(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005650
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240110BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20240110BHJP
H01M 8/04044 20160101ALI20240110BHJP
H01M 8/04111 20160101ALI20240110BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240110BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04029
H01M8/04044
H01M8/04111
H01M8/04746
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105917
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】國枝 享仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC15
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB22
5H127BB24
5H127BB37
5H127BB39
5H127DC28
5H127DC87
5H127EE15
(57)【要約】
【課題】タービンにて発生する回生動力を効率良く増加させること。
【解決手段】燃料電池システム10は、燃料電池スタックから排出される排出ガスに含まれる水を貯留する貯留タンク30を備えている。貯留タンク30は、貯留タンク30内の空気層38に接続されるとともに燃料電池スタックから排出された排出ガスを貯留タンク30内に供給する供給口35と、供給口35から供給された排出ガスから水を分離する気液分離部36と、気液分離部36で分離された水が貯留される貯留部37と、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行う熱交換部50と、空気層38に接続されるとともに気液分離部36で水が分離された後の排出ガスをタービンへ排出する排出口39と、を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する圧縮部、及び前記圧縮部を駆動させるモータを備えている電動圧縮機と、
前記燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転して前記モータの駆動を補助するタービンホイールを有するタービンと、を備えている燃料電池システムであって、
前記燃料電池スタックから排出される排出ガスに含まれる水を貯留する貯留タンクを備え、
前記貯留タンクは、
前記貯留タンク内の空気層に接続されるとともに前記燃料電池スタックから排出された排出ガスを前記貯留タンク内に供給する供給口と、
前記供給口から供給された前記排出ガスから水を分離する気液分離部と、
前記気液分離部で分離された水が貯留される貯留部と、
前記貯留部に貯留された水と前記電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行う熱交換部と、
前記空気層に接続されるとともに前記気液分離部で水が分離された後の排出ガスを前記タービンへ排出する排出口と、を有していることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記貯留タンクは、前記貯留部に貯留される水の液面が所定の高さを超えないように前記貯留部に貯留される水の貯水量を制御する貯水量制御部を有し、
前記熱交換部は、
前記所定の高さよりも鉛直方向の下方に配置される熱交換本体部と、
前記熱交換本体部から延びるとともに前記所定の高さを超えて前記空気層に突出する突出部と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記タービンは、
前記タービンホイールを収容するタービン室と、
前記タービン室へ供給される排出ガスの流量を絞る固定ノズルと、を有し、
前記電動圧縮機から吐出される空気を前記熱交換部へ導入する導入流路と、
前記導入流路から分岐するとともに前記導入流路を流れる空気を前記熱交換部を迂回して前記燃料電池スタックへ供給するバイパス流路と、
前記導入流路から前記バイパス流路へ分岐して流れる空気の流量を調整することにより、前記電動圧縮機から前記導入流路を介して前記熱交換部へ導入される空気の流量を調整する流量調整部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記熱交換部は、前記貯留タンク内において鉛直方向に並んで配置される配管部を複数有し、
前記電動圧縮機から吐出された空気は、前記各配管部内を流れ、
前記各配管部は、前記貯留部に貯留された水と前記電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記熱交換部は、前記熱交換本体部に熱的に結合されるとともに前記所定の高さよりも鉛直方向の下方に配置される多孔質材を有していることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料電池スタックを備えている。燃料電池スタックは、燃料ガスと空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う。また、燃料電池システムは、電動圧縮機と、タービンと、を備えている場合がある。電動圧縮機は、圧縮部、及びモータを備えている。圧縮部は、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する。モータは、圧縮部を駆動させる。タービンは、タービンホイールを有している。タービンホイールは、燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転してモータの駆動を補助する。具体的には、タービンホイールは、燃料電池スタックから排出される排出ガスがタービンに供給されることにより回転する。タービンに供給された排出ガスは、タービンホイールの回転によって膨張する。そして、排出ガスが膨張することにより、排出ガスのエネルギーが回転エネルギーに変換される。このように、排出ガスのエネルギーが回転エネルギーに変換されることにより、タービンにて回生動力が発生する。そして、タービンにて発生した回生動力によって、モータの駆動が補助される。
【0003】
例えば特許文献1の燃料電池システムでは、電動圧縮機の圧縮部で圧縮された空気と、燃料電池スタックから排出された排出ガスとの熱交換を行う熱交換器を備えている。そして、燃料電池スタックから排出された排出ガスは、熱交換器にて、圧縮部で圧縮された空気によって加熱される。これにより、排出ガスのエネルギーが増大するため、タービンにてタービンホイールの回転によって排出ガスが膨張することにより変換される回転エネルギーが増大する。その結果、タービンにて発生する回生動力が増加するため、モータの駆動が効率良く補助される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、排出ガスが熱交換器を通過する際に生じる圧力損失は、タービンにて発生する回生動力の増加を妨げる要因となる。したがって、タービンにて発生する回生動力を効率良く増加させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃料電池システムは、燃料ガスと空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する圧縮部、及び前記圧縮部を駆動させるモータを備えている電動圧縮機と、前記燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転して前記モータの駆動を補助するタービンホイールを有するタービンと、を備えている燃料電池システムであって、前記燃料電池スタックから排出される排出ガスに含まれる水を貯留する貯留タンクを備え、前記貯留タンクは、前記貯留タンク内の空気層に接続されるとともに前記燃料電池スタックから排出された排出ガスを前記貯留タンク内に供給する供給口と、前記供給口から供給された前記排出ガスから水を分離する気液分離部と、前記気液分離部で分離された水が貯留される貯留部と、前記貯留部に貯留された水と前記電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行う熱交換部と、前記空気層に接続されるとともに前記気液分離部で水が分離された後の排出ガスを前記タービンへ排出する排出口と、を有している。
【0007】
これによれば、燃料電池スタックから排出された排出ガスは、供給口を介して貯留タンク内の空気層に供給される。気液分離部は、供給口から供給された排出ガスから水を分離する。そして、気液分離部で分離された水が貯留部に貯留される。貯留部に貯留された水は、電動圧縮機から吐出された空気との熱交換部を介した熱交換が行われることにより蒸発されて水蒸気となる。水蒸気は、気液分離部で水が分離された後の排出ガスと共に排出ガスとして排出口を介してタービンへ排出される。このように、タービンに供給される排出ガスの質量が、水蒸気が加わった分だけ増える。その結果、タービンホイールの回転によって膨張する排出ガスの質量が増えるため、タービンホイールの仕事量が増える。これにより、タービンにて発生する回生動力が増加する。また、気液分離部で水が分離された後の排出ガスは、貯留タンク内の空気層を通過して排出口からタービンへ排出される。したがって、貯留タンク内での排出ガスの圧力損失が生じ難く、タービンにて発生する回生動力の増加を妨げられることが回避されている。以上により、タービンにて発生する回生動力を効率良く増加させることができる。
【0008】
上記燃料電池システムにおいて、前記貯留タンクは、前記貯留部に貯留される水の液面が所定の高さを超えないように前記貯留部に貯留される水の貯水量を制御する貯水量制御部を有し、前記熱交換部は、前記所定の高さよりも鉛直方向の下方に配置される熱交換本体部と、前記熱交換本体部から延びるとともに前記所定の高さを超えて前記空気層に突出する突出部と、を有しているとよい。
【0009】
これによれば、突出部によって、貯留部に貯留されている水の液面を吸い上げる毛細管現象を引き起こすことができるため、貯留タンク内の気相と液相との間の表面積を増加させることができる。その結果、貯留部に貯留されている水を効率良く蒸発させることができる。
【0010】
上記燃料電池システムにおいて、前記タービンは、前記タービンホイールを収容するタービン室と、前記タービン室へ供給される排出ガスの流量を絞る固定ノズルと、を有し、前記電動圧縮機から吐出される空気を前記熱交換部へ導入する導入流路と、前記導入流路から分岐するとともに前記導入流路を流れる空気を前記熱交換部を迂回して前記燃料電池スタックへ供給するバイパス流路と、前記導入流路から前記バイパス流路へ分岐して流れる空気の流量を調整することにより、前記電動圧縮機から前記導入流路を介して前記熱交換部へ導入される空気の流量を調整する流量調整部と、を備えているとよい。
【0011】
これによれば、貯留部に貯留された水と電動圧縮機から吐出された空気との熱交換部を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量を調整することができる。したがって、タービンが固定ノズルを有する構成であるように、タービン室へ供給される排出ガスの流量が一義的に決まっている構成であったとしても、タービンホイールの回転によって膨張する排出ガスの流量を調整することができる。その結果、タービンの膨張比を調整することができるため、タービンを高いタービン効率で動作させることができる。
【0012】
上記燃料電池システムにおいて、前記熱交換部は、前記貯留タンク内において鉛直方向に並んで配置される配管部を複数有し、前記電動圧縮機から吐出された空気は、前記各配管部内を流れ、前記各配管部は、前記貯留部に貯留された水と前記電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行うとよい。
【0013】
例えば、貯留部に貯留されている水の液面が下がることにより、複数の配管部のうち、鉛直方向の上方に位置する配管部が、貯留タンク内の空気層に露出する場合がある。貯留タンク内の空気層に露出した配管部では、貯留部に貯留された水と電動圧縮機から吐出された空気との熱交換が行われ難くなる。このように、貯留部に貯留されている水の液面の変動によって、貯留部に貯留された水と電動圧縮機から吐出された空気との熱交換部を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量を微調整することができる。
【0014】
上記燃料電池システムにおいて、前記熱交換部は、前記熱交換本体部に熱的に結合されるとともに前記所定の高さよりも鉛直方向の下方に配置される多孔質材を有しているとよい。
【0015】
これによれば、貯留部に貯留された水と多孔質材との熱交換が行われることにより、貯留部に貯留された水が蒸発されて水蒸気となる。したがって、貯留部に貯留された水を効率良く蒸発させることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、タービンにて発生する回生動力を効率良く増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態における燃料電池システムを説明するための図である。
【
図4】タービンの膨張比とタービン効率との関係を示すグラフである。
【
図5】タービンの膨張比と排出ガスの修正流量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、燃料電池システムを具体化した一実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池車に搭載されている。
<燃料電池システム10の全体構成>
図1に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池スタック11と、電動圧縮機12と、タービン13と、を備えている。燃料電池スタック11は、例えば、複数のセルを有している。各セルは、酸素極と、水素極と、両極の間に配置された電解質膜とが積層されて構成されている。そして、燃料電池スタック11は、燃料ガスである水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う。
【0019】
燃料電池スタック11の発電に寄与する酸素は、空気中に2割程度しか存在しない。したがって、燃料電池スタック11に供給された空気の8割程度は、燃料電池スタック11の発電に寄与されることなく燃料電池スタック11から排出ガスとして排出される。燃料電池スタック11から排出される排出ガスには、燃料電池スタック11が発電した際に生成される水が含まれている。
【0020】
燃料電池スタック11は、図示しない走行用モータに電気的に接続されている。走行用モータは、燃料電池スタック11により発電された電力を電力源として駆動する。走行用モータの動力は、図示しない動力伝達機構を介して車軸に伝達される。燃料電池車は、アクセルペダルのアクセル開度に応じた車速で走行する。
【0021】
<電動圧縮機12>
電動圧縮機12は、圧縮部14、及びモータ15を備えている。また、電動圧縮機12は、回転軸16を備えている。圧縮部14は、回転軸16の第1端部に連結されている。圧縮部14は、例えば、インペラである。圧縮部14は、回転軸16と一体的に回転可能である。圧縮部14は、燃料電池スタック11に供給される空気を圧縮する。モータ15は、回転軸16を回転させる。そして、回転軸16が回転することにより、圧縮部14が駆動する。したがって、モータ15は、圧縮部14を駆動させる。
【0022】
<タービン13>
タービン13は、タービンホイール17と、タービンハウジング18と、を有している。タービンホイール17は、回転軸16の第2端部に連結されている。タービンホイール17は、回転軸16と一体的に回転可能である。
【0023】
タービンハウジング18は、円孔状の吐出口19を有する筒状である。タービンハウジング18は、電動圧縮機12に固定されている。したがって、タービン13は、電動圧縮機12に一体化されている。
【0024】
タービン13は、タービン室20と、固定ノズル21と、を有している。タービン室20は、タービンハウジング18に形成されている。タービン室20は、タービンホイール17を収容する。吐出口19は、タービン室20に連通している。タービン13は、吸入室22を有している。吸入室22は、タービンハウジング18に形成されている。吸入室22は、タービン室20の周囲で吐出口19の軸心周りに延びている。吸入室22には、燃料電池スタック11から排出された排出ガスが吸入される。
【0025】
固定ノズル21は、タービンハウジング18に形成されるとともにタービン室20と吸入室22とを連通する通路である。固定ノズル21は、回転軸16の径方向に延びている。固定ノズル21は、吸入室22に吸入された排出ガスを回転軸16の径方向からタービン室20へ供給する。固定ノズル21は、タービン室20へ供給される排出ガスの流量を絞る。タービンホイール17は、タービン室20へ供給される排出ガスによって回転する。したがって、タービンホイール17は、燃料電池スタック11から排出される排出ガスによって回転する。そして、タービンホイール17は、排出ガスによって回転してモータ15の駆動を補助する。
【0026】
<貯留タンク30>
図2及び
図3に示すように、燃料電池システム10は、貯留タンク30を備えている。貯留タンク30は、燃料電池スタック11から排出される排出ガスに含まれる水を貯留する。貯留タンク30は、例えば、四角箱状である。貯留タンク30は、上壁31と、下壁32と、第1側壁33と、第2側壁34と、を有している。上壁31と下壁32とは、鉛直方向で互いに対向している。第1側壁33と第2側壁34とは、水平方向で互いに対向している。
【0027】
貯留タンク30は、供給口35を有している。供給口35は、貯留タンク30の上壁31における第1側壁33寄りの部位に設けられている。供給口35は、燃料電池スタック11から排出された排出ガスを貯留タンク30内に供給する。
【0028】
貯留タンク30は、気液分離部36を有している。気液分離部36は、上壁31の内面から突出する筒部である。気液分離部36は、供給口35における貯留タンク30の内部に対する開口を取り囲んだ状態で、上壁31の内面から突出している。供給口35から貯留タンク30内に供給された排出ガスは、気液分離部36の内側を通過する。排出ガスに含まれている水は、気液分離部36の内側を通過する際に、排出ガスから遠心分離される。また、排出ガスに含まれている水は、排出ガスが気液分離部36の内面に衝突することによっても排出ガスから分離される。したがって、気液分離部36は、供給口35から供給された排出ガスから水を分離する。
【0029】
気液分離部36によって排出ガスから分離された水は、貯留タンク30内に貯留される。したがって、貯留タンク30は、気液分離部36で分離された水が貯留される貯留部37を有している。そして、貯留タンク30内は、水が貯留される貯留部37以外の空間が空気層38になっている。したがって、貯留タンク30内の上方は、空気層38になっている。供給口35は、貯留タンク30内の空気層38に接続されている。
【0030】
貯留タンク30は、排出口39を有している。排出口39は、貯留タンク30の上壁31における第2側壁34寄りの部位に設けられている。排出口39は、空気層38に接続されている。排出口39は、気液分離部36で水が分離された後の排出ガスをタービン13へ排出する。
【0031】
貯留タンク30は、貯水量制御部40を有している。貯水量制御部40は、貯留部37に貯留される水の液面が所定の高さH1を超えないように貯留部37に貯留される水の貯水量を制御する。所定の高さH1とは、予め設定された水の液面の高さである。所定の高さH1は、貯留タンク30内において気液分離部36の下端よりも低い。したがって、気液分離部36は、貯留タンク30内において、所定の高さH1よりも高い位置に配置されている。
【0032】
貯水量制御部40は、ドレン管41と、ドレンバルブ42と、を有している。ドレン管41は、貯留タンク30の第1側壁33に設けられている。ドレン管41内は、貯留タンク30内に連通している。ドレン管41は、第1側壁33における所定の高さH1に対応する部分に設けられている。したがって、ドレン管41における貯留タンク30の内部に対する開口位置は、貯留タンク30内において、所定の高さH1に対応する位置である。そして、貯留部37に貯留されている水の液面が所定の高さH1に達すると、貯留部37に貯留されている水がドレン管41内に流れ込む。
【0033】
ドレンバルブ42は、貯留部37に貯留されている水がドレン管41内を介して予め設定されている量だけドレンバルブ42に流れ込んでくると開弁するように構成されている。したがって、ドレンバルブ42は、貯留部37に貯留されている水がドレン管41内を介してドレンバルブ42に予め設定されている量だけ流れ込んでくるまでは閉弁するように構成されている。ドレンバルブ42が開弁すると、ドレン管41内を流れている水は、外部へ排出される。このようにして、貯水量制御部40は、貯留部37に貯留される水の液面が所定の高さH1を超えないように貯留部37に貯留される水の貯水量を制御する。
【0034】
貯留タンク30は、熱交換部50を有している。熱交換部50は、熱交換本体部51と、上流ヘッダ52と、下流ヘッダ53と、を有している。熱交換本体部51は、複数の配管部54を有している。したがって、熱交換部50は、配管部54を複数有している。
【0035】
各配管部54は、例えば、長四角筒状である。各配管部54は、例えば、扁平状のチューブである。各配管部54は、例えば、熱伝導性に優れた金属製である。各配管部54は、第1側壁33と第2側壁34との間で架け渡された状態で、貯留タンク30内を横切っている。複数の配管部54は、貯留タンク30内において鉛直方向に並んで配置されている。各配管部54の厚み方向は、鉛直方向に一致している。各配管部54は、所定の高さH1よりも鉛直方向の下方に配置されている。したがって、熱交換本体部51は、所定の高さH1よりも鉛直方向の下方に配置されている。
【0036】
上流ヘッダ52は、各配管部54の第1端部に接続されている。なお、各配管部54の第1端部は、各配管部54における第2側壁34側に位置する端部である。上流ヘッダ52は、電動圧縮機12から吐出された空気を各配管部54内に分配する。そして、上流ヘッダ52から各配管部54内に分配された空気は、各配管部54内を流れる。したがって、電動圧縮機12から吐出された空気は、各配管部54内を流れる。各配管部54は、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換を行う。したがって、熱交換部50は、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換を行う。
【0037】
下流ヘッダ53は、各配管部54の第2端部に接続されている。なお、各配管部54の第2端部は、各配管部54における第1側壁33側に位置する端部である。下流ヘッダ53には、各配管部54を通過した空気が合流する。そして、下流ヘッダ53は、各配管部54からの空気を燃料電池スタック11に向けて流す。
【0038】
熱交換部50は、突出部55を複数有している。各突出部55は、薄板平板状である。各突出部55は、例えば、熱伝導性に優れた金属製である。各突出部55は、各突出部55の厚み方向が水平方向に一致した状態で、貯留タンク30内に配置されている。複数の突出部55は、貯留タンク30内において水平方向に間隔を置いて配置されている。複数の突出部55は、水平方向に等間隔置きに並んで配置されている。
【0039】
各突出部55は、熱交換本体部51から延びている。具体的には、各突出部55は、各配管部54に支持されている。各配管部54は、各突出部55を突出部55の厚み方向に貫通している。各突出部55は、各配管部54から貯留タンク30内の上方へ延びている。各突出部55は、各配管部54から所定の高さH1を超えた位置まで延びている。したがって、各突出部55は、熱交換本体部51から延びるとともに所定の高さH1を超えて空気層38に突出している。各突出部55は、各配管部54と熱的に結合されている。各突出部55は、貯留部37に貯留されている水の液面を吸い上げる毛細管現象を引き起こす。
【0040】
熱交換部50は、多孔質材56を有している。多孔質材56は、熱交換本体部51に熱的に結合されている。多孔質材56は、複数の配管部54のうち、最も下方に位置する配管部54に密着した状態で貯留タンク30内に配置されている。したがって、多孔質材56は、熱交換本体部51に熱的に結合されるとともに所定の高さH1よりも鉛直方向の下方に配置されている。
【0041】
<各流路>
図1に示すように、燃料電池システム10は、導入流路61を備えている。導入流路61の第1端は、電動圧縮機12の図示しない吐出室に接続されている。導入流路61の第2端は、熱交換部50の上流ヘッダ52に接続されている。導入流路61は、電動圧縮機12と熱交換部50とを接続している。導入流路61は、電動圧縮機12から吐出される空気を上流ヘッダ52へ導入する。したがって、導入流路61は、電動圧縮機12から吐出された空気を熱交換部50へ導入する。
【0042】
燃料電池システム10は、空気供給流路62を備えている。空気供給流路62の第1端は、熱交換部50の下流ヘッダ53に接続されている。空気供給流路62の第2端は、燃料電池スタック11に接続されている。空気供給流路62は、熱交換部50と燃料電池スタック11とを接続している。空気供給流路62は、熱交換部50を通過した空気を燃料電池スタック11へ供給する。
【0043】
燃料電池システム10は、排出流路63を備えている。排出流路63の第1端は、燃料電池スタック11に接続されている。排出流路63の第2端は、貯留タンク30の供給口35に接続されている。排出流路63は、燃料電池スタック11と貯留タンク30の供給口35とを接続している。排出流路63は、燃料電池スタック11から排出される排出ガスを供給口35に向けて流す。排出流路63を流れる排出ガスは、供給口35に供給される。
【0044】
燃料電池システム10は、ガス供給流路64を備えている。ガス供給流路64の第1端は、貯留タンク30の排出口39に接続されている。ガス供給流路64の第2端は、タービン13の吸入室22に接続されている。ガス供給流路64は、貯留タンク30の排出口39とタービン13の吸入室22とを接続している。ガス供給流路64は、排出口39から排出される排出ガスを吸入室22に向けて流す。ガス供給流路64を流れる排出ガスは、吸入室22に供給される。
【0045】
燃料電池システム10は、バイパス流路65を備えている。バイパス流路65の第1端は、導入流路61の途中に接続されている。したがって、バイパス流路65は、導入流路61から分岐している。バイパス流路65の第2端は、空気供給流路62の途中に接続されている。そして、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気は、バイパス流路65を介して空気供給流路62に合流した後、空気供給流路62を介して燃料電池スタック11へ供給される。したがって、バイパス流路65は、導入流路61を流れる空気を熱交換部50を迂回して燃料電池スタック11へ供給する。なお、バイパス流路65には、インタークーラ66が設けられている。そして、バイパス流路65を流れる空気は、インタークーラ66にて冷却される。
【0046】
<流量調整部67>
燃料電池システム10は、流量調整部67を備えている。流量調整部67は、例えば、導入流路61とバイパス流路65との接続箇所に設けられる流量制御弁である。また、燃料電池システム10は、制御コントローラ70を備えている。制御コントローラ70は、流量調整部67に電気的に接続されている。制御コントローラ70は、流量調整部67の弁開度を制御する。流量調整部67は、制御コントローラ70によって弁開度が制御されることにより、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量を調整する。流量調整部67は、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量を調整することにより、電動圧縮機12から導入流路61を介して熱交換部50へ導入される空気の流量を調整する。
【0047】
燃料電池システム10は、回転数センサ71、流量センサ72、圧力センサ73、及び温度センサ74を備えている。回転数センサ71、流量センサ72、圧力センサ73、及び温度センサ74は、制御コントローラ70に電気的に接続されている。
【0048】
回転数センサ71は、タービンホイール17の回転数を検出する。回転数センサ71は、タービンホイール17の回転数に関する検出信号を制御コントローラ70に出力する。流量センサ72は、電動圧縮機12が外部から吸入した空気の流量を検出する。流量センサ72は、空気の流量に関する検出信号を制御コントローラ70に出力する。圧力センサ73は、燃料電池スタック11から排出された排出ガスの圧力を検出する。圧力センサ73は、排出ガスの圧力に関する検出信号を制御コントローラ70に出力する。温度センサ74は、タービン13の吸入室22に吸入される排出ガスの温度を検出する。温度センサ74は、排出ガスの温度に関する検出信号を制御コントローラ70に出力する。
【0049】
図4では、タービン13の膨張比とタービン効率との関係を示している。制御コントローラ70には、タービン13の膨張比とタービン効率とが関係付けられたマップが予め記憶されている。タービン13の膨張比とタービン効率との関係は、例えば、
図4に示す特性線L1のように示される。タービン13の膨張比とタービン効率との関係を示す特性線L1は、タービンホイール17の回転数によって決定される。なお、
図4では、所定の運転条件のときのタービンホイール17の回転数によって決定される特性線L1を一例として示している。制御コントローラ70には、回転数センサ71により検出されたタービンホイール17の回転数に基づいて、タービン13の膨張比とタービン効率との関係を示す特性線L1を導出するプログラムが予め記憶されている。なお、制御コントローラ70には、圧力センサ73により検出される圧力に基づいて、タービン13の膨張比を算出するプログラムが予め記憶されている。
【0050】
図5では、タービン13の膨張比と排出ガスの修正流量との関係を示している。ここで、「排出ガスの修正流量」とは、タービン13に流入する排出ガスの質量流量を、排出ガスの圧力と排出ガスの温度とで修正した流量である。排出ガスの修正流量は、タービンホイール17を通過する前の流量である。
図5において実線L2で示すように、排出ガスの修正流量は、タービン13の膨張比が大きくなるにつれて多くなる。制御コントローラ70には、圧力センサ73により検出された圧力と、温度センサ74により検出された圧力と、に基づいて、流量センサ72により検出された流量を修正流量に修正する修正プログラムが予め記憶されている。
【0051】
制御コントローラ70には、タービン効率がピーク値ηmaxに近付くように、流量調整部67の弁開度を調整するプログラムが予め記憶されている。例えば、
図4に示す状態点P1のように、制御コントローラ70により算出されたタービン13の膨張比が、ピーク値ηmaxに対応する膨張比よりも低い場合を考える。このような場合では、制御コントローラ70は、電動圧縮機12から導入流路61を介して熱交換部50へ導入される空気の流量が増えるように流量調整部67の弁開度を調整する。すなわち、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量が減るように、制御コントローラ70によって流量調整部67の弁開度が調整される。
【0052】
一方で、例えば、
図4に示す状態点P2のように、制御コントローラ70により算出されたタービン13の膨張比が、ピーク値ηmaxに対応する膨張比よりも高い場合を考える。このような場合では、制御コントローラ70は、電動圧縮機12から導入流路61を介して熱交換部50へ導入される空気の流量が減るように流量調整部67の弁開度を調整する。すなわち、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量が増えるように、制御コントローラ70によって流量調整部67の弁開度が調整される。
【0053】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
燃料電池スタック11から排出された排出ガスは、供給口35を介して貯留タンク30内の空気層38に供給される。気液分離部36は、供給口35から供給された排出ガスから水を分離する。そして、気液分離部36で分離された水が貯留部37に貯留される。貯留部37に貯留された水は、電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより蒸発されて水蒸気となる。
【0054】
ここで、各突出部55は、貯留部37に貯留されている水の液面を吸い上げる毛細管現象を引き起こす。したがって、貯留タンク30内の気相と液相との間の表面積が増加されているため、貯留部37に貯留されている水が効率良く蒸発される。また、貯留部37に貯留されている水と多孔質材56との熱交換が行われることにより、貯留部37に貯留された水が蒸発されて水蒸気となる。したがって、貯留部37に貯留された水が効率良く蒸発される。
【0055】
水蒸気は、気液分離部36で水が分離された後の排出ガスと共に排出ガスとして排出口39を介してタービン13へ排出される。このように、タービン13に供給される排出ガスの質量が、水蒸気が加わった分だけ増える。その結果、タービンホイール17の回転によって膨張する排出ガスの質量が増えるため、タービンホイール17の仕事量が増える。これにより、タービン13にて発生する回生動力が増加する。また、気液分離部36で水が分離された後の排出ガスは、貯留タンク30内の空気層38を通過して排出口39からタービン13へ排出される。したがって、貯留タンク30内での排出ガスの圧力損失が生じ難く、タービン13にて発生する回生動力の増加を妨げられることが回避されている。
【0056】
例えば、
図4に示す状態点P1のように、制御コントローラ70により算出されたタービン13の膨張比が、ピーク値ηmaxに対応する膨張比よりも低い場合を考える。このような場合では、制御コントローラ70は、電動圧縮機12から導入流路61を介して熱交換部50へ導入される空気の流量が増えるように流量調整部67の弁開度を調整する。すなわち、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量が減るように、制御コントローラ70によって流量調整部67の弁開度が調整される。
【0057】
これにより、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量が多くなる。したがって、排出ガスの修正流量が多くなるため、タービンホイール17の回転によって膨張する排出ガスの流量が多くなる。よって、タービン13の膨張比が高くなり、タービン13の膨張比が、ピーク値ηmaxに対応する膨張比に近付く。その結果、タービン効率がピーク値ηmaxに近付く。
【0058】
一方で、例えば、
図4に示す状態点P2のように、制御コントローラ70により算出されたタービン13の膨張比が、ピーク値ηmaxに対応する膨張比よりも高い場合を考える。このような場合では、制御コントローラ70は、電動圧縮機12から導入流路61を介して熱交換部50へ導入される空気の流量が減るように流量調整部67の弁開度を調整する。すなわち、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量が増えるように、制御コントローラ70によって流量調整部67の弁開度が調整される。
【0059】
これにより、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量が少なくなる。したがって、排出ガスの修正流量が少なくなるため、タービンホイール17の回転によって膨張する排出ガスの流量が少なくなる。よって、タービン13の膨張比が低くなり、タービン13の膨張比が、ピーク値ηmaxに対応する膨張比に近付く。その結果、タービン効率がピーク値ηmaxに近付く。
【0060】
このように、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量を調整することにより、タービンホイール17の回転によって膨張する排出ガスの流量が調整される。その結果、タービン13の膨張比が調整されるため、タービン13が高いタービン効率で動作する。
【0061】
図3に示すように、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量が多くなって、貯留部37に貯留されている水の液面が下がったとする。このように、貯留部37に貯留されている水の液面が下がることにより、複数の配管部54のうち、鉛直方向の上方に位置する配管部54が、貯留タンク30内の空気層38に露出する場合がある。貯留タンク30内の空気層38に露出した配管部54では、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換が行われ難くなる。このように、貯留部37に貯留されている水の液面の変動によって、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量が微調整される。
【0062】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)燃料電池スタック11から排出された排出ガスは、供給口35を介して貯留タンク30内の空気層38に供給される。気液分離部36は、供給口35から供給された排出ガスから水を分離する。そして、気液分離部36で分離された水が貯留部37に貯留される。貯留部37に貯留された水は、電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより蒸発されて水蒸気となる。水蒸気は、気液分離部36で水が分離された後の排出ガスと共に排出ガスとして排出口39を介してタービン13へ排出される。このように、タービン13に供給される排出ガスの質量が、水蒸気が加わった分だけ増える。その結果、タービンホイール17の回転によって膨張する排出ガスの質量が増えるため、タービンホイール17の仕事量が増える。これにより、タービン13にて発生する回生動力が増加する。また、気液分離部36で水が分離された後の排出ガスは、貯留タンク30内の空気層38を通過して排出口39からタービン13へ排出される。したがって、貯留タンク30内での排出ガスの圧力損失が生じ難く、タービン13にて発生する回生動力の増加を妨げられることが回避されている。以上により、タービン13にて発生する回生動力を効率良く増加させることができる。
【0063】
(2)突出部55によって、貯留部37に貯留されている水の液面を吸い上げる毛細管現象を引き起こすことができるため、貯留タンク30内の気相と液相との間の表面積を増加させることができる。その結果、貯留部37に貯留されている水を効率良く蒸発させることができる。
【0064】
(3)燃料電池システム10は、導入流路61と、バイパス流路65と、流量調整部67と、を備えている。流量調整部67は、導入流路61からバイパス流路65へ分岐して流れる空気の流量を調整することにより、電動圧縮機12から導入流路61を介して熱交換部50へ導入される空気の流量を調整する。これによれば、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量を調整することができる。したがって、タービン13が固定ノズル21を有する構成であるように、タービン室20へ供給される排出ガスの流量が一義的に決まっている構成であったとしても、タービンホイール17の回転によって膨張する排出ガスの流量を調整することができる。その結果、タービン13の膨張比を調整することができるため、タービン13を高いタービン効率で動作させることができる。
【0065】
(4)例えば、貯留部37に貯留されている水の液面が下がることにより、複数の配管部54のうち、鉛直方向の上方に位置する配管部54が、貯留タンク30内の空気層38に露出する場合がある。貯留タンク30内の空気層38に露出した配管部54では、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換が行われ難くなる。このように、貯留部37に貯留されている水の液面の変動によって、貯留部37に貯留された水と電動圧縮機12から吐出された空気との熱交換部50を介した熱交換が行われることにより生成される水蒸気の量を微調整することができる。
【0066】
(5)熱交換部50は、熱交換本体部51に熱的に結合されるとともに所定の高さH1よりも鉛直方向の下方に配置される多孔質材56を有している。これによれば、貯留部37に貯留された水と多孔質材56との熱交換が行われることにより、貯留部37に貯留された水が蒸発されて水蒸気となる。したがって、貯留部37に貯留された水を効率良く蒸発させることができる。
【0067】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
○ 実施形態において、熱交換部50は、突出部55を複数有していなくてもよい。熱交換部50は、例えば、突出部55を1つだけ有している構成であってもよい。
○ 実施形態において、突出部55は、薄板平板状でなくてもよく、例えば、柱状であってもよい。また、突出部55は、例えば、格子材であってもよいし、メッシュ材であってもよい。要は、突出部55は、熱交換本体部51から延びるとともに所定の高さH1を超えて空気層38に突出していればよい。そして、突出部55は、貯留部37に貯留されている水の液面を吸い上げる毛細管現象を引き起こす構成であればよい。
【0069】
○ 実施形態において、熱交換部50は、突出部55を有していなくてもよい。
○ 実施形態において、燃料電池システム10は、バイパス流路65及び流量調整部67を備えていない構成であってもよい。
【0070】
○ 実施形態において、タービン13は、固定ノズル21に代えて、タービン室20へ供給される排出ガスの流量を可変可能である可変ノズルを有している構成であってもよい。
【0071】
○ 実施形態において、熱交換部50は、配管部54を複数有していなくてもよい。熱交換部50は、例えば、配管部54を1つだけ有している構成であってもよい。
○ 実施形態において、各配管部54は、扁平状のチューブでなくてもよく、例えば、円管状のチューブであってもよい。要は、配管部54の形状は特に限定されるものではない。
【0072】
○ 実施形態において、熱交換部50は、多孔質材56を有していなくてもよい。
○ 実施形態において、燃料電池システム10は、タービン13の吸入室22に吸入される排出ガスの温度を検出する温度センサ74を備えていなくてもよい。この場合、例えば、燃料電池スタック11の温度を調整する冷却水の温度から排出ガスの温度を推定するようにしてもよい。
【0073】
○ 実施形態において、貯留タンク30は、例えば、貯留部37に貯留される水の液面の高さを測定する水位センサを有していてもよい。また、ドレンバルブ42は、制御コントローラ70により開閉の駆動が制御される構成であってもよい。そして、制御コントローラ70は、水の液面が所定の高さH1に達した旨の検出信号が水位センサから送信されると、ドレンバルブ42を開弁させるようにドレンバルブ42の駆動を制御するようにしてもよい。
【0074】
○ 実施形態において、気液分離部36は、上壁31の内面から突出する筒部であったが、これに限らない。要は、気液分離部36は、供給口35から供給された排出ガスから水を分離することが可能であれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0075】
○ 実施形態において、燃料電池システム10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、燃料電池システム10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【0076】
[付記]
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
<付記1>
燃料ガスと空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する圧縮部、及び前記圧縮部を駆動させるモータを備えている電動圧縮機と、
前記燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転して前記モータの駆動を補助するタービンホイールを有するタービンと、を備えている燃料電池システムであって、
前記燃料電池スタックから排出される排出ガスに含まれる水を貯留する貯留タンクを備え、
前記貯留タンクは、
前記貯留タンク内の空気層に接続されるとともに前記燃料電池スタックから排出された排出ガスを前記貯留タンク内に供給する供給口と、
前記供給口から供給された前記排出ガスから水を分離する気液分離部と、
前記気液分離部で分離された水が貯留される貯留部と、
前記貯留部に貯留された水と前記電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行う熱交換部と、
前記空気層に接続されるとともに前記気液分離部で水が分離された後の排出ガスを前記タービンへ排出する排出口と、を有していることを特徴とする燃料電池システム。
【0077】
<付記2>
前記貯留タンクは、前記貯留部に貯留される水の液面が所定の高さを超えないように前記貯留部に貯留される水の貯水量を制御する貯水量制御部を有し、
前記熱交換部は、
前記所定の高さよりも鉛直方向の下方に配置される熱交換本体部と、
前記熱交換本体部から延びるとともに前記所定の高さを超えて前記空気層に突出する突出部と、を有していることを特徴とする<付記1>に記載の燃料電池システム。
【0078】
<付記3>
前記タービンは、
前記タービンホイールを収容するタービン室と、
前記タービン室へ供給される排出ガスの流量を絞る固定ノズルと、を有し、
前記電動圧縮機から吐出される空気を前記熱交換部へ導入する導入流路と、
前記導入流路から分岐するとともに前記導入流路を流れる空気を前記熱交換部を迂回して前記燃料電池スタックへ供給するバイパス流路と、
前記導入流路から前記バイパス流路へ分岐して流れる空気の流量を調整することにより、前記電動圧縮機から前記導入流路を介して前記熱交換部へ導入される空気の流量を調整する流量調整部と、を備えていることを特徴とする<付記1>又は<付記2>に記載の燃料電池システム。
【0079】
<付記4>
前記熱交換部は、前記貯留タンク内において鉛直方向に並んで配置される配管部を複数有し、
前記電動圧縮機から吐出された空気は、前記各配管部内を流れ、
前記各配管部は、前記貯留部に貯留された水と前記電動圧縮機から吐出された空気との熱交換を行うことを特徴とする<付記1>~<付記3>のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【0080】
<付記5>
前記熱交換部は、前記熱交換本体部に熱的に結合されるとともに前記所定の高さよりも鉛直方向の下方に配置される多孔質材を有していることを特徴とする<付記2>に記載の燃料電池システム。
【符号の説明】
【0081】
10…燃料電池システム、11…燃料電池スタック、12…電動圧縮機、13…タービン、14…圧縮部、15…モータ、17…タービンホイール、20…タービン室、21…固定ノズル、30…貯留タンク、35…供給口、36…気液分離部、37…貯留部、38…空気層、39…排出口、40…貯水量制御部、50…熱交換部、51…熱交換本体部、54…配管部、55…突出部、56…多孔質材、61…導入流路、65…バイパス流路、67…流量調整部。