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特開2024-56582開閉装置並びにこの開閉装置を用いた事務機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056582
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】開閉装置並びにこの開閉装置を用いた事務機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/62 20060101AFI20240416BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G03B27/62
F16C11/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163591
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 覚司
【テーマコード(参考)】
2H012
3J105
【Fターム(参考)】
2H012CB12
3J105AA02
3J105AA04
3J105AB11
3J105AB48
3J105AB50
3J105AC06
3J105DA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開閉体の長年に渡る開閉操作或は反転操作の後においても、開閉操作不良を起こさず、且つ、異音の発生を防止することのできる開閉装置並びにこの開閉装置を用いた事務機器を提供する。
【解決手段】摺動部材である第2スライダー32と、摺動部材である第1スライダーと、第2スライダーと第1スライダーとの間に弾設された圧縮コイルスプリングとから成り、第1スライダーと第2スライダーの少なくともいずれか一方において圧縮コイルスプリングの端面を収容し、圧縮コイルスプリングの外径より大きい第1の内径の弾性部材収容部32bを有し、弾性部材収容部内側に放射状に突出し圧縮コイルスプリングの端面を位置決めする第1の内径より小さく圧縮コイルスプリングの外径とほぼ等しいかそれより大きい第2の内径を形成する複数のリブ32cを設けた。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられるところの開閉体側を支持する支持部材と、この支持部材内部に前記取付部材側に設けた受圧部材に接してスライド可能に収容されるスライダーと、このスライダーに設けた弾性部材収容部に収容されて前記支持部材に自由端側との間に弾設された弾性部材とを有し、この弾性部材と前記弾性部材収容部との間に所定の間隙が設けられているものにおいて、前記弾性部材収容部の基部側に前記弾性部材の位置決め部を設けたことを特徴とする、開閉装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記弾性部材収容部の基部側の内壁に設けた複数のリブ、円弧状を呈した複数の凸部、或はリング状を呈した凸条部で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記複数のリブ、前記円弧状を呈した複数の凸部、或は前記リング状を呈した凸条部には、前記弾性部材収容部の外側に向けて傾斜するガイド部が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられる支持部材と、この支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられるリフト部材と、前記支持部材内部に前記リフト部材側に設けた作動部材に接してスライド可能に設けた第1スライダーと、この第1スライダーと対向し前記支持部材内部に前記取付部材側に設けた受圧部材に接してスライド可能に設けた第2スライダーと、前記第1スライダーに設けた第1弾性部材収容部と前記第2スライダーに設けた第2弾性部材収容部に収容されて設けられた弾性部材とを有し、この弾性部材と前記第1弾性部材収容部と前記第2弾性部材収容部との間に所定の間隙が設けられているものにおいて、前記第1弾性部材収容部と前記第2弾性部材収容部の各基部側に前記弾性部材の第1位置決め部と第2位置決め部を設けたことを特徴とする、開閉装置。
【請求項5】
前記第1位置決め部と第2位置決め部は、前記第1弾性部材収容部と前記第2弾性部材収容部の第1基部側と第2基部側の各内壁に設けた複数の第1リブ及び第2リブ、円弧状を呈した複数の第1凸部及び第2凸部、或は前記リング状を呈した第1凸条部及び第2凸状部とで構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記複数の第1リブ及び第2リブ、前記円弧状を呈した複数の第1凸部及び第2凸部、或は前記リング状を呈した第1凸条部及び第2凸条部には、前記第1弾性部材収容部及び第2弾性部材収容部の外側に向けて傾斜するガイド部が設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の開閉装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の開閉装置を用いたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、印刷機等の事務機器に用いて好適な開閉装置並びにこの開閉装置を用いた事務機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、複合機、印刷機、及びファクシミリ等の事務機器の装置本体には、その装置本体の上面後部に対し開閉体が一対の開閉装置を介して開閉可能に取り付けられている。この開閉装置は、原稿圧着板開閉装置とも称せられるが、一種のヒンジ機構である。そのうちの一方の開閉装置には、例えば下記特許文献1に記載されたように、装置本体に取り付けられる取付部材に、第1ヒンジシャフトを介して支持部材を回動可能に取り付け、この支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して支持部材とは反対方向へ回転可能にリフト部材を取り付け、前記支持部材内部に前記リフト部材側に取り付けた作動部材に接して第1スライダーを、前記リフト部材側に設けた受圧部材に接して第2スライダーが共にスライド可能に設けられると共に、前記第1スライダーと前記第2スライダーの間に、各スライダーに設けた弾性部材収容部に収容させて弾性部材が弾設されている。
【0003】
かかる構成の開閉装置は、開閉体を開閉させると、前記第1及び第2スライダーが支持部材内部において弾性部材の弾力に抗してスライドすることになる。このスライド動作は、原稿が本のような厚物原稿の場合には、この厚物原稿を原稿載置台のコンタクトガラス上に載置させ、その上面を覆うために開閉体を閉じた際にも起こる。即ち、開閉体を閉じ、その下面が厚物原稿に当たり、さらに下押しした際に起こる。その際にリフト部材が反転して作動部材を介して第1スライダーを押すことから第1スライダーは支持部材内部でスライドする。第1スライダーと第2スライダーの外周と弾性部材収容部の内壁との間には、弾性部材の圧縮、伸長動作をスムーズにするために所定の間隙が設けられている。
かかる場合、開閉装置の組み立て時に弾性部材収容部内に収容させる弾性部材が、弾性部材収容部内において片側に偏った状態で組み込まれる場合が多々あり、その結果、各スライダーはそのスライド時に弾性部材収容部の内壁に当たって擦れることから、開閉体の開閉動作時に、異音を発したり、或は開閉操作時の操作フィーリングに支障を来たすといった問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-8038号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来公知の開閉装置は、当然にスライダーと支持部材のスライド面に潤滑用グリスを塗布させた状態で出荷されるが、経年使用されるうちにグリス切れを起こし、開閉体の開閉操作に支障を来たし、また、異音が発生するという問題が生じていた。この問題は、支持部材に対するスライダーの圧入嵌合が強かった場合には、より早く顕在化する傾向があった。本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、開閉体の長年に渡る開閉操作或は反転操作の後においても、開閉操作不良を起こさず、且つ、異音の発生を防止することのできる開閉装置並びにこの開閉装置を用いた事務機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本願請求項1にかる開閉装置は、装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられるところの開閉体側を支持する支持部材と、この支持部材内部に前記取付部材側に設けた受圧部材に接してスライド可能に収容されるスライダーと、このスライダーに設けた弾性部材収容部に収容されて前記支持部材に自由端側との間に弾設された弾性部材とを有し、この弾性部材と前記弾性部材収容部との間に所定の間隙が設けられているものにおいて、前記弾性部材収容部の基部側に前記弾性部材の位置決め部を設けたことを特徴とする。
【0007】
次に本願請求項2にかかる開閉装置は、請求項1において前記位置決め部の基部側の内壁に設けた複数のリブ、円弧状を呈した複数の凸部、或はリング状を呈した凸条部で構成されていることを特徴とする。
【0008】
次に本願請求項3にかかる開閉装置は、請求項2において前記複数のリブ、前記円弧状を呈した複数の凸部、或は前記リング状を呈した凸条部には、前記弾性部材収容部の外側に向けて傾斜するガイド部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
次に本願請求項4にかかる開閉装置は、装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に第1ヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられる支持部材と、この支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられるリフト部材と、前記支持部材内部に前記リフト部材側に設けた作動部材に接してスライド可能に設けた第1スライダーと、この第1スライダーと対向し前記支持部材内部に前記取付部材側に設けた受圧部材に接してスライド可能に設けた第2スライダーと、前記第1スライダーに設けた第1弾性部材収容部と前記第2スライダーに設けた第2弾性部材収容部に収容されて設けられた弾性部材とを有し、この弾性部材と前記第1弾性部材収容部と前記第2弾性部材収容部との間に所定の間隙が設けられているものにおいて、前記第1弾性部材収容部と前記第2弾性部材収容部の各基部側に前記弾性部材の第1位置決め部と第2位置決め部を設けたことを特徴とする。
【0010】
次に本願請求項5にかかる開閉装置は、請求項4において前記第1位置決め部と第2位置決め部は、前記第1弾性部材収容部と前記第2弾性部材収容部の第1基部側と第2基部側の各内壁に設けた複数の第1リブ及び第2リブ、円弧状を呈した複数の第1凸部及び第2凸部、或はリング状を呈した第1凸条部及び第2凸状部とで構成されていることを特徴とする。
【0011】
次に本願請求項6にかかる開閉装置は、請求項5において前記複数の第1リブ及び第2リブ、前記円弧状を呈した複数の第1凸部及び第2凸部、或はリング状を呈した第1凸条部及び第2凸条部には、前記第1弾性部材収容部及び第2弾性部材収容部の外側に向けて傾斜するガイド部が設けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る開閉装置を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明に係る開閉装置の斜視図である。
図3】本発明に係る開閉装置の分解斜視図である。
図4】本発明に係る第1スライダー斜視図である。
図5】本発明に係る第1スライダー平面図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7】本発明に係る第2スライダー斜視図である。
図8】本発明に係る第2スライダー平面図である。
図9図8のB-B線断面図である。
図10】本発明に係る第1スライダーに弾性部材を取り付けた時の断面図である。
図11】本発明に係る第2スライダーに弾性部材を取り付けた時の断面図である。
図12】本発明に係る開閉装置の開閉体を閉じた時の断面図である。
図13】本発明に係る開閉装置の開閉体を開く過程の断面図である。
図14】本発明に係る開閉装置の開閉体を開いた時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の開閉装置を添付図面に基づいて説明する。
【実施例0014】
図1は、本発明に係る開閉装置を用いた事務機器の一例としての複写機を示す。図面によれば、本発明の係る複写機Aの装置本体a上には、一対の開閉装置B、B’を介して、開閉体Cが開閉可能に取り付けられている。そして開閉装置B、B’により開閉体Cは装置本体aの上面に接触する閉位置から最大使用開放位置まで開閉可能となっている。開閉装置B、B’は、通常同じ構成ではなく、原稿自動送り機構を設けた左側の開閉装置Bが本発明に係るものであり、右側のものB’は構成が簡単なものになっているので、説明を省略する。
【0015】
図2乃至図14は、本発明の実施例に係る開閉装置Bの一例を具体的に示す図である。図2の斜視図に示すように本発明の開閉装置は、取付部材4、支持部材5、リフト部材6を有している。そして支持部材5には摺動部材である第1スライダー31,第2スライダー32及び第1スライダー31と第2スライダー32を互いに離間する方向に付勢する圧縮コイルスプリングから成る弾性部材21が収められている。取付部材4と支持部材5は、第1ヒンジシャフト11により互いに回動可能に連結されている。また、支持部材5とリフト部材6は、支持部材5の自由端側において、第2ヒンジシャフト12により支持部材5とは反対方向へ回動可能に取り付けられている。取付部材4に収められた調整板71は、装置本体aに対する取付部材4の取付位置を調整するために設けられている。
【0016】
図3の分解斜視図において取付部材4は、装置本体aに取り付けられる底板41と、底板41の両側端部からそれぞれ底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板42と、底板41の一端部(後端部)から底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる略矩形状の後板43と、両側板42の一側部に形成された湾曲凹部44と、から構成され、両側板42の後板43側にストッパー部48が設けられている。
【0017】
底板41は略矩形状に形成され、ビス等で装置本体aに取り付けるための取付孔45が設けられている。両側板42は、略L字状に形成され、先端部(上部)に第1ヒンジシャフト孔46が設けられている。第1ヒンジシャフト孔46より底板41側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置にはピン状の受圧部材孔47が設けられている。受圧部材孔47には受圧部材13が挿通されている。この受圧部材13はピン状であるが、このものに限定されない。それは合成樹脂製から成るカム形状のものであってもよい。
【0018】
取付部材4における底板41の上には調整板71が互いに摺動可能に設けられている。調整板71の一端部(後端部)から調整板71に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる略矩形状の後板75には図12に示すように取付部材4の後板43を通した調整ネジ74が螺合されている。調整板71の孔72及び73は調整板71を装置本体aに取り付けるための取付孔である。調整板71は取付部材4の底部41を挟んで装置本体aに取付ネジ81、82でねじ止めされる。この時にねじ止めトルクは調整ネジ74をドライバー等で回転させたときに調整板71に対して取付部材4が矢印76方向に移動できる程度に設定する。尚、指示記号77のものは、ガイド孔である。
【0019】
そして開閉体を開閉装置に取り付け、開閉体を装置本体aに対して閉じた状態にして互いの位置が適正になるように調整ネジ74を回す。互いの位置が適正になったことが確認出来たら取付孔72、73のねじ締めトルクを強くすると共に取付部材4の底板41に設けられた取付孔45を通して取付部材4と装置本体aもボタンネジ83を用いてねじ止めする。
【0020】
支持部材5は、図3の分解斜視図において、上板51と、上板51の両側端部からそれぞれ上板51に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に垂設された両側板52と、側板52の先端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる抱持片53と、から構成されている。
【0021】
支持部材5の両側板52の一端部(後端部)には、第2ヒンジシャフト12が挿通される第2ヒンジシャフト孔55が設けられていると共に、後述する作動部材14が入り込む切り欠き部54が設けられている。両側板52の他端部(前端部)には、第1ヒンジシャフト挿通孔56が設けられている。両側板52の第1ヒンジシャフト挿通孔56と取付部材4の第1ヒンジシャフト孔46とが軸合わせされてこれらの孔に第1ヒンジシャフト11が挿通されることによって、支持部材5が取付部材4に第1ヒンジシャフト11を軸に回動自在に連結されている。尚、第1ヒンジシャフト11は軸受部材84の軸受部に挿通され、ワッシャ85を介して第1ヒンジシャフト両端に設けられて周溝11aに係止させたEリング86で抜け止め規制されている。
【0022】
リフト部6は、開閉体Cの後端側にビス等で取付けられる上板61と、この上板61の両端部からそれぞれ上板61に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に垂設された両側板62とから成る略コ字形状のものであって、支持部材5を覆うように形成されている。この両側板62の上板61とは反対側の端に略直角に折り曲げられた受け板66に設けられた複数の孔67が開閉体Cとのビス連結孔である。リフト部6の一端部(前端部)の中央より上板61側の箇所には第2ヒンジシャフト挿通孔63が設けられていると共に、第2ヒンジシャフト挿通孔63と同じ側で、かつ、中央より上板61側とは反対側の箇所には作動部材14が挿通される作動部材孔64が設けられている。両側板62の作動部材孔64に作動部材14が挿通されて固定されている。リフト部材6の両側板62の第2ヒンジシャフト挿通孔63と支持部材5の両側板52の第2ヒンジシャフト孔55とが軸合わされてこれらの孔に第2ヒンジシャフト12が挿通されることによって、リフト部6が支持部材5の回動方向とは逆方向へ回動するように連結されている。また上板61には支持部材5の上板51との平行を調整するためのネジ65が設けられている。
【0023】
支持部材5内には、一対の第1スライダー31と第2スライダー32が摺動可能に収装されている。この一対の第1スライダー31と第2スライダー32は、断面矩形の有底筒体状に形成されている。第1スライダー31と第2スライダー32は、互いの第1弾性部材収容部31bと第2弾性部材収容部32bの各開口部が向き合うように支持部材5内にそれぞれ抱持片53に抱えられることによって支持部材5との間で個別に摺動自在に収装されている。この一対の第1スライダー31と第2スライダー32との間に第1弾性部材収容部31bと第2弾性部材収容部32bに収装されて圧縮コイルスプリング21が弾設されている。すなわち、第1スライダー31と第2スライダー32の凹状の内部が圧縮コイルスプリング21を収容する第1弾性部材収容部31bと第2弾性部材収容部32bとして形成されている。圧縮コイルスプリング21は、1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は重合して設けられ、一対の第1スライダー31と第2スライダー32をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。
【0024】
図4は第1スライダー31の斜視図であり、第1弾性部材収容部31bの内周径31k(図10)は、圧縮コイルスプリング21の圧縮コイルスプリング径21aよりも大きく設定されている。そして、第1弾性部材収容部31bの基部側の内周壁には複数のリブ31c、31c、31c・・・から成る複数の凸部で構成した第1位置決め部Dが設けられている。(一点鎖線31eで囲んだリブ径31dの範囲)
【0025】
図5は第1スライダー31の平面図であり、第1弾性部材収容部31bの内周壁に沿って垂直方向に8カ所リブ31cが等間隔に設けられている。この8カ所のリブ31cで構成される最も狭い円周の径であるリブ径31dは圧縮コイルスプリング21が自由長さの時の圧縮コイルスプリング径21aと略等しい寸法(中間公差)或いはそれより僅かに大きい寸法になるように設定されている。このように圧縮コイルスプリング21が自由長さの時の圧縮コイルスプリング径21aより大きな径を有する弾性部材収容部31b内に内径側(中心に向かって)に垂直方向に突出した等間隔のリブを設けることで圧縮コイルスプリングの外径の位置を決めている。
【0026】
第1位置決め部Dと後述する第2位置決め部D’を構成する凸部は、実施例のものは、複数の第1リブ31c、31c、31c・・・と第2リブ32c、32c、32c・・・で構成されているが、このものに限定されず、弾性部材の外形に合わせた内径を持つ連続したリング状のもの、或は複数の円弧部もので構成しても良い。この場合、弾性部材を挿入しやすくするために、いずれも第1弾性部材収容部31bと第2弾性部材収容部32bの入口側に向けたテーパー状のガイド部が設けられことが望ましい。
【0027】
弾性部材収容部31bに設けられた格子状の桁31fは、圧縮コイルスプリング21の付勢力が加わっても第1スライダー31の有底部31h(図6)が変形しないようにするための補強桁である。図6は第1スライダー31の側面断面図(図5の断面A-A)であり、弾性部材収容部31bの内周壁と有底部31hで構成される隅に各々のリブ31cが設けられている。リブ31cには、複数のリブ31cの頂点を結ぶ径が弾性部材収容部31bにおける開口側に向かうにつれて大きくなり、最終的には弾性部材収容部31bの開口部と同径になるようなテーパー部31gが設けられている。圧縮コイルスプリング21を弾性部材収容部31bに押し込むときにはテーパー部31g、31g、31g・・・の作用で圧縮コイルスプリング21は弾性部材収容部31bの中心に位置決めされる。すなわちテーパー部31gは圧縮コイルスプリング21の位置決め時のガイドの役目を果たしている。
【0028】
図10は、組み立て時に、第1スライダー31の弾性部材収容部31bに圧縮コイルスプリング21を挿入したときの断面図である。図面によれば、その基部側にリブ31c、31c、・・・による第1位置決め部Dが設けられているので、圧縮コイルスプリング21は、弾性部材収容部31b内の中央部に位置決めされ、設置位置がずれることを防止できる。弾性部材収容部31bの圧縮コイルスプリング21設置個所以外には間隙31jが設けられているので、圧縮コイルスプリング21の外周が第1スライダー31の弾性部材収容部31bの内周壁と擦れ合うことは無い。
【0029】
図7は第2スライダー32の斜視図であり、圧縮コイルスプリング21の弾性部材収容部32bの内周径32kは、圧縮コイルスプリング21の圧縮コイルスプリング径21aよりも十分大きく設定されている。そして弾性部材収容部32bの内周壁には複数のリブ32c、32c、32c・・・から成る第2位置決め部D’(図8における一点鎖線32eで囲んだ内径32dの範囲)が設けられている。
【0030】
図8は第2スライダー32の平面図であり、弾性部材収容部32bの内周壁に沿って垂直方向に8カ所のリブ32c、32c、32c・・・が等間隔に設けられている。この8カ所のリブ32c、32c、32c・・・で構成される最も狭い円周の径であるリブ径32dは圧縮コイルスプリング21が自由長の時の外径とほぼ等しくなる寸法(中間公差)或いはそれより僅かに大きい寸法になるように設定されている。このように圧縮コイルスプリング21の外径より大きな径を有する弾性部材収容部32b内に内径側(中心に向かって)に垂直方向に突出した等間隔のリブを設けることで圧縮コイルスプリングの外径の位置を決めている。弾性部材収容部32bに設けられた格子状の桁32fは圧縮コイルスプリング21の付勢力が加わっても第2スライダー32の有底部32h(図9)が変形しないようにするための補強桁である。図9は第1スライダー32の側面断面図(図8の断面B-B)であり、弾性部材収容部32bの内周壁と有底部32hで構成される隅にリブ32cが設けられている。リブ32cには、複数のリブ32cの頂点を結ぶ径が弾性部材収容部32bにおける開口側に向かうにつれて大きくなり、最終的には弾性部材収容部32bの開口部と同径になるようなテーパー部32gが設けられている。圧縮コイルスプリング21を弾性部材収容部32bに押し込むときにはテーパー部32gの作用で圧縮コイルスプリング21は弾性部材収容部32bの中心に位置決めされる。
【0031】
図11は、組み立て時に、第2スライダー32の弾性部材収容部32bに圧縮コイルスプリング21を挿入したときの断面図である。図面によれば、その基部側にリブ部32c、32c、・・・による第2位置決め部D’が設けられているので、圧縮コイルスプリング21は、弾性部材収容部32b内の中央部に位置決めされ、設置位置がずれることを防止できる。弾性部材収容部32bの圧縮コイルスプリング21設置個所以外には間隙32j設けられているので、圧縮コイルスプリング21の外周が第2スライダー32の弾性部材収容部32bの内周壁と擦れあうことは無い。
【0032】
先端部側の第1スライダー31の底面である閉塞面31aの外表面は平坦面に形成されている。この閉塞面31aが圧縮コイルスプリング21の付勢力によって作動部材14を押圧して、支持部材5とリフト部材6が重なり合うようになっている。すなわち、圧縮コイルスプリング21の付勢力によってリフト部材6の上板61に設けられたネジ65が支持部材5の上板51に当接して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61が略平行で、かつ近接するようになっている。
【0033】
後端部側の第2スライダー32の閉塞面の外表面の略中央部には突部33が設けられている。(図9)そして突部33の抱持片53側は漸次傾斜された傾斜部34が形成されている。開閉体が閉じているときは突部33が固定部材、例えば受圧部材13に当接し、リフト部材6が第2ヒンジシャフト12を軸に回動する。これによって、受圧部材13が当接する箇所が突部33から傾斜部34に徐々に摺動する。この受圧部材13の外周には通常潤滑用のグリスが塗布されている。第2スライダー32の下部側から前記受圧部材13より前側に突出させて受圧部材13の表面側を覆うオイル汚れ防止片38が設けられている。
【0034】
図12に示す開閉体Cが閉じた状態において支持部材5の、抱持片53の部分が取付部材4の湾曲凹部44内に嵌入し、オイル汚れ防止片38は受圧部材13の周囲、とくに装置本体a側を覆っている。これは受圧部材13に塗布されたグリスが装置本体aに付着することを防ぐためである。この状態から開閉体Cの開閉装置Bが取り付けられた辺とは反対側の辺を手に持って、装置本体aの上面から離間する方向(上方)に第1ヒンジシャフト11を軸に回動させると、図13に示すように第2スライダー32において受圧部材13に当接する箇所が突部33から傾斜部34へと徐々に摺動すると共に、第2スライダー32が圧縮コイルスプリング21によって支持部材5内を後端部側へと押圧されて摺動し、圧縮コイルスプリング21が徐々に伸びる。そして図14に示すように開閉体Cが装置本体aの上面に対する最大使用開放位置になると、圧縮コイルスプリング21が最も伸びた状態になる。
【0035】
前述したように圧縮コイルスプリング21が自由長さの時の圧縮コイルスプリング径21aとリブ径31d、32dは中間嵌め設定になっている。今、開閉体Bが装置本体aの上面に対する最大使用開放位置になり圧縮コイルスプリング21が最も伸びた状態になった場合においても自由長より圧縮されているために圧縮コイルスプリング21の先端部における圧縮コイルスプリング径21aはリブ31c、32cにより拘束された状態となる。そのため第1スライダー31、第2スライダー32に対して圧縮コイルスプリング21は強固に第1位置決め部Dと第2位置決め部D’によって位置決めされ、経年使用の後においても位置ずれを起こすことを防止できるものである。
【0036】
このように開閉装置において、第1スライダー31、第2スライダー32の少なくとも何れかに圧縮コイルスプリング21を位置決めする位置決め部を設けることで、組み立て時、及び組み立て後の経年使用後において開閉体Cを繰り返し開閉しても圧縮コイルスプリング21が第1スライダー31、第2スライダー32の第1弾性部材収容部31bと第2弾性部材収容部32bの各内壁に擦ることが無くなり、それによる操作時における違和感や異音の発生も防ぐことができるものである。尚、実施の形態において、圧縮コイルスプリング21の基部と第1位置決め部Dと第2位置決め部D’との間に若干のギャップが設けられているが、このギャップを設けないで構成することは可能である。このような実施の形態のものも本願発明の権利範囲に含まれるものである。
【0037】
上記した実施例に示された開閉装置Bは、支持部材5の自由端側にリフト部材6を支持部材5とは反対方向へ回動可能となるように取り付けたものが示されているが、本発明に係る開閉装置は、このものに限定されず、リフト部材を省略して支持部材に開閉体Cを直接取り付ける公知構成のものにも適用できる。その場合にはスライダーは、第2スライダーだけとなり、支持部材の自由端側と受圧部材の間に設けられるものである。本発明に係る開閉装置には、このような構成の開閉装置も含まれる。そのため、請求項1とその従属項でこの構成のものを記載してある。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、以上のように構成したので、経年使用の後においても開閉体の開閉操作に不具合が発生したり、異音が発生することを防止した開閉装置並びにこの開閉装置を用いた事務機器を提供できるものである。
【符号の説明】
【0039】
A 複写機(事務機器)
B 開閉装置
C 開閉体(原稿圧着板)
4 取付部材
5 支持部材
6 リフト部材
11 第1ヒンジシャフト
12 第2ヒンジシャフト
13 受圧部材
14 作動部材
21 圧縮コイルスプリング(弾性部材)
21a圧縮コイルスプリング径
31 第1スライダー(摺動部材)
31b弾性部材収容部(圧縮コイルスプリング弾性部材収容部)
31cリブ
32 第2スライダー(摺動部材)
32b弾性部材収容部(圧縮コイルスプリング弾性部材収容部)
32cリブ
38 オイル汚れ防止片
41 底板
51 上板
52 両側板
53 抱持片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14