(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056486
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】移動体の電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240416BHJP
B60L 53/20 20190101ALI20240416BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20240416BHJP
B60L 58/40 20190101ALI20240416BHJP
【FI】
H02J7/00 303E
H02J7/00 P
B60L53/20
B60L55/00
B60L58/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163385
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】北本 良太
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA05
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125AC23
5H125BB00
5H125BC21
5H125BC24
5H125BD01
5H125BE02
5H125CD04
5H125DD02
5H125FF16
(57)【要約】
【課題】発電部と蓄電部の間に設けられるコンバータを有効に利用して、充電設備の電圧状態に応じた効率的な充電を可能とする、移動体の蓄電システムを提供する。
【解決手段】移動体Vの電源システム1は、発電部50と、バッテリBATと、発電部50とバッテリBATの間に設けられるコンバータCONと、外部電源100と電気的に接続可能な外部接続端子60と、外部接続端子60とバッテリBAT及びコンバータCONのバッテリ側コンバータ端子Tbatの接続状態と遮断状態とを切り替える第1切替部31と、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60の接続状態と遮断状態とを切り替える第2切替部32と、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50の接続状態と遮断状態とを切り替える第3切替部33と、第1切替部31~第3切替部33を制御する制御装置80と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部と、
蓄電部と、
前記発電部と前記蓄電部の間に設けられ、蓄電部側コンバータ端子及び発電部側コンバータ端子を有するコンバータと、
外部装置と電気的に接続可能な外部接続端子と、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第1切替部と、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第2切替部と、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部の接続状態と遮断状態とを切り替える第3切替部と、
前記第1切替部、前記第2切替部、及び前記第3切替部を制御する制御装置と、を備える、移動体の電源システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体の電源システムであって、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが接続状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが遮断状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第1状態において、前記蓄電部の充電を行う、
又は
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第2状態において、前記外部装置から前記蓄電部の充電を行う、移動体の電源システム。
【請求項3】
請求項1に記載の移動体の電源システムであって、
前記コンバータは、双方向コンバータであり、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが接続状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが遮断状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第1状態において、前記蓄電部から前記外部装置へ給電を行う、
又は
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第2状態において、前記蓄電部から前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【請求項4】
請求項1に記載の移動体の電源システムであって、
前記コンバータは、双方向コンバータであり、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが接続状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが遮断状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが接続状態となるよう前記第3切替部を制御した、第3状態において、前記発電部から前記コンバータを介して前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体の電源システムであって、
前記蓄電部と前記第1切替部及び前記蓄電部側コンバータ端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第4切替部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第3状態において、さらに、前記蓄電部と前記第1切替部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるように前記第4切替部を制御した状態で、前記発電部から前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【請求項6】
請求項1に記載の移動体の電源システムであって、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが接続状態となるよう前記第3切替部を制御した、第4状態において、前記発電部及び前記蓄電部から前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【請求項7】
請求項1に記載の移動体の電源システムであって、
前記蓄電部に対し前記コンバータと並列に設けられ、蓄電部側コンバータ端子及び発電部側コンバータ端子を有する第2コンバータをさらに備え、
前記第2コンバータの前記発電部側コンバータ端子は、前記発電部と前記第3切替部の間に接続される、移動体の電源システム。
【請求項8】
請求項7に記載の移動体の電源システムであって、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第2状態において、前記発電部から前記第2コンバータを介して伝送される電力と前記蓄電部からの電力とを足し合わせて前記コンバータを介して前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の移動体の電源システムであって、
前記移動体は、電気自動車である、移動体の電源システム。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の移動体の電源システムであって、
前記発電部は、燃料電池であり、
前記移動体は、燃料電池車である、移動体の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関し、充電スタンド等の充電設備には400V級対応及び800V級対応の2種類が存在する。モビリティが400V級対応の充電設備にしか対応していない場合、800V級対応の充電設備では、800V級対応の充電設備の急速充電性能を享受することができない。
【0004】
そこで、特許文献1には、充電用の電圧変換器を設けることで、400V級対応及び800V級対応のいずれの充電設備であっても充電が可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0032789号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、充電用の電圧変換器は一般的に大型で重量も重く、高価であるという課題があった。特に、燃料電池のような発電部を備えるシステムでは、発電部と二次電池との間に電圧変換器が設けられているため、充電設備からの充電時においてもこの電圧変換器を有効に利用できることが望まれる。
【0007】
本発明は、発電部と蓄電部の間に設けられるコンバータを有効に利用して、充電設備の電圧状態に応じた効率的な充電を可能とする、移動体の蓄電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動体の電源システムは、
発電部と、
蓄電部と、
前記発電部と前記蓄電部の間に設けられ、蓄電部側コンバータ端子及び発電部側コンバータ端子を有するコンバータと、
外部装置と電気的に接続可能な外部接続端子と、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第1切替部と、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第2切替部と、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部の接続状態と遮断状態とを切り替える第3切替部と、
前記第1切替部、前記第2切替部、及び前記第3切替部を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発電部と蓄電部の間に設けられるコンバータを有効に利用して、充電設備の電圧状態に応じて効率よく充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の電源システム1が搭載された移動体Vの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態の電源システム1の外部電源100(第1電圧)によるバッテリBATの充電状態(第1外部充電)を示す図である。
【
図3】第1実施形態の電源システム1の外部電源100(第2電圧)によるバッテリBATの充電状態(第2外部充電)を示す図である。
【
図4】第1実施形態の電源システム1のバッテリBATから外部電気機器200(第1電圧)への給電状態(第1外部給電)を示す図である。
【
図5】第1実施形態の電源システム1のバッテリBATから外部電気機器200への給電状態(第2外部給電)を示す図である。
【
図6】第1実施形態の電源システム1の発電部50から外部電気機器200への給電状態(第3外部給電)を示す図である。
【
図7】第1実施形態の電源システム1のバッテリBAT及び発電部50から外部電気機器200(第1電圧)への給電状態(第4外部給電)を示す図である。
【
図8】第1実施形態の電源システム1のバッテリBAT及び発電部50から外部電気機器200への給電状態(第5外部給電)を示す図である。
【
図9】第2実施形態の電源システム1が搭載された移動体Vの構成を示す図である。
【
図10】第2実施形態の電源システム1のバッテリBAT及び発電部50から外部電気機器200への給電状態(第6外部給電)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示す第1実施形態の電源システム1は、電気自動車、燃料電池車などの移動体Vに搭載される。移動体Vは、電源システム1の他に、モータMOTと、インバータINVと、を備える。モータMOTは、電源システム1からインバータINVを介して供給される電力で回転駆動する三相モータである。インバータINVは、複数のスイッチング素子の切り替えにより、電源システム1から供給される直流電力を三相交流電力に変換してモータMOTを回転駆動させる。
【0013】
図1に示すように、電源システム1は、基本構成として、第1電圧(例えば、800V)による充放電が可能なバッテリBATと、直流電力を発電する発電部50(図中、FC)と、発電部50が発電した所定電圧(例えば、200V~300V)の直流電力を第1電圧に昇圧するコンバータCONと、外部電源100、外部電気機器200等の外部装置を接続可能な外部接続端子60と、を備える。
【0014】
また、電源システム1は、第1切替機構71と、第2切替機構72と、第3切替機構73と、制御装置80と、を備える。このような電源システム1によれば、後述する制御装置80による第1切替機構71、第2切替機構72及び第3切替機構73の切替制御に基づいて、発電部50の発電電力でバッテリBATを充電したりモータMを駆動したりすることができることに加えて、第1電圧の外部電源100でバッテリBATを充電する第1外部充電(
図2参照)と、第2電圧(例えば、400V)の外部電源100でバッテリBATを充電する第2外部充電(
図3参照)と、バッテリBATから外部電気機器200へ第1電圧を給電する第1外部給電(
図4参照)と、バッテリBATから外部電気機器200へ所定電圧を給電する第2外部給電(
図5参照)と、発電部50から外部電気機器200へ所定電圧を給電する第3外部給電(
図6参照)と、バッテリBAT及び発電部50から外部電気機器200へ第1電圧を給電する第4外部給電(
図7参照)と、バッテリBAT及び発電部50から外部電気機器200へ所定電圧を給電する第5外部給電(
図8参照)と、が実現される。以下、電源システム1の各部の構成を具体的に説明する。
【0015】
バッテリBATは、リチウムイオン電池、全固体電池などからなる多数のセルを直列に接続し、第1電圧による充放電を実現する。
【0016】
発電部50は、例えば、燃料電池であり、所定電圧の直流電力を発電する。
【0017】
コンバータCONは、発電部50とバッテリBATとの間に設けられ、発電部50が発電した所定電圧の直流電力を第1電圧に昇圧したり第1電圧とは異なる所定電圧に昇圧又は降圧するDC-DCコンバータである。所定電圧は変動値である。コンバータCONは、バッテリ側コンバータ端子Tbat及び発電部側コンバータ端子Tfcを備え、発電部側コンバータ端子Tfcから入力された所定電圧の電力を第1電圧又は所定電圧に昇圧又は降圧させてバッテリ側コンバータ端子Tbatから出力する。また、本実施形態のコンバータCONは、双方向コンバータであり、バッテリ側コンバータ端子Tbatから入力された第1電圧の電力を第2電圧に降圧したり第2電圧とは異なる所定電圧に昇圧又は降圧して発電部側コンバータ端子Tfcから出力することができる。
【0018】
外部接続端子60は、第1電圧又は第2電圧の外部電源100や、様々な定格電圧の外部電気機器200を接続することができる。また、外部接続端子60は、接続された外部電源100や外部電気機器200と制御装置80との間で各種の情報を送受する手段を備える。例えば、外部充電時には、下記の手順で情報を送受する。
(1)外部電源100から充電器仕様情報(適合電圧情報など)を制御装置80に送る。
(2)制御装置80からバッテリBATの状態情報(適合電圧情報、充電残量情報など)を外部電源100に送る。
(3)制御装置80から充電許可信号を外部電源100に送る。
(4)制御装置80から継続的に充電電流指令値を外部電源100に送る。
(5)外部電源100が、充電電流指令値に基づいて充電電流を制御する。
【0019】
第1切替機構71は、外部接続端子60とバッテリBAT及びバッテリ側コンバータ端子Tbatの接続状態と遮断状態とを選択的に切り替える第1切替部31と、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60の接続状態と遮断状態とを選択的に切り替える第2切替部32aと、を備える。
【0020】
第2切替機構72は、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60の接続状態と遮断状態とを選択的に切り替える第2切替部32bと、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50の接続状態と遮断状態とを選択的に切り替える第3切替部33と、を備える。なお、第2切替部32a、32bは、いずれか一方でもよく、以下の説明では、第2切替部32として説明する。
【0021】
第3切替機構73は、バッテリBATと第1切替部31及びバッテリ側コンバータ端子Tbatの接続状態と遮断状態とを選択的に切り替える第4切替部34を備える。なお、第1~第4切替部31~34は、それぞれ独立していてもよく、第1切替機構71、第2切替機構72のように複数の切替部がユニット化されていてもよい。
【0022】
制御装置80は、第1~第4切替部31~34の切替制御に基づいて、電源システム1を第1状態~第5状態に制御する。
【0023】
第1状態は、
図2及び
図4に示すように、外部接続端子60とバッテリBATとがコンバータCONを介さずに接続された状態である。電源システム1を第1状態にするためには、制御装置80は、外部接続端子60とバッテリBAT及びバッテリ側コンバータ端子Tbatとが接続状態となるよう第1切替部31を制御し、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60とが遮断状態となるよう第2切替部32を制御し、且つ、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50とが遮断状態となるよう第3切替部33を制御する。
【0024】
第2状態は、
図3及び
図5に示すように、外部接続端子60とバッテリBATとがコンバータCONを介して接続された状態である。電源システム1を第1状態にするためには、制御装置80は、外部接続端子60とバッテリBAT及びバッテリ側コンバータ端子Tbatとが遮断状態となるよう第1切替部31を制御し、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60とが接続状態となるよう第2切替部32を制御し、且つ、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50とが遮断状態となるよう第3切替部33を制御する。
【0025】
第3状態は、
図6及び
図7に示すように、外部接続端子60と発電部50とがコンバータCONを介して接続された状態である。電源システム1を第3状態にするためには、制御装置80は、外部接続端子60とバッテリBAT及びバッテリ側コンバータ端子Tbatとが接続状態となるよう第1切替部31を制御し、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60とが遮断状態となるよう第2切替部32を制御し、且つ、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50とが接続状態となるよう第3切替部33を制御する。
【0026】
第4状態は、
図8に示すように、外部接続端子60とバッテリBATとがコンバータCONを介して接続され、且つ、外部接続端子60と発電部50とがコンバータCONを介さずに接続された状態である。電源システム1を第4状態にするためには、制御装置80は、外部接続端子60とバッテリBAT及びバッテリ側コンバータ端子Tbatとが遮断状態となるよう第1切替部31を制御し、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60とが接続状態となるよう第2切替部32を制御し、且つ、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50とが接続状態となるよう第3切替部33を制御する。
【0027】
第5状態は、図示は省略するが、発電部50とバッテリBATとがコンバータCONを介して接続され状態である。電源システム1を第5状態にするためには、制御装置80は、外部接続端子60とバッテリBAT及びバッテリ側コンバータ端子Tbatとが遮断状態となるよう第1切替部31を制御し、発電部側コンバータ端子Tfcと外部接続端子60とが遮断状態となるよう第2切替部32を制御し、且つ、発電部側コンバータ端子Tfcと発電部50とが接続状態となるよう第3切替部33を制御する。第5状態は、移動体Vの走行中など、発電部50からバッテリBAT及び/又はモータMOTに電力が供給されるときに選択される。
【0028】
このように構成された電源システム1において、制御装置80は、第1~第4切替部31~34の切替制御に基づいて、後述する第1及び第2外部充電や第1~第5外部給電を可能にする。以下、制御装置80の切替制御について、
図2~
図8を参照して説明する。
【0029】
制御装置80は、外部接続端子60に外部電源100が接続されると、外部電源100から充電器仕様情報を取得し、外部電源100の適合電圧が第1電圧(例えば、800V)の場合は、
図2に示すように、電源システム1を第1状態としてバッテリBATの充電を行う。つまり、充電設備(外部電源100)の電圧とバッテリBATの電圧が等しい場合には、コンバータCONを経由しないで充電することで、充電時の損失を低減できる。
【0030】
また、制御装置80は、外部電源100の適合電圧が第2電圧(例えば、400V)の場合は、
図3に示すように、電源システム1を第2状態としてバッテリBATの充電を行う。つまり、充電設備(外部電源100)の電圧とバッテリBATの電圧が異なる場合には、コンバータCONを経由することで、充電設備の電圧によらず充電が可能となる。また、発電部50の電力を制御するコンバータCONを外部充電時の電圧制御に利用するので、部品点数の削減や、軽量化を図ることができる。
【0031】
制御装置80は、外部接続端子60に外部電気機器200が接続されると、外部電気機器200から電気機器仕様情報を取得し、外部電気機器200の適合電圧が第1電圧の場合は、
図4に示す第1外部給電、
図7に示す第4外部給電のいずれかを選択的に実行する。例えば、制御装置80は、バッテリBATの充電残量や発電部50の燃料残量に基づいて、いずれかの外部給電形態を選択する。
【0032】
制御装置80は、第1外部給電を選択した場合、
図4に示すように、電源システム1を第1状態として外部電気機器200へ給電を行う。つまり、外部接続端子60に接続される外部電気機器200の電圧とバッテリBATの電圧が等しい場合には、コンバータCONを経由しないで給電することで、給電時の損失を低減できる。
【0033】
制御装置80は、第4外部給電を選択した場合、
図7に示すように、電源システム1を第3状態として、コンバータCONを介した発電部50の電力と、バッテリBATの電力を外部電気機器200へ給電する。このような第4外部給電によれば、発電部50及びバッテリBATの電力で、第1電圧の外部電気機器200への給電が可能になる。
【0034】
一方、制御装置80は、外部接続端子60に接続された外部電気機器200の適合電圧が第1電圧と異なる場合、
図5に示す第2外部給電、
図6に示す第3外部給電、
図8に示す第5外部給電のいずれかを選択的に実行する。例えば、制御装置80は、バッテリBATの充電残量や発電部50の燃料残量に基づいて、いずれかの外部給電形態を選択する。
【0035】
制御装置80は、第2外部給電を選択した場合、
図5に示すように、電源システム1を第2状態として、外部接続端子60に接続される外部電気機器200へ給電を行う。このような第2外部給電によれば、コンバータCONを経由することで、バッテリBATの電力を適切に変換して外部電気機器200へ給電することができる。
【0036】
制御装置80は、第3外部給電を選択した場合、
図6に示すように、電源システム1を第3状態として、発電部50の電力をコンバータCONを介して外部電気機器200へ給電する。このような第3外部給電によれば、発電部50の発電電力のみで、外部電気機器200への給電が可能になる。
【0037】
制御装置80は、第5外部給電を選択した場合、
図8に示すように、電源システム1を第4状態として、発電部50の電力と、コンバータCONを介したバッテリBATの電力によって外部電気機器200へ給電する。このような第5外部給電によれば、発電部50及びバッテリBATの電力で、外部電気機器200への給電が可能になる。
【0038】
つぎに、第2実施形態の電源システム1について、
図9及び
図10を参照して説明する。
【0039】
図9に示すように、第2実施形態の電源システム1は、第1実施形態のコンバータCONに相当する第1コンバータCON1と、第1コンバータCON1と並列に接続された第2コンバータCON2と、を備える点が第1実施形態の電源システム1と相違している。第2コンバータCON2は、バッテリBAT側に接続されるバッテリ側コンバータ端子Tbat2と、発電部50側に接続される発電部側コンバータ端子Tfc2を有し、発電部側コンバータ端子Tfc2は、発電部50と第3切替部33の間に接続される。
【0040】
第2コンバータCON2は、発電部50が発電した所定電圧の直流電力を第1電圧に昇圧するDC-DCコンバータである。このような第2コンバータCON2を備える第2実施形態の電源システム1によれば、外部電源100又は外部電気機器200に接続されていない場合に、電源システム1を第5状態とすることで、第1コンバータCON1及び第2コンバータCON2を多相コンバータとし、発電部50の発電電力を効率よく第1電圧に変換することができる。また、第2実施形態の電源システム1によれば、
図10に示す第6外部給電を実現できる。
【0041】
第2実施形態の制御装置80は、外部接続端子60に接続された外部電気機器200の適合電圧が第1電圧とは異なる場合、バッテリBATの充電残量や発電部50の燃料残量に基づいて、第6外部給電を選択できる。第2実施形態の制御装置80は、第6外部給電を選択した場合、
図10に示すように、電源システム1を第2状態として、第2コンバータCON2を介した発電部50の電力と、バッテリBATの電力とを、コンバータCONを介して外部接続端子60に接続される外部電気機器200へ給電する。このような第6外部給電によれば、第2コンバータCON2及びコンバータCONを介した発電部50の電力と、コンバータCONを介したバッテリBATの電力で、第2電圧の外部電気機器200への給電が可能になる。
【0042】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0043】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0044】
(1) 発電部(発電部50)と、
蓄電部(バッテリBAT)と、
前記発電部と前記蓄電部の間に設けられ、蓄電部側コンバータ端子(バッテリ側コンバータ端子Tbat)及び発電部側コンバータ端子(発電部側コンバータ端子Tfc)を有するコンバータ(コンバータCON)と、
外部装置(外部電源100、外部電気機器200)と電気的に接続可能な外部接続端子(外部接続端子60)と、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第1切替部(第1切替部31)と、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第2切替部(第2切替部32)と、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部の接続状態と遮断状態とを切り替える第3切替部(第3切替部33)と、
前記第1切替部、前記第2切替部、及び前記第3切替部を制御する制御装置(制御装置80)と、を備える、移動体(移動体V)の電源システム(電源システム1)。
【0045】
(1)によれば、発電部の電力を制御するコンバータを外部電源から蓄電部を充電する外部充電時の電圧制御に利用でき、部品点数を削減、軽量化できる。また、充電設備の電圧によらず蓄電部を充電することができる。
【0046】
(2) (1)に記載の移動体の電源システムであって、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが接続状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが遮断状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第1状態において、前記蓄電部の充電を行う、
又は
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第2状態において、前記外部装置から前記蓄電部の充電を行う、移動体の電源システム。
【0047】
(2)によれば、充電設備の電圧と蓄電部の電圧が等しい場合には、コンバータを経由しないで充電することで、充電時の損失を低減できる。一方、充電設備の電圧と蓄電部の電圧が異なる場合には、コンバータを経由することで、充電設備の電圧によらず充電が可能となる。
【0048】
(3) (1)に記載の移動体の電源システムであって、
前記コンバータは、双方向コンバータであり、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが接続状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが遮断状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第1状態において、前記蓄電部から前記外部装置へ給電を行う、
又は
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第2状態において、前記蓄電部から前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【0049】
(3)によれば、外部電気機器の電圧と蓄電部の電圧が等しい場合には、コンバータを経由しないで給電することで、給電時の損失を低減できる。一方、外部電気機器の電圧と蓄電部の電圧が異なる場合には、コンバータを経由することで、外部電気機器の電圧によらず給電が可能となる。
【0050】
(4) (1)に記載の移動体の電源システムであって、
前記コンバータは、双方向コンバータであり、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが接続状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが遮断状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが接続状態となるよう前記第3切替部を制御した、第3状態において、前記発電部から前記コンバータを介して前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【0051】
(4)によれば、発電部の電力を用いて外部電気機器へ給電でき、発電部の電圧をコンバータで制御可能なことで効率的な発電が可能となる。
【0052】
(5) (4)に記載の移動体の電源システムであって、
前記蓄電部と前記第1切替部及び前記蓄電部側コンバータ端子の接続状態と遮断状態とを切り替える第4切替部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第3状態において、さらに、前記蓄電部と前記第1切替部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるように前記第4切替部を制御した状態で、前記発電部から前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【0053】
(5)によれば、バッテリ電圧に影響されずに外部電気機器へ給電できる。
【0054】
(6) (1)に記載の移動体の電源システムであって、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが接続状態となるよう前記第3切替部を制御した、第4状態において、前記発電部及び前記蓄電部から前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【0055】
(6)によれば、発電部の電力と蓄電部の電力とにより外部電気機器へ給電できる。
【0056】
(7) (1)に記載の移動体の電源システムであって、
前記蓄電部に対し前記コンバータと並列に設けられ、蓄電部側コンバータ端子及び発電部側コンバータ端子を有する第2コンバータをさらに備え、
前記第2コンバータの前記発電部側コンバータ端子は、前記発電部と前記第3切替部の間に接続される、移動体の電源システム。
【0057】
(7)によれば、外部接続端子に外部装置が接続されていない場合、コンバータ及び第2コンバータを多相コンバータとして利用することができる。
【0058】
(8) (7)に記載の移動体の電源システムであって、
前記制御装置は、
前記外部接続端子と前記蓄電部及び前記蓄電部側コンバータ端子とが遮断状態となるよう前記第1切替部を制御し、
前記発電部側コンバータ端子と前記外部接続端子とが接続状態となるよう前記第2切替部を制御し、且つ、
前記発電部側コンバータ端子と前記発電部とが遮断状態となるよう前記第3切替部を制御した、第2状態において、前記発電部から前記第2コンバータを介して伝送される電力と前記蓄電部からの電力とを足し合わせて前記コンバータを介して前記外部装置へ給電を行う、移動体の電源システム。
【0059】
(8)によれば、発電部で効率よく発電しながら、外部電気機器の電圧に応じた給電が可能となる。
【0060】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載の移動体の電源システムであって、
前記移動体は、電気自動車である、移動体の電源システム。
【0061】
(9)によれば、複数の規格の充電設備が混在する電気自動車のインフラ環境においてもそれぞれの充電設備、給電対象に対して低損失で充給電を行うことができる。
【0062】
(10) (1)から(8)のいずれかに記載の移動体の電源システムであって、
前記発電部は、燃料電池であり、
前記移動体は、燃料電池車である、移動体の電源システム。
【0063】
(10)によれば、複数の規格の充電設備が混在する電気自動車のインフラ環境においてもそれぞれの充電設備、給電対象に対して低損失で充給電を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 電源システム
31 第1切替部
32 第2切替部
33 第3切替部
50 発電部
60 外部接続端子
80 制御装置
100 外部電源(外部装置)
200 外部電気機器(外部装置)
BAT バッテリ(蓄電部)
CON コンバータ
Tbat バッテリ側コンバータ端子(蓄電部側コンバータ端子)
Tfc 発電部側コンバータ端子
V 移動体