(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056558
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】複合容器、複合容器組合体及び内容物入り複合容器組合体
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B65D1/02 110
B65D1/02 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163536
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛久
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA26
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA03
3E033DA10
3E033DB01
3E033DC10
3E033DD02
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】複合容器をコンパクトに収納することが可能な、複合容器、複合容器組合体及び内容物入り複合容器組合体を提供する。
【解決手段】複合容器10Aは、プラスチック材料製の容器本体と10、容器本体10の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材90とを備えている。容器本体10は、口部11と、肩部20と、胴部13と、底部30とを有している。肩部20は、容器本体10の中心軸CL1方向に沿って伸縮自在に構成されている。収縮状態での肩部20の高さH2は、伸長状態での肩部20の高さH1の40%以上98%以下である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合容器であって、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体は、
口部と、肩部と、胴部と、底部とを有し、
前記肩部は、前記容器本体の中心軸方向に沿って伸縮自在に構成され、
収縮状態での前記肩部の高さは、伸長状態での前記肩部の高さの40%以上98%以下である、複合容器。
【請求項2】
前記肩部は、
前記口部側に位置し、前記口部側から前記胴部側に向けて拡径する第1肩部と、
前記胴部側に位置し、前記口部側から前記胴部側に向けて拡径する第2肩部と、
前記第1肩部と前記第2肩部との間に位置する環状部とを含み、
前記環状部が変形することにより、前記肩部が伸縮する、請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記伸長状態において、前記プラスチック製部材の上端は、前記第1肩部上又は前記環状部上に位置し、
前記収縮状態において、前記プラスチック製部材の前記上端は、前記容器本体から浮き上がる、請求項2に記載の複合容器。
【請求項4】
前記胴部の幅は、150mm以上280mm以下である、請求項1に記載の複合容器。
【請求項5】
前記底部の厚みは、前記肩部の厚みよりも厚く、
前記胴部の厚みは、前記底部の厚みよりも厚い、請求項1に記載の複合容器。
【請求項6】
前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを含み、前記凹部の深さは、20mm以上50mm以下である、請求項1に記載の複合容器。
【請求項7】
複合容器を複数備える複合容器組合体であって、
前記複合容器は、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体は、
口部と、肩部と、胴部と、底部とを有し、
前記肩部は、前記容器本体の中心軸方向に沿って伸縮自在に構成され、
収縮状態での前記肩部の高さは、伸長状態での前記肩部の高さの40%以上98%以下であり、
前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを含み、
一の前記複合容器は、他の前記複合容器上に積み重ねられており、
前記他の前記複合容器の前記肩部は、前記収縮状態をとり、
前記他の前記複合容器の口部は、前記一の前記複合容器の前記凹部内に収納されている、複合容器組合体。
【請求項8】
前記凹部の深さは、20mm以上50mm以下である、請求項7に記載の複合容器組合体。
【請求項9】
内容物入り複合容器を複数備える内容物入り複合容器組合体であって、
前記内容物入り複合容器は、
プラスチック材料製の容器本体であって、口部と、肩部と、胴部と、底部とを有し、内容物が充填された容器本体と、
前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材と、
前記口部に装着されたキャップとを備え、
前記肩部は、前記容器本体の中心軸方向に沿って伸縮自在に構成され、
収縮状態での前記肩部の高さは、伸長状態での前記肩部の高さの40%以上98%以下であり、
前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを含み、
一の前記複合容器は、他の前記複合容器上に積み重ねられており、
前記他の前記複合容器の前記肩部は、前記収縮状態をとり、
前記他の前記複合容器の口部及び当該口部に装着された前記キャップは、前記一の前記複合容器の前記凹部内に収納されている、内容物入り複合容器組合体。
【請求項10】
前記凹部の深さは、20mm以上50mm以下である、請求項9に記載の内容物入り複合容器組合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合容器、複合容器組合体及び内容物入り複合容器組合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば射出成形法により作製したポリエチレンテレフタレート製プリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を施し、プラスチックボトルを作製することが行われている。ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、機械的特性、化学的安定性、耐熱性、ガスバリア性および透明性などに優れ、かつ安価であることから、飲料品などを充填する容器などの製造に広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプラスチックボトルでは、例えば、複数のプラスチックボトルが段ボール等に箱詰めされた状態で、搬送及び保管される。このため、例えば、搬送等のコストを低減するために、プラスチックボトルをコンパクトに収納することが求められている。また、例えば、プラスチックボトルを保管する保管場所等の省スペース化を図るために、プラスチックボトルをコンパクトに収納することが求められている。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、複合容器をコンパクトに収納することが可能な、複合容器、複合容器組合体及び内容物入り複合容器組合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、プラスチック材料製の容器本体と、前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、前記容器本体は、口部と、肩部と、胴部と、底部とを有し、前記肩部は、前記容器本体の中心軸方向に沿って伸縮自在に構成され、収縮状態での前記肩部の高さは、伸長状態での前記肩部の高さの40%以上98%以下である、複合容器である。
【0007】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による複合容器において、前記肩部は、前記口部側に位置し、前記口部側から前記胴部側に向けて拡径する第1肩部と、前記胴部側に位置し、前記口部側から前記胴部側に向けて拡径する第2肩部と、前記第1肩部と前記第2肩部との間に位置する環状部とを含んでいても良く、前記環状部が変形することにより、前記肩部が伸縮しても良い。
【0008】
本開示の第3の態様は、上述した第2の態様による複合容器において、前記伸長状態において、前記プラスチック製部材の上端は、前記第1肩部上又は前記環状部上に位置していても良く、前記収縮状態において、前記プラスチック製部材の前記上端は、前記容器本体から浮き上がっていても良い。
【0009】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる複合容器において、前記胴部の幅は、150mm以上280mm以下であっても良い。
【0010】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによる複合容器において、前記底部の厚みは、前記肩部の厚みよりも厚くても良く、前記胴部の厚みは、前記底部の厚みよりも厚くても良い。
【0011】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる複合容器において、前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを含んでいても良く、前記凹部の深さは、20mm以上50mm以下であっても良い。
【0012】
本開示の第7の態様は、複合容器を複数備える複合容器組合体であって、前記複合容器は、プラスチック材料製の容器本体と、前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、前記容器本体は、口部と、肩部と、胴部と、底部とを有し、前記肩部は、前記容器本体の中心軸方向に沿って伸縮自在に構成され、収縮状態での前記肩部の高さは、伸長状態での前記肩部の高さの40%以上98%以下であり、前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを含み、一の前記複合容器は、他の前記複合容器上に積み重ねられており、前記他の前記複合容器の前記肩部は、前記収縮状態をとり、前記他の前記複合容器の口部は、前記一の前記複合容器の前記凹部内に収納されている、複合容器組合体である。
【0013】
本開示の第8の態様は、上述した第7の態様による複合容器組合体において、前記凹部の深さは、20mm以上50mm以下であっても良い。
【0014】
本開示の第9の態様は、内容物入り複合容器を複数備える内容物入り複合容器組合体であって、前記内容物入り複合容器は、プラスチック材料製の容器本体であって、口部と、肩部と、胴部と、底部とを有し、内容物が充填された容器本体と、前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材と、前記口部に装着されたキャップとを備え、前記肩部は、前記容器本体の中心軸方向に沿って伸縮自在に構成され、収縮状態での前記肩部の高さは、伸長状態での前記肩部の高さの40%以上98%以下であり、前記底部は、凹部と、前記凹部の周囲に設けられた接地部とを含み、一の前記複合容器は、他の前記複合容器上に積み重ねられており、前記他の前記複合容器の前記肩部は、前記収縮状態をとり、前記他の前記複合容器の口部及び当該口部に装着された前記キャップは、前記一の前記複合容器の前記凹部内に収納されている、内容物入り複合容器組合体である。
【0015】
本開示の第10の態様は、上述した第9の態様による内容物入り複合容器組合体において、前記凹部の深さは、20mm以上50mm以下であっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、複合容器をコンパクトに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施の形態による複合容器を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による複合容器を示す正面図(
図1のII方向から見た矢視図)である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による複合容器を示す垂直断面図(
図2のIII-III線断面図)であって、複合容器の肩部が伸長している状態を示す垂直断面図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態による複合容器を示す垂直断面図(
図3に対応する断面図)であって、複合容器の肩部が収縮している状態を示す垂直断面図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態による複合容器を示す断面図(
図2のV-V線断面図)である。
【
図6】
図6は、一実施の形態による容器本体を示す底面図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態による複合容器組合体を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態による内容物入り複合容器組合体を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施の形態による複合プリフォームを示す正面図である。
【
図10】
図10は、一実施の形態による複合プリフォームを示す垂直断面図(
図9のX-X線断面図)である。
【
図11】
図11は、一実施の形態による複合プリフォームを示す断面図(
図9のXI-XI線断面図)である。
【
図12】
図12(a)-(d)は、各種プラスチック製部材を示す斜視図である。
【
図13】
図13(a)-(f)は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す図である。
【
図14】
図14は、一実施の形態による複合容器の作用を説明する垂直断面図である。
【
図15】
図15は、一実施の形態による複合容器の作用を説明する垂直断面図である。
【
図16】
図16は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す垂直断面図であって、複合容器の肩部が伸長している状態を示す垂直断面図である。
【
図17】
図17は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す垂直断面図であって、複合容器の肩部が収縮している状態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。
図1乃至
図15は本開示の一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0019】
(複合容器の構成)
まず、
図1乃至
図6により、本実施の形態による複合容器10Aについて説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(
図1乃至
図4)における上方および下方のことをいう。本明細書中、容器本体10の「中心軸CL1」とは、容器本体10の口部11の内面を構成する円筒の中心軸をいう。また、本明細書中、プリフォーム40の「中心軸CL2」とは、プリフォーム40の口部41の内面を構成する円筒の中心軸をいう。なお、容器本体10の中心軸CL1は、複合容器10Aを正立させた状態で接地させたときに、接地面となる平面に対して直交する直線である。
【0020】
また、本明細書中、「高さ方向」とは、容器本体10の中心軸CL1又はプリフォーム40の中心軸CL2に沿う方向をいい、「半径方向」とは、容器本体10の中心軸CL1又はプリフォーム40の中心軸CL2に対して直交する方向をいう。また、「周方向」とは、容器本体10の中心軸CL1又はプリフォーム40の中心軸CL2を中心とする円の円周方向をいう。
【0021】
図1乃至
図5に示す複合容器10Aは、プリフォーム40及びプラスチック製部材90aを備える複合プリフォーム40A(
図9乃至
図11参照)に対してブロー成形を施すことにより、プリフォーム40及びプラスチック製部材90aを一体として膨張させて得られる容器である。
【0022】
図1乃至
図5に示すように、複合容器10Aは、プラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材90とを備えている。プラスチック製部材90は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
【0023】
(容器本体)
次に、容器本体10について詳述する。
図1乃至
図4に示すように、容器本体10は、口部11と、口部11の下方に位置する首部12と、首部12の下方に位置する肩部20と、肩部20の下方に位置する胴部13と、胴部13の下方に位置する底部30とを有している。
【0024】
このうち口部11は、キャップ80(
図8参照)に螺着されるねじ部14と、ねじ部14の下方に位置するフランジ部15とを含んでいる。このような容器本体10に内容液等の内容物が充填され、口部11にキャップ80が装着されることにより、内容物入り複合容器10B(
図8参照)が得られる。内容物としては、飲料のほか、醤油等の調味料、塩等の粉末状の食品、コーヒー豆等の固形物、又は、液体洗剤等の非食品であっても良い。なお、口部11にねじ部14が設けられていなくても良い。すなわち、容器本体10が、いわゆる打栓式のプラスチックボトルであっても良い。
【0025】
首部12は、フランジ部15と肩部20との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
【0026】
肩部20は、首部12と胴部13との間に位置しており、首部12側から胴部13側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。肩部20は、複合容器10Aが接地される水平面に対して平行な断面(以下、水平断面ともいう)において、多角形形状を有している。本実施の形態では、肩部20は、水平断面において、四角形形状(正方形形状)を有している。なお、本明細書中、「多角形形状」とは、多角形の角部が丸められた形状をも含むものとする。
【0027】
肩部20は、第1肩部21と、環状部22と、第2肩部23とを含んでいる。このうち、第1肩部21は、口部11側に位置し、口部11側から胴部13側に向けて拡径している。すなわち、第1肩部21は、首部12側から胴部13側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0028】
環状部22は、第1肩部21と第2肩部23との間に位置している。環状部22の詳細については、後述する。
【0029】
第2肩部23は、胴部13側に位置し、口部11側から胴部13側に向けて拡径している。すなわち、第2肩部23は、首部12側から胴部13側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0030】
ここで、肩部20は、容器本体10の中心軸CL1方向(上下方向)に沿って伸縮自在に構成されている。この場合、肩部20の環状部22が変形することにより、肩部20が伸縮するように構成されている。具体的には、環状部22は、上面が水平面に対して平行となる第1位置(
図3参照)と、上面が径方向内側に向かうにつれて下方へ傾斜する第2位置(
図4参照)とをとる。
【0031】
環状部22が第1位置をとった場合、
図3に示すように、肩部20は、伸長状態となる。
【0032】
一方、環状部22が第2位置をとった場合、
図4に示すように、肩部20は、収縮状態となる。この場合、環状部22は、上方に向かうにつれて、徐々に径が大きくなる筒形状を有する。また、環状部22が第2位置をとった場合、環状部22は、第1肩部21の径方向外側の周縁から、上方へ延びるようになる。ここで、環状部22が変形する場合、第2肩部23は大きく変形しないように構成されている。このため、肩部20が伸縮した場合であっても、胴部13が変形し難くなる。このため、肩部20は、胴部13を変形させることなく、伸長状態から収縮状態になることができる。
【0033】
そして、肩部20が収縮状態となった場合、容器本体10の口部11が、肩部20が伸長状態となった場合よりも、下方に位置する。すなわち、環状部22が第2位置をとった場合には、環状部22が第1位置をとった場合よりも、容器本体10の口部11が下方に位置する。このため、複合容器10Aをコンパクトにできる。
【0034】
伸長状態での肩部20の高さH1(
図3参照)は、例えば、30mm以上50mm以下であることが好ましい。また、収縮状態での肩部20の高さH2(
図4参照)は、例えば、15mm以上45mm以下であることが好ましい。
【0035】
収縮状態での肩部20の高さH2は、伸長状態での肩部20の高さH1の40%以上98%以下であっても良く、50%以上90%以下であっても良く、60%以上70%以下であっても良い。高さH2が高さH1の40%以上であることにより、口部11にキャップ80が螺着された状態であっても、容器本体10の肩部20を伸長状態から収縮状態へ収縮させやすくできる。また、高さH2が高さH1の98%以下であることにより、複合容器10Aをよりコンパクトにできる。
【0036】
肩部20の厚みT1(
図3参照)は、全体として略一定であっても良い。すなわち、第1肩部21、環状部22及び第2肩部23において、厚みT1が略一定であっても良い。肩部20の厚みT1は、例えば、6.5mm以上9.5mm以下であることが好ましい。肩部20の厚みT1が6.5mm以上であることにより、肩部20の剛性を高くできる。また、肩部20の厚みT1が9.5mm以下であることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0037】
胴部13は、水平断面において、多角形形状を有している。
図5に示すように、胴部13は、水平断面において、四角形形状(正方形形状)を有している。すなわち、胴部13は、四角筒形状を有している。この場合、胴部13は、平坦面13aと、湾曲面13bとを含んでいる。平坦面13a及び湾曲面13bは、周方向に沿って交互に設けられている。平坦面13a及び湾曲面13bは、それぞれ4つずつ設けられている。このうち、平坦面13aは、水平断面において、四角形の辺に対応する位置に設けられており、水平断面において、直線形状を有している。湾曲面13bは、水平断面において、四角形の角部に対応する位置に設けられており、水平断面において、円弧形状を有している。なお、胴部13は、八角筒形状等の多角筒形状を有していても良い。
【0038】
胴部13の高さH3(
図2参照)は、例えば、200mm以上350mm以下であることが好ましい。胴部13の高さH3が200mm以上であることにより、容器本体10の容量を十分に確保できる。また、胴部13の高さH3が350mm以下であることにより、いわゆるバッグインボックスの替わりに、複合容器10Aを一般的な飲料ディスペンサに装着できる。
【0039】
胴部13の幅W(
図2参照)は、150mm以上280mm以下であることが好ましい。胴部13の幅Wが150mm以上であることにより、容器本体10の容量を十分に確保できる。また、胴部13の幅Wが280mm以下であることにより、いわゆるバッグインボックスの替わりに、複合容器10Aを一般的な飲料ディスペンサに装着できる。
【0040】
胴部13の厚みT2(
図3参照)は、全体として略一定であっても良い。胴部13の厚みT2は、底部30の厚みT3(
図3参照)よりも厚くなっていることが好ましい(T3<T2)。後述するように、底部30の厚みT3は、肩部20の厚みT1よりも厚くなり得る(T1<T3)。この場合、胴部13の厚みT2は、肩部20の厚みT1よりも厚くなり得る(T1<T3<T2)。これにより、肩部20が伸縮する際に、胴部13が変形することを抑制できる。このため、肩部20をしっかりと変形(伸縮)させることができる。胴部13の厚みT2は、例えば、1mm以上10mm以下であることが好ましい。胴部13の厚みT2が1mm以上であることにより、胴部13の剛性を高くできる。また、胴部13の厚みT2が10mm以下であることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0041】
次に、底部30について説明する。
図1乃至
図4及び
図6に示すように、底部30は、凹部31と、凹部31の周囲に設けられた接地部32とを含んでいる。また、底部30は、接地部32の周囲に設けられた周縁部33を更に含んでいる。このうち、凹部31は、底部30の中央に位置している。この凹部31は、垂直断面において、台形形状を有している。
【0042】
凹部31の深さDe(
図3参照)は、20mm以上50mm以下であることが好ましい。凹部31の深さDeが20mm以上であることにより、複合容器10A同士を上下方向に重ねた際に、一方の複合容器10Aにおける容器本体10の口部11を、他方の複合容器10Aにおける容器本体10の底部30の凹部31内に収納できる(
図14参照)。また、一方の複合容器10Aにおける容器本体10の口部11及び当該口部11に装着されたキャップ80を、他方の複合容器10Aにおける容器本体10の底部30の凹部31内に収納できる(
図15参照)。これにより、複数の複合容器10Aをコンパクトに収納できる。また、凹部31の深さDeが50mm以下であることにより、複合容器10Aの成形性が低下することを抑制できる。
【0043】
接地部32は、凹部31と周縁部33との間に位置する環状の平坦な部分である。この接地部32は、複合容器10Aを正立させた際、接地面に接触又は対面する部分である。本実施の形態では、接地部32は、プラスチック製部材90に覆われている。このため、複合容器10Aを正立させた際、接地部32は、接地面に対面し、プラスチック製部材90のうち、接地部32に対応する部分が、接地面に接触する。
【0044】
また、
図1、
図2及び
図6に示すように、底部30には、半径方向に沿って延びる複数の第1リブ34と、半径方向に沿って延びる複数の第2リブ35とが設けられている。このうち第1リブ34は、凹部31、接地部32及び周縁部33に跨がるように形成されている。第2リブ35は、周縁部33のみに形成されている。このため、第1リブ34の長さは、第2リブ35の長さよりも長くなっている。また、第1リブ34及び第2リブ35は、それぞれ放射状に設けられており、周方向に沿って交互に設けられている。具体的には、第1リブ34及び第2リブ35は、8本ずつ周方向に等間隔に配置されている。なお、第1リブ34の本数及び第2リブ35の本数は、これに限られない。
【0045】
底部30の高さH4(
図2参照)は、例えば、20mm以上50mm以下であることが好ましい。
【0046】
底部30の厚みT3(
図3参照)は、全体として略一定であっても良い。底部30の厚みT3は、肩部20の厚みT1よりも厚くなっていることが好ましい。上述したように、胴部13の厚みT2は、底部30の厚みT3よりも厚くなり得る。この場合、胴部13の厚みT2は、肩部20の厚みT1よりも厚くなり得る。これにより、肩部20が伸縮する際に、胴部13が変形することを抑制できる。このため、肩部20をしっかりと変形(伸縮)させることができる。底部30の厚みT3は、例えば、1mm以上10mm以下であることが好ましい。底部30の厚みT3が1mm以上であることにより、複合容器10Aが落下したときに、底部30が飛び出して永久変形することを抑止できる。また、底部30の厚みT3が10mm以下であることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0047】
また、このような容器本体10のサイズは限定されるものではない。例えば、容器本体10の満注容量は、1000ml以上40000ml以下としても良く、5000ml以上20000ml以下とすることが好ましく、7500ml以上15000ml以下とすることがさらに好ましい。容器本体10の満注容量は、一例として、11000mlであっても良い。
【0048】
また、肩部20が伸長状態である場合、容器本体10の高さH5(
図3参照)は、例えば、250mm以上500mm以下であることが好ましい。また、肩部20が収縮状態である場合、容器本体10の高さH6(
図4参照)は、例えば、200mm以上450mm以下であることが好ましい。
【0049】
さらに、容器本体10の重量は、これに限定されるものではないが、満注容量が15000ml以下の場合、100g以上250g以下としても良く、150g以上230g以下とすることが好ましい。
【0050】
容器本体10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)等を使用できる。また、容器本体10は、2層のポリエチレンテレフタレート層によってバリア材料層を挟んだ多層構造としても良い。例えば、PET/MXD6/PETという多層構造としたプリフォームを作製し、これを二軸延伸ブロー成形することにより、多層容器である容器本体10を作製しても良い。容器本体10の材料としては、使用済みのプラスチック製品を選別、粉砕、洗浄することによって作製された、リサイクルしたプラスチックを用いても良い。
【0051】
また、容器本体10は、バージンポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステル(以下、単にバージンポリエステル等とも記す)を含んでいても良い。ここで、本明細書中、「バージンポリエステル」とは、リサイクル処理が施されていないポリエステル、すなわち、未使用のポリエステルのことをいう。また、本明細書中、「ケミカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器をモノマーレベルまで分解して、再度重合することにより得られたポリエステルのことをいう。
【0052】
容器本体10がバージンポリエステル等を含む場合、バージンポリエステル等の含有量は、容器本体10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
【0053】
容器本体10がバージンポリエステルを含んでいる場合、バージンポリエステルは、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルから選択されても良い。本明細書において、例えば、アンチモン触媒ポリエステルとは、ポリエステルの製造時に、重合触媒として、アンチモン触媒が用いられたポリエステルを意味する。したがって、上記列挙したポリエステルは、重合触媒として、それぞれの触媒が用いられたポリエステルを意味する。
【0054】
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコールなどが挙げられる。
【0055】
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩、水酸化マンガンなどが挙げられる。
【0056】
チタン触媒としては、例えば、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0057】
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0058】
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0059】
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシド及びゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
【0060】
ここで、本実施の形態において、「ポリエステル」とは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
【0061】
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸及びエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸及びこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
【0062】
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0063】
ポリエステルの中でも、テレフタル酸と、エチレングリコールとの共重合体であるポリエチレンテレフタレート、又はこれに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0064】
また、ポリエステルは、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートであっても良く、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートであっても良い。バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸化合物が化石燃料由来のテレフタル酸であり、ジオール化合物がバイオマス由来のエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートであっても良い。このように、容器本体10がバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むことにより、複合容器10Aの環境負荷低減性を向上できる。
【0065】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、ポリエステルは、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物以外のモノマーを含んでいても良いが、その含有量は、全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
【0066】
また、容器本体10は、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいても良い。この場合、複合容器10Aの環境負荷低減性を向上できる。ここで、本明細書中、「メカニカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器を選別・粉砕・洗浄して汚染物質や異物を除去し、フレークを得て、フレークを更に高温・減圧下等で一定時間処理して樹脂内部の汚染物質を除去することにより得られたポリエステルのことをいう。メカニカルリサイクルポリエステルは、二種以上の触媒を含むものであっても良い。この場合、メカニカルリサイクルポリエステルは、例えば、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルのうちの二種以上を含んでも良い。
【0067】
容器本体10がメカニカルリサイクルポリエステルを含む場合、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量は、容器本体10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
【0068】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、容器本体10は、添加剤を含んでいても良く、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、アセトアルデヒド吸収剤(例えば、Color Matrix社製のAA Scavengers)及び着色剤などが挙げられる。
【0069】
(プラスチック製部材)
次に、
図1乃至
図5により、プラスチック製部材90について説明する。プラスチック製部材90は、後述するプラスチック製部材90aをプリフォーム40の外側に密着させた後、プリフォーム40と共に二軸延伸ブロー成形を施すことにより得られた部材である。
【0070】
プラスチック製部材90は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材90は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、
図5に示すように、プラスチック製部材90は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略四角形形状(正方形形状)の水平断面を有している。
【0071】
この場合、
図2乃至
図4に示すように、プラスチック製部材90は、容器本体10のうち、肩部20の第1肩部21の一部、肩部20の環状部22及び第2肩部23、胴部13並びに底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部20、胴部13及び底部30に対して所望の機能や特性を付与できる。
【0072】
ここで、
図3に示すように、本実施の形態では、伸長状態において、プラスチック製部材90の上端95は、第1肩部21上に位置している。この場合、
図4に示すように、収縮状態において、プラスチック製部材90の上端95は、容器本体10から浮き上がる。具体的には、プラスチック製部材90が、肩部20の第1肩部21及び環状部22から浮き上がる。このため、後述するように、プラスチック製部材90を容器本体10から分離して除去する際に、肩部20を収縮状態にすることにより、使用者が、プラスチック製部材90の上端95を摘まみやすくなる。このため、使用者が、プラスチック製部材90を容器本体10から容易に除去できるようになる。
【0073】
なお、プラスチック製部材90は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材90は、容器本体10のうち、口部11を除く、肩部20、胴部13及び底部30の全体を覆うように設けられていても良い。又は、プラスチック製部材90は、容器本体10のうち、口部11及び底部30の中心部を除く、肩部20、胴部13及び底部30を覆うように設けられていても良い。
【0074】
プラスチック製部材90は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去できる。具体的には、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材90を切除したり、プラスチック製部材90に予め図示しない切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材90を剥離して除去できる。これにより、プラスチック製部材90を容器本体10から分離して除去できる。
【0075】
このようなプラスチック製部材90(後述するプラスチック製部材90a)としては、プリフォーム40に対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0076】
プラスチック製部材90(後述するプラスチック製部材90a)がプリフォーム40に対して収縮する作用をもつ場合、後述するプラスチック製部材90aは、プリフォーム40の外側に設けられ、プリフォーム40と一体となって加熱される。そして、後述するプラスチック製部材90a及びプリフォーム40に対して二軸延伸ブロー成形が施されることにより、プラスチック製部材90が得られる。
【0077】
プラスチック製部材90としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。また、プラスチック製部材90は、これらのブレンド材料から構成されていても良く、多層構造又は部分的多層構造を有していても良い。さらに、プラスチック製部材90の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色顔料等が挙げられる。
【0078】
プラスチック製部材90は、紫外線等の不可視光線をバリアする光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム40として多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを抑制できる。このような材料としては、ブレンド材料、又はPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材が、プラスチック製部材90の材料に使用されても良い。
【0079】
プラスチック製部材90は、容器本体10(プリフォーム40)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10の厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを持ち上げた際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが抑制される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。この場合、これらの樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子が混合されていることが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製)を用いて測定できる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であっても良く、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であっても良いが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)等の市販される中空粒子を用いることもできる。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材90に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
【0080】
また、プラスチック製部材90は、容器本体10(プリフォーム40)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを持ちやすくなる。
【0081】
プラスチック製部材90は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色又は白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
【0082】
また、プラスチック製部材90の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。
【0083】
ここで、このような複合容器10Aでは、複合容器10A同士を上下方向に重ねた状態で搬送及び保管することが求められ得る。この場合、例えば、
図7に示すように、4つの複合容器10Aが上下方向に重ねられても良い。また、
図8に示すように、4つの内容物入り複合容器10Bが上下方向に重ねられても良い。なお、上下方向に重ねられる複合容器10Aの数は、これに限られず、3つ以下であっても良い。本実施の形態では、このような複合容器10Aを複数備える複合容器組合体1Aも提供する。同様に、上下方向に重ねられる内容物入り複合容器10Bの数は、これに限られず、3つ以下であっても良い。本実施の形態では、このような内容物入り複合容器10Bを複数備える内容物入り複合容器組合体1Bも提供する。
【0084】
(複合プリフォームの構成)
次に、
図9乃至
図12により、本実施の形態による複合プリフォーム40Aについて説明する。複合プリフォーム40Aは、上述した複合容器10Aを製造するために用いる部材である。
図9乃至
図11に示すように、複合プリフォーム40Aは、プラスチック材料製のプリフォーム40と、プリフォーム40の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材90aとを備えている。
【0085】
(プリフォーム)
次に、プリフォーム40について詳述する。
図9及び
図10に示すように、プリフォーム40は、口部41と、口部41に連結された胴部50と、胴部50に連結された底部60と、を有している。
【0086】
このうち口部41は、上述した容器本体10の口部11に対応する部分であり、口部11と略同一の形状を有している。すなわち、口部41は、ねじ部42と、ねじ部42の下方に設けられたフランジ部43とを含んでいる。プリフォーム40のねじ部42及びフランジ部43は、それぞれ、容器本体10のねじ部14及びフランジ部15に対応する部分であり、ねじ部14及びフランジ部15と略同一の形状を有している。
【0087】
図10に示すように、口部41の厚みt1は、例えば、0.5mm以上5mm以下であっても良い。なお、口部41の厚みt1は、口部41のうち、ねじ部42が形成されていない領域の厚みを意味する。なお、口部41の厚みt1は、口部41の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0088】
また、口部41の高さh1は、例えば、7mm以上60mm以下であることが好ましい。また、口部41の外径D1は、20mm以上90mm以下であることが好ましい。さらに、口部41の内径D2は、10mm以上30mm以下であることが好ましい。なお、口部41の内径D2は、口部41の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0089】
胴部50は、上述した容器本体10の首部12、肩部20及び胴部13に対応する部分である。胴部50は、口部41に連結され、口部41から下方に向けて延びている。また、胴部50の水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部50が、楕円筒形状、または四角形筒形状等の多角形筒形状等の筒形状を有していてもよい。
【0090】
この胴部50は、小径部51と、拡径部52と、大径部53とを含んでいる。小径部51は、口部41側に位置している。拡径部52は、小径部51と大径部53との間に位置している。大径部53は、底部60側に位置している。
【0091】
このうち小径部51は、フランジ部43の下部に連結されている。小径部51は、胴部50において最も外径が小さい部分であり、略均一な外径をもつ円筒形状を有している。小径部51の厚みt2は、全体として略一定となっている。
【0092】
小径部51の厚みt2は、口部41の厚みt1よりも厚くなっていることが好ましい(t1<t2)。これにより、小径部51の延伸倍率を大きくできる。このため、容器本体10の大型化を図ることができる。小径部51の厚みt2は、例えば、1mm以上5mm以下であることが好ましい。小径部51の厚みt2が1mm以上であることにより、小径部51の延伸倍率をより大きくでき、容器本体10の更なる大型化を図ることができる。また、小径部51の厚みt2が1mm以上であることにより、小径部51の厚みt2と、大径部53の厚みt4との差を小さくできる。これにより、プリフォーム40を射出成形によって作製する際に、射出樹脂の流れが悪くなることを抑制できる。このため、射出樹脂の流動性を高く保つことができ、プリフォーム40の成形性を向上できる。また、小径部51の厚みt2が5mm以下であることにより、プリフォーム40から作製される容器本体10において、首部12が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。
【0093】
また、小径部51の高さh2は、例えば、2mm以上30mm以下であることが好ましい。また、小径部51の外径D3は、20mm以上90mm以下であることが好ましい。さらに、小径部51の内径D4は、15mm以上85mm以下であることが好ましい。なお、小径部51の内径D4は、上述した口部41の内径D2と略同一であっても良い。また、小径部51の内径D4は、小径部51の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0094】
拡径部52は、小径部51の下部に連結されており、小径部51側から大径部53側に向けて拡径している。拡径部52の水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。拡径部52の厚みt3は、小径部51側から大径部53側に向けて徐々に厚くなっている。これにより、拡径部52のうち、延伸倍率が大きくなり得る部分の延伸倍率を大きくできる。ここで、拡径部52においては、小径部51側から大径部53側に向けて、延伸倍率が大きくなり得る。このため、小径部51側から大径部53側に向けて、拡径部52の厚みt3を徐々に厚くすることにより、小径部51側から大径部53側に向けて、拡径部52の延伸倍率を大きくできる。この結果、大型の容器本体10を容易に得ることができる。拡径部52の任意の位置において、拡径部52の厚みt3は、2mm以上11mm以下であることが好ましい。拡径部52の厚みt3が2mm以上であることにより、拡径部52の延伸倍率をより大きくでき、容器本体10の更なる大型化を図ることができる。また、拡径部52の厚みt3が11mm以下であることにより、プリフォーム40から作製される容器本体10において、肩部20及び胴部13が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。
【0095】
また、拡径部52の高さh3は、例えば、30mm以上70mm以下であることが好ましい。また、拡径部52の外径D5は、高さ方向に沿って変化している。拡径部52の任意の位置において、拡径部52の外径D5は、20mm以上100mm以下であることが好ましい。さらに、拡径部52の内径D6は、15mm以上95mm以下であることが好ましい。なお、拡径部52の内径D6は、上述した口部41の内径D2と略同一であっても良い。また、拡径部52の内径D6は、拡径部52の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0096】
拡径部52の外面は、プリフォーム40の中心軸CL2に対して傾斜している。垂直断面において、拡径部52の外面が中心軸CL2に対して傾斜する角度θは、0.1°以上7°以下としても良く、1°以上5°以下とすることが好ましい。角度θが0.1°以上であることにより、プリフォーム40を射出成形によって作製する際に、プリフォーム40が図示しない金型から離形しやすくなる。また、角度θが7°以下であることにより、プリフォーム40を射出成形によって作製する際に、射出樹脂の流れが悪くなることを抑制できる。このため、射出樹脂の流動性を高く保つことができ、プリフォーム40の成形性を向上できる。
【0097】
大径部53は、拡径部52の下部に連結されている。大径部53は、胴部50において最も外径が大きい部分であり、略均一な外径をもつ円筒形状を有している。大径部53の厚みt4は、全体として略一定となっている。
【0098】
大径部53の厚みt4は、小径部51の厚みt2よりも厚くなっていることが好ましい。これにより、大径部53の延伸倍率を大きくできる。ここで、大径部53は、小径部51及び拡径部52と比較して、延伸倍率が大きくなり得る部分である。このため、大径部53の延伸倍率を大きくできることにより、大型の容器本体10を容易に得ることができる。大径部53の厚みt4は、例えば、3mm以上11mm以下であることが好ましい。大径部53の厚みt4が3mm以上であることにより、大型の容器本体10をより容易に得ることができる。また、大径部53の厚みt4が11mm以下であることにより、プリフォーム40から作製される容器本体10において、胴部13が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。
【0099】
また、大径部53の高さh4は、例えば、20mm以上70mm以下であることが好ましい。また、大径部53の外径D7は、35mm以上100mm以下であることが好ましい。さらに、大径部53の内径D8は、30mm以上95mm以下であることが好ましい。なお、大径部53の内径D8は、上述した口部41の内径D2と略同一であっても良い。また、大径部53の内径D8は、大径部53の高さ方向全体にわたって略均一であっても良い。
【0100】
底部60は、大径部53の下部に連結されている、底部60は、上述した容器本体10の底部30に対応する部分であり、略半球形状を有している。また、底部60の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形となっている。垂直断面において、底部60の外面は、全体として半円形状を有している。しかしながら、これに限られず、底部60の外面の少なくとも一部が、非円弧の部分を含む曲線形状であっても良い。垂直断面において、底部60の外面を構成する半円の中心O1は中心軸CL2に存在する。
【0101】
垂直断面において、底部60の内面の少なくとも一部は、非円弧の部分を含む曲線形状である。図示された例においては、垂直断面において、底部60の内面は、先端が丸められた略V字形状を有している。
【0102】
底部60の厚みt5は、胴部50側から底部60の最下部61に向けて徐々に薄くなっている。これにより、底部60の中心が厚くなりすぎることを抑制でき、また、容器本体10の重量を抑えることができる。また、底部60のうち、厚みt5が最も厚くなる部分における厚みt5(以下、t5aとも記す)に対する、最下部61における厚みt5(以下t5bとも記す)の割合(t5b/t5a)は、0.6以上0.95以下であっても良く、0.7以上0.85以下とすることが好ましい。上記割合(t5b/t5a)が0.6以上であることにより、底部60の延伸倍率をより大きくできるとともに、ブロー成形の成形性が低下することを抑制できる。また、上記割合が0.95以下であることにより、底部60の中心が厚くなりすぎることを効果的に抑制でき、また、容器本体10の重量をより抑えることができる。
【0103】
底部60の任意の位置において、底部60の厚みt5は、1.5mm以上5mm以下であることが好ましい。底部60の厚みt5が1.5mm以上であることにより、底部60の延伸倍率をより大きくでき、容器本体10の更なる大型化を図ることができる。また、底部60の厚みt5が5mm以下であることにより、プリフォーム40から作製される容器本体10において、底部30が厚くなりすぎることを抑制できる。このため、ブロー成形の成形性を向上できる。また、底部60のうち、厚みt5が最も厚くなる部分における厚みt5aは、例えば、1.5mm以上5mm以下であっても良い。さらに、最下部61における厚みt5bは、例えば、1.5mm以上4.75mm以下であっても良い。
【0104】
また、底部60の高さh5は、例えば、7mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0105】
このようなプリフォーム40の口部41、胴部50及び底部60は、互いに一体的に形成されている。なお、胴部50及び底部60の合計高さh6(フランジ部43よりも下の部分の高さ方向の長さ)は、59mm以上190mm以下とすることが好ましい。
【0106】
以上を纏めると、プリフォーム40において、口部41、胴部50及び底部の形状は、例えば、以下の表1及び表2のようにしても良い。
【0107】
【0108】
【0109】
(プラスチック製部材)
次に、
図9乃至
図12により、プラスチック製部材90aについて説明する。プラスチック製部材90aは、プリフォーム40の外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム40に対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。
図11に示すように、プラスチック製部材90aは、プリフォーム40を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
【0110】
この場合、
図9及び
図10に示すように、プラスチック製部材90aは、プリフォーム40のうち、胴部50の拡径部52の一部と、胴部50の大径部53の全域と、底部60の全域とを覆うように設けられている。なお、プラスチック製部材90aは、口部41以外の一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材90aは、底部60を除く、胴部50を覆うように設けられていても良い。
【0111】
このようなプラスチック製部材90aとしては、プリフォーム40に対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0112】
プラスチック製部材90aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材90aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム40に対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材90aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
【0113】
なお、プラスチック製部材90aが熱収縮作用をもつ場合、円筒状のプラスチック製部材90aをプリフォーム40に嵌め込んだ後、プラスチック製部材90aの下端部(口部41とは反対側の端部)に形成された余白部を熱圧着しても良い。
【0114】
プラスチック製部材90aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができる。なお、プラスチック製部材90aは、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法で作製されたチューブ等であっても良い。
【0115】
プラスチック製部材90aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色又は白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
【0116】
次にプラスチック製部材90aの形状について説明する。
【0117】
図12(a)に示すように、プラスチック製部材90aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部91と、胴部91に連結された底部92とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材90aの底部92がプリフォーム40の底部60を覆うので、複合容器10Aのうち、容器本体10の胴部13に対応する領域に加え、底部30に対応する領域に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与できる。また、プラスチック製部材90aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。このようなプラスチック製部材90aは、例えば上述したダイレクトブローチューブ、シート成形チューブ又は射出成形チューブであっても良い。
【0118】
また、
図12(b)に示すように、プラスチック製部材90aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部91を有していても良い。また、プラスチック製部材90aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。この場合、プラスチック製部材90aは、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ又はシート成形チューブであっても良い。
【0119】
また、
図12(c)及び
図12(d)に示すように、プラスチック製部材90aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、
図12(c)に示すように、プラスチック製部材90aは、胴部91を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、
図12(d)に示すように、底部92を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
【0120】
(複合容器の製造方法)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用(複合容器の製造方法)について述べる。
【0121】
まず、プリフォーム40を準備する(
図13(a))。この場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂製ペレットを図示しない射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融及び加圧される。その後、ペレットは加圧された溶融プラスチックとなって、プリフォーム40に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出される。所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム40が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内からプリフォーム40を取り出す。なお、プリフォーム40は、射出成形法のほか、圧縮成形法等の各種成形法によって作製されても良い。
【0122】
次に、プリフォーム40の外側にプラスチック製部材90aを設けることにより、プリフォーム40と、プリフォーム40の外側に密着されたプラスチック製部材90aとを備える複合プリフォーム40Aを作製する(
図13(b)参照)。この場合、プラスチック製部材90aは、全体として有底円筒形状からなり、筒状の胴部91と、胴部91に連結された底部92とを有している。
【0123】
この際、プリフォーム40の外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材90aを、プリフォーム40に対して押し込むことにより、プリフォーム40の外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつプラスチック製部材90をプリフォーム40の外面に設け、このプラスチック製部材90aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム40の外面に密着させても良い。
【0124】
このように、予めプリフォーム40の外側にプラスチック製部材90aを密着させ、複合プリフォーム40Aを作製しておくことにより、複合プリフォーム40Aを作製する一連の工程(
図13(a)-(b))と、ブロー成形を行う一連の工程(
図13(c)-(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
【0125】
その後、プリフォーム40及びプラスチック製部材90aに対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、プリフォーム40及びプラスチック製部材90aを一体として膨張させる(
図13(c)-(f)参照)。このとき、まず、複合プリフォーム40Aが、加熱装置71によって加熱される(
図13(c))。このとき、複合プリフォーム40Aは、プリフォーム40の口部41を下方に向けた状態で回転しながら、加熱装置71によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程における複合プリフォーム40Aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0126】
続いて、加熱装置71によって加熱された複合プリフォーム40Aは、ブロー成形金型70に送られる(
図13(d))。
【0127】
複合容器10Aは、このブロー成形金型70を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型70は互いに分割された一対の胴部金型70a、70bと、底部金型70cとからなる(
図13(d))。この胴部金型70a、70b及び底部金型70cは、それぞれ容器本体10の肩部20、胴部13及び底部30に対応する形状を有している。
図13(d)において、一対の胴部金型70a、70b間は互いに開いており、底部金型70cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型70a、70b間に、複合プリフォーム40Aが挿入される。
【0128】
次に、
図13(e)に示すように、底部金型70cが下がったのちに一対の胴部金型70a、70bが閉鎖され、一対の胴部金型70a、70b及び底部金型70cにより密閉されたブロー成形金型70が構成される。次に、複合プリフォーム40A内に空気が圧入され、複合プリフォーム40Aに対して二軸延伸ブロー成形が施される。
【0129】
これにより、ブロー成形金型70内で複合プリフォーム40Aから複合容器10Aが得られる。この間、胴部金型70a、70bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型70cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型70内では、複合プリフォーム40Aのプリフォーム40及びプラスチック製部材90aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム40及びプラスチック製部材90aは、一体となってブロー成形金型70の内面に対応する形状に賦形される。このようにして、容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材90とを備える複合容器10Aが得られる。
【0130】
次に、
図13(f)に示すように、一対の胴部金型70a、70b及び底部金型70cが互いに離れ、ブロー成形金型70内から複合容器10Aが取出される。このようにして、
図1乃至
図5に示す複合容器10Aが得られる。
【0131】
その後、複合容器10A内に内容物を充填する。また、内容物が充填された複合容器10Aの口部11にキャップ80を装着する。このようにして、内容物入り複合容器10Bが得られる。
【0132】
ところで、このような複合容器10Aでは、上述したように、複合容器10A同士を上下方向に重ねた状態で搬送及び保管することが求められ得る。とりわけ、大型の複合容器10Aでは、複合容器10A同士を上下方向に重ねた状態で搬送及び保管することが求められ得る。
【0133】
これに対して、本実施の形態では、容器本体10の肩部20が、容器本体10の中心軸CL1方向(上下方向)に沿って伸縮自在に構成されている。この場合、肩部20が収縮状態となることにより、複合容器10Aをコンパクトにできる。とりわけ、
図14に示すように、肩部20が収縮状態となることにより、複合容器10A同士を上下方向に重ねた際に、一方の複合容器10Abの容器本体10の口部11を、他方の複合容器10Aaの容器本体10の底部30の凹部31内に収納できる。また、
図15に示すように、肩部20が収縮状態となることにより、内容物入り複合容器10B同士を上下方向に重ねた際に、一方の内容物入り複合容器10Bbの容器本体10の口部11及び当該口部11に装着されたキャップ80を、他方の内容物入り複合容器10Baの容器本体10の底部30の凹部31内に収納できる。これにより、複数の複合容器10A(内容物入り複合容器10B)をコンパクトに収納できる。なお、この場合、他方の複合容器10Aaのプラスチック製部材90のうち、接地部32を覆う部分が、一方の複合容器10Abのプラスチック製部材90のうち、第1肩部21に対応する部分と、環状部22と第2肩部23との間の境界近傍に対応する部分とに接触しても良い。そして、これにより、他方の複合容器10Aaが、一方の複合容器10Abに支持されても良い。
【0134】
上述したように、本実施の形態では、このような複合容器10Aを複数備える複合容器組合体1Aも提供する。すなわち、本実施の形態では、複合容器(一の複合容器)10Aaが、複合容器(他の複合容器)10Ab上に積み重ねられており、複合容器10Abの容器本体10の肩部20が、収縮状態をとり、複合容器10Abの容器本体10の口部11が、複合容器10Aaの容器本体10の凹部31内に収納されている、複合容器組合体1Aも提供する。
【0135】
同様に、本実施の形態では、このような内容物入り複合容器10Bを複数備える内容物入り複合容器組合体1Bも提供する。すなわち、本実施の形態では、複合容器(一の複合容器)10Baが、複合容器(他の複合容器)10Bb上に積み重ねられており、複合容器10Bbの容器本体10の肩部20が、収縮状態をとり、複合容器10Bbの容器本体10の口部11及び当該口部11に装着されたキャップ80が、複合容器10Baの容器本体10の凹部31内に収納されている、内容物入り複合容器組合体1Bも提供する。
【0136】
以上説明したように、本実施の形態によれば、容器本体10の肩部20が、容器本体10の中心軸CL1方向に沿って伸縮自在に構成されている。また、収縮状態での肩部20の高さH2が、伸長状態での肩部20の高さH1の40%以上98%以下である。このように、高さH2が高さH1の40%以上であることにより、口部11にキャップ80が螺着された状態であっても、容器本体10の肩部20を伸長状態から収縮状態へ収縮させやすくできる。また、高さH2が高さH1の98%以下であることにより、肩部20が収縮状態となることによって、複合容器10Aをコンパクトにできる。このため、段ボール等に、複数の複合容器10Aをコンパクトに収納できる。
【0137】
また、このような複合容器10Aは、いわゆるバッグインボックスの替わりに、一般的な飲料ディスペンサに装着しても良い。本実施の形態によれば、容器本体10の肩部20が伸縮自在に構成されており、収縮状態での肩部20の高さH2が、伸長状態での肩部20の高さH1の98%以下である。このため、肩部20を収縮させた状態で、複合容器10Aを飲料ディスペンサに装着することにより、飲料ディスペンサを設置するスペースの省スペース化を図ることができる。
【0138】
また、複合容器10Aが、プラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材90とを備えている。これにより、複合容器10Aに対して、ガスバリア性等の様々な機能又は特性を付与できる。
【0139】
また、プラスチック製部材90を容器本体10から分離して除去できるので、無色透明な容器本体10をリサイクルする場合に、従来と同様に、容器本体10をリサイクルできる。
【0140】
また、本実施の形態によれば、肩部20が、口部11側に位置し、口部11側から胴部13側に向けて拡径する第1肩部21と、胴部13側に位置し、口部11側から胴部13側に向けて拡径する第2肩部23と、第1肩部21と第2肩部23との間に位置する環状部22とを有している。そして、環状部22が変形することにより、肩部20が伸縮する。このように、本実施の形態では、肩部20が伸縮する場合に、第1肩部21と第2肩部23との間に位置する環状部22が変形する。この場合、肩部20が伸縮した場合であっても、胴部13が変形し難くなる。このため、胴部13を変形させることなく、肩部20を伸縮させることができる。この結果、肩部20が伸長状態から収縮状態になった場合に、容器本体10の胴部13の幅Wが広がることを抑制できる。このため、肩部20を収縮させた状態であっても、複合容器10Aが嵩張ることを抑制できる。この結果、例えば、複合容器10Aを保管する保管場所等の省スペース化を図ることができる。
【0141】
また、本実施の形態によれば、伸長状態において、プラスチック製部材90の上端95が、第1肩部21上に位置している。そして、収縮状態において、プラスチック製部材90の上端95が、容器本体10から浮き上がっている。これにより、プラスチック製部材90を容器本体10から分離して除去する際に、肩部20を収縮状態にすることにより、使用者が、プラスチック製部材90の上端95を摘まみやすくなる。このため、使用者が、プラスチック製部材90を容器本体10から容易に除去できる。
【0142】
また、本実施の形態によれば、底部30の厚みT3が、肩部20の厚みT1よりも厚く、胴部13の厚みT2が、底部30の厚みT3よりも厚くなっている。これにより、肩部20が伸縮する際に、胴部13が変形することを抑制できる。このため、肩部20をしっかりと変形(伸縮)させることができる。
【0143】
さらに、本実施の形態によれば、底部30が、凹部31と、凹部31の周囲に設けられた接地部32とを有し、凹部31の深さDeが、20mm以上50mm以下である。これにより、複合容器10A同士を上下方向に重ねた際に、一方の複合容器10Aの口部11を、他方の複合容器10Aの底部30の凹部31内に収納できる。これにより、複数の複合容器10Aをコンパクトに収納できる。
【0144】
なお、上述した実施の形態においては、伸長状態において、プラスチック製部材90の上端95が、第1肩部21上に位置している例について説明した。しかしながら、これに限られず、例えば、
図16に示すように、伸長状態において、プラスチック製部材90の上端95が、環状部22上に位置していても良い。この場合においても、
図17に示すように、収縮状態において、プラスチック製部材90の上端95は、容器本体10から浮き上がる。具体的には、プラスチック製部材90が、肩部20の環状部22から浮き上がる。このため、プラスチック製部材90を容器本体10から分離して除去する際に、肩部20を収縮状態にすることにより、使用者が、プラスチック製部材90の上端95を摘まみやすくなる。このため、使用者が、プラスチック製部材90を容器本体10から容易に除去できる。
【0145】
また、上述した実施の形態においては、
図9乃至
図11に示す複合プリフォーム40Aから、複合容器10Aを作製する例について説明した。しかしながら、上述した複合容器10Aを作製するためのプリフォームの形状等は、これに限定されないことは勿論である。
【0146】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0147】
1A 複合容器組合体
1B 内容物入り複合容器組合体
10 容器本体
10A 複合容器
10B 内容物入り複合容器
10Aa 複合容器
10Ab 複合容器
10Ba 内容物入り複合容器
10Bb 内容物入り複合容器
11 口部
13 胴部
20 肩部
21 第1肩部
22 環状部
23 第2肩部
30 底部
31 凹部
32 接地部
80 キャップ
90 プラスチック製部材
95 上端
CL1 中心軸