、検出部23および出力部24が動作するために、回転を妨げるケーブル等がない。そのため、遊技者を魅了する複雑な回転を実現することができる。
【0104】
球体駆動装置30は、第1駆動部31および第2駆動部32の異なる回転中心軸を持つローラによって摩擦接触して回転するために、2自由度の回転を実現することができる。そのために遊技者を魅了する複雑な回転を実現することができる。
【0105】
第2駆動部32は、待避部によって球体リール20と当接しなくすることができるために、不要な摩擦が無い状態で第1駆動部31にて球体リール20を回転させることができる。また、摩擦によるローラ表面又は球体リール20の表面の摩耗を防止できる。
【0106】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0107】
(斜め回転を維持したままで停止)
実施形態1では、S21においてはランダムに回転するため、斜め回転して遊技者を引き付けることが可能であるが、停止直前(S24~S27)は、所定の回転パターンになるように調整された上で、停止していく。そのため、停止直前は、回転が単調になってしまう。そこで、実施形態2では斜め回転を維持したまま停止できるようにする方法に関して説明する。
【0108】
(リール座標系の制御)
球体リール20には検出部23によって検出する加速度の値に応じてリール座標系が定義される。当該リール座標系は、遊技機1の座標系に対して位置は固定で姿勢が変化する単位ベクトルで表せる。
【0109】
図19は、斜め回転をしている際における図柄と加速度の変化を表す図である。図19において、回転中心軸のベクトルとしては、(1/√2、0、-1/√2)を採用した。
【0110】
連続した加速度の変化によって、姿勢を一意に定めることができるので、本実施形態では、この加速度と姿勢のパターンをテーブルによってマッピングすることによって一対一対応させることができる。
【0111】
その結果、加速度のベクトルを目標値になるように第1駆動部31および第2駆動部32を駆動させるようにフィードバック制御することによって、斜め回転においても姿勢の制御、すなわち、停止図柄の制御が可能になる。
【0112】
また、図19の例では、回転中心軸を一定の条件のもとで球体リール20を回転させたが、単位ベクトルをランダム軌道を描くように変化させるように制御し、停止直前に停止図柄(停止姿勢)の単位ベクトルになるように制御してもよい。この場合、より複雑でダイナミックな回転を実現することができるために、遊技者をより魅了することができる。
【0113】
〔変形例〕
(円ローラおよび待避機構)
実施形態1および2では、第2駆動部32に異径ローラ34を用いるように記載したが、これに限定されない。つまり、第2駆動部32のローラも半径が一定の円形状の円ローラであってもよい。この場合、常に球体リール20とローラが摩擦接触することになるため、球体リール20の制御が容易になる。
【0114】
また、この際、第2駆動部32におけるローラと球体リール20との接触を解除する必要がある際に、ローラを球体リール20から離間させる待避機構を第2駆動部32が備えてもよい。待避機構としては例えば、モータ、ソレノイドなどが挙げられる。
【0115】
(差動機構)
実施形態1および2では、球体駆動装置30は、第1駆動部31が縦方向の回転を、第2駆動部32が横方向の回転を担当し、球体リール20を回転させているがこれに限定されない。
【0116】
図20は、球体駆動装置30の機構の一例として差動機構を採用した例である。球体駆動装置30が差動機構を採用することによって、第1駆動部31と第2駆動部32は鉛直方向および水平方向に対して角度を有した異なる平面を回転するローラを備える。当該ローラは、異径ローラであっても、円ローラであってもよい。つまり、第1駆動部31は第1軸を回転中心に回転し、第2駆動部32は第1軸と異なる第2軸を回転中心に回転する。
【0117】
差動機構を採用するため、第1駆動部31と第2駆動部32とを同一方向に回転させることで、縦方向の回転を実現する(図20の符号71)。第1駆動部31と第2駆動部32とを逆方向に回転させることで、横方向の回転を実現する(図20の符号72)。また、第1駆動部31および第2駆動部32の一方のみを回転させ、他方を停止させることによって、斜め方向の回転を実現する(図20の符号73)。
【0118】
また、第1駆動部31および第2駆動部32のローラを異なる速度で制御することによって、球体リール20の回転角度を任意に変える(回転中心軸を変える)ことができる。
【0119】
(3個の駆動部)
実施形態1および2では、球体駆動装置30は第1駆動部31と第2駆動部32とを備えたが、これに限定されない。
【0120】
図21は、球体駆動装置30の機構の別の例である。球体駆動装置30は、第1駆動部31と第2駆動部32とに加えて、第3駆動部36をさらに備えてもよい。第1駆動部31、第2駆動部32、および第3駆動部36は、球体リール20に対して互いに120°おきに配置されてもよい。
【0121】
この場合、自由度が2自由度から3自由度に増加するため、同一の図柄を遊技者に見せたまま回転させる運動をすることができるようになる。そのため、球体リール20の動きの自由度が向上し、遊技者を魅了することができる。
【0122】
(電飾)
実施形態1および2では、球体リール20の回転のみに関して説明したが、他の方法で遊技者を魅了してもよい。例えば、球体リールの各図柄の位置にLED(Light Emitting Diode)を配置しておき、球体リール20の回転に合わせてLEDの点灯を制御してもよい。
【0123】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 遊技機
2 第1表示部
3 第2表示部
4 操作部
5 遊技機制御部
10 図柄変動表示装置
20 球体リール
21 ケーシング
22 蓋
23 検出部
24 出力部
25 電源部(受電部)
30 球体駆動装置
31 第1駆動部
32 第2駆動部
33 円ローラ(第1ローラ)
34 異径ローラ(第2ローラ)
35 ホームポジションセンサ(離間検出部)
36 第3駆動部
40 本体部
41 カバー部
42 ベース部
43 ガイド部材
44 ブラケット
50 リール制御部(制御部)
51 入力部
52 停止制御部
53 送電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21