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特開2024-56482鉄筋部位検出方法及び鉄筋部位検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056482
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】鉄筋部位検出方法及び鉄筋部位検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240416BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240416BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G06T7/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163381
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000223056
【氏名又は名称】東陽建設工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮原 章
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065BB12
2F065CC14
2F065FF04
2F065FF09
2F065GG02
2F065GG03
2F065GG04
2F065GG07
2F065HH05
2F065HH12
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065MM04
5L096CA04
5L096CA17
5L096FA70
(57)【要約】
【課題】鉄筋の特定部位の位置を検出可能とする鉄筋部位検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】リブ2vとフシ2fとを有する鉄筋2のリブ2vを検出する鉄筋部位検出方法は、鉄筋2の長手方向に沿った線状光30を鉄筋2に照射した状態で、線状光30の画像を含む鉄筋2の撮影画像を取得する処理(ステップS2、S3)を、線状光30の照射位置を鉄筋2の周方向に相対移動させながら複数回行う第1工程と、第1工程で取得した複数個の撮影画像に基づいて、リブ2vの位置を検出する第2工程と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に、長手方向に沿って形成された平坦面と、周方向に沿って突設され且つ前記長手方向に配設された複数のフシとを有する鉄筋の前記平坦面を検出する鉄筋部位検出方法であって、
前記鉄筋の長手方向に沿った直線状の光を前記鉄筋に照射した状態で、当該直線状の光の画像を含む前記鉄筋の撮影画像を取得する処理を、前記直線状の光の照射位置を前記鉄筋の周方向に相対移動させながら複数回行う第1工程と、
前記第1工程で取得した複数個の撮影画像に基づいて、前記平坦面の位置を検出する第2工程と、を備える鉄筋部位検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄筋部位検出方法であって、
前記第2工程では、前記複数個の撮影画像のそれぞれに含まれる前記画像の形状に基づいて、前記平坦面の位置を検出する鉄筋部位検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の鉄筋部位検出方法であって、
前記第2工程では、直線状の前記画像を含む前記撮影画像が撮影されたときの前記鉄筋における前記直線状の光の照射位置を、前記平坦面の位置として検出する鉄筋部位検出方法。
【請求項4】
請求項2に記載の鉄筋部位検出方法であって、
前記第2工程では、直線状の前記画像を含む前記撮影画像を連続して複数取得した場合に、当該複数の撮影画像を取得したときの前記直線状の光の照射位置を、前記平坦面の位置として検出する鉄筋部位検出方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の鉄筋部位検出方法であって、
前記直線状の光を前記鉄筋に照射可能な位置に光源装置を配置し、前記鉄筋に照射された前記直線状の光を撮影可能な位置に撮影装置を配置する第3工程を備え、
前記第1工程では、前記光源装置と前記撮影装置に対して、前記鉄筋をその軸心周りに回転させながら、前記処理を複数回行う鉄筋部位検出方法。
【請求項6】
外周面に、長手方向に沿って形成された平坦面と、周方向に沿って突設され且つ前記長手方向に配設された複数のフシとを有する鉄筋の前記平坦面を検出する鉄筋部位検出装置であって、
前記鉄筋の長手方向に沿った直線状の光を前記鉄筋に照射する光源装置と、
前記鉄筋に照射された前記直線状の光を撮影する撮影装置と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記光源装置から前記直線状の光を前記鉄筋に照射させた状態で、当該直線状の光の画像を含む前記鉄筋の撮影画像を前記撮影装置から取得する処理を、前記直線状の光の照射位置を前記鉄筋の周方向に相対移動させながら複数回行い、前記処理により取得した複数個の前記撮影画像に基づいて、前記平坦面の位置を検出する鉄筋部位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋部位検出方法及び鉄筋部位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、縦軸に沿って延びるリブと周方向に沿って延びるリブとを含む細長金属要素の供給中に、細長金属要素の断面の配向を画像処理によって続けて監視することで、細長金属要素の安定配向を識別及び記憶し、安定配向に従って細長金属要素を配向するように、細長金属要素を締める及び回転させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-503459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長手方向に延びて外周面に突設されたリブを持つ鉄筋を曲げ加工する際には、曲げ加工を開始するときのリブの位置(向き)によって、鉄筋の曲げ状態(曲げ量や曲げ方向)にばらつきが生じ得る。鉄筋を3次元構造に曲げ加工する際には、このようなばらつきの発生が顕著となり得る。したがって、鉄筋のリブの位置を適切に制御した状態で、鉄筋曲機で曲げ加工を開始することが、鉄筋に対して適切な曲げ加工を行う上で重要となる。なお、このような課題は、凸状のリブを持つ鉄筋だけでなく、外周面に長手方向に沿って延びる平坦面を持つ、ネジ鉄筋のような鉄筋においても同様に生じる。
【0005】
鉄筋のリブや平坦面の位置を適切に制御するためには、鉄筋のリブや平坦面がその鉄筋の周方向のどの位置にあるのかを検出する必要がある。特許文献1では、細長金属要素の断面の配向を検出して、細長金属要素の自発的回転を抑制しているが、リブや平坦面の位置を検出することは想定されていない。
【0006】
本発明の目的は、鉄筋の特定部位の位置を検出可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術は以下の通りである。
【0008】
[1]
外周面に、長手方向に沿って形成された平坦面と、周方向に沿って突設され且つ上記長手方向に配設された複数のフシとを有する鉄筋の上記平坦面を検出する鉄筋部位検出方法であって、
上記鉄筋の長手方向に沿った直線状の光を上記鉄筋に照射した状態で、その直線状の光の画像を含む上記鉄筋の撮影画像を取得する処理を、上記直線状の光の照射位置を上記鉄筋の周方向に相対移動させながら複数回行う第1工程と、
上記第1工程で取得した複数個の撮影画像に基づいて、上記平坦面の位置を検出する第2工程と、を備える鉄筋部位検出方法。
【0009】
[2]
[1]に記載の鉄筋部位検出方法であって、
上記第2工程では、上記複数個の撮影画像のそれぞれに含まれる上記画像の形状に基づいて、上記平坦面の位置を検出する鉄筋部位検出方法。
【0010】
[3]
[2]に記載の鉄筋部位検出方法であって、
上記第2工程では、直線状の上記画像を含む上記撮影画像が撮影されたときの上記鉄筋における上記直線状の光の照射位置を、上記平坦面の位置として検出する鉄筋部位検出方法。
【0011】
[4]
[2]に記載の鉄筋部位検出方法であって、
上記第2工程では、直線状の上記画像を含む上記撮影画像を連続して複数取得した場合に、その複数の撮影画像を取得したときの上記直線状の光の照射位置を、上記平坦面の位置として検出する鉄筋部位検出方法。
【0012】
[5]
[3]に記載の鉄筋部位検出方法であって、
上記第1工程では、非直線状の上記画像を含む上記撮影画像が撮影されるように、上記鉄筋に対して上記直線状の光を照射した状態を初期状態として、上記複数回の上記処理を開始する、鉄筋部位検出方法。
【0013】
[6]
[5]に記載の鉄筋部位検出方法であって、
上記第2工程では、直線状の上記画像を含む上記撮影画像を取得したときの上記鉄筋に対する上記直線状の光の照射位置と、当該撮影画像を取得した後に非直線状の上記画像を含む上記撮影画像を取得したときの上記鉄筋に対する上記直線状の光の照射位置との間の位置を、上記平坦面の位置として検出する、鉄筋部位検出方法。
【0014】
[7]
[1]から[6]のいずれかに記載の鉄筋部位検出方法であって、
上記直線状の光を上記鉄筋に照射可能な位置に光源装置を配置し、上記鉄筋に照射された上記直線状の光を撮影可能な位置に撮影装置を配置する第3工程を備え、
上記第1工程では、上記光源装置と上記撮影装置に対して、上記鉄筋をその軸心周りに回転させながら、上記処理を複数回行う鉄筋部位検出方法。
【0015】
[8]
外周面に、長手方向に沿って形成された平坦面と、周方向に沿って突設され且つ上記長手方向に配設された複数のフシとを有する鉄筋の上記平坦面を検出する鉄筋部位検出装置であって、
上記鉄筋の長手方向に沿った直線状の光を上記鉄筋に照射する光源装置と、
上記鉄筋に照射された上記直線状の光を撮影する撮影装置と、
プロセッサと、を備え、
上記プロセッサは、上記光源装置から上記直線状の光を上記鉄筋に照射させた状態で、当該直線状の光の画像を含む上記鉄筋の撮影画像を上記撮影装置から取得する処理を、上記直線状の光の照射位置を上記鉄筋の周方向に相対移動させながら複数回行い、上記処理により取得した複数個の上記撮影画像に基づいて、上記平坦面の位置を検出する鉄筋部位検出装置。
【発明の効果】
【0016】
[1]及び[8]によれば、直線状の光が鉄筋の周方向の複数の位置に照射された状態で、撮影装置により撮影が行われるため、第1工程で得られる複数個の撮影画像には、フシと平坦面のうちの平坦面のみに直線状の光が照射されている第1状態で撮影して得られた第1撮影画像と、フシと平坦面のうちの少なくともフシに直線状の光が照射されている第2状態で撮影して得られた第2撮影画像とを含めることができる。第1状態と第2状態では、鉄筋に照射された直線状の光を撮影して得られる画像の形状が異なる。このため、例えば、第1工程で得られる撮影画像に含まれる直線状の光の画像の形状を解析することで、フシと平坦面のうち平坦面のみに直線状の光が照射されたときの撮影画像を特定でき、その特定した撮影画像を取得したときの直線状の光の照射位置を、鉄筋における平坦面の位置として検出することができる。
【0017】
[2]によれば、第1工程で得られる撮影画像に含まれる画像の形状を解析することで、フシと平坦面のうち平坦面のみに直線状の光が照射されたときの撮影画像を特定でき、その特定した撮影画像を取得したときの直線状の光の照射位置を、平坦面の位置として検出することができる。
【0018】
[3]によれば、直線状の画像を含む撮影画像が撮影されたときの直線状の光の照射位置を平坦面の位置として検出することができる。
【0019】
[4]によれば、平坦面の位置を高精度に検出することができる。
【0020】
[5]によれば、平坦面の位置を高精度に検出することができる。
【0021】
[6]によれば、平坦面の位置を高精度に検出することができる。
【0022】
[7]によれば、方法を実行するための設備を簡易なものとすることができる。また、例えば、フシと平坦面のうちの平坦面のみに光源装置から直線状の光が照射されるときの鉄筋の回転位置を、鉄筋の曲げ加工に最も適した位置とすると、鉄筋を回転させていく過程で得られる撮影画像に直線状の画像が含まれることが判明した時点で、鉄筋の回転を止めることで、鉄筋を、鉄筋の曲げ加工に最も適した位置とすることができる。つまり、平坦面の位置検出と鉄筋の回転位置制御とを同時に行うことができ、曲げ加工の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】鉄筋加工設備100の概略構成を模式的に示す図である。
図2】鉄筋加工設備100にて加工対象としている鉄筋2の一例を示す斜視図である。
図3図1の状態から鉄筋2が90°回転した状態を示す図である。
図4】線状光30が照射された状態の鉄筋2を撮影装置4により撮影して得られる撮影画像の一例を模式的に示す図である。
図5】鉄筋加工設備100を用いた鉄筋部位検出方法を説明するためのフローチャートである。
図6】鉄筋加工設備100を用いた鉄筋部位検出方法の別の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一態様を実現可能な鉄筋加工設備について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、鉄筋加工設備100の概略構成を模式的に示す図である。鉄筋加工設備100は、曲げ加工の対象となる鉄筋2を保持する保持部1と、光源装置3と、撮影装置4と、制御装置(図示しない)と、を備える。鉄筋加工設備100には、図示は省略しているが、鉄筋2に対して曲げ加工を行う鉄筋曲機等も含まれる。
【0026】
図2は、鉄筋加工設備100にて加工対象としている鉄筋2の一例を示す斜視図である。鉄筋加工設備100にて加工対象としている鉄筋2は、一例として、リブとフシを有するものである。より詳細には、鉄筋2は、外周面においてその長手方向に沿って延びて設けられた直線状の凸部で構成されたリブと、外周面においてその周方向に沿って延びて設けられた湾曲状の凸部で構成され且つ長手方向に間隔を空けて多数並べて配置されたフシとを含む鉄筋である。鉄筋2は、一例として、異形鉄筋(日本工業規格においては、JIS G 3112:2010の異形棒鋼、及び、JIS G 3117:2017の異形棒鋼として規格されている)である。
【0027】
図2に示す例では、鉄筋2の外周面2sには、鉄筋2の長手方向(軸心2cの延びる方向)に沿って延びた一対のリブ2vが突設されている。リブ2vの頂部は、平坦面となっている。一対のリブ2vは、鉄筋2の軸心2cを挟んで対向する位置に設けられている。また、鉄筋2の外周面2sには、一対のリブ2vの間を繋ぐように鉄筋2の周方向に沿って突設されたフシ2fが、鉄筋2の長手方向に間隔を空けて多数並べて設けられている。
【0028】
図1の例では、鉄筋2は、その長手方向が鉛直方向Zに垂直となる状態で、保持部1によって保持される。図1には、鉛直方向Zのうち、重力のかかる方向を方向Z1と記載し、方向Z1の反対方向を方向Z2と記載している。また、鉄筋2の長手方向及び鉛直方向Zに垂直な方向を方向Xと記載している。
【0029】
図1では、一対のリブ2vの突出方向と方向Xとが一致する状態で、鉄筋2が保持部1により保持されているが、保持部1に保持された状態の鉄筋2の回転姿勢は、図1の例に限らず、様々な形態を取り得る。例えば、図3に例示したように、一対のリブ2vの突出方向と方向Zとが一致する状態で、鉄筋2が保持部1により保持されることも有り得るし、一対のリブ2vの突出方向と方向Z及び方向Xとが交差する状態で、鉄筋2が保持部1により保持されることも有り得る。
【0030】
これに限定されるものではないが、一例として、鉄筋加工設備100では、保持部1に保持された鉄筋2におけるリブ2vの方向Xの位置が軸心2cの方向Xの位置と略一致(リブ2vの向きが鉛直方向Zと略一致)する図3に示す状態で、鉄筋2の曲げ加工を開始することで、その加工精度を十分に確保できるようになっている。
【0031】
保持部1は、鉄筋2の長手方向の両端を把持する把持部(図示省略)と、図示省略のアクチュエータ(モータ又はソレノイド等)と、を有している。このアクチュエータの駆動力によって、上記把持部は、軸心2cを中心にして回転する。把持部が回転することで、保持部1に保持されている鉄筋2は、軸心2cを中心にして、例えば図1中の回転方向R(図1において反時計回りの方向)に回転するように構成されている。
【0032】
光源装置3は、保持部1により保持されている鉄筋2に対して、図2に示すように、鉄筋2の長手方向に沿った直線状の光(以下、線状光30と記載)を照射する。光源装置3は、鉄筋2の長手方向における少なくとも一部の領域に線状光30を照射する。線状光30を発生させる光源としては、レーザ光源、LED(Light-Emitting Diode)光源、ハロゲンランプ、蛍光灯、又は白熱灯等を用いることができる。
【0033】
鉄筋2の長手方向に見た状態(図1図3参照)において、光源装置3は、その光軸3Aが鉄筋2の軸心2cと交差するように配置されていることが好ましい。図1の例では、光源装置3の光軸3Aは鉛直線と平行になっている。光源装置3は、光軸3Aが軸心2cよりも方向Xの一方側又は他方側に僅かにずれた位置にくるように配置されていてもよい。
【0034】
撮影装置4は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を含み、鉄筋2に照射された線状光30を撮像素子が撮影可能な位置に配置されている。
【0035】
図1の例では、撮影装置4の光軸4Aは、鉄筋2の軸心2cと交差しており、光軸4Aと光軸3Aとのなす角度θは45°程度となっている。角度θは、鉄筋2に照射された線状光30を撮影装置4が撮影できるように、任意の値が設定される。光源装置3がレーザ光線によって線状光30を照射するものである場合には、角度θは、例えば30°~45°の範囲とすることが好ましい。
【0036】
制御装置は、CPU等のプロセッサと、メモリとを備えており、例えばパーソナルコンピュータで構成される。制御装置は、保持部1のアクチュエータ、光源装置3、及び撮影装置4を制御可能に、これらに接続されている。なお、制御装置と撮影装置4は同一の筐体内に設けられていてもよい。制御装置のプロセッサと、光源装置3と、撮影装置4と、によって、鉄筋部位検出装置が構成される。
【0037】
制御装置のプロセッサは、保持部1のアクチュエータを制御することで、鉄筋2を軸心2cの周りに回転させて、鉄筋2に対する線状光30の照射位置を変更し、各照射位置に線状光30が照射された状態の鉄筋2を撮影装置4により撮影させる。制御装置のプロセッサは、この各撮影で得られる撮影画像を撮影装置4から取得し、取得した撮影画像に基づいて、鉄筋2におけるリブ2vの位置を検出する。
【0038】
本形態では、制御装置のプロセッサが、撮影装置4から取得した撮影画像のうち、輝度が閾値以上となる画素値を“1”とし、輝度が閾値未満となる画素値を“0”として取り扱う二値化処理を行うことで、その撮影画像に含まれる線状光30の画像(以下、光画像と記載)を抽出するようにしている。
【0039】
図4は、線状光30が照射された状態の鉄筋2を撮影装置4により撮影して得られる撮影画像の一例を模式的に示す図である。図4に示す撮影画像41は、図1に示すように、鉄筋2におけるリブ2vの頂面以外の部分に線状光30が照射された状態で得られる撮影画像の二値化処理後のものを示している。図4に示す撮影画像42は、図3に示すように、鉄筋2のリブ2vの頂面に線状光30が照射された状態で得られる撮影画像の二値化処理後のものを示している。
【0040】
図1に示す状態では、図2に示したように、線状光30が、隣り合うフシ2f同士の間の外周面2sと、フシ2fと、に照射される。このため、撮影画像41は、外周面2sとフシ2fとの段差形状を反映した蛇行形状(非直線状)の光画像31を含むものとなる。一方、図3に示す状態では、線状光30が、リブ2vにおける凹凸のほとんど存在しない頂部に照射される。このため、撮影画像42は、略直線状の光画像32を含むものとなる。したがって、撮影画像に含まれる光画像の形状を解析することで、リブ2vの位置(向き)を検出できる。
【0041】
例えば、制御装置のプロセッサは、光画像32を含む撮影画像42を取得した場合には、鉄筋2における線状光30が照射されている位置をリブ2vの位置として検出し、リブ2vが曲げ加工に適した位置にある(リブ2vの向きが鉛直方向Zである)と判定する。制御装置のプロセッサは、光画像31を含む撮影画像41を取得した場合には、リブ2vが曲げ加工に適した位置にない(リブ2vの向きが鉛直方向Zでない)と判定する。
【0042】
或いは、制御装置のプロセッサは、光画像32を含む撮影画像42を取得した時点で、その撮影画像42の撮影時の鉄筋2の回転角α(保持部1に鉄筋2が最初に保持された初期状態を基準としたときの回転角)を取得し、その回転角αに180°を加算した回転角βを導出することで、初期状態の鉄筋2において、回転方向Rに回転角α離れた位置と、回転方向Rに回転角β離れた位置とに、リブ2vがあることを検出する。
【0043】
光画像が直線状であるか否かを判定する方法は、特に限定されるものではない。例えば、制御装置のプロセッサは、光画像をグラフとして取り扱い、そのグラフにおける極大点と極小点を導出し、隣り合う極大点と極小点の距離が閾値以上となっている場合には、その光画像は非直線状であると判定し、隣り合う極大点と極小点の距離が閾値未満となっている、或いは、極大点と極小点が検出不能の場合には、その光画像は直線状であると判定する。
【0044】
或いは、制御装置のプロセッサは、例えば、事前に、鉄筋2を図3に示す回転姿勢に保持した状態で、鉄筋2に照射された線状光30の光画像を取得して基準画像として登録しておく。そして、制御装置のプロセッサは、図4に示すような光画像31や光画像32を取得すると、取得した光画像と基準画像とをパターンマッチング等によって比較し、取得した光画像と基準画像との一致度が閾値以上であった場合に、光画像が略直線状であると判定してもよい。
【0045】
図5は、鉄筋加工設備100を用いた鉄筋部位検出方法を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS0において、保持部1に鉄筋2が保持される。鉄筋2は、作業者によって配置されてもよいし、ロボットアームによって配置されてもよい。このステップS0における鉄筋2の姿勢を初期姿勢と記載する。ステップS0とステップS1の間で、制御装置のプロセッサは、光源装置3から線状光を照射させて撮影装置4から撮影画像を取得し、その撮影画像に非直線状の光画像が含まれていると判定した場合には、そのときの鉄筋2の姿勢を初期姿勢として取り扱う。一方、制御装置のプロセッサは、その撮影画像に直線状の光画像が含まれていると判定した場合には、撮影画像に非直線状の光画像が含まれるまで、鉄筋2を回転させ、非直線状の光画像を含む撮影画像が取得できた時点で鉄筋2の回転を停止させ、そのときの鉄筋2の姿勢を初期姿勢として取り扱う。
【0046】
初期姿勢の決定後、制御装置のプロセッサは、光源装置3を制御して鉄筋2に線状光30を照射させ(ステップS1)、その状態で、撮影装置4に撮影を実行させ(ステップS2)、その撮影で得られた撮影画像を取得し(ステップS3)、取得した撮影画像に含まれる光画像の形状を判定する(ステップS4)。本明細書において、ステップS2及びステップS3は、「線状光30を鉄筋2に照射した状態で、当該線状光30の画像を含む鉄筋2の撮影画像を取得する処理」を構成する。
【0047】
ステップS4の後、制御装置のプロセッサは、光画像の形状が直線状ではないと判定した場合(ステップS5:NO)には、内蔵するカウンタのカウント値を初期値(例えば0)にリセットする(ステップS6)。続いて、制御装置のプロセッサは、保持部1のアクチュエータを制御して、鉄筋2を所定角度、回転方向Rに回転させ(ステップS7)、その後、ステップS2に処理を戻す。
【0048】
制御装置のプロセッサは、光画像の形状が直線状であると判定した場合(ステップS5:YES)には、上記カウント値を1つ増やすカウントアップ処理を行う(ステップS8)。なお、図5に示す処理の開始時においては、上記カウント値は初期値にリセットされている。
【0049】
ステップS8の後、制御装置のプロセッサは、カウント値が所定値(初期値よりも2以上大きい値)に到達したかを判定する(ステップS9)。制御装置のプロセッサは、カウント値が所定値に到達していない場合(ステップS9:NO)には、ステップS7に処理を移行する。制御装置のプロセッサは、カウント値が所定値に到達した場合(ステップS9:YES)には、鉄筋2のリブ2vが加工に適した位置にある(つまり、リブ2vの向きが鉛直方向Zである)ことを検出する(ステップS10)。
【0050】
ステップS10の後、制御装置のプロセッサは、鉄筋2の姿勢を保持し(ステップS11)、例えば、鉄筋2の曲げ加工が開始可能であることを通知して処理を終了する。この状態で、鉄筋曲げ機により、鉄筋2の曲げ加工が開始されることで、鉄筋2の曲げ加工が高精度に行われることになる。
【0051】
図6は、鉄筋加工設備100を用いた鉄筋部位検出方法の別の例を説明するためのフローチャートである。図6において、図5と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。図6に示すフローチャートは、ステップS10がステップS10aに変更され、ステップS11がステップS11aに変更された点を除いては、図5に示すフローチャートと同じである。
【0052】
図6に示すフローチャートにおいて、ステップS9の判定がYESとなった場合、制御装置のプロセッサは、初期姿勢からの鉄筋2の回転角度θrを取得する(ステップS10a)。そして、制御装置のプロセッサは、取得した回転角度θrと、回転角度θrに180°を加えた値とを、それぞれ、初期姿勢の鉄筋2におけるリブ2vの位置として検出する(ステップS11a)。
【0053】
この動作では、例えば、ステップS11aの後に鉄筋2を初期姿勢に戻し、検出したリブ2vの位置に基づいて、曲げ加工に適した位置にリブ2vが到達するように、鉄筋2を回転させる。その状態で、鉄筋曲げ機により、鉄筋2の曲げ加工が開始されることで、鉄筋2の曲げ加工が高精度に行われることになる。
【0054】
なお、制御装置のプロセッサは、ステップS1の処理を開始してから、光画像の形状が直線状となった時点で、初期姿勢からの鉄筋2の回転角(検出開始回転角)を取得し、その後に、光画像の形状が非直線状となった時点で、初期姿勢からの鉄筋2の回転角(検出終了回転角)を取得し、検出開始回転角と検出終了回転角の中間値を、初期姿勢の鉄筋2におけるリブ2vの位置として検出してもよい。例えば、初期姿勢の鉄筋2を30°回転させた時点で光画像の形状が直線状となり、その後、光画像の形状が直線状となる状態が続いて、鉄筋2が初期姿勢から34°回転された時点で、光画像の形状が非直線状となった場合には、30°と34°の中間値である32°を、リブ2vの位置として検出する。
【0055】
以上のように、鉄筋加工設備100によれば、鉄筋2に照射された線状光30の撮影画像である光画像の形状を解析することで、鉄筋2のリブ2vの位置を検出できる。このため、リブ2vを適切な位置に制御した状態で、鉄筋2の曲げ加工を開始することができ、鉄筋2の曲げ加工を高精度に行うことができる。なお、光画像の形状の解析は、その処理内容が単純である。このため、図5及び図6に示した動作におけるステップS2からステップS7の処理を繰り返す場合でも、その処理を高速に行うことができ、多数の鉄筋2の曲げ加工を行う場合でも、その加工効率を高めることができる。
【0056】
また、本形態では、撮影装置4から取得される撮影画像に対して二値化処理を行って、その撮影画像から線状光30の光画像のみを抽出するため、処理内容を簡易なものとすることができ、鉄筋加工設備100の構築コストを下げることができる。
【0057】
また、本形態では、直線状の光画像を含む撮影画像が連続して複数回取得された場合(ステップS9の判定がYESとなる場合)に、これら各撮影画像が撮影されたときの鉄筋2における線状光30の照射位置が、鉄筋2のリブ2vの位置として検出される。直線状の光画像を含む撮影画像が1回でも取得された場合に、その撮影画像が撮影された時の線状光30の照射位置をリブ2vの位置として検出してもよいが、本形態のようにすることで、リブ2vの位置の検出精度を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明の範疇において適宜変更することができる。
【0059】
例えば、以上の説明では、光源装置3及び撮影装置4の位置は固定とし、鉄筋2を軸心2cの周りに回転させることで、鉄筋2への線状光30の照射位置を変更するものとした。この変形例として、鉄筋2を回転させるのではなく、光源装置3及び撮影装置4を軸心2cの周りに回転させることで、鉄筋2への線状光30の照射位置を変更するようにしてもよい。
【0060】
また、鉄筋加工設備100が加工対象としている鉄筋2は、リブとフシを有するものとしたが、ネジ鉄筋のように、長手方向に延びる平坦面を外周面に有し、且つ、周方向に延びる湾曲状の凸部からなるフシを外周面に多数有する鉄筋であっても、同様に、平坦面の位置を容易に検出することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 保持部
2 鉄筋
2f フシ
2v リブ
2s 外周面
2c 軸心
3 光源装置
3A 光軸
4 撮影装置
4A 光軸
30 線状光
θ 角度
R 回転方向
100 鉄筋加工設備
31、32 光画像
41、42 撮影画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6