(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056538
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ケーブル保持装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/38 20060101AFI20240416BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20240416BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H02G3/38 050
H02G3/32
F16B2/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163506
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柴貞弘
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3J022EA32
3J022EB14
3J022EC14
3J022FB03
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA05
3J022HB02
3J022HB06
5G363AA16
5G363BA01
5G363DA13
5G363DA15
5G363DB11
5G363DB12
5G363DB17
(57)【要約】
【課題】固定および撤去が容易なケーブル保持装置を提供する。
【解決手段】ケーブル保持装置10は、スラブSに載置可能なベースプレート20と、ベースプレート20から上方へ突出した保持板30と、保持板30の上端部を切り欠いて形成され、上方からケーブルを押し込んで保持可能な複数の保持溝36と、スラブSに載置され床板を支持する支持脚90に、ベースプレート20を連結して固定する連結部材50と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブに載置可能なベースプレートと、
前記ベースプレートから上方へ突出した保持板と、
前記保持板の上端部を切り欠いて形成され、上方からケーブルを押し込んで保持可能な複数の保持溝と、
前記スラブに載置された状態で床板を支持する支持脚に、前記ベースプレートを連結して固定する連結部材と、
を備えたケーブル保持装置。
【請求項2】
前記保持板は弾性部材によって形成され、
前記保持溝は、円形状の保持部と、前記保持部の上方に形成され前記保持部の直径より幅が狭い挿通部と、
を備えた請求項1に記載のケーブル保持装置。
【請求項3】
前記ベースプレートの上面には、前記連結部材を係止させる支柱の下端部を挿入可能な第一挿入穴が形成され、
前記ベースプレートの下面には、前記支柱の上端部を挿入可能な第二挿入穴が形成されている、請求項1又は2に記載のケーブル保持装置。
【請求項4】
前記保持板は、前記ベースプレートの上面に形成された溝にスライドして着脱可能に保持されている、
請求項1又は2に記載のケーブル保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、OAフロア内での通信ケーブルや電源ケーブルを配線支持するケーブル支持具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたケーブル支持具を形成する固定プレートは、固定孔を備え、この固定孔に、コンクリートネジやアンカー等の固定具が挿入される。これによりケーブル支持具が所定面に固定される。また、特許文献1には、ケーブル支持具を接着剤や両面テープを用いて所定面に固定してもよい旨が記載されている。
【0005】
しかし、例えばケーブル支持具をコンクリートネジやアンカーでコンクリートの所定面に固定する場合、コンクリートを穿孔する手間が生じる。また、コンクリートネジやアンカーがコンクリート内の鉄筋と干渉すると、所望の位置にケーブル支持具を固定できない場合がある。
【0006】
そして、接着剤や両面テープを用いてケーブル支持具を所定面に固定すると、ケーブルが不要となった際にケーブル支持具の撤去が難しい。また、仮に撤去できたとしても接着剤や両面テープを除去する手間がかかる。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、固定および撤去が容易なケーブル保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のケーブル保持装置は、スラブに載置可能なベースプレートと、前記ベースプレートから上方へ突出した保持板と、前記保持板の上端部を切り欠いて形成され、上方からケーブルを押し込んで保持可能な複数の保持溝と、前記スラブに載置された状態で床板を支持する支持脚に、前記ベースプレートを連結して固定する連結部材と、を備える。
【0009】
請求項1のケーブル保持装置では、保持板を切り欠いて形成された複数の保持溝にケーブルを押し込んで保持できる。これにより、ケーブルを整然と配置できる。
【0010】
また、スラブに載置されたベースプレートが、連結部材を介して、床板を支持する支持脚に固定される。つまり、このケーブル保持装置は、スラブではなく二重床の支持脚に固定される。このため、ケーブル保持装置を、コンクリートネジ、アンカー及び接着剤などを用いてスラブに固定する構成と比較して、ケーブル保持装置の固定および撤去が容易である。
【0011】
請求項2のケーブル保持装置は、請求項1に記載のケーブル保持装置において、前記保持板は弾性部材によって形成され、前記保持溝は、円形状の保持部と、前記保持部の上方に形成され前記保持部の直径より幅が狭い挿通部と、を備える。
【0012】
請求項2のケーブル保持装置では、保持溝が、円形状の保持部と、保持部の上方に形成され保持部の直径より幅が狭い挿通部と、を備えている。また、保持板が弾性部材によって形成されている。
【0013】
このため、挿通部の幅より大きく保持部の直径より小さい直径を有するケーブルを上方から押し込んだ際に、挿通部の周囲の部分が弾性変形して、ケーブルを挿通できる。また、挿通部を挿通したあとのケーブルは保持部に保持される。また、挿通部の周囲の部分は復元して元の形状に戻る。これにより、ケーブルを保持部から抜けにくい状態で保持できる。
【0014】
さらに、ケーブル端部の端子を取り外せば、ケーブルを軸方向に沿って抜き出せる。これにより、不要となったケーブルを、力を入れずに容易に撤去できる。
【0015】
請求項3のケーブル保持装置は、請求項1又は2に記載のケーブル保持装置において、前記ベースプレートの上面には、前記連結部材を係止させる支柱の下端部を挿入可能な第一挿入穴が形成され、前記ベースプレートの下面には、前記支柱の上端部を挿入可能な第二挿入穴が形成されている。
【0016】
請求項3のケーブル保持装置は、ベースプレートの上面に形成された第一挿入穴に、連結部材を係止させる支柱の下端部を挿入できる。また、ベースプレートの下面には、支柱の上端部を挿入可能な第二挿入穴が形成されている。これにより、保持板の上方にベースプレートを重ねて配置できる。このため、多くのケーブルを近接して配置する場合でも、これらのケーブルを整然と配置できる。
【0017】
請求項4のケーブル保持装置は、請求項1又は2に記載のケーブル保持装置において、前記保持板は、前記ベースプレートの上面に形成された溝にスライドして着脱可能に保持されている。
【0018】
請求項4のケーブル保持装置では、保持板が、ベースプレートの上面に形成された溝にスライドして着脱可能に保持されている。これにより、保持溝の形状や数量が異なる保持板を、適宜付け替えることができる。このため、複数種類のケーブルを整然と配置できる。
【0019】
なお、請求項4のケーブル保持装置は、請求項1~3の何れか1項に記載のケーブル保持装置において、前記保持板は、前記ベースプレートの上面に形成された溝にスライドして着脱可能に保持されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のケーブル保持装置は、固定および撤去が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るケーブル保持装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るケーブル保持装置におけるベースプレートを示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るケーブル保持装置を床材の支持脚へ固定している状態を示す斜視図である。
【
図4】(A)は本発明の実施形態に係るケーブル保持装置における保持板を示す立面図であり、(B)は保持板にケーブルを押し付けている状態を示す立面図であり、(C)は保持板にケーブルを保持した状態を示す立面図であり、(D)は保持板からケーブルを引き抜いている状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るケーブル保持装置を配置した床下空間を示す斜視図である。
【
図6】(A)は本発明の実施形態に係るケーブル保持装置における保持板の上方にベースプレートを重ねて配置した状態を示す斜視図であり、(B)はさらに保持板を重ねて配置した状態を示す斜視図である。
【
図7】(A)は本発明の実施形態に係るケーブル保持装置における保持板の展開例を示した立面図であり、(B)は(A)におけるB-B線断面図である。
【
図8】(A)は本発明の実施形態に係るケーブル保持装置におけるベースプレートに支柱を固定している状態を示す部分斜視図であり、(B)は支柱とベースプレートとを一体的に形成した変形例を示す部分斜視図であり、(C)は支柱に代えて突起を形成した変形例及び連結部材の変形例を示す部分斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るケーブル保持装置におけるベースプレートと保持板とを一体的に形成した変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るケーブル保持装置について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0023】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する、異なる構成と入れ替える、一実施形態及び各種の変形例を組み合わせて用いる等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
各図面において矢印X、Yで示す方向は水平面に沿う方向であり、互いに直交している。また、矢印Zで示す方向は鉛直方向(上下方向)に沿う方向である。各図において矢印X、Y、Zで示される各方向は、互いに一致するものとする。
【0025】
<ケーブル保持装置>
図1に示すように、本発明のケーブル保持装置10は、ベースプレート20、保持板30(保持板30A及び30B)、支柱40及び連結部材50を備えて形成されている。
【0026】
(ベースプレート)
ベースプレート20は、建物のスラブS(
図3参照)に載置可能な板材である。ベースプレート20は、アルミ、ABS樹脂、塩化ビニル等、各種の金属や樹脂を用いて形成できる。ベースプレート20は、上面視で長方形状に形成されている。
【0027】
ベースプレート20の上面には、ベースプレート20の長手方向(X方向)に沿って溝22が形成されている。
図2に示すように、溝22の上側部分は溝幅が狭い幅狭部22Aであり、幅狭部22Aの下側部分は、幅狭部22Aより溝幅が広い幅広部22Bである。
【0028】
また、ベースプレート20の下面には、ベースプレート20の長手方向(X方向)に沿って溝24が形成されている。溝24は、幅狭部22Aの幅と同一幅であり、かつ、上面視で幅狭部22Aと重なる位置(Y方向において等しい位置)に形成されている。
【0029】
ベースプレート20の上面には、第一挿入穴26Aが形成され、ベースプレート20の下面には、第二挿入穴26Bが形成されている。
【0030】
図1に示すように、第一挿入穴26Aは、有底の穴であり、上面視で円形であり、ベースプレート20における4つの角部に形成されている。この第一挿入穴26Aには、支柱40の下端部が挿入可能である。
【0031】
また、
図1には図示されていないが、第二挿入穴26B(
図2参照)も、有底の穴であり、ベースプレート20における4つの角部であって、上面視で第一挿入穴26Aと重なる位置に形成されている。この第二挿入穴26Bは、上面視で第一挿入穴26Aと同形状であり、支柱40の上端部が挿入可能である。
【0032】
(保持板)
保持板30は、ベース部32及び立ち上がり部34を備えた断面視で「T字」形状の部材である。なお、保持板30は、保持板30A及び30Bの総称であり、特に区別する必要がない場合は、これらを保持板30と称す。
【0033】
ベース部32は、面内方向がベースプレート20の面内方向に沿うように配置される板状部分であり、ベースプレート20における溝22の幅広部22Bへ、ベースプレート20の長手方向からスライドして挿入される。
【0034】
立ち上がり部34は、ベース部32から上方へ突出する板状部分である。立ち上がり部34は、ベース部32が溝22の幅広部22Bへ挿入された状態で、
図3に示すように幅狭部22Aに沿って配置され、ベースプレート20から上方へ突出して配置される。
【0035】
これらのベース部32及び立ち上がり部34は、同一の弾性部材を用いて一体的に形成されている。弾性部材としては、ABS樹脂、塩化ビニル等が挙げられる。なお、ベース部32及び立ち上がり部34を異なる部材で形成し、互いに接合して保持板30を形成してもよいが、少なくとも立ち上がり部34を弾性部材で形成することが好ましい。
【0036】
(保持溝)
立ち上がり部34には、保持溝36(保持溝36A及び36B)が形成されている。保持溝36Aは保持板30Aに形成された溝であり、保持溝36Bは、保持板30Bに形成された溝である。
【0037】
なお、保持溝36は、保持溝36A及び36Bの総称であり、特に区別する必要がない場合は、これらを保持溝36と称す。
【0038】
図4(A)~(D)に示すように、保持溝36は、保持板30における立ち上がり部34の上端部を切り欠いて形成された凹部である。保持溝36は、立ち上がり部34の上端に沿って等間隔に複数形成されている。保持溝36は、円形状の保持部36Sと、保持部36Sの上方に形成され保持部36Sの直径W1より幅W2が狭い挿通部36Tと、を備えている。
【0039】
この保持部36Sには、
図4(B)~(D)に示すように、ケーブル60が保持される。ケーブル60における断面の最大寸法W3は、保持部36Sの直径W1より小さい。なお、これらの図にはケーブル60の断面形状が円形として示されているが、ケーブル60の断面形状は例えば楕円形状や矩形状でもよい。
【0040】
なお、保持溝36の数量及び大きさは任意である。例えば
図1に示す保持板30Aにおける保持溝36Aの数量は、保持板30Bにおける保持溝36Bの数量より少ない。また、保持溝36Aは、保持溝36Bと比較して、保持部36Sの直径W1(
図4参照)が大きい。保持溝36の数量及び大きさは、保持するケーブル60の数量、間隔及び種類に応じて任意に設定できる。また、ベースプレート20にスライドして取り付ける保持板30の数量及び大きさ(X方向に沿う長さ)も任意である。
【0041】
(支柱)
支柱40は、
図1に示すように、下端部がベースプレート20の第一挿入穴26Aへ挿入され、
図3に示すようにベースプレート20の上方へ突出する円柱状部材である。支柱40のベースプレート20の上面からの突出高さは、保持板30における立ち上がり部34のベースプレート20の上面からの突出高さと等しい。
【0042】
支柱40には、連結部材50が係止される。具体的には、Y方向に隣り合う2つの支柱40に、1つの連結部材50の両端部に形成された環状部52が上方から係止される。
【0043】
(連結部材)
図1に示すように、連結部材50は、中央部に屈曲部54が形成され、両端に上述した環状部52が形成された線状部材である。連結部材50は、例えば短冊状に切断した鋼製の板金を折り曲げて形成される。また、連結部材50は、針金状の鋼材を用いて形成してもよい。
【0044】
連結部材50は、屈曲部54で折り曲げられており、屈曲部54と両端の環状部52との間の部分が、X方向及びY方向の双方に交わる方向に沿って配置される。
【0045】
図3に示すように、屈曲部54は、支持脚90に横方向から係止される。支持脚90は、スラブSに載置された状態で床板T(
図5参照)を支持する束材である。
【0046】
ベースプレート20は、互いに隣り合う支持脚90の間において、長手方向が支持脚90の対向方向に沿って配置される。そして、ベースプレート20に支柱40が固定された状態で、連結部材50を、支持脚90の外側からX方向に沿ってスライドさせる。これにより、屈曲部54が支持脚90に係止される。
【0047】
そして、屈曲部54が支持脚90に係止された状態で、連結部材50の環状部52を、上方から支柱40に係止する。これにより、ベースプレート20が支持脚90に連結され、X方向及びY方向に対して移動が拘束された状態で固定される。
【0048】
なお、「移動が拘束された」とは、ベースプレート20がX方向及びY方向に対して2~3cm程度以内の距離だけ動ける状態を含む。このように多少の動きが許容されることにより、地震時に、揺れに追随して移動して、連結部材50が破断することを抑制できる。
【0049】
<作用及び効果>
本発明の実施形態に係るケーブル保持装置10では、
図4(A)~(C)に示すように、保持板30における立ち上がり部34を切り欠いて形成された複数の保持溝36に、ケーブル60を押し込んで保持できる。また、保持溝36は、等間隔に複数形成されている。これにより、例えば
図5に示すように、ケーブル60を整然と配置できる。
【0050】
なお、本発明において、この保持溝36は必ずしも等間隔である必要はない。保持溝36を等間隔に形成しなくても、保持板30の面内方向に沿うケーブル60の配置が、保持溝36によって規制されるため、ケーブル60を整然と配置できる効果を得ることができる。
【0051】
また、複数のケーブル60を保持板30の保持溝36に押し込むだけで保持できるため、これらのケーブル60を例えば結束バンド等を用いて束ねる必要がなく、撤去時にも結束バンドを外す必要がない。このため、複数のケーブルの中から1本のケーブルを撤去する場合でも、結束バンドを外したり、残置したケーブルを再度結束したりする必要がなく、手間を削減できる。
【0052】
また、例えば上部から蓋を嵌め込んでケーブルを挟み込んで固定するようなケーブル支持具では、撤去時に蓋を外したり上向きにケーブルを1本ずつ抜き取ったりする必要がある場合があり、手間がかかる。本発明では、このようなケーブル支持具と比較しても、撤去時の手間を削減できる。
【0053】
また、
図3に示すように、建物のスラブSに載置されたベースプレート20が、2つの連結部材50を介して、床板(
図5参照)を支持する2つの支持脚90に固定される。つまり、このケーブル保持装置10は、スラブSではなく二重床の支持脚90に固定される。
【0054】
このため、ケーブル保持装置10を、コンクリートネジ、アンカー及び接着剤などを用いてスラブSに固定する構成と比較して、ケーブル保持装置10の固定および撤去が容易である。
【0055】
また、このケーブル保持装置10では、
図4(A)~(D)に示すように、保持溝36が、円形状の保持部36Sと、保持部36Sの上方に形成され保持部36Sの直径W1より幅W2が狭い挿通部36Tと、を備えている。そして、保持板30における立ち上がり部34が弾性部材によって形成されている。
【0056】
このため、挿通部36Tの幅W2より大きい最大寸法W3を有するケーブル60を上方から押し込んだ際には、
図4(B)に示すように、挿通部36Tの周囲の部分が弾性変形して、ケーブル60を挿通できる。
【0057】
また、ケーブル60の最大寸法W3は、保持部36Sの直径W1より小さい。このため、挿通部36Tを挿通したあとのケーブル60は、
図4(C)に示すように、保持部36Sに保持される。これにより、ケーブル60を保持部36Sから抜けにくい状態で保持できる。
【0058】
さらに、ケーブル60の端部の端子を取り外せば、
図4(D)に示すように、ケーブル60を軸方向に沿って抜き出せる。これにより、不要となったケーブル60を容易に撤去できる。また、保持部36Sの直径W1が、ケーブル60の最大寸法W3と同程度であっても、ケーブル60を撤去できる。
【0059】
また、ケーブル60は、上方に保持部36Sの直径W1より幅W2が狭い挿通部36Tが配置されることによって抜け難くされている程度の保持状態となる。このため、例えば上部から蓋を嵌め込んでケーブルを固定するようなケーブル支持具と比較すると、ケーブル60の固定が緩く、撤去時に強い力を必要としない。そして、強い力を必要としないため、直線状に平行に並んで配置された複数のケーブル60を、一地点からまとめて抜き取ることも可能である。
【0060】
また、このケーブル保持装置10では、
図1に示すように、ベースプレート20の上面に形成された第一挿入穴26Aに、連結部材50を係止させる支柱40の下端部を挿入できる。また、
図2に示すように、ベースプレート20の下面には、支柱40の上端部を挿入可能な第二挿入穴26Bが形成されている。
【0061】
これにより、
図6(A)、(B)に示すように、保持板の30の上方にベースプレート20を重ねて配置できる。このため、多くのケーブル60(
図5参照)を近接して配置する場合でも、これらのケーブル60を整然と配置できる。
【0062】
また、このケーブル保持装置10では、
図2に示すように、ベースプレート20の下面には、ベースプレート20の長手方向(X方向)に沿って溝24が形成されている。このため、保持板30の上方にベースプレート20を重ねて配置した際に、保持板30の上端部が、この溝24に貫入する。これにより、保持板30が安定した状態で保持され、ケーブル60を固定し易い。
【0063】
なお、保持板の30の上方にベースプレート20を重ねる場合は、
図6(A)に示すように、ベースプレート20のみを重ねて、保持板30からケーブル60が抜けないように抜け止めしてもよいし、
図6(B)に示すようにベースプレート20に加えて保持板30も重ねて、ケーブル60(
図5参照)を複数段に配線してもよい。
【0064】
このように、ケーブル60を複数段に配線する場合も、上述したように、ケーブル60の端部の端子を取り外せば、ケーブル60を軸方向に沿って抜き出せる。このため、積み上げたベースプレート20をばらさなくても容易にケーブル60を撤去できる。
【0065】
また、このケーブル保持装置10では、
図1に示すように、保持板30が、ベースプレート20の上面に形成された溝22にスライドして着脱可能に保持されている。また、保持溝36の形状や数量は任意である。
【0066】
これにより、例えば保持溝36A及び36B並びにこれらを備えた保持板30A及び30Bのように、保持溝36の形状や数量が異なる保持板30を、適宜付け替えることができる。また、
図7(A)、(B)に示すように、複数種類のケーブル60(例えばケーブル60A及び60B)を整然と配置できる。
【0067】
<変形例>
上記実施形態においては、
図8(A)にも示すように、ベースプレート20の上面に形成された第一挿入穴26Aに、連結部材50を係止させる支柱40の下端部を挿入しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0068】
例えば
図8(B)に示す支柱42のように、支柱は、ベースプレート20と一体的に形成してもよい。この場合、第一挿入穴26Aは省略される。
【0069】
また、上記実施形態においては、連結部材50(
図3参照)を係止するために支柱40又は42を用いているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0070】
例えば
図8(C)に示すように、支柱40等に代えて、ベースプレート20の上方へ突出し、保持板30(
図3参照)と比較してベースプレート20の上面からの突出高さが低い突起44を形成してもよい。突起44には、突起44の周方向の全面に亘って溝44Aを形成することが好ましい。
【0071】
このような突起44には、連結部材50を係止してもよいが、外れ抑制の観点から、連結部材50Aを係止することが好ましい。連結部材50Aは、屈曲部54を中心に、両端の係止部56を両側に拡げるように弾性変形させることが可能であり、復元力により突起44の溝44Aへ係止される。このような突起44は、ベースプレート20を上下に重ねて配置しない場合に適用される。突起44を用いる場合、第二挿入穴26B(
図2参照)は省略される。
【0072】
また、上記実施形態においては、ベースプレート20と保持板30とを別部材で構成しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば
図9に示す保持板70のように、本発明の保持板はベースプレート20と一体的に形成してもよい。保持板をこのように形成したケーブル保持装置でも、スラブに固定するケーブル保持装置と比較して、固定および撤去が容易である。
【0073】
また、上記実施形態においては、保持板30における立ち上がり部34が弾性部材によって形成されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば立ち上がり部34はケーブル60を押し込むことによって変形しない程度の低弾性の部材で形成してもよい。
【0074】
このような低弾性部材で立ち上がり部34を形成する場合、挿通部36Tの幅W2を、ケーブル60の最大寸法W3より大きくすることが好ましい。この場合は、ケーブル60を抜け止めする観点から、保持板の30の上方にベースプレート20を重ねて配置することが好ましい。
【0075】
または、挿通部36Tの幅W2が、ケーブル60の最大寸法W3より小さい場合であっても、ケーブル60の外皮が弾性部材で形成されていればよい。また、例えばLANケーブルのように、複数の細いケーブルをまとめて可撓性を有する外皮で被覆したケーブルを用いてもよい。このようなケーブルであれば、外力を加えることで外皮の内側で細いケーブルが一次的に動いて、挿通部36Tを挿通させることができる。
【符号の説明】
【0076】
10 ケーブル保持装置
20 ベースプレート
22 溝
26A 第一挿入穴
26B 第二挿入穴
30 保持板
30A 保持板
30B 保持板
36A 保持溝
36B 保持溝
36S 保持部
36T 挿通部
40 支柱
42 支柱
50 連結部材
50A 連結部材