(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000565
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】鋼管杭の接手構造
(51)【国際特許分類】
E02D 5/24 20060101AFI20231226BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
E02D5/24 103
E02D5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099285
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】595067442
【氏名又は名称】システム計測株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305039699
【氏名又は名称】プラン・ドゥ・ソイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】久保 豊
(72)【発明者】
【氏名】皆川 恵三
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA19
2D041BA31
2D041CB06
2D041DB02
2D041DB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】鋼管杭の結合に使用され、一対の接手をピン結合する接手構造の連結作業を容易にする。
【解決手段】第1鋼管杭の端部に接続された第1接手10と、第2鋼管杭の端部に接続された第2接手20と、ピンPとを備え、第1接手10と第2接手20とをピンPで連結する鋼管杭の接手構造であって、第1接手10は小径部と第1嵌合部とを備え、該第1嵌合部は第1凹部及び第1凸部を備え、第2接手20は大径部と第2嵌合部とを備え、該第2嵌合部は第2凹部及び第2凸部とを備え、第1接手10を第2接手20へ挿入した状態で、第1凸部と第2凹部及び第1凹部と第2凸部とが嵌合状態になり、第1ピン孔と第2ピン孔へ外径L2の第1ピンが挿入され、内径L1と外径L2との間には、0.1~3.0mmの第1隙間が形成され、嵌合状態の第1嵌合部と第2嵌合部の対向面間にも、0.1~3.0mmの第2隙間が形成され、第1隙間と第2隙間の長さが等しい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1鋼管杭の端部に接続された内側の第1接手と、第2鋼管杭の端部に接続された外側の第2接手と、ピンとを備え、前記第1接手と前記第2接手とを前記ピンで連結する鋼管杭の接手構造であって、
前記内側の第1接手は小径部と該小径部の外側に形成される第1嵌合部とを備え、該第1嵌合部は第1凹部及び第1凸部を備え、前記外側の第2接手は大径部と該大径部の内側に形成される第2嵌合部とを備え、該第2嵌合部は第2凹部及び第2凸部を備え、
前記第1接手を前記第2接手へ挿入した状態で、前記第1凸部と前記第2凹部及び前記第1凹部と前記第2凸部とが嵌合状態になり、前記第1凸部及び前記第2凸部の第1ピン孔と前記小径部及び前記大径部に形成された第2ピン孔とが内径L1を有するとともに連通し、
前記第1ピン孔と前記第2ピン孔へ外径L2の第1ピンが挿入され、前記内径L1と前記外径L2との間には、0.1~3.0mmの第1隙間が形成され、
嵌合状態の前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との対向面間にも、0.1~3.0mmの第2隙間が形成され、
前記第1隙間と前記第2隙間の長さが等しい、
接手構造。
【請求項2】
前記第2隙間は、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間において、軸方向に対向する面間及び周方向に対向する面間の距離である請求項1に記載の接手構造。
【請求項3】
第1鋼管杭の端部に接続された内側の第1接手と、第2鋼管杭の端部に接続された外側の第2接手と、ピンとを備え、前記第1接手と前記第2接手とを前記ピンで連結する鋼管杭の接手構造であって、
前記内側の第1接手の一部又は全部が前記外側の第2接手へ一部又は全部へ挿入され、
前記第1接手と前記第2接手は内径L1のピン孔を備え、
該ピン孔へ外径L2のピンが挿入され、
前記内径L1と前記外径L2との間には0.1~3.0mmの第1隙間が形成され、
嵌合状態の前記第1接手と前記第2接手において軸方向に対向する面間にも、0.1~3.0mmの第2隙間が形成され、
前記第1隙間と前記第2隙間の長さが等しい、
接手構造。
【請求項4】
第1鋼管杭の端部に接続された内側の第1接手と、第2鋼管杭の端部に接続された外側の第2接手と、ピンとを備え、前記第1接手と前記第2接手とを前記ピンで連結する鋼管杭の接手構造を用いた杭打ち工法であって、
前記接手構造は、前記内側の第1接手の一部又は全部が前記外側の第2接手へ一部又は全部へ挿入され、
前記第1接手と前記第2接手は内径L1のピン孔を備え、
該ピン孔へ外径L2のピンが挿入され、
前記内径L1と前記外径L2との間には第1隙間が形成され、
嵌合状態の前記第1接手と前記第2接手において軸方向及び/又は周方向に対向する面間にも第2隙間が形成される、接手構造を用い、
前記第1鋼管又は前記第2鋼管へ荷重をかけたとき、荷重をかけた方向先において前記前記ピン孔の内径と前記ピンの外径とを当接させ、かつ、前記第1接手と前記第2接手の対向する面間も当接させる、杭打ち工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼管杭の接手構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
建築土木工事用の鋼管杭は地盤の状態に応じて継ぎ足されて所望の深さまで打ち込まれる。
鋼管杭を連結する方策として種々提案されているが、その一態様として、下側の鋼管杭の上端と上側の鋼管杭の下端にそれぞれ接手を接続し、両者をピンで連結する構造がある。
鋼管杭に回転力が加えられる場合、回転駆動源側である上側鋼管杭の回転力を下側の鋼管杭へ確実に伝えるべく、凹凸の嵌合構造とした接手構造が提案されている(特許文献1)。
かかる接手構造では、上側接手と下側接手にそれぞれ周方向の凹凸が形成され、上側の凸部が下側の凹部に、上側の凹部が下側の凸部にそれぞれ嵌合する。ここに、下側接手には大径部がありその内周側に上記の凹凸が形成され、上側接手には小径部がありその外周側に上記の凹凸が形成される。
凹部と凸部において対向する側面が当接することで回転力が確実に伝達される。
凹凸を嵌合した状態で、凸部に形成されたピン孔は大径部と小径部に形成されたピン孔と連通し、連通されたピン孔に連結ピンが挿入される。これにより、上側の接手と下側の接手が機械的に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の接手構造では、上側接手と下側接手にそれぞれ嵌合される凹凸が形成されている。
かかる接手構造では、各凹凸が確実に嵌合するように、各凹凸には正確な寸法合わせが求められていた。
また、同様に、凸部に形成されるピン孔と大径部及び小径部に形成されるピン孔にも正確な位置合わせが要求される。それとともに、各ピン孔の内径もピンの外径とできる限り一致させることが求められていた。
凹部と凸部が隙間なく嵌合されたとき、ピン孔とピンとの間に隙間があると、鋼管杭を打ち込むときの衝撃でピンに不規則な負荷がかかり、その耐久性を低下させるおそれがある。その一方、ピン孔の内径とピンの外径を過剰に一致させると、ピンの挿入作業性が低下する。
現場的には、ピン孔へピンを打ち込むときピン孔が変形し、ピン孔とピンとの間に隙間ができることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、凹部と凸部との嵌合及びピン孔の内径とピンの外径と間に、ともに隙間を設けることに気が付いた。
即ち、この発明の第1局面は次のように規定される。
第1鋼管杭の端部に接続された内側の第1接手と、第2鋼管杭の端部に接続された外側の第2接手と、ピンとを備え、前記第1接手と前記第2接手とを前記ピンで連結する鋼管杭の接手構造であって、
前記内側の第1接手は小径部と該小径部の外側に形成される第1嵌合部とを備え、該第1嵌合部は第1凹部及び第1凸部を備え、前記外側の第2接手は大径部と該大径部の内側に形成される第2嵌合部とを備え、該第2嵌合部は第2凹部及び第2凸部を備え、
前記第1接手を前記第2接手へ挿入した状態で、前記第1凸部と前記第2凹部及び前記第1凹部と前記第2凸部とが嵌合状態になり、前記第1凸部及び前記第2凸部の第1ピン孔と前記小径部及び前記大径部に形成された第2ピン孔とが内径L1を有するとともに連通し、
前記第1ピン孔と前記第2ピン孔へ外径L2の第1ピンが挿入され、前記内径L1と前記外径L2との間には、0.1~3.0mmの第1隙間が形成され、
嵌合状態の前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との対向面間にも、0.1~3.0mmの第2隙間が形成され、
前記第1隙間と前記第2隙間の長さが等しい、
接手構造。
【0006】
第1接手と第2接手との間に荷重(軸方向や周方向)が掛けられたとき、凹部及び凸部は荷重のかけられた方向先にある面で当接する、同様にピンもまた荷重のかけられた方向先のピン孔の内周面に当接する。第1隙間と第2隙間の距離が等しいので、第1嵌合部と第2嵌合部の間の対向面及びピン孔の内周面とピンの対向面間において、隙間が出来ることは無く、全て当接する。これにより、上記の各当接面には、均等な荷重が掛けられる。この当接の状態は、凹部及び凸部が隙間なく嵌合されかつピンがピン孔へ隙間なく挿入された状態での各当接面の状態と実質的に等しい。
よって、第1接手と第2接手とを嵌合した状態で一方の鋼管杭へ荷重をかけたとき、第1隙間や第2隙間に起因するピンや接手自体の機械的強度に対する悪影響は何ら生じない。即ち、ピンの耐力(せん断耐力、抜け耐力)及び上側接手と下側接手間の耐力(ねじり耐力、圧縮耐力)など、基本的に隙間を排除した従来設計の接手と何ら機械的強度に変わりがない。
隙間や隙間の長さや、両者に許容される誤差は、接手の材質や用途(加えられる荷重)等に応じて任意に選択できる。
【0007】
この発明の第2の局面は次のように規定される。
第1局面の接手構造において、前記第2隙間は、前記嵌合部と第2嵌合部との間において、軸方向に対向する面間及び周方向に対向する面間の距離である。
【0008】
このように規定される第2局面の接手構造によれば、第1嵌合部と第2嵌合部との軸方向の対向面間と周方向の対向面間に、第1隙間と同じ長さの第2隙間が形成されるので、接手へ軸方向の荷重が掛けられたとき、又は(同時に)周方向の荷重が掛けられたとき、第1嵌合部と第2嵌合部の対向面が接触しかつピン孔の内周面とピンとの対向面間も接触する。よって、第1隙間及び第2隙間に起因する接手構造の機械的強度に対する悪影響は何ら生じない。
【0009】
上記において、凹凸部を嵌合させる構造の接手構造について説明してきた。
接手構造の中には、凹凸部を備えないものもある。かかる構造の接手構造においては、上記の説明から敷衍して、その軸方向のみに既述の第2隙間を設ければよいことがわかる。この第2隙間は第1接手の第2接手において軸方向の対向面間の隙間を指す。
例えば、上側の鋼管に接続される第1接手を下側の鋼管に接続される第2接手へ挿入して嵌合する構造の接手構造において、第1接手と第2接手は共に筒状の部材であるとき(凹凸部が存在しないとき)、第1接手の上縁にフランジを設け、このフランジに第2接手の上縁が当接される。
かかる接手構造において、フランジの下面と第2接手の上縁との設計上の距離が第2隙間となる。
よって、この発明の第3の局面は次のように規定される。
第1鋼管杭の端部に接続された内側の第1接手と、第2鋼管杭の端部に接続された外側の第2接手と、ピンとを備え、前記第1接手と前記第2接手とを前記ピンで連結する鋼管杭の接手構造であって、
前記内側の第1接手の一部又は全部が前記外側の第2接手へ一部又は全部へ挿入され、
前記第1接手と前記第2接手は内径L1のピン孔を備え、
該ピン孔へ外径L2のピンが挿入され、
前記内径L1と前記外径L2との間には0.1~3.0mmの第1隙間が形成され、
嵌合状態の前記第1接手と前記第2接手において軸方に対向する面間にも、0.1~3.0mmの第2隙間が形成され、
前記第1隙間と前記第2隙間の長さが等しい、
接手構造。
【0010】
この発明は、また、次のように規定することもできる。
第1鋼管杭の端部に接続された内側の第1接手と、第2鋼管杭の端部に接続された外側の第2接手と、ピンとを備え、前記第1接手と前記第2接手とを前記ピンで連結する鋼管杭の接手構造を用いた杭打ち工法であって、
前記接手構造は、前記内側の第1接手の一部又は全部が前記外側の第2接手の一部又は全部へ挿入され、
前記第1接手と前記第2接手は内径L1のピン孔を備え、
該ピン孔へ外径L2のピンが挿入され、
前記内径L1と前記外径L2との間には第1隙間が形成され、
嵌合状態の前記第1接手と前記第2接手において対向する面間にも第2隙間が形成される、接手構造を用い、
前記第1鋼管又は前記第2鋼管へ荷重をかけたとき、荷重をかけた方向先において前記前記ピン孔の内径と前記ピンの外径とを当接させ、かつ、前記第1接手と前記第2接手の対向する面間も当接させる、杭打ち工法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3は第1接手を第2接手へ挿入し、両者をピンで固定した状態を示し、
図Bはその横断面図、
図Cはその縦断面図である。
【
図4】
図4Aは第1接手の第2リング(第1嵌合部)と第2接手の第2リング(第2嵌合部)の嵌合状態(無負荷状態)を示す展開図であり、
図4Bは図面下方向への荷重がかけられたときのピンとピン孔の当接状態を示し、
図4Cは図面左方向への荷重が掛けられたときのピンとピン孔の当接状態を示し、
図4Dは図面下方向かつ左方向へ荷重が掛けられたときのピンとピン孔の当接状態と第1リングと第2リングとの当接状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は第1接手10を示し、
図1Aは正面図、
図1Bは横断面図、
図1Cは縦断面図である。
第1接手10は筒状の第1リング11とその外側の第2リング12とを備える。第1リング11は小径部を構成し、その中腹に周方向均等にピン孔11-1(第2ピン孔)が穿設されている。
第2リング12は第1嵌合部を構成し、その上縁16を残して、くし状に切り欠かれて、凸部13と凹部15が形成されている。凸部13にはピン孔13-1が形成されて、このピン孔13-1は第1リング11のピン孔11-1と同径であり、連通する(中心が一致する)。
【0013】
第1リング11と第2リング12とは鋼材で形成されており、wの位置で溶接により結合されている。第1リング11及び/又は第2リング12の上縁に上側の鋼管杭Aの下縁が溶接される。
第1リング11や第2リング12の径や長さ、及びその材質は鋼管杭の用途に応じて任意に設計される。
【0014】
図2は第2接手20を示し、
図2Aは正面図、
図2Bは横断面図、
図2Cは縦断面図である。
第2接手20は筒状の第1リング21とその内側の第2リング22とを備える。第1リング21は大径部を構成し、その中腹に周方向均等にピン孔21-1(第2ピン孔)が穿設されている。
第2リング22は第2嵌合部を構成し、その下縁26を残して、くし状に切り欠かれて、凸部23と凹部25が形成されている。凸部23にはピン孔23-1が形成されて、このピン孔23-1は第1リングのピン孔21-1と同径であり、連通する(中心が一致する)。
【0015】
第1リング21と第2リング22とは鋼材で形成されており、wの位置で溶接により結合されている。第1リング及び/又は第2リングの下縁に下側の鋼管杭Bの上縁が溶接される。
第1リング21や第2リング22の径や長さ、及びその材質は鋼管杭の用途に応じて任意に設計される。
第2接手のピン孔21-1及び23-1は第1接手のピン孔11-1及び13-1とも同径であり、かつ連通する。
【0016】
図3は第1接手10を第2接手20へ挿入し、両者をピンPで固定した状態を示す。
小径な第1接手10は第2接手20へ挿入されて、その第2リング12の凸部13の下縁が第2接手20の第2リング22の下縁26へ当接する。
他方、第2接手20の凸部23の上縁が第1接手10の第2リング12の上縁16へ当接する。
【0017】
第1接手10と第2接手20とを嵌合させた状態で、それぞれのピン孔11-1、13-1、21-1及び23―1は連通し、そこにピンPが挿入される。
このピンPの先端にばね鋼からなるフックP1を備える。このフックP1は無負荷状態でピンPより突出し、ピン孔11-1の周縁に係合して抜け止めの役目をする。ピン孔へ挿入する際にはこのフックP1は縮径する。
各ピン孔の内径L1とピンPの本体部の外径L2とに差を設けたので(L1>L2)、フックP1の打ち込み作業時にフックP1は縮径しやすく、当該打ち込み作業が容易になる。
【0018】
図4は第1接手10の第2リング12と第2接手20の第2リング22の嵌合状態を示す展開図である。
図4Aは無負荷状態での嵌合状態を示す。ピンPの外径(直径)とピン孔13-1及びピン孔23-1と内径(直径)との間には2S1の差(隙間)が存在する。また、第2リング12と第2リング22との周方向に隣り合う面間、同じく軸方向の隣り合う一対の面間にも2S2の隙間がある。即ち、第1凸部13の側縁とこれを挟む一対の第2凸部23の側縁との間にそれぞれS2の隙間がある。同じく、第1凸部13の下縁と第2凹部25の下縁26との間にS2の隙間があり、第2凸部23の上縁と第1凹部15の上縁16の間にS2の隙間がある。
第1接手10と第2接手20とに下方への軸方の荷重が掛けられると、
図4Bに示すとおり、ピン孔23-1に挿入されたピンPはピン孔23-1の内周面下縁に当接する。他方、ピン孔13-1に挿入されたピンPはピン孔13-1の内周面上縁に当接する。
図4Bには第1凸部13と第2凸部23に形成されたピン孔13-1、23-1が示されている。これらピン孔13-1、23-1は、
図3Bに示すとおり、それぞれ同径の第1リング12と第2リング21のピン孔11-1、21-1と連通している。第1接手10と第2接手20とが設計通りに嵌合されたとき、連通するピン孔の内周面は面一になる。他方、第1接手10及び第2接手20が変形したり、その作製に誤差が生じたりすることがある。その場合、連通するピン孔の内周面が面一にならず、いずれか1つのピン孔の内周面のみにピンPが当接することとなる。かかる場合を想定して、ピン孔の周囲を補強しておくことが好ましい。補強の方策として、ピン孔の周りに肉盛りをしたり、機械的な剛性の高い筒状の別部材をピン孔に打ち込んだりすることができる。筒状の部材の内周面を1.0~3.0mmとする。
【0019】
第1接手10と第2接手20とに周方向(図中左方向)の荷重が掛けられると、
図4Cに示すとおり、ピン孔23-1に挿入されたピンPはピン孔23-1の内周面右縁に当接する。同様に、ピン孔13-1に挿入されたピンPもピン孔13-1の内周面右縁に当接する。
【0020】
図4Dには、第1接手10と第2接手20へ軸方向かつ周方向の荷重が掛けられたときの状態を示す。
第1凸部13は第2リングの下縁26に当接し、第1リング11の各凸部13の図示左側の側縁と第2リング22の各の凸部23の右側の側縁とが当接する。
ピンPはピン孔13-1、23-1の内周面において右斜め下方の縁に当接する。
この状態は、第1接手10と第2接手20へ荷重かけられている間維持されるので、接手構造として機械的強度において悪影響がでることはない。
【0021】
上記において、ピンとピン孔の内周との隙間S1は0.1mm~3.0mmとすることが好ましい。更に好ましくは0.5mm程度である。
同じく、第1接手10の要素(図の例では凸部13等)において第2接手の要素(図の例では下縁26等)と対向する縁の間の隙間S2も1mm~3.0mmとすることが好ましい。更に好ましくは0.5mm程度である。
かかる隙間2S1と2S2とを同じ長さとすることが好ましい。これにより、全てのピンがピン孔の内周面に当接し、全ての凸部13、23もその相手部材に当接する。
【0022】
以上のように本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0023】
10 第1接手
11-1、13-1、21-1、23-1 ピン孔
13 第1凸部
15 第1凹部
20 第2接手
23 第2凸部
25 第2凹部
A、B 鋼管杭
B 鋼管杭
P ピン
S1 隙間
S2 隙間