IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 黄文彬の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056566
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】環境保護溶液およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/30 20060101AFI20240416BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240416BHJP
   A01N 37/10 20060101ALI20240416BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240416BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20240416BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A01N25/30
A01P3/00
A01N37/10
A01P7/04
A01P7/02
A01N25/02
C11D3/20
C11D3/12
C11D3/22
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163566
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】522398980
【氏名又は名称】黄文彬
【氏名又は名称原語表記】HUANG, WEN-BIN
【住所又は居所原語表記】No. 335, Sec. 3, Tailin Rd., Taishan Dist., New Taipei City 243083 , Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】黄文彬
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003EA24
4H003EA25
4H003EB07
4H003EB09
4H003EB41
4H003EB45
4H011AA02
4H011AA03
4H011AC01
4H011AC04
4H011BA05
4H011BB06
4H011BC18
4H011BC22
4H011DA13
(57)【要約】
【課題】物体の表面に付加して洗浄殺菌効果を生成する環境保護溶液を提供する。
【解決手段】
前記環境保護溶液は、複数の成分を混合して形成されるものであり、そのうち前記成分は、重量全体の73~83%を占める油と、重量全体の0.1~2.5%を占める安息香酸ナトリウムと、重量全体の10~18%を占める界面活性剤と、重量全体の0.4~10%を占める二酸化ケイ素と、重量全体の0.1~3%を占める酸化アルミニウムと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面に付加して洗浄効果を生成する環境保護溶液であって、前記環境保護溶液は、複数の成分を混合して形成されるものであり、そのうち前記成分は、
重量全体の73~83%を占める、油と、
重量全体の0.1~2.5%を占める、安息香酸ナトリウムと、
重量全体の10~18%を占める、界面活性剤と、
重量全体の0.4~10%を占める、二酸化ケイ素と、
重量全体の0.1~3%を占める、酸化アルミニウムと、を含むことを特徴とする環境保護溶液。
【請求項2】
環境保護溶液であって、そのうち、前記界面活性剤は、水酸組成物を含み、前記水酸組成物は、重量全体の7~20%を占めること、を特徴とする請求項1に記載の環境保護溶液。
【請求項3】
環境保護溶液であって、そのうち、前記成分は、さらに、小麦粉、砂糖および鶏卵のうち、少なくとも一つを含むこと、を特徴とする請求項1に記載の環境保護溶液。
【請求項4】
環境保護溶液であって、そのうち、前記油は、植物油であること、を特徴とする請求項1に記載の環境保護溶液。
【請求項5】
物体の表面に付加して洗浄効果を生成する環境保護溶液であって、前記環境保護溶液は、複数の成分を含み、
前記成分は、
重量全体の73~83%を占める、油と、
重量全体の0.1~2.5%を占める、安息香酸ナトリウムと、
重量全体の10~20%を占める、界面活性剤と、
重量全体の0.4~10%を占める、二酸化ケイ素と、
重量全体の0.1~3%を占める、酸化アルミニウムと、、
前記成分をX:1の比率で希釈する、水と、を含み、
そのうち、前記Xの範囲は200から800の間であることを特徴とする環境保護溶液。
【請求項6】
環境保護溶液であって、そのうち、前記界面活性剤は、水酸組成物を含み、前記水酸組成物は、重量全体の7~20%を占めること、を特徴とする請求項5に記載の環境保護溶液。
【請求項7】
環境保護溶液であって、そのうち、前記成分は、さらに、小麦粉、砂糖および鶏卵のうち、少なくとも一つを含むこと、を特徴とする請求項5に記載の環境保護溶液。
【請求項8】
環境保護溶液であって、そのうち、前記油は、植物油であること、を特徴とする請求項5に記載の環境保護溶液。
【請求項9】
殺生物剤とする用途に用いられる、請求項1から8のいずれかに記載の環境保護溶液。
【請求項10】
植物の物体への付着を除去する用途に用いられる、請求項1から8のいずれかに記載の環境保護溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境保護溶液に関し、特に、洗浄効果を有する環境保護溶液と、前記環境保護溶液を利用して殺生物剤とする用途に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物にとって、最も予防を必要とする危害は天災および虫害である。農作物に対する害虫防除は、従来、農薬を使用して農作物に噴霧を行い、害虫を駆除するものであった。農薬は噴霧された後も、農作物の表面或いは土壌中に残留する可能性があり、もし、農作物を食用する時に、洗浄しても清潔でなかったり、或いは食物連鎖の循環によって、いずれも人体或いは環境内に進入してしまう機会を有する。従来の農薬の大多数は、化学物質を用いて製造されているため、人体又は環境に有害な成分を含む可能性がある。そのため、一般的な人は、食事を通じて徐々に農薬の残留量を蓄積する機会があり、時間の経過と共に人体の健康に悪影響を及ぼす。環境もまた、農薬の残留によって汚染を引き起こす。
【0003】
近年、各国の政府は有機農薬の使用を積極的に推進している。葵無露(台湾でよく用いられる非農薬材料を原料とする乳化油剤)を例として、葵無露は主にサラダ油とサラット(洗剤の商標)の混合溶液であるため、その主要成分は分解可能で、かつ人体または環境に対して比較的無害である。しかしながら、葵無露は昆虫の駆除にのみ優れた効果を有し、かつ葵無露の主成分を混合溶液に調合した後、往々にして一定の時間(約1~数日)を経過すると成分分離の状態を生じ、このことは、葵無露の使用者にとって悩ましい。
【0004】
従って、どのように上記問題を改善し、また、害虫等の生物を駆除し、かつ、さらに洗浄効果を提供できる環境保護溶液を開発するかは、研究に値する課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、洗浄効果を有する環境保護溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、物体の表面に付加して洗浄効果を生成する環境保護溶液を提供する。環境保護溶液は、複数の成分を混合して形成されるものであり、そのうち前記成分は、重量全体の73~83%を占める、油と、重量全体の0.1~2.5%を占める、安息香酸ナトリウムと、重量全体の10~20%を占める、界面活性剤と、重量全体の0.4~10%を占める、二酸化ケイ素と、及び、重量全体の0.1~3%を占める、酸化アルミニウムと、を含む。
【0007】
本発明の一実施例において、界面活性剤は、水酸組成物を含み、かつ、水酸組成物は、重量全体の7~20%を占める。
【0008】
本発明の一実施例において、複数の成分は、さらに、小麦粉、砂糖および鶏卵のうち、少なくとも一つを含む。
【0009】
本発明の一実施例において、油は植物油である。
【0010】
本発明はまた、物体の表面に付加して洗浄効果を生成し、複数の成分および水を含む、環境保護溶液を提供する。複数の成分は、重量全体の73~83%を占める、油と、重量全体の0.1~2.5%を占める、安息香酸ナトリウムと、重量全体の10~20%を占める、界面活性剤と、重量全体の0.4~10%を占める、二酸化ケイ素と、及び、重量全体の0.1~3%を占める、酸化アルミニウムと、を含む。水は、複数の成分をX:1の比率で希釈し、そのうち、Xの範囲は200から800の間である。
【0011】
本発明はまた、殺生物剤とする用途、または、植物の物体への付着を除去する用途、に用いられる、上記の環境保護溶液を提供する。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比較して、本発明の環境保護溶液の複数の成分は、大部分が、環境に無毒で、かつ、分解できる材料を採用して製造されるため、環境に対する汚染あるいは他の影響を大幅に低減する。本発明の環境保護溶液は、長時間混合溶液状態を保持でき、水を加入して稀釈するだけで、有効的な清潔効果を有する溶液を大量に製造でき、ならびに、殺生物剤として使用でき、その使用上の利便性、安全性および使用コストを増加できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の環境保護溶液は、物体の表面に付加することで、洗浄効果を生成する。本発明の環境保護溶液は、複数の成分を混合して形成されるものであり、そのうち複数の成分は、油と、安息香酸ナトリウムと、界面活性剤と、二酸化ケイ素(SiO2)と、酸化アルミニウム(Al2O3)と、を含む。複数の成分中において、油は最も主要な成分であり、かつ本発明の環境保護溶液の重量全体の73~83%を占める。油自体は粘稠性を有するため、物体の表面に付着して滞留しやすい。本発明の一実施例において、油は植物油であり、例えば、大豆サラダ油、オリーブ油、ひまわり油などであって、その成分は天然であり、環境を汚染しにくい。
【0014】
安息香酸ナトリウムは、本発明の環境保護溶液の重量全体の0.1~2.5%を占める。安息香酸ナトリウムは、主に防腐剤として使用されることで、前記油の変質や腐敗を防止する。さらに、安息香酸ナトリウムは、殺菌や抗菌の効果をも有する。安息香酸ナトリウムは、大抵、人工合成物質に属してしまうが、一部の植物(例えばベリー類など)を経由して自然に生成することができ、しかも少量の安息香酸ナトリウムは人体に全くの無害である。
【0015】
界面活性剤は、本発明の環境保護溶液の重量全体の10~20%を占める。界面活性剤は、前記安息香酸ナトリウムおよび天然鉱物成分(詳細は後述)の混合を促進する。本発明の一実施例において、界面活性剤は、サラット、植物パームオイル、ムクロジ油あるいは他の天然の成分を含むことができるが、本発明はこれらに限定されない。その他、本発明の一実施例において、界面活性剤は、例えば水などの水酸組成物を含み、かつ、水酸組成物は、本発明の環境保護溶液の重量全体の7~20%を占める。即ち、界面活性剤は、完全に水酸組成物である、あるいは、部分的に水酸組成物と他の成分の組合せである。
【0016】
二酸化ケイ素は、本発明の環境保護溶液の重量全体の0.4~10%を占める。二酸化ケイ素は、天然鉱物粉末の組成成分に属し、主に油脂溶解を促進する効果を提供し、微小物質を吸着する吸着面積を増加させる。
【0017】
酸化アルミニウムは、本発明の環境保護溶液の重量全体の0.1~3%を占める。酸化アルミニウムは、天然鉱物粉末の組成成分に属し、主に油脂の溶解を促進する効果を提供し、微小物質を吸着する吸着面積を増加させる。
【0018】
その他、本発明の一実施例において、複数の成分は、さらに、小麦粉、砂糖および鶏卵のうち、少なくとも一つを含む。小麦粉、砂糖および鶏卵は、いずれも食材であり、対応する匂いを発散することができる。小麦粉、砂糖および鶏卵のうち、少なくとも一つを、本発明の環境保護溶液の中に添加する際に、生物を誘引して接近させる誘発物とすることができる。
【0019】
本発明の環境保護溶液は、製造する時に、前記複数の成分を一緒に混合するだけで、複数の成分との間に乳化反応を発生させ、粘稠状溶液を形成できる。本発明の環境保護溶液は、直ちに調合して直ちに使用することができ、かつ調合完成後に比較的長い時間を保存した後でも、複数の成分は依然として混合状態にあり、成分分離の現象が現れることはなく、従来の有機農薬と比較して、製造上および使用上の更なる利便性を有する。また、本発明の環境保護溶液は、物体の表面に付加する際に、スプレー、塗布、浸漬などの方式によって達成できる。
【0020】
本発明の他の実施例において、本発明の環境保護溶液は、前記複数の成分以外に、更に水を含む。前記複数の成分は、混合および乳化反応を経た後、粘稠状溶液を呈し、比較的高い濃度を有するため、水を加えて稀釈した後に、大量の環境保護溶液を生成することができ、かつ依然として相当な洗浄殺菌効果を有する。本実施例において、添加された水は、複数の成分と、X:1の比率で希釈し、そのうち、Xの範囲は200から800の間である。
【0021】
以下に前記本発明の環境保護溶液の使用原理を説明する。本発明の環境保護溶液は、水を加えて稀釈する前でも稀釈した後でも、いずれも物体の表面に付加することができる。本発明の環境保護溶液の粘稠特性により、物体の表面に付着し、一層の隔絶膜を形成することができる。この隔絶膜は大量の油成分を含有し、空気と物体の表面との接触を有効的に遮断することができ、物体の表面と隔離膜との間に気密空間を形成する。そのため、物体の表面上に、虫類、蘚苔などの生物が存在する場合、本発明の環境保護溶液の付加によって形成された隔絶膜は、その酸素源を有効的に遮断することができ、さらに、一定時間静置した後に、物体の表面上の洗浄効果を有効的に達成することができる。
【0022】
本発明は、さらに、前記環境保護溶液を、殺生物剤とする用途、に用いることを含む。上述したように、本発明の環境保護溶液は、物体の表面に付加された後に隔絶膜を形成することができ、そのため前記物体が、有害または望ましくない生物を有する場合、形成された隔絶膜によって、前記生物の呼吸経路を有効的に遮断することができ、さらに前記生物を消滅させる。例を挙げると、一般的な昆虫の呼吸器官は、虫体の腹部あるいは脚部に存在する。本発明の環境保護溶液の成分は、食材を含むため、まず先に昆虫を誘惑して接近させ、接触させることができる。昆虫の腹部あるいは脚部が、本発明の環境保護溶液に大面積で接触する際、昆虫の腹部あるいは脚部に前記隔絶層を形成することができ、さらに前記生物の呼吸経路を遮断し、昆虫を消滅させる効果を達成する。その他、本発明の環境保護溶液に含まれる、二酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムもまた、昆虫の身体の軟部組織を破壊することができる。これによって、本発明の環境保護溶液は、農作物の病虫害の予防と治療に有効的に応用することができ、特に小型昆虫に対して、例えば、台湾鋏モウ(ヌカカ)、アブラムシ、コナジラミ、アカダニ、アザミウマ、モンシロチョウの幼虫などに対して予防と治療の効果を有する。当然ながら、本発明の環境保護溶液を殺生物剤として使用する時、その対象は昆虫に限られず、また、カビ、蘚苔類植物、カタツムリ、巻貝類または他の生物を含むことができる。
【0023】
本発明は、さらに、前記環境保護溶液を、植物の物体への付着を除去する用途、に用いることを含む。上述したように、物体の表面(例えば壁面や地面)に蘚苔類植物あるいは他の類似植物が存在する時、本発明の環境保護溶液の付加によって形成された隔絶膜は、蘚苔類植物と外界環境の接触を遮断し、さらに、蘚苔類植物の酸素源を遮断することで、自然に死亡させる。これによって、本発明の環境保護溶液は、植物を物体の表面から除去する効果に有効的に達することができる。
【外国語明細書】