(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056501
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】透明整髪料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20240416BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240416BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/92
A61K8/31
A61K8/37
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163423
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】品川 直基
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC532
4C083AC712
4C083CC32
4C083DD01
4C083DD23
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】べたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない透明整髪料組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(B)コメヌカロウ、(C)キャンデリラロウまたはカルナウバロウから選ばれる1種以上、(D)軽質流動イソパラフィンまたはイソドデカンから選ばれる1種以上、(E)炭素数14~18の一価脂肪酸とイソプロピルアルコールの25℃で液状のエステル油および(F)水を含有し、前記(A)成分の含有量が15~40質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)が4~30質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比(B)/((B)+(C))が0.05~0.25であり、前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)が1~20質量%である透明整髪料組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B)コメヌカロウ
(C)キャンデリラロウまたはカルナウバロウから選ばれる1種以上
(D)軽質流動イソパラフィンまたはイソドデカンから選ばれる1種以上
(E)炭素数14~18の一価脂肪酸とイソプロピルアルコールの25℃で液状のエステル油
および(F)水を含有し、前記(A)成分の含有量が15~40質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)が4~30質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比(B)/((B)+(C))が0.05~0.25であり、前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)が1~20質量%である透明整髪料組成物。
【請求項2】
前記(A)成分がポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上およびポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が30を超えるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上の両方を含有する請求項1記載の透明整髪料組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の平均HLBが7.2~12.3である請求項1記載の透明整髪料組成物。
【請求項4】
前記(C)成分がキャンデリラロウおよびカルナウバロウの両方を含有する請求項1記載の透明整髪料組成物。
【請求項5】
前記(E)成分の含有量に対する前記(D)成分の含有量の質量比(D)/(E)が0.25~4である請求項1記載の透明整髪料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明整髪料組成物に関する。特に、べたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない透明整髪料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
髪型を形成できる特徴を有する化粧料組成物の一つに、一般にヘアワックスといわれる、25℃で固形のロウや固形の炭化水素等を含有する油性成分と水を乳化させた整髪料組成物があり、広く用いられている。ヘアワックスは、毛髪を固めすぎず自然な風合いの髪型を形成する特性および髪型を長時間保持する特性(以下セット力という)を有しており、バリバリした感触を与えることなく、ナチュラルな質感を得ることができる。このためヘアワックスは髪型の流行に左右されず近年でも根強い需要がある。特に、25℃で固形の植物性ロウであるキャンデリラロウやカルナウバロウが含有されるヘアワックスはセット力が良好になるため、汎用されている。
【0003】
ところで、化粧品の世界観を消費者へ印象付けるため、容器の選定やデザインを開発する際に、化粧料組成物が透明であることが求められる場合がある。一般にヘアワックスは不透明であるが、透明な外観を有するものが特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0004】
しかしながら、透明な外観を有するヘアワックスは5℃といった低温や40℃といった高温での保存下において、キャンデリラロウやカルナウバロウの析出が発生することがあり、解消するために界面活性剤を多量に配合するとべたつきが生じてしまう問題があった。また、40℃といった高温での保存下において、キャンデリラロウやカルナウバロウの原料臭が強くなり、消費者に不快な印象を与えることがあり、キャンデリラロウやカルナウバロウを取り除くとヘアワックスのセット力が満足されるものではなくなってしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-201584号公報
【特許文献2】特開2019-131521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものである。即ち本発明は、べたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない透明整髪料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(B)コメヌカロウ、(C)キャンデリラロウまたはカルナウバロウから選ばれる1種以上、(D)軽質流動イソパラフィンまたはイソドデカンから選ばれる1種以上、(E)炭素数14~18の一価脂肪酸とイソプロピルアルコールの25℃で液状のエステル油および(F)水を含有し、前記(A)成分の含有量が15~40質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)が4~30質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比(B)/((B)+(C))が0.05~0.25であり、前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)が1~20質量%である透明整髪料組成物にべたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない透明整髪料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、べたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない透明整髪料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明は、(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(B)コメヌカロウ、(C)キャンデリラロウまたはカルナウバロウから選ばれる1種以上、(D)軽質流動イソパラフィンまたはイソドデカンから選ばれる1種以上、(E)炭素数14~18の一価脂肪酸とイソプロピルアルコールの25℃で液状のエステル油および(F)水を含有し、前記(A)成分の含有量が15~40質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)が4~30質量%であり、前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比(B)/((B)+(C))が0.05~0.25であり、前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)が1~20質量%である透明整髪料組成物である。
【0011】
本発明は、40℃および5℃での透明安定性の観点から、(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する。
【0012】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、15~40質量%であり、好ましくは18~30質量%がよい。前記(A)成分が15質量%未満の場合、40℃および5℃での透明安定性が損なわれる。前記(A)成分が40質量%を超える場合、べたつきが生じる。
【0013】
本発明に用いられる前記(A)成分の平均HLBは、40℃および5℃での透明安定性の観点から、好ましくは7.2~12.3、より好ましくは8.1~11.4がよい。平均HLBが7.2未満の場合、5℃での透明安定性が損なわれる恐れがあり、平均HLBが12.3を超える場合、40℃での透明安定性が低下する恐れがある。
【0014】
本発明において非イオン性界面活性剤のHLBとは、親水性-親油性のバランス(Hydrophile-Lipophile Balance)を示す指標であり、種々の方法がある。ここでは、「Griffin法」および「ハンドブック-化粧品・製剤原料-改定版 日光ケミカルズ株式会社 1977年,854~855ページ」に記載されている「実測値による方法」のいずれかを用いて算出することが好ましい。「HLB値は10.0以上」とは、「Griffin法」および「実測値による方法」のいずれかにおいてHLBが10.0以上である界面活性剤を意味する。
【0015】
本発明に用いられる前記(A)成分は、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.10)(HLB:6.4)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.20)(HLB:9.7)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.25)(HLB:10.8)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.40)(HLB:13.1)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.50)(HLB:14.1)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.60)(HLB:14.8)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.80)(HLB:15.8)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.100)(HLB:16.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.200)(HLB:18.1)が挙げられる。前記(A)成分は1種以上を含有することができる。尚、E.O.とはポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数のことであり、例えば、「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.10)」とは、ポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が10のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を意味する。
【0016】
本発明に用いられる前記(A)成分のうち、40℃および5℃での透明安定性を向上させる観点から、好ましくはポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上およびポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が30を超えるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上の両方を含有することがよい。
【0017】
本発明は、セット力および40℃での臭いの変化をなくす観点から、(B)コメヌカロウを含有する。
【0018】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、好ましくは0.6~4.5質量%であり、より好ましくは1.2~3質量%がよい。
【0019】
本発明は、セット力の観点から、(C)キャンデリラロウまたはカルナウバロウから選ばれる1種以上を含有する。
【0020】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、好ましくは3.4~25.5質量%であり、より好ましくは8.5~17質量%がよい。
【0021】
本発明に用いられる前記(C)成分のうち、5℃での透明安定性および40℃での臭いの変化のなさを向上させる観点から、好ましくはキャンデリラロウおよびカルナウバロウの両方を含有することがよい。
【0022】
本発明で用いられる前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)は、4~30質量%であり、好ましくは10~20質量%がよい。前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)が4質量%未満の場合、セット力が損なわれる。前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量(B)+(C)が30質量%を超える場合、40℃および5℃での透明安定性が損なわれる。
【0023】
本発明で用いられる前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の質量比(B)/((B)+(C))は、5℃での安定性および40℃での臭いの変化のなさの観点から、0.05~0.25であり、好ましくは0.1~0.2がよい。前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の質量比(B)/((B)+(C))が0.05未満の場合、40℃での臭いの変化が大きい。前記(B)成分と前記(C)成分の合計含有量に対する前記(B)成分の質量比(B)/((B)+(C))が0.25を超える場合、5℃での透明安定性が損なわれる。
【0024】
本発明は、べたつきのなさおよび5℃での透明安定性の観点から、(D)軽質流動イソパラフィンまたはイソドデカンから選ばれる1種以上を含有する。
【0025】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、好ましくは0.6~12質量%であり、より好ましくは1.2~4.8質量%がよい。
【0026】
本発明に用いられる前記(D)成分のうち、5℃での透明安定性を向上させる観点から、好ましくは軽質流動イソパラフィンがよい。
【0027】
本発明は、40℃および5℃での透明安定性の観点から、(E)炭素数14~18の一価脂肪酸とイソプロピルアルコールの25℃で液状のエステル油を含有する。
【0028】
本発明で用いられる前記(E)成分の含有量は、好ましくは0.4~8質量%であり、より好ましくは0.8~3.2質量%がよい。
【0029】
本発明で用いられる前記(E)成分としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル等が挙げられる。前記(E)成分は1種以上を含有することができる。
【0030】
本発明で用いられる前記(E)成分は、べたつきのなさおよびセット力を向上させる観点から、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルがよく、さらにべたつきのなさを向上させる観点から、より好ましくはミリスチン酸イソプロピルがよい。
【0031】
本発明で用いられる前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)は、1~20質量%であり、好ましくは2~8質量%がよい。前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)が1質量%未満の場合、40℃および5℃での透明安定性が損なわれる。前記(D)成分と前記(E)成分の合計含有量(D)+(E)が20質量%を超える場合、べたつきが生じるおよびセット力が損なわれる。
【0032】
本発明で用いられる前記(E)成分に対する前記(D)成分の質量比(D)/(E)は、べたつきのなさおよび5℃での透明安定性を向上させる観点から、好ましくは0.25~4であり、より好ましくは1~2.03がよい。前記(E)成分に対する前記(D)成分の質量比(D)/(E)が0.25未満の場合、べたつきが生じる恐れがある。前記(E)成分に対する前記(D)成分の質量比(D)/(E)が4を超える場合、5℃での透明安定性が損なわれる恐れがある。
【0033】
本発明は、(F)水を含有する。
【0034】
本発明で用いられる前記(F)成分としては、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、天然水および精製水等が挙げられる。前記(F)成分は1種以上を含有することができる。
【0035】
本発明で用いられる前記(F)成分の含有量は、好ましくは43~71質量%がよい。前記(F)成分が43質量%未満または71質量%を超える場合、整髪料組成物が透明ではなくなる恐れがある。
【0036】
本発明の透明整髪料組成物に一価アルコールを含有する場合、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは含有しないことがよい。一価アルコールが1質量%を超える場合、5℃での透明安定性が低下する恐れや、透明整髪料組成物が分離する恐れがある。
【0037】
本発明で用いられる一価アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。
【0038】
本発明の透明整髪料組成物は前記必須成分の他に、発明の効果を損なわない範囲であれば、前記成分の他に通常化粧品に用いられる成分として、例えば、前記(A)成分以外の界面活性剤、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分および前記(E)以外の油性成分、多価アルコール、ビタミン類、キレート剤、pH調整剤、増粘剤、保湿剤、被膜形成剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、酸化防止剤、還元剤、植物性抽出物、生薬抽出物、香料、防腐剤、色素、紫外線吸収剤等から選ばれる少なくとも1種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0039】
本発明による透明整髪料組成物の外観は透明である。外観が透明であることで、透明整髪料組成物が充填される製品容器のデザインを阻害する恐れがなく、多様なデザインに用いることが可能である。
【0040】
本発明における外観が透明とは、目視で定性的に判断することが可能である。具体的には、常法にて調製して得られた透明整髪料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で48時間静置し、サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を目視にて読み取ることが可能な状態を外観が透明とする。前記8ポイント文字を目視にて読み取ることが可能であれば、透明整髪料組成物が色を有していてもよい。
【0041】
本発明による透明整髪料組成物の20℃条件下におけるpHは、好ましくは3~5がよい。
【0042】
本発明による20℃条件下におけるpHは、常法にて調製して得られた透明整髪料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で48時間静置し、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、堀場製作所製)を用い原液のpHを示す。
【0043】
本発明による透明整髪料組成物の20℃条件下における硬度は、好ましくは10~180gf、より好ましくは30~140gfがよい。
【0044】
本発明による20℃条件下における硬度は、常法にて調製して得られた透明整髪料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で48時間静置し、クリープメータ(RE3305S、山電社製)を用い、60mm/分の速度で直径15mmのアダプターを30mm挿入したときの応力のピーク値(単位:gf)を示す。
【0045】
本発明による透明整髪料組成物の性状は、指で取りやすく、掌からの垂れ落ち難い観点から、好ましくはゲル状であることがよい。
【0046】
本発明による透明整髪料組成物を充填する容器は、チューブ容器、ジャー容器、パウチ容器等各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【実施例0047】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0048】
本明細書に示す評価試験において、透明整髪料組成物に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0049】
本明細書に示す評価試験において、「べたつきのなさ」、「セット力」、「透明安定性(40℃)」、「透明安定性(5℃)」「臭いの変化の無さ(40℃)」について下記の方法で評価した。
【0050】
「べたつきのなさ」
実施例および比較例で得られた各透明整髪剤組成物0.5gを掌でのばし、長さ20cm重さ5gの一方の端を輪ゴムでしばり、他方の端部をフリー(自由)にした毛束(ビューラックス社製、商品名BS-A)に均一になるように塗布した。塗布後の毛束を3本の指で挟み一方の端から他方の端まで2回しごき、その際の感触を、下記の基準で専門のパネラー1名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:べたつきが全く気にならない。(指のすべりがよい。)
〇:べたつきがあまり気にならない。(指のすべりがわずかによい。)
×:べたつきが気になる。(指のすべりが悪い。)
【0051】
「セット力」
実施例および比較例で得られた各透明整髪剤組成物3gを掌でのばし、ミディアムヘア(トップ10cm、サイド5cm)にカットしたウィッグ(ビューラックス社製、商品名No.775N)に、トップは毛髪を根元から上方に立ち上げるように、サイドは毛髪をねじりながら曲げるように整髪し、25℃湿度50%に設定した部屋に1時間放置後、整髪された毛髪の形状を、下記の基準で専門のパネラー1名が目視にて評価した。
<評価基準>
◎:トップの毛髪の立ち上がりが維持されており、毛髪は上方に立ち上がっていた。
〇:トップの毛髪の立ち上がりがわずかに維持されており、毛髪は水平~上方へ立ち上がっていた。
×:トップの毛髪の立ち上がりが維持されておらず、毛髪は下方に寝かしつけられていた。
【0052】
「透明安定性(40℃)」
実施例および比較例で得られた各透明整髪剤組成物を、サンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に約120g充填し、40℃の恒温器中で60日間保管した。保管後のサンプル瓶を20℃で48時間静置し、サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を専門のパネラー3名が読み、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を3名が読み取ることができた。
〇:サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を1~2名が読み取ることができた。
×:サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を3名とも読み取ることができなかった。
【0053】
「透明安定性(5℃)」
実施例および比較例で得られた各透明整髪剤組成物を、サンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に約120g充填し、5℃の恒温器中で60日間保管した。保管後のサンプル瓶を20℃で48時間静置し、サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を専門のパネラー3名が読み、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を3~2名が読み取ることができた。
〇:サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を1名が読み取ることができた。
×:サンプル瓶の後ろに置いた8ポイント文字を3名とも読み取ることができなかった。
【0054】
「臭いの変化(40℃)」
実施例および比較例で得られた各透明整髪剤組成物を、サンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に約120g充填したものを2つ用意し、一方は40℃の恒温器中で60日間、一方は20℃の恒温器中で60日間それぞれ保管した。保管後のサンプル瓶を20℃で48時間静置し、各透明整髪剤組成物の臭いを専門のパネラー3名が嗅ぎ、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:3~2名が臭いの変化がないと評価した。
〇:1名が臭いの変化がないと評価した。
×:3名とも臭いの変化があると評価した。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
表1および表8に示す実施例1~33から、べたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない透明整髪料組成物について良好な結果を得ることが確認された。
【0064】
実施例34の透明整髪料組成物を使用して各種試験を行っても、べたつきがなく、高いセット力を有し、40℃および5℃での透明安定性に優れ、さらに40℃での臭いの変化がない良好な結果を得ることが確認された。
【0065】
実施例34
成分 含有量(質量%)
(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.10) 11.70
(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(E.O.40) 9.20
(B)コメヌカロウ 1.76
(C)キャンデリラロウ 7.65
(C)カルナウバロウ 2.50
(D)軽質流動イソパラフィン 3.00
(E)ミリスチン酸イソプロピル 2.00
(F)精製水 51.54
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(E.O.30) 4.10
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 0.01
パラフィン 1.54
濃グリセリン 3.50
グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル 0.20
フェノキシエタノール 0.40
エデト酸二ナトリウム 0.30
香料 0.60
合計 100.00
pH(20℃):4.4
硬度(20℃):86gf