(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056505
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20240416BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240416BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240416BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240416BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/06
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/73
A61K8/37
A61Q1/02
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163434
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 郁子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB221
4C083AB222
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC332
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC782
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD492
4C083BB12
4C083BB21
4C083BB23
4C083BB25
4C083CC03
4C083CC12
4C083DD31
4C083DD33
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】塗布中のみずみずしい軽い使用感が得られ、塗布後の肌なじみが良く、カバー力に優れ、肌にうるおい感のあるツヤがみられる乳化化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)粉体 2質量%以上、
(B)多糖系増粘剤、
(C)ダイマー酸エステル 0.01~4質量%、
(D)融点が38~60℃の炭化水素油 0.1~4質量%
を含有し、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(A)の質量割合(A)/((C)+(D))が、2~40である乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)粉体 2質量%以上、
(B)多糖系増粘剤、
(C)ダイマー酸エステル 0.01~4質量%、
(D)融点が38~60℃の炭化水素油 0.1~4質量%
を含有し、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(A)の質量割合(A)/((C)+(D))が、2~40である乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)の含有量が2~40質量%、成分(B)の含有量が0.0001~2質量%である請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)が、0.05~3である、請求項1又は2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
水中油型乳化化粧料である請求項1~3のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳化化粧料において、乳化安定性を向上させるため、増粘剤や、ゲル化剤を用い、使用感に優れた乳化化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステル、並びにN,N-ジメチルアクリルアミドを構成単位として含むクロスポリマーと、多糖系増粘剤と、粉体とを特定の割合で含有する水中油型乳化メイクアップ化粧料が、保存安定性、感触に優れ、とまりの良さ、べたつきのなさ、清涼感、化粧持ち、艶、保湿性、安全性、生産時のハンドリング性が良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉体、多糖系増粘剤、ダイマー酸エステルを含有する乳化化粧料は、使用感が重く、カバー力が出にくく、粉っぽい仕上がりになるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、粉体と、多糖系増粘剤を含有する乳化化粧料に、特定量のダイマー酸エステルと、ペースト状炭化水素油を併用することにより、塗布中のみずみずしい軽い使用感が得られ、塗布後の肌なじみが良く、カバー力に優れ、肌にうるおい感のあるツヤがみられることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)粉体 2質量%以上、
(B)多糖系増粘剤、
(C)ダイマー酸エステル 0.01~4質量%、
(D)融点が38~60℃の炭化水素油 0.1~4質量%
を含有し、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(A)の質量割合(A)/((C)+(D))が、2~40である乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乳化化粧料は、塗布中のみずみずしい軽い使用感が得られ、塗布後の肌なじみが良く、カバー力に優れ、肌にうるおい感のあるツヤがみられるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)の粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、合成金雲母、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ等の無機顔料及びこれらの複合顔料などが挙げられる。複合顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化亜鉛被覆雲母、酸化チタン・酸化亜鉛被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、硫酸バリウム・酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆合成金雲母、酸化クロム被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン内包ガラス末、酸化鉄内包ガラス末等が挙げられる。
【0009】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;カーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素などが挙げられる。
【0010】
光輝性顔料としては、雲母、合成金雲母、ガラス、シリカ、アルミナ等の板状粉体等の表面を、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなど、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミ蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末などの、フィルム原反を任意形状に断裁したものなどを用いることができる。
【0011】
成分(A)の粉体は、そのまま使用できるほか、通常の方法により、疎水化処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、例えば、フッ素化合物処理、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリ樹脂処理、ウレタン樹脂処理等の表面処理が挙げられる。
【0012】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌を綺麗に仕上げ、カバー力に優れる観点から、全組成中に2質量%以上であり、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に2質量%以上であり、2~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、4~20質量%がさらに好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(B)の多糖系増粘剤としては、通常の化粧料の用いられるもので、例えば、キサンタンガム、スクレロチウムガム、アラビアガム、ヒドロキシアルキルセルロース、グアーガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、チューベロース多糖体、シロキクラゲ多糖体、ローカストビーンガム、酸化セルロース等が挙げられる。
これらのうち、塗布中のみずみずしい軽い使用感と、うるおい感のあるツヤを得る観点から、キサンタンガム、ヒドロキシアルキルセルロースが好ましく、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースがより好ましく、少なくともキサンタンガムを含むのがさらに好ましい。
【0014】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布中のみずみずしい軽い使用感と、うるおい感のあるツヤを得る観点から、全組成中に0.0001質量%以上であるのが好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上がさらに好ましく、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.0001~2質量%であるのが好ましく、0.01~1質量%がより好ましく、0.03~0.3質量%がさらに好ましい。
【0015】
成分(C)のダイマー酸エステルは、2分子の不飽和脂肪酸の重合によって得られるダイマー酸のエステルである。不飽和脂肪酸としては、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等が挙げられる。また、これらダイマー酸のエステル部分としては、イソプロピルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコール、ダイマージリノレイルアルコール等の不飽和アルコール2分子が重合したダイマージオール、フィトステロール等から誘導できるもの、及びヒマシ油などが挙げられる。
具体的には、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスステアリル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ジリノール酸ジイソプロピル等が挙げられる。
【0016】
成分(C)としては、塗布後の肌なじみの良さ、うるおい感のあるツヤを得る観点から、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ジリノール酸ジイソプロピルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、少なくともダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)を含むのがより好ましい。
【0017】
また、成分(C)としては、例えば、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)として、「Plandool-G」(日本精化社製)等、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)として、「Plandool-H」(日本精化社製)等、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスステアリルとして、「LUSPLAN DA-DD-IS」(日本精化社製)等、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油として、「リソカスタDA-L」(高級アルコール工業社製)等、ジリノール酸ジイソプロピルとして、「KAK DADIP-R」(高級アルコール工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0018】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布後の肌なじみの良さ、うるおい感のあるツヤを得る観点から、全組成中に0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、4質量%以下であり、2質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.01~4質量%であり、0.05~2質量%が好ましく、0.1~0.8質量%がより好ましい。
【0019】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、塗布後の肌なじみの良さ、色むらカバー力の高さ、うるおい感のあるツヤを得る観点から、5以上であるのが好ましく、10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、150以下が好ましく、100以下がより好ましく、80以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、5~150であるのが好ましく、10~100がより好ましく、15~80がさらに好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(D)は、融点が38~60℃の炭化水素油である。
成分(D)融点が38~60℃の炭化水素油は、炭化水素類の混合物を精製して得られる半固形状のものであり、通常、化粧料で用いられているものであれば特に制限されず用いることができるが、使用時の使用感及び耐衝撃性の観点から、融点が53~60℃のものが好ましい。
本発明において、融点は、医薬部外品原料規格、一般試験法の第1法、第2法、又は第3法のいずれかにより、測定されるものである。いずれの方法を採用するかは、各成分について、医薬部外品原料規格において測定法の記載がある場合には、それに従う。記載がない場合には、融点を考慮して測定法を選択する。具体的には、融点が80℃を大きく超えるような高い場合には第1法、これより融点が低い場合には第2法、カタログ等でペースト油と呼ばれるものには第3法を用いるのが一般的であるが、測定できる方法であればいずれの方法であっても良い。
また、市販品としては、白色ワセリン、パーフェクタ(Sonneborn社製)、ノムコートW(日清オイリオグループ社製)、クロラータムV(クローダ ジャパン社製)、サンホワイトP-200(日興リカ社製)等が挙げられる。
融点が38~60℃の炭化水素油としては、塗布後の肌なじみの良さと色むらカバー力の高さを得る観点から、ワセリンが好ましい。
【0021】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布後の肌なじみの良さと色むらカバー力を得る観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、4質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.1~4質量%であり、0.2~3質量%が好ましく、0.3~2.5質量%がより好ましい。
【0022】
本発明において、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(A)の質量割合(A)/((C)+(D))は、塗布後の肌なじみの良さ、色むらカバー力の高さ、うるおい感のあるツヤを得る観点から、2以上であり、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、40以下であり、30以下が好ましく、20以下がより好ましい。また、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(A)の質量割合(A)/((C)+(D))は、2~40であり、3~30が好ましく、4~20がより好ましい。
【0023】
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、塗布後の肌なじみの良さ、色むらカバー力の高さ、うるおい感のあるツヤを得る観点から、0.05以上であるのが好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、3以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、0.05~3であるのが好ましく、0.1~2がより好ましく、0.2~0.8がさらに好ましい。
【0024】
本発明の乳化化粧料は、さらに、25℃で液状の油成分を含有することができる。
25℃で液状とは、25℃において、流動性を有するもので、クリーム状やペースト状のものも含まれる。
25℃で液状の油成分としては、例えば、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、エーテル油、高級アルコール等が挙げられる。
【0025】
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0026】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油が挙げられる。
【0027】
エステル油としては、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油などが挙げられ、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、パラメトキシケイ皮酸オクチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、安息香酸アルキル(C12~15)、炭酸プロピレン、ホホバ油、部分水素添加ホホバ油、植物油等が挙げられる。
【0028】
エーテル油としては、ジアルキルエーテルが挙げられ、具体的には、ジヘキシルエーテル、ジカプリリルエーテル、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル等が挙げられる。
高級アルコールとしては、分岐構造を有する炭素数16~24の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、例えば、デシルテトラデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0029】
25℃で液状の油成分としては、塗布中の感触を向上させる観点から、少なくともシリコーン油、炭化水素油、エステル油から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。
【0030】
25℃で液状の油成分は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布中の感触を向上させる観点から、全組成中に1~35質量%であるのが好ましく、3~25質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
【0031】
本発明の乳化化粧料は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有することができ、保存安定性の向上、良好な使用感を得ることができる。
非イオン性界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグリセリルエーテル、ポリオキシエチレアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンや、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーン;ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル変性ポリエーテル変性シリコーン、アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
これらのうち、乳化安定性を高め、良好な使用感を得る観点から、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。
【0032】
また、非イオン性界面活性剤は、乳化安定性を高め、良好な使用感を得る観点から、HLB1~8であるのが好ましい。
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。また、2種以上の非イオン性界面活性剤から構成される場合、混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン性界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン性界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン性界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0033】
非イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上組合わせて用いることができ、含有量は、乳化安定性を高め、良好な使用感を得る観点から、全組成中に0.1~5質量%であるのが好ましく、0.3~4質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
【0034】
本発明において、水の含有量は、みずみずしい使用感を得る観点から、全組成中に20~70質量%であるのが好ましく、30~65質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。
【0035】
本発明の乳化化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の界面活性剤、前記以外の油性成分、高分子化合物、酸化防止剤、香料、防腐剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
【0036】
本発明の乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができる。
また、本発明の乳化化粧料は、油中水型乳化化粧料、水中油型乳化化粧料のいずれでも良く、水中油型乳化化粧料として好適である。
【0037】
本発明の乳化化粧料は、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができ、メイクアップ化粧料として好適である。
【実施例0038】
実施例1~7、比較例1
表1に示す組成の水中油型乳化化粧料(ファンデーション)を製造し、塗布中のみずみずしい軽い使用感、塗布後の肌なじみ、カバー力、塗布後のうるおい感のあるツヤを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0039】
(製造方法)
粉体相成分を混合粉砕し、別途80℃で混合した水相成分に添加して、ディスパーで分散した。その後、別途80℃で混合した油相成分を添加し、ホモミキサーで撹拌した後、30℃まで冷却することにより、水中油型乳化化粧料(ファンデーション)を得た。
【0040】
(評価方法)
(1)塗布中のみずみずしい軽い使用感:
専門パネラー5名により、各水中油型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に手で伸ばしたときのみずみずしい軽い使用感を、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5;非常に軽くのび、みずみずしい。
4;軽くのび、みずみずしい。
3;やや軽くのび、みずみずしい。
2;ややのびが重く、みずみずしさがない。
1;のびが重く、みずみずしさがない。
【0041】
(2)塗布後の肌なじみ:
専門パネラー5名により、各水中油型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に手で伸ばした後の肌なじみを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5;肌にしっかりなじんでいる。
4;肌になじんでいる。
3;やや肌になじんでいる。
2;あまり肌になじんでいない。
1;肌になじんでいない。
【0042】
(3)カバー力:
専門パネラー5名により、各水中油型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に手で伸ばした後のカバー力を、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5;肌の色むらをしっかりカバーできる。
4;肌の色むらをカバーできる。
3;肌の色むらをややカバーできる。
2;肌の色むらをあまりカバーできていない。
1;肌の色むらをカバーできていない
【0043】
(4)塗布後のうるおい感のあるツヤ:
専門パネラー5名により、各水中油型乳化化粧料(ファンデーション)を肌に手で伸ばした後のうるおい感のあるツヤを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
なお、うるおい感のあるツヤとは、肌全体、特に頬部分に肌が潤ったようなツヤがみられることをいう。
5;非常にうるおい感のあるツヤがみられる。
4;うるおい感のあるツヤがみられる。
3;ややうるおい感のあるツヤがみられる。
2;あまりうるおい感のあるツヤがみられない。
1;うるおい感のあるツヤがみられない。
【0044】
【0045】
実施例8
実施例1~7と同様にして、表2に示す組成の水中油型乳化化粧料(化粧下地)を製造した。
得られた水中油型乳化化粧料は、塗布中にみずみずしい軽い使用感で、塗布後の肌にしっかりなじみ、肌の色むらをカバーでき、うるおい感のあるツヤが見られるものである。
【0046】